特許第5723817号(P5723817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723817
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】野縁の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/30 20060101AFI20150507BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   E04B5/60 A
   E04B5/52 U
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-76531(P2012-76531)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-204360(P2013-204360A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】横溝 茂和
(72)【発明者】
【氏名】古屋敷 憲之
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−159553(JP,A)
【文献】 特開平05−331954(JP,A)
【文献】 特開2012−026194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/30
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構造材側に固定される縦部分と、野縁に固定される横部分とを備えてなると共に、この縦部分の内面と横部分の上面とがなす角度を90度よりわずかに小さくしたブラケットの前記横部分に野縁の端部を取り付けると共に、
前記構造材側に前記野縁の端部の支持部材を取り付け、
この支持部材上に野縁の端部を位置させた状態から、前記ブラケットの縦部分を前記構造材側に固定することを特徴とする野縁の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の天井を構成する野縁の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井野縁は、一般に、吊木によって上の階の床の下方に取り付けられる。その典型的な構造を図6に示す。図中符号100は床下地板、符号101は床受け用梁、符号102は吊木受け梁、符号103は吊木、符号104は野縁、符号105は天井板である。吊木103は、上の階の振動を下の階に伝えないように、上の階の床下地板100を支持する床受け用梁101とは別個の吊木受け梁102によって支持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、建物の天井を構成する野縁を、吊木を用いることなく、容易かつ適切に建物の構造材側に取り付け可能とする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、野縁の取り付け方法を、建物の構造材側に固定される縦部分と、野縁に固定される横部分とを備えてなると共に、この縦部分の内面と横部分の上面とがなす角度を90度よりわずかに小さくしたブラケットの前記横部分に野縁の端部を取り付けると共に、
前記構造材側に前記野縁の端部の支持部材を取り付け、
この支持部材上に野縁の端部を位置させた状態から、前記ブラケットの縦部分を前記構造材側に固定するものとした。
【0005】
かかる取り付け方法によれば、第一に、吊木及び吊木受け梁を上の階の床と下の階の天井との間に配置することなく、上の階の床を支える床受け用梁から独立した状態で、その下方に野縁を配置させることができる。従って、第二に、上の階の床と下の階の天井との間の距離を最小化して下の階の天井高を最大化することができ、また、第三に、前記床受け用梁に平行をなす向きにも、この床受け用梁に直交する向きにも、支障なく野縁を配置させることができる。また、第四に、前記ブラケットの縦部分の内面と横部分の上面とがなす角度は90度よりわずかに小さいことから、縦部分を建物の構造材側に固定することで野縁に上方に向けた反りをつけることができ、これによって吊木を用いることなく天井にいわゆるムクリを付けることができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、建物の天井を構成する野縁を、吊木を用いることなく、容易かつ適切に建物の構造材側に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は実施の形態にかかる野縁の取り付け方法に利用されるブラケットの斜視図である。
図2図2は前記取り付け方法により取り付けられた野縁を含んで構成された天井の断面構成図である。
図3図3は前記取り付け方法により取り付けられた野縁を含んで構成された天井の断面構成図であり、図2と90度異なる向きからかかる天井を断面にしている。
図4図4図2の要部を拡大して示した断面構成図である。
図5図5は前記ブラケットを構造材側に固定する直前の状態を示した断面構成図である。
図6図6は従来の天井の構造を示した断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図5に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる野縁1の取り付け方法は、吊木及び吊木受け梁を用いずに、野縁1の端部1aを建物の構造材2側に固定させるものである。
【0009】
かかる取り付け方法は、建物の構造材2側に固定される縦部分30と、野縁1に固定される横部分31とを備えてなると共に、この縦部分30の内面30aと横部分31の上面31aとがなす角度を90度よりわずかに小さくしたブラケット3を用いてなされる。一本の野縁1は、その一端部1aと他端部1aとをそれぞれ、かかるブラケット3を介して前記構造材2側に固定する。
【0010】
図示の例では、かかるブラケット3は、鋼板から構成できるようになっている。縦部分30及び横部分31はいずれもは長方形の板状をなしている。かかる縦部分30及び横部分31は同じ幅に構成され、図示の例では、取り付け対象となる角材としての野縁1の幅寸法と略一致している。横部分31は縦部分30より長い。かかる縦部分30と横部分31とは、縦部分30の幅側の一辺を横部分31の幅側の一辺に連接させることで一体化されている。ブラケット3はかかる縦部分30と横部分31との連接箇所において略90度に屈曲されたL字状を呈している。また、縦部分30と横部分31とは、補強部分32によっても一体化されている。図示の例では、補強部分32は、直角を挟んだ一辺を縦部分30の長さと等しい長さとし、かつ、他辺を横部分31の長さと等しい長さとした、直角三角形の板状をなしている。そして、補強部分32と縦部分30とは、補強部分32の一辺を縦部分30の長さ側の一辺に連接させることで一体化され、補強部分32と横部分31とは、補強部分32の他辺を横部分31の長さ側の一辺に連接させることで一体化されている。かかる縦部分30の内面30aと横部分31の上面31aとがなす角度は、典型的には、89度以上90度未満としておく。図示の例では、縦部分30と横部分31にはそれぞれ、釘Jやビスの通し穴33が形成されている。縦部分30はこの通し穴33を通じて建物の構造材2側、すなわち、柱や柱間に架設される横架材に打ち込まれる釘Jなどによりこの構造材2側に固定され、横部分31はこの通し穴33を通じて野縁1に打ち込まれる釘Jなどによりこの野縁1に固定されるようになっている。横部分31は、野縁1を床受け用梁4に直交する向きに配する場合、この横部分31の先端が壁に隣り合う床受け用梁4近傍に達する長さにしておくことが好ましい。図示の例とは別に、前記補強部分32の形成側と反対の側において、前記縦部分30の長さ側の他辺及び横部分31の長さ側の他辺を両者の連接箇所も含めて上向きに突き出すリブによって縁取るようにしておいても良い。
【0011】
このように構成されるブラケット3の横部分31に野縁1の端部1aを取り付ける。図示の例では、横部分31の長さ方向に野縁1の長さ方向を沿わせ、かつ、野縁1の端末を縦部分30と横部分31との連接箇所近傍に位置づけた状態で、この横部分31の下面31cに野縁1の上面を添装し、横部分31の上面31a側から野縁1に前記のように釘などを打ち込むことで野縁1の端部1aにブラケット3の横部分31が取り付けられるようになっている。かかる野縁1としては、角筒状をなす金属製のものを利用することもでき、この場合にはブラケット3と野縁1とはビスによって止め合わされる。
【0012】
そして、この実施の形態にかかる取り付け方法にあっては、前記構造材2側に前記野縁1の端部1aの支持部材5を取り付け、次いで、この支持部材5上に野縁1の端部1aを位置させた状態から前記ブラケット3の縦部分30を前記構造材2側に固定する。
【0013】
図示の例では、前記支持部材5を、屈曲部50aを挟んだ一方側を構造材2側に固定させたアングル材50としている。図示の例では、このアングル材50の屈曲部50aを挟んだ他方側によってブラケット3の取り付けられた野縁1の端部1aを下方から支持するようにしている。このように野縁1の端部1aを支持させた状態から、縦部分30の内面30a側から構造材2側に前記のように釘Jなどを打ち込むことで構造材2側にブラケット3の縦部分30が取り付けられるようになっている。図示の例では、ブラケット3の横部分31が水平に配されるようにした状態から、(図5)縦部分30の外面が垂直に配されるまで前記釘などの打ち込みを行うと、(図6)ブラケット3に支持される野縁1には上方に向けた反りがつけられるようになっている。図中符号6はブラケット3の縦部分30と構造材2との間に介装される弾性材よりなるスペーサーである。
【0014】
一本の野縁1は、両端部1a、1aにそれぞれ取り付けられた前記ブラケット3を介して、対向位置にある前記構造材2間に架設される。このように架設されると共に、隣り合う野縁1との間に所定の間隔を開けて平行に配される複数の野縁1、1…を使って天井板7の張り込みがなされる。図中符号8は床下地板である。
【0015】
この実施の形態にかかる取り付け方法によれば、第一に、吊木及び吊木受け梁を上の階の床と下の階の天井との間に配置することなく、上の階の床を支える床受け用梁4から独立した状態で、その下方に野縁1を配置させることができる。従って、第二に、上の階の床と下の階の天井との間の距離を最小化して下の階の天井高を最大化することができ、また、第三に、前記床受け用梁4に平行をなす向きにも、この床受け用梁4に直交する向きにも、支障なく野縁1を配置させることができる。また、第四に、前記ブラケット3の縦部分30の内面30aと横部分31の上面31aとがなす角度は90度よりわずかに小さいことから、縦部分30を建物の構造材2側に固定することで野縁1に上方に向けた反りをつけることができ、これによって吊木を用いることなく天井にいわゆるムクリ(天井に付与される、その中央側を上とする若干の傾斜)を付けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6