特許第5724033号(P5724033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5724033車両内のコンポーネントを診断するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724033
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】車両内のコンポーネントを診断するシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20150507BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   G06F11/22 310A
   B60R16/02 650J
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-506764(P2014-506764)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-517378(P2014-517378A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2011006362
(87)【国際公開番号】WO2012149951
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】102011100106.2
(32)【優先日】2011年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ハップ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・トラウプ
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルド・グラウ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・クレープス
【審査官】 ▲高▼橋 正▲徳▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−005997(JP,A)
【文献】 特開2002−228552(JP,A)
【文献】 特開2002−331884(JP,A)
【文献】 特開2003−019931(JP,A)
【文献】 特開2005−122698(JP,A)
【文献】 特開2008−001233(JP,A)
【文献】 特開2008−135008(JP,A)
【文献】 特許第441664(JP,B2)
【文献】 特開2000−289583(JP,A)
【文献】 特開2006−139493(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0187680(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0185126(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0199160(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0014505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/22−11/34,
B60R 16/02,
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のコンポーネントを診断するシステムであって、前記コンポーネントを診断するために少なくとも1つのテストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)と、該テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)に割り当てられる少なくとも1つの実行パラメータとを利用できるように構成され備えられたサーバー(2)を有し、並びに前記テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)と、前記テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)から分離して伝送された前記少なくとも1つの実行パラメータとを受信するように、及び前記少なくとも1つの実行パラメータに対応して前記テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)をスクリプト実行装置(22)で実行するように構成され備えられた診断装置(3)を有するシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
スクリプト生成装置(4)が、プラットフォームに依存しない出力スクリプトを調整するように形成されたスクリプト入力装置(5)を備えることを特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項1から2の一項に記載のシステムであって、
前記テストシーケンスがOTXスクリプトであり前記プリコンパイルされたテストシーケンスがETXスクリプトであることを特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項1から3の一項に記載のシステムであって、
前記テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス(21)に少なくとも1つの実行パラメータが割り当てられるように形成された割り当て装置(8)を備えることを特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項1から4の一項に記載のシステムであって、
前記診断装置(3)が、スクリプトインタープリタとして、又はスクリプトコンパイラとして形成され、プラットフォームに依存しないテストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスからプラットフォームに適合するランタイムスクリプトを生成するスクリプト実行装置(22)を備えることを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項1から5の一項に記載のシステムであって、
前記診断装置(3)が、前記ランタイムスクリプトに割り当てられた実行パラメータを評価し、それに対応して前記ランタイムスクリプトを制御するように備えられ構成された実行制御装置(23)を有することを特徴とする、システム。
【請求項7】
請求項1から6の一項に記載のシステムであって、
前記サーバー(2)及び前記診断装置(3)が通信手段(9)を介して互いに接続されることを特徴とする、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記通信手段(9)が移動無線接続、衛星接続、又はその他の無線通信接続であることを特徴とする、システム。
【請求項9】
請求項1から8の一項に記載のシステムであって、
前記診断装置が車両又はモバイルテスト機器内に実装されることを特徴とする、システム。
【請求項10】
求項1から9に記載のシステムを使用して車両(1)のコンポーネントを診断する方法であって、
−プラットフォームに依存しないテストシーケンスがスクリプト入力装置(5)を用いて作成され、
−又はプリコンパイルされたテストシーケンスがスクリプト生成装置(4)によって生成され、
−前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)が伝送装置(7)によってサーバー(2)に送信され、
−割り当て装置(8)によって前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)に少なくとも1つの実行パラメータが割り当てられ、
−診断装置(3)が、前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)、及び前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)から分離して伝送された前記少なくとも1つの実行パラメータを前記サーバー(2)から受信し、
−前記診断装置(3)が、前記少なくとも1つの実行パラメータに対応して前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)を実行するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記テストシーケンス又は前記プリコンパイルされたテストシーケンス(21)を実行後に、スクリプト実行結果がサーバー(2)に伝送されることを特徴とする、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両、特に自動車内のコンポーネントを診断するシステム、並びに車両内のコンポーネントを診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型の自動車には多数の電子コンポーネントが搭載されている。これらは乗員の快適さと安全性を高めると同時に排出量及び燃費の低減に寄与する。しかし、それによって誤動作の危険性も高まる。このような故障を発見し、修復するため、例えば自動車内の故障状態を検知可能なますます高性能化する電子診断システムが導入されている。メーカー特有の且つ独立型の様々な診断システムが存在する。これらのシステムはそれぞれが、通常はディスプレーとキーボードの形態で実施されるユーザーインターフェースを備えている。ユーザーインターフェースと自動車の診断システムとの間のケーブル接続も無線接続も知られている。無線接続によって、車両の通常の走行中にエンジン、ギヤ、又は補助システムの個々のパラメータをかなりの遠隔地からも制御することが可能である。
【0003】
新型の診断システムはいわゆるスクリプト、特にXMLスクリプトを実行するように設計されている。新たなスクリプトは、一部無線で、例えば移動通信で車両内にある診断システムに伝送される。既に保存されているスクリプトの変更、すなわち更新にも同じことが該当する。
【0004】
特許文献1から、システム状態の先行的な自立的確認によって更新許可が検証される、動作中のシステムのソフトウェアコンポーネントの交換が可能な方法が公知である。そのために、局部的な評価によって予測される状態を調査する分散型解析が使用される。
【0005】
XMLスクリプトの伝送には、比較的大容量のデータを伝送しなければならないという欠点がある。比較的大容量のデータを伝送することで一方ではコストが高くなり、他方では伝送時間が比較的長くなるため、これは特に移動通信伝送の場合に不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許第10 2008 063 276号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、情報量が同じである場合、XMLスクリプトと比較してデータ量が大幅に少ないスクリプトの伝送を可能にする車両内のコンポーネントを診断する方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1の特徴を有するシステム、及び請求項10の特徴を有する方法によって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0009】
本発明の主要な考えは、車両、特に自動車のコンポーネントを診断するシステムであって、有利には、プラットフォームに依存せず、診断装置の外部で実行可能な、コンポーネントを診断するための少なくとも1つのテストシーケンスと、テストシーケンスに割り当てられた少なくとも1つの実行パラメータとを提供するように構成され備えられたサーバーを有し、並びに少なくとも1つの実行可能なテストシーケンスと、少なくとも1つの実行パラメータとを受信するように、及びスクリプトインタプリタ又はスクリプトコンパイラにより診断装置及びそのランタイム環境で実行可能又は動作可能なファイルフォーマット又はランタイムスクリプトに変換するように構成され備えられた診断装置を有するシステムを提供することにある。
【0010】
実行可能なテストシーケンスは、ETXスクリプト(実行可能テストシーケンス交換)としてプリコンパイルされ、そこでデータ量がソースファイルよりも縮減されることで遠隔診断接続に適するようになる。移動通信伝送では、これは決定的な利点である。
【0011】
伝送のために実行パラメータをテストシーケンスから分離して保存し、分離して伝送するテストシーケンスと実行パラメータとの分離によって、テストシーケンスを診断装置内にプリコンパイルし、テレマティックス、特に遠隔アクセスごとの必要性に応じて診断装置に伝送することが可能になり、その後、スクリプトインタプリタ又はスクリプトコンパイラは、テストシーケンス及び実行パラメータから実行可能なランタイムスクリプトを生成する。
【0012】
特に、診断装置が車両内のテラマティックスプラットフォーム内に組み込まれている場合は、それによってテレマティックス接続を介して伝送されるデータ量を大幅に縮減することができる。時点、トリガ結果、有効情報、優先度などの個々の実行パラメータだけを伝送すればよい。あるいは、診断装置をモバイルのテスト機器内に実装して、工場で車両診断のために使用し、車両に適用できるようにしてもよい。時刻、トリガ結果、有効性情報、優先度などの個々の実行パラメータを伝送するだけでよい。あるいは、診断装置をモバイルテスト機器に実装して、工場での車両診断に使用し、車両に適用してもよい。
【0013】
好ましくは、テストシーケンスをスクリプト言語、特にOTXで作成された出力スクリプトから生成するように構成されたスクリプト生成装置が備えられる。しかし、各々の別の言語、特に車両診断の書き込む言語の要件を満たすXML言語を使用しても良い。有利には、サーバーはソフトウェアとしてのみ実装され、又はサーバーソフトウェアを実行するコンピュータであってもよい。
【0014】
別の有利な実施形態では、スクリプト生成装置は出力スクリプトを作成するように構成されたスクリプト入力装置を備えている。その際、スクリプト入力装置は好ましくはグラフィックエディタとして実装される。ソフトウェア開発のためにそれぞれ別の適宜のツールを使用することも考えられる。
【0015】
更に有利には、スクリプト生成装置はテストシーケンスを生成するためにデータバンクからの情報を使用するように構成される。これらの情報は有利には、書き込み言語、特にODXで存在する情報である。ODX(オープンな診断データ交換)は、ソフトウェア構築のために車両又は制御機器の診断に関連する基本情報(要件及びドキュメンテーション)を利用できる。これは国際標準ISO 22901−1で標準化されている。
【0016】
プリコンパイルされたテストシーケンスは好ましくはOTXスクリプトとODX制御機器診断データとの組み合わせであり、ODXで制御機器の診断可能性が書き込まれる。プリコンパイルされたテストシーケンスには好ましくは、ファイル拡張子”ETX”(実行可能テストシーケンス交換用)が付される。これらのテストシーケンスは好ましくは、プラットフォームに依存せずに実施するために必要なあらゆる情報を含んでいる。テストシーケンスは車両内の診断ユニット、又はテストユニット内で好ましくは圧縮されプラットフォーム最適化されたランタイムスクリプトで存在するフォーマット(例えばLUA、Java(登録商標)、Python、Pearlなど)に変換される。
【0017】
更に、好ましくは、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスをスクリプト生成装置からサーバーに伝送するように構成された伝送装置が備えられる。そのために、有利には送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはスクリプト生成装置に、受信インターフェースはサーバーに接続され、送信インターフェースはデータを送信でき、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。その際、データの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。
【0018】
更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。
【0019】
更なる有利な実施形態は、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスにETXの形式のすくなくとも1つの実行パラメータを割り当てる割り当て装置が備えられている。テストシーケンス中に好ましくは、スクリプト実行中の挙動、例えば収集すべき車両データ、その計算及び評価、及び結果に応じてスクリプトシーケンスを定義する、好ましくはランタイムスクリプトがその条件で実行される実行パラメータを決定する。これは例えば、一時的トリガによって、又は車両内の特定の結果の後に行うことができる。この実行パラメータは好ましくは、車両又は車隊特有のスクリプト実行を可能にするためにスクリプトから分離される。
【0020】
診断装置は好ましくは、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスを実行されるランタイムスクリプトに変換するように備えられ、構成される。これは有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムでよい。したがって、ソースコードの解析はプログラムのランタイムに行われる。更に、各コンピュータアーキテクチャで実行可能なそれぞれの別の装置も考えられる。勿論、アセンブラ又はコンパイラとして機能し、システムで直接実行可能なファイルに変換する装置を間に接続してもよい。スクリプト実行装置はそれぞれのプラットフォームでの変換を担う。
【0021】
更に有利には、診断装置は、ランタイムスクリプトに割り当てられた実行パラメータを評価し、それに応じてランタイムスクリプトの実行を制御するように備えられ、構成された実行制御装置を備えている。これは有利にはいわゆる「実行スケジューラ」、すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムである。そのために実行制御装置は有利には実行パラメータを評価し、そこに含まれる情報に応じてスクリプト実行装置を制御する。
【0022】
サーバーと診断装置とは通信手段を介して互いに接続される。好ましくは、通信手段はネットワーク接続、特にインターネットである。その際、有利には新たに送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはサーバーと、受信インターフェースは診断装置に接続され、送信インターフェースはデータを送信可能に構成され、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。この場合もデータの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。
更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。
【0023】
通信手段は好ましくは無線接続である。その際、有利にはGSM(登録商標)標準、特に電気通信サービス「ショートメッセージサービス」(SMS)が使用される。各々の別の適宜の無線通信接続、例えばUMTSも考えられる。米国では、CDMA標準(GSM(登録商標)の米国での同等のサービス)を利用できる。SMS通信の他に、データ量が多い場合はデータパケット指向フォーマット GPRS又はベイコルでは1XRTT、及び将来のUMTS又はHSxPA、LTEなどが採用される。
【0024】
更なる有利な実施形態は、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスがスプリクト入力装置によって作成され、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスが伝送装置によってサーバーに転送され、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスには割り当て装置によって実行パラメータが割り当てられ、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス及び実行パラメータが診断装置によってサーバーから受信され、診断装置がランタイムスクリプトを生成し、それに対応して実行パラメータを実行する、特に請求項1から9に記載のシステムを使用する車両内のコンポーネントを診断する方法である。
【0025】
その際、スクリプト入力装置は好ましくはグラフィックエディタとして実装される。ソフトウェア開発のためにそれぞれ別の適宜のツールを使用することも考えられる。更に有利には、プリコンパイルされたETXスクリプトの形式のテストシーケンスを生成するために、データバンクからの情報が使用される。これらの情報は有利には、書き込み言語、特にODXで存在する情報である。ODX(オープンな診断データ交換)は、ソフトウェア構築のために車両又は制御機器の診断に関連する基本情報(要件及びドキュメンテーション)を利用できる。これは国際標準ISO 22901−1で標準化されている。ETXスクリプトは好ましくはOTXスクリプトとODX制御機器診断データとの組み合わせであり、ODXには制御データに診断可能性が書き込まれる。OTXスクリプト言語用にはISO標準(ISO 13209)の草案がある。好ましくは、ETXスクリプトにはファイル拡張子「ETX」(実行可能なテストシーケンス交換用)が付される。OTX又はETXスクリプトは好ましくは、プラットフォームに依存せずにこれらを開発環境で実行可能にするために必要な全ての情報を含んでいる。OTX又はETXスクリプトは、診断ユニットに伝送された後、好ましくは圧縮されプラットフォーム最適化されたランタイムスクリプトで存在するフォーマット(例えばLUA、Java(登録商標)、Python、Pearlなど)に変換される。有利にはスクリプトをサーバーに伝送するために送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはスクリプト生成装置に、受信インターフェースはサーバーに接続され、送信インターフェースはデータを送信でき、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。その際、データの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。テストシーケンス中に好ましくは、スクリプト実行中の挙動、例えば収集すべき車両データ、その計算及び評価、及び結果に応じてスクリプトシーケンスを定義する、好ましくはランタイムスクリプトがその条件で実行される実行パラメータを決定する。これは例えば、一時的トリガによって、又は車両内の特定の結果の後に行うことができる。この実行パラメータは好ましくは、車両又は車隊特有のスクリプト実行を可能にするためにスクリプトから分離される。
【0026】
ランタイムスクリプトを実行するため、診断装置は好ましくはスクリプト実行装置及び実行制御装置を備えている。スクリプト実行装置は有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムである。ソースコードの解析は好ましくはプログラムのランタイム中に行われる。更に、各々のコンピュータアーキテクチャで実行可能な装置も考えられる。勿論、アセンブラ又はコンパイラとして機能し、スクリプトをシステムで直接実行可能なファイルに変換する装置を配置してもよい。この実行制御装置は有利にはいわゆる「実行スケジューラ」、すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムである。更に有利には、実行パラメータが評価され、これに含まれる情報に基づいてスクリプト実行装置が制御される。サーバーと診断装置も好ましくは通信手段を介して互いに接続される。通信手段は好ましくはネットワーク通信、特にインターネットである。有利には、データはサーバーに接続された送信インターフェースを介して送信され、診断装置に接続された対応する受信インターフェースを介して受信される。この場合も、データはアナログでもディジタルでも(並列又は直列)伝送可能である。更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。好ましくは、テストシーケンス又はETXスクリプト及び実行パラメータは移動通信接続を介して伝送される。その際、有利にはGSM(登録商標)標準、特に電気通信サービス「ショートメッセージサービス」(SMS)が使用される。各々の別の適宜の無線通信接続、例えばGPRS、1XRTT,HSxPA、及びUMTSなども考えられる。
【0027】
本発明により以下の利点が達成される。
【0028】
伝送されるデータ量が公知のXMLスクリプトよりも大幅に縮減される。このことは移動無線伝送では決定的に重要である。
【0029】
OTX及びETXはオフボード側でプラットフォームに依存せずに形成することができる。車両内の、又はテスト機器内のオンボードプラットフォームへの変換は、スクリプトコンパイラ又はスクリプトインタープリタが担う。
【0030】
遠隔アクセスごとに常に特別に設計された診断課題が車両内のテレマティックスプラットフォーム又はテスト機器に伝送される。
【0031】
テストシーケンスの実行ルールを変更するには、遠隔アクセスごとに実行パラメータを更新するだけでよい。本来のテストシーケンスは不変のままテレマティックスプラットフォーム上に留めることができる。それによって、伝送されるデータ量の大幅な縮減が可能になり、これも移動無線伝送の場合は決定的に重要である。
【0032】
車両内のファイアウオールでは許可された診断サ−ビス又はCAN BUSサービスと許可されないこれらのサービスとを規定可能であり、それによって車両の侵害又は不正操作が防止される。更に、新規のビジネスモデルの基盤のためにファイアウオールの調整が行われる。
【0033】
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】システムの好ましい実施形態の概略図である。
図2】例示的診断装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1には中心的なコンポーネントが車両1、サーバー2、診断装置3、スクリプト生成装置4、スクリプト入力装置5、データバンク6、伝送装置7、割り当て装置8、並びに通信手段9である本発明によるシステムの好ましい実施形態が示されている。
この図では、スクリプト入力装置5はスクリプト生成装置4のコンポーネントとして示されている。しかし、スクリプト入力装置5とスクリプト生成装置4とが別個の装置であってもよい。スクリプト生成装置4はデータバンク6とサーバー2とに接続されている。接続は電気的接続、又は無線又はその他の接続である。割り当て装置8はこの図ではサーバー2のコンポーネントとして配置されている。勿論、割り当て装置8をサーバー2の外部に配置することも可能である。しかしその場合は、割り当て装置8をスクリプト生成装置4とサーバー2とに接続しなければならないであろう。接続は電気的接続、無線又はその他の接続である。サーバー2は通信手段9を介して車両1内に配置された診断装置に接続されている。この接続も電気的接続、無線又はその他の接続で行うことができる。
【0036】
好ましくは、スクリプト入力装置5はグラフィックエディタとして実施される。更に、好ましくは、テストシーケンス又はコンパイルされたテストシーケンス21を生成するために、データバンク6からの情報が用いられる。この場合データバンク6は、データバンク管理システム及び管理されるデータとから成るいわゆるデータバンクシステムであると理解される。データとは好ましくは、書込み言語、特にODX内にある情報である。スクリプト入力装置5を用いて作成される出力スクリプトからスクリプト生成装置4によってプラットフォームに依存しないスクリプトが作成される。このスクリプトは好ましくは、OTXスクリプトとODX−制御機器−診断データとの組み合わせである。実施形態に応じて、このテストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス21は次いでサーバー2に伝送される。その際、データの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。次いで割り当て装置8によってテストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス21には少なくとも1つの実行パラメータが割当てられる。実行パラメータは好ましくは、診断装置3によってそれぞれのテストシーケンスがどのような条件で実行されるかを決定する。実行パラメータは有利には、車両又は車隊特有のスクリプト実行ルールを可能にするためにスクリプトから分離される。
【0037】
割り当て装置を介してテストシーケンスを単一の又は複数の車両に割当てることができる。個々の車隊又は複数の車隊に割り当てることも可能である。割り当ては例えば識別子によって行われる。同様に、割り当て装置を介して単数又は複数のターゲット車両、単数又は複数のターゲット車隊に応じて最終的なランタイムスクリプトに異なる実行パラメータを割り当てることができる。
【0038】
それぞれの車両又は車隊の確認と選択はサーバー内の制御論理を介して行われる。制御論理はできるだけ手動入力/出力インターフェースと連係してデータバンク(6)から選択基準を引き出す。データバンク内には車両の構成状態が記録され、それぞれの構成状態に必要なテストシーケンス及び実行パラメータが保持され、管理されている。
【0039】
テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスを実行するため、診断装置は好ましくは、スクリプト実行装置22及び実行制御装置23を備えている。スクリプト実行装置22は有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムであってよい。実行制御装置23は有利には、いわゆる「実行スケジューラ」、すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムであってよい。通信手段9は好ましくは、ネットワーク接続、特にインターネットである。好ましくは、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス21、及び少なくとも1つの実行パラメータは移動無線接続を介して診断装置3に伝送される。
【0040】
図2には、中心的なコンポーネントが一連のETXスクリプト21、スクリプト実行装置22、実行制御装置23、プログラミングインターフェース24、ランタイム環境25、ファイアウオール26、追加のアプリケーション27、接続制御装置28、ネットワークアダプタ29、伝送制御30、CANドライバ31、CANバス32並びに通信手段9である診断装置3の実施例が概略的に示されている。
【0041】
CANバス32を介して診断装置3がセンサに接続されている。CANバス32の代わりに、別の適宜のバスシステムを使用してもよい。
【0042】
ランタイム環境25は動作システムと直接通信できないランタイムスクリプトと共に実施され、ランタイムスクリプトと動作システムとの間を通信することによって実行可能にされる。
【0043】
テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス21が通信手段9及びネットワークアダプタ29を介して受信された後、これはスクリプト実行装置22によって実行される。より具体的には、先ず、後の時点で実行できるようにスクリプトが記憶される。あるいは、即座に、又は近々実施することも可能である。スクリプト実行装置22は有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムでよい。好ましくは、スクリプト実行装置は、OTXテストシーケンス又はETXスクリプトを例えばLUA、Java(登録商標)、Python、Pearlなどのそれぞれの車両で使用される診断フォーマットに変換するスクリプトコンパイラである。
【0044】
実行制御装置23は有利には、いわゆる「実行スケジューラ」すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムであってよい。そのために、有利には実行パラメータが評価され、それに含まれる情報に基づいてスクリプト実行装置22が制御される。この図には実行パラメータは図示されていない。
【0045】
スクリプト実行装置22の制御が必要であるのは、診断される実際の制御機器が補足的に仮想制御機器を含んでいることがあるためである。これらの仮想制御機器は互いに、及び実際の制御機器と共に問題なく同時に診断可能である。共属する実際の制御機器と仮想制御機器との識別は例えばODXでは不可能である。2つのスクリプト実行間の干渉を排除するため、診断装置3は好ましくは、一時に1つのランタイムスクリプトだけしか実行しないものとする。このことは、2つのランタイムスクリプトが同じ(実際の又は仮想の)制御機器にアクセスする場合に特に重要である。それぞれの実行パラメータにより個々のランタイムスクリプトに異なる優先順位が割り当てられる。実行制御装置23は実行優先順位に基づいてランタイムスクリプトの順次の実行を保証する。
【0046】
その際に留意すべきは、実行パラメータの他に、スクリプト実行結果及びランタイムスクリプトの伝送条件を調整する伝送パラメータも存在することである。スクリプト実行結果の伝送のため、サーバーへの結果の伝送を制御する、実行スケジューラと類似する送信スケジューラが備えられている。
【0047】
ファイアウオール26では、許可された診断サービス又はCANバス32サービスと許可されないこれらのサービスとを規定することができる。ファイアウオール26は遠隔制御で作用させることができないため、診断プロバイダにはリリースされた診断サービスだけしけ許容されない。
【0048】
1つの通信手段9、ひいては1つのデータチャネル(例えば移動無線チャネル)しか利用できないため、スクリプト実行結果の伝送も順次行われる。伝送制御30は優先順位による結果の伝送を保証する。更には、好ましくは移動無線接続を介した診断装置からサーバーへのスクリプト実行結果の伝送は暗号化され、実行パラメータの伝送と同様に行われる。
【0049】
(実行パラメータ及び伝送パラメータに基づく)スクリプト実行及び結果伝送のための局部的な(すなわち診断ユニットにある)調整の他、サーバーの適宜の入力ユニットを介してスクリプト実行及び/又は結果伝送要求をサーバーから診断ユニットに送ることも可能である。この要求は個別車両又は選抜車両(車隊)に送られることができる(そのために割り当て装置(8)を使用できる)。この場合も無線又は移動無線接続、及び場合によっては(必ずしも強制的ではないが)暗号化が用いられる。サーバーからのこのような要求を受信した後、診断装置でスクリプト実行が「実行スケジューラ」によって予め定められた優先順位で保証される。結果の伝送は「送信スケジューラ」によってこの場合も予め定められた優先順位で保証される。
図1
図2