(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724097
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】キュービクル式高圧受電設備の選定システム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/50 20060101AFI20150507BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20150507BHJP
【FI】
G06F17/50 634Z
G06Q30/06 110A
G06Q30/06 150
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-38213(P2011-38213)
(22)【出願日】2011年2月24日
(65)【公開番号】特開2012-174175(P2012-174175A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】篠原 朗
(72)【発明者】
【氏名】古山 基文
(72)【発明者】
【氏名】小田島 一郎
【審査官】
松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−296562(JP,A)
【文献】
特開2006−107017(JP,A)
【文献】
特開2006−209674(JP,A)
【文献】
特開2012−125010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
G06Q 30/02
G06Q 30/06
G06Q 50/04
H02B 1/00 − 7/08
H02B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収納される電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択を記憶手段と演算手段と選択手段とを備えたコンピュータにより行うキュービクル式高圧受電設備の選定システムであって、
記憶手段には、複数の筐体ごとに、各々、電灯トランスおよび動力トランスを共に収納可能な、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを記録した筐体データベースを格納しておき、
選択手段は、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを収納可能な筐体の一覧をマトリックス状に表示する機能と、
前記表示されたマトリックスにおいて、操作者による所望の前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択入力を受け付けて、前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを筐体と同時に選択する機能とを有し、
演算手段は、
選択した筐体について選択した電灯トランスおよび動力トランスの選択可能範囲を特定する範囲特定ステップと、
選択した電灯トランスまたは動力トランスの何れか一方の容量変更されたとき、記憶手段に格納された筐体データベースにアクセスして、容量変更後の一方のトランスと組み合わせ可能な他方のトランスの選択可能範囲を特定する範囲変更ステップと、
からなることを特徴とするキュービクル式高圧受電設備の選定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュービクル式高圧受電設備の選定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)とは、高圧受電用機器を金属製の箱(キュービクル)内に、納めた受電設備であり、キュービクル内に、取付位置等が定められたトランス等の内部機器を規格品として収納することができるため、工場内での組み立てや顧客の要望に応じた内部機器の組替えが容易であって、受電設備を短納期かつ低予算で配置できるという利点がある。設置場所を取らず、保守点検作業性にも優れる点から、主に、中小規模の工場やビル設備への設置に最適である。
【0003】
一方、各工場やビルごとに、必要となる電灯トランスおよび動力トランスの容量が異なり、トランス容量に応じてトランスの体積も変動するため、キュービクル式高圧受電設備の設計にあたっては、必要な各トランス(電灯トランスおよび動力トランス)容量を計算して、各々のトランスの占有体積を考慮した上で、顧客の要望する仕様の受電設備を提供すべく、これらのトランスおよびその他の付属装置を収納しうる筐体を適切に選択することが求められる。
【0004】
特に、キュービクル用の筐体は、低廉な価格での提供という観点から、予め定められた複数種類の大きさが用意されており、例えば、設備導入を検討する過程で電灯トランスの容量変更する必要が生じた場合には、従来、顧客から連絡を受けた営業担当者が、再び、動力トランスの容量も勘案して、カタログを見ながら顧客の要求に対応する筐体サイズを検討しなおす必要があり、キュービクル式高圧受電設備の選定に際して、時間と手間がかかる問題があった。
【0005】
なお、営業担当者の知識や経験などに依存することなく、顧客の要求に対応する最適な電気機器収納盤を自動的に選定することができる電気機器収納盤のコンピュータによる製品選定システムについては、本出願人の特許文献1に記載されている。しかし、キュービクル式高圧受電設備選定に関し、電灯トランス及び動力トランスの双方を搭載する場合において、トランスの容量変更をした場合における筐体の選択の適否を即座に確認できる技術についての従来文献は、存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4548775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は前記の問題を解決し、一方のトランス変更が生じた際にも、選択した筐体に関して他方のトランスに関する変更可能情報を簡単に入手して即座に確認できるキュービクル式高圧受電設備の選定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明のキュービクル式高圧受電設備の選定システムは、
筐体内に収納される電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択を記憶手段と演算手段と選択手段とを備えたコンピュータにより行うキュービクル式高圧受電設備の選定システムであって、
記憶手段には、複数の筐体ごとに、各々、電灯トランスおよび動力トランスを共に収納可能な、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを記録した筐体データベースを格納しておき、
選択手段は、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを収納可能な筐体の一覧をマトリックス状に表示する機能と、
前記表示されたマトリックス
において、操作者による所望の前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択入力を受け付けて、前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを筐体と同時に選択する機能とを有し、演算手段は、
選択した筐体について選択した電灯トランスおよび動力トランスの選択可能範囲を特定する範囲特定ステップと、
選択した電灯トランスまたは動力トランスの何れか一方の容量変更されたとき、記憶手段に格納された筐体データベースにアクセスして、容量変更後の一方のトランスと組み合わせ可能な他方のトランスの選択可能範囲を特定する範囲変更ステップと、からなる
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキュービクル式高圧受電設備の選定システムは、
筐体内に収納される電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択を記憶手段と演算手段と選択手段とを備えたコンピュータにより行うキュービクル式高圧受電設備の選定システムであって、
記憶手段には、複数の筐体ごとに、各々、電灯トランスおよび動力トランスを共に収納可能な、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを記録した筐体データベースを格納しておき、
選択手段は、電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを収納可能な筐体の一覧をマトリックス状に表示する機能と、
前記表示されたマトリックス
において、操作者による所望の前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせの選択入力を受け付けて、前記電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを筐体と同時に選択する機能とを有し、演算手段は、
選択した筐体について選択した電灯トランスおよび動力トランスの選択可能範囲を特定する範囲特定ステップと、
選択した電灯トランスまたは動力トランスの何れか一方の容量変更されたとき、記憶手段に格納された筐体データベースにアクセスして、容量変更後の一方のトランスと組み合わせ可能な他方のトランスの選択可能範囲を特定する範囲変更ステップと、からなる構成により、所望するトランスの組み合わせと対応する適切な筐体を同時に選択することができる。また一方のトランスの容量変更が生じた際にも、他方のトランスの選択可能範囲を容易に特定することができるので、選択した筐体に関して他方のトランスに関する変更可能情報を簡単に入手して、双方のトランスを収納しうることを即座に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のキュービクル式高圧受電設備の選定システムを表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1に示すように、本発明のキュービクル式高圧受電設備の選定システムは、サーバ1に社内LANまたはインターネットなどの通信手段2を介して顧客やオペレータが操作する端末コンピュータ3が接続されて構成されている。
サーバはCPU等の演算手段4と、ハードディスク等の記憶手段5とを備えたものであり、端末コンピュータは選択手段としてディスプレー等の表示装置6とキーボード、マウス等の入力装置7を備えたものである。このハード構成は本発明に特有のものではなく、上記した各手段としては公知の機器を適宜採用すればよい。また、必ずしも通信手段2を介して端末コンピュータ3をサーバ1に接続する構成をとる必要はなく、端末コンピュータ3のみに本発明の演算装置、記憶装置を設けたものであってもよい。
【0012】
本発明は、端末コンピュータ3に顧客や営業担当者(以下、担当者)必要とする各仕様情報を入力して図面を作成する、キュービクル式高圧受電設備の選択システムに関するものである。担当者はキュービクル内に収納される電灯トランス及び動力トランスの2種類のトランスの容量に対応した筐体を選択する。一般にトランスは容量(kVA)に応じて体積が異なり、容量が大きくなるほど大型化していくため、収納する筐体も大型のものを選択する必要がある。
本実施形態では、筐体は、外形寸法及び収納容量が定まったA〜Fの6タイプの中から選択される。これは説明を簡略化するためであって、実際には非常に多数の箱のデータが集約されていることはいうまでもない。
【0013】
サーバ1の記憶手段5には、筐体ごとに収納可能な電灯トランスおよび動力トランスの組み合わせを記録した筐体データベース8が格納されている。
本実施形態の動力トランスは7種類(20、30、50、75、100、150、200kVA)あり、電灯トランスも7種類(10、20、30、50、75、100、150kVA)ある。
図2はBタイプの筐体に関する筐体データベースであり、縦軸に電灯トランスの容量、横軸に動力トランスの容量を取り、表中に「○」で示す組み合わせのみが収納可能であることを示している。例えば、動力トランス×電灯トランスが「100kVA×100kVA」の場合には、Bタイプの筐体には収納できないので、より大型の筐体を選択する必要がある。
【0014】
本実施形態のキュービクル式高圧受電設備の選定システムにおいて、まず担当者は選択手段として端末コンピュータ3の表示手段6の画面に、
図3に示すように、組み合わせ可能な電灯トランスおよび動力トランスおよび筐体の一覧がマトリックス状に表示された筐体選択画面9から、所望の動力トランスと電灯トランスを収納可能なその交点にある筐体を、入力装置7を使用して選択する。
例えば、動力トランス×電灯トランスが「30kVA×50kVA」のキュービクル式高圧受電設備が必要な場合、筐体は、Bタイプを選択する。コンピュータ画面上で、例えば、動力トランス×電灯トランスが「30kVA×50kVA」の交点にある筐体Bを選択すると、筐体の選択と同時に、動力トランスと電灯トランスの選択も同時に完了する。
なお、筐体選択画面9において、同一タイプの筐体ごとに、マトリックスに着色して区別することが好ましい。
【0015】
なお、筐体選択画面は、
図4に示すように、筐体内で比較的大きなスペースを占める付属装置(例えば、高圧カットアウトPC、直流リアクトルSR等)の有無によって筐体内に収納できるトランスの大きさが異なるため、筐体選択画面9を拡張してマトリックスを表示して、付属装置を含めて選択可能なものとすることもできる。上記についてもサーバ1の記憶手段5の筐体データベース8に筐体ごとに格納されている。
【0016】
筐体が選択されると、
図5に示す、更に詳細な仕様情報を入力可能な詳細設定画面が表示装置6の画面に表示される。担当者は、当該画面において、件名、納入地域、塗装色、屋根タイプ等の基本情報を入力することができる。その他、換気扇の有無、蛍光等の有無等のオプション情報の入力も可能である。なお、動力スイッチまたは電灯スイッチとして選択されるブレーカは、筐体の大きさに応じて取付可能領域が指定され、ブレーカのケースの大きさによって個数が定まるものである。
【0017】
筐体が選択されると、演算手段4は記憶手段5にアクセスして、選択された筐体の筐体データベース8から選択された2種類のトランスの選択可能範囲を特定する(範囲特定ステップ)。
図5に示す例では、動力トランス×電灯トランス「30kVA×50kVA」、筐体Bを各々選択した詳細設定画面10を示している。
この場合において、プルダウン表示される動力トランスの選択可能範囲は(20、30、50、75、100kVA)の5種類であり、電灯トランスの選択可能範囲は(10、20、30、50、75、100kVA)の6種類である。
これは、
図2に示す筐体データベース8に従って、現在選択されている一方のトランスに対応する他方のトランスの選択可能範囲を表示したものである。
すなわち、現在した各トランスの組み合わせは、各容量を示す交点であるから、交点から横軸に示される「○」の範囲を動力トランスの選択可能範囲としてプルダウンリストに表示する。同様に交点より縦軸に示される「○」の範囲を電灯トランスの選択可能範囲として表示する。
【0018】
入力者は、詳細設定画面10において、電灯トランスの欄11または動力トランスの欄12にプルダウン表示される選択可能範囲内で、何れか一方のトランスの容量変更を行うことができる。
演算手段4はトランスの容量変更がされたとき、記憶手段5の筐体データベース8にアクセスして、容量変更後の一方のトランスと、組み合わせ可能な、他方のトランスの選択可能範囲を特定する(範囲変更ステップ)。
例えば、動力トランスを異なるトランスに変更した場合には、演算手段4は筐体データベース8にアクセスして、対応する電灯トランスの選択可能範囲を筐体データベース8に従って特定する。
図5に示す例では、動力トランス×電灯トランス「30kVA×50kVA」、筐体Bを各々選択した画面を示しているが、一方のトランスとして動力トランスのプルダウン表示から50kVAに変更すると、これに連動して、他方のトランスである電灯トランスの選択可能範囲が(10、20、30、50、75、100kVA)の6種類から、(10、20、30、50kVA)の4種類に変更さる。
すなわち、選択したトランスの組み合わせは、筐体データベース8において各容量を示す交点が、動力トランス×電灯トランス「30kVA×50kVA」から「50kVA×50kVA」に移動したことにより、縦軸に示される電灯トランスの選択可能範囲である「○」が変更されるため、これに対応して変更したものである。
入力者は、さらに変更されたこの選択可能範囲の中から、電灯トランス及び動力トランスを任意に選択することもできる。
【0019】
前記のトランスの容量変更は、筐体を変更しないことを前提とする操作であるが、
図5の詳細設定画面10において、箱体の欄13を選択して筐体の変更も行うことができる。筐体の変更を行うと、電灯トランスおよび動力トランスの欄をクリックしてプルダウン表示される選択可能範囲が、筐体データベースに基づいて再構成される。なお、筐体はA〜Fの6タイプの全てがプルダウンにより選択可能に表されるものとする。
例えば、当該画面において、筐体Dを選択すると、演算手段は記憶装置5にアクセスして筐体データベース8を筐体Dに切り替えて電灯トランスの選択可能範囲と、動力トランスの選択可能範囲を特定する。
この場合にも、担当者は、追加操作として、筐体Dの条件下でプルダウン表示される新たなトランス選択可能範囲から動力トランスと電灯トランスとを各々選択するのみで、簡単に筐体の変更に対応したトランス変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
1 サーバ
2 通信手段
3 端末コンピュータ
4 演算手段
5 記憶手段
6 表示装置
7 入力装置
8 筐体データベース
9 筐体選択画面
10 詳細設定画面
11 電灯トランスの欄
12 動力トランスの欄
13 箱体の欄