(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記面発光体が、フイルム状基材上に、20mm〜50mmの範囲で同じ間隔の碁盤格子状に20〜250個配設されて電気的に接続された発光角度が100°〜120°であるLEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットから構成される、請求項1記載の内照式スタンド看板。
【背景技術】
【0002】
街頭で広告宣伝等に使用される内照式スタンド看板は、発光体として蛍光灯が用いられる場合が多く(特許文献1)、その場合、蛍光灯を内蔵した広告表示部分(電飾看板部分)が厚くなり(例えば、厚さが約200mm程度)、その結果、宣伝効果に直結する見栄えが優れず、また看板全体として重くなるため、作業者が一人で作業する場合の取り扱い性が悪いものと考えられる。作業者が一人で、特に困難なく運搬や据え付けが出来るか否かは、些末なことのようでもあるが、少子高齢化が高スピードで進む近年、現実には重要で切実な問題である。
【0003】
一方、省エネルギーが要請される近年、基材上にLEDチップを3、4個配設し、電気的に接続してなるものを一の単位(1ユニット、いわゆるモジュール化)とし、必要により複数ユニットを発光体として用いた看板の製品も知られている。しかし係る製品は、本願発明における「碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットから構成された発光体」を用いていないためと思われるが、発光体を内蔵した広告表示部分の表面照度を均一にするには、やはり、広告表示部分の厚さは相当程度必要であった(例えば約200mm程度)。
【0004】
更に、特許文献1の看板は、基台に内蔵したバッテリを電源とする旨記載されているが、バッテリに充電するための電源コードを備えていることから、充電する場合は、例えば、テナントビルの中高層階の店内やその他固定された給電設備がある場所まで、看板全体を運ぶ必要があるという点で不便であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術に鑑みて、広告表示部分が薄くて見栄えが良く、また、看板全体が重いことによる取り扱い性の悪さが軽減され、更に、光源に電源を供給するための蓄電池に充電する際に電源コードを必要としない点で便利な、内照式スタンド看板を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]面発光体を備えた表示部とリチウムイオン電池が着脱自在に収納された電池収納部とを有する内照式スタンド看板であって、前記面発光体が、フィルム状基材上に碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットから構成され、
前記表示部が、表面板と横部材と裏面板とを有する箱状体からなり、前記リチウムイオン電池が、中型パワー用リチウムイオン電池であって前記面発光体の光源用電源とされていることを特徴とする内照式スタンド看板、
[2]前記面発光体が、フィルム状基材上に、20mm〜50mmの範囲で同じ間隔の碁盤格子状に20〜250個配設されて電気的に接続された発光角度が100°〜120°であるLEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットから構成される、前記[1]記載の内照式スタンド看板、
[3]前記表面板の表面と前記面発光体のLEDチップとの間隔
が25mm〜60mmである、前記
[1]又は[2]記載の内照式スタンド看板、
[4]前記中型パワー用リチウムイオン電池が、電動工具、電動バイク及び電動アシスト自転車の何れかに用いることができる電池である、前記
[1]ないし[3]
何れか1に記載の内照式スタンド看板、
[5]前記中型パワー用リチウムイオン電池がマンガン
系リチウム
イオン電池である、前記
[1]ないし[4]何れか1に記載の内照式スタンド看板、
[6]前記中型パワー用リチウムイオン電池がラミネート型である、前記
[1]ないし[5]何れか1に記載の内照式スタンド看板、
[7]前記中型パワー用リチウムイオン電池が、6.5kg未満の質量を有する前記
[1]ないし[6]何れか1に記載の内照式スタンド看板、
に関する。
本発明は、このような構成により以下の効果を奏する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、フィルム状基材上に碁盤格子状に多数配設された広角発光LEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットを面発光体として用いる
とともに、表示部が、表面板と横部材と裏面板とを有する箱状体からなるので、表示部の厚さを薄くすることが可能であり、そのことにより表示部の重さを軽減することが可能となり、また、鉛蓄電池等の他の蓄電池に比べて、同じ電気容量ならば軽量であるリチウムイオン電池(中型パワー用リチウムイオン電池)を使用しているので、内照式スタンド看板全体として、軽量化を達成できる。
また、前記碁盤格子状に多数配設されたLEDチップを用いたユニットを面発光体としている
とともに、表示部が、表面板と横部材と裏面板とを有する箱状体からなるので、表示部表面を均一に照らすことができ、宣伝効果に直結する、表示部に表された文字や絵柄の見栄えが向上すると共に、光源を蛍光灯とする場合に比較して、低消費電力で省エネルギーであり、長寿命である。
【0009】
また、中型パワー用リチウムイオン電池が電池収納部に着脱自在に収納されているので、充電する際に固定電源に接続するための電源コードを必要とせず、固定された給電設備がある場所まで看板全体を運ぶ必要がない点で便利であると共に、近年、多方面に節電が求められる社会環境下、廉価な深夜電力を使用しての充電にも便利である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記碁盤格子状の内容、LEDチップの個数及び発光角度が特定されているので、表示部の厚さを薄くすること、及びそのことにより表示部の重さを軽減することが可能となることや表示部表面を均一に照らすことができる等の点において、請求項1の発明の効果をより確実に奏し得る。
【0011】
請求項
3に記載の発明によれば、表面板の表面と面発光体のLEDチップとの間隔
が25mm〜60mmであるので、薄く且つ表示部表面を均一に照らすことができて、見栄えに優れ宣伝効果の高い内照式スタンド看板を提供することができる。
【0012】
請求項
4に記載の発明によれば、中型パワー用リチウムイオン電池が、電動工具、電動バイク及び電動アシスト自転車の何れかに用いることができる電池であるので、屋外使用環境に対して電池の信頼性が高い内照式スタンド看板を提供することができる。
【0013】
請求項
5に記載の発明によれば、中型パワー用リチウムイオン電池がマンガン系リチウムイオン電池であるので、安価で安全性に優れている電池を使用している点で有利な内照式スタンド看板を提供することができる。
【0014】
請求項
6に記載の発明によれば、中型パワー用リチウムイオン電池がラミネート型であるので、放熱性や実装密度で有利とされる電池を使用している点で有利な内照式スタンド看板を提供することができる。
【0015】
請求項
7に記載の発明によれば、電池収納部に収納された中型パワー用リチウムイオン電池が6.5kg未満の質量を有するものであるので、表示部に備えた面発光体がフィルム状基材上に碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップの上に透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットであることから、表示部の厚さを薄くすること及びそのことにより表示部の重
さを軽減することが可能となることと相俟って、看板全体として軽量化された、内照式スタンド看板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、街頭、店舗前、路上等で広告宣伝等に使用される内照式スタンド看板に関し、製品の高さとしては、通常、子供から大人の背丈程度のものが多い。
【0018】
本発明内照式スタンド看板の構成の概要は、面発光体を備えた表示部とリチウムイオン電池が着脱自在に収納された電池収納部とを有するものである。
前記面発光体に用いられるフィルム状基材とは、フィルムもしくはシートからなる基材を意味し、その材質としては、加工性等の点でプラスチックが好ましく、中でも、耐熱性、耐光性、機械的特性等に優れた、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が好ましい。
【0019】
前記フィルム状基材上に配設される広角発光LEDチップは、発光角度が100°〜120°の範囲で同一であることが好ましく、形状が平面丸型又は角形の表面実装型(SMD型)が好ましい。配設個数は、内照式スタンド看板の通常の大きさから20個以上が好ましい。また、20個〜250個を1ユニットとし、必要により複数ユニット使用すると、配線・取付けを簡便にすることができる点で、好ましい。
【0020】
前記LEDチップを碁盤格子状に配設する場合、20mm〜50mmの範囲で縦・横共に同じ間隔の碁盤格子状にするのが、表示部表面を均一に照らすことを可能にする点で好ましい。最も外側のLEDチップと面発光体の端部との間隔は、LEDチップ同士の間隔の半分であるのが好ましい。
【0021】
フィルム状基材上に多数配設された前記LEDチップを電気的に接続する方法は特に限定されず、先ず、フィルム状基材上に電気配線を形成する。この方法として、例えば、フィルム状基材の片面に、予め導電性銀ペーストをスクリーン印刷することにより適宜のプリント配線をしておき、このプリント配線をフィルム状基材に重ね合わせる如く貼着する方法、金属箔を積層してその金属箔部分をエッチングする方法、及び蒸着により金属薄膜を形成する方法等が挙げられる。
その後、電気配線を形成したフィルム状基材上に、LEDチップを配設する方法としては、ハンダ付けや接着剤等による固定(接合)手法が採用できる。
【0022】
本発明において用いられる面発光体は、フィルム状基材上に碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットである。この被覆用透明プラスチックフィルムの材質としてはポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS等が、機械的強度、耐候性に優れ、加工性が良い点で好ましく、特にポリ塩化ビニルが好ましい。
被覆は、LEDチップと透明プラスチックフィルムの間に隙間が生じないように、LEDチップの外形に充分密着させて行うのが好ましい。密着被覆されていると、隙間から空気が入り込むことを防止できる。このため、空気の膨張によるLEDチップの微動や不均一な乱反射を防止でき、面発光体の見栄えも向上させることができる。
【0023】
面発光体には、フィルム状基材におけるLEDチップと反対側の面(裏側)に、面発光体の安定化、施工性の向上、更に、LEDチップ及び電気的に接続された回路の放熱性を高めるために、粘着剤層を介して厚さ0.4〜
0.6mm程度のアルミ板を設けてもよい。
【0024】
この場合、前記アルミ板と裏面板とを接着剤(粘着剤)を介して接合する。
【0025】
本発明における表示部は、後述する実施例においては、上方に向かう程、電池収納部側に僅かに傾斜した湾曲した箱状体とされているが、これに限られるものではない。本発明の看板は、例えば、外形が平面視長方形の直方体状の電池収納部の上に、電池収納部とは別体からなり、表面板と一対の横部材と裏面板とを有する直方体状箱体で構成された広告表示部が垂直に立設してなるものであってもよい。
【0026】
面発光体のLEDチップと表面板表面との間隔(hとする)は、LEDチップの配設間隔(ピッチ、Lとする)により変化させることが、発散する光をムラなく表面板の表面に拡散させて均一に照らすことができる点で好ましい。
例えば、発光角度が約100°〜120°の範囲で同一で、形状が平面角形の表面実装型(SMD型)のLEDチップを用いた場合で、更にLEDチップのピッチLが37.5mmの場合、hは、所定条件下、約50mm以下とすることができ、Lが25mmの場合、hは、約30mm以下とすることができることを本発明者は確認した。
【0027】
本発明における面発光体が、フィルム状基材上に碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップの上に、透明プラスチックフィルムが被覆されてなるユニットから構成されることにより、表示部の厚さを薄くすることができる点については、理論的・定量的説明が困難な面があるが、後述する実施例において説明する。
尚、表示部の厚さが薄くなれば、それに伴い、表示部を構成する材料が減少する結果、表示部の質量、ひいては本発明の看板の質量が減少することになる。
【0028】
本発明においては、電池収納部に着脱自在に収納されたリチウムイオン電池が前記面発光体の光源用電源とされている。電池収納部は、通常、発光体を備えた表示部と別体として構成されるが、必ずしも面材等で区分されていることは要しない。
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、重量エネルギー密度的には、大凡、鉛蓄電池の1/5以下、ニッカド電池の1/3、の重さで同じエネルギーを放出する事ができるとされているので、同じ電気容量ならば、確実に軽量化を図ることができ、また、小型化も可能である。更に、単電池の公称動作電圧は3.7Vと他の蓄電池(鉛蓄電池の公称電圧は2.0V)と比較して高く、サイクル特性に優れ、メモリー効果がなく、保存特性も良いという特徴を有している。
リチウムイオン電池は、一般に電解質として有機溶媒を用いるが、本発明においては、有機溶媒に変えて、多孔質ポリマーに電解質を含ませてゲル状又は固体状にしたものを用いたリチウムポリマー電池をも、リチウムイオン電池の概念として含むものである。
【0029】
中型パワー用リチウムイオン電池とは、例えば、電動工具、電動バイク又は電動アシスト自転車に用いられ得るリチウムイオン電池をいう。ノートパソコン、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤー、デジタルカメラ等に用いられる小型モバイル用リチウムイオン電池や、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ピュア電気自動車等に用いられる大型パワー用リチウムイオン電池等に対応する概念である。
本発明の内照式スタンド看板の高さは、通常、子供から大人の背丈程度のものが多いので、対応する面積を有し、光源として多数のLEDチップが配設された面発光体の電源として用いるには、小型モバイル用リチウムイオン電池では容量が小さ過ぎ、大型パワー用リチウムイオン電池では容量が大き過ぎる。
【0030】
リチウムイオン電池(組電池)の質量は、小型モバイル用の数十gから、中型パワー用の1kg弱〜10kg強、大型パワー用の100kgを超えるものまで種々知られている。中型パワー用リチウムイオン電池(組電池)としては、電気容量が2.5〜30Ah、電圧が3〜65V、質量が6.5kg未満のものが好ましく用いられる。
本発明においては、電動工具用、電動バイク用及び電動アシスト自転車用のリチウムイオン電池の内でも、特に高出力は要しないが一定の容量を要する電動アシスト自転車用のリチウムイオン電池が好ましく用いられる。この場合は、電気容量が2.5〜20Ah、電圧が3〜55V、質量が6.5kg未満のものが好ましい。
【0031】
リチウムイオン電池製品は、負極材料として炭素
材が用いられ、正極材料としては、コバルト酸リチウムを用いるコバルト系、ニッケル酸リチウムを用いるニッケル系、マンガン酸リチウムを用いるマンガン系に大別される。本発明における中型パワー用リチウムイオン電池としては、安価で安全性に優れている点で、マンガン系リチウムイオン電池が好ましい。
【0032】
また、リチウムイオン電池の形状による種類には、円筒形の巻回型と、積層体を四角い缶に入れた角型と、更に、負極、セパレータ、正極を平面状に重ねた積層体構造のラミネート型があるが、本発明における中型パワー用リチウムイオン電池としては、放熱性や実装エネルギー密度で有利とされるラミネート型が好ましい。ラミネート型の内でも、外装材としてアルミニウムと合成樹脂等をはり合わせたシート構造を採用したアルミラミネート型が、高い放熱性・実装エネルギー密度・長寿命・安全性を兼ね備えている点で好ましい。
【0033】
中型パワー用リチウムイオン電池が、6.5kg未満の質量を有する場合は、通常、高さが、子供から大人の背丈程度である本発明内照式スタンド看板において、全体の質量を約40kg未満に抑えることが容易となり、作業者が一人で運搬・据え付け等の作業をする場合の取り扱い性を改善することができる。
一方、文部科学省の「平成20年度体力・運動能力調査」によると、成人男性(20〜50歳台)の平均握力は44.5〜48kg、60歳台では39〜42kgとされている。殆どがキャスターを備えており、形状や高さも一定ではない内照式スタンド看板の取り扱い性と扱う人の握力との関係は、一概に論じられないものの、内照式スタンド看板の質量が約40kg以上になると、実際上、作業者が一人で運搬・据え付け等の作業をする場合の取り扱い性が著しく悪くなるとされていることと、前記握力のデーターとは何らかの関係があると考えられる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は部材とその関係を概念的に描いたもので、必ずしも実物を細部に亘って厳密に描いたものではない。
図1の(a)は表面板1の一部を破断した、内照式スタンド看板2の正面図であり、(b)は、表示部3のみを概念的断面で現した、看板2の側面図である。
表示部3の下方側には電池収納部4が設けられ、(b)に示すように、上方に向かう程、電池収納部4側に僅かに傾斜した湾曲した形状とされており、看板2全体の高さは、キャスター20を含め、1535mmである。
【0035】
面発光体5は、45cm×45cmをユニットとする発光体であり、縦に3枚接続されて全体の面発光体が構成されている。従って全体の表面積は0.61m2であり、LEDチップ6を全体で432個(各ユニット144個)使用している。
LEDチップ6としては、発光角度(いわゆるビュー角)が約110度で形状が平面角形の表面実装型(SMD型)(日亜化学工業社製NSSW100D、白色)を用いたが平面丸型であってもよい。
【0036】
この例において、面発光体5は、LEDチップ6の縦・横の間隔が、大凡37.5mm程度であり、それぞれプリント配線7(
図2)で接続されている。
電動アシスト自転車用リチウムイオン電池8は、電池収納部4の所定位置に収納されており、電池8と、面発光体5のコード9とを、差し込み口10を介して接続することにより、直流電力を面発光体5に供給することができる。なお、24は定電流回路である。
【0037】
電池8としては、アルミラミネートシートを外装材とするアルミラミネート型であって、正極材料としてマンガン酸リチウムを用いたリチウムイオン電池を用いた(エレクセル株式会社製、電動アシスト自転車用、電気容量12Ah、電圧48V、質量6.15kg、サイズ87×126×465mm)。なお、11は電池8の取り出し・運搬に便利な取手、12はスイッチである。また、看板2の幅は、鉄製横部材13を含め500mmであり、電池収納部4の奥行外寸(表示部3の下部の表面材1を計測開始点とした)は約50cmである。
【0038】
図2は、
図1に用いた面発光体5を取り出して一部を省略した縦断面図である。
LEDチップ6は厚さ80〜110μmの白色PETフィルム(フィルム状基材)14上に、プリント配線7と共に並べられ、LEDチップ6とプリント配線7は、厚さ100μmのポリ塩化ビニルフィルム(透明プラスチックフィルム)15により熱ラミネートされている。ポリ塩化ビニルフィルム15はLEDチップ6の外形に添う形で充分密着被覆されているので、隙間は発生していない。
【0039】
LEDチップ6とプリント配線7とは反対側の面(裏側)に粘着剤層16及びアルミ板17がこの順に設けられている。この面発光体の厚さは約4mm、質量はアルミ板17を含め、全体で約1200gであった。
【0040】
図3は、
図1における表示部の上部の概念的縦断面図であり、表示部3は、表面板1と、一対の横部材13と裏面板19とを有する箱状体から構成されている。横部材13は、裏面板19と一体の鉄製であり、表面側に延設されて断面コ字状に形成されたフレーム23の溝に、表面板1が挿入されており、面発光体5に設けられたアルミ板17は接着剤層(図示せず)を介して裏面板19に貼付されている。
【0041】
面発光体5のLEDチップ6と表面板1の表面との間隔(hとする)は、LEDチップの配設間隔(ピッチ、Lとする)により変化させることが、発散する光をムラなく表面板の表面に拡散させて均一に照らすことができる点で好ましい。
表面板1として、半透明のアクリル系樹脂板、いわゆるアクリル乳半板(厚さ3mm、可視光線透過率49〜60%)を用い、LEDチップのピッチLが37.5mmである前記面発光体5を用いた場合、hは、50mmであった。また、Lが25mmの面発光体を用いた場合、hは、30mmであった。
【0042】
面発光体5が、白色PETフィルム(フィルム状基材)14上に碁盤格子状に多数配設されて電気的に接続された広角発光LEDチップ6の上に、ポリ塩化ビニルフィルム(透明プラスチックフィルム)15が被覆されてなるユニットから構成されることにより、表示部3の厚さ(例えば面発光体5のLEDチップ6と表面板1の表面との間隔h)を薄くすることができる点については、理論的・定量的説明が困難な面があるが、発明者は、現時点で以下の通り考えている。
発光角度が約110度のLEDチップを用いた場合、発光角度の有する意味より、LEDチップ6から発せられた光は、白色PETフィルム(フィルム状基材)14が構成する平面から垂直に、
L/2×tan[(180°−110°)/2]
の間隔を隔てた位置において最大に拡散された状態となる。tan35°は0.7であるので、Lが37.5mmである場合、この値は13.0mmとなり、Lが25mmである場合、約8.8mmとなる。
【0043】
しかし、LEDチップ(素子)は点光源であるので、隣接するLEDチップ(素子)から発せられた光とある程度の重なりがなければ発散光が均一にならず、表面板1の表面側から見た場合に、LEDチップのドットが生じる。
更に、表面板1(アクリル乳半板)の裏面に到達した光は、一部が透過するが一部は反射してポリ塩化ビニルフィルム(透明プラスチックフィルム)15に向かう。これらの事情を考慮して、表面板1の表面に達した光がムラを生じることなく、均一な照度を発揮させるために、Lが37.5mmである場合、hは50mmを必要とし、Lが25mmの場合、hは、30mmを要するのである。
【0044】
従来の、蛍光灯(通常、直径は約30mm程度)を内蔵した看板の場合は、広告表示部分の厚さが約200mm程度必要であったことからすると、前記hは非常に薄いものと言える。
【0045】
また、LEDチップのピッチLが37.5mmである前記面発光体5を用いた場合、内照式スタンド看板2の、リチウムイオン電池8を含めた質量は、38.1kgであった。
比較のために、リチウムイオン電池8の代わりに鉛蓄電池(古河電池株式会社製、FPX12170、電圧12V、質量6kg、容量17Ah20時間率)を用いたところ、2台要した(更に基板型電圧変換器も使用)ので、看板の質量は約44kgと、40kgを超え、一人では取扱い難いものであった。