【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1の特徴を有するシステム、及び請求項10の特徴を有する方法によって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0009】
本発明の主要な考えは、車両、特に自動車のコンポーネントを診断するシステムであって、有利には、プラットフォームに依存せず、診断装置の外部で実行可能な、コンポーネントを診断するための少なくとも1つのテストシーケンスと、テストシーケンスに割り当てられた少なくとも1つの実行パラメータとを提供するように構成され備えられたサーバーを有し、並びに少なくとも1つの実行可能なテストシーケンスと、少なくとも1つの実行パラメータとを受信するように、及びスクリプトインタプリタ又はスクリプトコンパイラにより診断装置及びそのランタイム環境で実行可能又は動作可能なファイルフォーマット又はランタイムスクリプトに変換するように構成され備えられた診断装置を有するシステムを提供することにある。
【0010】
実行可能なテストシーケンスは、ETXスクリプト(実行可能テストシーケンス交換)としてプリコンパイルされ、そこでデータ量がソースファイルよりも縮減されることで遠隔診断接続に適するようになる。移動通信伝送では、これは決定的な利点である。
【0011】
伝送のために実行パラメータをテストシーケンスから分離して保存し、分離して伝送するテストシーケンスと実行パラメータとの分離によって、テストシーケンスを診断装置内にプリコンパイルし、テレマティックス、特に遠隔アクセスごとの必要性に応じて診断装置に伝送することが可能になり、その後、スクリプトインタプリタ又はスクリプトコンパイラは、テストシーケンス及び実行パラメータから実行可能なランタイムスクリプトを生成する。
【0012】
特に、診断装置が車両内のテラマティックスプラットフォーム内に組み込まれている場合は、それによってテレマティックス接続を介して伝送されるデータ量を大幅に縮減することができる。時点、トリガ結果、有効情報、優先度などの個々の実行パラメータだけを伝送すればよい。あるいは、診断装置をモバイルのテスト機器内に実装して、工場で車両診断のために使用し、車両に適用できるようにしてもよい。時刻、トリガ結果、有効性情報、優先度などの個々の実行パラメータを伝送するだけでよい。あるいは、診断装置をモバイルテスト機器に実装して、工場での車両診断に使用し、車両に適用してもよい。
【0013】
好ましくは、テストシーケンスをスクリプト言語、特にOTXで作成された出力スクリプトから生成するように構成されたスクリプト生成装置が備えられる。しかし、各々の別の言語、特に車両診断の書き込む言語の要件を満たすXML言語を使用しても良い。有利には、サーバーはソフトウェアとしてのみ実装され、又はサーバーソフトウェアを実行するコンピュータであってもよい。
【0014】
別の有利な実施形態では、スクリプト生成装置は出力スクリプトを作成するように構成されたスクリプト入力装置を備えている。その際、スクリプト入力装置は好ましくはグラフィックエディタとして実装される。ソフトウェア開発のためにそれぞれ別の適宜のツールを使用することも考えられる。
【0015】
更に有利には、スクリプト生成装置はテストシーケンスを生成するためにデータバンクからの情報を使用するように構成される。これらの情報は有利には、書き込み言語、特にODXで存在する情報である。ODX(オープンな診断データ交換)は、ソフトウェア構築のために車両又は制御機器の診断に関連する基本情報(要件及びドキュメンテーション)を利用できる。これは国際標準ISO 22901−1で標準化されている。
【0016】
プリコンパイルされたテストシーケンスは好ましくはOTXスクリプトとODX制御機器診断データとの組み合わせであり、ODXで制御機器の診断可能性が書き込まれる。プリコンパイルされたテストシーケンスには好ましくは、ファイル拡張子”ETX”(実行可能テストシーケンス交換用)が付される。これらのテストシーケンスは好ましくは、プラットフォームに依存せずに実施するために必要なあらゆる情報を含んでいる。テストシーケンスは車両内の診断ユニット、又はテストユニット内で好ましくは圧縮されプラットフォーム最適化されたランタイムスクリプトで存在するフォーマット(例えばLUA、Java(登録商標)、Python、Pearlなど)に変換される。
【0017】
更に、好ましくは、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスをスクリプト生成装置からサーバーに伝送するように構成された伝送装置が備えられる。そのために、有利には送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはスクリプト生成装置に、受信インターフェースはサーバーに接続され、送信インターフェースはデータを送信でき、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。その際、データの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。
【0018】
更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。
【0019】
更なる有利な実施形態は、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスにETXの形式のすくなくとも1つの実行パラメータを割り当てる割り当て装置が備えられている。テストシーケンス中に好ましくは、スクリプト実行中の挙動、例えば収集すべき車両データ、その計算及び評価、及び結果に応じてスクリプトシーケンスを定義する、好ましくはランタイムスクリプトがその条件で実行される実行パラメータを決定する。これは例えば、一時的トリガによって、又は車両内の特定の結果の後に行うことができる。この実行パラメータは好ましくは、車両又は車隊特有のスクリプト実行を可能にするためにスクリプトから分離される。
【0020】
診断装置は好ましくは、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスを実行されるランタイムスクリプトに変換するように備えられ、構成される。これは有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムでよい。したがって、ソースコードの解析はプログラムのランタイムに行われる。更に、各コンピュータアーキテクチャで実行可能なそれぞれの別の装置も考えられる。勿論、アセンブラ又はコンパイラとして機能し、システムで直接実行可能なファイルに変換する装置を間に接続してもよい。スクリプト実行装置はそれぞれのプラットフォームでの変換を担う。
【0021】
更に有利には、診断装置は、ランタイムスクリプトに割り当てられた実行パラメータを評価し、それに応じてランタイムスクリプトの実行を制御するように備えられ、構成された実行制御装置を備えている。これは有利にはいわゆる「実行スケジューラ」、すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムである。そのために実行制御装置は有利には実行パラメータを評価し、そこに含まれる情報に応じてスクリプト実行装置を制御する。
【0022】
サーバーと診断装置とは通信手段を介して互いに接続される。好ましくは、通信手段はネットワーク接続、特にインターネットである。その際、有利には新たに送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはサーバーと、受信インターフェースは診断装置に接続され、送信インターフェースはデータを送信可能に構成され、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。この場合もデータの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。
更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。
【0023】
通信手段は好ましくは無線接続である。その際、有利にはGSM(登録商標)標準、特に電気通信サービス「ショートメッセージサービス」(SMS)が使用される。各々の別の適宜の無線通信接続、例えばUMTSも考えられる。米国では、CDMA標準(GSM(登録商標)の米国での同等のサービス)を利用できる。SMS通信の他に、データ量が多い場合はデータパケット指向フォーマット GPRS又はベイコルでは1XRTT、及び将来のUMTS又はHSxPA、LTEなどが採用される。
【0024】
更なる有利な実施形態は、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスがスプリクト入力装置によって作成され、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスが伝送装置によってサーバーに転送され、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンスには割り当て装置によって実行パラメータが割り当てられ、テストシーケンス又はプリコンパイルされたテストシーケンス及び実行パラメータが診断装置によってサーバーから受信され、診断装置がランタイムスクリプトを生成し、それに対応して実行パラメータを実行する、特に請求項1から9に記載のシステムを使用する車両内のコンポーネントを診断する方法である。
【0025】
その際、スクリプト入力装置は好ましくはグラフィックエディタとして実装される。ソフトウェア開発のためにそれぞれ別の適宜のツールを使用することも考えられる。更に有利には、プリコンパイルされたETXスクリプトの形式のテストシーケンスを生成するために、データバンクからの情報が使用される。これらの情報は有利には、書き込み言語、特にODXで存在する情報である。ODX(オープンな診断データ交換)は、ソフトウェア構築のために車両又は制御機器の診断に関連する基本情報(要件及びドキュメンテーション)を利用できる。これは国際標準ISO 22901−1で標準化されている。ETXスクリプトは好ましくはOTXスクリプトとODX制御機器診断データとの組み合わせであり、ODXには制御データに診断可能性が書き込まれる。OTXスクリプト言語用にはISO標準(ISO 13209)の草案がある。好ましくは、ETXスクリプトにはファイル拡張子「ETX」(実行可能なテストシーケンス交換用)が付される。OTX又はETXスクリプトは好ましくは、プラットフォームに依存せずにこれらを開発環境で実行可能にするために必要な全ての情報を含んでいる。OTX又はETXスクリプトは、診断ユニットに伝送された後、好ましくは圧縮されプラットフォーム最適化されたランタイムスクリプトで存在するフォーマット(例えばLUA、Java(登録商標)、Python、Pearlなど)に変換される。有利にはスクリプトをサーバーに伝送するために送信インターフェース及び対応する受信インターフェースが備えられ、送信インターフェースはスクリプト生成装置に、受信インターフェースはサーバーに接続され、送信インターフェースはデータを送信でき、受信インターフェースは送信インターフェースから送信されたデータを受信できるように構成されている。その際、データの伝送はアナログでもディジタルでも(並列又は直列)行うことができる。更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとがそれぞれデータの暗号化と復号化を行う手段を備えることにより、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。テストシーケンス中に好ましくは、スクリプト実行中の挙動、例えば収集すべき車両データ、その計算及び評価、及び結果に応じてスクリプトシーケンスを定義する、好ましくはランタイムスクリプトがその条件で実行される実行パラメータを決定する。これは例えば、一時的トリガによって、又は車両内の特定の結果の後に行うことができる。この実行パラメータは好ましくは、車両又は車隊特有のスクリプト実行を可能にするためにスクリプトから分離される。
【0026】
ランタイムスクリプトを実行するため、診断装置は好ましくはスクリプト実行装置及び実行制御装置を備えている。スクリプト実行装置は有利には、いわゆる「スクリプトインタープリタ」、すなわちプログラムソースコードを読み出し、解析し、実行するコンピュータプログラムである。ソースコードの解析は好ましくはプログラムのランタイム中に行われる。更に、各々のコンピュータアーキテクチャで実行可能な装置も考えられる。勿論、アセンブラ又はコンパイラとして機能し、スクリプトをシステムで直接実行可能なファイルに変換する装置を配置してもよい。この実行制御装置は有利にはいわゆる「実行スケジューラ」、すなわちランタイムスクリプトの実行シーケンスを制御する制御プログラムである。更に有利には、実行パラメータが評価され、これに含まれる情報に基づいてスクリプト実行装置が制御される。サーバーと診断装置も好ましくは通信手段を介して互いに接続される。通信手段は好ましくはネットワーク通信、特にインターネットである。有利には、データはサーバーに接続された送信インターフェースを介して送信され、診断装置に接続された対応する受信インターフェースを介して受信される。この場合も、データはアナログでもディジタルでも(並列又は直列)伝送可能である。更に好ましくは、送信インターフェースと受信インターフェースとの通信を暗号化することができる。データの無線伝送(例えばワイヤレス送信、赤外線通信)の他、基本的にグラスファイバ又はその他の媒体を使用することも考えられる。データの暗号化には通常のあらゆる暗号化方法が適している。好ましくは、テストシーケンス又はETXスクリプト及び実行パラメータは移動通信接続を介して伝送される。その際、有利にはGSM(登録商標)標準、特に電気通信サービス「ショートメッセージサービス」(SMS)が使用される。各々の別の適宜の無線通信接続、例えばGPRS、1XRTT,HSxPA、及びUMTSなども考えられる。
【0027】
本発明により以下の利点が達成される。
【0028】
伝送されるデータ量が公知のXMLスクリプトよりも大幅に縮減される。このことは移動無線伝送では決定的に重要である。
【0029】
OTX及びETXはオフボード側でプラットフォームに依存せずに形成することができる。車両内の、又はテスト機器内のオンボードプラットフォームへの変換は、スクリプトコンパイラ又はスクリプトインタープリタが担う。
【0030】
遠隔アクセスごとに常に特別に設計された診断課題が車両内のテレマティックスプラットフォーム又はテスト機器に伝送される。
【0031】
テストシーケンスの実行ルールを変更するには、遠隔アクセスごとに実行パラメータを更新するだけでよい。本来のテストシーケンスは不変のままテレマティックスプラットフォーム上に留めることができる。それによって、伝送されるデータ量の大幅な縮減が可能になり、これも移動無線伝送の場合は決定的に重要である。
【0032】
車両内のファイアウオールでは許可された診断サ−ビス又はCAN BUSサービスと許可されないこれらのサービスとを規定可能であり、それによって車両の侵害又は不正操作が防止される。更に、新規のビジネスモデルの基盤のためにファイアウオールの調整が行われる。
【0033】
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。