特許第5724070号(P5724070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724070
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】液面浮遊異物検査方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   G01N21/90 D
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-246140(P2011-246140)
(22)【出願日】2011年11月10日
(65)【公開番号】特開2013-104659(P2013-104659A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014661
【氏名又は名称】キリンテクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100093942
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 良二
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森崎 泰彦
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−069774(JP,A)
【文献】 特表平11−507138(JP,A)
【文献】 特開2005−017004(JP,A)
【文献】 特開2007−010624(JP,A)
【文献】 特開2007−017194(JP,A)
【文献】 特開2004−317426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0066944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構により搬送される濃色の容器の内部に充填された液体の液面又は液面付近に浮遊した異物を検出する検査方法において、
搬送される容器の下方に配置された照明によって容器内を容器底面側から照明することにより容器内の液面を照明する工程と、
搬送される前記容器内の液面の位置を囲むように前記容器の外周側に配置されるとともに、互いに対向しかつ間隙をおいて配置された略半円環状の2つのコーンミラーの半逆円錐面状のミラー面により、前記容器内の液面からの光を上方に反射させる工程と、
前記2つのコーンミラーのミラー面で反射した反射光を前記容器の上方に配置されたカメラにより撮像する工程とを含み、
前記容器内の液面の位置で水平断面を仮想して容器の外周を特定し、この特定された容器の外周と前記容器の搬送方向に一致させた直線又は円弧とが交叉する前後の2点を特定したときに、前記前後の2点からの光が前記2つのコーンミラーの両端部にそれぞれ入射するように、容器底面側から照明された濃色の容器の液面を側方から撮像した画像における液面中心付近の明るい画像部分の幅に基づいて前記2つのコーンミラー間の間隙の寸法が設定されていることを特徴とする液面浮遊異物検査方法。
【請求項2】
前記2つのコーンミラー間の間隙は、搬送される前記容器の首部又は首部から肩部までが通過できる寸法に設定されていることを特徴とする請求項1記載の液体浮遊異物検査方法。
【請求項3】
前記異物が遮光性異物である場合には、前記カメラにより得られた画像中では、反射光による画像部分が明るく、異物による画像部分が暗くなることを特徴とする請求項1又は2記載の液面浮遊異物検査方法。
【請求項4】
前記異物が透光性異物である場合には、前記カメラにより得られた画像中では、反射光による画像部分と比べて、異物による画像部分が暗くなるか、または周囲よりさらに明るくなることを特徴とする請求項1又は2記載の液面浮遊異物検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面浮遊異物検査方法及び装置に係り、特に容器内に充填された液体の液面付近に浮遊した異物を検出する液面浮遊異物検査方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス壜に飲料等の液体を充填した製品について液面付近に浮遊した異物をカメラで撮像して検出する異物検査システムが知られている。例えば、特開2005−17004号公報(特許文献1)に開示されたガラス瓶の異物検査システムにおいては、液体が充填されているガラス瓶(実瓶)をロータリー式検査テーブルの載置部によって円環状の経路に沿って高速で搬送することにより、遠心力を利用して液面を移動させるとともに液面浮遊異物を移動させ、移動する異物をガラス瓶の側方にある撮像手段で撮像するようにしている。
【0003】
特許文献1に開示されているように、従来の液面浮遊異物検査装置においては、ロータリー式検査テーブルを必須の構成とし、機構が極めて複雑になるという問題がある。そのため、本発明者らは、先に、特開2011−69774号公報(特許文献2)において、容器の下方に配置された照明によって容器内を容器底面側から照明し、前記照明から容器内に入射した光を液面に集光させ、前記液面に集光した光の一部を液面と容器内面が接触する部位で液面が盛り上がった箇所に入射させ、この入射光を前記盛り上がった箇所の液面と気体との界面で反射させ、前記界面で反射した反射光を容器の側方に配置されたCCDカメラにより撮像する検査方法を提案した。この検査方法によれば、液面と気体との界面で反射した反射光をCCDカメラで撮影すると、液面と容器内面が接触する部位で液面が盛り上がった箇所が明るい画像部分になり、この盛り上がった箇所に異物が存在する場合には、異物は明るい背景の中に暗い影となって映り、この暗い影を判別することにより、異物を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−17004号公報
【特許文献2】特開2011−69774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献2で提案した検査方法を用いて液体が充填された各種のガラス壜について液面浮遊異物の検出を繰り返し行った結果、以下の知見を得たものである。
すなわち、無色透明のガラス壜や淡い色を着色したガラス壜は、光透過率が高いので、底面照明からガラス壜の底面を透過してガラス壜内に入射した光は、ガラス壜の内面で反射を繰り返し、いろいろな方向から液面に集光される。そのため、液面全体が明るくなる。
これに対し、褐色や黒色等の濃色のガラス壜は、光透過率が低いので、底面照明からガラス壜の底面を透過してガラス壜内に入射した光は、その一部がガラス壜の内面で吸収されるので、液面には一部の光しか届かない。そのため、液面の一部しか明るくならない。
【0006】
図9(a)は、光透過率の高いガラス壜の液面の画像を示す図であり、図9(b)は光透過率の低いガラス壜の液面の画像を示す図である。
図9(a)に示すように、光透過率の高いガラス壜の場合には、液面全体が明るい画像部分になっている。この状態では、1画面において容器全体の半周部分の液面異物の検査が可能となっている。したがって、図9(a)の画像の手前側と背面側にカメラを配置することで全周の液面浮遊異物の検査が可能となる。
図9(b)に示すように、光透過率の低いガラス壜の場合には、液面の中心付近の一部分(図9(b)において両矢印の範囲)のみ明るい画像部分になっている。この状態では、液面の全周における浮遊異物の検査が困難である。液面の全周において、浮遊異物の検査を行うためには、多方向から液面を撮像することが必要であり、液面を取り囲むように多数のカメラを配置する必要がある。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、光透過率の低い容器に液体を充填した場合であっても、容器内の液面又は液面付近の全周の浮遊異物を少ない個数のカメラで検出することができる液面浮遊異物検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の液面浮遊異物検査方法は、搬送機構により搬送される濃色の容器の内部に充填された液体の液面又は液面付近に浮遊した異物を検出する検査方法において、搬送される容器の下方に配置された照明によって容器内を容器底面側から照明することにより容器内の液面を照明する工程と、搬送される前記容器内の液面の位置を囲むように前記容器の外周側に配置されるとともに、互いに対向しかつ間隙をおいて配置された略半円環状の2つのコーンミラーの半逆円錐面状のミラー面により、前記容器内の液面からの光を上方に反射させる工程と、前記2つのコーンミラーのミラー面で反射した反射光を前記容器の上方に配置されたカメラにより撮像する工程とを含み、前記容器内の液面の位置で水平断面を仮想して容器の外周を特定し、この特定された容器の外周と前記容器の搬送方向に一致させた直線又は円弧とが交叉する前後の2点を特定したときに、前記前後の2点からの光が前記2つのコーンミラーの両端部にそれぞれ入射するように、容器底面側から照明された濃色の容器の液面を側方から撮像した画像における液面中心付近の明るい画像部分の幅に基づいて前記2つのコーンミラー間の間隙の寸法が設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、容器の搬送中に、底面照明からの拡散光は、容器の底面に入射し、底面を透過して容器内に入射し、容器内に入射した光の一部は、容器内面で反射を繰り返し、液面に到達する。容器内の液面からの光の一部は、容器の首部を透過した後に半径方向外側に進行して略半円環状の2つのコーンミラーのミラー面で反射し、反射光は斜め上方に進行してカメラに入射する。この場合、一方のコーンミラーに容器内の液面の半周部分からの光が入射し、他方のコーンミラーに容器内の液面の残りの半周部分からの光が入射するので、コーンミラー間の間隙があっても、死角となる範囲はなくなる。したがって、カメラで撮影した画像中には、半リング状に繋がった明るい画像部分が左右に形成される。容器内の液面付近に遮光性異物が存在する場合には、画像中では異物は明るい背景の中に暗い影となって映る。画像処理装置により、この暗い影を判別することにより、異物を検出することができる。
本発明によれば、一方のコーンミラーに容器内の液面の半周部分からの光が入射し、他方のコーンミラーに容器内の液面の残りの半周部分からの光が入射するため、2つのコーンミラー間の間隙があっても、死角となる範囲はなくなる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記2つのコーンミラー間の間隙は、搬送される前記容器の首部又は首部から肩部までが通過できる寸法に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、容器を直線搬送しながら、死角なしに容器の液面異物検査が可能となる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記異物が遮光性異物である場合には、前記カメラにより得られた画像中では、反射光による画像部分が明るく、異物による画像部分が暗くなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記異物が透光性異物である場合には、前記カメラにより得られた画像中では、反射光による画像部分と比べて、異物による画像部分が暗くなるか、または周囲よりさらに明るくなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)褐色や黒色等の濃色であって光透過率の低い容器に液体を充填した場合であっても、液面又は液面付近の浮遊異物を単一のカメラで検出することができる。
(2)容器の搬送を行いながら、死角なしに光透過率の低い容器の液面異物検査が可能となる。
(3)容器を回転させずに液面全周の異物検出が可能となるので、搬送装置が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る液面浮遊異物検査装置の基本構成を示す模式的縦断面図である。
図2図2図1のII-II線矢視図である。
図3図3は、本発明に係る二つ割りのコーンミラーを備えた液面浮遊異物検査装置の基本構成を示す模式的縦断面図である。
図4図4図3のIV−IV線矢視図である。
図5図5は、図9(b)に示す画像から図9(b)における両矢印の範囲を特定した模式図である。
図6図6は、容器の側方に、二つ割りのコーンミラーを配置し、円弧状範囲(太い両矢印部分)をコーンミラーの間の間隙の位置に対応させた場合の構成図の一部である。
図7図7は、容器内の液面の全周からの光をコーンミラーに入射させることができる構成を備えた本発明に係る液面浮遊異物検査装置を示す模式的縦断面図である。
図8図8図7のVIII-VIII線矢視図である。
図9図9(a)は、光透過率の高いガラス壜の液面の画像を示す図であり、図9(b)は光透過率の低いガラス壜の液面の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る液面浮遊異物検査方法及び装置の実施形態について図1乃至図8を参照して説明する。図1乃至図8において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る液面浮遊異物検査装置の基本構成を示す模式的縦断面図である。図2図1のII-II線矢視図である。図1に示すように、容器1は、褐色や黒色等の濃色で光透過率の低いガラス壜からなっており、容器1内には飲料等の液体Lが充填されている。容器1の下方には、容器1内を容器底面側から照明する底面照明2が配置されている。底面照明2は、容器底面よりやや大きい面積をもった円板状の照明であり、多数のLEDを配列することにより構成されている。底面照明2は、容器1に拡散光を投光し、投光された拡散光は容器1の底面を透過して容器1内に入射するようになっている。
【0021】
容器1の上方には、CCDカメラ3が配置されている。すなわち、容器1を挟むように、底面照明2とCCDカメラ3とが配置されている。CCDカメラ3の光軸3xは、容器1の軸心1xと概略一致している。CCDカメラ3は、画像を処理する画像処理装置(図示せず)に接続されている。また、容器1の外周側には、容器1の首部1nを囲むようにコーンミラー4が配置されている。コーンミラー4は、円環状部材からなり、内周側に逆円錐面状のミラー面4mを備えている。逆円錐面状のミラー面4mは、逆円錐面の中心からの下端の半径がR1,上端の半径がR2に設定されている。
【0022】
図1および図2に示すように、容器1の首部1nの全周はコーンミラー4のミラー面4mにより囲まれている。逆円錐面状のミラー面4mは、水平面に対して所定の角度(θ)だけ傾いて形成されており、ミラー面4mの中央部は水平方向において容器1内の液体Lの液面Leと概略一致している。前記傾斜角(θ)は、およそ40°〜60°に設定されている。
【0023】
次に、図1および図2に示すように構成された液面浮遊異物検査装置の作用を説明する。
底面照明2からの拡散光は、容器1の底面1aに入射し、底面1aを透過して容器1内に入射する。容器1内に入射した光の一部は、容器内面で反射を繰り返し、液面Leに到達する。なお、この反射の過程で、一部の光は容器1の内面で吸収される。容器1内の液面Leからの光の一部は、容器1の首部1nを透過した後に半径方向外側に進行してコーンミラー4のミラー面4mで反射し、反射光は斜め上方に進行してCCDカメラ3に入射する。この場合、容器1内の液面Leからの光は、逆円錐面状のミラー面4mの全周に入射するので、ミラー面4mには液面がリング状に光って写ることになる。
【0024】
コーンミラー4を使用しないで容器1内の液面Leの側方に配置されたCCDカメラで一方向から撮影した場合には、図9(b)に示すように、液面の中心付近の一部分(図9(b)において両矢印の範囲)のみ明るい画像部分になる。しかしながら、図1および図2に示すように、コーンミラー4を使用することにより、容器1内の液面Leを液面Leの水平面上にある容器外周の法線方向(以下、単に法線方向という)から容器の全周に亘って観察する撮像系になり、ミラー面4mには液面がリング状に光って写ることになる。すなわち、ミラー面4mには、図9(b)に示す両矢印の明るい範囲が円周方向にリング状に繋がって光る。したがって、CCDカメラ3で撮影した画像中には、リング状に繋がった明るい画像部分が形成される。
容器1内の液面付近に遮光性異物が存在する場合には、画像中では異物は明るい背景の中に暗い影となって映る。画像処理装置により、この暗い影を判別することにより、異物を検出することができる。
【0025】
図1および図2に示す液面浮遊異物検査装置においては、コーンミラー4が容器1の首部1nおよび肩部1sの上部の全周を取り囲んでいるため、容器1の搬送中に検査を行うことができない。近年、食品衛生管理上の観点から、日本酒や栄養ドリンク等の飲料を充填したガラス製の容器について、飲料に混入した異物を作業員の目視によらず自動的に検出することができる検査装置の需要が増加している。この場合、検査装置は、搬送機構により容器を搬送中に容器内の液面に浮遊した異物を高速(例えば、1000BPM(本/分)以上等)で検査を行うことが要求される。次に、このように容器の搬送中に検査を行うことができる液面浮遊異物検査装置について説明する。
【0026】
本発明者らは、図1および図2に示す液面浮遊異物検査装置を基本構成として、容器搬送を行うために円環状のコーンミラー4を切断して二つ割りのコーンミラーによって容器1の首部1nおよび肩部1sの上部が通過できる間隙を形成することを試みた。
図3および図4は、図1および図2に示すコーンミラー4を切断して二つ割りのコーンミラー4A,4Bを作成し、この二つ割りのコーンミラー4A,4Bを使用することにより容器を直線搬送しながら液面浮遊異物の検査を行うことができる検査装置を構成した例を示す図である。図3は液面浮遊異物検査装置の基本構成を示す模式的縦断面図であり、図4図3のIV−IV線矢視図である。
【0027】
図3に示すように、液面浮遊異物検査装置は、容器1を直線搬送する左右一対の搬送ベルト11,11を備えており、容器1は1対の搬送ベルト11,11により胴部が狭持された状態で紙面と直交する方向に搬送されるようになっている。搬送ベルト11,11は、搬送方向の前後に設けられた一対のプーリ(図示せず)にそれぞれ巻回されており、プーリが回転することにより、搬送ベルト11,11はガラス壜1を挟持した状態で同一速度で走行するようになっている。
【0028】
図3および図4に示すように、容器1の外周側には、容器1の首部1nを左右から囲むように二つ割りのコーンミラー4A,4Bが配置されている。コーンミラー4A,4Bは、それぞれ略半円環状部材からなり、内周側に半逆円錐面状のミラー面4mA,4mBを備えている。2つのコーンミラー4A,4Bの間には、容器1が搬送ベルト11,11によりA方向に直線搬送可能なように、間隙d1,d1が形成されている。この間隙d1は、容器1の首部1nおよび肩部1sの上部が余裕をもって通過できる範囲に設定されている。2つのコーンミラー4A,4Bは、図1および図2に示すコーンミラー4から間隙d1,d1が形成されるようにしたものである。すなわち、コーンミラー4A,4Bのミラー面4mA,4mBは、半逆円錐面の中心からの下端の半径がR1,上端の半径がR2に設定されている。そして、両コーンミラー4A,4B間に間隙d1,d1が形成されている。半逆円錐面状のミラー面4mA,4mBは、それぞれ水平面に対して所定の角度(θ)だけ傾いて形成されており、ミラー面4mA,4mBの中央部は水平方向において容器1内の液面Leと概略一致している。前記傾斜角(θ)は、およそ40°〜60°に設定されている。容器1の下方に底面照明2が配置されていることは、図1に示す検査装置と同様である。
【0029】
次に、図3および図4に示すように構成された液面浮遊異物検査装置の作用を説明する。
容器1の搬送中に、底面照明2からの拡散光は、容器1の底面1aに入射し、底面1aを透過して容器1内に入射する。容器1内に入射した光の一部は、容器内面で反射を繰り返し、液面Leに到達する。なお、この反射の過程で、一部の光は容器1の内面で吸収される。容器1内の液面Leからの光の一部は、容器1の首部1nを透過した後に半径方向外側に進行して二つ割りのコーンミラー4A,4Bのミラー面4mA,4mBで反射し、反射光は斜め上方に進行してCCDカメラ3に入射する。この場合、容器1内の液面Leからの光は、二つ割りのコーンミラー4A,4Bの半逆円錐面状のミラー面4mA,4mBに入射するが、コーンミラー4A,4Bの間には、間隙d1,d1が形成されてミラーのない部分があるため、死角となる範囲De,Deができてしまう。したがって、この死角となる範囲Deに浮遊異物が存在する場合には、異物は映らないので検出することはできない。
【0030】
本発明者らは、上記死角となる範囲De,Deを解消するために、コーンミラーを使用しないで容器1の側方に配置されたCCDカメラで液面Leを一方向から撮影した場合の画像(図9(b)参照)に着目し、以下のような解析を行った。すなわち、容器1内の液面LeをCCDカメラで一方向から撮影すると、図9(b)に示すように、液面の中心付近の一部分(図9(b)において両矢印の範囲)が明るい画像部分になる。CCDカメラは図9(b)の画像の手前側に配置されている。この場合、図9(b)における両矢印の範囲の中点に着目すると、この中点の明るい点は、容器からCCDカメラ(容器の手前側に位置する)に入射する明るい光のうち、容器外周の法線方向(完全な法線方向と称す)の光に相当するものである。図9(b)における両矢印の範囲は前記中点から左右に所定の幅があるため、完全な法線方向から左右にずれた位置からの光もCCDカメラに入射して明るい画像部分を形成していることがわかる。
【0031】
次に、図9(b)中の両矢印の範囲が容器の外周のどの範囲に対応するかについて、図9(b)に示す画像から検討した結果を説明する。図5は、図9(b)に示す画像から図9(b)における両矢印の範囲を特定した模式図である。図5に示すように、図9(b)に示す画像から容器の液面で水平断面をとって容器1の外周OCを描き、この容器の外周OC上に図9(b)中の両矢印の範囲と等しい円弧状範囲Aを描く。この円弧状範囲Aは、容器1の軸心1xを中心とする角度範囲と云い換えることもできる。
【0032】
図6は、容器1の側方に、二つ割りのコーンミラー4A,4Bを配置し、前記円弧状範囲A(太い両矢印部分)をコーンミラー4A,4Bの間の間隙の位置に対応させた場合の構成図の一部である。図6において、一方のコーンミラー4Aに容器1内の液面Leの半周部分からの光が入射し、他方のコーンミラー4Bに容器1内の液面Leの残りの半周部分からの光が入射すれば、コーンミラー4A,4B間の間隙があっても、死角となる範囲はなくなる。この場合、図6に示すように、前記円弧状範囲Aを左右の2つに分割した円弧状範囲(1/2)A,(1/2)Aを想定し、左側のコーンミラー4Aに左側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光が入射するようにコーンミラー4Aを配置し、右側のコーンミラー4Bに右側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光が入射するようにコーンミラー4Bを配置すれば、前記円弧状範囲Aの左端eより時計方向の範囲はコーンミラー4Aに入射し、前記円弧状範囲Aの右端eより反時計方向の範囲はコーンミラー4Bに入射することは明らかであり、容器1内の液面Leの全周からの光をコーンミラー4A,4Bに入射させることができる。
【0033】
次に、図6に示すように容器1内の液面Leの全周からの光をコーンミラー4A,4Bに入射させることができる構成を備えた検査装置を図7および図8を参照して説明する。
図7は、容器1内の液面Leの全周からの光をコーンミラー4A,4Bに入射させることができる構成を備えた本発明に係る液面浮遊異物検査装置を示す模式的縦断面図であり、図8図7のVIII-VIII線矢視図である。
【0034】
図7および図8に示す検査装置は、図3および図4に示すコーンミラー4A,4Bを矢印B,Bに示すように互いに接近させ、2つのコーンミラー4A,4Bの間の間隙d2,d2を小さくしたものである。すなわち、d2>d1である。この間隙d2は、容器1の首部1nおよび肩部1sの上部が支障なく通過できる範囲の最小限に設定されている。このように、2つのコーンミラー4A,4Bの間の間隙d2,d2を小さくすることにより、図6に示す前記円弧状範囲Aを想定すると、左側のコーンミラー4Aに左側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光を入射させ、右側のコーンミラー4Bに右側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光を入射させることができる。
【0035】
図8は、容器1内の液面Leからの光のうち、完全な法線方向から左右にずれた位置からの光がコーンミラー4A,4Bの両端に入射することを示している。この場合、円弧状範囲A図6に示す)の中点(1/2)Aからの光が少なくとも両コーンミラー4A,4Bの端部に入射するように、コーンミラー4A,4B間の間隙d2,d2を設定することが必要である。勿論、図8に示すように、前記中点(1/2)Aより右側の位置から左側のコーンミラー4Aに入射し、前記中点(1/2)Aより左側の位置から右側のコーンミラー4Bに入射するように前記間隙d2,d2を設定してもよい。
【0036】
図7および図8に示す検査装置における底面照明2、CCDカメラ3および搬送ベルト11の構成は、図3および図4に示す検査装置のものと同様である。
前記二つ割りのコーンミラー4A,4Bは、容器1の首部1nおよび肩部1sの上部を取り囲むことができる内径を有していればよいが、この内径が小径の場合、2つのコーンミラー4A,4Bを互いに接近させても、死角となる範囲ができてしまう(残ってしまう)という欠点があり、大径の場合、検査上の影響は無いが、コストおよび設置スペースにおいて不利である。例えば、容器1の首部1nの直径を概略40mmとすると、コーンミラー4A,4Bの内径(コーンミラー4A,4Bを接近させる前の)は、200mm〜250mmが好ましい。
【0037】
図7および図8に示す検査装置によれば、図6に示す前記円弧状範囲Aを想定すると、左側のコーンミラー4Aに左側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光を入射させ、右側のコーンミラー4Bに右側半分の円弧状範囲(1/2)Aからの光を入射させることができる。前記円弧状範囲Aの左端eより時計方向の範囲はコーンミラー4Aに入射し、前記円弧状範囲Aの右端eより反時計方向の範囲はコーンミラー4Bに入射することは明らかであり、容器1内の液面Leの全周からの光をコーンミラー4A,4Bに入射させることができる。したがって、CCDカメラ3で撮影した画像中には、半リング状に繋がった明るい画像部分が左右に形成される。容器1内の液面付近に遮光性異物が存在する場合には、画像中では異物は明るい背景の中に暗い影となって映る。画像処理装置により、この暗い影を判別することにより、異物を検出することができる。
【0038】
図7および図8に示す検査装置においては、略半円環状の2つのコーンミラー4A,4Bを互いに接近させることにより、死角となる範囲を無くすようにしたが、図1および図2に示す円環状のコーンミラー4から間隙d1,d1に相当する部分を削除したコーンミラー4A,4Bを使用してもよい。
【0039】
上述した実施形態においては、遮光性異物を撮像する場合を例示したが、液面又は液面付近に透光性異物がある場合も撮像することができる。この場合、透光性異物は、液面が明るくなった画像部分と比べて、異物内部の屈折により暗い画像部分として映るか、または集光効果によりさらに明るい画像部分として映る。
さらに、検出対象の異物によっては、カラーCCDカメラを用いてもよい。異物が薄い黄色などの場合には、コントラストの違いでの判別が困難であるため、白黒カメラよりもカラーカメラが有効である。また、照明の色、明るさを適宜調整することなども背景と異物の間にコントラストをつけるために有効である。
また、容器を搬送する搬送機構として一対の搬送ベルトにより直線搬送する場合を例示したが、搬送機構は容器を円形軌道に沿って搬送するスターホイールであってもよい。
【0040】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
1a 底面
1n 首部
1s 肩部
2 底面照明
3 CCDカメラ
4,4A,AB コーンミラー
4m,4mA,4mB ミラー面
11 搬送ベルト
d1,d2 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9