特許第5723867号(P5723867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5723867モバイル製品用アンテナ及びモバイル製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723867
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】モバイル製品用アンテナ及びモバイル製品
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20150507BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H01Q1/24 A
   H04M1/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-281138(P2012-281138)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-127745(P2014-127745A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2014年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】391007024
【氏名又は名称】株式会社アドバネクス
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】徳井 隆介
【審査官】 角田 慎治
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3043814(JP,U)
【文献】 特開2010−131777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル製品の製品本体に出没可能に設けられるモバイル製品用アンテナであって、
アンテナ本体と、該アンテナ本体の上端部に設けられた頭部とからなり、
前記頭部は、前記アンテナ本体に連結する連結部と、前記連結部の上部側に設けられた円筒状のパイプと、前記パイプの上端部に該パイプに対して回転不能に取り付けられた略円筒状で第1カム部を有する固定カムと、前記固定カムの内部孔に移動可能に挿通され、かつ該固定カムに対して回転不能に取り付けられてその上端部が前記パイプの上方に突出し、下端側に第2カム部を有するカムピンと、前記パイプ内に回転可能に収容されて前記固定カムの第1カム部に係脱可能に係合する第3カム部と前記カムピンの第2カム部に係脱可能に係合する第4カム部とを有する回転カムと、前記回転カムを前記パイプの上端側に付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記カムピンは、その上端部が押圧されて下降させられることで前記回転カムを下降させ、該回転カムの第3カム部を前記固定カムの第1カム部から外すように構成され、
前記カムピンの第2カム部と前記回転カムの第4カム部とは、前記回転カムの下降によって前記第3カム部が前記第1カム部から外れた際、互いの係合によって前記回転カムを前記パイプにおける一方の周方向に回動させるように構成され、
前記回転カムの第3カム部と前記固定カムの第1カム部には、前記回転カムの下降によって前記第3カム部が前記第1カム部から外れた際、互いが摺動することで前記回転カムを前記パイプにおける一方の周方向に回動させる案内部が形成され、
前記固定カムの第1カム部は、前記第3カム部に係合した際に前記カムピンの上端部を前記パイプから所定の長さ突出させる第1のカムと、前記第3カム部に係合した際に前記カムピンの上端部を前記パイプから前記所定の長さより長い長さ突出させる第2のカムと、を有しており、
前記固定カムの内部孔には、前記カムピンを前記回転カム側に付勢する第2付勢部材が設けられ、前記第2付勢部材の付勢力は、前記第1付勢部材の付勢力より常に弱くなるように形成されていることを特徴とするモバイル製品用アンテナ。
【請求項2】
前記第1付勢部材は金属製のコイルスプリングによって形成され、該コイルスプリングの巻き方向は前記回転カムの回動する方向と同じに形成されていることを特徴とする請求項記載のモバイル製品用アンテナ。
【請求項3】
前記第1付勢部材は金属製のコイルスプリングによって形成され、前記回転カムと前記第1付勢部材との間には金属板が介装されていることを特徴とする請求項記載のモバイル製品用アンテナ。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項に記載のモバイル製品用アンテナが製品本体に出没可能に設けられてなり、前記モバイル製品用アンテナは、前記第3カム部が前記第1カム部の第1カムに係合して前記カムピンの上端部が前記パイプから所定の長さ突出した際、前記上端部の上端面が前記製品本体の端面に略面一となるように、該製品本体に取り付けられていることを特徴とするモバイル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル製品用アンテナ及びモバイル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国内では地上デジタル放送のサービスが行われている。このサービスには、携帯電話を始めとしたモバイル製品(携帯製品)に対する放送サービスも含まれ、このサービスに対応する携帯電話も提供されている。すなわち、地上デジタル放送の放送帯域を13個のセグメントに分割し、そのうちの1つのセグメントを可動体向けのサービスに割り当てることにより、携帯電話などのモバイル製品における受信を想定した、1セグメント放送(ワンセグ)が行われている。そして、この帯域の一部を利用してデータ放送と同等のサービスが行われている。また、フルセグ(固定テレビ向けの高画質放送)やマルチメディアサービスであるNOTTVも行われつつある。
【0003】
このようなワンセグなどに対応する携帯電話としては、その電波を受信する専用のアンテナが必要であり、このような専用のアンテナは、通常は通話等のための電波の送受信用アンテナとは別に設けられる。
また、地上デジタル放送の電波は縦波であることから、ワンセグ対応のアンテナとしては、地表に対して垂直(鉛直)に立てて用いるのが、ノイズを入れることなく鮮明な画像を得るうえで好ましい。
【0004】
ところで、このようなワンセグ対応のアンテナや、従来の通話用電波の送受信用アンテナは、通常、非使用時には電話本体(製品本体)内に収容され、使用時には頭部を指先で摘んで引き出す構造となっている。また、特に通話用電波の送受信用アンテナに関しては、プッシュロックプッシュオフ機構を備えたアンテナ装置が知られている(特許文献1参照)。このプッシュロックプッシュオフ機構は、筐体内に設けられたもので、非使用時にはアンテナ基部の保持溝を保持することでアンテナ素子が引き出せないようにロックし、使用時には、アンテナの頭部が押圧されることでロックを解除し、アンテナ素子を引き出し可能にするものである。
【0005】
しかしながら、前記の使用時に頭部を指先で摘んで引き出す構造では、アンテナが埋没電話本体に埋没している場合、アンテナを引き出す際に特に付け爪をした女性が操作すると、付け爪が剥がれ易く、使いづらいといった問題がある。
一方、アンテナを引き出すため、非使用時にもアンテナの頭部が製品本体(筐体)から突出している場合には、この突出部分が携帯時等に不測にぶつかってしまい、破損するおそれがあり、また、意匠的にも大きな制約を受けてしまうといった問題がある。
さらに、特許文献1のアンテナ装置では、そのプッシュロックプッシュオフ機構が筐体内に設けられているため、筐体となる製品本体の小型化が損なわれるといった問題がある。
【0006】
このような背景のもとに、ハートカム機構を利用したプッシュロックプッシュオフ機構を有するモバイル製品用アンテナが提供されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−77714号公報
【特許文献2】特開2009−152843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のモバイル製品用アンテナでは、ハートカム機構を利用することでその操作部であるボタンが操作時に僅かながら回転するため、人によっては違和感があり操作がしにくく感じるおそれがある。
また、ハートカム機構では金属製のピンが樹脂製のカム溝内を摺動するため、ピンの摺動によってカム溝に負荷がかかり、耐久性が損なわれるおそれもある。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特に操作性や耐久性を高めたモバイル製品用アンテナと、このアンテナを備えたモバイル製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のモバイル製品用アンテナは、モバイル製品の製品本体に出没可能に設けられるモバイル製品用アンテナであって、
アンテナ本体と、該アンテナ本体の上端部に設けられた頭部とからなり、
前記頭部は、前記アンテナ本体に連結する連結部と、前記連結部の上部側に設けられた円筒状のパイプと、前記パイプの上端部に該パイプに対して回転不能に取り付けられた略円筒状で第1カム部を有する固定カムと、前記固定カムの内部孔に移動可能に挿通され、かつ該固定カムに対して回転不能に取り付けられてその上端部が前記パイプの上方に突出し、下端側に第2カム部を有するカムピンと、前記パイプ内に回転可能に収容されて前記固定カムの第1カム部に係脱可能に係合する第3カム部と前記カムピンの第2カム部に係脱可能に係合する第4カム部とを有する回転カムと、前記回転カムを前記パイプの上端側に付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記カムピンは、その上端部が押圧されて下降させられることで前記回転カムを下降させ、該回転カムの第3カム部を前記固定カムの第1カム部から外すように構成され、
前記カムピンの第2カム部と前記回転カムの第4カム部とは、前記回転カムの下降によって前記第3カム部が前記第1カム部から外れた際、互いの係合によって前記回転カムを前記パイプにおける一方の周方向に回動させるように構成され、
前記回転カムの第3カム部と前記固定カムの第1カム部には、前記回転カムの下降によって前記第3カム部が前記第1カム部から外れた際、互いが摺動することで前記回転カムを前記パイプにおける一方の周方向に回動させる案内部が形成され、
前記固定カムの第1カム部は、前記第3カム部に係合した際に前記カムピンの上端部を前記パイプから所定の長さ突出させる第1のカムと、前記第3カム部に係合した際に前記カムピンの上端部を前記パイプから前記所定の長さより長い長さ突出させる第2のカムと、を有していることを特徴とする。
【0011】
このモバイル製品用アンテナによれば、固定カムの第1カム部が、第3カム部に係合した際にカムピンの上端部をパイプから所定の長さ突出させる第1のカムと、第3カム部に係合した際にカムピンの上端部をパイプから前記所定の長さより長い長さ突出させる第2のカムと、を備えているので、カムピンの上端部を押圧し、該カムピンを介して回転カムを回転させ、その第3カム部の係合を前記固定カムの第1カム部の第2のカムから第1のカムに変えることにより、カムピンの上端部をパイプから短く突出させることができる。また、再度カムピンの上端部を押圧し、該カムピンを介して回転カムを回転させ、その第3カム部の係合を前記固定カムの第1カム部の第1のカムから第2のカムに切り変えることにより、カムピンの上端部をパイプから長く突出させることができる。よって、このようにカムピンの上端部をパイプから長く突出させることにより、カムピンの上端部が容易に摘めるようになり、該上端部を摘み上げることにより、アンテナ本体を製品本体から容易に引き出すことが可能になる。
また、カムピンについてはこれを固定カムに対して回転不能に取り付けており、固定カムもパイプに対して回転不能に取り付けられているので、カムピンを押圧操作した際、該カムピンはパイプに対して回転することがなく、したがって操作時に違和感が無いため、操作がしにくく感じるおそれがない。
さらに、ハートカム機構のような比較的大きな負荷がかかる構造を採用していないため、耐久性が損なわれるおそれもない。
【0012】
また、前記モバイル製品用アンテナにおいて、前記固定カムの内部孔には、前記カムピンを前記回転カム側に付勢する第2付勢部材が設けられ、前記第2付勢部材の付勢力は、前記第1付勢部材の付勢力より常に弱くなるように形成されていることが好ましい。
このようにすれば、モバイル製品の上下を逆にしてカムピンの上端部を下方に向けても、第2付勢部材によってカムピンが回転カム側、すなわちモバイル製品の下端部側に付勢されているので、カムピンの上端部側がモバイル製品から不測に飛び出してしまうことが防止される。
【0013】
また、前記モバイル製品用アンテナにおいて、前記第1付勢部材は金属製のコイルスプリングによって形成され、該コイルスプリングの巻き方向は前記回転カムの回動する方向と同じに形成されていることが好ましい。
このようにすれば、回転カムが回動してコイルスプリングに対して摺動した際、このコイルスプリングの巻き端による回転カムへの負荷が軽減され、回転カムが傷つけられるおそれが少なくなる。
【0014】
また、前記モバイル製品用アンテナにおいて、前記第1付勢部材は金属製のコイルスプリングによって形成され、前記回転カムと前記第1付勢部材との間には金属板が介装されていることが好ましい。
このようにすれば、回転カムが回動した際、金属板を介してコイルスプリングに対し回動するので、コイルスプリングの巻き端によって回転カムが傷つけられるおそれがない。
【0015】
本発明のモバイル製品は、前記のモバイル製品用アンテナが製品本体に出没可能に設けられてなり、前記モバイル製品用アンテナは、前記第3カム部が前記第1カム部の第1カムに係合して前記カムピンの上端部が前記パイプから所定の長さ突出した際、前記上端部の上端面が前記製品本体の端面に略面一となるように、該製品本体に取り付けられていることを特徴とする。
このモバイル製品によれば、操作性や耐久性が高められたモバイル製品用アンテナを備えているので、このモバイル製品自体も操作性や耐久性が高められたものとなる。
また、カムピンの上端部がパイプから所定の長さ突出した際、上端部の上端面が製品本体の端面に略面一となるように、該製品本体に取り付けられているので、非使用時にはアンテナが製品本体から突出せず、したがって突出部分が不測にぶつかって破損するといったおそれがなく、また、意匠的にも大きな制約を受けることがない。
さらに、プッシュロックプッシュオフ機構がアンテナの頭部内に一体的に設けられているので、プッシュロックプッシュオフ機構がアンテナとは別に製品本体内に設けられる従来のもののように、製品本体の小型化が損なわれることがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明のモバイル製品用アンテナにあっては、前記したように操作時に違和感が無いため、操作がしにくく感じるおそれがなく、また、大きな負荷がかかる構造を採用していないため、耐久性が損なわれるおそれもない。
本発明のモバイル製品にあっては、操作性や耐久性が高められたモバイル製品用アンテナを備えているので、このモバイル製品自体も操作性や耐久性が高められたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)〜(d)は本体に対するアンテナの頭部の状態説明図である。
図2】(a)〜(d)は、頭部のニュートラル状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
図3】(a)、(b)は、頭部のトップ押し込み途中の状態を示す図であり、(a)はカムピンと固定カムと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図、(b)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
図4】(a)〜(d)は、頭部のトップ押し込み最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
図5】(a)〜(d)は、頭部のトップ伸長最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
図6】(a)、(b)は、頭部のトップ押し込み途中の状態を示す図であり、(a)はカムピンと固定カムと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図、(b)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
図7】(a)〜(d)は、頭部のトップ押し込み最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)はカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明のモバイル製品用アンテナ及びモバイル製品を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1(a)〜(d)は、本発明のモバイル製品用アンテナを備えたモバイル製品を、地上デジタル放送受信用アンテナ(モバイル製品用アンテナ)を備えた携帯電話に適用した場合の一実施形態を示す図であり、図1(a)〜(d)中符号1はモバイル製品としての携帯電話、2はモバイル製品用アンテナとしての地上デジタル放送受信用アンテナ(以下、アンテナと記す)である。
【0019】
携帯電話1は、本発明における製品本体となる携帯電話本体(以下、本体と記す)3と、この本体3に出没可能に設けられるアンテナ2とからなるもので、携帯電話本体3に、各種のキーなどからなる入力部(図示せず)と、液晶等からなる画像表示手段としての表示画面4とを有したものである。なお、この携帯電話1では、通話等のための電波を送受信するためのアンテナ(図示せず)が、前記本体3に内蔵されている。
【0020】
アンテナ2は、地上デジタル放送を受信しないとき、すなわち非使用時には、図1(a)に示すように本体3から突出することなく、本体3内に埋設されて収納され、地上デジタル放送を受信するときには、図1(c)に示すようにその頭部5が本体3から突出させられ、さらにこれが摘まれて図1(d)に示すように引き上げられ、予め設定された所定長さに伸ばされて用いられるものである。
【0021】
このアンテナ2は、図2(a)中二点鎖線で示すように、本体3(図1参照)に保持固定されたアンテナ本体6と、該アンテナ本体6の上端部に設けられた前記頭部5とからなるものである。アンテナ本体6は、例えば基端側部材(図示せず)と、伸縮可能な先端側部材(図示せず)と、これら基端側部材と先端側部材との間を連結する連結部材(図示せず)とを有したものである。また、このアンテナ本体6は、例えば本体3に埋設されたホルダー(図示せず)を介して本体3に保持されている。
【0022】
次に、アンテナ2の頭部5の概略構成とその動作について、図2図7を参照して説明する。図2(a)〜(d)は、頭部5のニュートラル状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。図3(a)、(b)は、頭部5のトップ押し込み途中の状態を示す図であり、(a)は内部を構成するカムピンと固定カムと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図、(b)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す図である。図4(a)〜(d)は、頭部5のトップ押し込み最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。図5(a)〜(d)は、頭部5のトップ伸長最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。図6(a)、(b)は、頭部5のトップ押し込み途中の状態を示す図であり、(a)は内部を構成するカムピンと固定カムと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図、(b)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す図である。図7(a)〜(d)は、頭部5のトップ押し込み最大の状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は透視図、(c)は側断面図、(d)は内部を構成するカムピンと回転カムと第1付勢部材とを示す外観図である。
【0023】
図2(a)〜(d)に示すようにアンテナ2の頭部5は、前記アンテナ本体6に連結する連結部7と、連結部7の上部側に設けられた円筒状のパイプ8と、パイプ8の上端部に取り付けられた有蓋略円筒状の固定カム9と、固定カム9の内部孔に移動可能に挿通されたカムピン10と、パイプ8内に回転可能に収容された回転カム11と、回転カム11をパイプ8の上端側に付勢する第1付勢部材12と、を備えて構成されている。
【0024】
連結部7とパイプ8は一体成形された金属製のものである。連結部7は、パイプ8に対して充分小径に形成された有底円筒状のもので、パイプ8に連通して形成されている。前記アンテナ本体6は、図2(a)に示すように小径の連結部7に外挿し、例えばかしめられることで該連結部7に連結されている。また、連結部7の内部孔は、図2(b)、(c)に示すように前記第1付勢部材12を収容保持する収容部となっている。
【0025】
パイプ8の上端部には、該パイプ8の内部孔に固定カム9が内挿されて取り付けられている。固定カム9には、その上端部に相対向する一対の凸部13、13が形成されており、これら凸部13、13は、パイプ8の上端部に相対向して形成された一対の切欠14、14に係合している。これにより、固定カム9はパイプ8に対して回転不能に内挿され、取り付けられている。
【0026】
また、固定カム9の上端を形成する蓋部9aには、前記カムピン10を摺動可能かつ回転不能に挿通させる挿通孔9bが形成されている。
また、固定カム9の下端部には、図2(b)に示すように第1カム部15が形成されている。第1カム部15は、前記回転カム11の後述する第3カム部と係脱可能に係合するもので、固定カム9の周方向に沿って第1のカム16と第2のカム17とを交互に三つずつ有している。
【0027】
これら第1のカム16、第2のカム17は、いずれも固定カム9の下端からその軸方向上方に延びる切欠によって形成されている。第1のカム16は、固定カム9の下端からその軸方向上方に僅かに延びて形成され、第2のカム17は、固定カム9の下端からその軸方向上方に大きく延びて形成されている。また、これら切欠からなる第1のカム16、第2のカム17は、その上部側(蓋部9a側)が、固定カム9の周方向に沿う線に対し一方が上部側に向かって傾斜する傾斜辺16a、17aとなっている。すなわち、第1のカム16、第2のカム17を形成する切欠の上部側(蓋部9a側)は、図2(b)中の矢印Aで示すパイプ8(固定カム9)の周方向に沿って、上部側に向かって傾斜する傾斜辺16a、17aとなっている。ここで、第1のカム16の傾斜辺16aは、後述する回転カム11の第3カム部を矢印A方向に案内する案内部を兼ねている。
【0028】
また、第1のカム16と第2のカム17との間には、特に前記矢印A方向に沿って第1のカム16と第2のカム17とがこの順に並ぶ箇所において、これら第1のカム16、第2のカム17に対して相対的に下方へ突出する突出部18が形成されている。突出部18は、その下端が、図2(b)中の矢印Aで示すパイプ8(固定カム9)の周方向に沿って、上部側に向かって傾斜する傾斜辺18aとなっている。この傾斜辺18aも、後述する回転カム11の第3カム部を矢印A方向に案内する案内部となっている。
なお、矢印A方向に沿って第2のカム17と第1のカム16とがこの順に並ぶ箇所では、突出部18が形成されることなく、第2のカム17と第1のカム16とが連続して並んでいる。
【0029】
カムピン10は、図2(d)に示すように軸部19と該軸部19の上端に取り付けられたトップ20とからなる略円柱状のものである。軸部19は、図2(b)、(c)に示すように前記固定カム9の蓋部9aの挿通孔9bに摺動可能に挿通したもので、その上端部が固定カム9(パイプ8)の上方に突出している。トップ20は、アンテナ2を本体3から引き出す際に摘む摘み部となるもので、上端面20aが平面となっている。また、この上端面20aより下方には、周方向に沿って溝20bが形成されている。この溝20bに爪か指又は爪を引っかけることにより、トップ20を摘んでアンテナ2を容易に引き上げることができるようになっている。
【0030】
また、軸部19は、その上部側(トップ20側)が前記挿通孔9bに挿通する摺動部となっており、この摺動部には、横断面が小判状となるように、周面の相対向する箇所が一部切り欠かれて回り止めが形成されている。このような回り止めが形成されていることにより、カムピン10は、前記したように固定カム9の蓋部9aの挿通孔9bに対して摺動可能かつ回転不能に挿通している。
【0031】
また、この軸部19は、図2(d)に示すように前記回り止めが形成された箇所より下端側が大径に形成されており、これによって回り止めが形成された上部側と大径の下端側との間に、段差部19aが形成されている。
さらに、軸部19には、その下端部に第2カム部21が形成されている。第2カム部21は、複数(本実施形態では六つ)の切欠21aを有して形成されている。これら切欠21aは、カムピンの周方向に沿って等間隔で形成されたもので、図2(b)に示した矢印A方向に沿って上部側に傾斜する傾斜辺と、矢印A方向に沿って下部側に傾斜する傾斜辺とを有した角状の切欠である。なお、この第2カム部21では、矢印A方向に沿って上部側に傾斜する傾斜辺が、後述するように実質的に第2カム部21のカム機構を構成するものとなっている。したがって、矢印A方向に沿って下部側に傾斜する傾斜辺は、必ずしも傾斜することなく、カムピンの軸線方向に沿って形成されていてもよい。
【0032】
また、このカムピン10には、その軸部19の前記段差部19aより上部側に、コイルスプリングからなる第2付勢部材22が巻回されている。この第2付勢部材22は、その巻き径が段差部19aより下側の大径部の外径より小さく形成されており、これによって段差部19aより下方にずり落ちないようになっている。このような構成のもとに第2付勢部材22は、図2(c)に示すように固定カム9の蓋部9aと段差部19aとの間に保持され、カムピン10の移動に伴って伸縮するようになっている。すなわち、カムピン10を常に回転カム11側に付勢するようになっている。
【0033】
回転カム11は、図2(b)、(c)に示すようにパイプ8の底部側に配置された略円柱状で樹脂製のもので、図2(c)に示すようにその上端の中心部に回動ボス11aを有し、図2(d)に示すように回動ボス11aの周囲に第4カム部23を有し、側周部に第3カム部24を有している。
回動ボス11aは、前記カムピン10の下端面に形成された嵌合穴10aに回動自在に嵌合している。このような構成によって回転カム11は、後述するようにカムピン10の押圧操作によって回動した際、その回動軸をカムピン10の中心軸に合わせて回動するようになっている。
【0034】
第4カム部23は、図4(d)に示すように前記カムピン10の第2カム部21の切欠21aに係合する角状の突起23aが、回転カム11の周方向に沿って所定の間隔をおいて三つ形成されたことで構成されている。これら三つの突起23aは、第2カム部21の切欠21aに対して係脱可能に形成されており、したがって第4カム部23は、カムピン10の第2カム部21に係脱可能に係合するものとなっている。なお、三つの突起23aのそれぞれの間は、突出することなく、したがって切欠21aに係合することのない平坦部となっている。
【0035】
第3カム部24は、三つの突起23aからなる第4カム部23より外側に形成配置されたもので、回転カム11の軸方向に沿って延びる三つの係合条24aによって形成されている。これら係合条24aは、回転カム11の底部を形成する鍔部11b上にて、前記三つの突起23aのそれぞれの側方に形成、配置されたもので、該鍔部11bから回転カム11の軸方向上方に立ち上がって形成されている。これら係合条24aは、その上端面が図2(b)に示した矢印A方向に沿って上部側に傾斜する傾斜面24bとなっている。
【0036】
傾斜面24bは、図3(a)に示すように回転カム11が下降して第3カム部24の係合条24aが第1カム部15の第1のカム16から外れた際(係合が解除された際)、前記固定カム9の第1カム部15における突出部18の傾斜辺18aに対して互いに摺動するようになっている。また、図6(a)に示すように回転カム11が下降して係合条24aが第1カム部15の第2のカム17から外れた際(係合が解除された際)、第1カム部15における第1のカム16の傾斜辺16aに対して互いに摺動するようになっている。そして、傾斜辺18aあるいは傾斜辺16aと傾斜面24bの傾斜方向に案内されることにより、回転カム11はパイプ8における一方の周方向(図2(b)に示した矢印A方向)に回動するようになっている。すなわち、これら傾斜辺18a、傾斜辺16aと傾斜面24bとは、回転カム11を矢印A方向に回動させる案内部となっている。
【0037】
第1付勢部材12は、金属製のコイルスプリングによって形成されたもので、図2(c)に示すようにその下端側が連結部7内に収容保持され、上端側が回転カム11の底部に形成された収容穴11c内に収容保持されている。このような構成によって第1付勢部材12は、回転カム11を常にパイプ8の上端側、すなわち固定カム9の蓋部9a側に付勢している。また、この第1付勢部材12は、その付勢力が、前記第2付勢部材22に比べて常に強く(大きく)なるように設定され、形成されている。したがって、例えば図5(c)に示すように第2付勢部材22が最も短縮し、その付勢力が最も強く(大きく)なり、一方、第1付勢部材12は最も伸長し、その付勢力が最も弱く(小さく)なった状態においても、第1付勢部材12の付勢力は第2付勢部材22の付勢力より強く(大きく)なっている。
【0038】
第1付勢部材12の巻き方向は、回転カム11の回動する方向、すなわち図2(b)中の矢印A方向と同じに形成されている。
また、図2(c)に示すように第1付勢部材12と回転カム11との間、すなわち収容穴11c内には、金属製で円板状の座金(金属板)25が介装されている。これによって第1付勢部材12の上端、すなわち巻き端と回転カム11の収容穴11cの内面とは、直接接しないようになっており、したがって回転カム11の回動に伴って第1付勢部材12の巻き端が回転カム11と擦れ合い、樹脂製の回転カム11が傷付くのが防止されている。
【0039】
このような構成からなる頭部5を備えたアンテナ2は、図1(a)に示すように、頭部5のトップ20がニュートラルの位置、すなわち前記カムピン10が図2(a)〜(d)に示した状態にあるとき、トップ20の上端面20aが、本体3の上端面に略面一となるように、本体3に取り付けられている。すなわち、アンテナ2の非使用時には、アンテナ2の頭部5が本体3から突出しないようになっている。ここで、前記のニュートラルの位置では、図2(b)に示すように回転カム11の第3カム部24の係合条24aが第1カム部15の第1のカム16に係合している。これにより、カムピン10のトップ20(上端部)を、パイプ8から所定の長さ突出させている。
【0040】
なお、図2(a)〜(d)に示した状態では、たとえ携帯電話1の上下を逆にしてカムピン10のトップ20を下方に向けても、第2付勢部材22によってカムピン10が回転カム11側、すなわち携帯電話1の下端部側に付勢されているので、トップ20側が本体3から不測に飛び出してしまうことが防止されている。
【0041】
このような状態からアンテナ2を本体3から引き出すべく、トップ20を押圧すると、図1(b)に示すようにトップ20の上端面20aが本体3の上端面より僅かに沈む。すなわち、このようにしてトップ20を押圧すると、カムピン10は図3(a)、(b)に示すようなトップ20の押し込み途中の状態となる。
【0042】
この状態では、トップ20が押圧されることでカムピン10が下降し、これによって回転カム11が下降することで、図3(a)に示すようその第3カム部24の係合条24aが第1カム部15の第1のカム16から外れる。その際、図3(b)に示すようカムピン10の第2カム部21は、その切欠21aの一方の傾斜辺(図2(b)に示した矢印A方向に沿って上部側に傾斜する傾斜辺)が回転カム11の第4カム部23の突起23aに半分程度しか係合していないため、第1付勢部材12に付勢されて回転カム11が上昇しようとすることにより、前記切欠21aに突起23aが完全に係合しようとして、回転カム11は前記矢印A方向に回動する。
【0043】
トップ20が押圧され、これによって回転カム11が矢印A方向に回動すると、図4(a)〜(c)に示すようにトップ20はその押し込み量が最大となって固定カム9の蓋部9aに当接し、図4(d)に示すように第2カム部21の切欠21aに第4カム部23の突起23aが完全に係合する。また、この状態では、図4(b)に示すように回転カム11の回動により、その第3カム部24の係合条24aの傾斜面24bは第1カム部15の突出部18の傾斜辺18a上に当接する。
【0044】
この状態でトップ20への押圧操作を解除すると、第1付勢部材12の付勢力によって回転カム11は上昇させられる。すると、前記したように第3カム部24の係合条24aの傾斜面24bは第1カム部15の突出部18の傾斜辺18aに当接しているため、回転カム11の上昇に伴われて回転カム11は前記傾斜面24bと傾斜辺18aの傾斜方向に案内され、図5(a)〜(d)に示すように回転カム11は矢印A方向に回動する。
【0045】
この回動により、図5(b)に示すように回転カム11はその第3カム部24の係合条24aが第1カム部15の第2のカム17に係合する。その際、第1付勢部材12の付勢力によって回転カム11は上昇し、これによってカムピン10も回転カム11によって押し上げられる。よって、カムピン10のトップ20は最大に伸長する。すなわち、カムピン10のトップ20は、パイプ8から図2(a)〜(d)に示した前記所定の長さより長い長さ突出する。これにより、図1(c)に示すようにカムピン10のトップ20(上端部)は、本体3の上端面より突出する。
【0046】
よって、このようにカムピン10のトップ20を突出させることにより、トップ20を容易に摘めるようになり、このトップ20を摘み上げることにより、アンテナ2(アンテナ本体6)を本体3から容易に引き出すことが可能になる。
したがって、操作者は、トップ20を摘み、図1(d)に示すようにこれを引き上げることにより、アンテナ2を本体3から引き出すことができる。そして、必要に応じてアンテナ2の先端側を操作し、ノイズのない鮮明な画像が受信できる位置に設定する。
【0047】
また、受信を終了したら、アンテナ2を直立させ、その状態から頭部5を本体3側に押し込み、さらにカムピン10のトップ20を本体3側に押圧する。その際、トップ20の押し込み途中では、図6(a)、(b)に示すように、カムピン10が下降し、これによって回転カム11が下降する。これにより、図6(a)に示すようその第3カム部24の係合条24aが第1カム部15の第2のカム17から外れる。その際、図6(b)に示すようカムピン10の第2カム部21は、その切欠21aの一方の傾斜辺(前記矢印A方向に沿って上部側に傾斜する傾斜辺)が回転カム11の第4カム部23の突起23aに半分程度しか係合していないため、第1付勢部材12に付勢されて回転カム11が上昇しようとすることにより、前記切欠21aに突起23aが完全に係合しようとして、回転カム11は前記矢印A方向に回動する。
【0048】
トップ20が押圧され、これによって回転カム11が矢印A方向に回動すると、図7(a)〜(d)に示すようにトップ20はその押し込み量が最大となり、図7(d)に示すように第2カム部21の切欠21aに第4カム部23の突起23aが完全に係合する。また、この状態では、図7(b)に示すように回転カム11の回動により、その第3カム部24の係合条24aの傾斜面24bは第1カム部15の第1のカム16の傾斜辺16aに当接するようになる。
【0049】
この状態でトップ20への押圧操作を解除すると、第1付勢部材12の付勢力によって回転カム11は上昇させられる。すると、前記したように第3カム部24の係合条24aの傾斜面24bは第1カム部15の第1のカム16の傾斜辺16aに当接するため、回転カム11の上昇に伴われて回転カム11は前記傾斜面24bと傾斜辺16aの傾斜方向に案内され、図2(a)〜(d)に示すように回転カム11は矢印A方向に回動する。これにより、頭部5はニュートラルの状態に戻り、カムピン10のトップ20は図1(a)に示したように本体3の上端面と略面一の状態となる。したがって、アンテナ2は非使用状態、つまり待機状態となる。
【0050】
このようなアンテナ2にあっては、カムピン10を固定カム9に対して回転不能に取り付けており、固定カム9もパイプ8に対して回転不能に取り付けているので、カムピン10を押圧操作した際、該カムピン10はパイプ8に対して回転することがなく真っ直ぐに下がり、したがって操作者は操作時に違和感が無いため、操作がしにくく感じるおそれがない。
さらに、ハートカム機構のような比較的大きな負荷がかかる構造を採用していないため、耐久性が損なわれるおそれもない。
【0051】
また、固定カム9の内部孔に、カムピン10を回転カム9側に付勢する第2付勢部材22を設けているので、携帯電話1の上下を逆にしてカムピン10のトップ20を下方に向けても、第2付勢部材22によってカムピン10を回転カム9側、すなわち携帯電話1の下端部側に付勢していることにより、カムピン10のトップ20側が本体3から不測に飛び出してしまうことを防止することができる。よって、突出部分が不測にぶつかって破損するといったおそれを回避することができる。
【0052】
また、回転カム11とコイルスプリングからなる第1付勢部材12との間に座金25を介装しているので、回転カム11が回動した際、座金25を介して第1付勢部材12(コイルスプリング)に対し回動するので、コイルスプリングの巻き端によって回転カム11が傷つけられるおそれがない。したがって、耐久性が損なわれるおそれがない。
【0053】
また、非使用時には突出部分を無くすことができるため、これを備える携帯電話1は意匠的にも大きな制約を受けることがなくなり、したがって携帯電話1のデザイン自由度を大幅に高めることができる。
【0054】
また、本実施形態の携帯電話1にあっては、前記したように操作性や耐久性が高められたアンテナ2を備えているので、この携帯電話1自体も操作性や耐久性が高められたものとなる。
さらに、前記したように非使用時にアンテナ2をぶつけて破損するといったおそれを回避することができ、また、意匠的に大きな制約を受けることがなく、したがってデザイン自由度を大幅に高めることができ、さらに、プッシュロックプッシュオフ機構をアンテナ2の頭部7内に一体的に設けているので、本体3の小型化を図ることができる。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、回転カム11とコイルスプリングからなる第1付勢部材12との間に座金25を介装したが、このような金属板からなる座金25の配置を省略することもできる。その場合にも、コイルスプリング(第1付勢部材12)の巻き方向を、回転カム11の回動する方向と同じに形成することが好ましい。
このようにすれば、回転カム11が回動してコイルスプリング(第1付勢部材12)に対して摺動した際、このコイルスプリングの巻き端による回転カム11への負荷が軽減され、回転カム11が傷つけられるおそれが少なくなる。したがって、耐久性が損なわれるおそれがない。
【0056】
また、前記実施形態では本発明のアンテナを、地上デジタル放送を受信するアンテナに適用したが、これ以外にも、例えばフルセグ(固定テレビ向けの高画質放送)やマルチメディアサービスであるNOTTV用のアンテナ、通話用電波の送受信用アンテナに適用することもできる。
さらに、本発明のアンテナが適用されるモバイル製品としても、前記の携帯電話に限定されることなく、例えばノート型パソコンやポータブルテレビなど、その他の各種モバイル製品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…携帯電話(モバイル製品)、2…アンテナ(モバイル製品用アンテナ)、3…携帯電話本体(製品本体)、4…頭部、6…アンテナ本体、7…連結部、8…パイプ、9…固定カム、10…カムピン、11…回転カム、12…第1付勢部材、15…第1カム部、16…第1のカム、17…第2のカム、18…突出部、18a…傾斜辺(案内部)、20…トップ、21…第2カム部、21a…切欠、22…第2付勢部材、23…第4カム部、23a…突起、24…第3カム部、24a…係合条、24b…傾斜面(案内部)、25…座金(金属板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7