(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングは、前記センサ素子の前記本体の表面の一部にのみ突き当たることで前記センサ素子を位置決めする位置決め保持部を有することを特徴とする請求項1に記載の検出センサの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような検出センサ1を量産するにあたり、マグネット3と、センサ素子4A、4Bとの位置精度を高く維持することが重要である。マグネット3に対してセンサ素子4A、4Bの位置にバラつきがあると、複数の検出センサ1間で検出結果にバラつきが生じ、製品精度に直結するためである。
【0007】
これには、検出センサ1のハウジング(図示なし)に対し、マグネット3とセンサ素子4A、4Bを精度良く固定すればよい。しかし、ホール素子をはじめとするセンサ素子4A、4Bは、素子本体と端子の一端を埋め込んだ本体部4eにおいて、ハウジング(図示なし)に位置決めされている。ここで、本体部4eは、絶縁性樹脂からなる成形体であり、その成形精度が高くないことが多い。したがって、本体部4eでセンサ素子4A,4Bをハウジングに固定していたのでは、マグネット3とセンサ素子4A、4Bとの位置精度を高めるには限度がある。
【0008】
そこで、センサ素子4A、4Bの本体部4eの成形精度を高めることも考えられるが、これにはコストが掛かり、現実的ではない。
【0009】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低コストでありながら、高い検出精度を安定して提供することのできる検出センサの製造方法、検出センサ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的のもとになされた本発明の検出センサの製造方法は、磁界を発生するマグネットと、マグネットにより生じる磁界の変化を検出する複数のセンサ素子と、マグネットおよびセンサ素子を保持するハウジングと、を備えた検出センサの製造方法であって、マグネットおよびセンサ素子を金型に固定する工程と、金型内に溶融樹脂を注入し、溶融樹脂を硬化させることでハウジングを成形する工程と、金型から、マグネットおよびセンサ素子がハウジングに一体化された検出センサを取り出す工程と、を備え、マグネットおよびセンサ素子を金型に固定する工程では、センサ素子の本体から突出する端子を、金型に形成された端子挿入穴に挿入することで、センサ素子を金型に固定することを特徴とする。
このように、センサ素子の端子を金型の端子挿入穴に挿入してセンサ素子を金型に固定することで、金型に対し、センサ素子を高い精度で位置決めすることができる。そして、この状態で金型に溶融樹脂を注入してハウジングを成形することで、マグネットに対するセンサ素子の位置を高い精度で位置決めしたまま検出センサを形成する。
【0011】
また、ハウジングは、センサ素子の本体の表面の一部にのみ突き当たることでセンサ素子を位置決めする位置決め保持部を有するのが好ましい。保持部がセンサ素子の本体の一部にのみ接触することで、センサ素子の放熱性を高めることができる。
また、保持部は、センサ素子の本体の表面に直交する方向に延び、その先端部が本体に突き当たることでセンサ素子を保持する構成とすることもできる。この場合、ハウジングを成型する工程では、保持部の基端部から先端部に向けて溶融樹脂を流すことで、溶融樹脂によりセンサ素子の本体を押圧して保持部を形成する。これにより、センサ素子を確実に位置決めすることができる。
【0012】
ところで、近年の自動車は部品点数の増加に伴って部品のレイアウトの自由度が低くなっている。このような事情からして、二つのセンサ素子を備えると、当然、検出センサが大型化するため、それらを検出対象物に対して適切な位置に配置するのが困難になることがある。また、検出センサを配置するために、検出対象物側に細工も必要となり、コストがかかるという問題もある。
そこで、複数のセンサ素子は、いかなる配置としても良いが、ここでは、本体の表面どうしを突き合わせて配置するのが好ましい。このようにしてセンサ素子の本体の表面どうしを突き合わせることで、検出センサの小型化を図ることができ、検出センサの配置を容易に行い、検出対象物側に特別な細工を施すこともなく、低コストで取付を行える。
また、検出対象物が回転体であり、検出対象物の回転動作を検出センサで検出する場合、検出対象物が回転すると、その影響によりマグネットで発生する磁界が歪みやすく、検出精度に影響が出やすくなる。
これに対して、複数のセンサ素子の検知素子本体どうしを互いに近接して配置することで、磁気(磁界)の歪みの影響を最小限にし、検出精度を高めることができる。また、センサ素子の間隙を小さくすることで、検出センサの小型化を図ることができ、配置の自由度も高まり、取り付けも容易となる。
【0013】
本発明は、磁界を発生するマグネットと、マグネットにより生じる磁界の変化を検出する複数のセンサ素子と、マグネットおよびセンサ素子を保持するハウジングと、を備え、複数のセンサ素子は、本体と、本体から突出する端子とを有するとともに、これら複数のセンサ素子は、本体に対して端子を同一方向に突出した状態で、本体どうしを重ね合わせてハウジングに保持され、ハウジングは、本体どうしを重ね合わせた複数のセンサ素子の一方の側で、センサ素子の本体の表面の一部に突き当たる第一の保持部と、複数のセンサ素子の他方の側で、センサ素子の本体の表面の一部を横切るように設けられた第二の保持部とで挟み込まれて保持されていることを特徴とする検出センサとすることもできる。
このような検出センサは、上記したような請求項1から5のいずれか一項に記載の検出センサの製造方法により製造するのが好ましい。
【0014】
また、本発明は、軸線方向に移動してセレクト動作およびシフト動作の一方を行うとともに軸線回りに回転してセレクト動作およびシフト動作の他方を行うシフトセレクトシャフトと、前記シフトセレクトシャフトの外周部に設けられた検知突起と、前記検知突起が予め定めた規定の位置にあるか否かを検出する上記したような請求項6または7に記載の検出センサと、を備えることを特徴とするトランスミッションとすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサ素子の端子を金型の端子挿入穴に挿入することによってセンサ素子を金型に固定することで、金型に対し、センサ素子を高い精度で位置決めすることができる。そして、この状態で金型に溶融樹脂を注入してハウジングを成形することで、マグネットに対するセンサ素子の位置を高い精度で位置決めしたまま検出センサを形成することができる。これには、金型に端子挿入穴を形成するのみでよいので、低コストで上記効果を得ることができる。
したがって、低コストでありながら、高い検出精度を安定して発揮することのできる検出センサを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1〜
図11は、本実施の形態における検出センサ10の構成を説明するための図である。本実施の形態においては、検出センサ10は、自動車を構成する部品が特定の位置にあるか否かを検出するために用いられるものとする。もちろん、検出センサ10の用途はこれに限るものではなく、様々な用途に用いることが可能である。
【0018】
本実施形態では、検出センサ10は、自動車のマニュアル式のトランスミッションのシフトがニュートラル状態にあるか否かを検出するために用いられる。
図1〜
図3は、トランスミッション200への検出センサ10の設置例を示すものである。
この
図1、
図2に示すように、トランスミッション200は、1速〜5速、あるいは1〜6速といった複数段のギヤを備えており、自動車の運転席に位置する運転者が、自動車の進行方向に沿った縦方向と、この縦方向に直交する横方向とに図示しないシフトレバーを操作することで、特定のギヤが選択される。すると、エンジンの出力軸の回転が、選択されたギヤを介して、車輪を駆動するドライブシャフトに伝達される。このとき、選択されたギヤのギヤ比により、エンジンの出力軸と、車輪を駆動するドライブシャフトとの回転比(減速比、増速比)が決まる。
ここでは、トランスミッション200の概念的な構成のみを説明するが、トランスミッション200としては、詳しくは、例えば特開2002−235851号公報に記載されたものを採用することができる。
【0019】
トランスミッション200は、各段を構成するギヤ201をエンジンの出力軸とドライブシャフトとに選択的に接続するため、本実施形態では、プレート状の3本のシフトピース202A〜202Cが、互いに積層されるようにして設けられている。シフトピース202A〜202Cのぞれぞれは、積層方向に直交する方向(
図1の紙面に直交する方向)にスライド可能とされており、中立位置からその表面に沿った一方向にスライドさせたときと、中立位置から他方向にスライドさせたときとで、互いに異なる段のギヤ201が選択されようになっている。
【0020】
このようなシフトピース202A〜202Cは、シフトセレクトシャフト203に設けられたシフトアーム204により操作される。
シフトセレクトシャフト203は、シフトピース202A〜202Cの積層方向と平行な軸線を有して配置されている。このシフトセレクトシャフト203は、スリーブ205に形成された貫通孔に沿って軸線方向に往復移動可能に設けられている。
【0021】
シフトセレクトシャフト203の上端部には、シフトセレクトシャフト203を軸線方向に移動させるためのセレクトアーム206が設けられている。このセレクトアーム206は、中間部206bがスリーブ205に回転自在に支持され、一端206aに設けられたピンがシフトセレクトシャフト203の上端部に連結されている。そして、セレクトアーム206の他端に設けられたピン206cは、図示しないシフトレバーに接続された操作ワイヤーや操作ロッドに連結されている。シフトレバーの横(セレクト)方向の操作に応じて、セレクトアーム206が中間部206bを中心として回転し、これによってシフトセレクトシャフト203がその軸線方向に沿って往復動するようになっている。
【0022】
また、シフトセレクトシャフト203の外周側にシフトロータ207が一体に設けられている。このシフトロータ207に、シフトセレクトシャフト203の外周側に位置するピン207aが設けられ、このピン207aが、図示しないシフトレバーに接続された操作ワイヤーや操作ロッドに連結されている。そして、シフトレバーの縦(シフト)方向の操作に応じて、シフトロータ207がシフトセレクトシャフト203とともにその軸線周りに回転するようになっている。
【0023】
シフトアーム204には、外周側に突出する凸部208が形成されている。
そして、シフトレバーが横方向に操作されると、セレクトアーム206が作動してセレクト動作が行われ、凸部208が、シフトセレクトシャフト203の軸線方向、つまりシフトピース202A〜202Cの積層方向に移動し、シフトピース202A〜202Cのいずれかに対向する。
シフトピース202A〜202Cの先端部には、凸部208が噛み合う凹部209がそれぞれ形成されており、凸部208がシフトピース202A〜202Cの積層方向に移動することで、この凸部208が、シフトピース202A〜202Cのいずれかに形成された凹部209に嵌り込むようになっている。
そして、シフトピース202A〜202Cのいずれかに形成された凹部209に凸部208が嵌り込んだ状態で、シフトレバーを縦方向に動かすと、シフトロータ207が作動してシフト動作が行われ、シフトセレクトシャフト203がその軸線周りに回転することで、凸部208がシフトピース202A〜202Cのいずれか(噛み合ったもの)を中立位置から一方の側または他方の側に移動させる。
【0024】
ここで、シフトアーム204には、その外周部において凸部208と反対側の位置に、外周側に突出した検出突起210が設けられている。
そして、
図3に示すように、この検出突起210に近接して対向する位置に、検出センサ10が設けられている。検出センサ10は、トランスミッション200のハウジング211にブラケット212を介して固定されて設けられている。検出突起210は、シフトレバーおよびシフトピース202A〜202Cが中立位置にあるニュートラル状態で、検出センサ10に最も近接して位置するようになっている。検出センサ10では、この検出突起210が近接した位置にあるか否かを検出することで、シフトアーム204の回転を検出する。
【0025】
図4、
図5に示すように、この検出センサ10は、ハウジング11と、ハウジング11に保持された例えば断面略U字状のマグネット(永久磁石)20と、二個一対のセンサ素子30A、30Bと、基板40と、を備えて構成された冗長系センサである。
【0026】
ハウジング11は、一端が、ワイヤーハーネスのコネクタが接続されるコネクタ受容部11aとされ、他端がマグネット20、センサ素子30A、30Bを保持するセンサ保持部11bとされている。
【0027】
コネクタ受容部11aは、筒状のスリーブ12と、スリーブ12内でスリーブ12の軸線に直交するよう形成された端子保持部13と、を有する。
端子保持部13には、導電性材料からなるL字状の端子14が複数本保持されている。各端子14は、その一端14aがスリーブ12の内側でワイヤーハーネスを構成する各導線に接続され、他端14bは、ハウジング11の中間部から、ハウジング11の軸線に直交する方向に突出している。
【0028】
ハウジング11には、その側面に平面部11cが形成されている。基板40は、ハウジング11の軸線方向に長い長方形状で、この平面部11cに沿うよう配置されている。平面部11cには、基板40を保持する基板保持爪15が複数組設けられている。各組の基板保持爪15は、基板40を両側から挟み込むよう設けられている。
【0029】
前記の端子14の他端14bは、この基板40に形成されたスルーホール41に挿入され、基板40の配線パターンに電気的に接続されている。
【0030】
図6〜
図8に示すように、ハウジング11のセンサ保持部11bは、U字状のマグネット20を、その両極部20n、20sがハウジング11の軸線に平行に延びるよう保持している。さらに、センサ保持部11bは、マグネット20を、その両極部20n、20sの先端部がハウジング11の先端面11dに露出するよう保持している。これにより、マグネット20は、両極部20n、20sの先端部以外、ハウジング11に埋設されている。
【0031】
センサ素子30A、30Bは、U字状のマグネット20において、両極部20n、20s間の凹部20aで、ハウジング11の軸線に沿った方向において互いに対向するよう配置されている。
センサ素子30A、30Bは、例えばホール素子であり、ホール素子本体30Cと端子30dの一端とが、絶縁性材料からなる本体部30eに埋め込まれている。
センサ素子30A、30Bは、本体部30e、30eどうしを互いに突き合わせて配置されている。センサ素子30A、30Bのホール素子本体30C、30Cは、本体部30e、30eにおいて、互いに近接するよう配置されている。
これにより、センサ素子30A、30Bのホール素子本体30C、30Cどうしが近接し、磁気(磁界)のゆがみの影響を最小限にすることができる。
そして、端子30dの他端は、基板40に形成されたスルーホール42に挿入され、基板40の配線パターンに電気的に接続されている。このとき、センサ素子30A、30Bは、端子30dが、本体部30eからハウジング11の軸線方向に直交する同一方向に突出するよう配置されている。
【0032】
上記のようなセンサ素子30A、30Bは、以下のようにハウジング11に保持されている。
ハウジング11には、軸線に沿った方向において互いに対向するセンサ素子30A、30Bを、センサ素子30A側から保持する保持部33、34と、センサ素子30B側から保持する保持部35、36と、を有する。
【0033】
このうち、保持部33、35は、センサ素子30A、30Bの本体部30eにおいて、互いに平行な二辺に沿って延びるよう形成され、本体部30e、30eの表面F1、F2の両側に突き当たっている。
【0034】
また、保持部(位置決め保持部、第一の保持部)34は、センサ素子30Aの本体部30eのほぼ中央部に配置され、本体部30eに向けて直交する方向から延びる柱状とされている。そして、保持部34の先端部34bが、本体部30eの表面F1の中央部に突き当たっている。
【0035】
保持部(位置決め保持部、第二の保持部)36は、センサ素子30Bの本体部30eの両側に位置する保持部35、35に直交する方向に、本体部30eに沿って延びるよう設けられている。これにより、保持部36は、両側の保持部35、35と合わせ、略H字状にセンサ素子30Bの本体部30eの表面F2に突き当たっている。
【0036】
上述したような構成の検出センサ10を製造するには、
図9に示すように、ハウジング11を樹脂成形により形成するための金型100に、マグネット20と、センサ素子30A、30Bを保持するマグネット保持部110、素子保持部120を備え、この金型100によりハウジング11を成形する。
【0037】
図9、
図10に示すように、マグネット保持部110は、マグネット20を複数の保持突起111により保持する。
【0038】
図9、
図11に示すように、素子保持部120は、センサ素子30A、30Bのそれぞれの端子30dが挿入される端子挿入穴121からなる。この端子挿入穴121に端子30dを挿入することによって、センサ素子30A、30Bはそれぞれ金型100により保持される。
【0039】
開閉可能な金型100を開いた状態で、上記のマグネット保持部110、素子保持部120によってマグネット20およびセンサ素子30A、30Bを金型100で保持させる。この状態で、金型100を閉じ、金型100内に樹脂を注入する。
【0040】
このとき、特に柱状に延びる保持部34は、溶融状態の樹脂が基端部34a側から先端部34b側に向けて流れる。これにより、センサ素子30A、30Bが反対側の保持部35、36に向けて押し付けられることになる。
【0041】
樹脂の硬化後、金型100を開き、検出センサ10を脱型する。
これにより検出センサ10が得られる。
【0042】
なお、検出センサ10には、マグネット20、センサ素子30A、30B、基板40を覆うように、有底筒状のカバー(図示なし)が装着される。
【0043】
上述したような構成によれば、検出センサ10は、センサ素子30A,30Bが、ハウジング11に一体成形されている。このとき、センサ素子30A、30Bは、成形時に用いる金型100に、端子30dを挿入することで位置決め・固定されるため、ハウジング11に対して高精度に位置決めすることができる。従って、センサ素子30A、30Bにおける検出精度を高く維持することができる。
しかも、これには、金型100に端子挿入穴121を形成すればよいので、低コストで、高い検出精度を安定して提供することが可能となる。
【0044】
また、検出センサ10は、センサ素子30A,30Bが、本体部30e、30eの表面F1、F2に突き当たる保持部33、34、35、36により保持されている。33、34、35、36で、センサ素子30A、30Bが互いに対向した状態で挟み込まれることで、センサ素子30A、30Bを確実に保持できる。また、保持部33、34、35、36は、本体部30eの表面F1、F2の全面ではなく一部のみに突き当たるので、センサ素子30A、30Bの放熱性を確保することができる。
【0045】
また、このような検出センサ10は、非接触で、回転するスリーブ205に形成された検出突起210が規定の位置(ニュートラル位置)にあるか否かを検出することができる。このように非接触の検出センサ10は、接触式のスイッチに比較すれば、可動部分がないために故障も少なく、優れた信頼性を発揮することができる。
【0046】
さらに、検出センサ10は、センサ素子30A、30Bの本体部30e、30eどうしが互いに突き合わされているので、小型化を図ることができ、トランスミッション200における検出センサ10の配置を容易に行い、低コストで取付を行える。
また、検出対象物がシフトセレクトシャフト203とともに回転するシフトアーム204であるが、センサ素子30A、30Bのホール素子本体30C、30Cは、本体部30e、30eにおいて、互いに近接するよう配置されているので、磁気(磁界)のゆがみの影響を最小限にすることができる。これにより、検出センサ10の検出精度を高めることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態では、検出センサ10を、自動車のマニュアル式のトランスミッションのシフトがニュートラル状態にあるか否かを検出するのに用いたが、以下、
図12、13に基づいて説明するようにオートマチック式のトランスミッションがパーキング状態にあるか否かを検出するのに用いることもできる。
【0048】
はじめに、本実施形態におけるオートマチック式のトランスミッションのパーキングロック装置300を、
図12を参照して説明する。パーキングロック装置300は、変速軸に設けた噛み合い式クラッチを、アクチュエータMに接続されて作動するシフトロッド310で操作して所定の変速段を確立することができるトランスミッションに適用される。なお、
図12は、ニュートラル状態のパーキングロック装置300を示している。
パーキングロック装置300は、車両の停車時にドライブシャフトに連動するリバースアイドルシャフトに設けられたパーキングギヤ350と、パーキングギヤ350に係合可能なパーキングポール340と、シフトロッド310に連動してパーキングポール340を作動させるパーキングロッド330とを備えている。パーキングロック装置300は、シフトロッド310と一体的に形成されたシフトピース320の動作を、パーキングロッド330を介してパーキングポール340に伝えることで、パーキングギヤ350をロック状態にすることができる。
【0049】
パーキングロック装置300は、シフトロッド310がその軸方向に移動し、ニュートラル位置、リバース位置およびパーキング位置の3カ所に節度を持って選択的に停止可能である。シフトロッド310は、それと一体のシフトピース320がアクチュエータMにより前記軸方向に移動し、その位置を検出センサ10により検出することで、パーキング状態にあるか否かを検出する。
そのために、シフトロッド310には3個のディテント溝310a、310b、310cが形成されており、図示しないスプリングで付勢されたディテントボール367がディテント溝310bに係合したときにニュートラル位置になり、ディテントボール367がディテント溝310cに係合したときにパーキング位置になる。したがって、例えば、ニュートラル状態からパーキング状態になるときには、シフトロッド310が図中上方向に移動することになる。
シフトロッド310には、シフトフォーク311と、連結梁312と、が一体的に形成されている。連結梁312は、シフトロッド310とシフトピース320を一体的に連結する。また、連結梁312には、係止爪313が一体的に形成されている。
【0050】
シフトピース320は、カム部321と、検出アーム325とを備える。
カム部321には、表裏を貫通し、一方端が開口するカム溝322が形成されており、カム板323の一端側がこの開口を通ってカム溝322内に挿入されている。一端側の幅が広く設定されたカム板323には、他端側にアクチュエータMが接続されており、アクチュエータMがカム板323を正転・逆転させると、シフトロッド310が昇降する。例えば、アクチュエータMを反時計周りに正転させると、カム板323がカム部321を図中上方に押し上げ、シフトロッド310が上方に移動する。なお、以下では、上、下、左、右は図中の向きを示すものとする。
検出アーム325は、カム部321の上部に一体的に形成されており、カム部321の昇降運動に伴い昇降される。検出アーム325の先端には検出突起326が形成されており、この検出突起326に対向かつ近接するように検出センサ10が配置される。ニュートラルの状態とパーキングの状態とで、検出センサ10と検出突起326の相対的な位置関係が変わることで、検出センサ10はパーキングの状態にあるか否かを検出することができる。
【0051】
パーキングロッド330は、シフトピース320(シフトロッド310)の昇降運動をパーキングポール340に伝える。そのために、パーキングロッド330は、揺動アーム335を介して連結梁312の係止爪313と連結されている。揺動アーム335は、一端側に係止爪313と係合される係止爪336を備える。また、揺動アーム335は、他端側に、パーキングロッド330のL字状に屈曲した先端が貫通して保持されるロッド保持孔337と、ロッド保持孔337よりも下方に位置し、係止バネ片357と係合される係止突起338と、を備える。揺動アーム335はその一方の側面に位置決めロッド339が設けられており、位置決めロッド339の軸を中心にして揺動アーム335は揺動運動される。したがって、アクチュエータMによってシフトピース320が上方に移動すると、それに連動して揺動アーム335は時計回りに回転してパーキングロッド330はシフトロッド310と略平行に降下する。逆にシフトピース320が下方に移動すると、揺動アーム335は反時計回りに揺動してパーキングロッド330は上昇する。
位置決めロッド339の外周には周方向に連なる円弧状の溝339aが形成されており、この溝339aには円柱状の支持ピン334が挿入されている。そのため、支持ピン334は、揺動アーム335の回転運動を許容しながら、位置決めロッド339の軸方向に揺動アーム335が移動するのを規制する。
【0052】
パーキングロッド330には、カム部材352が摺動自在に嵌合されている。カム部材352は、等径部352aと、等径部352aの下端から徐々に小径になるテーパ部352bと、を備える。カム部材352は、パーキングロッド330の周囲に設けられる圧縮されたコイルスプリング353によって、下方に向けて付勢されている。パーキング状態になってパーキングロッド330が下方に降下すると、カム部材352はより強い力で下方に向けて付勢される。
カム部材352の近傍には、パーキングポール340のカム受け部340bと、パーキングロッドホルダ354のカム受け部354aが配置される。カム受け部340bおよびカム受け部354aは、テーパ部352bに対応するテーパ面を表面に備えている。
図12に示すニュートラル状態においては、パーキングロッド330が相対的に上方に位置するため、カム部材352は、カム受け部340bおよびカム受け部354aに相対的に弱い力で押し付けられている。なお、パーキングロッドホルダ354は位置が固定されている。
【0053】
パーキングポール340は、パーキングロッド330の動作に連動して、パーキングギヤ350のロック、ロック解除を行なう。
L字状のパーキングポール340は、その屈曲部分において、位置の固定された支軸362に揺動可能に支持されている。パーキングポール340は、一方の先端にパーキングギヤ350の外周に形成されている歯溝350aに係合される係合爪340aが形成されるとともに、他方の先端にカム受け部340bが形成されている。
【0054】
パーキングポール340は、支軸362の外周に設けた捩じりばね355により、係合爪340aがパーキングギヤ350から離反する向きに付勢されている。そのため、ニュートラル状態においては、係合爪340aは歯溝350aから離脱する一方、カム受け部340bとパーキングロッドホルダ354のカム受け部354aとの間隔は狭くなっている。しかし、パーキング状態になると、パーキングロッド330が降下し、それに伴ってカム部材352が押し下げられると、カム部材352がカム受け部340bとカム受け部354aの間に押し入る。カム受け部354aは位置が固定されているので、カム受け部340bがテーパ部352bから受ける力が、パーキングポール340が捩じりばね355から受ける力より大きくなると、パーキングポール340は反時計周りに回転する。
【0055】
パーキングギヤ350は、車両停止時にドライブシャフトに連動するリバースアイドル軸(図示しない)に固定されており、パーキングギヤ350をロックすることで、パーキング状態が確保される。
パーキングギヤ350は、パーキングポール340の係合爪340aに対応して配置されており、前述したように、パーキングポール340が反時計周りに回転すると、歯溝350aに係合爪340aが挿入し、ロックされる。
【0056】
次に、
図13を参照して、パーキングロック装置300がニュートラル状態からパーキング状態に移行する過程の動作を説明する。
シフトがニュートラル状態からパーキング状態に変わると、アクチュエータMはカム板323を反時計周りに回転させる。そうすると、シフトピース320が上方に移動し、この移動に伴う揺動アーム335およびパーキングロッド330の動作に追従して、パーキングポール340は
図12の位置から
図13の位置まで反時計周りに回転する。その結果、パーキングギヤ350がロックされる。
この状態では、カム部材352がカム受け部340bとカム受け部354aの間に挟まれている。また、パーキングロッド330がパーキング状態まで下降すると、係止突起338が係止バネ片357の先端を乗り越えるので、パーキングロッド330が誤って上方に移動するのを阻止される。したがって、パーキングロックの状態が安定して維持される。
【0057】
シフトピース320が上方に移動すると、それに追従して検出突起326も上方に移動する。つまり、検出センサ10に近接する検出突起326は、その位置がニュートラル状態とパーキング状態とで相違する。したがって、検出センサ10は、この検出突起326の変位を検出することによって、パーキング状態であるか否かを判別することができる。
なお、検出センサ10の取り付け位置は、上述した位置に限られず、シフトロッド310に連動して位置が移動する他の部材に近接して設置することができる。例えば、シフトロッド310の上端近傍、あるいは、パーキングロッド330の上端近傍に設置することができる。
【0058】
以上、自動車を構成する部品の位置検出用の検出センサ10を例にして本発明を説明したが、その用途は何ら限るものではない。
また、マグネット20を断面略U字状としたが、これに限るものではなく、適宜他の形状とすることも可能である。
また、保持部33、34、35、36は、上記と同様の作用効果が得られるのであれば、その配置、設置数、形状等を上記した以外の構成とすることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。