(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御手段は、中間目標重量値を超える検出重量値が与えられるまでは、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるように、薬剤供給手段を制御することを特徴とする請求項1記載の薬剤供給装置。
制御手段は、中間目標重量値と検出重量値との差が所定値以下になるまで、薬剤の供給速度を一定に維持し、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるように、薬剤供給手段を制御することを特徴とする請求項2記載の薬剤供給装置。
制御手段は、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど、この差の変化量に対する薬剤の供給速度の変化量の割合が小さくなるように、薬剤供給手段を制御することを特徴とする請求項3記載の薬剤供給装置。
検出重量値が安定したときとは、最新の複数の検出重量値が、これらの検出重量値についての平均値を含む所定範囲内に全て収まるようになったときであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の薬剤供給装置。
制御手段は、検出重量値が安定したと判定したとき、最新の複数の検出重量値についての平均値と目標重量値との差に基づいて薬剤を供給するように、薬剤供給手段を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の薬剤供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の一形態の薬液供給装置1を示す正面図である。
図2は、
図1の切断面線A−Aから見た断面図である。
図3は、
図1の切断面線B−Bから見た断面図である。本実施の形態の薬液供給装置1は、容器である投薬瓶2に、液状の薬剤(以下、「薬液」という)を供給するために用いられる。
【0016】
薬剤供給装置である薬液供給装置1は、投薬瓶2に薬液を供給する薬液供給手段3と、投薬瓶2に収容される薬液の重量を検出する重量検出手段4と、重量検出手段4によって検出される検出重量値に基づいて薬液供給手段3を制御する制御手段5とを備える。これらの各手段3,4,5は、筐体6に設けられる。筐体6は、直方体形状に形成され、起立した状態で水平な設置面7に設置される。
【0017】
筐体6の内部には、支持フレーム8が設けられる。支持フレーム8は、筐体6の底板9と筐体6の天板10との間に配置され、詳しくは筐体6の天板10寄りに配置される。筐体6の内部空間は、支持フレーム8によって、支持フレーム8よりも上方の上部空間11と支持フレーム8よりも下方の下部空間12とに仕切られる。筐体6の前面部13には、上部空間11に連なる上部開口14と、下部空間12に連なる下部開口15とが形成される。下部開口15は、筐体6の前面部13における左右両側部16a,16bの間で上下に延びるように形成される。
【0018】
薬剤供給手段である薬液供給手段3は、下部空間12に配置され、支持フレーム8に対して鉛直な軸線(以下、「ドラム軸線」という)L1まわりに回転自在に設けられるドラム21と、ドラム21を、支持フレーム8に対してドラム軸線L1まわりに回転させるドラム回転用モータ22と、ドラム21に設けられ、複数の薬液瓶23から投薬瓶2に薬液を移送する複数のポンプ24と、各ポンプ24を駆動するポンプ駆動ユニット25とを有する。各薬液瓶23には、異なる薬液が収容される。本実施の形態では、薬液瓶23は10本であり、ポンプ24は10個である。
【0019】
ドラム21の上端部26には、ドラム軸線L1と同軸のリング部材27が固定される。リング部材27の外周には、リング部材27を支持する3つ以上の支持部材28が設けられる。各支持部材28は、ドラム軸線L1を中心とする周方向(以下、「ドラム周方向」という)に等間隔をあけて配置される。
【0020】
各支持部材28は、支持フレーム8に対してドラム軸線L1に平行な軸線まわりに回転自在に設けられる。各支持部材28の外周部には、全周にわたって凹条29が形成される。リング部材27の外周部には、全周にわたって凸条30が形成される。リング部材27の凸条30は、各支持部材28の凹条29に嵌り込む。このような構成によって、支持フレーム8に対してドラム21を円滑に回転させることができる。
【0021】
ドラム21は、各ポンプ24を保持するポンプ保持体31と、ポンプ保持体31の下方に設けられ、各薬液瓶23を保持する薬液瓶保持体32とを有する。ポンプ保持体31には、各ポンプ24が、ドラム周方向に等間隔をあけて配置される。薬液瓶保持体32には、各薬液瓶23が、ドラム周方向に等間隔をあけて配置される。
【0022】
ドラム回転用モータ22は、支持フレーム8に固定される。ドラム回転用モータ22の回転軸には、原動歯車が固定される。ドラム21の上端部26には、原動歯車に噛合する従動歯車33が固定される。ドラム回転用モータ22の回転は、駆動歯車および従動歯車33を介して、ドラム21に伝達される。
【0023】
各ポンプ24は、チューブポンプによって実現される。各ポンプ24は、チューブ34と、チューブ34が挿通されるポンプ本体35とを有する。
図1〜
図3では、正面のポンプ34を除く各ポンプ34については、チューブ34を省略している。
【0024】
チューブ34は、可撓性および弾発性を有する。チューブ34は、シリコンチューブによって実現される。チューブ34の一端部34aは、薬液瓶23に挿入される。チューブ34の他端部34bには、ノズル部材36が設けられる。各ポンプ24のノズル部材36は、ドラム軸線L1を中心とする仮想円上でドラム周方向に等間隔をあけて配置される。
【0025】
ポンプ本体35は、ポンプ保持体31に固定される基部と、基部に対してドラム軸線L1を中心とする半径方向に平行な軸線L2まわりに回転自在に設けられるロータと、ロータの外周部に設けられる複数のローラと、各ローラの周軌道の外周に設けられる周壁部とを有する。ロータと周壁部との間には、チューブ34の一部が挿通される。ロータの回転によって、少なくとも1つローラが、チューブ34の一部を周壁部に向けて押圧して圧迫しながら移動し、これによってチューブ34内の薬液を移送することができる。
【0026】
ポンプ駆動ユニット25は、支持フレーム8に固定される固定部37と、ポンプ保持体31の内方に配置され、固定部37に対して前後方向Aに移動自在に設けられる移動部38と、固定部37に固定され、移動部38を、固定部37に対して前後方向Aに移動させる移動用モータ39と、移動部38に固定され、ポンプ本体35のロータを回転させるポンプ駆動用モータ40とを有する。
【0027】
ポンプ駆動用モータ40によって回転駆動される駆動軸41には、連結部材42が固定される。各ポンプ24のロータの回転軸43には、連結部材42が連結される被連結部材44が固定される。連結部材42と被連結部材44とが連結されることで、ポンプ駆動用モータ40の回転をポンプ24に伝達することができる。薬液の供給速度は、ポンプ駆動用モータ40の回転速度(以下、「ポンプ回転速度」という)が高いほど、高くなる。
【0028】
このような薬液供給手段3では、移動用モータ39によって移動部38を前進させることで、連結部材42と被連結部材44とを連結することができる。また移動用モータ39によって移動部38を後退させることで、連結部材42と被連結部材44との連結を解除することができる。連結解除状態では、ドラム21を支持フレーム8に対して回転させることができる。したがってポンプ駆動用モータ40の回転が伝達されるポンプ24を選択することができ、これによって薬液供給手段3から供給される薬液を選択することができる。
【0029】
重量検出手段4は、下部開口15に配置される。重量検出手段4は、電子天秤45と、電子天秤45を収容するケーシング46と、電子天秤45に載置されて固定され、投薬瓶2を、起立した状態に保持する投薬瓶保持体47とを有する。電子天秤45は、検出重量値を逐次に制御手段5に与える。電子天秤45は、音叉式である。電子天秤45は、ロードセル式であってもよく、あるいは電磁式であってもよい。ケーシング46は、筐体6の前面部13における左右両側部16a,16bの下部に設けられる。投薬瓶保持体47は、投薬瓶2が載置される載置台48と、載置台48に設けられ、投薬瓶2を保持する保持具49とを有する。
【0030】
薬液供給装置1は、処方内容および開始指令が入力される入力手段50をさらに備える。処方内容は、薬液を指定する情報と薬液の重量値を指定する情報(以下、「指定重量値」という)とを含む。入力手段50は、タッチパネル装置によって実現される。入力手段50は、上部空間11に配置され、詳しくは上部開口14を塞ぐように上部開口14の背後に配置される。入力手段50は、上部開口14を介して外部に臨み、これによって筐体6の外部から、操作者が手指で入力手段50を操作することができる。
【0031】
図4は、薬液供給装置1の電気的構成を示すブロック図である。制御手段5には、入力手段50から、処方内容および開始指令が与えられる。また制御手段5には、電子天秤45から検出重量値が逐次に与えられる。制御手段5は、メモリ51を有する。メモリ51には、後述の薬液供給動作などを実現するための制御プログラムが記憶される。またメモリ51には、電子天秤45から与えられる最新の複数の検出重量値が記憶される。メモリ51に記憶される検出重量値は、電子天秤45から検出重量値が与えられるたびに更新される。さらにメモリ51には、ポンプ回転速度を制御するためのポンプ回転速度制御データが記憶される。制御手段5は、メモリ51に記憶される制御プログラムに基づいて、ドラム回転用モータ22と移動用モータ39とポンプ駆動用モータ40とを制御する。このような制御手段5は、上部空間11に配置され、支持フレーム8に固定される。
【0032】
図5は、制御手段5による薬液供給動作に用いられる各値の関係を示す図である。薬液供給動作では、目標重量値および中間目標重量値が用いられる。目標重量値は、投薬瓶2に薬液を供給するにあたって目標にする重量値であり、具体的には、投薬瓶2に薬液を供給する前の安定重量値に指定重量値を加算した値である。中間目標重量値は、投薬瓶2に薬液を供給するにあたって中間目標にする重量値であり、目標重量値よりも小さい値である。
【0033】
安定重量値とは、安定状態における検出重量値であり、本実施の形態では、安定状態における最新の複数の検出重量値についての平均値である。安定状態とは、検出重量値が所定範囲内で変動する状態であり、本実施の形態では、最新の複数の検出重量値が、これらの検出重量値についての平均値を含む所定範囲内に全て収まる状態である。前記所定範囲は、前記平均値±所定値の範囲である。
【0034】
また薬液供給動作では、再試行値および許容下限値が用いられる。再試行値は、薬液を再供給するか否かの基準となる重量値であり、中間目標重量値よりも小さい値である。許容下限値は、薬液供給動作を終了するか否かの基準となる重量値であり、目標重量値よりも小さい値である。この許容下限値は、薬液の供給に要求される精度に応じて決定され、本実施の形態では、中間目標重量値と目標重量値との間の値である。
【0035】
さらに薬液供給動作の後で、許容上限値が用いられる。許容上限値は、薬液が過供給になっているか否かの基準となる重量値であり、目標重量値よりも大きい値である。この許容上限値は、薬液の供給に要求される精度に応じて決定される。
【0036】
図6は、中間目標重量値に対する不足重量値とポンプ回転速度との関係を示すグラフである。
図6において、横軸は中間目標重量値に対する不足重量値を表し、縦軸はポンプ回転速度を表す。中間目標重量値に対する不足重量値とは、中間目標重量値と検出重量値との差である。
【0037】
制御手段5は、不足重量値が所定値以下になるまで、ポンプ回転速度を一定に維持し、不足重量値が前記所定値以下になると、不足重量値が小さくなるほどポンプ回転速度が低くなるように、ポンプ駆動用モータ40を制御する。詳しくは、制御手段5は、不足重量値が前記所定値以下になると、不足重量値が小さくなるほど、不足重量値の変化量に対するポンプ回転速度の変化量の割合(以下、「ポンプ回転速度の変化率」という)が小さくなるように、ポンプ駆動用モータ40を制御する。
【0038】
本実施の形態では、ポンプ回転速度の変化率は、中間目標重量値に対する不足重量値が小さくなるにつれて段階的に小さくなる。このようにポンプ回転速度を制御するにあたっては、第1〜第3基準値D1,D2,D3が予め設定される。第1基準値D1は、前記所定値である。第2基準値D2は、第1基準値D1よりも小さい値である。第3基準値D3は、第2基準値D2よりも小さい値である。
【0039】
不足重量値が第1基準値D1よりも大きいとき、ポンプ回転速度を上限速度Rmaxに維持する。上限速度Rmaxは、ポンプ24の性能に応じて予め設定される。
【0040】
不足重量値が第1基準値D1と第2基準値D2との間(以下、「第1範囲」という)にあるとき、不足重量値が小さくなるにつれてポンプ回転速度を低くする。不足重量値が第1範囲にあるときのポンプ回転速度の変化率は一定である。
【0041】
不足重量値が第2基準値D2と第3基準値D3との間(以下、「第2範囲」という)にあるとき、不足重量値が小さくなるにつれてポンプ回転速度を低くする。不足重量値が第2範囲にあるときのポンプ回転速度の変化率は、一定であり、しかも不足重量値が第1範囲にあるときのポンプ回転速度の変化率よりも小さい。
【0042】
不足重量値が第3基準値D3よりも小さいとき、ポンプ回転速度を下限速度Rminに維持する。下限速度Rminは、ポンプ24の性能に応じて予め設定される。
【0043】
メモリ51には、前述のようにポンプ回転速度を制御するためのポンプ回転速度制御データが記憶される。ポンプ回転速度制御データでは、中間目標重量値に対する不足重量値とポンプ回転速度とが関連付けられる。
【0044】
図7は、制御手段5による薬液供給動作を説明するためのフローチャートである。入力手段50から、薬液を指定する情報と指定重量値とが処方情報として与えられ、さらに開始指令が与えられると、薬液を指定する情報に基づいてドラム回転用モータ22を回転させ、これによって、指定された薬液を吐出するノズル部材36を、投薬瓶2の開口に対向させる。そして、移動用モータ39を回転させ、これによって移動部38を前進させて、連結部材42と被連結部材44とを連結させる。この後、薬液供給動作を開始する。
【0045】
薬液供給動作を開始すると、ステップs1で、安定重量値を取得する(後述の
図8参照)。次のステップs2では、目標重量値を決定する。目標重量値は、前記ステップs1で取得した安定重量値に、入力手段50から与えられた指定重量値を加算することによって得られる。次のステップs3では、中間目標重量値を決定する。中間目標重量値は、前記ステップs2で決定した目標重量値から、所定値を減算することによって得られる。前記所定値は、実験結果に基づいて予め設定される。
【0046】
この後、ステップs4で、ポンプ駆動用モータ40の回転を開始する。このとき、ポンプ回転速度は、上限速度Rmaxに設定される。次のステップs5では、検出重量値を取得する。次のステップs6では、中間目標重量値に対する不足重量値を計算する。この不足重量値は、前記ステップs3で決定した中間目標重量値から、前記ステップs5で取得した検出重量値を減算することによって得られる。次のステップs7では、前記ステップs6で計算した不足重量値に基づいて、ポンプ回転速度を変更する(後述の
図9参照)。
【0047】
この後、ステップs8で、前記ステップs5で取得した検出重量値が、前記ステップs3で決定した中間目標重量値を超えるか否かを判定する。検出重量値が中間目標重量値以下であれば、前記ステップs5に戻る。検出重量値が中間目標重量値を超えるとき、ステップs9に進む。ステップs9では、ポンプ駆動用モータ40の回転を停止し、ステップs10に進む。
【0048】
ステップs10では、安定重量値を取得する(後述の
図8参照)。次のステップs11では、前記ステップs10で取得した安定重量値が再試行値以上であるか否かを判定する。安定重量値が再試行値未満であれば、前記ステップs4に戻る。安定重量値が再試行値以上であれば、ステップs12に進む。
【0049】
ステップs12では、最新の安定重量値が許容下限値以上であるか否かを判定する。ここで、最新の安定重量値は、1回目は、前記ステップs10で取得した安定重量値であり、2回目以降は、直前の微少供給動作で取得した安定重量値である(後述の
図10参照)。安定重量値が許容下限値以上であれば、薬液供給動作を終了する。安定重量値が許容下限値未満であれば、ステップs13に進む。ステップs13では、微少供給動作を実行し、前記ステップs12に戻る。なお、薬液供給動作を終了した後、最新の安定重量値が許容上限値を超えるとき、エラーを通知する。
【0050】
薬液供給中に、操作者が投薬瓶2に触れたり投薬瓶保持体47に触れたりすることがある。このとき、薬液が充分に供給されていないのに、検出重量値が中間目標重量値を超えて、ポンプ駆動用モータ40の回転が停止されてしまうことがある。この点を考慮して、
図7に示す薬液供給動作では、前記ステップs11を設けて、薬液を再供給することができるようにしている。
【0051】
このような薬液供給動作を繰り返すことによって、複数の薬液を投薬瓶2に供給することができる。このようにして、薬液を調剤することができる。
【0052】
図8は、制御手段5による安定重量値取得動作を説明するためのフローチャートである。安定重量値取得動作を開始すると、ステップa1で、最新の複数の検出重量値について平均値を計算する。最新の複数の検出重量値は、メモリ51に記憶されている。次のステップa2では、前記最新の複数の検出重量値が、前記ステップa1で計算した平均値を含む所定範囲内に全て収まるか否かを判定する。
【0053】
各検出重量値のいずれかが所定範囲内に収まらないとき、前記ステップa1に戻る。各検出重量値が所定範囲内に全て収まるとき、ステップa3に進む。ステップa3では、前記ステップa1で計算した平均値を安定重量値とし、安定重量値取得動作を終了する。なお、安定重量値取得動作の開始から所定時間が経過すると、エラーを通知する。
【0054】
図9は、制御手段5によるポンプ回転速度変更動作を説明するためのフローチャートである。ポンプ回転速度変更動作を開始すると、ステップb1で、
図7のステップs6で計算した不足重量値が第1基準値D1(前述の
図6参照)以下であるか否かを判定する。不足重量値が第1基準値D1を超えるとき、ポンプ回転速度変更動作を終了する。不足重量値が第1基準値D1以下であるとき、ステップb2に進む。
【0055】
ステップb2では、前記ステップs6で計算した不足重量値に対応したポンプ回転速度を取得する。このとき、メモリ51に記憶されるポンプ回転速度制御データを参照する。次のステップb3では、現在のポンプ回転速度が、前記ステップb2で取得したポンプ回転速度を超えるか否かを判定する。現在のポンプ回転速度が前記取得したポンプ回転速度以下であれば、ポンプ回転速度変更動作を終了する。現在のポンプ回転速度が前記取得したポンプ回転速度を超えるとき、ステップb4に進む。ステップb4では、ポンプ回転速度を、現在のポンプ回転速度から前記取得したポンプ回転速度に変更し、ポンプ回転速度変更動作を終了する。
【0056】
図10は、制御手段5による微少供給動作を説明するためのフローチャートである。微少供給動作を開始すると、ステップc1で、ポンプ回転量を決定する。ポンプ回転量を決定するにあたっては、まず、目標重量値に対する不足重量値を計算する。この不足重量値は、目標重量値から最新の安定重量値を減算することによって得られる。ここで、最新の安定重量値は、1回目の微少供給動作では、前記ステップs10で取得した安定重量値であり、2回目以降の微少供給動作では、前回の微少供給動作における後述のステップc3で取得した安定重量値である。次に、目標重量値に対する不足重量値に基づいて、ポンプ回転量を決定する。
次のステップc2では、前記ステップc1で決定したポンプ回転量だけポンプ駆動用モータ40を回転させる。次のステップc3では、安定重量値を取得し(前述の
図8参照)、微少供給動作を終了する。
【0057】
図11は、検出重量値の時間変化の一例を示すグラフである。時刻t0において、薬液供給動作が開始される。時刻t1において、ポンプ駆動用モータ40の回転が開始される。時刻t0から時刻t1までは、検出重量値は、ほぼ一定である。時刻t2において、中間目標重量値に対する不足重量値が第1基準値D1になる。時刻t1から時刻t2までは、検出重量値は、大略的に、時間に比例するように増加する。
【0058】
時刻t3において、中間目標重量値に対する不足重量値が第2基準値D2になる。時刻t4において、中間目標重量値に対する不足重量値が第3基準値D3になる。時刻t5において、検出重量値が中間目標重量値になる。時刻t2から時刻t5までは、検出重量値の増加率は、大略的に、時間が経過するにつれて小さくなる。
【0059】
時刻t6において、微少供給動作を開始する。時刻t5から時刻t6までは、検出重量値は、ほぼ一定である。時刻t7において、微少供給動作を終了する。時刻t6から時刻t7までは、検出重量値は、大略的に、時間に比例するように増加する。時刻t7以降は、検出重量値は、ほぼ一定である。
【0060】
以上のような本実施の形態によれば、薬液供給手段3によって投薬瓶2に薬液が供給される。投薬瓶2に収容される薬液の重量は、重量検出手段4によって検出される。制御手段5は、重量検出手段4によって検出される検出重量値に基づいて薬液供給手段3を制御する。制御手段5には、重量検出手段4から検出重量値が逐次に与えられる。したがって制御手段5は、最新の検出重量値に基づいて、薬液供給手段3を的確に制御することができる。
【0061】
制御手段5は、目標重量値よりも小さい中間目標重量値を決定し、薬液の供給中に中間目標重量値を超える検出重量値が与えられたとき、薬液の供給を一旦制限するように、薬液供給手段3を制御する。したがって検出重量値が不安定であっても、薬液の過供給を防ぐことができる。
【0062】
また制御手段5は、前述のように薬液の供給を一旦制限した後、検出重量値が安定したとき、目標重量値と検出重量値とに基づいて薬液を供給するように、薬液供給手段3を制御する。したがって薬液の不足分を、より正確な不足重量値に基づいて供給することができ、これによって薬液の供給精度を向上することができる。
【0063】
薬液は、投薬瓶2に供給したときに投薬瓶2内で揺れる。そのため、薬液を投薬瓶2に供給したとき、検出重量値は不安定である。そこで、前述のように薬液を供給し、これによって薬液の供給精度を向上することができる。
【0064】
また本実施の形態によれば、中間目標重量値を超える検出重量値が与えられるまでは、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬液の供給速度が低くなるようにする。したがって薬液の供給時間を短縮するとともに、薬液の過供給を防ぐことができる。
【0065】
このような本実施の形態では、薬液の過供給を防いだうえで、中間目標重量値を、目標重量値に対して、できるだけ近い値に決定することができる。中間目標重量値を目標重量値に近い値にすることで、薬液の供給を一旦制限した後に追加して供給される薬液の量を少なくして、薬液の供給誤差を小さくすることができる。
【0066】
また本実施の形態によれば、中間目標重量値と検出重量値との差が所定値以下になるまで、薬液の供給速度を一定に維持し、これによって薬液の供給時間を短縮することができる。また中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬液の供給速度が低くなるようにし、これによって薬液の過供給を防ぐことができる。
【0067】
また本実施の形態によれば、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど、この差の変化量に対する薬液の供給速度の変化量の割合が小さくなるようにする。これによって薬液の供給時間を可及的に短縮するとともに、薬液の過供給を確実に防ぐことができる。
【0068】
また本実施の形態によれば、検出重量値が安定したときを、最新の複数の検出重量値が、これらの検出重量値についての平均値を含む所定範囲内に全て収まるようになったときとする。これによって検出重量値が安定したか否かを的確に判定することができる。
【0069】
また本実施の形態によれば、検出重量値が安定したとき、最新の複数の検出重量値についての平均値と目標重量値との差に基づいて薬液を供給する。したがって薬液の不足分を、より正確な不足重量値に基づいて供給することができ、これによって薬液の供給精度を向上することができる。
【0070】
前述の実施の形態では、中間目標重量値に対する不足重量値が所定値以下になると、ポンプ回転速度の変化率は、前記不足重量値が小さくなるにつれて、段階的に小さくなるけれども、連続的に小さくなるようにしてもよい。
【0071】
また前述の実施の形態では、薬剤は、液状であるけれども、薬剤は、固形であってもよい。固形の薬剤としては、散剤、錠剤およびカプセル剤などが挙げられる。このような固形の薬剤であっても、同様の効果を達成することができる。
【0072】
また薬剤供給装置としては、容器に薬剤を供給する薬剤供給手段と、前記容器に収容される薬剤の重量を検出する重量検出手段と、重量検出手段によって検出される検出重量値に基づいて薬剤供給手段を制御する制御手段とを備え、重量検出手段は、検出重量値を逐次に制御手段に与え、制御手段は、目標重量値よりも小さい中間目標重量値を決定し、薬剤の供給中に中間目標重量値を超える検出重量値が与えられたとき、薬剤の供給を一旦制限し、この後、検出重量値が安定したとき、目標重量値と検出重量値とに基づいて薬剤を供給するように、薬剤供給手段を制御するように構成することができる。
【0073】
この薬剤供給装置に従えば、薬剤供給手段によって容器に薬剤が供給される。容器に収容される薬剤の重量は、重量検出手段によって検出される。制御手段は、重量検出手段によって検出される検出重量値に基づいて薬剤供給手段を制御する。制御手段には、重量検出手段から検出重量値が逐次に与えられる。したがって制御手段は、最新の検出重量値に基づいて、薬剤供給手段を的確に制御することができる。
【0074】
制御手段は、目標重量値よりも小さい中間目標重量値を決定し、薬剤の供給中に中間目標重量値を超える検出重量値が与えられたとき、薬剤の供給を一旦制限するように、薬剤供給手段を制御する。したがって検出重量値が不安定であっても、薬剤の過供給を防ぐことができる。
また制御手段は、前述のように薬剤の供給を一旦制限した後、検出重量値が安定したとき、目標重量値と検出重量値とに基づいて薬剤を供給するように、薬剤供給手段を制御する。したがって薬剤の不足分を、より正確な不足重量値に基づいて供給することができ、これによって薬剤の供給精度を向上することができる。
【0075】
また、制御手段は、中間目標重量値を超える検出重量値が与えられるまでは、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるように、薬剤供給手段を制御するように構成することができる。
【0076】
この薬剤供給装置に従えば、中間目標重量値を超える検出重量値が与えられるまでは、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるようにする。したがって薬剤の供給時間を短縮するとともに、薬剤の過供給を防ぐことができる。
【0077】
このような薬剤供給装置では、薬剤の過供給を防いだうえで、中間目標重量値を、目標重量値に対して、できるだけ近い値に決定することができる。中間目標重量値を目標重量値に近い値にすることで、薬剤の供給を一旦制限した後に追加して供給される薬剤の量を少なくして、薬剤の供給誤差を小さくすることができる。
【0078】
また、制御手段は、中間目標重量値と検出重量値との差が所定値以下になるまで、薬剤の供給速度を一定に維持し、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるように、薬剤供給手段を制御するように構成することができる。
【0079】
この薬剤供給装置に従えば、中間目標重量値と検出重量値との差が所定値以下になるまで、薬剤の供給速度を一定に維持し、これによって薬剤の供給時間を短縮することができる。また中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど薬剤の供給速度が低くなるようにし、これによって薬剤の過供給を防ぐことができる。
【0080】
また薬剤供給装置は、制御手段は、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど、この差の変化量に対する薬剤の供給速度の変化量の割合が小さくなるように、薬剤供給手段を制御するように構成することができる。
【0081】
この薬剤供給装置に従えば、中間目標重量値と検出重量値との差が前記所定値以下になると、中間目標重量値と検出重量値との差が小さくなるほど、この差の変化量に対する薬剤の供給速度の変化量の割合が小さくなるようにする。これによって薬剤の供給時間を可及的に短縮するとともに、薬剤の過供給を確実に防ぐことができる。
【0082】
また、検出重量値が安定したときとは、最新の複数の検出重量値が、これらの検出重量値についての平均値を含む所定範囲内に全て収まるようになったときとできる。
【0083】
この薬剤供給装置に従えば、検出重量値が安定したときを、最新の複数の検出重量値が、これらの検出重量値についての平均値を含む所定範囲内に全て収まるようになったときとする。これによって検出重量値が安定したか否かを的確に判定することができる。
【0084】
また薬剤供給装置は、制御手段は、検出重量値が安定したとき、最新の複数の検出重量値についての平均値と目標重量値との差に基づいて薬剤を供給するように、薬剤供給手段を制御するように構成することができる。
【0085】
この薬剤供給装置に従えば、検出重量値が安定したとき、最新の複数の検出重量値についての平均値と目標重量値との差に基づいて薬剤を供給する。したがって薬剤の不足分を、より正確な不足重量値に基づいて供給することができ、これによって薬剤の供給精度を向上することができる。
【0086】
また薬剤供給装置は、薬剤は液状とすることができる。
この薬剤供給装置に従えば、薬剤は液状である。液状の薬剤は、容器に供給したときに容器内で揺れる。そのため、液状の薬剤を容器に供給したとき、検出重量値は不安定である。そこで、前述のように薬剤を供給し、これによって薬剤の供給精度を向上することができる。
【0087】
また薬剤供給方法は、容器に収容される薬剤の重量を検出しながら前記容器に薬剤を供給する薬剤供給方法であって、目標重量値よりも小さい中間目標重量値を決定し、薬剤の供給中に検出重量値が中間目標重量値を超えたとき、薬剤の供給を一旦制限し、この後、検出重量値が安定したとき、目標重量値と検出重量値とに基づいて薬剤を供給する薬剤供給方法とすることができる。
【0088】
この薬剤供給方法に従えば、目標重量値よりも小さい中間目標重量値を決定し、薬剤の供給中に検出重量値が中間目標重量値を超えたとき、薬剤の供給を一旦制限する。したがって検出重量値が不安定であっても、薬剤の過供給を防ぐことができる。また前述のように薬剤の供給を一旦制限した後、検出重量値が安定したとき、目標重量値と検出重量値とに基づいて薬剤を供給する。したがって薬剤の不足分を、より正確な不足重量値に基づいて供給することができ、これによって薬剤の供給精度を向上することができる。