(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723865
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】レンズ固定装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-279944(P2012-279944)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-186468(P2013-186468A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2013年9月17日
(31)【優先権主張番号】61/607,440
(32)【優先日】2012年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−354131(JP,A)
【文献】
実開昭63−099455(JP,U)
【文献】
特開平06−332077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを収容し、収容した前記レンズを、レンズ中心が光軸上に位置するように保持する円筒状のレンズホルダと、
前記レンズホルダの前記光軸と直交する方向の位置を設定する矩形孔である底面基準位置設定部を有し、前記レンズホルダを支持するレンズ固定ベースと、
前記レンズ固定ベースに組み付けられ、前記底面基準位置設定部に前記レンズホルダが挿入された状態で、前記光軸と直交する方向から前記レンズ固定ベースに前記レンズホルダを押しつける板ばね状の第一のレンズホルダ押さえと、前記光軸に沿う方向から前記レンズホルダを押しつける押圧力を発生させる板ばね状の第二のレンズホルダ押さえと、を有するレンズ固定部材と、
前記レンズ固定ベースに装着され、前記レンズ固定部材の主要部が延びる平面に対して非平行である傾き部を有する位置調整部材と、前記位置調整部材に対して締めつけ量を変化可能に装着された調整ねじとを有し、前記調整ねじの締めつけ量を変化することで、前記位置調整部材の前記傾き部の角度を変化させ、前記第二のレンズホルダ押さえの押圧力で前記位置調整部材に押しつけられる前記レンズホルダを、光軸方向に変位させる倍率基準位置調整部と
を具備するレンズ固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読み取り対象物が含む情報を電気信号に変換する画像読取装置のレンズ固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、読み取り対象物すなわち原稿に照明光を照射し、原稿で反射した照明光をCCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary metal-oxide Semiconductor)等の固体撮像素子に導いて原稿(読み取り対象物)の画像情報を電気的に読み取り、画像信号を得る。
【0003】
画像読取装置は、固体撮像素子の前段に、原稿を照明する光源、原稿で反射した照明光である画像光を、固体撮像素子の受光面に集光するレンズ等を含む。
【0004】
レンズは、固体撮像素子の受光面に対して所定の距離すなわちレンズの焦点位置が固体撮像素子の受光面と一致し、かつ倍率が所定の範囲内となるよう、例えば取付板金(固定ベース)の所定位置に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−191570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レンズは、光軸に沿って入射する画像光及び(レンズを通り)固体撮像素子の受光面に向かって光軸上を進む画像光をさえぎることのないよう、光軸と直交する方向から、固定ベースに固定する。
【0007】
このため、レンズを焦点位置が固体撮像素子の受光面と一致するよう固定する作業は、(組み立て)作業者の技量が支配的である。
【0008】
また、倍率を所定の範囲内とするレンズの位置決めは、レンズの光軸の移動を伴うことから、(組み立て)作業者に、一層の技量を要求する。
【0009】
本発明の目的は、画像読取装置において、レンズの焦点位置が固体撮像素子の受光面と一致し、かつ倍率が所定の範囲内となる位置に、レンズを固定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態において、画像読取装置のレンズ固定装置は、円筒状のレンズホルダと、レンズ固定ベースと、レンズ固定部材と、倍率基準位置調整部とを具備する。レンズホルダは、レンズを収容し、収容した前記レンズを、レンズ中心が光軸上に位置するように保持する。レンズ固定ベースは、前記レンズホルダの前記光軸と直交する方向の位置を設定する矩形孔である底面基準位置設定部を有し、前記レンズホルダを支持する。レンズ固定部材は、板ばね状の第一のレンズホルダ押さえと、板ばね状の第二のレンズホルダ押さえと、を有する。第一のレンズホルダ押さえは、前記レンズ固定ベースに組み付けられ、前記底面基準位置設定部に前記レンズホルダが挿入された状態で、前記光軸と直交する方向から前記レンズ固定ベースに前記レンズホルダを押しつける。第二のレンズホルダ押さえは、前記光軸に沿う方向か
ら前記レンズホルダを押しつける
押圧力を発生させる。倍率基準位置調整部は、位置調整部材と、調整ねじとを有する。位置調整部材は、前記レンズ固定ベースに装着され、前記レンズ固定部材の主要部が延びる平面に対して非平行である傾き部を有する。調整ねじは、前記位置調整部材に対して締めつけ量を変化可能に装着されている。そして、前記調整ねじの締めつけ量を変化することで、前記位置調整部材の前記傾き部の角度を変化させ、
前記第二のレンズホルダ押さえの押圧力で前記位置調整部材に押しつけられる前記レンズホルダを、光軸方向に変位させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態の画像読取装置におけるレンズ固定部の一例を示す。
【
図3】実施形態の画像読取装置におけるレンズ固定部(固定部材)の一例を示す。
【
図4】実施形態の画像読取装置におけるレンズ固定部の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
画像読取装置1は、
図1に一例を示す通り、ハウジング11、テーブル部12及び固体撮像素子13を、少なくとも含む。
【0014】
画像読取装置1は、読み取り対象物(以下対象物と称する)Oがシート状である場合、任意数の対象物を支持し、対象物Oの所定の面の画像情報の読み取りと対象物Oの表裏の反転及び対象物Oの入れ替えを自動的に行う自動原稿搬送装置(ADF,Automatically Document Feeder)3が付属することを許容する。
【0015】
ハウジング11内の所定位置に、照明ユニット14、結像レンズ15及び画像処理回路部16が位置する。結像レンズ15は、ハウジング11の所定の位置に位置する取付板金(レンズ固定ベース)17が、固体撮像素子13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary metal-oxide Semiconductor)等と一体的に保持する。
【0016】
上述の画像読取装置1において、テーブル部12は、光を透過する透明かつ一定の温度に耐えるガラス板等である。固体撮像素子13は、照明ユニット14による照明光が対象物Oで反射した画像光に対応する画像信号を生成する。照明ユニット14は、テーブル部12に位置する対象物Oに照明光を照射するもので、例えばテーブル部12の対象物支持側面に対して反対側の面と平行に、テーブル部12に沿って移動可能に、位置する。ただし、画像読取装置1に上述のADF3が付属し、ADF3が搬送するシート状の対象物Oを照明する場合であって、テーブル部12がシートスルー方式の画像情報の読み取りに対応する場合、照明ユニット14は、所定位置にとどまる(移動しない)。
【0017】
結像レンズ15は、固体撮像素子13の受光面に対して所定の距離すなわち結像レンズ15の焦点位置が固体撮像素子13の受光面と一致(結像レンズ15に固有の焦点距離となる位置に固体撮像素子13の受光面が位置)し、かつ倍率が所定の倍率となるように、レンズ固定ベース(取付板金)17の所定位置に位置する。
【0018】
画像処理回路部16は、固体撮像素子13が生成する画像信号を、画像形成部あるいは記憶媒体等が処理可能な規格(フォーマット)の画像データに変換して、例えば画像形成装置(プリンタ)や画像表示装置(再生装置)、等に出力する。
【0019】
図2は、レンズ固定ベース(取付板金)17と結像レンズ15との位置関係を示す。
【0020】
結像レンズ15は、レンズホルダ150内の所定位置に、所定枚数のレンズを固定したものである。なお、多くの場合、結像レンズ15は、レンズホルダ150と一体であり、レンズ単体を取り扱うことは少ないため、レンズホルダ150内に結像レンズ15を固定した状態を結像レンズ15と称することがある。レンズホルダ150は、レンズ固定部材170により、レンズ固定ベース17の所定位置に位置する。
【0021】
レンズ固定ベース17は、レンズホルダ150を案内する(レンズホルダ150の位置を規定する)底面基準位置(切り欠き/矩形孔)部17aを有する。レンズ固定ベース17の所定の位置には、固体撮像素子13を保持する固体撮像素子保持部130が位置する。固体撮像素子保持部130は、レンズ固定ベース17が保持するレンズホルダ150に対して、例えば平行度(取得する画像情報の左右の倍率の変動)の調整が可能に固体撮像素子13を保持する。
【0022】
レンズ固定部材170は、レンズ固定ベース17の上述底面基準位置部17aにレンズホルダ150を押しつける矢印A方向の力、及び
図3(a)を用いて後段に説明するレンズ固定部材170が一体的に有する倍率基準位置171aに向けて矢印B方向の力をレンズホルダ150に与える。すなわち、レンズ固定部材170は、例えば1枚の板を折り曲げる等の手法により形成されるレンズホルダ押さえ170a及びレンズホルダ押さえ170bを、一体に有する。従って、レンズ固定部材170からの矢印B方向の力によりレンズホルダ150の照明ユニット14側の端部(倍率調整面)150aが倍率基準位置171aと接する。また、矢印A方向の力によりレンズホルダ150の円筒部の任意の概ね直線の2箇所が底面基準位置部17aと接する。
【0023】
倍率基準位置171aは、
図3(a)に示す通り、レンズ固定部材170と独立した位置調整部材171が角度変化を提供することで規定される。従って、位置調整部材171の角度変化により、結像レンズ15(レンズホルダ150)を、光軸方向に、変位(移動)可能である。光軸は、結像レンズ15の概ね中心を通り、固体撮像素子13の概ね中央(中心)と照明ユニット14の長手方向の概ね中央とを結ぶ線分であり、設計光軸と呼ばれることもある。
【0024】
レンズ固定部材170は、
図3(a)に示す通り、レンズホルダ押さえ170aからの上述の矢印A方向の力により、レンズ固定ベース17の底面基準位置部17a(
図3(b)参照)にレンズホルダ150(結像レンズ15)を押しつける。なお、レンズ固定部材170は、ストッパ170dを有し、ストッパ170dからレンズ固定ベース17に、レンズホルダ押さえ170aからの上述の矢印A方向の力と逆向きの力を与える。これにより、レンズ固定部材170がレンズ固定ベース17から分離する(外れる)ことを防止する。すなわち、ストッパ170dは、レンズ固定ベース17とレンズ固定部材170との間にレンズホルダ押さえ170aからの上述の矢印A方向の力の効力を一定以上確保できる。
【0025】
従って、レンズホルダ押さえ170aからの力及びストッパ170dの作用により、レンズホルダ150は、底面基準位置部17a上の光軸方向の所定位置に、作業者の特別な技量(力量)を必要とすることなく、位置する。従って、作業者は、レンズ固定ベース17にレンズ固定部材170を固定するための、固定ねじ17bを締めつけることを実行すればよい。
【0026】
レンズ固定部材170は、
図3(a)に示す通り、レンズホルダ押さえ170bからの上述の矢印B方向の力により、レンズホルダ150(結像レンズ15)を、倍率基準位置171aに押しつける。このとき、レンズホルダ150は、上述の底面基準位置部17a上の光軸方向の所定位置に位置することから、倍率基準位置171aに押しつけられ、固体撮像素子13の受光面に対して所定の距離すなわち結像レンズ15の焦点位置が固体撮像素子13の受光面と一致(結像レンズ15に固有の焦点距離となる位置に固体撮像素子13の受光面が位置)する所定位置(所定のピント(位置))に位置する。従って、作業者は、レンズ固定ベース17の倍率基準位置171aとレンズホルダ150の端部すなわち倍率調整面150aとを、確実に隙間なく組み立てることができる。
【0027】
レンズ固定部材170はまた、
図2が示す、概ね中央を光軸が通り、固体撮像素子13に入射すべき光の主要な部分すなわち画像光を固体撮像素子13に入射する開口部170cにより、画像光とは異なる成分(開口部170cの外側に位置する光)すなわち迷光を遮蔽する。
【0028】
位置調整部材171は、
図2及び
図3(a)が示す通り、レンズ固定部材170の主要部が延びる平面Sに対して非平行であり、調整ねじ172の締めつけ量を変化することで、平面Sとの間の矢印Dで示す傾きが変化する。従って、位置調整部材171の先端(非固定端)である倍率基準位置171aが変位し、結像レンズ15(レンズホルダ150)の光軸方向の変位(移動)を実現する。また、調整ねじ172は、例えばワッシャ(座金)等の併用により、締めつけ量に対する位置調整部材171の傾きを増大することが可能である。
【0029】
図4は、結像レンズ15(レンズホルダ150)をレンズバンド201で固定する方法である。
図4が示す方法では、レンズホルダ150の固定及び(レンズホルダ150内の)結像レンズ15の光軸方向位置の設定を一つの作業により固定できるが、画像読取装置1搭載時に、ミラー平面度の影響を受けることもあり、倍率とピント(位置)とがずれる倍率誤差を生じることがある。
【0030】
上述の通り、実施形態を適用することにより、結像レンズを固定する際、光軸方向への押し付けカを、作業者の力量に頼らない、レンズ固定部材により光軸方向の所定の位置に押し付けることができる。よって、常に安定したカで、確実に、倍率基準位置に突き当てた状態に結像レンズを組み立てることができる。
【0031】
また、倍率基準位置は、レンズの光軸方向の位置を変更可能であり、倍率とピントとを独立して調整可能である。従って、画像読取装置搭載時に、結像レンズの焦点位置が固体撮像素子の受光面に一致した(ピントが合った)状態で、倍率の調整を可能とする。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…画像読取装置、11…ハウジング、12…テーブル部、13…固体撮像素子、14…照明ユニット、15…結像レンズ、16…画像処理回路部、17…レンズ固定ベース、17a…底面基準位置部、17b…固定ねじ、150…レンズホルダ、150a…レンズホルダ端部(倍率調整面)、170…レンズ固定部材、170a…レンズホルダ押さえ(A方向)、170b…レンズホルダ押さえ(B)方向、170c…開口部、170d…ストッパ、171…位置調整部材、171a…倍率基準位置。