特許第5724020号(P5724020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5724020
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20150507BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20150507BHJP
【FI】
   G06Q50/22 100
   G06Q30/02 100
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-125721(P2014-125721)
(22)【出願日】2014年6月18日
【審査請求日】2014年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506369036
【氏名又は名称】アイエムエス ソフトウェア サービシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134474
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 恭弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】森 暁
(72)【発明者】
【氏名】小原 美哉子
(72)【発明者】
【氏名】別府 秀一
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩平
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5458210(JP,B1)
【文献】 特開2011−145960(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/001428(WO,A2)
【文献】 米国特許第5420786(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療施設における医薬品の売上に対して薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を算出するための情報処理装置であって、
診療施設の処方規模を取得する規模取得手段と、
診療施設に対する薬局の関連度を取得する関連度取得手段と、
対象の診療施設について、当該診療施設の処方規模と、当該診療施設に対する2つ以上の薬局の関連度とに基づいて、当該2つ以上の薬局に対する当該診療施設の寄与度を算出する寄与度算出手段と、
対象の薬局について、当該薬局に対する2つ以上の診療施設の寄与度に基づいて、当該2つ以上の診療施設に対する当該薬局の前記係数を算出する係数算出手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記寄与度算出手段は、前記対象の診療施設について、当該診療施設の処方規模と、当該診療施設に対する前記2つ以上の薬局の関連度から得られる値と、当該診療施設に対する前記2つ以上の薬局のうちの1つの薬局の関連度とに基づいて、当該1つの薬局に対する当該診療施設の前記寄与度を算出し、
前記係数算出手段は、前記対象の薬局について、当該薬局に対する前記2つ以上の診療施設の寄与度と、当該薬局に対する前記2つ以上の診療施設のうちの1つの診療施設の寄与度とに基づいて、当該1つの診療施設に対する当該薬局の前記係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記寄与度算出手段が算出する寄与度は、前記対象の診療施設の処方規模と、前記1つの薬局の関連度とに正の相関を有し、
前記係数算出手段が算出する係数は、前記1つの診療施設の寄与度に正の相関を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象の診療施設に対する前記2つ以上の薬局は、前記対象の診療施設に対して所定の条件を満たす薬局であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記関連度は、診療施設と薬局との間の距離に基づくことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
診療施設の診療領域ごとに前記係数を算出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本では医薬分業制度が採用されており、最終消費者(患者)に提供される医薬品は病院等の診療施設によって処方され、処方された医薬品を薬局が販売する。診療施設で処方箋を発行された患者の多くは、この診療施設の近くにある薬局で医薬品を購入する。薬局における医薬品の売上は、この薬局で購入された医薬品を処方した診療施設への営業活動の成果であると考えられる。そこで、特許文献1では、営業活動の成果を正確に反映すべく、薬局における医薬品の売上を、当該薬局の近くにある診療施設における医薬品の売上に紐付けた統計データを生成する。また、特許文献1では、1つの薬局の近くに複数の診療施設が存在する場合に、この薬局における医薬品の売上に診療施設ごとの係数を乗じてから各診療施設における医薬品の売上に紐付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5458210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数は、薬局への聞き取りなどを通じて人的に決定されてきた。このような決定方法は非常に手間がかかっていた。そこで、本発明は、複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を効率的に決定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、 診療施設における医薬品の売上に対して薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を算出するための情報処理装置であって、診療施設の処方規模を取得する規模取得手段と、診療施設に対する薬局の関連度を取得する関連度取得手段と、対象の診療施設について、当該診療施設の処方規模と、当該診療施設に対する2つ以上の薬局の関連度とに基づいて、当該2つ以上の薬局に対する当該診療施設の寄与度を算出する寄与度算出手段と、対象の薬局について、当該薬局に対する2つ以上の診療施設の寄与度に基づいて、当該2つ以上の診療施設に対する当該薬局の前記係数を算出する係数算出手段とを備えることを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を効率的に決定するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一部の実施形態の情報処理装置の構成例を説明するブロック図。
図2図1の情報処理装置が格納するファイルの例を説明する図。
図3図1の情報処理装置の動作例を説明するフローチャート。
図4図1の情報処理装置が生成するテーブルの例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
【0009】
図1を参照して、情報処理装置100の構成例について説明する。情報処理装置100は、複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を算出する。診療施設とは医師が処方箋を発行する医療施設のことであり、例えば病院、医院、診療所、クリニックなどを含む。薬局とは処方箋に従って医薬品を最終消費者に販売する施設であり、例えば調剤薬局、ドラッグストアなどを含む。診療施設における医薬品の売上とは、例えば診療施設が治療のため及び院内処方のために購入した医薬品の金額又は数量のことである。薬局における医薬品の売上とは、例えば薬局が販売のために購入した医薬品の金額又は数量のことである。医薬品の売上は、単一種類の医薬品についての売上であってもよいし、複数種類の医薬品についての合計の売上であってもよい。
【0010】
情報処理装置100は、例えばサーバやパーソナルコンピュータなどで実現される。情報処理装置100は、単体の装置で実現されてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置で実現されてもよい。情報処理装置100は図1に示す構成要素を備える。CPU101は情報処理装置100全体の動作を制御する。メモリ102は情報処理装置100の動作に用いられるプログラムや一時データなどを記憶する。メモリ102は例えばROMやRAMなどにより実現される。入出力部103は、情報処理装置100のユーザが情報処理装置100を操作するための機能を提供し、例えばマウスやキーボードなどの入力装置と、ディスプレイなどの出力装置で実現される。通信部104は、情報処理装置100が外部の装置と通信する機能を提供し、例えばネットワークカードなどで実現される。外部の装置との通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0011】
規模取得部105、関連度取得部106、寄与度算出部107及び係数算出部108は、複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を決定するための機能を提供する。これらの構成要素の動作については後述する。これらの構成要素の一部又は全部は、電子回路のようなハードウェアで実現されてもよいし、プログラムのようなソフトウェアで実現されてもよい。ソフトウェアで構成される場合に、これらの構成要素の機能を規定するプログラムがメモリ102に読み出され、このプログラムに従ってCPU101が動作することによって処理が行われる。
【0012】
記憶部109は各種のデータを格納する機能を提供し、例えば磁気ディスク装置などで実現される。記憶部109は、施設距離ファイル111及び診療施設情報ファイル112を格納する。図2を参照して、これらのファイルの詳細について説明する。施設距離ファイル111は、診療施設と薬局との間の距離に関する情報を保持する。ここで、距離は2つの施設間の直線距離であってもよいし、道路に沿って測定した移動距離であってもよい。診療施設名211は、診療施設の名称を表す。診療施設名211は診療施設を一意に特定できればどのような形式であってもよく、IDやコード等の識別子で表されていてもよい。薬局名212は、薬局の名称を表す。薬局名212は薬局を一意に特定できればどのような形式であってもよく、IDやコード等の識別子で表されていてもよい。各エントリは、診療施設と薬局との間の距離を表す。例えば、診療施設H1と薬局P1との間の距離は、「1」(単位は例えば100m)である。説明を簡単にするために施設距離ファイル111は診療施設及び薬局をそれぞれ2つだけ含むが、診療施設数及び薬局数はこれより多くてもよい。
【0013】
診療施設情報ファイル112は、診療施設に関する情報を保持する。診療施設名211は、診療施設の名称を表す。診療施設名211についての説明は診療施設名221についても同様に成り立つ。医師数222は、各エントリの診療施設に所属する医師の人数を表す。売上223は、各エントリの診療施設における過去の所定の期間(例えば、特定の年又は特定の月)の医薬品の売上を表す。例えば、診療施設H1の売上は「20」(単位は例えば100万円)である。院外処方率224は、各エントリの診療施設における過去の所定の期間(例えば、特定の年又は特定の月)の院外処方の比率を表す。説明を簡単にするために施設距離ファイル111は診療施設を2つだけ含むが、診療施設数はこれより多くてもよい。また、施設距離ファイル111は、医師数222、売上223及び院外処方率224以外の項目を有していてもよい。
【0014】
施設距離ファイル111及び診療施設情報ファイル112は、情報処理装置100のユーザにより生成されて記憶部109に格納されてもよいし、情報処理装置100の外部の装置から通信部104を通じてダウンロードされてもよい。外部の装置からこれらのファイルをダウンロードする場合に、ファイル全体を一括してダウンロードしてもよいし、ファイルのエントリごとに必要に応じてダウンロードしてもよい。
【0015】
続いて、図3のフローチャートを参照して、情報処理装置100の動作例について説明する。動作開始前に記憶部109に施設距離ファイル111及び診療施設情報ファイル112が格納されているとする。
【0016】
ステップS301で、規模取得部105は、診療施設情報ファイル112を参照して、各診療施設の処方規模を算出し、処方規模テーブル410を生成する。処方規模とは、診療施設が院外の薬局の医薬品の売上に与える影響の規模を表す数値のことである。例えば、一部の実施形態では、規模取得部105は、診療施設情報ファイル112の売上223と院外処方率224とを乗算することによって処方規模を算出する。このようにして生成された処方規模テーブル410を図4に示す。処方規模テーブル410において、処方規模412は各エントリの診療施設の処方規模を示す。規模取得部105は、処方規模テーブル410をメモリ102に格納してもよいし、記憶部109に格納してもよい。
【0017】
処方規模を算出する方法は上記の例に限られない。規模取得部105は、例えば医師数222のみに基づいて処方規模を算出してもよいし、診療施設情報ファイル112に含まれない他のパラメータに基づいて処方規模を算出してもよい。また、上記の例では、規模取得部105は処方規模を自身が算出することによって取得したが、これに代えて、規模取得部105は情報処理装置100の外部の装置から処方規模を受信することによって取得してもよい。
【0018】
続いて、ステップS302で、関連度取得部106は、施設距離ファイル111を参照して、各診療施設に対する各薬局の関連度を算出し、関連度テーブル420を生成する。診療施設に対する薬局の関連度とは、当該診療施設により発行された処方箋の医薬品が当該薬局で購入される見込みを表す数値のことである。例えば、一部の実施形態では、関連度取得部106は、施設距離ファイル111に示される距離の2乗の逆数を取ることによって関連度を算出する。この算出方法は、診療施設に近い薬局ほど処方箋の医薬品が購入される見込みが高いという知見に基づく。このようにして生成された関連度テーブル420を図4に示す。関連度テーブル420において、各エントリは関連度を示す。関連度取得部106は、関連度テーブル420をメモリ102に格納してもよいし、記憶部109に格納してもよい。関連度取得部106は、得られた関連度が所定の閾値よりも小さい場合に、この関連度を「0」に置き換えることによって、後続の処理を簡略化してもよい。
【0019】
処方規模を算出する方法は上記の例に限られない。関連度取得部106は、例えば診療施設と薬局との間の距離に他の関数を適用することによって関連度を算出してもよい。また、関連度取得部106は、距離に基づくのではなく、他のパラメータ、例えば診療施設から薬局までの移動時間や、薬局の知名度、宣伝量、売上などに基づいて関連度を算出してもよい。一般に、ある診療施設で処方された医薬品が、ある薬局で購入される見込みと、当該診療施設に対する当該薬局の関連度とが正の相関を有していればよい。また、上記の例では、関連度取得部106は関連度を算出することによって取得したが、これに代えて、関連度取得部106は情報処理装置100の外部の装置から関連度を受信することによって取得してもよい。
【0020】
続いて、ステップS303で、寄与度算出部107は、処方規模テーブル410及び関連度テーブル420を参照して、薬局に対する診療施設の寄与度を算出し、寄与度テーブル430を生成する。寄与度算出部107は、すべての診療施設の寄与度を算出してもよいし、関心のある一部の診療施設についてのみ寄与度を算出してもよい。薬局に対する診療施設の寄与度とは、当該薬局において処方箋により販売される医薬品の売上に対して、当該診療施設がどの程度寄与したかを表す数値のことである。例えば、一部の実施形態では、寄与度算出部107は、寄与度が算出される対象の診療施設の処方規模と、当該対象の診療施設に対する各薬局の関連度とに基づいて、各薬局に対する当該診療施設の寄与度を算出する。寄与度算出部107は、対象の診療施設に対して所定の条件を満たす薬局についてのみ寄与度を算出し、条件を満たさない他の薬局の寄与度を「0」としてもよい。所定の条件の第1の例は、対象の診療施設に対する関連度の順位が所定の順位以内(例えば、上位40個)であることである。所定の条件の第2の例は、対象の診療施設に対して所定の値以上の関連度を有することである。所定の条件の第3の例は、対象の診療施設と同じ区画(例えば、同じ町、市など)に含まれる薬局のことである。所定の条件の第4の例は、当該診療施設に対して正の関連度を有することである。
【0021】
所定の条件を満たす薬局が2つ以上存在する場合に、寄与度算出部107は、当該2つ以上の薬局の関連度の合計値に対する各薬局の関連度の比率を、対象の診療施設の処方規模に乗算することによって各薬局に対する寄与度を算出する。例えば、関連度テーブル420において、診療施設H1が対象の診療施設であり、診療施設H1に対して所定の条件を満たす薬局が薬局P1と薬局P2との2つだけであるとする。この場合に、寄与度算出部107は、診療施設H1に対する薬局P1の関連度「1」と診療施設H1に対する薬局P2の関連度「1/9」の合計値「10/9」に対する薬局P1の関連度「1」の比率「9/10」を診療施設H1の処方規模「10」に乗算して得られた値「9」を、薬局P1に対する診療施設H1の寄与度とする。
【0022】
所定の条件を満たす薬局が1つしか存在しない場合に、対象の診療施設の処方規模が当該対象の薬局に対する当該診療施設の寄与度になる。所定の条件を満たす薬局が1つも存在しない場合に、すべての薬局に対する寄与度が「0」となる。
【0023】
このようにして生成された寄与度テーブル430を図4に示す。寄与度テーブル430において、各エントリは寄与度を示す。寄与度算出部107は、寄与度テーブル430をメモリ102に格納してもよいし、記憶部109に格納してもよい。
【0024】
寄与度を算出する方法は上記の例に限られない。所定の条件を満たす薬局が2つ以上存在する場合に、寄与度算出部107は、当該2つ以上の薬局の関連度から得られる値と、当該2つ以上の薬局のうちの1つの薬局の関連度と、対象の診療施設の処方規模とに関数を適用することによって当該1つの薬局に対する寄与度を算出すればよい。この関数では、1つの薬局に対する寄与度は、対象の診療施設の処方規模と当該1つの薬局の関連度とに対して正の相関を有する。これは、処方規模が大きい診療施設ほど薬局に対する寄与度が大きく、関連度が大きい薬局ほど診療施設から受ける寄与が大きくなるという知見に基づく。
【0025】
続いて、ステップS304で、係数算出部108は、寄与度テーブル430を参照して、診療施設に対する薬局の係数を算出し、係数テーブル440を生成する。係数算出部108は、すべての薬局の係数を算出してもよいし、関心のある一部の薬局についてのみ係数を算出してもよい。診療施設に対する薬局の係数とは、上述のように、診療施設における医薬品の売上に対して薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数のことである。例えば、一部の実施形態では、係数算出部108は、係数が算出される対象の薬局に対する各診療施設の寄与度に基づいて、各診療施設に対する当該薬局の寄与度を算出する。係数算出部108は、対象の薬局に対して正の値の寄与度を有する診療施設に対してのみ係数を算出し、寄与度が「0」である診療施設の係数を「0」とする。すなわち、対象の薬局における医薬品の売上に寄与していない診療施設に対しては当該薬局の売上を紐付けない。
【0026】
対象の薬局に対して正の値の寄与度を有する診療施設が2つ以上存在する場合に、係数算出部108は、当該2つ以上の診療施設の寄与度の合計値に対する各診療施設の寄与度の比率を、各診療施設に対する係数として算出する。例えば、寄与度テーブル430において、薬局P1が対象の薬局であり、薬局P1に対して正の寄与度を有する診療施設が診療施設H1と診療施設H2との2つだけであるとする。この場合に、係数算出部108は、薬局P1に対する診療施設H1の寄与度「9」と薬局P1に対する診療施設H2の寄与度「4」の合計値「13」に対する診療施設H1の関連度「9」の比率「9/13」を、診療施設H1に対する薬局P1の係数とする。
【0027】
対象の薬局に対して正の値の寄与度を有する診療施設が1つしか存在しない場合に、この1つの診療施設に対する対象の薬局の係数は「1」となる。対象の薬局に対して正の値の寄与度を有する診療施設が1つも存在しない場合に、すべての診療施設に対する係数が「0」となる。
【0028】
このようにして生成された係数テーブル440を図4に示す。係数テーブル440において、各エントリは係数を示す。係数算出部108は、係数テーブル440をメモリ102に格納してもよいし、記憶部109に格納してもよい。
【0029】
係数を算出する方法は上記の例に限られない。対象の薬局に対して正の値の寄与度を有する診療施設が2つ以上存在する場合に、係数算出部108は、当該2つ以上の診療施設の寄与度から得られる値と、当該2つ以上の診療施設のうちの1つの診療施設の寄与度とに関数を適用することによって当該1つの診療施設に対する係数を算出すればよい。この関数では、1つの診療施設に対する係数は、当該1つの診療施設の寄与度に対して正の相関を有する。これは、寄与度が大きな診療施設に大きな係数を割り当てたいという要求に基づく。
【0030】
上述の実施形態では診療施設ごとに薬局の係数を算出したが、さらに細かな粒度で薬局の係数を算出してもよい。例えば、診療施設の診療領域ごと(例えば、内科ごと、眼科ごとなど)薬局の係数を算出すればよい。例えば内科について各診療施設に対する薬局の係数を算出する場合には、上述の処方規模テーブル410の処方規模412として、各エントリの診療施設のうち内科による処方規模を取得すればよい。
【0031】
上述の実施形態では、情報処理装置100は、取得した処方規模及び関連度に基づいて、各診療施設に対する各薬局の係数を機械的に算出することができ、係数の算出の効率が向上する。
【符号の説明】
【0032】
100 情報処理装置、105 規模取得部、106 関連度取得部、107 寄与度算出部、108 係数算出部
【要約】
【課題】複数の診療施設のそれぞれにおける医薬品の売上に、薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を効率的に算出する。
【解決手段】診療施設における医薬品の売上に対して薬局における医薬品の売上を紐付ける際に用いられる係数を算出するための情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、診療施設の処方規模を取得する規模取得部と、診療施設に対する薬局の関連度を取得する関連度取得部と、対象の診療施設について、当該診療施設の処方規模と、当該診療施設に対する2つ以上の薬局の関連度とに基づいて、当該2つ以上の薬局に対する当該診療施設の寄与度を算出する寄与度算出部と、対象の薬局について、当該薬局に対する2つ以上の診療施設の寄与度に基づいて、当該2つ以上の診療施設に対する当該薬局の係数を算出する係数算出部とを有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4