(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1〜
図8を用いて、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置の構成及び動作について説明する。
最初に、
図1を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置の全体構成を示すブロック図である。
【0023】
訓練室100には、模擬制御盤1,マイク等の音声入力部16A,スピーカ22Aが設置され、訓練を行う運転員2及び当直長13が配置される。
【0024】
インストラクタ室200は、訓練室100とは独立した空間である。インストラクタ室200には、インストラクタコンソール3,音声認識装置15及びスピーカ22Bが設置され、インストラクタ9が滞在する。訓練室100とインストラクタ室200とは隣接している。インストラクタ室200のインストラクタ9は、訓練室100の内部の運転員2及び当直長13の動作を確認できるが、訓練室100からは、インストラクタ室200の内部が見ることができないような鏡等で訓練室100とインストラクタ室200とは仕切られている。
【0025】
シミュレータ計算機10は、訓練室100やインストラクタ室200とは別の空間に配置されている。
【0026】
模擬制御盤1は、プラントの状態を把握するための計器,表示装置,警報等,及び運転操作を行う操作スイッチ等が設けられている。運転員2は、模擬制御盤1でプラントの状態を確認及び操作スイッチを操作する。当直長13は、運転員2の操作を監視する。音声入力部16Aは、運転員2等の発する音声をアナログ信号に変換して、後述の音声処理部12に入力する。
【0027】
インストラクタコンソール3は、キーボードやマウス等の入力装置を持つインストラクタ入力部4と、モニタ等で表示されるインストラクタ監視部5とで構成される。インストラクタ9は、スケジューリングの編集等、プラント運転訓練装置の操作を行う場合、インストラクタ入力部4から操作指令信号を入力する。インストラクタコンソール3は、後述のスケジューリング処理部6,声紋分析装置7及び運転訓練監視部8と接続されている。インストラクタ9は、インストラクタ監視部5により、プラント状態,訓練履歴,声紋分析結果及びスケジューリングの状況等を監視することができる。
【0028】
シミュレータ計算機10は、スケジューリング処理部6と、プラントシミュレーション部11と、運転訓練監視部8とから構成される。
【0029】
運転員2は、例えば、ガスタービンの起動から定格運転状態までの操作を訓練する場合、模擬制御盤1のスイッチを操作する。プラントシミュレーション部11は、模擬制御盤1からの操作信号S1に応じて、実プラントのプロセスや制御装置の特性を物理モデルに基づいてプラント状態をシミュレーションする。シミュレーションした結果であるプラント状態信号S2は、模擬制御盤1に伝送され、模擬制御盤1の計器,表示装置や警報などにリアルタイムで表示される。これにより、あたかも実プラントを運転しているように模擬制御盤からの操作,監視を行えるようになっている。また、プラント状態信号S2は、スケジューリング処理部6及び運転訓練監視部8に伝送される。
【0030】
スケジューリング処理部6は、スケジューリングに登録されているトリガ条件を判定する。運転員2の訓練には、通常のガスタービンの起動から定格運転状態までの操作の習熟だけでなく、突発的な事象が発生したときに適切な対応操作が行えるかどうかも含まれる。そのため、スケジューリング処理部に登録されているスケジューリングには、運転員2による運転操作の途中の適当なタイミングで突発的な事象が発生するようにしている。突発的な事象としては、例えば、タービンの軸ブレにより振動が発生したり、ガスタービンの回転数が異常に高回転になったり、ガスタービンの温度が高温になり過ぎたり等がある。これらの異常事象を発生するタイミングを判定するのがトリガ条件である。トリガ条件としては、運転員2の操作により予め指定した弁に対して開操作が行われた場合とか、ガスタービンの回転数が例えば500rpmになった場合とかがある。これらのトリガ条件が成立した場合、スケジューリング処理部6は、模擬信号S3をプラントシミュレーション部11及び音声処理部12に伝送する。模擬信号S3は、タービンの軸ブレにより振動が発生したという信号や、ガスタービンの回転数が異常に高回転になったという信号である。
【0031】
運転訓練監視部8は、運転訓練中の機器の動作(ポンプの起動停止,弁の開閉等),運転員2の操作,運転員2及び当直長13の音声等の履歴を記録する。運転訓練監視部8は、運転訓練中の機器の動作,運転員2の操作を、インストラクタコンソール3及びプリンタ14に伝送する。また、運転訓練監視部8は、運転員2及び当直長13の音声等の履歴を音声処理部12に伝送する。
【0032】
音声認識装置15は、音声処理部12と、マイク等の音声入力部16Bと、スケジューリング機能データベース17と、現場音響データベース18と、音声データベース19と、運転手順書データベース20とから構成される。
【0033】
スケジューリング機能データベース17は、スケジューリング機能の信号をデータベース化したものである。現場音響データベース18は、現場機器の駆動音をデータベース化したものである。音声データベース19は、インストラクタ9や当直長13の指示及び現場運転員の対応操作時の声紋をデータベース化したものである。運転手順書データベース20は、運転手順書をデータベース化したものである。
【0034】
音声入力部16Aは、当直長13及び運転員2からの音声信号S4を音声処理部12に伝送し、音声入力部16Bは、インストラクタ9からの音声信号S4を音声処理部12に伝送する。
【0035】
音声処理部12は、各データベース17,18,19,20を参照し、音声信号S4または模擬信号S3に対応する音声認識信号S5をスケジューリング処理部6、運転訓練監視部8、音声合成装置21、声紋分析装置7に伝送する。なお、音声処理部12による具体的な処理内容については、
図2以降を用いて詳述する。
【0036】
音声合成装置21は、音声認識信号S5から当直長13及び運転員2の音声を合成し、スピーカ22A,22Bに伝送する。
【0037】
声紋分析装置7は、音声認識信号S5を分析し、分析結果をインストラクタコンソール3に伝送する。
【0038】
次に、
図2を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第1の処理例について説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第1の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図2では、第1の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0039】
第1の処理例では、インストラクタの音声によりスケジューリングの実行するものである。
【0040】
インストラクタ9は、例えば、「スケジューリング実行」を声に出して発する。この音声は音声入力部16Bに入力され、音声入力部16Bは音声信号S4を音声処理部12に伝送する。音声信号S4は、インストラクタ9が発した「スケジューリング実行」をディジタル信号に変換したものである。音声処理部12は、スケジューリング機能データベース17を参照し、音声信号S4に対応するスケジューリング機能が存在する場合、「スケジューリング実行」の音声認識信号S5をスケジューリング処理部6に伝送する。スケジューリング処理部6では、「スケジューリング実行」の音声認識信号S5の入力により、スケジューリングを実行する。
【0041】
従来、スケジューリングを実行する際には、インストラクタ9がインストラクタコンソール3を操作する必要があった。「スケジューリング実行」に限らず、インストラクタがインストラクタコンソール3を用いて手動で操作を行うと、その間、運転員の監視ができない等、インストラクタの負担になっている。
【0042】
それに対して、本例では、インストラクタ9はインストラクタコンソール3を操作することなく、スケジューリングを実行することができる。
【0043】
また、インストラクタ9は「スケジューリング実行」以外にも、スケジューリング機能データベース17に登録されている機能である、「スケジューリング編集」、「トリガ設定」等を声に出して発することで、スケジューリングの編集も行うことができる。
【0044】
次に、
図3を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第2の処理例について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第2の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図3では、第2の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0045】
第2の処理例では、訓練中の現場対応操作時に、現場機器の駆動音を発生し、現場運転員の対応操作時の音声出力をするものである。
【0046】
インストラクタ9は、事前に、現場対応操作時に、運転員2の「現場機器の操作指令」により現場運転員の対応操作時の音声が発生し、また、現場機器動作時に駆動音が発生するスケジューリングを作成する。訓練時には、このスケジューリングが実行される。
【0047】
一般のプラント等では、制御盤を操作する運転員とは、別に、遠隔の地のプラントの現場に操作員が配置される。プラント現場の弁の開閉等の操作が必要になると、運転員は、ページング(通話装置)を用いて現場の操作員に連絡し、その指示に基づいて、操作員が現場の弁の開閉等を行っている。
【0048】
しかしながら、運転訓練装置を用いる場合、実際の現場であるプラントは実在しないため、通常は、運転員はページング(通話装置)を用いて、インストラクタに連絡し、インストラクタが現場の操作員の代役を務めている。この場合は、インストラクタの負担が大きくなっている。
【0049】
そこで、本例では、訓練中に、現場対応操作が必要になったとき、運転員2はページング(通話装置)を用いて「現場機器の操作指令」を声に出して発する。ここでは、「現場機器の操作指令」の一例として、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」の場合で説明する。
【0050】
運転員2の発した音声(「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」)は音声入力部16Aに入力される。音声入力部16Aは、その音声をディジタル信号に変換した音声信号S4を音声処理部12に伝送する。音声処理部12は、音声データベース19を参照し、音声信号S4に対応する音声認識信号S5(「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」)があると、音声認識信号S5として「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」をスケジューリング処理部6に伝送する。
【0051】
スケジューリング処理部6はスケジューリングの判定を行い、音声認識信号S5としての「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」がトリガ条件としてあると、トリガ条件が成立したとして、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」の模擬信号S3を音声処理部12に伝送する。音声処理部12は、音声データベース19を参照し、模擬信号S3に対応する音声認識信号S5の「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」を音声合成装置21に伝送する。音声合成装置21は、音声認識信号S5から「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」を合成し、スピーカ22A,22Bに出力する。
【0052】
これにより、従来は、ページング(通話装置)によりインストラクタが応答していた音声を、スピーカー22Aから自動的に出力されるため、インストラクタの負担を軽減できる。
【0053】
その後、運転員2は、模擬制御盤1を用いて、CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開の現場対応操作を行なう。スケジューリング処理部6は、前記同様にスケジューリング処理部で判定を行い、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」の模擬信号S3が音声処理部12に伝送される。音声処理部12は、現場音響データベース18を参照し、模擬信号S3に対応する音声認識信号S5の「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」を音声合成装置21に伝送する。音声合成装置21は、音声認識信号S5から現場駆動音(CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁が開駆動したような音:モータの駆動音や、弁がストッパに衝突したときの音)を合成し、スピーカ22A,22Bに出力する。
【0054】
このように、本例により、運転員2の音声による現場機器操作指令から現場機器の駆動音と現場運転員の対応操作時の音声を合成し、スピーカ22A,22Bを通して出力することが可能になる。
【0055】
また、事前にプラントプロセス変化時に当直長指示を発生させるスケジューリングを作成して実行することで、プラントプロセス変化時に当直長指示の音声を合成し、スピーカ22A,22Bを通して出力することも可能になる。
【0056】
次に、
図4を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第3の処理例について説明する。
図4は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第3の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図4では、第3の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0057】
第3の処理例では、訓練結果の事象をプリンタ14を通して出力し、報告書を作成する。訓練結果の事象とは、運転員によるスイッチ等の操作時の機器の動作や、圧力や水量等の警報がある。また、運転員2の操作をスピーカ22を通して出力する。
【0058】
運転訓練監視部8に記録されている訓練結果の事象及び運転員2の操作である訓練データS6は、運転訓練監視部8から音声処理部12に伝送される。音声処理部12は、訓練データS6に対応する音声認識信号S5を音声合成装置21に伝送し、プリンタ14に印刷指令信号S7を伝送する。音声合成装置21は、音声認識信号S5から運転員の操作時の発声(「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」等)を合成音声してスピーカ22に伝送する。プリンタ14は、印刷指令信号S7から、運転員によるスイッチ等の操作時の機器の動作や、圧力や水量等の警報を記載した報告書を印刷する。
【0059】
このように、本例により、訓練結果から事象及び運転員2の操作をスピーカ22を通して出力、並びにプリンタ14を通して出力し、報告書を作成することができる。
【0060】
また、リアルタイムで訓練結果を運転訓練監視部から音声処理部12に伝送するように設定することで、インストラクタ9はスピーカ22Bから訓練中の運転員2の操作を確認することができる。前述のように、訓練室100とインストラクタ室200とは別室であり、訓練室100における運転員2の発声を直接聞くこともできるが、両室の間に設けられた仕切りの影響もあり、はっきりと確認できない場合もある。そのような場合でも、運転員の発声をインストラクタ室200のスピーカ22Bか出力することで、インストラクタは運転員の操作内容を確認することができる。
【0061】
次に、
図5を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第4の処理例について説明する。
図5は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第4の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図5では、第4の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0062】
第4の処理例では、運転員の自主訓練時に、運転手順書に基づいた操作指令の音声を合成するようにしている。
【0063】
インストラクタ9は、事前に運転員の自主訓練用となる、運転手順の音声案内を行なうスケジューリングを作成する。運転員2は、このスケジューリングを実行する。
【0064】
スケジューリング処理部6は、スケジューリングの判定を行い、所定のトリガ条件が成立した場合、模擬信号S3を音声処理部12に伝送する。音声処理部12は、運転手順書データベース20を参照し、運転手順信号に対応した音声認識信号S5を音声合成装置21に伝送する。音声合成装置21は、音声認識信号S5から運転手順の音声を合成し、スピーカ22へ出力する。
【0065】
例えば、タービン軸回転数が所定の回転数になると、ある弁を開く場合、タービン軸回転が所定の回転数になったことをトリガ条件として、「○○弁開」のような音声認識信号S5を作成し、「○○弁開」という音声をスピーカから出力することで、運転員に次の手順のを指示することができる。
【0066】
このように、本例により、運転員2の自主訓練時に運転手順書に基づいた操作指令の音声を合成することができる。これにより、インストラクタがいない自主訓練時でも、運転員は運転手順書に基づいた操作を容易に行う事ができる。
【0067】
次に、
図6を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第5の処理例について説明する。
図6は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第5の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図6では、第5の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0068】
第5の処理例は、訓練中の運転員2の特定の音声をスケジューリング実行のトリガ条件に設定するものである。
【0069】
インストラクタ9は、スケジューリング編集機能を用いてスケジューリングの編集を実行する。
【0070】
音声データベース19に登録されている音声(例えば、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」)をトリガ条件として設定する場合、スケジューリング処理部6は、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」をトリガ条件として設定する旨のトリガ設定指令S8を音声処理部12に伝送する。音声処理部12は、音声データベース19を参照し、トリガ設定指令S8に対応する音声認識信号S5(例えば、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」)をスケジューリング処理部6に伝送する。スケジューリング処理部6は入力された音声認識信号S5をトリガ条件として設定する。
【0071】
このスケジューリングを実行すると、音声入力部16がトリガ条件に設定した音声(例えば、「CRD駆動水圧力調節弁バイパス弁開」)を認識し、音声処理部12に伝送することで、音声処理部12はトリガ条件に対応する音声認識信号S5をスケジューリング処理部6に伝送する。スケジューリング処理部6はトリガ条件を成立させ、スケジューリングが実行され、模擬信号S3をプラントシミュレーション部11に伝送する。
【0072】
このように、本例により、訓練中の運転員2の特定の音声をスケジューリング実行のトリガに設定することができる。
【0073】
次に、
図7を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第6の処理例について説明する。
図7は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第6の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図7では、第6の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0074】
第6の処理例は、訓練中に運転員2または当直長13が特定の音声を発した状態まで、プラント状態を復元するものである。
【0075】
音声処理部12は、音声データベース19を参照し、入力された音声信号S4に対応する音声認識信号S5を運転訓練監視部8に伝送する。運転訓練監視部8は、訓練中に入力された音声認識信号S5を記録している。
【0076】
訓練中にプラント状態を過去の状態まで復元が必要になったとき、インストラクタ9は、例えば「セットバック」、「運転員」、「原子炉水位低下」と発声する。インストラクタ9の音声は音声入力部16へ入力され、音声入力部16は音声信号S4を運転処理部12に伝送する。音声処理部12は、音声データベース19を参照して音声信号S4に対応する音声認識信号S5を運転訓練監視部8に伝送する。運転訓練監視部8は、音声認識信号S5から、運転員2が原子炉水位低下を発した音声認識信号S5を検索する。該当する音声認識信号S5が記録されている場合、運転訓練監視部8はセットバック要求信号S9をプラントシミュレーション部に伝送する。セットバック要求信号S9には時刻の情報が含まれており、プラントシミュレーション部11は、セットバック要求信号S9の時刻にセットバックを行ない、その時刻のプラントの状態に復元する。
【0077】
このように、本例により、訓練中に運転員2または当直長13が特定の音声を発した状態までのプラント状態復元を復元することができる。
【0078】
次に、
図8を用いて、本実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部12の第7の処理例について説明する。
図8は、本発明の一実施形態によるプラント運転訓練装置における音声処理部の第7の処理例に用いる構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一符号は同一部分を示し、
図8では、第7の処理例に必要な部分のみを図示している。
【0079】
第7の処理例は、訓練中に運転員2の音声から、運転員の緊張度を分析するものである。
【0080】
訓練中に運転員2が発した音声は、音声入力部16へ入力される。音声入力部16は、音声信号S4を音声処理部12に伝送する。音声処理部12は、入力された音声信号S4を声紋信号S10に変換して声紋分析装置7に伝送する。声紋分析装置7は、入力された声紋信号S10の分析を行う。声紋分析装置7は、例えば、運転員2が発した音声の周波数に着目して緊張度を判定する。例えば、通常の運転操作を行っているときの運転員の音声の周波数範囲を確認する。また、突発的な事象が発生したときの運転員の音声の周波数範囲を確認する。そして、両者を比較して、突発的な事象が発生したときの運転員の音声が高い場合には、運転員が緊張していると判定できる。また、その緊張の度合いを定量化することもできる。また、音声の周波数以外に、音声の速さから、速くなると緊張していると判定することもできる。分析結果は、インストラクタコンソール3に伝送する。インストラクタコンソール3は、分析結果を表示する。
【0081】
このように、本例により、訓練中に運転員2の音声から緊張度を分析することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態では、訓練中にインストラクタの音声によるスケジューリング実行指令からスケジューリングを実行させることが可能になる。
【0083】
また、スケジューリング作成時にインストラクタの音声によるスケジューリング編集指令からスケジューリングの編集を行えることが可能になる。
【0084】
さらに、訓練中の現場対応操作時に当直長の音声による現場機器操作指令から現場機器の駆動音と、現場運転員の対応操作時の音声を合成し、スピーカを通して出力することが可能になり、より臨場感のあるプラント運転訓練装置が得られる。
【0085】
また、訓練におけるプラントプロセス変化時に当直長指示の音声を合成し、スピーカを通して出力することが可能になる。
【0086】
さらに、訓練結果から事象及び運転員の操作をスピーカを通して出力、並びにプリンタを通して出力し、報告書を作成することが可能になる。
【0087】
さらに、運転員の自主訓練時に運転手順書に基づいた操作指令の音声を合成し、スピーカを通して出力することが可能になる。
【0088】
さらに、訓練中に運転員の操作をスピーカを通して出力することが可能になる。
【0089】
さらに、訓練中の運転員の特定の音声をスケジューリング実行のトリガとすることが可能になる。
【0090】
さらに、訓練中に運転員または当直長が特定の音声を発した状態まで、プラント状態を復元することが可能になる。
【0091】
さらに、訓練中に運転員の音声から緊張度を分析することが可能となり、訓練効果の向上を図ることができる。
【0092】
以上のようにして、本実施形態によれば、インストラクタの負担を軽減できるものとなる。