(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723613
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】プレス機械
(51)【国際特許分類】
B30B 1/18 20060101AFI20150507BHJP
B30B 15/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
B30B1/18 B
B30B15/02 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-19667(P2011-19667)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-157890(P2012-157890A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠
【審査官】
馬場 進吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−188460(JP,A)
【文献】
特開昭62−130795(JP,A)
【文献】
実開平04−012396(JP,U)
【文献】
特開2010−133425(JP,A)
【文献】
特開2010−112304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/18
B30B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに回転自在に備えられたナット部材及び当該ナット部材を回転するための第1のモータを備え、前記ナット部材に回転自在かつ長手方向へ移動自在に螺入した螺子部材及び当該螺子部材を回転するための第2のモータを備え、前記螺子部材の先端部と相対的に回転可能に係合した係合部を備えると共に当該係合部と一体に前記螺子部材の移動方向へ移動可能なラムを備えたプレス機械であって、前記螺子部材の先端面と当接可能な当接面を前記係合部に備え、前記螺子部材の先端面と前記係合部における前記当接面との間に、前記ラムに対して前記螺子部材を回転して急速に下降したときに、前記先端面と前記当接面が当接し、摩擦によって前記螺子部が一時的に回転を停止することを防止し、かつ前記ラムに負荷が作用したときにのみ前記先端面と前記当接面との当接を許容するための弾性部材を備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項2】
請求項1に記載のプレス機械において、前記螺子部材の先端面又は前記係合部の当接面の一方に環状の溝を備え、この環状の溝内に環状の弾性部材を備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプレス機械において、前記ナット部材と前記螺子部材の先端面との間において前記螺子部材に回転部材を一体的に備え、前記螺子部材の先端部に、当該螺子部材に対して相対的に回転自在に備えたモータブラケットに前記第2のモータを備え、この第2のモータと前記回転部材とを連動連結して備えたことを特徴とするプレス機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームに回転自在に備えられたナット部材及び当該ナット部材を回転するための第1のモータを備え、前記ナット部材に回転自在かつ長手方向へ移動自在に螺入した螺子部材及び当該螺子部材を回転するための第2のモータを備え、前記螺子部材の先端部と相対的に回転可能に係合した係合部を備えると共に当該係合部と一体に前記螺子部材の移動方向へ移動可能なラムを備えたプレス機械に係り、さらに詳細には、前記螺子部材の急速移動を円滑に行うことのできるプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械において、ラムの上下動を高速に行うためのモータと、ラムの加圧時に機能する大出力のモータとを備えたプレス機械が提案されている(例えば、特許第3953414号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3953414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のプレス機械は、
図1に示すごとき構成である。すなわち、プレス機械1は、フレーム3を備えており、このフレーム3の上部にはナット部材5が回転自在に備えられている。そして、このナット部材5に備えたプーリ7には、前記フレーム3に装着した第1のモータ9に備えた駆動プーリ11に掛回したベルト13が掛回してある。したがって、前記第1のモータ9を正逆回転することにより、前記ナット部材5は連動して正逆回転されるものである。
【0005】
また、前記フレーム3には上下方向のガイド部材15が備えられており、このガイド部材15にはラム17が上下動自在に案内支持されている。そして、前記ラム17を上下動するために、前記ナット部材5には、螺子部材19が回転自在かつ上下動自在に螺入貫通してある。前記螺子部材19を回転するために、前記螺子部材19の上端部には、プーリ21が一体的に取付けてある。そして、このプーリ21には、第2のモータ23に備えた駆動プーリ25に掛回したベルト27が掛回してある。
【0006】
なお、前記第2のモータ23は、前記螺子部材19と一体的に上下動するように、前記フレーム3の上部外側に備えた支持ブラケット29における上下方向のガイド31によって上下動自在に案内支持されている。そして、前記第2のモータ23におけるモータブラケット33に基端部側を一体的に連結した連結バー35の先端部は、前記螺子部材19に対して相対的に回転自在に連結してある。
【0007】
そして、前記螺子部材19の先端部(下端部)を、前記ラム17の上部に備えた係合部37に相対的に回転可能に係合した構成である。より詳細には、前記螺子部材19の下端部にはフランジ部19Fが備えられており、前記係合部37は、前記フランジ部19Fを回転自在に内包する係合凹部39を備えた構成である。なお、前記係合凹部39内には、
図2に示すように、前記フランジ部19Fの上下動を規制する軸受41及びオイルシール43が内装されている。
【0008】
上記構成において、常態においては、ラム17は螺子部材19に吊下された状態にあるので、前記螺子部材19におけるフランジ部19Fの下面と前記係合凹部39の底面(上面)との間には微少クリアランスCを生じた状態にある。したがって、ラム17に対して螺子部材19を円滑に回転することができるものである。
【0009】
前記構成により、第1のモータ9が停止した状態にあるときに、第2のモータ23を高速回転して螺子部材19を下降すると、ラム17も高速で下降することになる。なお、この際、第1のモータ9を適宜に正逆回転することにより、前記ラム17をより高速で下降することや低速下降することができるものである。前述のごとく、ラム17を下降して、ダイD上のワークWにラム17に備えたパンチPが当接し、ラム17に負荷が作用すると、前記フランジ部19Fの下面と前記係合凹部39の上面(底面)とが当接し、ラム17に対して螺子部材19の回転が不可能になる。上述のように、フランジ部19Fの下面が係合凹部39の底面に当接すると、第2のモータ23の回転が停止され、第1のモータ9の回転によるナット部材5の回転によって、螺子部材19を介してラム17が下降される。
【0010】
すなわち、第1、第2のモータ9、23の回転を制御することにより、ラム17の上下動を高速で行うことができると共に、ラム17に負荷が作用したときには、第1のモータ9の回転によってラム17を低速下降し、かつ大加圧力でもってワークWのプレス加工を行うことができるものである。
【0011】
ところで、前述の構成においては、ラム17が上昇した状態にあるとき、ラム17を高速で下降すべく前記螺子部材19を高速で回転すると、上昇停止した状態にあるラム17に対して螺子部材19が急速に下降を開始することになる。したがって、自重によって下降を開始するラム17の下降速度よりも螺子部材19の下降速度が大きく、螺子部材19におけるフランジ部19Fの下面がラム17における係合凹部39の底面に当接することがある。
【0012】
すなわち、ラム17が下降中であって、負荷が作用していないにも拘わらず、前記フランジ部19Fの下面と係合凹部39の底面とが当接して、ラム17の下降中における螺子部材19の円滑な回転が阻害それることがある。
【0013】
また、前述したごとき従来の構成においては、螺子部材19の上端部にプーリ21が備えられており、このプーリ21を回転するための第2のモータ23が、フレーム3の上端部外側に上下動自在に備えられているので、全体的構成が高くなり、簡素化、コンパクト化を図る上において問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述したごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、フレームに回転自在に備えられたナット部材及び当該ナット部材を回転するための第1のモータを備え、前記ナット部材に回転自在かつ長手方向へ移動自在に螺入した螺子部材及び当該螺子部材を回転するための第2のモータを備え、前記螺子部材の先端部と相対的に回転可能に係合した係合部を備えると共に当該係合部と一体に前記螺子部材の移動方向へ移動可能なラムを備えたプレス機械であって、前記螺子部材の先端面と当接可能な当接面を前記係合部に備え、前記螺子部材の先端面と前記係合部における前記当接面との間に、
前記ラムに対して前記螺子部材を回転して急速に下降したときに、前記先端面と前記当接面が当接し、摩擦によって前記螺子部が一時的に回転を停止することを防止し、かつ前記ラムに負荷が作用したときにのみ前記先端面と前記当接面との当接を許容するための弾性部材を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、前記プレス機械において、前記螺子部材の先端面又は前記係合部の当接面の一方に環状の溝を備え、この環状の溝内に環状の弾性部材を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、前記プレス機械において、前記ナット部材と前記螺子部材の先端面との間において前記螺子部材に回転部材を一体的に備え、前記螺子部材の先端部に、当該螺子部材に対して相対的に回転自在に備えたモータブラケットに前記第2のモータを備え、この第2のモータと前記回転部材とを連動連結して備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ラムを上下動するための螺子部材の先端面と係合部における当接面との間に、常態においては前記先端面と前記当接面とを離隔した状態に保持し、前記ラムにプレス加工時の負荷が作用したときにのみ前記先端面と前記当接面との当接を許容するための弾性部材を備えているので、ラムに対して螺子部材の移動を高速で開始した場合であっても、ラムにプレス加工時の負荷が作用するまでは、前記先端面と当接面とが当接するようなことがなく、螺子部材の円滑な回転が維持されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のプレス機械の構成を示す全体説明図である。
【
図2】従来のプレス機械の主要部の構成、作用を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るプレス機械の主要部の構成を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るプレス機械における第1、第2のモータとナット部材、螺子部材との位置的関係を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るプレス機械の主要部の構成を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、プレス機械の全体的構成は前述したプレス機械とほぼ同様であるので、主要部の構成のみについて説明する。また、プレス機械の構成要素において同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0020】
図3を参照するに、本発明の実施形態に係るプレス機械45は、フレーム3に固定した円筒形状の支持ブロック47を備えており、この支持ブロック47内には、複数の軸受49を介してナット部材5が回転自在に支持されている。そして、このナット部材5の上部に一体的に備えたプーリ7(
図4参照)には、前記フレーム3の一部に装着した第1のモータ9に備えた駆動プーリ11に掛回したベルト13が掛回してある。したがって、前記第1のモータ9を正逆回転することにより、前記ナット部材5を正逆回転することができるものである。
【0021】
前記ナット部材5には、螺子部材19が長手方向、すなわち上下方向へ移動自在に螺入してある。そして、この螺子部材19の下部は、前記ラム17に連結してある。前記ラム17の上部には、前記係合部37に相当する係合部51が、左右方向(
図4においての左右方向)へ揺動可能に備えられている。
【0022】
より詳細には、前記ラム17の上面には、円弧状の凹曲面53が前後方向(
図4において紙面に垂直な方向、
図3において左右方向)が形成してある。そして、上記凹曲面53には、揺動可能な加圧部材55の下面に備えた揺動係合部材57における下面の円弧状の凸曲面が揺動可能に係合してある。なお、前記加圧部材55がラム17の上面から上方向へ離脱することを防止するために、前記ラム17を回動可能に前後方向に貫通した貫通ロッド59の前後両端部には、固定ボルトなどのごとき固定具61が上下方向に貫通してある。そして、上記固定具61の先端(上端)部は、前記加圧部材55に螺入連結してあり、この固定具61の下端部の頭部と前記貫通ロッド59との間には、固定具61を下方向へ付勢する皿バネなどのごとき弾性部材63が弾装してある。
【0023】
したがって、ラム17と加圧部材55との間の相対的な左右方向への揺動が許容されるものである。なお、前記凹曲面53及び揺動係合部材57の凸曲面を、それぞれ半球状の凹曲面及び凸曲面に形成することにより、ラム17と加圧部材55との間の相対的な前後左右方向への揺動が可能になるものである。
【0024】
前記螺子部材19の下端部と前記ラム17とを連結するために、前記係合部51の一部を構成する前記加圧部材55の上面には円形状の凹部65(
図5参照)が形成してあり、この凹部65内にはピン67(
図3参照)によって回転を規制された円盤状の当接板69が備えられている。この当接板69の上面は、前記螺子部材19の先端面(下端面)と当接可能な当接面をなすものであって、上面には環状溝71が形成してあり、この環状溝71内には、前記上面より僅かに上方向へ一部が突出自在なOリングなどのごとき弾性部材73が弾装してある。なお、前記当接板69を省略して、凹部65の底面を当接面とすることも可能である。
【0025】
前記螺子部材19における下端部には、前記フランジ部19Fに相当するフランジ部材75が一体的に取付けてあると共に、ベアリング77を介して円板状のモータ支持ブラケット79が相対的に回転可能に備えられている。このモータ支持ブラケット79には後方向(
図3において右方向)へ水平に突出したローラピン81が備えられている。そして、上記ローラピン81に回転自在に備えられたガイドローラ83は、フレーム3に垂直に備えたガイド部材85の上下方向のガイド溝内に上下動自在に係合してある。すなわち、前記モータ支持ブラケット79は、前記螺子部材19と一体的に上下動するものの、螺子部材19の軸心回りの水平方向への回動は規制されているものである。
【0026】
前記螺子部材19と一体的に前記ラム17の上下動を行うために、前記加圧部材55の上面には、前記モータ支持ブラケット79の複数箇所に形成した上下方向の開口部79Aを上下に貫通した複数のフック部材83が一体的に備えられており、このフック部材83の上端には、前記モータ支持ブラケット79の上面に当接自在な水平な内方向への突出部83Pが備えられている。そして、前記螺子部材19の先端面すなわち前記フランジ部材75の下面と前記当接板69の上面(当接面)とが当接したときに、前記突出部83Pの下面と前記モータ支持ブラケット79の上面との間に僅かなクリアランスCを生じる関係にある。
【0027】
換言すれば、ラム17にプレス加工時の負荷が作用しない常態においては、ラム17は、螺子部材19に対して自重によって下降した状態にある。すなわち、前記フック部材83の突出部83Pが前記モータ支持ブラケット79の上面に当接支持されることにより、前記ラム17は螺子部材19に吊下支持されるものである。
【0028】
上述のように、フック部材83の突出部83Pがモータ支持ブラケット79の上面に当接支持されると、
図5において、加圧部材55に対してモータ支持ブラケット79が相対的に上昇された状態となり、前記当接板69の上面と前記フランジ部材75、モータ支持ブラケット79の下面との間に、前記クリアランスCに相当する間隙を生じることになる。この場合、弾性部材73の上部は、前記当接板69の上面から上方向へ突出した状態にある。この際、前記弾性部材73は、螺子部材19の先端面(下面)と接触した状態であっても離れた状態にあってもよいものである。
【0029】
なお、本実施形態においては、モータ支持ブラケット79の下面に弾性部材73が当接する場合について例示してある。しかし、前記モータ支持ブラケット79は螺子部材19と一体的に上下動するものであり、螺子部材19と一体的なフランジ部材75の下面と前記当接板69の上面との間に間隙を生じているときには、前記モータ支持ブラケット79の下面は前記フランジ部材75の下面と同一平面をなすものである。したがって、前記モータ支持ブラケット79の下面は前記螺子部材19の下面と同一面と同一視することができるものである。
【0030】
また、前記弾性部材73は、前記フランジ部材75と対向する位置に配置してもよいものである。さらに、前記弾性部材73を加圧部材55側に設けるか、螺子部材19側に設けるかは相対的なものであるから、前記フランジ部材75の下面に環状溝を形成して、この環状溝内に弾性部材73を備えた構成とすることも可能である。さらには、前記フランジ部材75の下面又は前記当接板69の上面の少なくとも一方に複数の凹部を備え、この凹部内に、弾性部材を僅かに突出した状態に収容する構成とすることも可能である。
【0031】
図4に示すように、前記ナット部材5から下方向へ突出した前記螺子部材19の下端部側、すなわち前記ナット部材5と螺子部材19の先端面(下端面)との間において、前記螺子部材19には、回転部材としての前記プーリ21に相当するプーリ21Aが一体的に取付けてある。そして、当該プーリ21Aを回転するために、前記モータ支持ブラケット79にはモータブラケット85が一体的に取付けてあり、このモータブラケット85に第2のモータ23が装着してある。上記第2のモータ23と前記プーリ21Aを連動連結するために、第2のモータ23に備えた駆動プーリ25と前記プーリ21Aにはベルト27が掛回してある。
【0032】
上述のごとき構成により、第1のモータ9を停止した状態において第2のモータ23を高速回転すると、螺子部材19が高速回転してラム17を高速で上下動することになる。また、第2のモータ23を停止した状態において、第1のモータ9を回転すると、ナット部材5が回転されて、螺子部材19が上下動されることになる。すなわち、ナット部材5を回転するための第1のモータ9と螺子部材19を回転するための第2のモータ23とを備えた構成であるから、前述した従来のプレス機械と同様の作用、効果を奏し得るものである。
【0033】
そして、前記構成においては、螺子部材19の先端面に相当するフランジ部材75の下面又はモータ支持ブラケット79の下面と、係合部51における当接面すなわち当接板69の上面との間には、常態においては前記先端面と当接面とを離隔した状態に保持し、ラム17に備えたパンチPがワークWに当接して、ラム17にプレス加工時の負荷が作用したときにのみ前記先端面と前記当接面との当接を許容する弾性部材73が介在してある。
【0034】
したがって、ラム17が上昇した状態にあるときに、第2のモータ23を高速回転し、螺子部材19の下降を高速で開始すると、停止した状態にあるラム17に対して螺子部材19が急速に下降を開始するので、係合部51における当接板69の上面(当接面)に、螺子部材19の下端面(先端面)が当接する傾向にある。しかし、前記当接面と先端面との間には弾性部材73が介在してあるので、前記先端面と当接面とが当接することを防止できるものである。よって、上昇位置からラム17が下降中であるときに、前記先端面と当接面が当接し、摩擦によって螺子部材19が一時的に回転を停止するようなことがなく、螺子部材19を円滑に回転して、ラム17を円滑に下降することができるものである。
【0035】
そして、前記ラム17の下部に備えたパンチPがダイD上のワークWに当接して、その反力がラム17に作用すると、すなわちラム17にプレス加工時の負荷が作用すると、前記弾性部材73が圧縮されて、螺子部材19の先端面が当接板69の当接面に当接することになり、摩擦力によって前記螺子部材19の回転が不可能になる。上述のように、螺子部材19の先端面が当接板69に当接すると、第2のモータ23が停止され、第1のモータ9の駆動によってナット部材5が回転されることになる。
【0036】
また、前記構成においては、ナット部材5から下方向へ突出した螺子部材19の下端部側にプーリ21Aが備えられており、螺子部材19に相対的に回転自在に備えたモータ支持ブラケット79に、前記プーリ21Aを回転するための第2のモータ23を備えた構成であるから、プレス機械の全体的高さを抑制することができると共に、構成の簡素化、コンパクト化を図ることができるものである。
【符号の説明】
【0037】
1,45 プレス機械
3 フレーム
5 ナット部材
7,21 プーリ
9 第1のモータ
11,25 駆動プーリ
17 ラム
19 螺子部材
23 第2のモータ
51 係合部
57 揺動係合部材
69 当接板
71 環状溝
73 弾性部材
75 フランジ部材
79 モータ支持ブラケット
79A 開口部
83 フック部材
83P 突出部