(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723811
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】電気自動車の充電装置及び充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20150507BHJP
H02J 7/02 20060101ALI20150507BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150507BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150507BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/02 F
B60L11/18 C
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-55418(P2012-55418)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-192310(P2013-192310A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】599160000
【氏名又は名称】株式会社トライネット
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】畔津 明仁
【審査官】
田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−247090(JP,A)
【文献】
特開2012−19602(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/118187(WO,A1)
【文献】
特開2011−239559(JP,A)
【文献】
特開2010−239714(JP,A)
【文献】
特開2011−36096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載された車両バッテリに電力を充電させる充電装置で且つ、同一エリア内に設置された隣り合う同一構成の他の充電装置との間で相互に電力を供給可能に前記他の充電装置と電力ケーブルを介して接続される充電装置であって、
電力系統からの電力を蓄電すると共に蓄電された電力を放電させて前記車両バッテリを充電する内蔵2次電池と、
前記内蔵2次電池と電動車充電用コネクタとの間の第1電路を開閉すると共に、前記他の充電装置の内蔵2次電池と前記電動車充電用コネクタとの間の第2電路を開閉する電路開閉手段と、
前記電気自動車側の指令に従って急速充電を開始する際に、自己の充電装置の内蔵2次電池に必要な残量が無いと判定した場合に前記電路開閉手段を駆動して前記第1電路を断路状態にすると共に前記第2電路を接続状態にし、前記他の充電装置の内蔵2次電池から前記電動車充電用コネクタを介して前記車両バッテリを急速充電する制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記他の充電装置との間で情報通信が可能な通信手段を有し、前記制御手段は、前記他の充電装置からその充電装置の内蔵2次電池の残量を前記通信手段を通じて受信すると共に、受信した前記残量が前記急速充電に必要な残量以上有ると判定した場合に前記他の充電装置の内蔵2次電池から前記車両バッテリを急速充電することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受信した前記残量が前記急速充電に必要な残量以上無いと判定した場合には、前記急速充電から普通充電に自動的に切替えて前記車両バッテリを普通充電で充電することを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記他の充電装置は、自己の充電装置に隣接する1又は2台の充電装置である請求項1乃至3のいずれかに記載の充電装置。
【請求項5】
前記内蔵2次電池は、一回のみの急速充電が可能な程度の少容量の蓄電池である請求項1乃至4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
前記電路開閉手段としての開閉スイッチと前記制御手段としてのスイッチ駆動回路を有する開閉制御回路を備え、且つ、前記開閉スイッチは、自己の充電装置の内蔵2次電池と前記開閉制御回路との間の電路を開閉する第1スイッチと、自己の充電装置に隣接する前記他の充電装置の一方と自己の充電装置との間の電路を開閉する第2スイッチと、前記開閉制御回路と前記電動車充電用コネクタとの間の電路を開閉する第3スイッチと、自己の充電装置に隣接する前記他の充電装置の他方と自己の充電装置との間の電路を開閉する第4スイッチとから構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の充電装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の前記充電装置を2台以上備え、前記同一エリア内で隣り合う充電装置同士が1本の前記電力ケーブルによって増設可能に接続されてなることを特徴とする充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載された車両バッテリに電力を充電させる充電装置に関し、特に、民間の有料駐車場、ショッピングモールなどの集客施設、あるいは集合住宅に設けられた駐車場など、複数台の電気自動車を充電対象とした充電システムに好適に適用できる充電装置及び充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の充電は、比較的小電流で長時間行う中速充電(普通充電とも言う)と、大電流で短時間行う急速充電とに分けることができる。
【0003】
その充電方法としては例えばJEVS-G-101〜105(日本電動車両協会規格が定めた規格)あるいはSAE-J1772(米国自動車技術協会が定めたEV/PHEV(電気自動車/プラグインハイブリッド自動車)充電用コネクタに関する規格)などの規格に準じたものが採用されている。
【0004】
急速充電は、出先で電池容量が少なくなった場合などに必要で、短時間ではあっても数[kw]から数10[kw]の電力が必要となる。これを電力系統から得ようとすると大規模な電力が必要となるため、従来技術ではいったん2次電池に電力を蓄電し、急速充電が必要な場合には2次電池から電力を供給することが行われている。この例を
図6に示す。
【0005】
図6に例示するように、急速充電が可能な従来の充電スタンドは、例えば、2次電池充電回路51と大容量2次電池52とを備えた大規模な電池設備と、その大容量2次電池52の出力に接続された複数の充電器53とから構成されている。そして、2次電池充電回路51を通じて電力系統からの電力を大容量2次電池52に蓄電し、その大容量2次電池52の充電電力を放電させ、各々の充電器53を通じて各電気自動車20の車両バッテリを同時に急速充電し得る構成としている。
【0006】
この例のように、急速充電機能を有する充電スタンドの場合、十分な容量の2次電池を設置しようとすると大きな2次電池設置場所が必要であり、急速充電の割合が高い専用充電スタンドには適しているものの、民間駐車場や集客施設には不適切となる。
【0007】
これを改善するため、個別の充電装置ごとに2次電池を設ける方法もある。この例を
図7に示す。
図7に例示される充電器は、2次電池充電回路51Aと小容量2次電池52Aと変換器53Aとで構成されており、充電器内の小容量2次電池52Aを放電させて電気自動車の車両バッテリを充電する構成としている。
【0008】
図7の例では、大きな2次電池の設置場所が不要となる反面、2次電池容量が制限されるため、1回の急速充電を行ったあと、回復までに時間が必要で、連続使用が困難となるという欠点がある。
【0009】
従来技術の別例として
図8に示すものがある(特許文献1の
図1参照)。
図8に例示される充電スタンドは、蓄電器用充電器21及び外部電源側接続器22と複数の蓄電器23及び車両側接続器25と車両用充電器26と各機器の動作を制御する充電制御ユニット28とを備え、例えば、充電制御ユニット28による車両側接続器25内のリレーの開閉動作を制御することで、各充電器(蓄電器23)と各電気自動車20に接続される充電器コネクタ3A−3Cとを任意の組合せで接続し得る構成としている。そして、車両バッテリを充電する際には、充電中の蓄電器及び車両バッテリへ放電中の蓄電器を除いた蓄電器のうち、充電容量が最も少ない蓄電器と車両バッテリとを接続し、当該蓄電器を放電させて車両バッテリを充電するようにしている(特許文献1の段落0008等参照)。
【0010】
この例では2次電池を複数群に分割することで有効利用を図っているが、構成や制御方法が複雑であり、2次電池や充電車両数を増設することが困難である事が欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−20438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述のような問題に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、複数台の充電器を設置した場合の上記欠点を改善し、民間駐車場や集客施設などの比較的規模の小さな駐車場に適用可能で、且つ同一エリア内に設置された同種の充電装置と電力を融通し合うことが可能な、電気自動車の充電装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、個々の充電装置を連結するだけで充電対象の車両数に応じた充電システムを容易に構築することが可能な充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数台の電気自動車を充電対象とした充電システムに好適に適用できる充電装置及び充電システムに関するものであり、充電装置に関しては、 本発明の上記目的は
、電気自動車に搭載された車両バッテリに電力を充電させる充電装置で且つ、同一エリア内に設置された隣り合う同一構成の他の充電装置との間で相互に電力を供給可能に前記他の充電装置と電力ケーブルを介して接続される充電装置であって、電力系統からの電力を蓄電すると共に蓄電された電力を放電させて前記車両バッテリを充電する内蔵2次電池と、前記内蔵2次電池と電動車充電用コネクタとの間の第1電路を開閉すると共に、前記他の充電装置の内蔵2次電池と前記電動車充電用コネクタとの間の第2電路を開閉する電路開閉手段と、前記電気自動車側の指令に従って急速充電を開始する際に、自己の充電装置の内蔵2次電池に必要な残量が無いと判定した場合に前記電路開閉手段を駆動して前記第1電路を
断路状態にすると共に前記第2電路を
接続状態にし、前記他の充電装置の内蔵2次電池から前記電動車充電用コネクタを介して前記車両バッテリを急速充電する制御を行う制御手段と、を備えることによって達成される。
【0014】
さらに、本発明の上記目的は、
前記他の充電装置との間で情報通信が可能な通信手段を有し、前記制御手段は、前記他の充電装置からその充電装置の内蔵2次電池の残量を前記通信手段を通じて受信すると共に、受信した前記残量が前記急速充電に必要な残量以上有ると判定した場合に前記他の充電装置の内蔵2次電池から前記車両バッテリを急速充電すること、
前記制御手段は、前記受信した前記残量が前記急速充電に必要な残量以上無いと判定した場合には、前記急速充電から普通充電に自動的に切替えて前記車両バッテリを普通充電で充電すること、
前記他の充電装置は、自己の充電装置に隣接する1又は2台の充電装置であること、
前記内蔵2次電池は、一回のみの急速充電が可能な程度の少容量の蓄電池であること、
前記電路開閉手段としての開閉スイッチと前記制御手段としてのスイッチ駆動回路を有する開閉制御回路を備え、且つ、前記開閉スイッチは、自己の充電装置の内蔵2次電池と前記開閉制御回路との間の電路を開閉する第1スイッチと、自己の充電装置に隣接する前記他の充電装置の一方と自己の充電装置との間の電路を開閉する第2スイッチと、前記開閉制御回路と前記電動車充電用コネクタとの間の電路を開閉する第3スイッチと、自己の充電装置に隣接する前記他の充電装置の他方と自己の充電装置との間の電路を開閉する第4スイッチとから構成されること、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0015】
また、充電システムに関しては、本発明の上記目的は、前記充電装置を2台以上備え、前記同一エリア内で隣り合う充電装置同士が1本の前記電力ケーブルによって増設可能に接続されてなることによって達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大きな2次電池の設置場所が不要となり、民間駐車場や集客施設などの比較的規模の小さな駐車場に設置可能な充電装置を提供することが可能となる。また、同一エリア内に設置された他の充電装置と電力を融通し合うことが可能になり、一回のみの急速充電が可能な少容量の2次電池を用いた場合でも、同じ充電装置で急速充電を連続的に行うことが可能となる。
【0017】
さらに、本発明によれば、設置に際しての相互接続が簡単であり、同一構成の充電装置のみを使用して隣接する充電装置同士を電力ケーブルで連結するだけで、充電対象の車両数に応じた充電システムを容易に構築することが可能となる。また、隣り合う他の充電装置との間で情報通信が可能な通信手段を備えた形態では、隣接する充電装置だけと通信すれば良いので通信や制御が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る充電装置を適用した充電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の充電装置内の開閉制御回路の構成例を示す模式図である。
【
図3A】本発明に係る充電装置の動作例を説明するための第1の模式図である。
【
図3B】本発明に係る充電装置の動作例を説明するための第2の模式図である。
【
図4】本発明に係る充電装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明に係る充電装置を複数台設置した駐車場のイメージを示す斜視図である。
【
図6】急速充電が可能な従来の充電スタンドの構成例を示すブロック図である。
【
図7】小容量2次電池を用いた従来の充電器の構成例を示すブロック図である。
【
図8】急速充電が可能な従来の充電スタンドの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照にしながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、電気自動車の充電スタンドとして適用される充電装置を例として説明するが、本発明に係る充電装置は、PHEV(プラグインハイブリッド車)向けの充電スタンドとしても適用することができる。以下、電気自動車及びPHEVを含む電動車を電気自動車と称して説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る充電システムの構成例を示している。本発明に係る充電システムは、充電対象の車両数に応じて複数台の充電器1(以下「充電装置」と呼ぶ)を着脱自在な電力ケーブル2で連結することにより構成される。詳しくは、1台の充電装置1は、同一エリア内に設置された隣り合う同一構成の他の充電装置1との間で相互に電力を供給可能に、隣り合う充電装置同士が1本の電力ケーブル2によって増設可能に接続される。
【0021】
それぞれの充電装置1は、2次電池充電回路11と内蔵2次電池12とを備えており、電力系統から充電を行うことができる。
【0022】
内蔵2次電池12は、電力系統からの電力を蓄電すると共に蓄電された電力を放電させて電気自動車20の車両バッテリを充電する内蔵電池であり、本実施の形態では、内蔵2次電池12からの電力は、開閉制御回路13を介して変換器14に接続され、変換器14で必要な電圧・電流に変換して、負荷となる電気自動車20を充電する。
【0023】
開閉制御回路13は、自己の充電装置1の内蔵2次電池12と電動車充電用コネクタとの間(本例では変換器14との間)の第1電路を開閉すると共に、他の充電装置1の内蔵2次電池12と電動車充電用コネクタとの間(本例では自己の充電装置1の変換器14との間)の第2電路を開閉する電路開閉手段として動作する。
【0024】
開閉制御回路13は制御手段を有しており、その制御手段では、例えば電気自動車側の指令に従って急速充電を開始する際に、自己の充電装置の内蔵2次電池に必要な残量が無いと判定した場合に上記電路開閉手段を駆動して上記第1電路を
開く(断路状態にする)と共に上記第2電路を
閉じ(接続状態にし)、他の充電装置の内蔵2次電池から自己の充電装置の電動車充電用コネクタ(図示せず)を介して、電気自動車20の車両バッテリを急速充電する制御を行う。
【0025】
充電装置1にはこの他に通信手段15が設けられていて、通信手段15を介して他の充電装置とデータのやり取りを行うと共に、開閉制御回路13の動作を制御する。通信手段15としては、有線通信(LANやEIA-485として知られているもの)でも、無線通信(無線LANやZigbee(登録商標)、あるいは赤外線通信として知られているもの)のいずれでも使用できる。
【0026】
図2は、開閉制御回路13の構成例をしており、前述の電路開閉手段としての開閉スイッチ131と、その開閉スイッチ131の開閉動作の制御及び他の充電装置との間の通信制御などを行う制御手段としてのスイッチ駆動回路132と、を有している。
【0027】
開閉制御回路13は複数個のスイッチ(本例ではスイッチ131(a)〜(d)の4個のスイッチ)と上記スイッチ駆動回路132とを含み、
図1に示すように、隣接する充電装置1の開閉制御回路13と電力ケーブル2を介して接続されている。各スイッチ(a)〜(d)はリレーのような機械式接点を持つものでも、半導体スイッチ(トランジスタあるいはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)など)でも使用できる。
【0028】
図2の例では、開閉制御回路13は、自己の充電装置内の内蔵2次電池12と開閉制御回路13との間の電路を開閉する第1スイッチ131(a)と、隣接する一方の充電装置と自己の充電装置との間の電路を開閉する第2スイッチ131(b)と、自己の充電装置内の開閉制御回路13と変換器14との間の電路を開閉する第3スイッチ131(c)と、隣接する他方の充電装置と自己の充電装置との間の電路を開閉する第4スイッチ131(d)と、を有しており、それらのスイッチ131(a)〜(d)の開閉動作がスイッチ駆動回路132によって制御される構成としている。
【0029】
充電装置1内の内蔵2次電池12は、例えば一回のみの急速充電が可能な程度の少容量の蓄電池で良く、本実施の形態では、同一の充電装置1で急速充電を連続的に行う場合には、他の充電装置内の内蔵2次電池を利用して急速充電を行うようにしている。
【0030】
詳しくは、本実施の形態では、電気自動車20側の指令に従って、充電装置1が急速充電を開始する際に、自己の充電装置1内の内蔵2次電池に必要な残量が無いと判定した場合には、自己及び他の充電装置1(本例では隣接する一方又は他方の充電装置1)内の開閉制御回路13による電路の切替制御によって、隣接する一方又は他方の充電装置1内の内蔵2次電池(使用中でなく且つ急速充電に必要な残量がある内蔵2次電池)と自己の充電装置1内の変換器14とを接続し、他の充電装置1内の内蔵2次電池から自己の変換器14を介して電気自動車20を充電するようにしている。
【0031】
次に、
図1に例示した充電システムの全体的な動作例について
図3A及び
図3Bを用いて説明する。ここでは、
図3Aにおいて、急速充電を必要とする車両20が充電装置1Bを使用する場合を例として説明する。
【0032】
充電装置1Bの内蔵2次電池の残量が十分であれば、充電装置1Bは開閉制御回路13内のスイッチ(a)及び(c)を閉じ、充電装置1Bの内蔵2次電池12から変換器14を介して車両20を充電すると共に、電力系統から内蔵2次電池12を補充する。
【0033】
一般に、急速充電が終了すると、充電装置Bの内蔵2次電池の残量は相当低下している。この状態で再度、充電装置1Bでの急速充電が要求された場合、自身の内蔵2次電池12を使うことができない。
【0034】
この場合、充電装置1Bは、通信手段(
図1中の通信手段15)によって隣接する1A又は1Cの内蔵2次電池の状態(残量)と使用状態(充電中であるか否か)を調べる。この結果から、適切な方の開閉制御回路13を切替え、
図3Bに示すように、隣接する一方の充電装置1(
図3Aの例では充電装置1A)の内蔵2次電池12を電力ケーブル2を介して充電装置1Bに接続することにより、自身の2次電池容量が少ない場合でも急速充電に対応することできる。
【0035】
次に、充電装置1の動作例について
図4のフローチャートの流れに沿って説明する。なお、充電装置1と電気自動車20との間の通信プロトコルやコネクタによる接続形態は前述の規格に準じたものであり、それらの説明については省略する。また、充電装置1の動作制御は、本実施の形態では、充電装置1の開閉制御回路13内のスイッチ駆動回路132(
図2参照)が行うようにしており、以下の説明では、スイッチ駆動回路132を「制御手段」と称して説明する。また、
図2に例示したように、開閉制御回路13内のスイッチ131(a)〜(d)は、待機時は全て開状態であるとして説明する。
【0036】
充電装置1(以下、充電装置1Bとする)の制御手段は、電気自動車20から急速充電要求を受信すると(ステップS1)、先ず、状態フラッグを使用中とすると共に自己の内蔵2次電池12の残量が十分か否かをチェックし(ステップS2)、自己の内蔵2次電池12の残量が十分である(急速充電に必要な残量がある)と判定した場合は、自己の開閉制御回路13内のスイッチ(a)(c)を閉じることにより(ステップS3)、自己の内蔵2次電池12と変換器14との間の電路によって電気自動車20の車両バッテリの急速充電を行う(ステップS4)。
【0037】
一方、上記ステップS2において自己の内蔵2次電池12の残量が十分でないと判定した場合、充電装置1Bの制御手段は、隣接する一方の充電装置1Aが使用中か否かを判定し(ステップS5)、使用中でないと判定した場合は、その充電装置1Aの残量が十分か否かを判定する(ステップS6)。そして、充電装置1Aの残量が十分であると判定した場合は、自己の充電装置1Bのスイッチ(b)(c)を閉じると共に、隣接する一方の充電装置1Bのスイッチ(a)(d)を閉じる(及びその充電装置1Bの状態フラッグを使用中とする)ことにより(ステップS7)、隣接する一方の充電装置1Aの内蔵2次電池12と自己の充電装置1B内の変換器14との間の電路によって、電気自動車20の車両バッテリの急速充電を行う(ステップS4)。
【0038】
一方、上記ステップS5において、隣接する一方の充電装置1Aが使用中であると判定した場合、あるいは、前記ステップS6において充電装置1Aの残量が十分でないと判定した場合には、充電装置1Bの制御手段は、隣接する他方の充電装置1Cが使用中か否かを判定し(ステップS8)、使用中でないと判定した場合には、その充電装置1Cの残量が十分か否かを判定する(ステップS9)。そして、隣接する他方の充電装置1Cの残量が十分であると判定した場合は、充電装置1Bの制御手段は、自己の充電装置1Bのスイッチ(c)(d)を閉じると共に、隣接する他方の充電装置1Cのスイッチ(a)(b)を閉じる(及びその充電装置1Cの状態フラッグを使用中とする)ことにより(ステップS10)、隣接する他方の充電装置1Cの内蔵2次電池12と自己の充電装置1B内の変換器14との間の電路によって、電気自動車20の車両バッテリの急速充電を行う(ステップS4)。
【0039】
他方、前記ステップS8において、隣接する他方の充電装置1Cが使用中であると判定した場合、あるいは、前記ステップS9において、隣接する他方の充電装置1Cの残量が十分でないと判定した場合には、充電装置1Bの制御手段は、急速充電不可であることを車両に通知し(ステップS11)、自己の開閉制御回路13内のスイッチ(a)(c)を閉じることにより、自己の内蔵2次電池12と変換器14との間の電路によって、(あるいは、自己の充電装置1Bのスイッチ(c)(d)と、隣接する他方の充電装置1Cのスイッチ(a)(b)を閉じると共に、中速充電(普通充電)に必要な電圧・電流に変換器14を通じて変換し、隣接する他方の充電装置1Cの内蔵2次電池12と自己の変換器14との間の電路によって、電気自動車20の車両バッテリの中速充電を行う(ステップS12)。
【0040】
充電装置1を上記のような構成及び制御形態とすることにより、大型の2次電池の設置場所が不要となり、
図5に示すように、比較的規模の小さな駐車場30に設置可能で且つ増設が容易な充電装置1(充電スタンド)を提供することが可能となる。
【0041】
また、本発明によれば、同一エリア内に設置された他の充電装置と電力を融通し合うことが可能になり、一回のみの急速充電が可能な少容量の2次電池を用いた場合でも、同じ充電装置1で急速充電を連続的に行うことが可能となる。さらに、設置に際しての相互接続が簡単であり、同一構成の充電装置1のみを使用して隣接する充電装置1同士を電力ケーブル2で連結するだけで、充電対象の車両数に応じた充電システムを容易に構築することが可能となる。また、隣接する充電装置だけと通信すれば良いので通信や制御が容易などの利点が生じる。
【0042】
なお、上述した実施の形態においては、3台以上の充電装置1を連結した構成の充電システムを例として説明したが、2台の充電装置を連結した構成の充電システムでも、相手の充電装置の内蔵2次電池を利用することで同じ充電装置で急速充電を連続的に行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1,1A〜1C 充電装置
2 電力ケーブル
11 2次電池充電回路
12 内蔵2次電池
13 開閉制御回路
131 スイッチ
132 駆動回路
14 変換器
15 通信手段
20 電気自動車
30 駐車場