【実施例1】
【0023】
本発明に係る高圧蒸気滅菌器MKは、主として病院等に設置して医療用器具等の被滅菌
物を高圧蒸気下で滅菌するためのものであり、その代表的なものとして、
図1及び
図2に
示すように、前面開口2を形成した円筒状のチャンバー4を備え、この前面開口2を蓋7
によって開閉自在に閉塞する横型形態の小型の高圧蒸気滅菌器MKである。以下、本発明
に係る横型形態の小型の高圧蒸気滅菌器MKの実施例を図に基づき説明する。
【0024】
1は高圧蒸気滅菌器MKの滅菌器本体であり、内部に医療用器具等の被滅菌物を載せる
棚6を備えた前面開口2を形成した円筒状の横型チャンバー4を収納配置している。チャ
ンバー4の前面開口2は、滅菌器本体1の左右いずれか一方側(
図1及び
図2では左側)
に設けたヒンジ機構の蓋支持部5にて回動可能に軸支持された蓋7で密閉される。このた
め、蓋7の裏側には、蓋7が正規状態に閉じられた状態で、チャンバー4の前面開口2の
周縁部に圧縮状態で密着する環状パッキン8を備えている。
【0025】
ここで、本発明の小型の高圧蒸気滅菌器MKの蓋7の構成を記載する。前面開口2に対
して蓋支持部5の反対側(
図1及び
図2では右側)の中間部には、滅菌器本体1の前面板
1Aの表側に本体側ロック部材19が突出状態に設けられている。蓋7には、本体側ロッ
ク部材19に対応する位置にロック装置20が設けられている。ロック装置20は、本体
側ロック部材19が蓋7の裏板7Aに形成した通口7Bを通して進入する蓋側ロック部材
21を備えており、蓋側ロック部材21は、蓋7の前面に設けた取っ手9によって本体側
ロック部材19内に進入したロック状態と、本体側ロック部材19外へ退出したロック解
除状態へ操作される構成である。ロック装置20の構成及び動作については後述する。
【0026】
蓋7は、蓋7の外観を構成する外観ケース7Sと、チャンバー4の前面開口2を塞ぐよ
うに環状パッキン8を取付けた円形状の内蓋7Uで構成される。蓋7は、
図11〜13に
示すように、正面視で左端部が蓋支持部5にて滅菌器本体1に回動可能に支持された金属
製の剛性体で構成された上下2本の蓋基材7Cを備え、この上下2本の蓋基材7Cを覆う
ように、この上下2本の蓋基材7Cの前面側に外観ケース7Sが取付けられている。また
、この上下2本の蓋基材7Cの中間部には蓋基材7Cを上下に貫通して支持軸7Dが取り
付けられている。内蓋7Uの前面側には上下2本の蓋基材7C間に進入した内蓋支持体7
Fがネジにて取り付けられ、内蓋支持体7Fの孔7F1を支持軸7Dが貫通して、内蓋7
Uが蓋基材7Cに支持されている。
【0027】
後述のように、滅菌動作中は、環状パッキン8がチャンバー4の前面開口2に密着した
状態を保持するように、ロック装置20によって蓋7、特に環状パッキン8を取り付けた
内蓋7Uを保持する構成である。このため、蓋側ロック部材21は、上記の上下2本の蓋
基材7Cの右端部によって構成されており、本体側ロック部材19の進入路を外れた位置
において、蓋側ロック部材21に上下方向、即ち上下2本の蓋基材7Cに垂直状態にガイ
ド棒26A、26Bが取り付けられている。
【0028】
上下の蓋基材7Cを前面側から取り囲むように、支持軸7Dの上下端部には調整板7E
が取付けられている。内蓋支持体7Fの前面側には調整ネジ7Gが回転可能に螺合してお
り、調整ネジ7Gの頭部の大径部7G1が調整板7Eの裏側に当接し、調整ネジ7Gの頭
部の小径部7G2が調整板7Eを貫通状態である。調整ネジ7Gの頭部の小径部7G2は
、外観ケース7Sに形成した孔7Hに対応しており、孔7Hから小径部7G2に差し込ん
だ操作レンチによって調整ネジ7Gを回転させることができる。
【0029】
内蓋支持体7Fの孔7F1は、前後方向に若干の長円形状をなしており、このため、上
記のように操作レンチによって調整ネジ7Gを回転させることにより、孔7F1の前後の
範囲内で上下2本の蓋基材7Cに対して内蓋7Uを前後移動することができ、蓋7がロッ
ク装置20によってロックされた状態での環状パッキン8が、チャンバー4の前面開口2
に密着した良好な状態に調整できる構成である。
【0030】
滅菌器本体1の前面部の蓋7の一側方(図では右側)に配置した操作パネル3には、図
3に示すように、高圧蒸気滅菌器MKの動作条件や動作モードを設定する設定部31と、
動作条件や動作モードを表示する表示部32と、電源スイッチSW等を配置している。設
定部31には、時刻設定部31A、予約設定部31B、滅菌温度設定部31C、滅菌時間
設定部31D、乾燥時間設定部31E、スタートキー(またはスタートボタンと称し、ス
タートスイッチの操作部である)39、ストップキー40、温度や時間や時刻の設定値の
アップダウン部31G、完了予定キー41等を配置している。表示部32は、温度や時刻
等の表示部32Aと、圧力計32Bと、プロセス表示部32C、蓋7のロック状態表示部
32D等を備えている。
【0031】
閉蓋検出スイッチ10と、それを作動する構成について説明する。
図2に示すように、
閉蓋検出スイッチ10は、開口2に対して蓋支持部5の反対側(
図1及び
図2では右側)
の上部に配置され、滅菌器本体1の前面板1Aの裏側に取り付けられている。閉蓋検出ス
イッチ10は、
図4等に示すように、閉蓋検出スイッチ10のケース10Aの内部に備え
た接点を開閉するためにケース10Aから突出する方向へバネ付勢されたアクチュエータ
11と、アクチュエータ11を作動するためにケース10Aに支点部12Aが支持された
バネ性作動レバー12を備えている。バネ性作動レバー12は、板状バネ材で構成されて
おり、第2付勢バネを構成する。
【0032】
また、バネ性作動レバー12によって前方へ向かって付勢されるように、滅菌器本体1
の前面板1Aを貫通状態に取り付けた筒状の支持体14内に前後方向にスライド可能にス
ライドピース13が設けられている。スライドピース13の後部には、支持体14の後部
のストッパー部14Aに係止する係止部13Aが形成されており、スライドピース13は
、その後端部13Pがバネ性作動レバー12に当接して前方へ付勢されるとき、ストッパ
ー部14Aに係止部13Aが当接したとき、滅菌器本体1の前面板1Aから前方へ突出す
る最大長さが制限される。
図4は蓋7が開口2を開いている状態であり、スライドピース
13が前面板1Aから前方へ突出する長さが、最大の状態を示している。
【0033】
蓋7には、スライドピース13に対応する位置に、コイル状の第1付勢バネ16によっ
て蓋7の裏側方向へ突出状態に付勢されるように、蓋7の外観ケース7Sの一部をなす裏
板7Aに取り付けた筒状の支持体17内に前後方向にスライド可能に作動部15が設けら
れている。このため、作動部15は外観ケース7Sの裏板7Aに保持された状態であり、
コイル状の第1付勢バネ16は、作動部15内に収容されていて、その先端は作動部15
の先端壁に当接し、後端は支持体17と一体形成または別体形成の保持部18によって支
持された状態であり、若干圧縮された状態で作動部15内に収容されている。作動部15
の後部には、支持体17の後部のストッパー部17Aに係止する係止部15Aが形成され
ており、作動部15は、第1付勢バネ16によって蓋7の裏側方向へ付勢されるとき、ス
トッパー部17Aに係止部15Aが当接したとき、蓋7の裏板7Aから後方へ突出する最
大長さが制限される。
図4は蓋7が開口2を開いている状態であり、まだ第1付勢バネ1
6もバネ性作動レバー12も初期状態である。即ち、上記のように、第1付勢バネ16は
若干圧縮された状態で作動部15内に収容されているため、作動部15が蓋7の裏板7A
から後方へ最大長さで突出しており、バネ性作動レバー12によってスライドピース13
が前方へ押されて、スライドピース13が前面板1Aから前方へ最大長さで突出している
。
【0034】
上記の構成において、第1付勢バネ16のバネ力は、第2付勢バネであるバネ性作動レ
バー12のバネ力よりも若干大きく設定されている。蓋7が開口2を開いている状態では
、
図4(イ)(ロ)に示すように、作動部15は第1付勢バネ16により最大の突出状態
であり、スライドピース13はバネ性作動レバー12により最大の突出状態である。この
状態では閉蓋検出スイッチ10はその接点が開いたOFF状態である。この状態から開口
2を閉じるように蓋7を閉めて行くことにより、
図5に示すように作動部15の先端がス
ライドピース13の先端に最初に接する。この状態ではまだ第1付勢バネ16もバネ性作
動レバー12も初期状態であり、この状態では閉蓋検出スイッチ10はその接点が開いた
OFF状態である。この状態から更に蓋7を閉めて行くことにより、
図6に示すように蓋
7が開口2を正規の閉止状態に至る途中の状態に至る。この状態では、第1付勢バネ16
にて付勢されている作動部15の先端がスライドピース13の先端を押しつつ、作動部1
5がスライドピース13を介してバネ性作動レバー12を押し圧にて後方へ押し、スライ
ドピース13を後退させる。
【0035】
図6の状態から更に蓋7を閉めて行くことにより、作動部15の先端がスライドピース
13の先端を押しつつ、作動部15がスライドピース13を介してバネ性作動レバー12
を押し圧にて更に後方へ押し、スライドピース13を更に後退させ、バネ性作動レバー1
2がアクチュエータ11を最も押し込んだ状態に達する。この状態では、スライドピース
13を介して作動部15を後退させる作用が働くことにより、第1付勢バネ16がそれに
よって押し圧にて圧縮される。この状態を
図7に示す。この状態は蓋7が開口2を正規の
閉止状態に閉じた正規閉蓋状態であり、この正規閉蓋状態では、環状パッキン8は、チャ
ンバー4の前面開口2の周縁部に強く当接して正規の圧縮状態で密着し、チャンバー4を
蓋7によって閉じた正規閉蓋状態である。この状態で閉蓋検出スイッチ10はその接点が
閉じたON状態となる。
【0036】
閉蓋検出スイッチ10は、市販されている通常の構成であり、外力によってバネ性作動
レバー12が押されることによってアクチュエータ11を押し込みつつ接点がOFF状態
からON状態になる時点と、バネ性作動レバー12を押す外力を解除しつつアクチュエー
タ11がバネ付勢にて復帰することによりON状態からOFF状態になる時点が異なる動
作をする、所謂ディファレンシャルが存在するのが一般的構成である。
【0037】
このため、閉蓋検出スイッチ10は、蓋7を閉めて行く場合は、チャンバー4の前面開
口2を正規閉蓋状態に閉じるまでは、その接点が開いたOFF状態であるが、
図7に示す
ように正規閉蓋状態になったとき、その接点が閉じたON状態となる。そして、この正規
閉蓋状態から蓋7を開いて行く場合は、所定の開状態までは、その接点が閉じたON状態
のままであり、この所定の開状態を超えて更に開いたとき、その接点が開いたOFF状態
となる。
【0038】
開口2に対して蓋支持部5の反対側(
図1及び
図2では右側)の中間位置には、滅菌器
本体1の前面板1Aの表側に本体側ロック部材19が突出状態に設けられている。蓋7に
は、本体側ロック部材19に対応する位置にロック装置20が設けられている。ロック装
置20は、本体側ロック部材19が蓋7の裏板7Aに形成した通口7Bを通して進入する
蓋側ロック部材21と、ロック棒22と、スイッチ作動体23を備えている。ロック装置
20は蓋7の前面に設けた取っ手9によってロック状態への操作と、ロック解除状態への
操作が可能となる構成である。
【0039】
蓋側ロック部材21は、上記の上下2本の蓋基材7Cの右端部によって構成されており
、蓋側ロック部材21に上下方向、即ち、本体側ロック部材19の進入路の左右両側位置
で、上下2本の蓋基材7Cに垂直状態にガイド棒26A、26Bが取り付けられている。
そして、ガイド棒26A、26Bにはコ字形の支持板25の上下辺25A、25Bが上下
スライド可能に挿通され、支持板25の上辺25Aには下方へ垂下するようにロック棒2
2が取り付けられている。また、支持板25の下辺25Bにはスイッチ作動体23が下方
へ延びた状態に取付けられている。支持板25は取っ手9に固定されており、これによっ
て、取っ手9の上下動に伴ってガイド棒26A、26Bに案内されて支持板25と共にロ
ック棒22及び作動体23が上下動する。
【0040】
ロック装置20のロック棒22及び支持板25は、取っ手9を上昇させることに伴って
ガイド棒26A、26Bを案内として上昇し、その状態で蓋7を閉めることにより、ロッ
ク棒22と一体に作動する作動体23が、滅菌器本体1の前面板1Aの縦方向の長孔1B
を貫通して滅菌器本体1内に進入した状態となる。これと共に、
図8に示すように蓋側ロ
ック部材21に本体側ロック部材19が進入する状態となる。この状態で取っ手9を下降
させることに伴って、ロック棒22及び支持板25はガイド棒26A、26Bを案内とし
て下降し、ロック棒22が本体側ロック部材19と蓋側ロック部材21の孔に進入してロ
ック状態(ロック位置)となる。この状態が、蓋7が正規閉蓋状態に閉じられた状態であ
り、蓋7によって閉蓋検出スイッチ10がON状態になると共に、作動体23によってロ
ック検出スイッチ24がON状態となる(
図9に示す)。
【0041】
なお、このロック位置から取っ手9を上昇させることによってロック棒22が本体側ロ
ック部材19と蓋側ロック部材21の孔から上方へ脱出して、非ロック位置となる。
【0042】
インターロック機構30は、
図8乃至
図10に示すように滅菌器本体1の前面板1Aの
裏側に設けたソレノイド32と、アクチュエータ33と、コイルバネ34を備えている。
板状のインターロック解除部材38は、後述のように手動にてインターロック状態を解除
するためのものであり、滅菌器本体1の前面板1Aの裏側で固定部材に軸支持部36に回
動可能に支持されており、付勢バネ37または重量バランスによって
図10のように垂直
状態に保たれている。このソレノイド32への非通電状態ではコイルバネ34によってア
クチュエータ33が作動体23の上方に進出し、作動体23の上昇(復帰)を阻止してロ
ック装置20が蓋7をロック状態に維持するロック維持状態(インターロック状態)とな
り、この状態でインターロック検出スイッチ35のバネ性作動レバー35Aを押すため、
インターロック検出スイッチ35がON作動する。また、ソレノイド32への通電にてコ
イルバネ34を圧縮するようにアクチュエータ33が作動し、作動体23の移動通路(作
動体23が上下動する移動通路)から退避し、作動体23の上昇(復帰)を許可して前記
ロック維持状態を解除する非ロック維持位置となり、インターロック検出スイッチ35が
OFF状態に作動する。
【0043】
チャンバー4内に被滅菌物を収納し、蓋7を閉じて蓋7がチャンバー4の前面開口2を
密閉した状態において、高圧蒸気滅菌器MKを運転して、チャンバー4内を高温高圧状態
とし、被滅菌物の滅菌が行なわれる。この被滅菌物の一連の滅菌動作について述べること
とする。滅菌動作の操作に際しては、先ず、電源スイッチSWをオン(ON)操作するこ
とにより、スタンバイ状態となる。この状態でインターロック機構30のソレノイド32
は通電され励磁状態となり、アクチュエータ33は、バネ34に抗して作動体23の移動
通路(上下方向通路)から外れるように
図10に示す矢印Y方向へ退避し、非インターロ
ック位置となる。
【0044】
蓋7を開いて開口2よりチャンバー4内にヒータ6Aを覆う棚6を構成するヒータカバ
ー6の上などに被滅菌物をセットし、蓋7を閉じる。この状態を保持するために、上記の
ように、蓋7の取っ手9を操作してロック装置20によって蓋7をロック状態(ロック位
置)とする。この状態で、上記のように蓋7が閉じたことは閉蓋検出スイッチ10のON
動作によって検出され、ロック装置20によって蓋7がロックされた状態は、作動体23
によってロック検出スイッチ24がON状態となることによって検出される。
【0045】
このような動作によって達成される閉蓋検出スイッチ10のON状態とロック検出スイ
ッチ24のON状態のアンド(乗算動作)により、高圧蒸気滅菌器MKが運転開始可能状
態となる。この状態において、操作パネル3の表示部32を確認しつつ設定部31によっ
て所期の設定を行なう。このような操作によって、スタンバイ状態での準備が終わる。こ
の準備が終わったスタンバイ状態で、スタートキー39のオン(ON)操作に基づき制御
部の動作によって、ロック装置20による蓋7のロック状態を維持するようにインターロ
ック機構30が動作する。
【0046】
即ち、スタートキー39のオン(ON)操作に基づきインターロック機構30のソレノ
イド32は非通電となって非励磁状態となり、
図10に示すように、アクチュエータ33
はバネ34によって矢印Y方向とは反対方向へ突出し、作動体23の真上となるように移
動通路(上下方向通路)へ突出する。このため、取っ手9を上方へ操作しても作動体23
が上方へ移動できず、蓋7のロック状態が維持されたインターロック状態を維持する。そ
して、この状態でアクチュエータ33の先端がインターロック検出スイッチ35のバネ性
作動レバー35Aを押すため、インターロック検出スイッチ35をON作動する。この状
態によって蓋7のロック状態表示部32Dが発光すると共に、所期の滅菌モード(所期の
滅菌動作)が開始する。
【0047】
所期の滅菌モード(所期の滅菌動作)が開始することにより、チャンバー4内に所定量
の水が注入され、その水がチャンバー4内底部に配置したヒータ6Aにより加熱蒸発し、
チャンバー4内を所定温度に維持しつつ、被滅菌物の滅菌工程が制御部(図示せず)の動
作によって所定時間行なわれ、滅菌工程の終了後、チャンバー4内の排気乾燥工程を経て
、所期の滅菌モード(所期の滅菌動作)が終了する。
【0048】
制御部(図示せず)の動作によって所期の滅菌モード(所期の滅菌動作)が終了したと
き、インターロック機構30のソレノイド32は通電され励磁状態となり、アクチュエー
タ33は、バネ34に抗して作動体23の移動通路(上下方向通路)から外れるように図
10に示す矢印Y方向へ退避して非インターロック位置となる。このようにインターロッ
ク機構30によるインターロック状態が解除された状態で、取っ手9を上方へ引き上げる
操作によって、取っ手9と共にロック棒22が本体側ロック部材19と蓋側ロック部材2
1の孔から上方へ脱出して、非ロック位置となる。この状態で取っ手9を引いて蓋7を開
くことができ、被滅菌物を取り出すことができる。
【0049】
上記では、ロック装置20のロック棒22及び支持板25の上下動は、取っ手96の操
作に伴う手動式であるが、蓋7を閉じたときに閉蓋検出スイッチ10がON作動すること
によってソレノイドに通電し、それによってロック棒22及び支持板25が下降し、この
ソレノイドの非通電によってロック棒22及び支持板25が上昇する構成とするソレノイ
ド方式とすることも可能である。
【0050】
上記のように、滅菌モードが開始して行われる所期の滅菌モード(所期の滅菌動作)の
動作中はインターロック状態であるが、この状態において停電した場合は、インターロッ
ク機構30のソレノイド32は非通電状態となる。ソレノイド32の非通電によって、図
10に示すようにアクチュエータ33が作動体23の上昇を阻止し、蓋7が開くことを阻
止するインターロック状態を維持した状態であり、取っ手9を引いても蓋7を開くことが
できない。このため、チャンバー4内の高圧蒸気が漏れ出すことはなく安全である。
【0051】
このインターロック状態を強制的に手動解除するためには、特別な工具50を挿入孔5
1へ差し込むことにより、手動にて強制的にコイルバネ34に抗してインターロック解除
部材38を
図10で反時計回りに回動させ、アクチュエータ33が作動体23の真上位置
から外れるように、
図10で示す矢印Yのように左方へ移動させ退避させれば、インター
ロックが解除される。このインターロックの解除によって、取っ手9を上方へ引き上げる
操作によって、取っ手9と共にロック棒22が本体側ロック部材19と蓋側ロック部材2
1の孔から上方へ脱出して、非ロック位置となる。この状態で取っ手9を引いて蓋7を開
くことができ、被滅菌物を取り出すことができる。
【0052】
次に、蓋7がロック装置20にて閉じた正規閉蓋状態において、蓋7が開かれる方向へ
故意に引っ張られて、蓋7が撓んだ場合について説明する。蓋7は、ロック状態において
引っ張っても撓まないようにするためには、縦横斜めに剛性体の蓋基材7Cを設ければよ
いが、それではコストアップとなり好ましくない。本発明では、ロック状態においてチャ
ンバー4の前面開口2が環状パッキン8によって密着された状態を維持しつつ、蓋7の一
部が引っ張られたときの閉蓋検出スイッチ10のOFF動作に許容範囲を持たせるように
して、蓋7全体が変形しない剛性体構造とするのではなく、簡易な構成とすることに適し
たものとして低コスト化と、蓋7の撓みによる閉蓋検出スイッチ10のOFF動作を吸収
して滅菌動作の継続を達成できるものとする。
【0053】
ロック装置20にて閉じた正規閉蓋状態において、蓋7を引っ張っても、内蓋7Uは剛
性体の蓋基材7Cに支持されているため、環状パッキン8がチャンバー4の前面開口2に
密着した状態を保持している。しかし、蓋7の外観を構成する外観ケース7Sを引っ張っ
た場合は、外観ケース7Sはその方向へ撓む状態となる。この場合、蓋7は上記構成であ
るため、外観ケース7Sは蓋支持部5側よりも蓋支持部5から遠い側を引っ張ることによ
る撓みが大きい。滅菌動作中にこのような外観ケース7Sの閉蓋検出スイッチ10に近い
部分が故意に引っ張られて外観ケース7Sが撓んだ場合について説明する。
【0054】
図7に示すように、蓋7が開口2を正規の閉止状態に閉じた正規閉蓋状態において、蓋
7の閉蓋検出スイッチ10に近い部分が故意に引っ張られて外観ケース7Sが撓んだ場合
、外観ケース7Sが正規の閉じた位置から所定寸法移動する位置まで、第1付勢バネ16
のバネ力が第2付勢バネを構成するバネ性作動レバー12のバネ力に勝ることによって、
作動部15がスライドピース13を後退させるように押した状態を維持しつつ、閉蓋検出
スイッチ10がON状態を保つ。
【0055】
上記のように、正規閉蓋状態では、作動部15とスライドピース13が相互に押し合っ
て、第1付勢バネ16が押し圧にて圧縮されており、且つバネ性作動レバー12が押し圧
にて後方へ押された状態であり、これが
図7の状態である。この正規閉蓋の位置から外観
ケース7Sが滅菌器本体1に対して離れる方向へ引っ張られたときの撓みによって、外観
ケース7Sと共に作動部15が移動し、第1の所定寸法移動するまで、即ち、実施例では
、外観ケース7Sが(正確には外観ケース7Sの作動部15付近であり、以下同様)正規
閉蓋位置から第1の所定寸法と定めた8.4mm移動するまでは、閉蓋検出スイッチ10
がON状態に保たれる。具体的には、蓋7の正規閉蓋状態から外観ケース7Sが8.4m
m移動した状態では、
図6に示すように、作動部15は第1付勢バネ16が伸長した状態
であって、ストッパー部17Aに係止部15Aが当接し、作動部15は最大突出状態であ
る。一方、蓋7の正規閉蓋状態から外観ケース7Sが8.4mm前方へ移動するに従って
、作動部15がスライドピース13を後方へ押す作用力が減少し、蓋7の正規閉蓋状態か
ら外観ケース7Sが8.4mm移動した時点で、
図6に示すようにスライドピース13が
蓋7側へ突出するように、バネ性作動レバー12が3.2mm戻った状態であり、閉蓋検
出スイッチ10がON状態に保たれている。
【0056】
因みに、蓋7の正規閉蓋状態から外観ケース7Sが8.4mm移動するまでの途中の動
作状態としては、例えば、外観ケース7Sが、蓋7の正規閉蓋状態から開く方向へ第2の
所定寸法(実施例では5.2mm)移動するまでは、スライドピース13が
図7に示すよ
うにバネ性作動レバー12が最大押された状態を維持するように、外観ケース7Sの移動
に伴う第1付勢バネ16の伸張によって、作動部15は、スライドピース13と当接状態
を維持したまま、裏板7Aからの突出が
図7の状態よりも5.2mm大きくなるように動
作する。即ち、蓋7が開口2を正規の閉じた正規閉蓋状態から、外観ケース7Sが滅菌器
本体1に対して離れる方向へ第2の所定寸法(実施例の5.2mm)移動するまでは、ス
ライドピース13及びバネ性作動レバー12が最大押された状態のまま閉蓋検出スイッチ
10はON状態を維持するように、第1付勢バネ16の伸張を伴って、作動部15はスラ
イドピース13と当接状態を維持しつつ、裏板7Aからの突出が5.2mm大きくなる。
【0057】
上記のように、第1付勢バネ16のバネ力が第2付勢バネを構成するバネ性作動レバー
12のバネ力に勝ることによって、正規閉蓋の位置から外観ケース7Sが滅菌器本体1に
対して離れる方向へ第2の所定寸法(実施例の5.2mm)移動するまで、作動部15が
スライドピース13を後退させるように押した状態を維持しつつ、閉蓋検出スイッチ10
がON状態を保つ状態を維持する。この場合、第2の所定寸法(実施例の5.2mm)を
超えて第1の所定寸法(実施例の8.4mm)に移動するまでは、第1付勢バネ16の伸
張によって最大突出状態へ向けて押される作動部15によって、スライドピース13及び
バネ性作動レバー12が押された状態を維持し、閉蓋検出スイッチ10がON状態を保つ
状態を維持する。このため、外観ケース7Sが正規閉蓋の位置から第1の所定寸法(実施
例の8.4mm)に移動するまでは、閉蓋検出スイッチ10がON状態を保ち滅菌動作を
維持する。
【0058】
もし、蓋7が第1の所定寸法(実施例の8.4mm)を超えて移動した場合、
図5に示
すように、作動部15は第1付勢バネ16の伸張によってストッパー部17Aに係止部1
5Aが当接した最大突出状態となり、一方のスライドピース13はバネ性作動レバー12
のバネ力によって、ストッパー部14Aに係止部13Aが当接した最大突出状態となる。
更に蓋7が開くように移動したときは、
図4に示す状態となる。このように、第1の所定
寸法(実施例の8.4mm)に移動するまでは、閉蓋検出スイッチ10がON状態を保ち
滅菌動作を維持するが、蓋7が第1の所定寸法(実施例の8.4mm)を超えて移動した
場合は、閉蓋検出スイッチ10がOFF状態となり、制御部(図示せず)の動作によって
滅菌動作が停止する。
【0059】
このように、外観ケース7Sが第1の所定寸法(実施例の8.4mm)に移動するまで
は、閉蓋検出スイッチ10がON状態を保つため、制御部によって滅菌動作は維持される
。このため、この第1の所定寸法(実施例の8.4mm)は、外観ケース7Sがこの寸法
まで引っ張られて撓んでも滅菌動作を保持できるという範囲であるため、この範囲までは
滅菌動作が保持できることとなり、外観ケース7Sが引っ張られたとき、直ちに滅菌動作
が終了することはなく、不要に滅菌動作が停止することを防止できる効果がある。
【0060】
上記のように、実施例では第1の所定寸法を8.4mmに設定したが、外観ケース7S
が引っ張られる移動距離が、滅菌動作が維持される範囲内に、第1の所定寸法を設定すれ
ば、実施例に限定されない。
【0061】
上記実施例では、閉蓋検出スイッチ10のバネ性作動レバー12が第2付勢バネを構成
するが、バネ性作動レバー12を備えない閉蓋検出スイッチ10の場合は、スライドピー
ス13が蓋7に向けて突出するように付勢するために、スライドピース13内に第1付勢
バネ16と同様にコイル状の第2付勢バネを設け、上記同様の動作をするように、第1付
勢バネ16のバネ力がこのコイル状の第2付勢バネのバネ力に勝る構成とすることにより
、本発明を達成できる。また、接点を開閉するためのアクチュエータ11がケース10A
内に設けたバネによって突出状態に付勢される構成であれば、アクチュエータ11がスラ
イドピース13を押す構成とし、第1付勢バネ16のバネ力がこのバネ力に勝る構成とす
ることにより、本発明を達成できる。