特許第5723877号(P5723877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5723877ガラス板を保護するための高分子フイルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723877
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】ガラス板を保護するための高分子フイルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 57/00 20060101AFI20150507BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20150507BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   B65D57/00 B
   B65D65/40 D
   B32B17/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-519749(P2012-519749)
(86)(22)【出願日】2010年7月9日
(65)【公表番号】特表2012-532806(P2012-532806A)
(43)【公表日】2012年12月20日
(86)【国際出願番号】US2010041466
(87)【国際公開番号】WO2011006031
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2013年7月9日
(31)【優先権主張番号】61/224,584
(32)【優先日】2009年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤオ−シォン
(72)【発明者】
【氏名】チュー,シー−タァ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホンキュー
(72)【発明者】
【氏名】マイ,スズシエン
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ヒマンシュ シー
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−296938(JP,A)
【文献】 特開2007−262409(JP,A)
【文献】 特開2005−239242(JP,A)
【文献】 特開平09−132263(JP,A)
【文献】 特開2008−265307(JP,A)
【文献】 特開2002−103545(JP,A)
【文献】 特開2007−002008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 57/00
B32B 17/10
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を掻き傷および汚れから保護する方法であって、
前記ガラス板の1つの上に高分子フイルムを配置する工程であって、該高分子フイルムは第1と第2の表面を有し、該第1の表面は前記ガラス板の主面に接触しており、前記第1と第2の表面の両方が、前記ガラス板に対して50g未満の剥がし値および0.5マイクロメートル超の表面粗さRaを有し、前記高分子フイルムが、高分子発泡体の中心コア層および該コア層を挟んだ2つの高分子表皮層を含み、該コア層と表皮層が互いに一体成形されたものである工程、および
追加のガラス板を、該追加のガラス板の主面が前記第2の表面と接触するように前記高分子フイルムに対して配置する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記コア層が、中密度または高密ポリエチレンから形成され、前記表皮層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成されることを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項3】
前記コア層が、該コア層の高分子が80kpsi(約552MPa)超の引張弾性率を有することにより表される剛性を有することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第1と第2の表面が長鎖脂肪酸エステルまたは長鎖脂肪酸アミドのスリップ剤を含むことを特徴とする請求項1からいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記スリップ剤が、100から5000ppmに及ぶ量で前記第1の表面と前記第2の表面に存在することを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項6】
前記スリップ剤がエルカ酸アミドであることを特徴とする請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2009年7月10日に出願された米国特許出願第61/224584号に優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガラス板などの無機板材の包装に関する。特に、本発明は、ガラス板を包装する方法およびその表面を掻き傷および汚染物質から保護する方法に関する。本発明は、例えば、LCDガラス基板を包装し、その無垢な表面を保護するのに、有用である。
【背景技術】
【0003】
LCDディスプレイの製造のためのガラス基板は、掻き傷および表面粒子を実質的に含まない清浄な表面を有する必要がある。そのようなガラス板の包装と輸送は、関与する材料および加工工程により、表面が劣化し、表面に汚染物質が導入されるかもしれないという事実のために、深刻な課題を提示している。このことは、特に、長距離輸送にとって当てはまる。その上、輸送コストを減少させるという要望は、ガラス板をできるだけ高密度に包装すべきであることを意味する。
【0004】
LCDガラス基板を包装するために、様々な方法が使用された。図1に示されたある解決策において、隣接するガラス板101と103の間に、それぞれ、ガラス板101と103の表面に被覆された2層の高分子外面シート105と107、およびこれら2層の高分子シートの間に挟まれた紙シート113を含む、3層のシートが使用された。この手法では、包装時には、高分子フイルム・コーターと高分子フイルムが、包装を解くときには、被覆した高分子フイルムを除去するためのフイルム・ピーラーが必要である。
【0005】
複雑さを低減させ、プロセス工程の数を減少させるために、1層の紙を使用する代わりの解決策が使用された。そこに最少の汚染および掻き傷の源しか含まれず、掻き傷を最少にするために摩擦係数とシェフィールド平滑度が低いスーパー仕上げ表面を有するように加工され、潜在的な汚染物質がガラス表面に移行するのを防ぐように緻密化された、バージンパルプ・グレードの紙シートが、ガラス板の高密度包装に許容されることが分かった。しかしながら、この手法は、上述した3層手法と比べると、著しく多い掻き傷およびくぼみの表面欠陥を示した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、対費用効果と表面保護能力が望ましく組み合わされたガラス板包装方法が必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの態様をここに開示する。これらの態様は、互いに重複してもしなくてもよいことが理解されよう。それゆえ、ある態様の一部は、別の態様の範囲に入るかもしれず、逆もまた同様である。
【0008】
各態様は、多数の実施の形態により示されており、それらの実施の形態は、転じて、1つ以上の特定の実施の形態を含み得る。実施の形態は、互いに重複してもしなくてもよいことが理解されよう。それゆえ、ある実施の形態の一部、またはその特定の実施の形態は、別の実施の形態の範囲、またはその特定の実施の形態に入っても入らなくてもよく、逆もまた同様である。
【0009】
本発明の第1の態様は、ガラス板を掻き傷および汚れから保護する方法であって、
ガラス板の1つの上に高分子フイルムを配置する工程であって、この高分子フイルムは第1と第2の表面を有し、第1の表面はガラス板の主面に接触するものである工程、および
追加のガラス板を、この追加のガラス板の主面が第2の表面と接触するように高分子フイルムに対して配置する工程、
を有してなり、
第1と第2の表面の両方が、そのガラス板に対して50g未満の剥がし値(peel value)および0.5マイクロメートル超の表面粗さRaを有することを特徴とする方法に関する。
【0010】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、その高分子フイルムは、高分子発泡体の中心コア層およびこの中心コア層を挟む2つの高分子表皮層を含み、コア層と表皮層は、互いに一体成形されている。ある実施の形態において、発泡体のコア層は、0.5から20.0マイクロメートルに及ぶサイズを有する気泡を含む。ある実施の形態において、コア層は中密度または高密度ポリエチレンから形成され、表皮層は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成される。
【0011】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、高分子フイルムは、中心コア層およびその中心コア層を挟む2つの高分子表皮層を含み、このコア層は、コア層の高分子が80kpsi(約552MPa)超の引張弾性率を有することにより表される剛性を有し、コア層と表皮層は、互いに一体成形されている。ある実施の形態において、コア層はポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンまたはポリプロピレンから形成され、表皮層は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成される。
【0012】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、高分子フイルムは、紙の中心コア層およびコア層を挟む2つの高分子表皮層を含み、コア層と表皮層は、互いに一体成形されている。ある実施の形態において、表皮層は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成される。
【0013】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、高分子フイルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンまたは二軸延伸ポリプロピレンから形成された高分子発泡体の一体層を含む。ある実施の形態において、この発泡体の一体層は、0.5から20.0マイクロメートルに及ぶサイズを有する気泡を含む。
【0014】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、前記方法は、隣接するガラス板の間に高分子フイルムが挟まれた状態でガラス板の積層体(a stack)が配列されるまで、高分子フイルムを配置し、高分子フイルムに対して追加のガラス板を配置する各工程を繰り返すことを含む。
【0015】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、表皮層は、長鎖脂肪酸エステルまたは長鎖脂肪酸アミドのスリップ剤を含む。
【0016】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、そのスリップ剤は、100から5000ppmに及ぶ量で第1の表面と第2の表面に存在する。ある実施の形態において、スリップ剤はエルカ酸アミドを含む。
【0017】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、高分子フイルムは、約60から300マイクロメートルの総厚さ範囲を有する。ある実施の形態において、高分子フイルムは、中心高分子コア層およびそのコア層を挟む2つの高分子表皮層を含み、コア層と表皮層は、互いに一体成形され、表皮層の高分子は、20から80kpsi(約138から552MPa)に及ぶ引張弾性率を有し、コア層の高分子は、少なくとも80kpsi(約552MPa)の引張弾性率を有する。ある実施の形態において、各表皮層の厚さは、約20から100マイクロメートルに及ぶ。ある実施の形態において、コア層の厚さは約20から100マイクロメートルに及ぶ。
【0018】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、表面粗さRaは1.5から15マイクロメートルに及ぶ。
【0019】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、高分子フイルムの第1と第2の表面は、この高分子フイルムの表面粗さRaよりずっと大きいサイズのうねりの存在により特徴付けられる。
【0020】
本発明の第1の態様のある実施の形態において、スリップ剤は、ガラス板が表皮層中の成分により汚されるのを防ぐバリア層として機能する。
【0021】
本発明の1つ以上の態様および/または実施の形態は、以下の利点の内の1つ以上を有する。第1に、上述した構造を有する分離高分子フイルムの使用には、包装時のガラス板の表面への高分子フイルムの積層または包装を解くときのガラス板の表面からのその剥離が必要ない。第2に、高分子フイルムがスリップ剤を含む場合、そのフイルムは、保護すべき表面にスリップ剤の一部を移行させるように働くことができ、これにより、表面に対する保護をさらに向上させることができる。
【0022】
本開示の追加の実施の形態は、一部には、詳細な説明、および以下の任意の請求項に述べられており、一部には、その詳細な説明から考えられるか、または本開示の実施によって確認することができる。先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、単に例示で説明であり、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものではないことが理解されよう。本明細書に含まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の特定の実施例を示しており、前記説明と共に、制限するものではなく、本開示の原理を説明するように働く。図面全体に亘り、同様の数は同じ要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】フイルムの間に紙のシートが挟まれた、ガラス上に被覆された高分子フイルム(3層システム)を使用した従来技術の保護解決策の説明図
図2】隣接するガラス板の間に、2つの高分子表皮層により挟まれた中心発泡体コア層を含むフイルムを使用した、本発明の第1の実施の形態の説明図
図3】2つの高分子表皮層により挟まれた中心コア層を含み、コア層が表皮層よりも堅いフイルムを、隣接するガラス板の間に使用した本発明の第2の実施の形態の説明図
図4】2つの高分子表皮層により挟まれた中心紙コア層を含むフイルムを、隣接するガラス板の間に使用した本発明の第3の実施の形態の説明図
図5】一体発泡体層を含む分離フイルムを隣接するガラス板の間に使用する、本発明の第4の実施の形態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、高分子フイルムを使用してガラス板を掻き傷および汚れから保護する方法に関する。高分子フイルムは、高分子シートより小さい厚さを有するものと解釈されるかもしれないが、高分子フイルムおよび高分子シートという用語は、本開示において交換可能に使用される。差込み高分子フイルムは、ガラスに対する粘着性が弱いものであり、緩衝作用によってガラスを掻き傷から保護するエアポケットを提供し、包装を解く最中にガラス板を分離するのを助けるのに十分な表面粗さを有する。その上、フイルムの外面を形成するのに、軟質高分子(低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン)が用いられ、このことは、ガラスの表面を粒子の押付けおよびその結果としての掻き傷から保護するのに役立つ。これは、差込み紙材料の1枚のシートに勝る、並びに間に差込み紙を挟んだガラス板上のVisqueen高分子フイルムの使用に勝る改善点である。本開示の高分子フイルムにより、ガラス成形プラント間の輸送中、並びに顧客への輸送とガラス加工プラントの顧客での取扱い中に、延伸方向の底部からのガラス表面の掻き傷が防がれる。
【0025】
この方法において、高分子フイルムの第1の表面は、ガラス板の主面と接触するように配置される。追加のガラス板が、この追加のガラス板の主面が高分子フイルムの第2の表面と接触するようにそのフイルムに対して配置される。このフイルムの第1と第2の表面の両方が、ガラス板に対して50g(グラム)未満の剥がし値および0.5マイクロメートル(0.5×10-6メートル)超の表面粗さRaを有する。この剥がし値は、以下に記載する譲受人コーニング社(Corning, Inc.)による手法にしたがって示される。
【0026】
この方法のある実施の形態は、高分子発泡体の中心コア層およびそのコア層を挟む2つの高分子表皮層を含む高分子フイルムの使用を特徴とする。コア層および表皮層は、互いに一体成形されている。発泡体コア層は、0.5から20.0マイクロメートルまたはそれより大きい範囲のサイズを有する気泡を含み得る。コア層は、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、好ましくは中密度ポリエチレンから形成することができる。表皮層は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマー、好ましくは低密度ポリエチレンから形成される。
【0027】
この方法の別の実施の形態は、中心コア層およびこの中心コア層を挟んだ2つの高分子表皮層を含む高分子フイルムを使用する。このコア層は表皮層より堅く、コア層の高分子は、80kpsi(約552MPa)超、特に、100kpsi(約690MPa)超の引張弾性率(ASTM D638)により表される剛性を有する。コア層および表皮層は、互いに一体成形されている。コア層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレンまたはポリプロピレンから形成される。表皮層は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成される。
【0028】
この方法の別の実施の形態は、紙の中心コア層およびこのコア層を挟んだ2つの高分子表皮層を含む高分子フイルムを使用する。コア層と表皮層は、互いに一体成形されている。表皮層は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーから形成される。
【0029】
この方法のさらに別の実施の形態は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンまたは二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)から形成された高分子発泡体の一体層を含む高分子フイルムを使用する。この発泡体の一体層は、0.5から20.0マイクロメートルに及ぶサイズを有する気泡を含む。
【0030】
この方法のある有利な実施の形態において、隣接するガラス板の間には高分子フイルム以外に他の層はない(すなわち、ガラスには高分子フイルムの被覆はなく、別の差込み紙材料もない)。表皮層およびコア層は、高分子フイルムの副層と考えられる。しかしながら、本発明のある実施の形態において、高分子フイルムの存在に加え、保護すべきガラス板の表面に追加の保護層が存在してもよいことが除外されるものではない。
【0031】
この方法のさらに別の詳細に関して、高分子(フイルムの表皮層に形成される前)は、例えば、20から80kpsi(約138から552MPa)に及ぶ引張弾性率(ASTM D638)を有し得る。コア層のより高い引張弾性率は、80kpsi(約552MPa)、特に、100kpsi(約690MPa)超であり得る(ASTM D638)。発泡体の一体層を含む高分子フイルムについて、コア層は、より低いまたはより高い引張弾性率のいずれか、好ましくはより高い引張弾性率を有し得る。適切な引張弾性率は、荷重および未荷重プロセス中に高分子フイルムの取扱いを容易にするものである。高分子フイルムを配置し、その高分子フイルムに対して追加のガラス板を配置する各工程は、隣接するガラス板の間に高分子フイルムを挟んだ状態でガラス板の積層体が配列されるまで、繰り返される。表皮層は、長鎖脂肪酸エステルまたは長鎖脂肪酸アミドのスリップ剤を含み得る。そのスリップ剤は、100から5000ppmに及ぶ量で高分子フイルムの第1の表面と第2の表面に存在し得る。ある特別なスリップ剤はエルカ酸アミドである。ある実施の形態において、高分子フイルムは、約60から300マイクロメートル、特定の実施の形態において、60から120マイクロメートルに及ぶ総厚さを有し得る。ある実施の形態において、高分子フイルムは、中心コア層およびこのコア層を挟んだ2つの高分子表皮層を含み、コア層と表皮層は、互いに一体成形されている。表皮層およびコア層は、上述したように、それぞれ、より低いおよびより高い弾性率を有し得る。この場合、各表皮層の厚さは、約20から100マイクロメートル、ある実施の形態において、20から40マイクロメートルに及び得る。コア層の厚さは、約20から100マイクロメートル、ある実施の形態において、20から40マイクロメートルに及び得る。
【0032】
ここに用いたように、スリップ剤は、そのスリップ剤を含有する高分子フイルム材料の加工中と加工の直後に表面潤滑を与える。スリップ剤は、高分子フイルム材料中に配合されたら、それが向けられる表面に徐々に移行する内部潤滑剤として働く。本開示において、潤滑剤は、スリップ剤を含有する高分子フイルム材料と接触するガラス板の表面に与えられる。
【0033】
本開示の高分子フイルムは利点を与える。例えば、Visqueenフイルムとは異なり、高分子フイルムは、ガラス板上に積層されず、それゆえ、余計なプロセス工程を加え、製造コストを増加させる、高分子フイルム・コーターおよびフイルム・ピーラーを必要としない。本開示の高分子フイルムは、特定の表面粗さRaおよび以下の剥がし手法に論じられる低い剥がし値を有するので、ガラスに強力に接着するという欠点がない。また、本開示の高分子フイルムは、ガラスを、グラシン紙よりも良好に掻き傷から保護する。本開示の高分子フイルムは、輸送のために縁が研磨されていないガラスを包装するとき、またはコーニング社のDensePak(商標)プロセスを使用した輸送のために縁の研磨されたガラスを包装するときに、使用できる。
【0034】
本発明を、特定の実施の形態の説明によってさらに説明するが、これらの実施の形態は制限を意図したものではない。
【0035】
ある例示の方法において、高分子フイルムの第1の表面は、ガラス板の主面と接触するように配置されている。追加のガラス板が、その追加のガラス板の主面がその高分子フイルムの第2の表面と接触するように、そのフイルムに対して配置される。そのフイルムの第1と第2の表面の両方とも、ガラス板に対して50g(グラム)未満の剥がし値および0.5マイクロメートル(0.5×10-6メートル)超の表面粗さRaを有する。ある実施の形態において、高分子フイルムは、2つの表皮層により挟まれた中心コア層を含み得る。軟質表皮層の高分子は、20から80kpsi(約138から552MPa)に及ぶ引張弾性率を有する。より堅い材料が望ましい場合、その高分子(例えば、コア層の)は、80kpsi(約552MPa)超の引張弾性率を有し得る。発泡体の一体層501の場合、それは、ここに記載したものよりも低いまたは高い引張弾性率、好ましくは低い値を有し得る。その上、高分子フイルムは、約60から300マイクロメートルに及ぶ総厚さを有する。各表皮層の厚さは、約20から100マイクロメートルに及び得る。コア層の厚さは約20から100マイクロメートルに及び得る。本開示に称される剥がし値は、以下に記載する、譲受人のコーニング社による無接着剤フイルムに関する剥がし強度試験に基づく。高分子フイルムは、図2〜5に示されるように、4つの変種の内の1つであり得る。
【0036】
図2に示された実施の形態における高分子フイルム200の各々は、中心発泡体コア層201およびこのコア層を挟んだ2つの外側高分子表皮層203を含む。表皮層は、無機ガラス材料の平らな表面に対する付着能力が低い第1と第2の外面205,207を有する。表皮層は、スリップ機能を提供するスリップ剤を含んでも差し支えない。コア層は、表皮層の内面213,215と接触する外面209,211を有し、そのコア層の外面は、緩衝作用のためのミクロまたはマクロの気泡構造を有する。本開示の図面の全てにおいて、明瞭さのために、高分子フイルムは、積層体のガラス板(ガラス板101,103および217)に対して拡大図で示されている。圧縮荷重下にある実際の積層体において、表皮層の外面205,207は、隣接するガラス板の第1の対のガラス板101,103の内面109,111と接触し、外面205,207は、積層体の隣接するガラス板の第2の対のガラス板103,217の内面219,221と接触し、積層体の残りの高分子フイルムとガラス板について、以下同様であろう。
【0037】
高分子フイルム200において、表皮層の高分子は、低密度ポリエチレン(例えば、0.93g/cm3未満の密度を有する)、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーである。コア層の高分子は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン(例えば、約0.94g/cm3の密度を有する)または高密度ポリエチレン(例えば、0.94から0.97g/cm3の密度を有する)、好ましくは中密度ポリエチレンである。コア層の発泡体は、各々が約0.5から20.0マイクロメートルまたはそれより大きい範囲のサイズを有する気泡構造を有する。コア層の発泡体を製造するのに使用できる化学的発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミド;修飾アゾジカルボンアミド;4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド);トリヒドラジノトリアジンが挙げられる。当該技術分野に公知の他の化学的発泡剤を使用しても差し支えない。その発泡体を製造するのに使用できる物理的発泡剤の例としては、窒素またはハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0038】
図3に示された実施の形態における高分子フイルム300の各々は、中心高分子コア層301およびこのコア層を挟んだ2つの外側高分子表皮層303を含む。表皮層は、無機ガラス材料の平らな表面に対する付着能力が低い第1と第2の外面305,307を有する。表皮層は、スリップ機能を提供するスリップ剤を含んでも差し支えない。コア層は、表皮層の高分子とは異なり、それより大きい剛性を有する高分子の層を含む。コア層の外面309,311は表皮層313,315と接触する。圧縮荷重下にあるガラス板の積層体において、表皮層の第1の外面305は、積層体のガラス板の第1の対のガラス板101の内側ガラス面109と接触する一方で、表皮層の第2の外面307は、隣接するガラス板103の内側ガラス面111と接触している。表皮層の第1の外面305は、積層体のガラス板の第2の対のガラス板103の内側ガラス面219と接触する一方で、表皮層の第2の外面307は、隣接するガラス板217の内側ガラス面221と接触している。交互の高分子フイルムとガラス板が、積層体全体に亘り続くであろう。
【0039】
高分子フイルム300において、表皮層の高分子は、低密度ポリエチレン(例えば、0.93g/cm3未満の密度を有する)、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーである。コア層の高分子は、剛性ポリスチレン、ポリプロピレンまたはPETである。表皮層の低い剛性は、室温で20から80kpsi(約138から552MPa)(特に、約30から60kpsi(約207から414MPa))に及ぶ引張弾性率を有する表皮層高分子により反映される。コア層の剛性は、室温で80kpsi(約552MPa)超(特に、150kpsi(約1035MPa)超)に及ぶ引張弾性率を有する堅いコア層高分子により反映される。コア層の剛性は、高分子フイルムを保持するための吸引および機械式クリッパを使用する機械器具がそのフイルムを容易に取り扱えるような程度である。
【0040】
図4の高分子フイルムの各々は、中心紙コア層401およびこのコア層を挟んだ2つの外側高分子表皮層403を含む。表皮層は、無機ガラス材料の平らな表面に対する付着能力が低い第1と第2の外面405,407を有する。表皮層は、スリップ機能を提供するスリップ剤を含んでも差し支えない。表皮層の高分子は、低密度ポリエチレン(例えば、0.93g/cm3未満の密度を有する)、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンコポリマーである。紙は、緩衝作用を提供するどのような適切な紙、例えば、クラフト紙またはここに引用する国際公開第2008/002584号パンフレットに記載された紙であって差し支えない。その紙は、気孔率のために緩衝作用と剛性を与える。紙は、表皮層の内面413,415と接触する外面409,411を有する。圧縮荷重下にあるガラス板の積層体において、表皮層の第1の外面405は、積層体のガラス板の第1の対のガラス板101の内側ガラス面109と接触する一方で、表皮層の第2の外面407は、隣接するガラス板103の内側ガラス面111と接触している。表皮層の第1の外面405は、積層体のガラス板の第2の対のガラス板103の内側ガラス面219と接触する一方で、表皮層の第2の外面407は、隣接するガラス板217の内側ガラス面221と接触している。交互の高分子フイルムとガラス板が、積層体全体に亘り続くであろう。
【0041】
図5の高分子フイルムは、高分子発泡体の一体層501を含む。この発泡体は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンまたは二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)から製造される。この発泡体を製造するのに使用される発泡剤は、図2の高分子フイルム200の発泡体を製造するのに使用される発泡剤と同じであって差し支えない。しかしながら、BOPPを使用して発泡体を製造する場合、発泡剤は使用されず、むしろ、発泡体は延伸によって生じる。発泡体は外面503,505を有する。圧縮荷重下にある積層体において、第1の外面503は、積層体のガラス板の第1の対のガラス板101の内面109と接触する一方で、第2の外面505は、隣接するガラス板103の内面111と接触している。第1の外面503は、積層体のガラス板の第2の対のガラス板103の内面219と接触する一方で、第2の外面505は、隣接するガラス板217の内面221と接触している。交互の高分子フイルムとガラス板が、積層体全体に亘り続くであろう。
【0042】
高分子フイルムは、それ自体をガラス板に掻き傷保護を与えるのに適したようにする性質を有する。ここに記載されたフイルムの全ては、以下の性質を1つ以上有し得る。高分子フイルムは、スリップ剤の有無にかかわらず使用して差し支えない。スリップ剤を使用する場合、高分子フイルムの各表面上のスリップ機能性またはスリップ剤の量は、100から5000ppmに及び、特に500から1000ppmに及ぶ。スリップ剤は、高分子から移行し、フイルムの両外面に現れる(すなわち、表皮層の外面から、または発泡体層501の外面503,505から)。高分子フイルムの各側は、以下に記載する剥がし試験にしたがって50g未満(例えば、0から50gまで)の無機ガラス材料の平らな表面に対する低い付着能力を有する。各表皮層の外面の表面粗さRaは、0.5マイクロメートル、特に1.5から15マイクロメートルの範囲にある。Ra値は、高分子フイルムの表面上の高分子材料のピークの相加平均高さである。反対に、Visqueenフイルムの片側は、0.005から0.025マイクロメートルの範囲にある低い表面粗さRaまたは鏡面仕上げを有することが知られている。コア層の特徴により、ここに開示された表皮層の表面粗さRaよりもずっと大きい規模で表面にうねりを有する表皮層を提供できる。例えば、これらのうねりは、高分子フイルム200と501(図2および5)における発泡体の気泡により、高分子フイルム300(図3)のコア層により、また紙400(図4)により、与えることができる。フイルム全体の厚さは60から300マイクロメートル(例えば、60から120マイクロメートル)に及び得る。表皮層の各々は、20から100マイクロメートル(例えば、20から40マイクロメートル)の範囲の厚さを有し得、コア層は、20から100マイクロメートル(例えば、20から40マイクロメートル)の範囲の厚さを有し得る。フイルムの構成要素(例えば、表皮層およびコア層)の厚さを選択することにより、所定の剛性を有する材料が、掻き傷のレベルに潜在的に影響を与えて、特定の輸送および包装設備に合う柔軟性および硬度の異なるレベルを釣り合わせることを都合よく可能にする。自立性であるほど高い剛性を高分子フイルムに与えることは要件ではない。何故ならば、フイルムをガラス板の積層体中に装填する最中に、送達システムが、吸引および機械式クリッパによりフイルムを保持するからである。
【0043】
高分子フイルムの機能は、ガラス片などのガラスの表面上の粒子を、フイルムの軟質外側表皮層中に捕捉するおよび/または吸収することによって、擦り傷を防ぐことにある。この掻き傷保護は、フイルム上にガラス板の積層体の圧縮荷重中に行われるであろう。粒子は、サイズがサブミクロンおよびそれより大きくて差し支えない。粒子は、同様にコア層によって吸収されても差し支えない。スリップ剤は、高分子から移行し、フイルムの外面に現れて、フイルムの両側の隣接するガラス板と接触させられる。スリップ剤は、粒子を、裸のガラスに対するよりもむしろ、スリップ剤の材料上で摺動させるであろう。隣接するガラス板の間に高分子フイルム以外の材料の他の層は必要ない(すなわち、ガラス上に紙も積層被覆もない)が、それを含むことが排除されるわけではない。
【0044】
スリップ剤として適しているであろう化合物としては、少なくとも1種類の長鎖脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドが挙げられる。本開示の長鎖脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドは、14から36の炭素原子に及ぶ飽和および不飽和の通常の脂肪酸の誘導体である。代表的な脂肪酸は、例えば、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンコサン(hencosanoic)酸、デコサン(decosanoic)酸、テトラコサン(tetracosanoic)酸、ペンタコサン(pentacosanoic)酸、トリコサン(tricosanoic)酸、ヘキサコサン(hexacosanoic)酸、トリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸、ヘントリアコンタン酸、ペンタトリアコンタン酸、ヘキサトリアコンタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸およびヘキサトリエイソコンタン(hexatrieisocontanoic)酸(C36)、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸およびセトレイン酸などが挙げられる。
【0045】
長鎖脂肪酸アミドはスリップ剤として好ましく、適切なスリップ剤には、次のうち1つ以上が含まれ得る:不飽和脂肪酸モノアミド(例えば、オレアミド、エルカ酸アミド、リシノールアミド);飽和脂肪酸モノアミド(好ましくは、ラウリン酸アミド、パルミトアミド、アラキドアミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、12 ヒドロキシステアリン酸アミド);N−置換脂肪酸アミド(例えば、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ベヘニルステアリン酸アミド、N−オレイルオレアミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エルシルエルカ酸アミド、エルシルステアリン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミトアミド);メチロールアミド(例えば、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド);不飽和脂肪酸ビスアミド(例えば、エチレンビス−オレアミド、ヘキサメチレンビス−オレアミド、N,N'−ジオレイルアジポアミド、エチレンビス−オレアミド、N,N'−ジオレイルセバカミド);飽和または不飽和脂肪酸テトラアミド;および飽和脂肪酸ビスアミド(例えば、メチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−イソステアリン酸アミド、エチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルアジポアミド、N,N'−ジステアリルセバカミド)。
【0046】
適切であろう特定の長鎖脂肪酸アミドは、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレアミド、およびベヘン酸アミドである。脂肪酸アミドは、Humko Chemical Company社から市販されており、その例としては、Kemamide S(ステアリン酸アミド)、Kemamide U(オレアミド)、Kemamide E(エルカ酸アミド)が挙げられる。さらには、脂肪酸アミドは、Croda Universal Ltd.社から市販されており、その例としては、Crodamide OR(オレアミド)、Crodamide ER(エルカ酸アミド)、Crodamide SR(ステアリン酸アミド)、Crodamide BR(ベヘン酸アミド)が挙げられる。
【0047】
フイルム表面上のスリップ剤は、高分子樹脂中の移動性低分子量有機成分を妨げるバリア層として働く。この成分は有機汚れの潜在源であろう。ガラス上に存在するどのようなスリップ剤も、ブラシ、超音波、水ジェット噴射、および10〜12のpHでの洗浄剤(例えば、水酸化カリウム洗浄剤)を含む公知の洗浄プロセスを使用して、仕上げラインで洗い流される。
【0048】
スリップ剤は、粉末としてポリエチレン樹脂中に直接提供しても、マスターバッチとして混合し、次いで、これを全体のポリエチレンバッチに加えても差し支えない。高分子フイルムは、当該技術分野に公知のようなキャストまたはインフレートフイルムプロセスによって製造できる。キャストプロセスにおいて、フイルムは、冷却ロールまたはチル・ロール上に押し出され、次いで、フイルムに適切な表面粗さRaを与えるゴム製ニップ・ロールを通過する。
【0049】
以下に、ここに参照する剥がし試験の手法を記載する。未被覆ガラスサンプルを清浄な作業面上に配置する。ガラスサンプルを洗浄する。フイルムの未汚染の触れられていない5”×5”(約12.5cm×12.5cm)のサンプルをガラス上に配置し、たった2回のローラ動作を使用して、10ポンド(約4.5kg)のローラにかける。この設備は、引張強さ試験機である、TA.XTテキスチャー・アナライザの台の上にサンプル・ジグを含む。ユニバーサル・ジョイントをこのテキスチャー・アナライザのアームに取り付け、それにS字フックを引っ掛ける。スコッチ(登録商標)両面テープを0.25インチ(約6.25mm)厚で4インチ(約10cm)平方のアルミニウム板の四つ角全てに貼り付ける。板の角にある4つのアイフックを使用して、この板を釣り糸を介してS字フックにより吊り下げる。板をブラケットに合わせ、表面から約1mmの高さまで降下させる。調製したガラス/フイルムサンプルをこの板の下の中心に置く。フイルムの四辺を板の両面テープに固定し、良好な接触を確実にする。サンプルをブラケット中に摺動させ、ガラスを台にしっかりと固定する。この装置は、板を0.2mm/秒の速度で引き上げるときの力を測定する。板は、運転の終わりに平らでなければならない。ガラスからフイルムを持ち上げるのに必要な力を測定し、剥がし値としてグラムで記録する。
【実施例】
【0050】
ここで、本開示は、以下の実施例により説明を与える。これらの実施例は、説明を目的としたものであり、特許請求の範囲に定義された本発明を制限するように解釈されるべきではない。
【0051】
実施例1
エルカ酸アミドを吸収した1枚の高分子フイルム(「SL高分子フイルム」)と接触したガラス表面を、清浄なグラシン紙と接触したガラス表面およびVisqueenフイルムを有するガラス表面(すなわち、フイルムを手動で剥がし、取り除いたという点で、Visqueen/紙/Visqueenシステム)と共に比較した。高分子フイルムサンプルは3つの複層を含み、その1つは、中心の中密度ポリエチレンコア層である。このコア層は発泡体から製造した。低密度ポリエチレンの2つの外側表皮層がコア層を挟んでいた。フイルムの総厚さは、約110から120マイクロメートルに及んだ。表皮層は、500ppmの量でエルカ酸アミドが配合されていた。これは、図2に示された高分子フイルム200であり、ここに記載した引張弾性率、表面粗さRaおよび剥がし値を有する。各差込みタイプについて、第8世代のサイズの100枚のガラス板を別々のケースにパックし、次いで、仕上げラインに載せた。サンプル1および2は、違う週に運転した。結果が、以下の表1に列記されている。
【0052】
欠陥は、ガラスにストロボ光を通し、走査カメラを使用して欠陥の位置を見つけることによって、測定される。制御可能な収率は、試験したガラス板の総数の中で品質基準に合格したガラス板の百分率として定義される。
【表1】
【0053】
手動で剥がしたVisqueenフイルムと高分子フイルムを使用して、最低数の欠陥と最良の収率が達成されたのに対し、最低の収率は清浄なグラシン紙からであった。
【0054】
実施例2
100枚のガラス板(第5.5世代)を、それぞれ、グラシン紙、Visqueenフイルム、および高分子フイルム200により別々にパックした。高分子フイルム200は、剥がし値、剛性、および表面粗さRaを有した。次いで、ガラスの梱包を解き、洗浄した。実施例1に記載したように、表面欠陥を測定した。その結果が、以下の表2に示されている。
【表2】
【0055】
表2は、高分子フイルム200が、グラシン紙と比べて、非常に良好な収率と少ない欠陥数を有し、これはVisqueen材料のものに匹敵することを示している。
【0056】
本発明の数多くの改変および変種が、先の開示に鑑みて当業者に明白であろう。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に示し説明したのとは他の様式で実施できることが理解されよう。
【符号の説明】
【0057】
101,103,217 ガラス板
105,107 高分子外面シート
113 紙シート
200,300,400,500 高分子フイルム
201 中心発泡体コア層
203,303,403 高分子表皮層
301 中心高分子コア層
401 中心紙コア層
501 高分子発泡体の一体層
図1
図2
図3
図4
図5