特許第5723970号(P5723970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723970
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】薬剤移注針及び薬剤移注方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/162 20060101AFI20150507BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   A61M5/162 500N
   A61J3/00 314C
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-507139(P2013-507139)
(86)(22)【出願日】2012年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2012001783
(87)【国際公開番号】WO2012132286
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2011-77622(P2011-77622)
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-253490(P2011-253490)
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】樋口 朗
(72)【発明者】
【氏名】奥田 晃庸
(72)【発明者】
【氏名】太田 章博
(72)【発明者】
【氏名】竹中 結輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
【審査官】 倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−77946(JP,U)
【文献】 実開平6−66682(JP,U)
【文献】 特開昭61−257654(JP,A)
【文献】 特開平4−156858(JP,A)
【文献】 実公昭49−26398(JP,Y1)
【文献】 実公昭49−14473(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/162
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジの筒先に装着される針基部と、前記針基部に隣接する筒部と、前記筒部で覆われるとともに一端及び他端が前記筒部から外部に露出している通気路を内部に有する第1針部と、前記筒部で覆われるとともに通液路を内部に有する第2針部とで構成され、
前記第2針部は前記第1針部より長く、前記第1針部の軸方向と前記第2針部の軸方向とが平行であり、
前記通液路の通液口を有する前記第2針部で構成される部分を先端部とし、前記先端部に隣接して配置されかつ前記筒部及び前記第2針部で構成される部分を中間部とし、前記中間部に隣接して配置されかつ前記筒部及び前記第2針部及び前記第1針部で構成される部分を基部とした場合に、
前記中間部の直径が前記先端部の直径よりも大きく、前記中間部の直径が前記基部の直径よりも小さい、
薬剤移注針。
【請求項2】
前記基部は、前記通気路の前記一端として前記筒部から外部に露出した第1通気口を有するとともに、前記通気路の前記他端として前記筒部から外部に露出した第2通気口を有する、
請求項1に記載の薬剤移注針。
【請求項3】
前記第1針部の前記通気路の前記一端である前記第1通気口は、前記通気路の前記他端である前記第2通気口よりも前記第2針部の先端側に設けられ、
前記第2針部の前記通液路の一端は、前記通液路の他端である前記通液口と反対側で前記基部に接続された、
請求項2に記載の薬剤移注針。
【請求項4】
前記第2針部の前記通液口と前記第1針部の前記第1通気口との間隔を3mm以上かつ40mm以下とした、
請求項3に記載の薬剤移注針。
【請求項5】
前記第2針部の前記通液口と前記第1針部の前記第1通気口との間隔を10mmとした、
請求項3に記載の薬剤移注針。
【請求項6】
前記第2針部の前記通液口と前記中間部との間隔を3mm以下とした、
請求項3又は4に記載の薬剤移注針。
【請求項7】
前記先端部の前記直径をd1とし、前記中間部の前記直径をd2とし、前記基部の前記直径をd3とした場合、1<d2/d1≦1.9及び1<d3/d2≦1.9の関係式を満たす、
請求項3から5のいずれか1項に記載の薬剤移注針。
【請求項8】
前記第1通気口は、前記第1針部及び前記第2針部の軸方向に垂直な面において、前記第2針部の軸方向の中心を中心として前記通液口から160°以上かつ200°以下の範囲に形成された、
請求項3から5のいずれか1項に記載の薬剤移注針。
【請求項9】
前記第1針部の前記第1通気口側の先端は、前記第2針部に近づくにつれて前記第2針部の先端へ延びる傾き角度αを有する、
請求項3から5のいずれか1項に記載の薬剤移注針。
【請求項10】
前記第1針部の先端の傾き角度αが、12.5°以上かつ20.5°以下である、
請求項9に記載の薬剤移注針。
【請求項11】
前記第2針部の軸方向に平行な方向における前記第1通気口の長さが、0.1mm以上かつ3mm未満である、
請求項3から5のいずれか1項に記載の薬剤移注針。
【請求項12】
前記シリンジに取り付けた請求項2から11のいずれか1項に記載の薬剤移注針を、前記通液口と前記第1通気口とが薬剤容器内に入ると共に、前記第2通気口が外部に残る状態で前記薬剤容器に挿入し、
前記シリンジのプランジャを動かして、前記薬剤容器内又は前記シリンジ内の薬剤の吸引又は吐出を行ない、
前記通液口を前記薬剤容器内に残しつつ、前記第1通気口を前記薬剤容器外に配置し、前記プランジャを引いて前記薬剤容器内の気体の圧力を陰圧に調整した後、前記薬剤容器より前記第2針部を抜き取る、
薬剤移注方法。
【請求項13】
前記プランジャを引いて前記薬剤容器内の気体の圧力を陰圧に調整するとき、前記筒部が前記薬剤容器のゴム栓内に位置した状態で行う、
請求項12に記載の薬剤移注方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療などの分野において、容器に充填されている注射薬などの薬剤を移注するものに関する。具体的には、本発明は、薬剤を、シリンジによって吸引又は吐出するときに用いる薬剤移注針及び薬剤移注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などで入院患者に処方される薬剤としては、数種類の薬剤を異なった薬剤容器から取り出して混合したものを用いる場合が多い。また、このような薬剤を混合する作業は、薬剤師などの作業者による人手に頼ることが多い。薬剤を混合するためには、薬剤容器に注射針などを挿入して薬剤をシリンジで吸引する作業が必要である。この作業は、作業者にとって作業負担となっている。
【0003】
例えば、薬剤容器として密閉されたバイアル瓶を用い、この薬剤容器からシリンジへ薬剤を吸引するときには、ポンピング動作を行なうことが多い。ポンピング動作とは、吸引する薬剤の体積よりも少ない空気層を予めシリンジ内に溜めた状態から吸引を始め、シリンジのプランジャを何度も押し引きする動作である。ポンピング動作が行われると、薬剤容器内の薬剤は、空気と徐々に置換される。ポンピング動作は、薬剤師などの作業者にとっては、時間を要するとともに、手間のかかる作業である。また、薬剤容器内の薬剤の粘度が高い場合、薬剤が注射針を通過する際の粘性抵抗が高くなるため、作業者は、大きな力を要する。
【0004】
このように、薬剤容器からシリンジへの吸引作業は、作業者にとって時間と労力を要し、大きな作業負担になっている。同様に、薬剤容器にシリンジから薬剤を吐出する場合は、最初に薬剤容器内の気体を少し吸引することから始め、シリンジ内の液体と薬剤容器内の気体を徐々に置換する。この作業でも同様に、作業者にとって大きな作業負担になっている。
【0005】
この作業負担を軽減するために、針の一部に空気抜き溝を設けることで、ポンピング動作を不要とする薬剤移注針が提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来の薬剤移注針は、針の一部に空気抜き溝を設けることで、薬剤容器内と大気圧とが、ほぼ等しくなる。
【0006】
図11は、従来の薬剤移注針1の部分断面図である。従来の薬剤移注針1は、金属針2と針基3とが一体となっている。薬剤移注針1は、金属針2の外側に外筒4を部分的に嵌着させ、金属針2と外筒4との間に空気抜き溝4aを形成することで、構成される。また、薬剤移注針1は、空気抜き溝4aの一端の空気抜き口4bの近傍に、疎水性合成樹脂で形成したフィルター6を取り付けた構成である。
【0007】
このように構成された薬剤移注針1をシリンジ7に取り付けることで、薬剤容器内が大気圧とほぼ等しくなり、ポンピング動作が不要となる。ポンピング動作が不要になる理由について、説明する。
【0008】
薬剤容器8のゴム栓に薬剤移注針1を刺して、薬剤容器8より薬剤9を薬剤移注針1内に吸引すると、薬剤容器8内の薬剤9の一部が薬剤移注針1を通してシリンジ7へ吸引される。その結果、薬剤容器8内の薬剤9が減る。このとき、薬剤9が減った容積だけ、薬剤容器8内にある気体10は膨張する。そのため、薬剤容器8内の気体10の圧力が下がる。すると、薬剤容器8内の気体10の圧力と大気圧との間に圧力差が生じ、この圧力差を減少させるように、薬剤移注針1のフィルター6と空気抜き溝4aとを介して、外部の空気が薬剤容器8内へ引き込まれる。このように、薬剤移注針1の空気抜き溝4aより、泡状となった空気5aが薬剤容器8内へ入ることで、圧力差が解消され、薬剤容器8内の気体10の圧力は大気圧とほぼ同じになる。このように、薬剤移注針1を用いれば、薬剤容器8内の気体10の圧力は、大気圧とほぼ等圧となるよう調整される。これにより、シリンジ7のポンピンク動作を不要とし、薬剤容器8内より薬剤を吸引する際の作業負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平4−77946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の薬剤移注針1では、薬剤移注針1を薬剤容器8のゴム栓から抜き取った際に、薬剤容器8のゴム栓の穿刺痕から薬剤9が霧状になって噴出する現象であるエアロゾルが発生することがある。エアロゾルの発生を防止するためには、薬剤容器8内の気体10を大気圧よりも低い気圧である陰圧にした状態で、作業者が金属針2を抜き取る必要がある。
【0011】
そこで、薬剤容器8内の気体10を陰圧にするために、金属針2の通液口を薬剤容器8の内部に留めた状態で、空気抜き溝4aの開口部を薬剤容器8の内部から外部に移動させることが考えられる。このようにして、薬剤移注針1を薬剤容器8から引き抜くと、薬剤容器8内の気体10の圧力を低下させる陰圧調整の処理が行える。陰圧調整の処理を行うと、薬剤移注針1を薬剤容器8のゴム栓から引き抜いたときに、薬剤容器8の内部から薬剤9が漏れない。
【0012】
しかしながら、出願人は、このように陰圧調整を行なった場合でも、薬剤9の漏れを防止できる程度に十分な陰圧調整ができない場合が生じると考えた。薬剤9の漏れを防止できる程度に十分な陰圧調整ができない場合は、発生頻度は少ないが、薬剤移注針1を用いた吸引作業を多数回繰り返すと生じると考えられる。
【0013】
例えば、外筒4の外径は、金属針2の外径より大きい。このため、薬剤移注針1の外筒4の挿入によりゴム栓に開けられた穴は、ゴム栓を形成するブチルゴムなどの弾性回復力が発生しても、金属針2との間に隙間を生じてしまう場合があると考えられる。この場合、薬剤容器8のゴム栓の穴の一部から、外部に薬剤9が漏れ出る可能性がある。また、陰圧調整時に、ゴム栓の隙間から外気が薬剤容器8内に空気泡として侵入し、十分な陰圧調整ができない可能性がある。
【0014】
本発明は、これら課題を解決するものであり、安全に取り扱えて作業負担が少ない薬剤移注針及び薬剤移注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の薬剤移注針は、シリンジの筒先に装着される針基部と、前記針基部に隣接する筒部と、前記筒部で覆われるとともに一端及び他端が前記筒部から外部に露出している通気路を内部に有する第1針部と、前記筒部で覆われるとともに通液路を内部に有する第2針部とで構成され、
前記第2針部は前記第1針部より長く、前記第1針部の軸方向と前記第2針部の軸方向とが平行であり、
前記通液路の通液口を有する前記第2針部で構成される部分を先端部とし、前記先端部に隣接して配置されかつ前記筒部及び前記第2針部で構成される部分を中間部とし、前記中間部に隣接して配置されかつ前記筒部及び前記第2針部及び前記第1針部で構成される部分を基部とした場合に、
前記中間部の直径が前記先端部の直径よりも大きく、前記中間部の直径が前記基部の直径よりも小さいことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の薬剤移注方法は、前記シリンジに取り付けた前記薬剤移注針を、前記通液口と前記第1通気口とが前記薬剤容器内に入ると共に、前記第2通気口が外部に残る状態で前記薬剤容器に挿入し、
前記シリンジのプランジャを動かして、前記薬剤容器内又は前記シリンジ内の薬剤の吸引又は吐出を行ない、
前記通液口を前記薬剤容器内に残しつつ、前記第1通気口を前記薬剤容器外に配置し、前記プランジャを引いて前記薬剤容器内の気体の圧力を陰圧にした後、前記薬剤容器より前記第2針部を抜き取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薬剤移注針を薬剤容器のゴム栓から引き抜くときに十分な陰圧調整処理が可能で、薬剤が漏れ出ることがない。そのため、本発明は、薬剤を安全に取り扱えて、作業負担が少ない薬剤移注針及び薬剤移注方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の特徴は、添付された図面についての実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1図1は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針の概略構成を示す斜視図であり、
図2図2は、本発明の第1実施形態において陰圧調整の処理を行うときの薬剤移注針及び薬剤容器の配置を示す断面図であり、
図3図3は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針及び薬剤容器の一部断面図であり、
図4図4は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針の上面図であり、
図5A図5Aは、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針の外観構造を示す正面図であり、
図5B図5Bは、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針において、図5Aの7B−7Bの切断線から見た断面図であり、
図5C図5Cは、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針において、図5Aの7C−7Cの切断線から見た断面図であり、
図6図6は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針を用いた薬剤移注方法のフローチャートであり、
図7図7は、第1実施形態にかかる薬剤移注針を用いて吸引作業を行う状態を示す薬剤移注針及び薬剤容器の断面図であり、
図8図8は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針を用いて薬剤容器内の陰圧調整の処理を行うとき、ゴム栓が弾性変形した状態を示す薬剤移注針及び薬剤容器の一部断面図であり、
図9図9は、他の薬剤移注針を用いて陰圧処理作業を行うとき、ゴム栓が弾性変形した状態を示す薬剤移注針及び薬剤容器の一部断面図であり、
図10図10は、本発明の第2実施形態にかかる薬剤混合装置における混合部の概略構成を示す正面図であり、
図11図11は、従来の薬剤移注針の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に、模式的に示している。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20の概略構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態において薬剤容器内の陰圧調整の処理を行うときの薬剤移注針20及び薬剤容器(バイアル瓶)25の配置を示す断面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1実施形態の薬剤移注針20は、金属針11と針カバー12とを備えている。金属針11は、中心針の一例である。
【0022】
針カバー12は、図2では点線で外形を示すように、筒状の針基部12aと、筒部13と、第1針部14とで構成される。針基部12aと筒部13と第1針部14とは、それぞれ、その中心軸が針カバー12の軸方向に沿って配置される。筒状の針基部12aは、シリンジ21の筒先22に装着される。筒部13は、針基部12aのシリンジ側とは反対側に隣接して配置されて、金属針11及び第1針部14を覆う。第1針部14は、基端が針基部12aのシリンジ側とは反対側に隣接して配置されるとともに筒部13に平行に隣接して配置され、先端が傾斜している。第1針部14は、その内部に第1針部14の軸方向に沿って延びる通気路14aを有する。通気路14aの一端(先端)は、筒部13の中間部付近で、斜めに開口した第1通気口14bを形成する。通気路14aの他端(基端)は、針基部12aに隣接する位置で、円筒部18aで囲まれた第2通気口18を形成する。第2通気口18は、通気路14aの軸方向と交差する方向(例えば、直交する方向)に外向きに開口する。円筒部18a内には、フィルター17が嵌め込まれて取り付けられており、ゴミなどが通気路14a内に入らないようにしている。よって、針カバー12の第1針部14において、通気路14aの一端である第1通気口14bは、他端である第2通気口18よりも金属針11の先端部11e側に配置されている。
【0023】
金属針11は、第2針部15で構成される。第2針部15は、第1針部14の軸方向と平行に配置された軸方向15fを有する。第2針部15は、第1針部14より長い。第2針部15は、その内部に軸方向15fに沿って延びる通液路15aを有し、その先端(先端部11e側)が筒部13から露出する。第1針部14は、第2針部15のシリンジ側に隣接して配置される。第2針部15において、通液路15aの一端(基端)15dは、針基部12aの内側の空洞12bに接続されている。通液路15aの他端(先端)は、通液路15aの軸方向と交差する方向(例えば、直交する方向)に外向きに開口して、通液口15bとなっている。なお、通液路15aと通気路14aとは、互いに連通せず、独立して形成されている。
【0024】
第1実施形態の薬剤移注針20は、先すぼまり形状の先端部16aと、先端部16aに隣接した円筒状の中間部16bと、中間部16bに隣接しかつ先端側の部分が円錐形状で残りの部分が大略円筒状の基部16cとを有する。先端部16aは、通液口15bを有する第2針部15で構成される。中間部16bは、第2針部15と筒部13とで構成される。基部16cは,第2針部15と筒部13と第1針部14とで構成される。薬剤移注針20は、先端部16aを除き、針カバー12で覆われている。
【0025】
第1実施形態では、中間部16bの直径d2は、先端部16aの最大直径d1よりも大きい。また、中間部16bの直径d2は、基部16cの最大直径d3よりも小さい。さらに、第1実施形態では、先端部16aの最大直径d1、中間部16bの直径d2、及び、基部16cの最大直径d3との関係は、 1<d2/d1≦1.9 及び 1<d3/d1≦1.9 としている。これらの関係における上限値の1.9及び下限値の1は、以下の所望の効果を達成するために、実験により、発明者がそれぞれ求めたものである。このような関係に基づいて薬剤移注針20を作成することで、薬剤移注針20と薬剤容器25のゴム栓26との間に隙間が形成される可能性を軽減することができる。したがって、薬剤容器25のゴム栓26への薬剤移注針20の挿入又は引抜をスムーズに行うことができ、薬剤27の漏れ又は空気泡の侵入を防止することができる。
【0026】
なお、金属針11は、例えばステンレススチールなどの金属で形成された針である。針カバー12は、例えばPE樹脂又はABS樹脂などの合成樹脂で形成されたカバーである。このような材料で形成される場合、薬剤移注針20は、例えば、インサート成型により作成することができる。具体的には、先端を除き、金属針11を溶融樹脂で包み込んだ後、その溶融樹脂を固化させて、針カバー12を作成することができる。
【0027】
なお、第1実施形態における薬剤移注針20は、金属針と樹脂体とで構成される構造としているが、必ずしもそのように構成する必要はない。例えば、薬剤移注針20は、全てがPE樹脂又はABS樹脂などの樹脂体で構成されていても良い。
【0028】
第1実施形態において使用する薬剤容器25は、図2に示すように、透明なビン28と、このビン28の口部に蓋をするゴム栓26を有している。
【0029】
図3は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20及び薬剤容器25の一部断面図である。
【0030】
図3に示すように、第1実施形態の薬剤移注針20には、軸方向15fに沿って、間隔L1が設けられている。間隔L1は、第2針部15の通液口15bと中間部16bとの間、詳しくは、第2針部15の通液口15bの基端側の端縁と中間部16bの先端側の端縁との間に設けられている。また、薬剤移注針20には、軸方向15fに沿った第1通気口14bの軸方向15f沿いに、間隔L2が設けられている。また、薬剤移注針20には、軸方向15fに沿って、間隔L3が設けられている。間隔L3は、第1通気口14bと通液口15bとの間、詳しくは、第1通気口14bの先端側の端縁と通液口15bの基端側の端縁との間に設けられている。
【0031】
第1実施形態の薬剤移注針20では、一般的な薬剤容器のゴム栓の厚さ以上となるように、間隔L3を3mm以上としている。また、第1通気口14bから供給された空気泡の通液口15bでの吸い込みをより確実に防止する観点からは、間隔L3を10mm以上とすることが好ましい。また、一般的に使われる注射針の針部の長さは40mm以下であるので、他の用具との連携を考えて、間隔L3を40mm以下として、一般的な注射針の収納ケースに収めることができるようにしている。
【0032】
ここで、汎用的なゴム栓26の中心部26aの肉厚が3mm〜7mmであることを考慮して、間隔L3を7mm以上かつ40mm以下とすることもできる。このように構成することにより、薬剤移注針20を刺すための中心部26aの肉厚が7mm以下のゴム栓26であれば、図2に示すように、通液口15bと第1通気口14bとの間にゴム栓26を介在させることができる。すなわち、汎用的なゴム栓26の中心部26aの肉厚は3mm〜7mmであるため、第1通気口14bの先端側の端縁と通液口15bの基端側の端縁との間隔L3を7mm以上とすると、図2に示すように、通液口15bと第1通気口14bとの間にゴム栓26の中心部26aを介在させることができる。
【0033】
このように、前述の間隔L3を3mm以上でかつ40mm以下とするという条件よりも厳しく、間隔L3を7mm以上40mm以下とすれば、通液口15bと第1通気口14bとの間にゴム栓26を確実に介在させることができ、ゴム栓26が第2針部15に均一に密着して薬剤容器25を封止することができる。また、第1実施形態の薬剤移注針20は、陰圧処理を可能としたことで、吸引作業の後に、薬剤容器25から安全に抜き取ることができるとともに、吸引作業を効率的に行なうことができる構成である。
【0034】
また、第1実施形態の薬剤移注針20は、第2針部15の通液口15bの基端側の端縁と中間部16bの先端側の端縁との間隔L1を、3mm以下としている。このように、 L1≦3mm としたのは、薬剤移注針20の引抜き時のゴム栓26の弾性変形を考慮して、薬剤容器25を確実に封止するためである。この詳細については、後述する。
【0035】
また、第1実施形態における薬剤移注針20は、第1通気口14bの軸方向15f沿いの間隔L2を0.1mm以上かつ3mm未満とし、一般的な薬剤容器のゴム栓の厚さよりも間隔L2を短くしている。このように、 L2<3mm とすることにより、例えば第1通気口14bを薬剤容器25から引き出すときに、第1通気口14bにより薬剤容器25の内部と外部とが連通して薬剤27が外部へ漏れることを、防ぐことができる。なお、間隔L2を0.1mm以上としているのは、第1通気口14bに傾きを持たせるためである。
【0036】
また、第1実施形態における薬剤移注針20の第1針部14は、図3に示すように、傾き角度αを有する。この傾き角度αは、第2針部15の軸方向15fに対する第1針部14の先端の傾き角度である。第1実施形態では、この傾き角度αは、第1通気口14bが形成された側で、12.5°以上かつ20.5°以下となるようにしている。このように、 12.5°≦α≦20.5° とすることにより、第1通気口14bより発生する空気泡が、第2針部15より離れる方向へ向けて移動する。そのため、このように傾き角度αを構成することにより、通液口15bへ空気泡が巻き込まれる可能性を減らすことができる。
【0037】
図4は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20の上面図である。
【0038】
第1実施形態にかかる薬剤移注針20は、後述する薬剤容器25内の薬剤27の吸引作業時において、第1通気口14bより発生する空気泡を通液口15bで吸引することを防ぐために、薬剤移注針20の断面(針の軸方向に垂直な面)に工夫をしている。具体的には、第1実施形態の薬剤移注針20の断面(第1針部14及び第2針部15の軸方向に垂直な面)において、第1通気口14bを、第2針部15の軸方向の中心15cを中心として、通液口15bの中心より反対側に160°から200°の範囲に形成している。なお、図4では、一例として、第1通気口14bの中心は、通液口15bの中心より反対側に180°の位置に配置されている。また、第2針部15は、図1に示すように、その先端の尖った端部が閉じられた形状である。第2針部15は、第2針部15の長さ方向の側面で先端に近い位置でかつ第1通気口14b側とは反対側の側面に、通液口15bを有する。これらの構造により、詳細は後述するが、薬剤容器25内の薬剤27の吸引を行う際に発生する薬剤27の流れは、第1通気口14bの上方に発生せず、通液口15bの上方付近に発生する。そのため、これらの構造により、第1通気口14bより発生する空気泡が通液口15bに巻き込まれることを減らすことができる。よって、第1実施形態の薬剤移注針20を用いることで、薬剤容器25内から薬剤27の吸引を効率良く行なうことができる。
【0039】
また、第1実施形態では、図1に示すように、通液口15bを第2針部15の側面に設けて、第2針部15の先端を閉じるように構成している。このように構成することで、ゴム栓26に第2針部15を刺す際に発生するコアリングの発生を抑えることができる。コアリングとは、ゴム栓26が薬剤移注針20で削り取られる現象である。
【0040】
また、第1針部14の先端は、第2針部15に近づくにつれて第1通気口14bを有する側が第2針部15へ延びるように、斜めに傾斜した形状である。すなわち、第1針部14の第1通気口14b側の先端は、第2針部15に近づくに従って、第2針部15の先端へ延びるような傾き角度αを有する構成である。この構成により、薬剤移注針20を薬剤容器25に挿入する際、第1針部14の先端側をゴム栓26に容易に挿入することができる。
【0041】
また、前述のように、第2針部15の軸方向15fに対する第1針部14の先端の傾き角度αを、第1通気口14bが形成された側で12.5°以上かつ20.5°以下となるようにしている。この構成により、第1通気口14bより発生する空気泡30は、第2針部15の通液口15bより離れる方向へ向けて移動する。第1実施形態の薬剤移注針20は、図7に示すように、第2針部15より離れる方向に空気泡30が発生するので、通液口15bへ空気泡30が巻き込まれる可能性を更に減らすことができる。
【0042】
なお、空気泡30の巻き込みに付いては、第1針部14の先端の傾き角度αを変えた複数の薬剤移注針20について、通液口15b及び第1通気口14bが双方とも薬剤容器25の内部に位置する状態で確認した。具体的には、発明者らは、透明なシリンジ21のプランジャ21pを引いたときに、第1通気口14bより発生する空気泡30が通液口15bへ巻き込まれるか否かを、ビデオカメラ等による撮影記録及び目視により確認した。発明者らの確認の結果、プランジャ21pを引くことで薬剤容器25内からシリンジ21へ吸引される薬剤27の流速が1.5ml/sec、3ml/sec、5ml/secのいずれの場合においても、第1実施形態の第1針部14の先端の傾き角度αが12.5°、16.5°、20.5°の条件では、空気泡30の巻き込みは発生しなかった。
【0043】
図5A図5Cは、本発明の第1実施形態における薬剤移注針20の外観構造及び断面などを示す図である。図5Aは、薬剤移注針20の正面図である。図5Bは、図5Aの正面図の7B−7B切断線から見た断面図である。図5Cは、図5Aの正面図の7C−7C切断線から見た断面図である。
【0044】
図5Aに示すように、第2針部15の内部には、通液路15aが、軸方向15fに沿って形成されている。通液路15aは、図5B及び図5Cに示すように、下部の針基部12aから上部の通液口15bまで貫通している。また、第1針部14の内部には、通気路14aが、軸方向15fに沿って形成されている。通気路14aは、図5Cに示すように、下部の針基部12aから上部の第1通気口14bまで貫通している。なお、図5Cに示すように、軸方向と直交する方向沿いの断面において、通液路15aの中心位置は、基部16cの中心位置に対して偏芯している。また、針カバー12の先端面15gは、金属針11の先端部11eに向けてテーパ状に形成されている。
【0045】
続いて、第1実施形態の薬剤移注方法を説明する。第1実施形態の薬剤移注方法は、薬剤移注針20を用いて行なう。
【0046】
図6は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20を用いた薬剤移注方法のフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、まず、挿入ステップS01において、シリンジ21に取り付けた薬剤移注針20を、ゴム栓26を下方に向けた薬剤容器25のゴム栓26に対して、鉛直上向きに刺す。このとき、ゴム栓26には、薬剤移注針20の先端部16aから中間部16bを経て、基部16cまで挿入される。すなわち、挿入ステップS01において、薬剤移注針20の通液口15bと第1通気口14bとが双方とも、ゴム栓26を貫通して薬剤容器25の内部に入り、第2通気口18が外部に残るようにする(図7参照)。
【0048】
次に、薬剤移動ステップS02において、シリンジ21のプランジャ21pを引いて、薬剤容器25内から薬剤移注針20内に薬剤27を吸引する。すなわち、薬剤移動ステップS02において、薬剤移注針20を通して、薬剤容器25からシリンジ21への薬剤27の移動を行う。プランジャ21pを引くと、薬剤容器25内の薬剤27は、薬剤移注針20を通してシリンジ21の中へ引き込まれる。このとき、第1実施形態の薬剤移注針20の通気路14aは、第1通気口14bが薬剤容器25内に入っており、第2通気口18が薬剤容器25の外部に露出している。よって、薬剤移注針20の通気路14aを介して、薬剤容器25の内部と外部とが連通されている。そのため、薬剤移注針20の通気路14aを介して、シリンジ21内へ引き込まれた薬剤27と同量の空気を、薬剤容器25の外部から引き込むことができる(図7参照)。このため、前述のポンピング動作を行わない場合でも、薬剤容器25内からシリンジ21内への薬剤27の吸引を、薬剤移注針20を通して行うことができる。
【0049】
次に、陰圧調整準備ステップS03において、薬剤容器25とシリンジ21とを互いに離れる方向に引き離す。この陰圧調整準備ステップS03を行うことにより、通液口15bを薬剤容器25内に残しつつ、第1通気口14bを薬剤容器25の外部に位置するようにする(図2参照)。この結果、薬剤移注針20は、ゴム栓26から少し引き出された状態となる。そして、その位置関係の状態で、薬剤容器25の位置とシリンジ21の位置とを相対的に固定することにより、陰圧調整の準備を完了する。
【0050】
次に、陰圧調整ステップS04において、シリンジ21のプランジャ21pを引く。この陰圧調整ステップS04を行うことにより、薬剤容器25の内部の気体の圧力を、薬剤移注針20を介して陰圧に調整する。具体的には、シリンジ21のプランジャ21pを引き、シリンジ21のプランジャ21pに薬剤容器25側へ引っ張られる力が発生した時点で、プランジャ21pを引くのを止めて、その位置関係で固定する。このとき、薬剤容器25とシリンジ21との間は薬剤移注針20を介して密閉空間となっている。そのため、薬剤容器25の薬剤27の一部が薬剤移注針20を介してシリンジ21に吸い込まれると、薬剤容器25の内圧が下がり、薬剤容器25内が陰圧状態となる(陰圧に調整される)。その結果、薬剤移注針20を介して、プランジャ21pに薬剤容器25側へ引っ張られる力が発生する。
【0051】
そして、この状態で、引抜ステップS05において、更にシリンジ21を引き出して、薬剤容器25のゴム栓26より薬剤移注針20の第2針部15を完全に引き抜く。
【0052】
すなわち、本発明の第1実施形態の薬剤移注方法は、まず、通液口15bと第1通気口14bとが双方とも薬剤容器25内に入り、第2通気口18が薬剤容器25の外部に残るように、シリンジ21に取り付けた薬剤移注針20を薬剤容器25に挿入する(挿入ステップS01)。
【0053】
次に、その状態で、シリンジ21のプランジャ21pを動かして、薬剤容器25内又はシリンジ21内の薬剤27の吸引又は吐出を行なう(薬剤移動ステップS02)。
【0054】
その後、通液口15bを薬剤容器25の内部に残しつつ、第1通気口14bを薬剤容器25の外部に移動させ(陰圧調整準備ステップS03)、プランジャ21pを引く(陰圧調整ステップS04)。これにより、薬剤容器25内の気体29の圧力を陰圧に調整してから、薬剤容器25より薬剤移注針20の第2針部15を完全に抜き取る(引抜ステップS05)。
【0055】
この方法により、本発明の第1実施形態では、陰圧調整の処理が確実に行うことができ、薬剤27を安全に取り扱えて作業負担が少なくて済む薬剤移注方法を実現することができる。
【0056】
続いて、図6のフローチャートの各ステップについて、具体的に説明する。
【0057】
まず、挿入ステップS01について、説明する。
【0058】
挿入ステップS01で、薬剤師などの作業者は、ゴム栓26が下方に位置するように薬剤容器25を片手で把持した状態で、もう一方の手で把持したシリンジ21に取り付けた薬剤移注針20を、ゴム栓26の下方から鉛直上方に向けてゴム栓26に穿刺する。作業者は、通液口15bと第1通気口14bとがゴム栓26の中心部26aを穿通して薬剤容器25内に入るように、薬剤移注針20をゴム栓26に穿刺する。ここで、作業者は、ゴム栓26に、薬剤移注針20の先端部16aから中間部16bを経て、基部16cまで挿入する。言い換えれば、作業者は、通液口15bと第1通気口14bの双方が薬剤容器25の内部に位置するまで、薬剤移注針20を、ゴム栓26を下方に向けた薬剤容器25のゴム栓26に刺す。この結果、第1実施形態の薬剤移注針20は、通液口15bと第1通気口14bとが薬剤27の中に位置する状態まで刺されることにより、作業者が、前述のポンピング動作を行なうことなく、薬剤容器25内からの薬剤27の吸引作業を行うことを可能とする。よって、第1実施形態の薬剤移注針20は、薬剤容器25から薬剤27を吸引する際に、作業者の吸引作業の負担を、軽減することができる。
【0059】
次に、薬剤移動ステップS02について、説明する。
【0060】
図7は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20を用いて薬剤容器25内の薬剤27の吸引作業を行う状態を示す図である。図7は、この状態における薬剤移注針20及び薬剤容器25の断面図である。
【0061】
図7に示すように、薬剤移注針20の先端を鉛直上方に向けた状態で、シリンジ21のプランジャ21pを引いて、薬剤容器25内の薬剤27を、薬剤移注針20を通してシリンジ21内へ吸引する。すると、薬剤27は、薬剤移注針20の通液口15bより第2針部15の通液路15aへ引き込まれ、シリンジ21内へ流れ込む。このとき、薬剤容器25内の薬剤27が減ることで、薬剤容器25内の気体29が膨張し、薬剤容器25内の気体29の圧力が下がっていく。しかし、薬剤容器25内は、薬剤移注針20の通気路14aを介して外部に繋がっている。このため、薬剤容器25内の気体29の圧力と大気圧との差圧により、第2通気口18からフィルター17を介して空気を通気路14a内に引き込み、第1通気口14bよりこの空気を薬剤容器25内へ放出する。この空気は、図7に示すように空気泡30として薬剤27の中へ放出され、薬剤容器25の上部の気体29と合流する。これにより、薬剤容器25内からシリンジ21内へ吸引された薬剤27と新たに薬剤容器25内に引き込まれた空気とが置換されることとなり、薬剤容器25内の気体29の圧力は、ほぼ大気圧と等しくなる。このように、薬剤容器25の内部と外部との間に通気路14aを設けて連通させることで、薬剤容器25の内部は常に大気圧とほぼ等しくなる。これにより、薬剤容器25内の薬剤27の吸引作業を行う場合に、薬剤容器25の内部の気体29が常に大気圧と等圧となる。このため、薬剤容器25内から薬剤27を吸引するのに大きい力を必要とせず、またポンピング動作を行わずに、薬剤容器25内から薬剤27を所定の量だけ継続して吸引することができる。すなわち、作業者の作業負担が少なく、効率的な薬剤移注を実現できる。
【0062】
続いて、陰圧調整準備ステップS03について、説明する。
【0063】
陰圧調整準備ステップS03として、薬剤容器25の内部の陰圧調整の準備を行なう。陰圧調整の準備としては、薬剤容器25とシリンジ21とを互いに離れる方向に引き離して、薬剤容器25に刺した薬剤移注針20の第1通気口14bが薬剤容器25の内部から外部に出るように、薬剤移注針20を移動させる。この場合、作業者は、薬剤容器25のゴム栓26の弾性変形の状況に係わらず、薬剤移注針20の通液口15bの薬剤容器25内での位置を目印として、薬剤容器25から薬剤移注針20を引き出す。具体的には、作業者は、例えば、第2針部15の通液口15bがゴム栓26の中心部26aの上面(薬剤容器25の内部側の面)近くに位置した際に、薬剤移注針20をゴム栓26から引き抜くことを止める。これにより、作業者は、第2針部15の通液口15bを薬剤容器25内に残したまま、第1通気口14bを薬剤容器25の内部より外部へ移動させて、陰圧調整の準備を完了する。
【0064】
続いて、陰圧調整ステップS04について、説明する。
【0065】
陰圧調整ステップS04では、図2に示すように、通液口15bが薬剤容器25の内部に位置すると共に第1通気口14bが薬剤容器25の内部より外れる位置で薬剤移注針20を止めた後、シリンジ21のプランジャ21pを引く。このとき、第1通気口14bは薬剤容器25の内部に存在しないため、第1通気口14bを介した薬剤容器25内への外部の気体の流入はなく、薬剤容器25はシリンジ21との間で密閉空間を形成している。よって、この状態でシリンジ21のプランジャ21pを引くと、薬剤容器25内の薬剤27が薬剤移注針20を通してシリンジ21内に流れ込む。すると、薬剤容器25内の気体29は膨張して薬剤容器25内の気体29の圧力が下がり、薬剤容器25の内部は陰圧となる。
【0066】
一方、このとき、挿入ステップS01で薬剤移注針20をその基部16cまでゴム栓26に入るように挿入したことで、薬剤容器25のゴム栓26に穴(図示せず)が開いている。このときにゴム栓26に開いた穴(図示せず)が、陰圧調整準備ステップS03で薬剤移注針20の基部16cをゴム栓26から引き抜いても、ゴム栓26に開いた穴(図示せず)と薬剤移注針20との間に隙間が残る場合がある。このような場合には、ゴム栓26と先端部16aとの間で隙間(図示せず)が発生することになる。しかしながら、このような場合でも、第1実施形態の薬剤移注針20では、間隔L1を3mm以下としているため、図2に示すように先端部16aの直径d1よりも大きい直径d2を有する中間部16bがゴム栓26に挿入されたままである。そのため、第1実施形態では、ゴム栓26と薬剤移注針20との間において薬剤容器25の内部と外部とを結ぶ隙間が塞がれ、薬剤容器25の内部を陰圧状態に保つことができる。この構成により、陰圧調整の処理を確実に行うことが可能となり、薬剤27が漏れ出ることがなく、薬剤27を安全に取り扱えて、作業負担が少ない薬剤移注針20を実現できる。
【0067】
ただし、薬剤容器25内に通液口15bを残したまま、第1通気口14bを薬剤容器25の内部から外部へ確実に移動させるには、ゴム栓26の弾性変形を考慮して、間隔L3を、軸方向15fに沿って設けておく必要がある。そこで、第1実施形態では、前述のように、軸方向15f沿いの間隔L3を7mm以上とした構成としている。
【0068】
図8は、本発明の第1実施形態にかかる薬剤移注針20を用いて薬剤容器25内の陰圧調整の処理を行う際、ゴム栓26が弾性変形した状態を示す図である。図8は、この状態における薬剤移注針20及び薬剤容器25の一部断面図である。図9は、他の薬剤移注針20を用いて薬剤容器内の陰圧調整の処理を行うとき、ゴム栓26が弾性変形した状態を示す図である。図9は、この状態における薬剤移注針20及び薬剤容器25の一部断面図である。
【0069】
図8に示すように、薬剤移注針20の第1通気口14bが薬剤容器25より引き出されると、ゴム栓26の中心部26aは、薬剤移注針20により軸方向15fに沿って引っ張られて弾性変形する場合がある。このような場合への対策として、第1実施形態の薬剤移注針20では、ゴム栓26の厚さよりも長い間隔L3を、軸方向15fに沿って設けておく。このようにすれば、通液口15bを薬剤容器25内に残した状態で、第1通気口14bを、ゴム栓26で一部だけ蓋をされる位置へ移動させることができる。なお、このとき、通液口15bを薬剤容器25内に残した状態で、第1通気口14bを、薬剤容器25の外部へ移動させてもよい。しかし、このとき、図9に示すように、間隔L3がゴム栓26の厚さよりも短いと、通液口15bを薬剤容器25内に残した状態で、第1通気口14bを、ゴム栓26で一部だけ蓋をされる位置(あるいは、薬剤容器25の外部)へ移動させることが困難となる。例えば、作業者が、通液口15bがゴム栓26の中心部26aの上面(薬剤容器25の内部側の面)近くに来た際に、通液口15bを目印として、薬剤移注針20を引き抜くことを止めたとする。すると、第1通気口14bの上端部はゴム栓26の中に留まり、その一部である上端部が薬剤容器25内に露出した状態で残ってしまう。一方、第1通気口14bがゴム栓26で一部だけ蓋をされる位置(あるいは、薬剤容器25の外部)へ完全に露出する位置まで、第1通気口14bを目印として、薬剤移注針20を薬剤容器25より引き抜こうとする場合を考える。このような場合には、ゴム栓26の弾性変形による中心部26aの凹みにより通液口15bがゴム栓26の中に隠れてしまい、通液口15bがゴム栓26で塞がれてしまう。これらのような場合は、いずれも、薬剤容器25の内部の陰圧調整の処理ができず、第1通気口14bを目印として、薬剤移注針20を引き出すこともできない。このようなことを避けるため、間隔L3を、通常の薬剤容器25で使用されるゴム栓26の厚さの最大値以上と考えられる7mm以上としている。
【0070】
以上の第1実施形態の薬剤移注方法は、薬剤容器25内の薬剤27の吸引作業におけるポンピング動作を不要とし、かつ確実な陰圧調整の処理も行える。さらに、第1実施形態の薬剤移注方法は、薬剤容器25の外部へ薬剤27が漏れることなく、薬剤移注針20を薬剤容器25から抜き取ることができる。すなわち、第1実施形態の薬剤移注方法では、エアロゾルが発生しない。これにより、薬剤容器25内からの薬剤27の吸引において、安全かつ作業負担の少ない薬剤移注方法を実現できる。
【0071】
なお、以上の説明では、薬剤移注針20を用いた薬剤容器25内の薬剤27の吸引作業について説明したが、本発明は、吸引作業に限らずとも、シリンジ21から薬剤容器25へ薬剤27を送り出す吐出作業に利用してもよい。ただし、吐出作業を行う場合は、薬剤容器25をシリンジ21の鉛直下方に配置するなどして、第1通気口14bには気体が存在し、薬剤27に満たされないようにしておくことが望ましい。すなわち、吐出作業を行う場合は、薬剤27の逆流が発生しないように、薬剤容器25とシリンジ21とを配置することが望ましい。
【0072】
(第2実施形態)
薬剤師など作業者の作業負担を軽減するために、吸引作業及び吐出作業を自動的に行う薬剤混合装置がある。ここで、吸引作業は、薬剤容器25より薬剤27をシリンジ21へ吸引する作業であり、吐出作業は、シリンジ21から薬剤容器25へ薬剤27を吐出する作業である。
【0073】
このような薬剤混合装置に、上述の第1実施形態の薬剤移注針20を用いると、薬剤移注針20の薬剤容器25からの引き出し量を正確に制御できる。具体的には、薬剤混合装置に薬剤移注針20を用いると、薬剤移注針20と薬剤容器25との位置関係などの情報から、引き出し量が調整される。その結果、第2針部15の通液口15bを薬剤容器25内に残したまま、第1通気口14bを薬剤容器25の内部から外部へ確実に引き出すことができる。したがって、薬剤移注針20を用いることで、薬剤容器25の陰圧調整の処理を行なうことができる。
【0074】
図10は、本発明の第2実施形態にかかる薬剤混合装置における混合部41の概略正面図である。図10に示すように、薬剤混合装置に、前述の第1実施形態で説明した薬剤移注針20を取り付けたシリンジ21を用いることで、確実な陰圧調整の処理も行なうことができるため、ポンピング動作が不要となる。そのため、薬剤27の吸引作業及び吐出作業において、薬剤容器25の外部へ薬剤27が漏れ出ることなく、安全が確保できるとともに、作業者の作業の時間を短くすることができる。
【0075】
薬剤混合装置は、装置の外部への薬剤27の漏れを確実に防止するための作業空間を形成する領域(図示せず)を有し、作業空間の内部に混合部41を備える。混合部41は、シリンジ用ホルダー43と、容器用ホルダー46と、ホルダー移動機構50と、プランジャ可動部45と、回転位置制御装置51と、混合部制御装置52とを備えて構成される。ここで、シリンジ用ホルダー43は、シリンジ保持部の一例であり、容器用ホルダー46は、容器保持部の一例である。混合制御装置52は、制御部の一例である。
【0076】
シリンジ用ホルダー43は、薬剤移注針20を取り付けたシリンジ21を鉛直上向きに保持する。容器用ホルダー46は、ゴム栓26を鉛直下方に向けて薬剤容器25を下向きにして、倒立状態で薬剤容器25を保持する。ホルダー移動機構50は、容器用ホルダー46を矢印44に示す鉛直方向の上下に移動させることで、薬剤容器25を鉛直方向の上下に移動させる。プランジャ可動部45は、一例として、プランジャを着脱可能に把持する電動チャックと、電動チャックを直線的に往復移動可能な駆動装置とで構成される。プランジャ可動部45は、シリンジ用ホルダー43に保持されたシリンジ21のプランジャ21pを保持して、プランジャ21pを矢印44の上下方向に移動させる。回転位置制御装置51は、モータなどで構成される。回転位置制御装置51は、薬剤移注針20を取り付けたシリンジ21とシリンジ21に対応する薬剤容器25との組み合わせ(以下、混合セット)を、円柱状の支柱55の軸回りに、複数の位置に位置制御する。混合部制御装置52は、ホルダー移動機構50とプランジャ可動部45と回転位置制御装置51とをそれぞれ独立して駆動制御する。また、混合部41は、容器用ホルダー46を鉛直方向上部に、シリンジ用ホルダー43を鉛直方向下部に配置している。第2実施形態の薬剤混合装置は、回転位置制御装置51の駆動により、混合セットを、少なくとも、設置位置と薬剤移注位置とに位置することができるようにしている。ここで、設置位置は、混合部41にシリンジ21及び薬剤容器25を設置するための位置であり、薬剤移注位置は、ホルダー移動機構50及びプランジャ可動部45のそれぞれの駆動により前述の薬剤移注方法を実施するための位置である。薬剤移注位置では、挿入ステップS01と、薬剤移動ステップS02と、陰圧調整準備ステップS03と、陰圧調整ステップS04とを行う。なお、第2実施形態は、このように1つの位置で薬剤移注方法を実施するものに限らず、ステップ毎に異なる位置で、それぞれのステップを行うようにしてもよい。例えば、混合セットを設置位置に配置した後、挿入ステップS01を行う挿入位置、薬剤移動ステップS02を行う薬剤移動位置、陰圧調整準備ステップS03を行う陰圧調整準備位置、及び陰圧調整ステップS04を行う陰圧調整位置の順に配置させて、それぞれの動作を行うようにしてもよい。この場合には、それぞれの位置にプランジャ可動部45又は移動機構50などが適宜必要となる。なお、第2実施形態では、1つの位置で2つ又は3つのステップを行うようにしてもよいことは言うまでも無い。
【0077】
このような構成により、薬剤容器25を倒立状態で保持したときに、ゴム栓26の近傍に薬剤容器25内の薬剤27が移動するので、シリンジ21に取り付けた薬剤移注針20を用いて、薬剤容器25内の薬剤27を容易に吸引できる。
【0078】
この薬剤混合装置を用いて吸引作業を行うために、まず、作業者は、薬剤混合装置の搬入扉(図示せず)を開き、設置位置において、シリンジ用ホルダー43に薬剤移注針20を取り付けたシリンジ21を設置し、容器用ホルダー46に薬剤容器25を設置する。
【0079】
そして、混合部制御装置52の制御の下での回転位置制御装置51の駆動により、混合セットが、円柱状の支柱55回りに回転移動させられて、設置位置から薬剤移注位置に移動すると、以下の薬剤移注動作を行う。
【0080】
薬剤移注動作として、まず、挿入ステップS01において、混合部制御装置52の制御の下に、ホルダー移動機構50の駆動により、薬剤容器25を保持した容器用ホルダー46を、矢印44に示す鉛直方向下向きに薬剤容器25を移動させる。この薬剤容器25の移動により、薬剤容器25のゴム栓26に対して、鉛直下方より鉛直上向きに薬剤移注針20を刺す。このとき、容器用ホルダー46の移動量を制御して、薬剤移注針20の通液口15bと第1通気口14bとが、双方とも薬剤容器25内に入り、第2通気口18が外部に残るように刺す。容器用ホルダー46の移動量の制御は、容器用ホルダー46の必要な移動量をメモリ53に予め記憶させておき、メモリ53から取得した移動量分だけ、ホルダー移動機構50で容器用ホルダー46を下降させることで行う。
【0081】
次に、薬剤容器25に薬剤移注針20を刺した後、薬剤混合装置は移動機構を停止させて、混合部制御装置52の制御によりプランジャ可動部45を鉛直下方に動かして、薬剤移動ステップS02を行う。すなわち、プランジャ可動部45を鉛直下方に動かして、シリンジ21のプランジャ21pを矢印44の下方向に移動させて、薬剤容器25内から薬剤27をシリンジ21内へ吸引し、薬剤移注針20を通して薬剤容器25内からシリンジ21内への薬剤27の移動を行う。このとき、薬剤移注針20を用いることにより、ポンピング動作は不要となる。
【0082】
そして、混合部制御装置52で制御することでプランジャ可動部45を停止させた後、陰圧調整準備ステップS03において、混合部制御装置52で制御することで、ホルダー移動機構50により、容器用ホルダー46の移動量を制御しつつ、薬剤容器25を保持した容器用ホルダー46を矢印44に示す上方へ少し移動させるとともに、薬剤容器25を鉛直上方に少し動かす。そして、薬剤容器25内に薬剤移注針20の通液口15bを残し、第1通気口14bを外部に出した状態とする。このときの容器用ホルダー46の移動量の制御は、容器用ホルダー46の必要な移動量をメモリ53に予め記憶させておき、メモリ53から取得した移動量分だけ、ホルダー移動機構50で容器用ホルダー46を上昇させればよい。
【0083】
次いで、陰圧調整ステップS04において、この状態で、混合部制御装置52で制御することで、再び、プランジャ可動部45を鉛直下方へ動かす。このとき、混合部制御装置52で制御してプランジャ可動部45でプランジャ21pを引くことで、薬剤移注針20を介して薬剤容器25内の陰圧調整の処理を行なう。
【0084】
その後、混合部制御装置52で制御することでプランジャ可動部45を停止させて、ホルダー移動機構50を上方へ移動させ、薬剤容器25より薬剤移注針20を完全に引き抜く。
【0085】
その後、設置位置、又は、設置位置と別個に設けた取出位置で、薬剤容器25より薬剤移注針20を完全に引き抜かれた薬剤容器25と薬剤移注針20とを、混合部41から取り出す。
【0086】
なお、薬剤混合装置は、薬剤容器25内からシリンジ21内への薬剤27の吸引作業だけでなく、シリンジ21内から薬剤容器25内への薬剤27の吐出作業も行なうことができる。
【0087】
ただし、吐出作業を行う場合は、図10に示す薬剤容器25とシリンジ21との位置関係を逆にして、薬剤容器25をシリンジ21の下方にするなどして、第1通気口14bには気体が存在し、薬剤27に満たされないようにしておくことが望ましい。すなわち、吐出作業を行う場合に、薬剤27の逆流が発生しないようにすることが望ましい。
【0088】
図10では、複数の薬剤容器25とシリンジ21とを連続的に薬剤移注処理を行う場合について説明しているが、本発明は、これに限られるものではなく、1本の薬剤容器25と1本のシリンジ21とに薬剤移注処理を行う場合にも適用することができる。その場合には、図10の中央の1本の薬剤容器25と1本のシリンジ21との混合セットのみとし、図10の他の5本の薬剤容器25と5本のシリンジ21とを削除した図となる(裏側の3本の薬剤容器25と3本のシリンジ21は図示せず。)。
【0089】
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の薬剤移注針及び薬剤移注方法を用いれば、病院などにおいて薬剤師などの薬剤混合の作業負担を大幅に軽減でき、有用である。
【0091】
本発明は、添付図面を参照しながら実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11