特許第5723963号(P5723963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723963
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】二輪車の駐輪システム
(51)【国際特許分類】
   B62H 3/04 20060101AFI20150507BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20150507BHJP
   E05B 71/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   B62H3/04
   G07B15/00 L
   E05B71/00 A
   E05B71/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-268969(P2013-268969)
(22)【出願日】2013年12月26日
(62)【分割の表示】特願2009-267427(P2009-267427)の分割
【原出願日】2009年11月25日
(65)【公開番号】特開2014-73842(P2014-73842A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】598100117
【氏名又は名称】相模石油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】小泉 光哉
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−001657(JP,A)
【文献】 特開2004−100339(JP,A)
【文献】 特開2004−308235(JP,A)
【文献】 特開2009−061960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 3/04−3/10
B62H 5/00
E05B 71/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐輪しようとする二輪車の所定部位を収容する駐輪枠と、
前記駐輪枠の第1位置に前記二輪車が存在するときに第1検知信号を出力する第1センサと、
前記二輪車が前記駐輪枠の前記第1位置に到達する途中の第2位置に前記二輪車が存在するときに第2検知信号を出力する第2センサと、
前記第2検知信号を受信した後、所定時間内に前記第1検知信号を受信しなかった場合は、前記第2位置で前記二輪車をロックする第2ロック機構にロック開始信号を出力して前記第2ロック機構による前記二輪車のロックを開始させる制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記第1検知信号を受信した場合は、前記第1位置で前記二輪車をロックする第1ロック機構にロック開始信号を送信する、二輪車の駐輪システム。
【請求項2】
前記第2ロック機構を有する請求項1記載の二輪車の駐輪システム。
【請求項3】
前記第1位置は、前記二輪車が正常駐輪状態にあるときに前記第1センサが前記第1検知信号を出力する位置とされている、請求項1又は2記載の二輪車の駐輪システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1検知信号を受信した場合には正常駐輪状態を表す第1態様の処理を行う、
請求項1〜のいずれかに記載の二輪車の駐輪システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2ロック機構による前記二輪車のロックを開始させるときは、当該開始前に、視覚と聴覚との少なくとも一方によって認識可能な注意喚起情報を出力する処理を行う、
請求項1〜4のいずれかに記載の二輪車の駐輪システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1検知信号及び第2検知信号のいずれもが受信されていないときは、所定の表示装置に対して空き状態表示を行い、前記第1検知信号を受信した後に、所定時間経過後に前記第検知信号を受信した場合には正常駐輪状態表示を行い、前記第2ロック機構のみが制御されるときは異常駐輪状態表示を行う、
請求項1〜のいずれかに記載の二輪車の駐輪システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2ロック機構によるロックの開始を契機に、前記正常駐輪状態とは異なる課金体系に基づく課金処理を行う、
請求項記載の二輪車の駐輪システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無人で運営される二輪車の駐輪システムにおいて、課金を免れるために行われる不正駐輪を防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅やスーパーマーケットのように多数の利用者の自転車、バイク等(以下、「二輪車」という。)が駐輪される場所において有料駐輪場が設けられている場合がある。そのような有料駐輪場において使用される駐輪システムとして、駐輪された各二輪車に施錠する施錠装置と、各施錠装置を管理し課金を行うための制御装置とを接続して成る駐輪システムが知られている。
【0003】
施錠装置は、二輪車の車輪を収納し、ロック機構まで誘導するためのガイドレールと、ガイドレールの前端に取付けられ、車輪をロックするためのロック機構とを有している。そして、駐輪システムの利用者は、施錠装置のガイドレールに二輪車の車輪を収納し、ロック機構で車輪をロックして、駐輪する。制御装置は、この施錠装置の施錠を行うと同時に、課金を開始する。その後、二輪車を取り出す際には、利用者は、制御装置によって駐輪した時間に応じて課金された料金の支払い等を行うことにより、解錠を行う。
【0004】
このような駐輪場は、多数の利用者によって頻繁に利用されるものであるため、駐輪システムには定期的なメンテナンスが必要となる。このメンテナンスの費用は駐輪場の利用料金で賄われているのが通常であり、駐輪場を継続して運営していくためにも、利用料金の徴収を適切に行うことが必要であり、駐輪システムの管理者や経営者の大きな関心事の一つである。
【0005】
しかし、駐輪場は普段は無人で運営されていることが多い。そのため、施錠装置のガイドレールの後端に車輪を載置するのみでは、前端のロック機構でロックすることなく駐輪し、課金を免れる等の不正駐輪が行われ、駐輪システムの管理者や経営者が多大な損害を被る場合がある。
そこで、従来、施錠装置における二輪車の車輪を載せるためのガイドレールが比較的長尺であることが不正駐輪を可能にする原因の1つであることに着目し、ガイドレールを短くすることにより、車輪がロック機構でロックされる所定の位置に収納されることを促し、不正駐輪を防止する技術が存在している(例えば、特許文献1参照)。
このような技術によって、不正駐輪を減らす一定の効果が期待されるが、依然として、ガイドレールの途中に車輪を載置し、課金を免れることは可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−061960
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、二輪車の不正駐輪のような異常駐輪を抑止できる構造の駐輪システム及びその構成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の駐輪システムは、駐輪しようとする二輪車の所定部位を収容する駐輪枠と、前記駐輪枠の第1位置に前記二輪車が存在するときに第1検知信号を出力する第1センサと、前記二輪車が前記駐輪枠の第1位置に到達する途中の第2の位置に前記二輪車が存在するときに第2検知信号を出力する第2センサと、前記第1位置で前記二輪車をロックする第1ロック機構と、前記第2位置で前記二輪車をロックする第2ロック機構と、前記第1検知信号を受信した場合は前記第1ロック機構を制御してロックを開始させ、他方、前記第2検知信号を受信した後、所定時間経過前に前記第1検知信号を受信しなかった場合は前記第2ロック機構を制御してロックを開始させる制御装置と、を有する二輪車の駐輪システムである。
【0009】
この駐輪システムでは、第1位置と異なる第2位置に駐輪することで第1ロック機構によるロックを回避しようとしても、当該第2位置において第2ロック機構でロックされるので、利用者による不正駐輪意欲を減退させることができる。
また、第1位置を、二輪車が第2位置を経由しなければ到達しない位置とし、第1ロック機構は第1検知信号に加えて第2検知信号を受信した場合にのみロックを開始するものとしてもよい。その場合には、第2検知信号を受信することなく第1検知信号のみを受信したときは二輪車が駐輪枠に存在しないとして、各ロック機構を作動させないものとすることにより、いたずら等による誤作動を防止することができる。
【0010】
本発明の駐輪システムにおいて、前記制御装置は、前記第1ロック機構が制御されるときは正常駐輪状態を表す第1態様の処理を行い、前記第2ロック機構が制御されるときは異常駐輪状態を表す第2態様の処理を行う処理手段を有するものとすることができる。すなわち、第2ロック機構によって二輪車を第2位置でロックするだけでなく、正常駐輪状態のときとは異なる態様で処理を行う。
【0011】
処理手段が行う処理の具体例としては、前記第2ロック機構が制御されるときは、当該制御開始前に、視覚と聴覚との少なくとも一方によって認識可能な注意喚起情報を出力する処理が挙げられる。これにより、不正駐輪の意思のない利用者に対して、第2ロック機構が差動する前に注意を促すことで、正常駐輪にガイドすることができる。
【0012】
あるいは、所定の表示装置に対して、前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構のいずれもが未制御状態にあるときは空き状態表示を行い、前記第1ロック機構のみが制御されるときは正常駐輪状態表示を行い、前記第2ロック機構のみが制御されるときは異常駐輪状態表示を行うことが挙げられる。これにより、利用者及び管理者に対して、どの駐輪枠が利用可能であるとか、どの駐輪枠において異常(不正)駐輪が行われているとかを表示することができる。
【0013】
あるいは、前記第2ロック機構によるロックの開始を契機に行う、前記正常駐輪状態とは異なる課金体系に基づく課金処理が挙げられる。このように正常駐輪と不正駐輪とで課金体系に差をつけることにより、不正駐輪を行った者に対してペナルティを課すことができ、間接的に不正駐輪を抑止することができる。
【0014】
前記駐輪枠は複数並設することができる。この場合、隣接する2つの駐輪枠の間隙に前記二輪車の侵入を抑止する侵入防止体が存在するようにする。これにより、不正駐輪の余地を無くすことができる。
【0015】
本発明は、また、駐輪しようとする二輪車の所定部位を収容する駐輪枠と、前記駐輪枠の第1位置に前記二輪車が存在するときに第1検知信号を出力する第1センサと、前記二輪車が前記駐輪枠の第1位置に到達する途中の第2の位置に前記二輪車が存在するときに第2検知信号を出力する第2センサと、前記第1センサから前記第1検知信号が出力されたときは前記第1位置で前記二輪車をロックする第1ロック機構と、前記第2センサから前記第2検知信号が出力された後、所定時間経過前に前記第1センサから前記第1検知信号が出力されない場合は前記第2位置で前記二輪車をロックする第2ロック機構と、を備えて成る、二輪車の施錠装置をも提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不正駐輪の意図のある利用者が二輪車を駐輪枠の第1位置に収容しない場合であっても、第2位置において第2ロック機構でロックされるので、利用者による不正駐輪意欲を減退させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した駐輪システムの概要図である。
図2】施錠装置の側面図である。
図3】施錠装置の上面図である。
図4】施錠装置に二輪車を正常駐輪した状態を示す図である。
図5】施錠装置に二輪車を不正駐輪した状態を示す図である。
図6】第1ロック機構の上面図であり、(a)はロック解除状態、(b)はロック状態を表す。
図7】制御装置の機能ブロック図である。
図8】制御装置の処理手順説明図である。
図9】(a)は障害ブロックの形状を表す上面図、(b)はその側面図、(c)はその底面図である。
図10】二輪車用施錠ユニットの上面図。
図11】二輪車用施錠ユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態例について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る駐輪システム1の概要図である。この駐輪システム1は、駐輪枠を有する1又は複数の施錠装置10と、これらの施錠装置10と有線又は無線の通信路50で接続された制御装置20とを含んで構成される。
なお、図1では、便宜上、一つの施錠装置10のみを示してある。
【0019】
[施錠装置]
まず、施錠装置10について説明する。図2は施錠装置10の側面図、図3は施錠装置10の上面図である。これらの図に示されるように、施錠装置10は、駐輪しようとする二輪車の車輪を収容するための駐輪枠となるガイドレール130と、このガイドレールの前端(紙面左側)に設置される第1ロック機構110と、ガイドレール130のほぼ中央部に設置される第2ロック機構120とを有している。
【0020】
第1ロック機構110は、主として正常駐輪が行われたときに二輪車の車輪をロックするためのものであり、制御装置20によって制御される。ここで「正常駐輪」とは、図4に示すように、二輪車30の前輪がガイドレール130の前端に位置するように駐輪された状態をいう。他方、第2ロック機構120は、主として不正駐輪が行われたときに二輪車の車輪をロックするためのものであり、ガイドレール130の前端に至る途中の長手方向のほぼ中央に設けられる。第2ロック機構120もまた、制御装置20によって制御される。ここで「不正駐輪」とは、図5に示すように、ガイドレール130の前端の第1ロック機構110でロックされないような位置に車輪がくるように駐輪された状態をいう。
【0021】
ガイドレール130は、例えば薄板状体を断面倒コ字状に折曲した溝部を有している。この溝部は、二輪車の車輪の幅よりやや幅広となっており、当該溝部で二輪車をその車輪を収納しながら第1ロック機構110に誘導できる構造になっている。ガイドレール130の前寄りの部分の両側部には、補助柵140が設けられている。補助柵140は、二輪車がガイドレール130から滑落することを防止するものである。ガイドレール130の溝部は、車輪の第1ロック機構110への誘導をよりスムーズに行えるように、第1ロック機構110の方へ下るように傾斜していてもよく、さらに、溝部の滑りを良くするため、底に複数のベアリング、ローラー等が設けられたものとしてもよい。駐輪する二輪車の車輪の幅に合わせて、溝部の幅を任意に調整できる機構を設けてもよい。
【0022】
次に、図6を参照して、第1ロック機構110の構造をより詳しく説明する。
図6(a)は未ロック状態、(b)はロック状態を表す上面図である。
第1ロック機構110は、筐体に形成された車輪挿入用凹部111と、それぞれ筐体の所定部位から突出可能な一対の可動アーム部112と、第1センサ113と、制御装置20の制御に基づいて可動アーム部112を変位させる制御機構114とを有している。
【0023】
可動アーム部112は、未ロック状態(ロック解除状態)のときはそれぞれ筐体に埋没しているが、ロック状態のときは筐体から突出して二輪車の車輪310を車輪挿入用凹部111の内に挟み込む。制御機構114は、制御装置20から、後述するロック開始信号を受信したときに可動アーム部112を突出させてロックを開始させ、他方、後述するロック解除信号を受信したときに可動アーム部112を埋没させてロックを解除する。
【0024】
第1センサ113は、例えば重量センサ、圧力センサ、接触センサ等であり、第1ロック機構110への車輪310の挿入を検知すると、第1検知信号を制御装置20に向けて送信する。なお、第1センサ113は、第1ロック機構110とは独立に設けられるものとしてもよい。
【0025】
第2ロック機構120は、第1ロック機構110と同様の構造を有する。但し第1センサ113は、第2ロック機構においては「第2センサ」と称する。第2センサは、ガイドレール130への車輪の載置を検知すると、第2検知信号を制御装置20に向けて送信する。第2センサもまた、第2ロック機構120と独立に設けられるようにしてもよく、不正駐輪をより適切に検知するために、ガイドレール130上に複数個設けられるものとしてもよい。
【0026】
[制御装置]
次に、制御装置20について説明する。図7は、制御装置20の機能ブロック図である。制御装置20は、識別情報によって区別される施錠装置10毎に、その第1ロック機構110及び第2ロック機構120のロック/ロック解除を制御するとともに、駐輪時間に応じた課金処理その他の処理を行うためのもので、表示部210、課金・精算処理部220、ロック機構制御部230、アラーム発生部240、料金投入部250及び操作部260を有している。
【0027】
表示部210は、所定のディスプレイに、料金投入部250から投入された金額の表示、操作部260で操作された内容の表示、課金・精算処理部220で算出された利用料金の額の表示、空いていて利用可能であることの提示、不正駐輪が行われている施錠装置等であることの表示等を行うものである。構成を簡略化するためにタッチパネルを採用して精算時等の各種入力操作を行えるようにしてもよい。
【0028】
課金・精算処理部220は、第1ロック機構110及び第2ロック機構120のロック開始を契機に、当該時点からその後の駐輪時間に応じた当該施錠装置10の利用に対する課金額を算出する処理を行う。課金・精算処理部220は、また、利用者による課金額相当の料金支払いがあった場合は、精算済みを表す精算済信号をロック機構制御部230に送出する。
【0029】
ロック機構制御部230は、施錠装置10の第1センサ113及び第2センサから出力される検知信号の受信の有無及び受信のタイミングに応じて、第1ロック機構110又は第2ロック機構120にロック信号を送信する。また、課金・精算処理部220から出力された精算済信号を受信したときに、第1ロック機構110又は第2ロック機構120にロック解除信号を送信する。
ロック機構制御部230は、また、ロック開始信号及びロック解除信号の送信に関する情報を、施錠装置10の識別情報と関連付けて図示しないメモリに保持しておき、保持されている情報に基づいて、どの施錠装置10が稼働していてどの施錠装置10が空いているか(利用可能か)、稼働中のときは当該施錠装置10においてどのような駐輪(不正駐輪または正常駐輪)によって稼働しているかを特定する。そして、特定した態様に応じて、当該態様を表す情報と共に表示部210へ送出する。これにより、例えばこれから駐輪しようとする者は、表示部210で簡単に利用可能な施錠装置10がどれかを確認することができる。また、駐輪システム1の管理者は、不正駐輪を容易に発見することができる。
【0030】
アラーム発生部240は、ロック機構制御部230によって第2ロック機構120が制御されるときは、当該制御開始前に、視覚と聴覚との少なくとも一方によって認識可能な注意喚起情報(アラーム)を出力する処理を行う。具体的には、警告音を鳴動させたり、警告灯を点灯させたり、表示部210に所定の警告画像等を表示させたりする。このようにすれば、第2ロック機構120によってロックされてしまう前に、不正駐輪の意図を持たない利用者に二輪車30の駐輪位置を正すことを促すことができる。
【0031】
料金投入部250は、利用者が精算時に投入した利用料金(課金額相当)を受け付けるものであり、操作部260は、利用者からの施錠装置20の識別番号等の入力を受け付けるものである。利用者が入力する施錠装置20の識別番号は、これによってどの施錠装置20についての利用料金なのかを制御装置20側で判別できるようにするための情報である。
【0032】
[駐輪システムの動作]
次に、駐輪システム1の動作を、図8に示した制御装置20の処理手順説明図を参照して説明する。前提として、施錠装置10の識別情報が制御装置20において伝達され、これに基づいて制御すべき施錠装置10が制御装置20側で特定されているものとする。
【0033】
駐輪システム1では、正常駐輪のときは、第2センサが第2検知信号が出力され、その後、第1センサ113から第1検知信号が出力される。そこで、制御装置20では、まず、ロック機構制御部230において、第2センサからの第2検知信号を受信したかどうかを判定する(ステップS1)。第2検知信号を受信した場合は(ステップS1:Yes)、その情報を施錠装置10の識別情報と関連付けて保持しておく。
次いで所定時間経過前に第1センサ113から第1検知信号を受信したか否かを判定する(ステップS2)。ここにいう所定時間は、例えば、二輪車の車輪がガイドレール130上を前端まで進むに足りる時間、具体的には数秒から数十秒程度である。この時間内に第1検知信号の受信が検知された場合(ステップS2:Yes)、ロック機構制御部230は、正常駐輪の態様の処理として、上記識別番号によって特定される施錠装置10の第1ロック機構110に向けてロック開始信号を送信する。これにより、当該施錠装置10の第1ロック機構110が、ロックを開始する(ステップS3)。
第1ロック機構110がロックされると、課金・精算処理部220は、当該施錠装置10の利用に対する正常課金処理を開始する(ステップS4)。
【0034】
ロック機構制御部230は、第1センサ113から第1検知信号が受信される前に、第2センサから第2検知信号の受信が検知されていない場合は、第1ロック機構110へのロック開始信号を送信しないようにする。これにより、実際に、二輪車がガイドレール130を通って第1ロック機構110に収容され、ロックされる場合のみ、つまり、第1センサ113と第2センサが連続して反応した場合にのみ、第1ロック機構110が作動することとなり、例えば第1センサ113に直接手で触れるなどのいたずらによって第1ロック機構110の誤作動が起こる事態を防止することができる。
【0035】
ロック機構制御部230は、正常課金処理が開始された後、課金・精算処理部220から精算済信号を受信すると(ステップS5:Yes)、制御装置20の操作パネルから領収書を発行するとともに(ステップS6)、当該施錠装置10の第1ロック機構110に向けてロック解除信号を送信する。これにより、第1ロック機構110のロック状態が解除される(ステップS7)。
なお、ロック解除信号は、操作部260を通じて利用者から暗証番号やパスワードの入力があった場合に送信されるものとしてもよい。
【0036】
一方、ステップS2において、所定時間内に、第1センサ113によって第1検知信号の受信が検知されなかった場合には、アラーム発生部240によって注意喚起情報、例えば警告音、警告灯、あるいは警告画像等のアラームを発生させる(ステップS8)。
【0037】
アラームが発生して一定時間経過すると、ロック機構制御部230は、再度、第1センサ113からの第1検知信号が受信されたか否かを判定する(ステップS9)。第1検知信号が受信された場合は(ステップS9:Yes)、ステップS3の処理に戻り、以降は、正常駐輪の態様を表す処理(ステップ3〜ステップS7)を行う。
【0038】
ステップS9において、第1検知信号が受信されていない場合(ステップS9:No)、ロック機構制御部230は、不正駐輪の態様の処理として、第2ロック機構120へロック開始信号を送信する。これにより、第2ロック機構120は、ロックを開始する(ステップS10)。第2ロック機構120のロックが開始されると、課金・精算処理部230は、正常課金額に不正罰則課金額を加えた額の課金処理を開始する(ステップS11)。
アラーム発生からステップS9における再度の判定までの時間は、例えば30秒程度であり、不正駐輪と判断できる時間とする。
【0039】
ロック機構制御部230は、課金処理が開始された後、課金・精算処理部220から精算済信号を受信した場合は(ステップS12:Yes)、領収書を発行するとともに(ステップS13)、第2ロック機構120へロック解除信号を送信する。これにより、第2ロック機構120はロック状態を解除させる(ステップS14)。
【0040】
このように、第1実施形態の駐輪システム1では、第1ロック機構110ではロックされないような位置に不正駐輪を行った場合であっても、第2ロック機構120によって確実に二輪車の車輪をロックすることができ、また、それに応じたペナルティ(不正罰則の加重課金)を行うことができるので、不正駐輪を抑止することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態で説明した施錠装置10を2つ並設して1組とし、隣接する施錠装置10間の間隙に、二輪車の侵入を抑止する侵入防止体が存在する施錠ユニットとしたものである。
【0042】
侵入防止体は、例えば図9(a)の上面図、図(b)の側面図、同(c)の底面図に示される形状の樹脂製の障害ブロック40であり、施錠装置10の側面形状に沿う形状に形成される。また、その高さは、二輪車の車輪が容易に乗り上げることのできないような高さ、例えば、車輪の半径程度とする。なお、図9(b)の変形六角形部分及び斜線部分は窪みである。
【0043】
図10はこの障害ブロック40を組み込んだ施錠ユニットの上面図、図11はその側面図であり、第1実施形態において説明した施錠装置10の構成部品については、同一符号を付してある。
このような構成の施錠ユニットでは、利用者が施錠装置10間に二輪車を駐輪することで課金を免れるような不正駐輪を試みても、障害ブロック40の存在によってそれができないので、結果的に不正駐輪が抑止される。
【0044】
なお、侵入防止体は、施錠装置10間に二輪車が侵入することを防げればよいので、施錠装置10の間に張られるネット状のものであってもよく、隣り合う施錠装置10の機械的強度を高めるための補強材を図9のように成形したものであってもよい。
また、図10及び図11の例では、施錠装置10は2個であるが、設置される駐輪場の規模に合わせて、3個以上を1組としてもよく、それに応じて、障害ブロック40も2個以上としてもよい。
【0045】
なお、第1実施形態及び第2実施形態において説明した施錠装置10のうち、第1ロック機構110及び第2ロック機構120は、一対の可動アーム部112を用いたロック機構に代えて、ロック時に例えばフラップ板が立ち上がるような機構としてもよい。フラップ板による機構とした場合には、車輪310を挟み込む必要がないため、車輪310の細かな位置を意識せず、比較的自由にロック機構の設置位置を決めることができる。また、第1ロック機構110は、目的に応じて、ガイドレール130の前端以外の位置に設けられるようにしてもよい。
また、各実施形態では、駐輪枠は、二輪車の車輪を収容するガイドレール130の例を示したが、二輪車の他の部位、例えばフレーム、ハンドル、サドルその他の部位、あるいは二輪車全体を収容する構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 駐輪システム
10 施錠装置
110 第1ロック機構
111 車輪挿入用凹部
112 可動アーム部
113 第1センサ
120 第2ロック機構
130 ガイドレール
140 補助柵
20 制御装置
210 表示部
220 課金・精算処理部
230 ロック機構制御部
240 アラーム発生部
250 料金投入部
260 操作部
30 二輪車
310 車輪
40 障害ブロック
図1
図2
図3
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図5
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