(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723916
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】有機性汚泥の脱水方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/14 20060101AFI20150507BHJP
C02F 11/12 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
C02F11/14 EZAB
C02F11/12 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-89195(P2013-89195)
(22)【出願日】2013年4月22日
(62)【分割の表示】特願2010-186772(P2010-186772)の分割
【原出願日】2010年8月24日
(65)【公開番号】特開2013-154350(P2013-154350A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096415
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 大
(72)【発明者】
【氏名】森田 智之
(72)【発明者】
【氏名】萩野 隆生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】郷田 昭一
(72)【発明者】
【氏名】田中 繁正
【審査官】
池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−165964(JP,A)
【文献】
特開昭61−149300(JP,A)
【文献】
特開2000−015300(JP,A)
【文献】
特開平09−024400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
C02F 1/52− 1/56
B01D 21/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性汚泥に高分子凝集剤を添加し、該汚泥を凝集させて凝集フロックを形成する凝集工程と、形成した凝集フロックを濃縮する濃縮工程と、濃縮した凝集フロックに無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程と、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックを機械脱水する脱水工程とを有する汚泥の脱水方法であって、前記有機性汚泥に、高分子凝集剤を添加して形成した凝集フロックを濃縮した凝集フロック、又は、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックの大きさを0.5mm〜10mmに調製する調整工程を有することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項2】
前記有機性汚泥が、消化汚泥であることを特徴とする請求項1記載の汚泥の脱水方法。
【請求項3】
有機性汚泥に高分子凝集剤を添加する手段を有し、該汚泥を凝集させて凝集フロックを形成する凝集槽と、形成した凝集フロックを濃縮する濃縮機と、濃縮した凝集フロックに無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段と、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックを脱水する脱水機とを有する汚泥の脱水装置であって、前記有機性汚泥に、高分子凝集剤を添加して形成した凝集フロックを濃縮した凝集フロック、又は、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックの大きさを0.5mm〜10mmに調整するフロック調整手段を濃縮機の後段に有することを特徴とする汚泥の脱水装置。
【請求項4】
前記有機性汚泥が、消化汚泥であることを特徴とする請求項3記載の汚泥の脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性汚泥の脱水方法及び装置に関するものである。より詳しくは、高分子凝集剤と無機凝集剤を用い、有機性汚泥を脱水処理する方法及び装置に関するものであって、有機性汚泥を高分子凝集剤で凝集させ、凝集させた汚泥を濃縮し、濃縮した汚泥に無機凝集剤を添加し、機械脱水を行い、得られる脱水ケーキの含水率を低減する脱水方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物量を削減し、環境負荷を低減することが求められているなか、廃水処理施設から排出される有機性汚泥の脱水技術は極めて重要であり、有機性汚泥の効率的な脱水方法の開発が望まれている。従来、有機性汚泥の脱水の場合、「高分子凝集剤により汚泥を凝集させた後、機械的な脱水を行う方法」(1液法)、「無機凝集剤を汚泥に添加した後、高分子凝集剤で凝集させ、機械的な脱水を行う方法」(無機凝集剤・前添加法)が一般的である。
有機性汚泥の別の脱水方法として、「高分子凝集剤で汚泥を凝集させた後、機械濃縮あるいは重力濃縮し、さらに無機凝集剤を添加し、機械的な脱水を行う方法」(無機凝集剤・後添加法)がある。この無機凝集剤・後添加法は、Mアルカリ成分濃度が高い有機性汚泥の脱水に適している。無機凝集剤・前添加法では、有機性汚泥の液中のアルカリ成分に無機凝集剤が消費されるのに対して、無機凝集剤・後添加法では、汚泥濃縮によりアルカリ成分を除去するので、無機凝集剤の消費を低減できる。また、無機凝集剤・後添加法は1液法に比べて、脱水ケーキの含水率を低減できる。
【0003】
無機凝集剤・後添加法に関連する技術として、下記のような先行技術が知られている。特開昭61−149300号公報(特許文献1)には、有機性汚泥にカチオン系有機高分子凝集剤を添加して混合した後、この汚泥を撹拌しながらフロックを生成させる第1工程、次にこの汚泥を重力ろ過する第2工程、この重力ろ過後の汚泥に鉄塩を添加して、混合した後加圧脱水する第3工程の結合によりなることを特徴とする有機性汚泥の脱水方法が開示されている。また、特開平9−24400号公報(特許文献2)には、消化汚泥にカチオンポリマを添加して凝集処理する工程と、凝集した汚泥を重力脱水する工程と、重力脱水した汚泥に無機凝集剤を添加して調質する工程と、調質した汚泥に両性ポリマーを添加して脱水機で脱水する工程とを有する消化汚泥の脱水方法が開示されている。しかし、これら先行技術には、濃縮した汚泥の最適化に関する記載、より詳しくは濃縮した汚泥のフロックの大きさに関する記載はない。
【0004】
フロック径に関連する技術としては、下記のような先行技術が知られている。特開2009−165964号公報(特許文献3)には、廃水処理設備から発生する汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行い、1次凝集処理後の汚泥を高濃度濃縮処理し、濃縮処理後の汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行い、さらに2次凝集処理を行った高濃度汚泥に脱水処理を施すことを特徴とする脱水処理方法が記載されている。また、1次凝集処理において2〜4mmの大きさのフロックをなすこと、2次凝集処理において、0.5〜3mmの大きさのフロックをなすことが記載されている。また、1次凝集処理においては高分子凝集剤が有効であること、2次凝集処理においては高分子凝集剤が有効であり、ポリ硫酸第二鉄などの無機凝集剤を用いてもよいことが記載されている。
【0005】
上記の無機凝集剤・後添加法に関連する技術のうち、特開昭61−149300号公報(特許文献1)には、有機性汚泥にカチオン系有機高分子凝集剤によりフロックを生成させ、重力ろ過し、鉄塩を添加して、混合した後加圧脱水することが開示されている。また、特開平9−24400号公報(特許文献2)には、消化汚泥にカチオンポリマを添加して凝集処理し、凝集汚泥を重力脱水し、無機凝集剤を添加して調質し、調質した汚泥に両性ポリマーを添加して脱水機で脱水することが開示されている。しかし、これら先行技術には、濃縮した凝集フロックの最適化に関する記載、より詳しくは濃縮した凝集フロックの大きさに関する記載はない。
【0006】
上述したように、無機凝集剤・後添加方法は、無機凝集剤・前添加方法とは、無機凝集剤を添加した時点での汚泥成分が異なるため、無機凝集剤添加量の適切な制御方法を検討する必要がある。また、無機凝集剤・後添加方法において、濃縮した凝集フロックの適切な制御方法を検討する必要がある。この理由は、無機凝集剤の浸透性、反応性が凝集フロックの大きさに大きく依存するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−149300号公報
【特許文献2】特開平9−24400号公報
【特許文献3】特開2009−165964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、無機凝集剤・後添加方法において、凝集フロックの制御方法及びそれを実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、無機凝集剤・後添加方法において、無機凝集剤・後添加方法において、凝集フロックの大きさを調整することにより、極めて効率的にケーキ含水率を低減できることを見出した。これらの新規な知見に基づいて本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明では、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加し、該汚泥を凝集させて凝集フロックを形成する凝集工程と、形成した凝集フロックを濃縮する濃縮工程と、濃縮した凝集フロックに無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程と、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックを機械脱水する脱水工程とを有する汚泥の脱水方法であって、前記有機性汚泥に、高分子凝集剤を添加して形成した凝集フロックを濃縮した凝集フロック、又は、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックの大きさを0.5mm〜10mmに調製する調整工程を有することを特徴とする汚泥の脱水方法としたものである。
前記汚泥の脱水方法において、有機性汚泥は、消化汚泥であるのが良い。
【0011】
また、本発明では、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加する手段を有し、該汚泥を凝集させて凝集フロックを形成する凝集槽と、形成した凝集フロックを濃縮する濃縮機と、濃縮した凝集フロックに無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段と、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックを脱水する脱水機とを有する汚泥の脱水装置であって、前記有機性汚泥に、高分子凝集剤を添加して形成した凝集フロックを濃縮した凝集フロック、又は、無機凝集剤が添加された濃縮した凝集フロックの大きさを0.5mm〜10mmに調整するフロック調整手段を濃縮機の後段に有することを特徴とする汚泥の脱水装置としたものである。
前記汚泥の脱水装置において、有機性汚泥は、消化汚泥であるのが良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、無機凝集剤・後添加方法において、凝集フロックの大きさを調整することにより、極めて効率的にケーキ含水率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の脱水装置の一例を示すフロー構成図。
【
図2】参考例1の結果を示すケーキ含水率とpHの関係を示すグラフ。
【
図3】実施例1の結果を示すケーキ含水率とフロックの大きさの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、無機凝集剤・後添加方法において、無機凝集剤添加量の制御方法及びそれを実施するための装置に関する。また、無機凝集剤・後添加方法において、凝集フロックの制御方法及びそれを実施するための装置に関する。以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の脱水装置の一態様を示すフロー構成図である。
図1において、有機性汚泥は、汚泥貯槽1から凝集槽4に供給される。高分子凝集剤は、高分子凝集剤溶解槽から凝集槽4に供給される。凝集槽4において、有機性汚泥と高分子凝集剤が混合され、凝集フロックが形成される。濃縮機5において、凝集フロックは濃縮される。フロック調整機6において、凝集フロックは適切な大きさに調整される。無機凝集剤は、無機凝集剤貯槽3から無機凝集剤添加機7に供給され、凝集フロックに添加される。無機凝集剤が添加された凝集フロックは脱水機9において脱水される。無機凝集剤が添加された凝集フロックのpHはpHセンサ8により測定される。無機凝集剤の添加量は、pHセンサ8により測定した無機凝集剤が添加された凝集フロックのpHから、無機凝集剤添加ポンプ制御装置10により決定される。無機凝集剤の添加は、無機凝集剤添加ポンプ11により行われる。
【0015】
フロック調整機6において、凝集フロックは0.5〜10mmに調整されることが好ましい。より好ましくは、凝集フロックの大きさは0.5〜5mmに調整される。この理由は、凝集フロックが大きい場合、無機凝集剤は凝集フロックの内部まで浸透できず、無機凝集剤の効果が出にくい。一方、凝集フロックが小さい場合、無機凝集剤は凝集フロックの内部まで浸透できるが、小さい凝集フロックは、脱水機による脱水にとっては不利である。凝集フロックを上述したフロック径に調整すると、無機凝集剤が内部まで浸透し、無機凝集剤を効率的に利用できると同時に、脱水機での脱水も効率的に行うことができる。スクリュープレス脱水機を使用する場合、凝集フロックの大きさは、1〜5mmに調整されることが好ましい。ベルトプレス脱水機を使用する場合、凝集フロックの大きさは、0.5〜3mmに調整されることが好ましい。
無機凝集剤は、無機凝集剤が添加された凝集フロックのpHが3〜6になるように、添加することが好ましい。より好ましくは、無機凝集剤が添加された凝集フロックのpHが3.5〜5.5になるように無機凝集剤を添加する。さらに、より好ましくは、無機凝集剤が添加された凝集フロックのpHが3.5〜4.5になるように無機凝集剤を添加する。
【0016】
図1は本発明の一態様を示し、図示のものに限定されるものではない。例えば、フロック調整機6を省略し、無機凝集剤添加機7において、凝集フロックの大きさを適切に調整すると同時に、凝集フロックに無機凝集剤を添加してもよい。また、フロック調整機6を省略し、濃縮機5の後段に無機凝集剤添加機7を配置してもよい。また、フロック調整機を省略し、無機凝集剤添加機7を濃縮機5に一体化させてもよい。また、フロック調整機6を無機凝集剤添加機7の後段に配置してもよい。
pHセンサ8は、脱水濾液の貯槽あるいは脱水濾液の排出ラインに設置してもよい。この場合、無機凝集剤の添加量は、pHセンサ8により測定された脱水濾液のpHにより決定する。この場合、無機凝集剤は、脱水濾液のpHが3〜6になるように、無機凝集剤添加機7に供給することが好ましい。より好ましくは、脱水濾液のpHが3.5〜5.5になるように無機凝集剤を供給する。さらに、より好ましくは、脱水濾液のpHが4〜5になるように無機凝集剤を供給する。
【0017】
pHセンサ8は、無機凝集剤添加機7に設置してもよい。有機性汚泥の性状が安定している場合などにおいては、無機凝集剤の添加量と無機凝集剤と混合された凝集フロックのpHの関係を予め調べておけば無機凝集剤の添加量を決定できる。このような場合、pHセンサ8を省略してもよい。
本発明で使用される有機性汚泥は、下水処理、し尿処理、各種産業廃水処理において発生する有機性汚泥である。例えば、最初沈澱池汚泥、余剰汚泥、嫌気性消化汚泥、好気性消化汚泥、浄化槽汚泥、消化脱離液などが挙げられる。有機性汚泥は無機物を含んでもよい。
【0018】
本発明で使用される高分子凝集剤として、例えば、カチオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などが挙げられる。
本発明で使用される無機凝集剤として、例えば、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄などが挙げられる。
本発明で使用される脱水機には、従来の汚泥脱水に使用される脱水機が使用できる。例えば、スクリュープレス脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、真空脱水機、フィルタプレス脱水機、多重円板脱水機などが挙げられる。
本発明で使用される濃縮機には、従来の汚泥脱水に使用される重力濃縮機あるいは機械濃縮機が使用できる。例えば、ベルト濃縮機、遠心濃縮機、楕円板濃縮機などが挙げられる。
本発明で使用されるフロック調整機には、従来から汚泥に使用される撹拌機が使用できる。例えば、パドル型撹拌機、ドラム型撹拌機などが挙げられる。
【実施例】
【0019】
参考例1
無機凝集剤・後添加法による汚泥脱水試験を行った。4種類の消化汚泥(A、B、C、D)を使用した。消化汚泥A、B、C、Dは、異なる3下水処理場から採取した。消化汚泥A、Bは同じ下水処理場から採取したが、汚泥濃度が異なる。消化汚泥A、B、C、DのTSは、それぞれ2.2%、1.3%、1.8%、1.5%である。高分子凝集剤として、カチオンポリマを使用した。カチオンポリマは、ジメチルアミノエチルメタクリレート系あるいはジメチルアミノエチルアクリレート系である。無機凝集剤として、ポリ硫酸第二鉄を使用した。実験手順は以下の通りである。250mLの汚泥にカチオンポリマを添加し、汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。次に、1mmのスクリーンを使い、凝集フロックを濃縮した。次に、凝集フロックにポリ硫酸第二鉄を添加し、凝集フロックとポリ硫酸第二鉄を混合した。次に、ポリ硫酸第二鉄と混合した凝集フロックのpHを測定した。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られたケーキの含水率を測定した。
【0020】
実験結果を表1に示す。ここでは、「測定した乾燥固形物重量」から「ポリ鉄の添加により沈殿する水酸化鉄重量」を差し引いた重量を「真の乾燥固形物重量」とし、ケーキ含水率を算出した。
【表1】
【0021】
表1より、ポリ硫酸第二鉄を添加した凝集フロックのpHが「6以下3より大きい場合」、「5.5以下3.5より大きい場合」、「4.5以下3.5より大きい場合」の脱水ケーキ含水率の平均値を計算すると、それぞれ80.2%、79.9%、79.7%となる。この結果から、ポリ硫酸第二鉄を添加した凝集フロックのpHを好ましくはpH3〜6、より好ましくはpH3.5〜5.5、さらより好ましくはpH3.5〜4.5に調整することによりケーキ含水率を低減できることが分かる。
図2に典型的な例である汚泥Cのケーキ含水率とpHの関係を示す。
図2より、ポリ硫酸第二鉄の注入率の増加とともに、ポリ硫酸第二鉄と混合した凝集フロックのpHは、徐々に低下することが分かる。ケーキ含水率は、ポリ硫酸第二鉄と混合した凝集フロックのpHが4〜5程度になるまでは、徐々に低下し、pHが4〜5より大きくなると、一定あるいは増加することが分かる。
【0022】
実施例1
無機凝集剤・後添加法による汚泥脱水試験を行った。3種類の消化汚泥(C、E、F)を使用した。消化汚泥C、E、Fは、異なる3下水処理場から採取した。消化汚泥C、E、FのTSは、それぞれ1.8%、1.7%、2.8%である。高分子凝集剤として、カチオンポリマを使用した。カチオンポリマは、ジメチルアミノエチルメタクリレート系あるいはジメチルアミノエチルアクリレート系である。無機凝集剤として、ポリ硫酸第二鉄を使用した。実験手順は以下の通りである。250mLの汚泥にカチオンポリマを添加し、汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。次に、1mmのスクリーンを使い、凝集フロックを濃縮した。次に、凝集フロックにポリ硫酸第二鉄を添加し、凝集フロックとポリ硫酸第二鉄を混合した。このとき、ポリ硫酸第二鉄と混合した凝集フロックの大きさを測定した。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られたケーキの含水率を測定した。
【0023】
実験結果を表2に示す。表2より、ポリ硫酸第二鉄を添加した凝集フロックの大きさを好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmに調整することによりケーキ含水率を低減できることが分かる。
【表2】
図3に典型的な例である汚泥Cの含水率とフロックの大きさの関係を示す。横軸の撹拌回数は、重力落下による撹拌回数を表す。
図3より、撹拌回数の増加と共にフロック大きさが低下することが分かる。ケーキ含水率は、フロック大きさが10mm以上のとき最も高く、フロック大きさの低下と共に、低減することが分かる。
【符号の説明】
【0024】
1:汚泥貯槽、2:高分子凝集剤溶解槽、3:無機凝集剤貯槽、4:凝集槽、5:濃縮槽、6:フロック調整機、7:無機凝集剤添加機、8:pHセンサ、9:脱水機、10:制御装置、11:無機凝集剤添加ポンプ