(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算増幅器による1回の積分動作ごとに前記第3スイッチをオンすることにより、前もって前記第4スイッチを介して電荷が放電された前記オフセット用キャパシタを前記演算増幅器の前記第2入力端子に接続することを特徴とする請求項2に記載の容量検出回路。
前記演算増幅器の出力電圧が所定のしきい値電圧に達するたびに、前記第3スイッチをオンすることにより、前もって前記第4スイッチを介して電荷が放電された前記オフセット用キャパシタを前記演算増幅器の前記第2入力端子に接続することを特徴とする請求項2に記載の容量検出回路。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0017】
図1は、実施の形態に係るタッチパネル入力装置(単に入力装置という)2を備える電子機器1の構成を示す回路図である。入力装置2は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)8の表層に配置され、タッチパネルとして機能する。入力装置2は、ユーザが指やペンなど(以下、指6)でタッチしたポイント(点)のX座標およびY座標を判定する。
【0018】
入力装置2は、タッチパネル4および制御回路(容量検出回路)100を備える。タッチパネル4は相互キャパシタンス方式のマトリクス型タッチパネルであり、マトリクスの列ごとに設けられた複数の送信電極10と、マトリクスの列ごとに設けられた複数の受信電極12を備える。行と列の割り当ては逆でもよい。送信電極10と受信電極12の各交点において、2つの電極は互いに容量的に結合される(Capacitively coupled)。各交点の送信電極10と受信電極12のペアは、ひとつの容量センサ(Capacitive sensor)5を形成する。つまりタッチパネル4は、マトリクス状に配置された複数の容量センサ5を含む。ユーザの指やペンなどの物体が、ある容量センサ5に接触あるいは近接すると、その容量センサ5が形成する相互キャパシタンスが変化する。
【0019】
容量検出回路100は、複数の送信電極10に対して、順にサイクリックに送信信号を印加し、容量検出の対象となる列を選択する。容量検出回路100は、選択された送信電極10が、複数の受信電極12それぞれとの間で形成する容量の変化を検出する。選択された送信電極10が列座標、容量変化が発生した受信電極12が行座標に対応する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る容量検出回路100を有する入力装置2の構成を示す回路図である。
図2には、ひとつの送信電極10と、それと直交する複数の受信電極12を有するタッチパネル4が示されるが、送信電極10は複数設けられてもよい。
【0021】
送信電極10と、複数の受信電極12
1〜12
mはそれぞれ容量的に結合され、それらの間には、相互キャパシタンスC
Mを含む容量センサ5
1〜5
mが形成される。容量検出回路100は、送信回路20、積分回路30、サンプルホールド回路40、増幅器42、A/Dコンバータ44、コンパレータ46を含む。容量検出回路100は、複数の容量センサ5それぞれの相互キャパシタンスC
Mの変化を、順に検出する。
【0022】
容量検出回路100は、送信端子(TX端子)と、受信電極12ごとに設けられた受信端子(RX端子)を有する。容量検出回路100のTX端子は送信電極10と接続され、容量検出回路100の各RX
i端子は、対応する受信電極12
iと接続される。
【0023】
送信回路20は、周期的な送信信号S1を発生し、送信電極10に印加する。信号発生器22は、周期的なクロック信号を発生する。ドライバ24は、クロック信号を受け、それと同期した送信信号S1を送信電極10に出力する。送信信号S1は、第1電圧レベル(たとえば電源電圧Vdd)と、第2電圧レベル(たとえば接地電圧Vss)を交互に繰り返す周期信号である。複数の送信電極10が設けられるタッチパネル4においては、選択される送信電極10に送信信号S1が印加され、その他の送信電極10には、固定的な電圧レベル、たとえば接地電圧Vssが印加される。
【0024】
積分回路30は、複数の受信電極12それぞれが形成する容量センサ5
1〜mの相互キャパシタンスC
Mの変化量を検出する。積分回路30は、演算増幅器32、積分キャパシタC
INT、駆動バッファ34、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、オフセット用キャパシタC
OFS、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、第5スイッチSW5を備える。
【0025】
演算増幅器32の第1入力端子(非反転入力端子)には、所定の基準電圧V
REFが印加される。積分キャパシタC
INTは、演算増幅器32の出力端子とその第2入力端子(反転入力端子)の間に設けられる。駆動バッファ34は、演算増幅器32の反転入力端子の電位を受ける。たとえば駆動バッファ34はボルテージフォロア回路である。
【0026】
複数の第1スイッチSW1
1〜mはそれぞれ、受信電極12
1〜mごとに設けられる。第1スイッチSW1
iは、駆動バッファ34の出力端子と、対応する受信電極12
iの間に設けられる。複数の第2スイッチSW2
1〜mもそれぞれ、受信電極12
1〜mごとに設けられる。第2スイッチSW2
iは、対応する受信電極12
iと演算増幅器32の反転入力端子の間に設けられる。
【0027】
複数の第5スイッチSW5
1〜mもそれぞれ、受信電極12
1〜mごとに設けられる。第5スイッチSW5
1〜mは、容量検出回路100の非動作状態においてオンとなり、それぞれが接続されるラインの電位を固定するために設けられる。
【0028】
複数の第1スイッチSW1
1〜mおよび複数の第2スイッチSW2
1〜mは、検出対象の受信電極12を選択するためのセレクタ(マルチプレクサ)MUXとして把握することもできる。
【0029】
オフセット用キャパシタC
OFSの第1端子は接地され、その電位が固定される。第3スイッチSW3は、オフセット用キャパシタC
OFSの第2端子と演算増幅器32の反転入力端子の間に設けられる。第4スイッチSW4は、オフセット用キャパシタC
OFSと並列に設けられる。第4スイッチSW4がオンすると、オフセット用キャパシタC
OFSに蓄えられた電荷が放電する。オフセット用キャパシタC
OFSの電荷が放電された状態で、第3スイッチSW3がオンすると、積分キャパシタC
INTと積分キャパシタC
INTとの間で電荷移動が起こり、演算増幅器32の出力電圧Vsが所定幅V
OFSだけシフトする。
【0030】
第3スイッチSW3のオンによる電荷移動の前後で、オフセット用キャパシタC
OFSの電圧変化はV
REFであり、積分キャパシタC
INTの電圧変化量はV
OFSである。したがって電荷保存則から以下の関係式が成り立つ。
C
OFS×V
REF=C
INT×V
OFS
【0031】
たとえばV
REF=2V、2つの容量の比C
OFS/C
INT=1/10とするとき、第3スイッチSW3を1回オンするごとに、演算増幅器32の出力電圧Vsは、シフト量V
OFS=0.2Vだけシフトする。言い換えれば、オフセット用キャパシタC
OFSの容量値に応じて、シフト量を調節できる。
【0032】
送信信号S1が印加されると、相互キャパシタンスC
Mが充電され、その容量値に応じた電荷が蓄えられる。そして送信信号S1の電圧レベルが変化すると、相互キャパシタンスC
Mに蓄えられた電荷が充放電され、電流I
RXが発生する。積分回路30は、この電流I
RXを積分し、容量変化に応じた検出電圧Vsを生成する。
【0033】
サンプルホールド回路40は、検出電圧Vsをサンプルホールドする。増幅器42は、必要に応じてサンプルホールドされた検出電圧Vsを増幅する。A/Dコンバータ44は、増幅された検出電圧Vsをデジタル値に変換する。このデジタル値は、各容量センサ5の容量変化を示す。
【0034】
制御部50は、送信回路20、スイッチSW1〜SW5のオン、オフ状態、サンプルホールド回路40のサンプルホールド動作をシーケンス制御する。制御部50は、第1モードと第2モードで切りかえ可能に構成される。
【0035】
1. 第1モード
このモードにおいて制御部50は、積分回路(演算増幅器32)30による1回の積分動作(センシング)ごとに、第3スイッチSW3をオンすることにより、前もって電荷が放電されたオフセット用キャパシタC
OFSを演算増幅器32の反転入力端子に接続する。
【0036】
2. 第2モード
このモードにおいて制御部50は、演算増幅器32の出力電圧Vsが所定のしきい値電圧V
THに達するたびに、第3スイッチSW3をオンする。コンパレータ46は、検出電圧Vsとしきい値電圧V
THを比較し、第2モードにおいて第3スイッチSW3をオンするタイミングを検出する。制御部50は、コンパレータ46の検出結果にもとづき第3スイッチSW3をオンする。
【0037】
以上が容量検出回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、
図2の容量検出回路100の第1モードの動作を示すタイムチャートである。スイッチの状態は、ハイレベルがオンを、ローレベルがオフを示す。
【0038】
ここでは説明の簡潔化、理解の容易化のために、ひとつの受信電極12に着目し、それが形成する相互キャパシタンスC
Mを検出する動作を説明する。
【0039】
送信信号S1が第1電圧レベルVddから第2電圧レベルVssに変化し、あるいは第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化すると、受信電極12からRX端子を介して、相互キャパシタンスC
Mに応じた電流I
RXが流れる。容量検出回路100は、第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化することにより生ずる電流I
RXのみを検出する(整流動作)。
【0040】
演算増幅器32の反転入力端子と非反転入力端子の電圧は等しくなるため、駆動バッファ34の入力電圧は、基準電圧V
REFと等しくなる。送信信号S1が第2電圧レベルVssの期間に、第1スイッチSW1がオンする。これにより駆動バッファ34の出力が受信電極12と接続され、受信電極12の電位が基準電圧V
REFに初期化される。
【0041】
続いて第1スイッチSW1がオフし、第3スイッチSW3がオンする。第3スイッチSW3のオンに先立ち、第4スイッチSW4をオンすることにより(不図示)、オフセット用キャパシタC
OFSの電荷はゼロに放電されている。第3スイッチSW3をオンすると、オフセット用キャパシタC
OFSが積分キャパシタC
INTと接続される。これにより、演算増幅器32の出力電圧Vsは、所定のオフセット電圧V
OFSだけ高電位側にシフトする。
【0042】
第3スイッチSW3をオフし、オフセット用キャパシタC
OFSが積分キャパシタC
INTと切り離された状態で、第2スイッチSW2がオンとなる。第2スイッチSW2がオンの期間に、送信信号S1が第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化すると、第2スイッチSW2を経由して、相互キャパシタンスC
Mの容量値に応じた電流I
RXが、積分キャパシタC
INTに流れ、積分処理が行われる。サンプルホールド回路40は、積分キャパシタC
INTの充放電が終了したタイミングにおける検出電圧Vsをサンプルホールドする(S/H)。
【0044】
このように、オフセット用キャパシタC
OFSを設け、それを積分処理ごとに積分キャパシタC
INTと接続することにより、検出電圧Vsを毎サイクル、オフセットさせることができる。容量検出回路100が検出すべきは、接触により生ずる相互キャパシタンスC
Mの変化であるため、接触の有無にかかわらず存在する定常的な容量の影響はキャンセルして構わない。容量検出回路100によれば、オフセットによってこのような定常的な容量の影響をキャンセルすることができる。
【0045】
検出電圧Vsが取り得る電圧範囲は限定されている。検出電圧Vsのオフセットにより、1回のセンシングで発生する検出電圧Vsの変化を小さくできるため、同じ電圧範囲内での回数を、オフセットを行わない場合に比べて増やすことができる。あるいは、1回のセンシングにおける積分する電圧値を大きくすることができるため、検出精度を高めることができ、あるいはノイズに対する耐性を高めることができる。
【0046】
ここで比較のために、オフセット用キャパシタC
OFSではなく、演算増幅器32の反転入力端子に接続される電流源を設け、電流を流し込むことによりオフセットを行う場合について考察する。この比較技術では、オフセット量V
OFSは、電流を供給する時間と、電流量の積で定まる。ここで容量検出回路100は、低消費電力モードにおいて、センシング周波数を落とす場合がある。この場合、積分回路30のセンシング周波数が変化するとそれによって電流源がオンする時間が変化し、オフセット量が変化するという問題が生ずる。
【0047】
これに対して実施の形態に係る容量検出回路100では、オフセット用キャパシタC
OFSと積分キャパシタC
INTの間の電荷の移動が瞬時に起こるため、オフセット量V
OFSが第3スイッチSW3のオン時間の影響を受けにくいという利点を有する。
【0048】
また比較技術では、サンプルホールドのタイミングによって、検出電圧Vsのレベルが変化するため、検出電圧Vsがジッタの影響を受けやすい。これに対して容量検出回路100によれば、サンプルホールドのタイミングがジッタの影響を受けても、それより前に検出電圧Vsのレベルが安定化しているため、ジッタの影響を受けにくいという利点を有する。
【0049】
また比較技術ではプロセスばらつきや温度変動によって、電流源が生成する電流値が変動すると、オフセット量V
OFSが変動してしまう。これに対して容量検出回路100では、オフセット電圧V
OFSは、積分キャパシタC
INTとオフセット用キャパシタC
OFSの容量の比C
OFS/C
INTで定まるところ、それらが同じICチップに集積化される場合、容量比C
OFS/C
INTの変動は小さいため、オフセット電圧V
OFSの変動を小さくできる。
【0050】
続いて第2モード(折り返しモード)の動作を説明する。
図4は、
図2の容量検出回路100の第2モードの動作を示すタイムチャートである。第2モードでは、センシングごとに検出電圧Vsをオフセットするのではなく、検出電圧Vsがしきい値電圧V
THに達するたびに第3スイッチSW3をオンし、検出電圧Vsをオフセットさせる。第2モードでは、検出電圧Vsが折り返されることから、折り返しモードともいう。
【0051】
なお第3スイッチSW3を1回オンさせることにより得られるオフセット量が小さい場合、第3スイッチSW3を複数回オンさせることにより、必要なオフセット量V
OFSを実現してもよい。
【0052】
第2モードによれば、A/Dコンバータ44による変換回数を増やすことなく、積分回数もしくは積分量を大きくすることができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る容量検出回路100aを備える入力装置2aの構成を示す回路図である。
【0054】
タッチパネル4の構成は
図1と同様である。容量検出回路100aは、2つの積分回路30a、30bを備える。
積分回路30aおよび30bは、
図1の積分回路30と同様に構成される。RX
1〜m端子ごとに、マルチプレクサMUX
1〜mが設けられる。マルチプレクサMUX
iの第1スイッチSW1aは、受信電極12
iと第1積分回路30aの駆動バッファ34の出力との間に設けられ、第1スイッチSW1bは、受信電極12
iと第2積分回路30bの駆動バッファ34の出力との間に設けられる。第2スイッチSW2aは、受信電極12
iと第1積分回路30aの演算増幅器32との間に設けられ、第2スイッチSW2bは、受信電極12
iと第2積分回路30bの演算増幅器32との間に設けられる。各マルチプレクサMUX
iによって、対応する受信電極12
iを、積分回路30a、30bのいずれか一方に選択的に割り当て可能となっている。
【0055】
第1積分回路30aは、それに割り当てられたひとつの受信電極12
jに応じた容量変化を検出する。第2積分回路30bは、それに割り当てられたひとつの受信電極12
kに応じた容量変化を検出する。サンプルホールド回路40a、40bはそれぞれ、積分回路30a、30bの出力電圧Vsa、Vsbを、サンプルホールドする。
【0056】
コンパレータ46a、46bはそれぞれ、積分回路30a、30bそれぞれの出力電圧Vsa、Vsbを、所定のしきい値電圧V
THと比較する。比較結果は、上述した折り返しモードに利用される。
【0057】
容量検出回路100aは、差動モードとシングルエンドモードとが切りかえ可能に構成される。
【0058】
1. 差動モード
このモードでは、第7スイッチSW7がオン、第6スイッチSW6a、SW6b、第8スイッチSW8がオフである。差動増幅器43は、サンプルホールドされた第1積分回路30aの出力電圧Vsaと、サンプルホールドされた第2積分回路30bの出力電圧Vsbの差分を増幅する。差動増幅器43の出力は、第7スイッチSW7を介してA/Dコンバータ44に入力される。
【0059】
2. シングルエンドモード
このモードでは、第7スイッチSW7がオフ、第8スイッチSW8がオンである。第6スイッチSW6a、SW6bは、サンプルホールド回路40a、40bの出力の一方を選択する。増幅器42は、選択された一方の検出電圧Vsを増幅し、第8スイッチSW8を介してA/Dコンバータ44に入力する。
【0060】
以上が容量検出回路100aの構成である。続いてその動作を説明する。
【0061】
1. シングルエンドモード
シングルエンドモードの動作は、基本的に第1の実施の形態と同様である。このモードにおいては、積分回路30a、30bの一方のみをアクティブとし、アクティブな積分回路30を利用して、複数の受信電極12
1〜mそれぞれの容量変化を検出できる。
あるいは、積分回路30a、30bの両方を並列的に動作させ、2つの受信電極12の容量変化を同時に検出してもよい。2つの受信電極12の容量変化に応じた検出電圧Vsa、Vsbをサンプルホールドした後、A/Dコンバータ44によって2つの検出電圧Vsa、Vsbを時分割でデジタル値に変換すればよい。
【0062】
2. 差動モード
差動モードでは、2つの積分回路30a、30bの両方が並列的に動作し、それぞれに割り当てられた2つの受信電極12
j、12
kの容量を同時に検出する。そして2つの受信電極12
j、12
kの容量変化に応じた検出電圧Vsa、Vsbをサンプルホールドした後、差動増幅器43によって差分を増幅し、A/Dコンバータ44増幅結果をデジタル値に変換する。
【0063】
たとえば差動モードのひとつの動作例では、k=j+1とし、隣接する2つの受信電極12が、第1積分回路30a、第2積分回路30bに割り当てられる。そして、変数jをひとつずつインクリメントすることにより、すべての受信電極12
1〜mの容量変化を検出する。
なお受信電極12
mの容量変化を検出する場合、受信電極12
mを積分回路30aに、受信電極12
1、あるいは別に設けられた基準となる電極(不図示)を積分回路30bに割り当ててもよい。基準となる電極は、いずれかのRX端子と接続される。
【0064】
第1の実施の形態、あるいは第2の実施の形態のシングルエンドモード動作では、タッチパネル4にノイズが混入すると、そのノイズが容量変化として検出され、ユーザによる接触が誤検出される場合がある。
ここである受信電極12
jにノイズが混入するとき、それと隣接する受信電極12
j+1にも、受信電極12
iと同相のノイズが混入する確率は高くなる。このような場合に、差動モードで動作させると、積分回路30a、30bに割り当てられる2つの受信電極12に同相で混入するコモンモードのノイズの影響を除去できるため、誤検出を防止できる。
【0065】
差動モードの別の動作例では、第1積分回路30aに対して、受信電極12
1〜mを時分割で順に割り当て、第2積分回路30bに対しては、受信電極12
1〜mとは別に設けられた基準電極(不図示)を割り当ててもよい。基準電極としてアンテナラインを用いてもよい。この場合でも、検出対象の受信電極12
jと基準電極とにコモンモードノイズが混入している場合、その影響を低減することができる。
【0066】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。