特許第5723897号(P5723897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723897
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】切削液の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   B23Q11/10 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-6796(P2013-6796)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-136298(P2014-136298A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2013年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】513014226
【氏名又は名称】株式会社 CEM
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】山科 成司
(72)【発明者】
【氏名】北川 実
【審査官】 足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−110412(JP,A)
【文献】 特開2010−214491(JP,A)
【文献】 特開平09−085577(JP,A)
【文献】 実開平05−016112(JP,U)
【文献】 特開平06−047649(JP,A)
【文献】 実開平06−075638(JP,U)
【文献】 特開2002−167594(JP,A)
【文献】 特開平10−29132(JP,A)
【文献】 特開2008−289978(JP,A)
【文献】 特公平7−115276(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続する水用の流入部から希釈済の切削液用の排出部に至るまで一連に連続する第1の管路と、原液タンクに接続する原液用の流入部から前記第1の管路の途中に合流させるまでの第2の管路と、前記第1の管路に装着する開閉弁、水用の流量センサ、ミキシングポンプと、前記第2の管路に装着する原液ポンプ、原液用の流量センサと、制御装置とを備えてなり、前記第2の管路は、前記ミキシングポンプの吸引側において前記第1の管路に合流させ、前記ミキシングポンプは、前記水用の流入部から流入する水と前記第2の管路から合流する原液とを吸引して撹拌混合し、所定圧力に加圧して希釈済の切削液として前記排出部から排出し、前記制御装置は、前記水用、原液用の流量センサによってそれぞれ計測する水流量、原液流量に基づき、所定の希釈率が得られるように前記原液ポンプを速度調整することを特徴とする切削液の供給装置。
【請求項2】
前記第1の管路は、前記排出部の上流側にアキュムレータを分岐して装備することを特徴とする請求項1記載の切削液の供給装置。
【請求項3】
前記第1の管路は、前記排出部の上流側に圧力センサまたは圧力スイッチを分岐して装備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の切削液の供給装置。
【請求項4】
前記開閉弁の入口側、前記原液用の流量センサの出口側、前記ミキシングポンプの吐出側には、それぞれ逆止弁を装着することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の切削液の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水と水溶性の切削油剤の原液とを混合し、所定の希釈率に希釈して切削液として外部に連続的に供給することができる切削液の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において、切削工具の刃先を冷却・潤滑するために、水溶性の切削油剤の原液を適切に希釈し、切削液として供給する切削液の供給装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
従来の切削液の供給装置は、原液ポンプによって原液タンクからの切削油剤の原液を送出する管路に対し、工業用水(工水)や水道水などの圧力水を供給する圧力水管を合流させることにより、原液を所定の希釈率に希釈して希釈液タンクに貯留する。希釈液タンクには、切削液ポンプが接続され、希釈液タンク内の希釈液は、切削液ポンプを介し、切削液として工作機械に供給される。ただし、原液ポンプは、圧力水の流量に基づいて原液の吐出量を調整し、希釈液タンク内に貯留する希釈液の希釈率を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−110412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、切削液の供給装置は、原液タンクに加えて大容量の希釈液タンクを含むから、全体容積や設置スペースが過大になりがちであり、使い勝手がよくないという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、水用の第1の管路に原液用の第2の管路を合流させてミキシングポンプを通過させることにより、希釈液タンクを省略して全体容積や設置スペースを大幅に小形化することができる切削液の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、給水源に接続する水用の流入部から希釈済の切削液用の排出部に至るまで一連に連続する第1の管路と、原液タンクに接続する原液用の流入部から第1の管路の途中に合流させるまでの第2の管路と、第1の管路に装着する開閉弁、水用の流量センサ、ミキシングポンプと、第2の管路に装着する原液ポンプ、原液用の流量センサと、制御装置とを備えてなり、第2の管路は、ミキシングポンプの吸引側において第1の管路に合流させ、ミキシングポンプは、水用の流入部から流入する水と第2の管路から合流する原液とを吸引して撹拌混合し、所定圧力に加圧して希釈済の切削液として排出部から排出し、制御装置は、水用、原液用の流量センサによってそれぞれ計測する水流量、原液流量に基づき、所定の希釈率が得られるように原液ポンプを速度調整することをその要旨とする。
【0008】
なお、第1の管路は、排出部の上流側にアキュムレータを分岐して装備することができ、排出部の上流側に圧力センサまたは圧力スイッチを分岐して装備することができる。
【0009】
また、開閉弁の入口側、原液用の流量センサの出口側、ミキシングポンプの吐出側には、それぞれ逆止弁を装着してもよい。
【発明の効果】
【0010】
かかる発明の構成によるときは、第1の管路のミキシングポンプは、水用の流入部から流入する水と、第2の管路から合流する切削油剤の原液とを吸引して所定圧力に加圧し、十分均質な希釈済の切削液として切削液用の排出部から排出し、外部の工作機械に供給する。なお、水用の流入部に接続する給水源は、工水または水道水のような加圧水の他、井戸水などの清水源が使用可能である。一方、第2の管路の原液ポンプは、原液タンク内の原液を吸引し、第1の管路に合流させる。また、制御装置は、水用の流量センサ、原液用の流量センサによって計測する水流量、原液流量に基づいて原液ポンプを速度調整し、原液ポンプから吐出する原液流量を調整して切削液の希釈率を適切に制御することができる。
【0011】
なお、ミキシングポンプは、吸引する水と原液とを機械的に十分に撹拌混合し、所定圧力に加圧して吐出し得るように、たとえばクローズ羽根の多段式渦巻ポンプが好ましく、原液ポンプは、所定の吐出圧力が得られ、運転速度によって原液の吐出量を正確に制御し得るように、たとえば押しのけ容積が数cm3 〜数10cm3 程度のギヤポンプが好ましい。また、水用、原液用の流量センサは、いずれも必要十分な計測精度、計測分解能を有する容積流量計であって、それぞれたとえば羽根車式、オーバルギヤ式が好適である。
【0012】
排出部の上流側に分岐して設けるアキュムレータは、排出部から排出される切削液の排出圧力の変動を最小に抑えることができる。また、圧力センサは、排出部からの排出圧力を監視し、排出圧力の異常を検出すると、制御装置により適切に対処することができる。ただし、圧力センサは、排出圧力の過大を検出して作動する圧力スイッチに代えてもよい。
【0013】
開閉弁の入口側の逆止弁は、給水源の圧力低下などにより、第1の管路に流入済の水が給水源側に逆流することを防止する。原液用の流量センサの出口側の逆止弁は、第1の管路内の水が第2の管路側に不用意に流入することを防止する。また、ミキシングポンプの吐出側の逆止弁は、たとえば排出圧力の過大によりミキシングポンプを一時的に停止させた場合に、切削液が排出部からミキシングポンプ側に逆流することを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全体構成ブロック系統図
図2】全体構成例を示す模式正面図
図3】全体制御動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
切削液の供給装置は、水用の流入部11から希釈済の切削液用の排出部19に至る第1の管路10と、切削油剤の原液用の流入部21から第1の管路10の途中に合流させるまでの第2の管路20と、制御装置31とを備えてなる(図1)。
【0017】
水用の流入部11は、図示しない外部の給水源に接続されている。また、切削液用の排出部19は、図示しない外部の工作機械に配管され、最終的に工作機械の各切削工具の刃先に導かれている。一方、原液用の流入部21は、外部の吸引管Bを介して原液タンクAに接続され、原液タンクAには、水溶性の切削油剤の原液Wが貯留されている。
【0018】
第1の管路10には、上流側の流入部11から下流側の排出部19に向けて、逆止弁12、開閉弁13、水用の流量センサ14、ミキシングポンプ15、逆止弁16が順に装着され、逆止弁16と排出部19との間には、アキュムレータ17、圧力センサ18が分岐して装備されている。一方、第2の管路20には、流入部21に近い上流側から順に、原液ポンプ22、原液用の流量センサ23、逆止弁24が装着され、原液ポンプ22には、駆動用のサーボモータ22aが連結されている。
【0019】
ミキシングポンプ15は、制御装置31からの駆動信号S1 によって駆動する。ただし、図1には、ミキシングポンプ15用の駆動モータの図示が省略されている。一方、原液ポンプ22用のサーボモータ22aは、制御装置31からの駆動信号S2 によって駆動され、サーボモータ22aの速度Vは、制御装置31にフィードバックされている。そこで、制御装置31は、サーボモータ22aを介し、原液ポンプ22を任意に速度調整することができる。なお、制御装置31には、水用、原液用の流量センサ14、23からの水流量F1 、原液流量F2 の他、圧力センサ18からの排出圧力Pが併せて入力されている。また、制御装置31は、開閉弁13に対して駆動信号S3 を出力し、駆動信号S3 を介して開閉弁13を開閉することができる。
【0020】
切削液の供給装置を形成する各部材の機械的な構成例を図2に示す。図2において、一連の部材は、図示しない筐体の後パネルPN1 、底パネルPN2 を利用して組み立てられており、第1の管路10の水用の流入部11、切削液用の排出部19と、第2の管路20の原液用の流入部21とは、それぞれ後パネルPN1 の上部を貫通するホース11a、19a用のコネクタ、下部を貫通するホース21a用のコネクタとして図示されている。また、第2の管路20の逆止弁24の下流側は、ホース25a、手動の止め弁25bを経由した上、接続用のフランジ15aを介してミキシングポンプ15の吸引側に装着するT部材15bに接続され、第1の管路10に合流している。
【0021】
一方、ミキシングポンプ15には、駆動モータ15cが付設されており、ミキシングポンプ15の吐出側には、接続用のフランジ15dを介して逆止弁16が装着されている。また、逆止弁16の下流側に分岐して装備するアキュムレータ17には、ドレン抜き用の手動の止め弁17aが下向きに付設されており、アキュムレータ17、圧力センサ18の分岐位置の下流側は、目視用の圧力計18aを設置するとともに、手動の止め弁19b、ホース19aを介して排出部19に接続されている。
【0022】
制御装置31による切削液の供給装置の全体制御動作は、たとえば図3のプログラムフローチャートのとおりである。すなわち、制御装置31に付属する図示しない操作パネルを介して切削液の希釈率を設定し、操作パネル上の運転ボタンを押して運転指令を与えることにより、プログラムがスタートする。プログラムは、まず、制御装置31から駆動信号S3 を出力して開閉弁13を開くとともに、駆動信号S1 、S2 を出力してミキシングポンプ15、原液ポンプ22を起動させる(図3のプログラムステップ(1)、以下、単に(1)のように記す)。
【0023】
つづいて、プログラムは、内部のソフトウェアによるカウンタn=0とした上(2)、一定の時間遅れT/D1 の後(3)、原液用の流量センサ23によって計測する原液流量F2 が一定値以上であることを確認する(4)。ここで、時間遅れT/D1 は、たとえば原液ポンプ22により原液タンクA内の切削油剤の原液Wを吸引して一定値以上の原液流量F2 が確立するに要する時間相当に設定するものとする。原液流量F2 が時間遅れT/D1 内に正常に確立されないときは(4)、原液タンクAが空である可能性があり、開閉弁13を閉じるとともに、ミキシングポンプ15、原液ポンプ22を停止させて(19)、プログラムを終了する。
【0024】
一方、原液流量F2 が正常に確立していることが確認されると(4)、プログラムは、水用の流量センサ14によって計測する水流量F1 を確認する(5)。その後、プログラムは、設定された希釈率a倍として、プログラムステップ(4)で確認された原液流量F2 を所定の原液流量F2 =F1 /aに修正するようにサーボモータ22aの速度Vを調節して原液ポンプ22を初期設定する(6)。なお、ここで、プログラムステップ(4)、(5)でそれぞれ確認される原液流量F2 、水流量F1 は、実質的に、プログラムステップ(1)の後、プログラムステップ(3)の時間遅れT/D1 内にそれぞれ原液用の流量センサ23を通過した原液Wの量、水用の流量センサ14を通過した水の量に相当している。
【0025】
つづいて、プログラムは、水流量F1 を再確認して(7)、原液流量F2 を確認し(8)、F2 =F1 /aとなるように原液ポンプ22の速度を微調整する(9)。その後、プログラムは、プログラムステップ(9)における原液ポンプ22の速度調整方向が増速方向であったか否かをチェックし(10)、増速方向でなかったときはカウンタn=0として(11)、圧力センサ18からの排出圧力Pをチェックする(14)。そこで、排出圧力Pが過大でなければ(14)、適当な時間遅れT/D2 の後(15)、プログラムステップ(7)に戻って、以下同様の動作を繰り返す((7)、(8)…(15)、(7))。なお、プログラムステップ(15)の繰返し用の時間遅れT/D2 は、水用の流入部11に流入する給水源からの水の流入が安定しているか否かにより、たとえば数sec 〜数10sec 程度に設定することが好ましい。
【0026】
一方、プログラムは、プログラムステップ(9)における原液ポンプ22の速度調整方向が増速方向であると(10)、カウンタn=n+1として(12)、カウンタn≧no (ただし、no は、あらかじめセットする設定回数)でなければ(13)、プログラムステップ(14)に正常に進行するが、カウンタn≧no であって増速方向の速度調整が連続して設定回数no 以上続いたときは(13)、開閉弁13を閉じるとともにミキシングポンプ15、原液ポンプ22を停止させて(19)、プログラムを停止する。このときは、原液タンクAが空である可能性が高いからである。
【0027】
また、プログラムは、プログラムステップ(14)において排出圧力Pが過大であるときは、開閉弁13を閉じ、ミキシングポンプ15、原液ポンプ22を停止させ(16)、一定の時間遅れT/D3 ごとに排出圧力Pをチェックしながら排出圧力Pの低下を待って待機する((17)、(18)、(17))。排出圧力Pが正常値に復帰したら(18)、以後、開閉弁13を開くとともにミキシングポンプ15、原液ポンプ22を再起動させ(1)、以下、正常運転に復帰させる((2)、(3)…)。なお、プログラムは、図示しない操作パネル上の停止ボタンを押して停止指令を与えることにより、直ちに開閉弁13を閉じてミキシングポンプ15、原液ポンプ22を停止させ(19)、そのまま終了させることができる。
【0028】
以上の説明において、排出部19からの希釈済の切削液は、図示しない管路を介し、1台の工作機械に導いてもよく、2台以上の工作機械に配分してもよい。
【0029】
また、操作パネルを介して設定する切削液の希釈率a倍は、換算式b=100/aを適用して、切削液中の原液濃度b%に一義的に対応させることができる。そこで、操作パネル上では、希釈率a倍に代えて原液濃度b%を設定可能としてもよく、この発明において、希釈率は原液濃度と読み替えてもよいものとする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、希釈液タンクが不要であり、コンパクトにまとめることができるため、任意の規模の機械工作工場に対し、広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
A…原液タンク
F1 …水流量
F2 …原液流量
a…希釈率
10…第1の管路
11…水用の流入部
12…逆止弁
13…開閉弁
14…流量センサ
15…ミキシングポンプ
16…逆止弁
17…アキュムレータ
18…圧力センサ
19…排出部
20…第2の管路
21…流入部
22…原液ポンプ
23…流量センサ
24…逆止弁
31…制御装置

特許出願人 株式会社 CEM
図1
図2
図3