特許第5723876号(P5723876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723876
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】多次元微細構造の製造
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20150507BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20150507BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20150507BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   G11B5/31 F
   B81C1/00
   B81B1/00
   H01F17/00 C
【請求項の数】22
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-519712(P2012-519712)
(86)(22)【出願日】2010年7月8日
(65)【公表番号】特表2012-533142(P2012-533142A)
(43)【公表日】2012年12月20日
(86)【国際出願番号】US2010041295
(87)【国際公開番号】WO2011005921
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2013年7月5日
(31)【優先権主張番号】12/501,372
(32)【優先日】2009年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタッドニーチュック,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ハバーマス,アンドリュー
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−141394(JP,A)
【文献】 特開2007−005810(JP,A)
【文献】 特開平11−312303(JP,A)
【文献】 特開2003−297632(JP,A)
【文献】 特開昭63−031006(JP,A)
【文献】 特開2004−006458(JP,A)
【文献】 特開2001−176746(JP,A)
【文献】 特表2004−524696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31− 5/325、
H01F 17/00−27/08、27/23、27/29−30/00、
38/42、
H01L 21/3205−21/3213、21/768、
23/52−23/522、
B81B 1/00、
B81C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元微細構造を形成するための方法であって、
第1の誘電材料に第1の導電性経路を埋込むステップと、
前記第1の誘電材料に複数のビア領域をエッチングして、前記第1の導電性経路を選択的に露出させるステップと、
前記複数のビア領域から、前記複数のビア領域の間の前記第1の誘電材料の表面にかけて、連続的に、第1のシード層を形成するステップと、
前記複数のビア領域の各々に前記第1の導電性経路と電気接触した導電性支柱を形成するように前記複数のビア領域に形成された前記第1のシード層の第1の部分を使用するステップと、
前記導電性支柱とは異なる材料を有する導電性素子を一対の前記導電性支柱の間に形成するように、前記複数のビア領域の間の前記第1の誘電材料の表面に形成された前記第1のシード層の第2の部分を使用するステップとを備える、方法。
【請求項2】
各導電性支柱は、直線の垂直側壁形状からなる均一の断面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性素子は、前記一対の導電性支柱の各々から電気的に絶縁されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性素子は強磁性体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の導電性経路および前記導電性支柱から、前記導電性素子を取囲む導電性コイルが形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシード層の前記第2の部分を使用するステップは、
中心領域を規定するパターニング材料を用いて各導電性支柱を埋込むステップと、
前記中心領域の内部の前記第1のシード層の前記第2の部分上に前記導電性素子を形成するステップとを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターニング材料を、前記導電性支柱の全高まで第2の誘電材料に置換えて、前記導電性素子を前記第2の誘電材料に埋込むステップと、
前記一対の導電性支柱を電気的に接続する第2の導電性経路を形成するステップとをさらに備え、前記第2の導電性経路は前記導電性素子にまたがる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の導電性経路は第1の方向に直線状に延在し、前記第2の導電性経路は、前記第1の方向に対して非直交の第2の方向に直線状に延在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の導電性経路を形成する前記ステップは、
前記導電性支柱と前記第2の誘電材料とに接触する第2のシード層を形成するステップと、
前記第2のシード層上に第2の導電性経路を形成するステップとを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の導電性経路は両側の第1の端および第2の端を有し、第1の導電性支柱が前記第1の端に接触係合して形成され、第2の導電性支柱が前記第2の端に接触係合して形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ビア領域は、前記微細構造の中の唯一のエッチングされた特徴である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性素子と前記一対の導電性支柱との間の前記第1のシード層の一部を除去するステップをさらに備え、前記導電性素子と前記一対の導電性支柱との間の前記第1のシード層の一部を除去するステップにより、前記第1のシード層を、前記第1のシード層の第1の部分と、前記第1のシード層の前記第1の部分と電気的に絶縁された前記第1のシード層の前記第2の部分とに分離する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の誘電材料は酸化物である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性支柱は電気めっき作業で形成される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性支柱の各々は、単一の電気めっき作業で形成される一体部品である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記微細構造はインダクタとして特徴付けられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
三次元微細構造装置であって、
第1の導電性経路と、
前記第1の導電性経路を埋め込む第1の誘電材料と、
前記第1の誘電材料の表面に形成された複数のビア領域と前記複数のビア領域の間の前記第1の誘電材料の表面とに設けられ、前記複数のビア領域において前記第1の導電性経路と電気接触する第1のシード層と、
前記複数のビア領域に設けられた前記第1のシード層の第1の部分の上に形成され、前記第1の導電性経路と電気接触する複数の導電性支柱と、
前記複数のビア領域の間の前記第1の誘電材料の表面に設けられた前記第1のシード層の第2の部分の上に形成され、前記導電性支柱とは異なる材料を有する導電性素子と、
前記導電性素子を埋め込む第2の誘電材料と、
一対の前記導電性支柱と前記第2の誘電材料との上に設けられた第2のシード層と、
前記第2のシード層上に設けられ、前記一対の導電性支柱を電気的に接続する第2の導電性経路とを備え、前記第2の導電性経路は前記導電性素子にまたがる、装置。
【請求項18】
前記導電性支柱の各々は、直線の垂直側壁形状からなる均一の断面を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のシード層の前記第1の部分と前記第1のシード層の前記第2の部分とは電気的に絶縁されている、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記導電性素子は強磁性体である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の導電性経路と前記導電性支柱とは、前記導電性素子を囲む導電性コイルを形成する、請求項17〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記微細構造装置はインダクタとして特徴付けられる、請求項17〜21のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
微細構造は、装置構成および動作環境に応じてさまざまな動作を行う一種の小型装置である。いくつかの微細構造は、モータやコイルの場合などは、電気信号を利用して動作するMEMS(メムス)として特徴付けられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
認識され得るように、微細構造の製造は、特定のマクロ装置およびMEMS素子の小型化の進展もあって困難であり得る。そのような製造には、寸法の異なる、公差の小さい部品が必要であり得る。したがって、好適な微細構造を提供するためには多数の複雑な処理ステップが必要となることが多い。
【0003】
これらおよび他の種類の微細構造において、特に製造プロセスの数および複雑度の減少に関して製造効率を高めることがしばしば望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約
本発明のさまざまな実施例は概して、データ記憶装置のデータ変換器に使用するための三次元(3D)微細構造コイルを含むがこれに限定されない、多次元微細構造を形成するための方法に向けられる。
【0005】
いくつかの実施例に従って、本方法は概して、第1の誘電材料に埋込まれた第1の導電性経路を有するベース領域を設けるステップと、各々が、埋込まれた第1の導電性経路に接触する第1のシード層で部分的に充填された複数のビア領域を、第1の誘電材料にエッチングするステップと、複数のビア領域の各々に導電性支柱を形成するように第1のシード層を使用するステップとを含み、各導電性支柱は、ベース領域の上方の第1の距離まで延在する実質的に垂直の側壁を有する。
【0006】
さらなる実施例に従って、本方法は概して、第1の誘電材料に第1の導電性経路を埋込むステップと、第1の誘電材料に複数のビア領域をエッチングして、第1の導電性経路を選択的に露出させるステップと、ビア領域を第1のシード層で部分的に充填するステップと、複数のビア領域の各々に第1の導電性経路と電気接触した導電性支柱を形成するように第1のシード層を使用するステップとを含む。
【0007】
さらに別の実施例では、三次元微細構造装置は、共通のシード層と、各々が共通のシード層の上に形成された少なくとも1つの第1の垂直部品および第2の垂直部品とを有する。第2の垂直部品は第1の垂直部品とは異なる材料で構成され、両垂直部品は、直線の垂直側壁形状からなる均一の断面を有する。
【0008】
本発明のさまざまな実施例を特徴付けるこれらおよび他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および添付の図面に鑑みて理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、例示的な微細構造の全体図である。
図2図1の例示的な微細構造の断面図である。
図3図1の例示的な微細構造の断面図である。
図4A】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4B】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4C】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4D】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4E】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4F】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4G】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図4H】本発明のさまざまな実施例に従って微細構造が製造され得る態様を概略的に示す図である。
図5】本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、例示的な微細構造の等角図である。
図6】本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、例示的な微細構造を示す図である。
図7】電子装置におけるそれぞれの半導体層同士の間の電気的および機械的配線として用いられる、さらに別の例示的な微細構造を示す図である。
図8】本発明のさまざまな実施例に従って実行される、例示的な微細構造製造プロセスのフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本開示内容は概して多次元微細構造の製造に関し、特に、そのような微細構造の製造効率を向上させるために用いられ得る方法および装置に関する。先行技術の微細構造は、多数の複雑なステップを必要とする技術的に困難な作業を用いて形成されることが多い。たとえば、多数の異なる材料を十分な公差内で構成できないことが多い。また、既存の製造技法の中には、異なる導電性材料を同一の微細構造に容易に採用できないものがある。
【0011】
したがって、本明細書では、実質的に垂直の側壁を有する複数の導電性支柱を接続する埋込まれた第1の導電性経路を有する微細構造を提供する微細構造製造技法が開示される。これによって、単純な製造プロセスの使用、および多数の異なる材料の採用が可能になる。したがって、微細構造の部品同士の間の寸法的および構造的関係を変更することによって、微細構造の動作特性を調整し、向上させることができる。
【0012】
図1は、本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、例示的な微細構造100の上面図である。微細構造100は一般に、強磁性体コアなどの、導電性の磁気透過性素子を取囲む導電性コイルを有するインダクタとして特徴付けられる。微細構造100のこのような特徴付けは特定の実施例を示すために過ぎず、請求項に記載された主題を限定しないことが認識されるであろう。
【0013】
微細構造100のコアが、図1において102で示される。取囲んでいる導電性コイルは全体的に104で示され、垂直に延在する導電性経路110を電気的に接続する複数の第1の導電性経路106および第2の導電性経路108を含む。第1の経路(導体)104は下部の誘電体基板(図1には独立して図示せず)に埋込まれており、第2の導体106は、垂直経路(スタンドオフ)100および介在誘電材料(独立して図示せず)によってコア102の上方に支持されている。
【0014】
図2は、図1の線2−2に沿った図1の微細構造100の断面図である。明確にするために、図2には単一の導体106しか示しておらず、この導体106は、図1の線2−2と交差するため、部分断面図で示される。図3は、図1の線3−3に沿った微細構造100を示す。
【0015】
コア102は機械的に支持され、第1および第2の導体106,108ならびにスタンドオフ110から電気的に絶縁されている。垂直のスタンドオフ110は、第1の導体106からコア102の高さの上方のある高度まで延在する導電性支柱として特徴付けられる。いくつかの実施例では、支柱110は、各々が第1および第2の導電性経路106および108の両方に接触結合された一体部品である。しかし、さまざまな導電性経路のそれぞれの向きは、微細構造100の動作特性を調整するために変更され得る。
【0016】
なお、支柱110は、微細構造の垂直の三次元部品として作製されてもよい。そのような垂直部品は、直線の垂直側壁形状からなる均一の断面を有し得る。すなわち、側壁は、既存の製造方法から生じる不均一な断面を有する円錐形状とは異なり、連続的に直線かつ垂直である。
【0017】
他の小型装置に対する微細構造100の利点には、導電性素子102に対するさまざまな導電性経路の多様な位置決めを通じて、比較的厳格な公差を達成可能であることが含まれる。また、多数の異なる材料をさまざまな導電性経路および素子に採用して、微細構造100の動作特性を最大化することができる。このような有利な結果は、誘導センサ、マイクロスピーカ、マイクロアクチュエータ、RF通信装置、振動エネルギハーベスティング、および発電などを含むがこれらに限定されない、さまざまな小型装置について用いることができる。
【0018】
微細構造100のその他の利点は、垂直形状である。このような垂直形状によって、第1の導電性経路106の近くでビア断面の幅を広げ、フラックスの誘導のための電流要件を低減することができる。同様に、垂直形状によって、微細構造100のスケーラビリティを向上させる垂直のビアおよび磁石バーが可能になる。
【0019】
図4A図4Hは、図1図3の微細構造100と全体的に同様の微細構造130の例示的な製造順序を示す。図4Aは、ベース領域として特徴付けられる、第1の誘電材料134に埋込まれた第1の導電性経路132を示す。導電性経路132は、銅種を堆積させた後、予め定められたフォトレジストパターンで銅種に電気めっきをすることによって形成される。第1の導電性経路が完成すると、誘電材料134を堆積させて、第1の導電性経路132を埋込む。誘電材料134は単一の素子または部品に限定されず、酸化物などのさまざまな非導電性材料であり得る。図4には単一の埋込経路132しか示されていないが、図1図3のように、その他の経路を隣接して間隔を空けて同時に形成してもよい。
【0020】
図4Bは、本発明のさまざまな実施例に従った誘電材料134内の複数のビア領域136の形成を概略的に示す。ビア領域136は、第1の導電性経路132の1つ以上の局所領域が電気接続可能であるように露出するように形成され得る。ビア領域136はテーパ状の側壁を有して示されるが、このような構成は必須ではなく、限定されない。たとえば、ビア領域136は非対称であってもよく、さまざまな側壁設計を有し得る。
【0021】
第1のシード層138が、第1の誘電材料134、および第1の導電性経路132の露出部分に隣接して適用される。第1のシード層138はフォトレジストを用いてパターニングされ、図4Cに示すように各ビア領域136に導電性支柱140が形成される。導電性支柱140は、ベース領域の上方の共通の第1の高度距離まで均一に延在して示されるが、所望に応じて、異なる支柱は異なる高さおよび異なる断面寸法を有し得ることが認識されるであろう。
【0022】
導電性支柱140の各々は、ビア領域136および第1のシード層138を介して、第1の導電性経路132の両端に電気的に接続される。導電性支柱140は、さまざまな異なるプロセスで作製され得る。いくつかの実施例では、導電性支柱140は、単一の電気めっき作業を用いて単一片として形成される。他の実施例では、導電性支柱140は、所望の高さにまで支柱を徐々に築く堆積材料の漸増する層で形成される。
【0023】
図4Dは、微細構造130へのパターニング材料142の適用を示す。パターニング材料142は、実質的に垂直の側壁を有する中心領域144を規定しつつ、各導電性支柱140を埋込む。いくつかの実施例では、パターニング材料142は、導電性支柱140の周りに平面を形成し、かつ中心領域144の正確なパターニングを可能にするフォトレジスト作業によって堆積され得る。所望に応じて、図4Eに示すように、中心領域144に導電性材料を堆積させることによって導電性素子146(たとえばコア)が形成される。導電性素子146は、第1の距離および導電性支柱140の全高の下方の、ベース領域の上方の第2の距離まで延在する。導電性素子146の形状および寸法は異なり得、第1の導電性経路132および導電性支柱140は、複数の側において導電性素子146を部分的に囲むように作製され得る。
【0024】
図4Eから、シード層138は、導電性素子146と支柱140を電気的に相互接続する連続経路を形成することが認識されるであろう。所望に応じて、イオンミリングなどの材料除去プロセスを実行して、導電性素子146と支柱140との間のシード層138の一部またはすべてを除去して、図4Fの構成が得られる。このプロセスでは、中心領域144に第2の誘電材料148を埋め戻して、除去したパターニング材料142を置換え、導電性素子146を支柱140から電気的に絶縁することができる。第2の誘電材料148は、支柱140の垂直側壁を覆うが、その頂部はさらなる処理のために露出させたままにしておく。
【0025】
次に、第2の誘電材料148、および導電性支柱140の露出部分に、第2のシード層150を堆積させる。第2のシード層を形成する前に、第2の誘電材料148を化学的機械的研磨処理で研磨してもよい。第2のシード層150には、銅または何らかの他の好適な材料が用いられ得る。
【0026】
図4Gにおいて、導電性支柱140同士の間の電気接続は、第2のシード層150に接触隣接する第2の導電性経路152の作製によってさらに向上する。第1の導電性経路132と同様に、第2の導電性経路152は、電気めっきを含むがこれに限定されないさまざまなプロセスで形成され得る。第2の導電性経路152の形成は、多層化プロセスまたは単一の一体化同時成長プロセスによって促進され得る。第2の導電性経路152の結果、導電性素子146は、導電性素子146の周りで途切れることなく完全に電気信号を変換可能な部品の導電性リングで取囲まれる。このステップでは、多数の第2の導電性経路152が形成され得、図1図3に示されるように、非直交角度に延在して異なる支柱140で終端するように配置され得る。
【0027】
図4Hは、第2の誘電材料148の一部から第2のシード層150を除去し、各導電性支柱140の局所領域から第2のシード層を除去した、微細構造130の完成を概略的に示す。所望に応じて、さらなる量の第2の誘電材料148を堆積させて微細構造130を封入してもよい。
【0028】
図4A図4Hの微細構造130は二次元側面を有するように、すなわち単一の交差平面に沿って形成される。上述のように、このプロセスは、三次元(3D)側面を有する微細構造、すなわち図5に概略的に示されるように、多数の交差平面に沿って存在する構造を形成するように、容易に適合され得る。
【0029】
図5は、本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、例示的な微細構造160を示す。図4A図4Hに示す微細構造の三次元実装によってさまざまな異なる設計を得ることができ、これに対してどの単一の構成も限定的ではない。しかし、第2の導電性経路166に結合された少なくとも1つの垂直導電性経路164に接続された第1の導電性経路162の存在によって、電気信号が導電性素子168を繰返し取囲むことができる。
【0030】
認識され得るように、微細構造160の導電性経路は、導電性素子168の周りに連続的な導電性コイルを形成し得る。しかし、コイルとしてのそのような構成は、第1の誘電材料170、第1のシード層172、および第2のシード層174などの微細構造のさまざまな構造部品を必ずしも無くすとは限らない。また、図5には第2の誘電材料が示されていないが、微細構造160には、導電性表面が露出しないように導電性素子168、導電性支柱174、および第2の導電性経路166を埋込む保護誘電材料が供給されてもよい。
【0031】
なお、微細構造160は、図4A図4Hに示すステップで製造される三次元微細構造の概略図に過ぎない。したがって、三次元微細構造160は、所望に応じて、装置の構造特性および動作特性を調整するために変更され得る。たとえば、導電性支柱174の寸法および位置が、より大量の電流を導電性部材168により近接して流すように変更され得る。さらに別の例では、より多くの導電性経路を利用して、導電性素子168の周りにより多い巻数のコイルを形成してもよい。
【0032】
図6は、本発明のさまざまな実施例に従って構成され動作する、1つのそのような代替の例示的な微細構造180を示す。微細構造180は、図4A図4Hに示すのと同様の態様で、第1の誘電材料184によって部分的に埋込まれ、かつ第1のシード層186に電気的に結合された第1の導電性経路182を有する。しかし、微細構造180は、垂直に積重ねられ、かつ途切れることなく電気信号を搬送可能であるように配置された、複数の導電性支柱188を有する。同様に、多数の導電性素子190が垂直に積重ねられて配置されている。
【0033】
導電性支柱188および導電性素子190を形成する個々の部品が示されているが、図4C図4Eに示される製造プロセスを繰返して単一の導電性支柱188および導電性素子190を作製することができるため、そのような形成は限定的ではない。いくつかの実施例では、導電性支柱188および/または導電性素子190を構成する際にいくつかの異なる材料を使用するが、異なる材料の使用は必須ではない。
【0034】
図7は、本明細書中に開示されたような微細構造を用いて、異なる半導体層202,204の機械的な支持および電気的な相互接続を提供する電子装置200の一部を示す。より具体的には、1つ以上の支柱208および埋込まれた導電性経路210を有する第1の層に第1の微細構造206が形成され、1つ以上の支柱214および埋込まれた導電性経路216を有する第2の層204に第2の微細構造212が形成される。それぞれの支柱208,214は示されるように互いに嵌め合わされて、第2の層204を第1の層に対して固定し相互接続する。1つの層からの支柱が他方の層に形成された特徴の中に入るか他の方法で係合する構成などの他の構成も、容易に想定される。
【0035】
所望に応じて、それぞれの微細構造202,204の内部に中間素子(218として破線で示す)を配置してもよい。当該素子は、上述のような導電性コア、または何らかの他の好適な構成の形態をとり得る。たとえば、素子218は電気ノイズを抑制するために用いられ得、それぞれの層同士の間の回路内電気部品として実現され得る。
【0036】
図8は、本発明のさまざまな実施例に従って実行される例示的な微細構造製造手順220のフローチャートを示す。所与の用途の要件に応じてさまざまなステップが省略され得、また他の付加的なステップが含まれ得ることが認識されるであろう。
【0037】
まず、ステップ222において、第1の誘電材料に埋込まれた第1の導電性経路を有するベース領域を提供する。ステップ224において、第1の誘電材料に複数のビア領域を形成し、第1の導電性経路の局所部分を露出させる。このステップでは、第1の導電性経路の露出部分を被覆する第1のシード層によって、ビア領域を被覆し部分的に充填する。
【0038】
ステップ226において、第1のシード層を用いて、各ビア領域に導電性支柱を形成する。いくつかの実施例では、各導電性支柱はベース領域の上方の第1の距離まで延在し、実質的に垂直の側壁で構成される。導電性支柱が完全に形成されると、ステップ228において、導電性素子を形成するために用いる中心領域を規定するパターニング材料を用いて、各導電性支柱を埋込む。ステップ228は、導電性素子を形成する前に中間ステップが不要であるようにするために、導電性支柱の埋込みと中心領域の規定を同時に行なうように実行可能であるが、そのようなタイミングは限定されず、必須でもない。
【0039】
ステップ230において、パターニング材料を、導電性支柱の側壁を第1の距離まで実質的に被覆しつつ導電性素子を埋込む第2の誘電材料に置換える。さまざまな実施例では、導電性支柱の露出した最上部に第2のシード層をさらに堆積させる。次にステップ232において、第2のシード層上に第2の導電性経路を作製して導電性支柱を電気的に接続するとともに、導電性素子の周りに途切れない導電性経路のコイルを形成する。
【0040】
代替的に、ステップ232は、第2の導電性経路の周りに第2の誘電材料を堆積させて、すべての導電性部品を被覆して導電性部分が露出しないようにするステップを含み得る。図6に示されるように、製造手順200を全体的または部分的に繰返して、さまざまな微細構造構成を作製してもよい。具体的には、複数の巻線で固体導電性素子を囲み、かつインダクタとして動作する連続的な導電性コイルを用いて、三次元微細構造が製造され得る。また、製造手順200のさまざまなステップは限定されず、多様な構造および動作特性を有するさまざまな微細構造を作製するように所望に応じて省略され得るか、異なる順序で実行され得る。
【0041】
当業者によって認識され得るように、本明細書中に記載のさまざまな実施例は、技術的に困難な構成作業が無くなっているため、微細構造の製造効率および複雑度の両方における利点を提供する。置換えられた単純な製造プロセスによって、複雑な形成準備が減少した、より精密な微細構造部品が可能になる。また、垂直の導電性支柱の形成などの、さまざまな製造方法に関連付けられた複雑度を減少させることによって、製造精度を大いに向上させることができる。しかし、本明細書中に記載のさまざまな実施例には多数の潜在用途があり、一定の電子媒体分野または一種のデータ記憶装置に限定されないことが認識されるであろう。
【0042】
さらに、当業者であれば、本明細書中に記載のさまざまな実施例は、より多くの処理ステップおよびより高額な製造コストを伴う、エッチングされたビアの充填を不要とすることによって、微細構造の有利な構成を可能とすることを認識するであろう。実際、深いビア(すなわち高アスペクト比)を充填する場合は、エッチングされたビアの充填はより困難であると判明することが多い。なぜなら、エッチングされたビアはテーパ状の斜面を有している可能性が高いため、底部接触面積が小さくなり、スケーラビリティが問題となるからである。また、扱いにくい形状のビアの内部を充填前に洗浄することがより困難であるため、エッチングされ充填されたビアには、より多量の欠陥が見つかる場合がある。
【0043】
本明細書中に開示されたさまざまな実施例では、さまざまな導電性支柱を、埋込まれた第1の導電性経路の両端に接触係合させているが、このように限定されないことが認識されるであろう。導電性支柱は、所望に応じて、埋込まれた第1の導電性経路に対して配置することができ、第1の導電性経路の中間部に接触係合させることも含まれる。添付の請求項では、「異なる材料」等という用語は、鉄を含まない銅合金や、銅を含まない鉄合金などの、共通の元素を有しない異なる種類の導電性材料を説明するために、上記の説明と一致して解釈されるであろう。
【0044】
上記の説明では、本発明のさまざまな実施例の構造および機能の詳細と共に、本発明のさまざまな実施例の多数の特徴および利点を述べたが、この詳細な説明は例示的なものに過ぎず、詳細な点において、特に、添付の請求項が表現される用語の広範な一般的な意味によって表わされる最大範囲まで本発明の原則内で一部の構造および構成において変更がなされ得ることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6
図7
図8