(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724073
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】補償機能付き電圧制御発振器およびこれを用いた電子鍵盤楽器
(51)【国際特許分類】
H03B 5/04 20060101AFI20150507BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
H03B5/04 F
G10H1/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-48327(P2011-48327)
(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公開番号】特開2012-186656(P2012-186656A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100105810
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達也
【審査官】
鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−204891(JP,A)
【文献】
特開平02−139599(JP,A)
【文献】
特開平10−224336(JP,A)
【文献】
特開2001−024486(JP,A)
【文献】
特開昭63−170698(JP,A)
【文献】
特開平08−102659(JP,A)
【文献】
特開2008−072257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/04
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電圧の大きさに応じた高さの周波数の信号を出力する電圧制御発振器と、
前記電圧制御発振器の出力を入力するとともに、自身の出力を前記電圧制御発振器に対する供給電圧となるように構成された制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
複数種類の電圧を前記電圧制御発振器に供給してその複数種類の電圧に対する前記電圧制御発振器の出力信号の夫々の周波数を検出して、横軸を電圧(v)とし縦軸を周波数(f)とした場合の直線である「f=a・v+b(aは傾き、bは切片)」の係数(a、b)を求める係数決定部と、
この係数決定部で求めた係数を用いて、前記電圧制御発振器からの出力信号の周波数が「Fo」となる電圧「Vo」を、「Vo=(Fo−b)/a」なる演算式によって求める演算部と、
この演算部によって求めた電圧(Vo)を前記電圧制御発振器に供給する電圧供給部と、を含んで成り、
前記係数決定部は、
縦軸周波数、横軸電圧としてこの横軸を複数の区間に分けた場合のそれぞれの区間毎に、係数の組(a、bの組)を求める手段であり、
前記制御手段は、
前記複数の区間において、前記周波数が「Fo」となる前記電圧「Vo」となる区間を選定し、この選定した区間に属する係数の組をそれぞれ求め、求めた係数を前記係数決定部が求めた係数として、前記演算部に与えることを特徴とする補償機能付き電圧制御発振器。
【請求項2】
請求項1に記載の補償機能付き電圧制御発振器において、
前記制御手段からの制御信号に応じて、前記係数決定部が作動している間は、前記電圧制御発振器の後段側に前記電圧制御発振器の出力信号が伝達しないようにすると共に、前記係数決定部の動作が完了して前記係数を決定し終えると前記電圧制御発振器の後段側に前記電圧制御発振器の出力信号を伝達可能とするスイッチング部を更に備えたことを特徴とする補償機能付き電圧制御発振器。
【請求項3】
請求項1および2の内のいずれか一項に記載の補償機能付き電圧制御発振器を含み、
前記周波数「Fo」を鍵盤部の押鍵操作に応じて与えるように構成した電子鍵盤楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御発振器(VCO)の補償技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)は、供給される電圧の大きさに応じて、出力される信号の周波数の高さを変化させるための発振器であり、シンセサイザーのモジュール等に利用されている。そして、このVCOの「周波数−電圧特性」は温度等によって変化するので温度補償を行った装置が提案されていた。例えば、温度に対する周波数偏差が2次の多項式で近似される、VCOを構成するSAW共振子において、その多項式の頂点温度、温度係数、および周波数偏差の各パラメータ値を予め実験等で求めて記憶装置に記憶しておく。そして、マイクロコンピュータが、VCOの発振動作時に、VCOを構成するSAW共振子の温度を温度センサで検出して、この検出温度と記憶装置に記憶されている頂点温度、温度係数および周波数偏差の各パラメータ値とを読み出し、上述した2次の多項式から周波数偏差を求める。そして、この求めた周波数偏差から発振器の温度補償に必要な電圧信号レベルを算出し出力してVCOに供給し温度補償を実現するものが提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−124736号公報(第3−5頁、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成で温度補償を行う場合、VCOを構成するSAW共振子の温度を検出する温度センサが必須となり装置規模が大きくなる。また、温度センサ自体に個別の性能ばらつきがある。これを補償する術は開示されておらず、仮に、その術があったとしても装置規模が一層大きくなってしまうという問題があった。更に、記憶装置には予め複数種類のパラメータを記憶させておかなければならない。また、この複数種類のパラメータは実験によってしかもVCO個別に求めるため、製品化時の製造工数が多くなってしまい、その結果、製造コストが高くなってしまうといった問題等もあった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で、VCOそのものを利用して個々のVCOの温度補償を行うことが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、供給される電圧の大きさに応じた高さの周波数の信号を出力する電圧制御発振器(10)と、
前記電圧制御発振器(10)の出力を入力するとともに、自身の出力を前記電圧制御発振器(10)に対する供給電圧となるように構成された制御手段(20)と、を備え、
前記制御手段(20)は、
複数種類の電圧を前記電圧制御発振器(10)に供給してその複数種類の電圧に対する前記電圧制御発振器(10)の出力信号の夫々の周波数を検出して、横軸を電圧(v)とし縦軸を周波数(f)とした場合の直線である「f=a・v+b(aは傾き、bは切片)」の係数(a、b)を求める係数決定部(ステップS200、ステップS210、ステップS220)と、
この係数決定部で求めた係数を用いて、前記電圧制御発振器からの出力信号の周波数が「Fo」となる電圧「Vo」を、「Vo=(Fo−b)/a」なる演算式によって求める演算部(ステップS300、ステップS310)と、
この演算部によって求めた電圧(Vo)を前記電圧制御発振器に供給する電圧供給部(ステップS320)と、を含んで成り、
前記係数決定部は、
縦軸周波数、横軸電圧としてこの横軸を複数の区間に分けた場合のそれぞれの区間毎に、係数の組(a、bの組)を求める手段であり、
前記制御手段は、
前記複数の区間において、前記周波数が「Fo」となる前記電圧「Vo」となる区間を選定し、この選定した区間に属する係数の組をそれぞれ求め、求めた係数を前記係数決定部が求めた係数として、前記演算部に与えることを特徴とするようにした。
【0007】
この発明によれば、先ず、係数決定部が、例えば2種類の電圧を電圧制御発振器(10)に供給してその2種類の電圧に対する電圧制御発振器(10)の出力信号の2種類の周波数(f1、f2)を検出して、横軸を電圧(V)とし縦軸を周波数(f)とした場合の直線である「f=a・V+b(aは傾き、bは切片)」の係数(a、b)を求める。次いで、演算部は、係数決定部で求めた係数を用いて電圧制御発振器(10)からの出力信号の周波数が「Fo」となる電圧「Vo」を「Vo=(fo−b)/a」なる演算式によって求め、電圧供給部が、演算部によって求めた電圧(Vo)を電圧制御発振器(10)に供給するので、「周波数−電圧特性」が温度変化の影響を受けて変化しても、出力信号の周波数を所望のものとすることができる。
また、係数決定部が、縦軸周波数、横軸電圧としてこの横軸を複数の区間に分けた場合のそれぞれの区間毎に、係数の組(a、bの組)を求め、次いで、制御手段が、この複数の区間において、周波数が「Fo」となる電圧「Vo」となる区間を選定し、この選定した区間に属する係数の組をそれぞれ求め、求めた係数を係数決定部が求めた係数として、演算部に与えるように動作を行う。つまり、希望する周波数の信号が出力されるように、希望する周波数が存在する区間に対応する係数(a、b)を用いて、対応する電圧を求めてVCOに電圧供給するので、精度の良い補償が行えるようになる。
【0008】
また、この電圧制御発振器において、制御手段(20)からの制御信号に応じて、係数決定
部が作動している間は、電圧制御発振器(10)の後段側に電圧制御発振器(10)の出力信号が伝達しないようにすると共に、係数決定
部の動作が完了して前記係数を決定し終えると電圧制御発振器(10)の後段側に電圧制御発振器の出力信号を伝達可能とするスイッチング部(15)を更に備えた構成とすれば、温度補償時の不要な音信号の出力を阻止することができる。そして、上記のいずれかの電圧制御発振器を含み、前記周波数「Fo」を鍵盤部(40)の押鍵操作に応じて与えるように構成した電子鍵盤楽器(100)がその応用の一例として提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、素子のばらつき、温度特性による影響を避けることができ、従来、半固定抵抗器や温度センサを用いて行っていた調整が不要となり、簡素な構成で、VCOそのものを利用して個々のVCOの温度補償を行うことが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の主要部を含んだ電子楽器100の構成図である。
【
図2】制御部20が実行する処理(係数決定処理)を説明する説明図である。
【
図3】制御部20が実行する処理(fV計算処理)を説明する説明図である。
【
図5】係数決定処理を模式的に説明する説明図である。
【
図6】係数決定処理の他の態様を模式的に説明する説明図である。
【
図7】タッチパネル式の入力装置の模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態について図面を参照しつつ説明する。以下に、本発明の応用の一例として電子鍵盤楽器100に本発明を適用したものについて述べる。また、本発明は直線性補償の結果として温度補償機能を有するが、温度補償のみならず経年変化、従来個別に調整が必要であったVCOの個別差(製造ばらつき)等の補償をも可能とする。更に、本実施形態においては、2種類の電圧をVCO10に供給して「周波数−電圧特性」を表す直線「f=a・v+b」を求めているが、複数種類例えば3種類以上の電圧をVCO10に供給して最小2乗法を用いて直線「f=a・v+b」を求めるようにしても良い。
【0012】
(構成)
図1は本発明の主要部である温度補償機能付きVCO(電圧制御発振器)10を含んで構成される電子鍵盤楽器100の構成図である。この電子鍵盤楽器100は、供給される電圧の大きさに応じた高さの周波数の信号(例えば鋸歯信号)を出力するVCO10と、VCO10の出力を入力するとともに、自身の出力をVCO10に対する供給電圧となるように構成された制御部20と、VCO10の出力をその後段側に伝達するか否かをスイッチングで制御するスイッチング部15と、このスイッチング部15の後段に接続されて所定の周波数特性を有するフィルター部17と、このフィルター部17の透過信号を増幅するアンプ部18と、このアンプ部18で増幅された信号を放音するスピーカ19とを有している。
【0013】
また、制御部20は、VCO10の出力を信号線32を介して入力すると共に、自身の出力を信号線30を介してVCO10に対して供給する。更に、スイッチング部15のオン・オフ制御は信号線34を介して、制御部20からの制御信号で行われるように構成されている。
【0014】
そして、制御部20は、後に説明するようにして求めた係数(a、b)を保持する係数保持部22と、テーブル400等を格納するテーブル格納部24とを有していて、更に、鍵盤部(例えば88個の鍵からなる)40からの鍵情報を信号線36を介して受け付ける。
図4は、テーブル格納部24に格納されるテーブル400の説明図である。このテーブル400は、ノート番号とこれに対応するピッチ(周波数)とを対応付けて登録したものである。具体的には、ノート番号「N1、N2、…、Nm」の夫々に対してピッチ(周波数)「P1、P2、…、Pm」が対応付けられている。この対応は指数関数であるので、指数関数を用いることもできる。
【0015】
そして、鍵盤部40の内のいずれかの鍵を押鍵すると、押鍵されたことと、そのノート番号とを含む鍵情報が信号線36を介して制御部20に送られる。これに応答して、制御部20は、押鍵された鍵のノート番号を把握し、テーブル400を参照して、対応するピッチ(周波数)を把握する。かくして、制御部20は、鍵盤部40の押鍵操作によって、どのようなピッチ(周波数)の信号をVCO10から出力させるべきかを判断できる構成となっている。
【0016】
(動作)
次に、
図2、
図3、
図4および
図5を参照して動作の説明を行う。先ず、
図2の係数決定処理について説明する。なお、
図2、
図3等の具体的な処理を実行するのは制御部10である。また、この係数決定処理を行う前には、制御部20はスイッチング部15にオフ制御信号を与える。これにより、スイッチング部15はオフ状態となり、VCO10の出力信号は、VCO10の後段側(フィルター部17側)には伝達しないので不要な音信号の出力が阻止できる。
【0017】
さて、
図2のステップS200において、制御部20は、VCO10に対して信号線30を介して電圧「V1」を供給し、その際のVCO10の出力信号を信号線32を介して入力しその周波数「f1」を計測する。次いで、ステップS210において、同様に、制御部20はVCO10に対して信号線30を介して電圧「V1」とは異なる電圧「V2」を供給し、その際のVCO10の出力信号を信号線32を介して入力しその周波数「f2」を計測する。そして、ステップS220において、「a=((f2−f1)/(V2−V1))、b=((f1・V2−f2・V1)/(V2−V1))」なる式で係数a、bを求める。そして、ステップS230において、求めた係数a、bを係数保持部22に記憶保持させる。この係数記憶保持が完了すると、制御部20は信号線34を介してスイッチング部15にオン制御信号を与える。これにより、スイッチング部15がオン状態となり、VCO10の出力信号は、VCO10の後段側(フィルター部17側)にも伝達可能となる。
【0018】
ここで、横軸を電圧(v)とし縦軸を周波数(f)とした場合の直線である「f=a・v+b(aは傾き、bは切片)」の係数(a、b)が求まることになる。
図5はこの様子を模式的に説明した説明図である。2点の電圧「V1、V2(V1<V2)」(この例ではV1=1(V)、V2=2(V))に対応する2種類の周波数「f1、f2(f1<f2)」が分かると、「f=a・v+b」なる直線の傾き「a」と切片「b」とが求めることができるため、このVCO10の「周波数−電圧特性」が分かることになる。
【0019】
なお、
図5においては、直線L1と直線L2とが、温度変化、製造バラつき、経年変化等で変動する直線の下限と上限とを示しており、斜線で示した領域内に存在する直線が求まれば良いことを示している。
図5では
図2に示す演算によって求めた直線Laを右肩上がりの直線(実線で図示)で図示している。
【0020】
次いで、
図3に示す処理に移行する。制御部20は、鍵盤部40の押鍵操作によって送られてきた鍵情報を把握し、鍵情報に含まれる押鍵された鍵のノート番号を把握し、このノート番号に対応するピッチ(周波数Fo)を、テーブル格納部24に格納されているテーブル400を参照して把握する(ステップS300)。次いで、先に求めた「周波数−電圧特性」を示す直線「f=a・v+b」を変形した「v=(f−b)/a」なる式に周波数「Fo」を代入して(係数a、bは係数保持部22から読み出す)、VCO10に供給する電圧「Vo」を求める(ステップS310)。具体的には「Vo=(Fo−b)/a」となる。そして、ステップS320において、制御部10は信号線30を介して電圧「Vo」をVCO10に供給する。
【0021】
以上説明してきた本発明の実施形態によれば、制御部20は、2種類の電圧(V1、V2)をVCO10に供給してその2種類の電圧(V1、V2)に対するVCO10の出力信号の2種類の周波数(f1、f2)を検出して、横軸を電圧(V)とし縦軸を周波数(f)とした場合の直線である「f=a・V+b(aは傾き、bは切片)」の係数(a、b)を求める。次いで、制御部20は、VCO10からの出力信号の周波数が「Fo」となる電圧「Vo」を「Vo=(Fo−b)/a」なる演算式によって求める。そして、求めた電圧「Vo」を電圧VCO10に供給するので、「周波数−電圧特性」が温度変化等の影響を受けて変化しても、出力信号の周波数を所望のものとすることができる。
【0022】
なお、この手法によれば、温度変化のみならず製造バラつき、経年変化等をも補償したVCO10を実現することができる。また、以上説明してきたものは2種類の電圧に対する2種類の周波数を求めて「周波数−電圧特性」を表わす直線を求めるものであったが、3種類以上の電圧に対する3種類以上の周波数を求め、例えば最小2乗法等で「周波数−電圧特性」を表わす直線を求めることも可能である。
【0023】
なお、2点だけでの電圧、周波数で求めた「傾き、切片」を使用する場合、誤差が生じる場合がある。
図6は点線でその場合の直線を示したものである。このような場合には「折れ線近似」を行うようにすれば良い。具体的には、
図6に示す例では、「傾き、切片」を求める領域を4つの区間に分けており、「電圧V1、V2」とこれに対応する周波数「f1、f2」から「周波数−電圧特性」を表わす直線La(傾きa1、切片b1)を求め、「電圧V2、V3」とこれに対応する周波数「f2、f3」から「周波数−電圧特性」を表わす直線Lb(傾きa2、切片b2)を求める。
【0024】
また、「電圧V3、V4」とこれに対応する周波数「f3、f4」から「周波数−電圧特性」を表わす直線Lc(傾きa3、切片b3)を求め、そして、「電圧V4、V5」とこれに対応する周波数「f4、f5」から「周波数−電圧特性」を表わす直線Ld(傾きa4、切片b4)を求める。そして、希望する周波数の信号が出力されるように、希望する周波数が存在する区間に対応する係数「傾き、切片」を用いて対応する電圧を求めてVCO10に電圧供給する。例えば、希望する周波数が8400(Hz)であれば、式Lcの「傾きa3、切片b3」を利用し、「V=(f−b3)/a3」なる式により、VCO10への供給電圧が決定される。このように、細かく電圧(周波数)区間に分けて「周波数−電圧特性」を表わす直線を求めるようにすれば、より精度の良い補償が行えることになる。
【0025】
なお、
図1に示す例では電子鍵盤楽器100の構成を例に取って説明したため入力装置として鍵盤部40を有した構成となっている。これとは別の入力装置としては、例えば、図
7に示すように、平図形状が横長の長方形状の表示装置200の表示エリアの基準点(例えば左下部)からの指220によるタッチしながら擦る操作の擦った長さ(
図8では点線で図示している)に応じた音程情報と、タッチした状態でオン(ON)となり、タッチしない状態でオフ(OFF)となるオン・オフ情報(ON・OFF情報)が制御部20に送られるようにする。そして、制御部20はこの音程情報に応じた周波数を検出し、検出した周波数を出力するように、VCO10に電圧供給を行うようにしたタッチパネル式の発音装置等にも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明してきたように、本発明は例えば電子鍵盤楽器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 VCO(電圧制御発振器)
15 スイッチング部
17 フィルター部
18 アンプ部
19 スピーカ
20 制御部
22 係数保持部
24 テーブル格納部
30 信号線
32 信号線
34 信号線
36 信号線
40 鍵盤部
100 電子鍵盤楽器
400 テーブル