(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5724114
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】多機能吐出管又は多機能バルフ゛及びポンプ施設
(51)【国際特許分類】
F16K 15/18 20060101AFI20150507BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20150507BHJP
F16K 47/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
F16K15/18 A
F04D29/66 E
F16K47/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-193709(P2014-193709)
(22)【出願日】2014年9月24日
【審査請求日】2014年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711005710
【氏名又は名称】アック東北株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 晴海
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−121610(JP,A)
【文献】
特開2005−140182(JP,A)
【文献】
特開2012−255469(JP,A)
【文献】
特許第5298281(JP,B1)
【文献】
実開平04−084899(JP,U)
【文献】
特開2012−052617(JP,A)
【文献】
特開2000−145993(JP,A)
【文献】
特開2000−144818(JP,A)
【文献】
特開平10−184981(JP,A)
【文献】
実開昭56−144181(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00−15/20;47/02
F16K 31/44−31/62
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に流入口を有する少なくとも一つの流入路と、
前記流入路に連通する下流側に流出口を有する少なくとも一つの流出路と、
前記流入口と前記流出口の中間の分岐点で分岐されてなる退避路と、
前記分岐点に設けられてなる弁座と前記退避路の間を移動するように配置され、逆止弁と、前記分岐点において前記流入口と前記流出口との間を閉塞する止水弁の機能を有する弁体とを備え、
前記流出路の中心線と前記退避路の中心線のなす角度が、鋭角であり、
前記弁体の逆止弁としての機能は、前記流出口から逆流水によって、前記弁体が前記弁座側に付勢されることにより発現し、
前記弁体の止水弁としての機能は、前記退避路の前記分岐点と対向する側を閉塞する閉塞部材に設けられてなる雌ネジに螺合されてなる、雄ネジを有する止水ハンドルの回転により発現することを特徴とするヘッダー管または吐出管であって、
前記閉塞部材の退避路側と前記弁体の前記閉塞部材に対向する側に、それぞれの磁極が反発するように設けられてなる一対の磁石、または、圧縮バネの少なくともいずれかを有する、ウォーターハンマー防止機能が設けられてなることを特徴とする、ヘッダー管または吐出管。
【請求項2】
前記弁体は、前記閉塞部材に設けられた第二の雌ネジに螺合されてなる、第二の雄ネジを有する水抜ハンドルに接合されたケーブルに緊結され、前記水抜きハンドルの回転により、前記ケーブルを介して退避路に移動されることによって、前記ヘッダー管または吐出管の内部の水抜きを可能とする、弁体強制移動機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のヘッダー管または吐出管。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の、ヘッダー管または吐出管を有することを特徴とするポンプ施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、各種のプラントに用いられる多機能吐出管又は多機能バルフ゛が取り付けられたポンプ施設に関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧送には、ポンプ施設は必須である。
図3は、マンホールなどに設置されている一般的なポンプ施設の外観を示す概略図である。
図3において、20はマンホール、21はヘッダー管、22は流入管、23a、23bは立ち上がり管、24a、24bは空気抜き弁、25a、25bは逆止弁、26a、26bは止水弁、27a、27bはポンプ、28a、28bは水吸入口、29は圧送管である。
【0003】
図3に示したように、マンホールなどに設置されているポンプ設備は、2台のポンプ27a、27bが配置され、処理量に応じて、いずれか一方または両方のポンプを作動させるのが一般的であり、吸い上げられた水は、ヘッダー管21を経由して圧送される。このため、それぞれのポンプに、立ち上がり管、逆止弁、止水弁、ウォーターハンマー防止機能付弁体が必要となり、製造コストや据え付け工事費の増加に繋がっている。
【0004】
また、
図4は従来の一般的なポンプ設備の一例を示す図であり、31はポンプ、32は逆止弁、33は止水弁である、
図5は、
図4のポンプ装置に備えられている逆止弁の一例を示す図であり、ここに示した逆止弁は、フランジを介してポンプ装置に取り付けられ、図における上の部分に設けられた回動軸を中心に、図に示した矢印の方向に作動し、図における右側から水が逆流すると、流路を閉塞する構造となっている。
【0005】
また、
図6及び
図7は、
図4のポンプ施設に備えられている止水弁の例を示した図である。
図6はゲートバルブと称されるバルブの一例を示す図である。このバルブにおいては、板状の弁体が図における上方向から降りてきて、流路を閉塞する構造である。この特徴は、全開の際の流体抵抗が小さい反面、開閉のストロークが大きく、急速開閉には不適なことである。さらに
図6(b)に示したように、弁体を途中で止めた際の流路形状が三日月形になり、乱流や渦流の発生が大きく、夾雑物が挟まり易いという課題がある。
【0006】
図7は、バタフライバルブと称されるバルブの一例を示す図である。このバルブにおいては、
図7(b)に示したように、流路の中央に設けた回動軸を中心に、図に示した矢印の方向に回動する。このため、高い閉塞能力を有し、開閉トルクが小さいことから自動化に適する。そしてバタフライバルブにおいては、閉塞と解放の中間の状態では、
図7(c)に示したように、流路形状が二つの三日月形になり、キャビテーション及び騒音の発生が多く、夾雑物が挟まり易いという、ゲートバルブと同様の課題がある。
【0007】
図8はグローブバルブと称されるバルブの一例を示す図である。このバルブにおいては
流体の流れはS字状となる。閉止能力がよく、流量調整として使われるが、キャビテーションが発生しやすく、損失係数も高い。
【0008】
図9は、本発明者による多機能バルブの一例を示す図である。この多機能バルブは、一つの弁体が、逆止弁と止水弁の機能を備え、閉塞と解放の中間の状態では、
図8(b)に示したように、流路形状が半月形となり、夾雑物の挟まりや、キャビテーション及び騒音の発生が少ないという特徴がある。
【0009】
また、前記のウォーターハンマーとは、一定の圧力で管内を搬送されている流体の流れを、ポンプ停止などの操作により急激に停止した際に、流体の慣性によって、管内に急激な圧力上昇や衝撃が生じる現象であり、これに対処するために、フライホール付ポンプ、エアーベッセルなどが必要となり、多大なコストを強いられている。
【0010】
この対策として、本発明者は、特許文献1、特許文献2、特許文献3において、逆止弁、止水弁、ウォーターハンマー防止の機能を、吐出管に付与して集約してなる多機能弁を提供することで、部品点数の減少し、ひいては製造コストと据え付け工事費の低減が可能となることを開示している。しかし、ここに開示されているポンプ設備においても、なお部品点数の削減とコンパクト化、トラブルの発生頻度減少、及び工具無しでしかも短時間で、閉塞などのトラブルへの対応が不十分な他、トラブル解消作業のために必要な下流側圧送管の水抜きに十分に対応できていないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4960520号
【特許文献2】特許第5150859号
【特許文献3】特許第5298281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、前記の逆止弁及び止水弁の機能を備え、ウォーターハンマー防止機能をも備えた多機能弁の、操作性やメンテナンス性を向上し、流入側と流出側の流路が直交していることに起因する不具合を解消することにある。又、キャビテーション発生、損失係数の更なる改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記の課題に鑑み、弁体強制解除装置、多機能弁の流路の構成、特に弁体の移動方向を再検討した結果なされたものである。
【0014】
即ち本発明は、上流側に流入口を有する流入路と、前記流入路に連通する下流側に流出口を有する流出路と、前記流入口と前記流出口の中間の分岐点で分岐されてなる退避路と、前記分岐点に設けられてなる弁座と前記退避路の間を移動するように配置される逆止弁と、前記分岐点において前記流入口と前記流出口との間を閉塞する止水弁の機能を有する弁体とを備え、前記流出路の中心線と前記退避路の中心線のなす方向が斜めである多機能吐出管又は多機能バルブにおいて、前記弁体の逆止弁としての機能は、前記流出口から逆流水と弁体の自重によって、前記弁体が前記弁座側に付勢されることにより発現し、前記弁体の止水弁としての機能は、前記退避路の前記分岐点と対向する側を閉塞する閉塞部材に設けられてなる雌ネジに螺合されてなる、雄ネジを有する止水ハンドルの回転により発現することを特徴とする多機能吐出管又は多機能バルブである。
【0015】
また、本発明は、前記閉塞部材の退避路側と前記弁体の前記閉塞部材に対向する側に、それぞれの磁極が反発するように設けられてなる一対の磁石、または、圧縮バネの少なくともいずれかを有する、を有する、ウォーターハンマー防止機能が設けられてなることを特徴とする、ヘッダー管または吐出管である。
【0016】
また、本発明は、前記弁体は、前記閉塞部材に設けられた第二の雌ネジに螺合されてなる、第二の雄ネジを有する水抜ハンドルに接合されたケーブルに緊結され、前記水抜きハンドルの回転により、前記ケーブルを介して退避路に移動されることによって、前記多機能吐出管又は多機能バルブの内部の水抜きを可能とする、弁体強制移動機能と弁体作動不能解除機能とを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の多機能吐出管又は多機能バルブである。
【0017】
また、本発明は、前記の、多機能吐出管又は多機能バルブを有することを特徴とするポンプ施設である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る多機能吐出管又は多機能バルフ゛は、流入路と流出路がほぼ一直線上に配されているので、流路の屈曲に起因する圧力損失などの不具合を解消できる。また、本発明に係る、多機能吐出管又は多機能バルフ゛においては、逆止弁と止水弁の機能を併せ持つ弁体は、流入口と流出口との間に設けられた分岐点と、分岐点から分岐した状態設けられ、流出路とのなす角度が30〜60°である退避路との間で移動するように配されているので、状況に応じて前記の機能を発現できる。
【0019】
また、本発明に係る多機能吐出管又は多機能バルブには、退避路を閉塞する閉塞部材の弁体に対向する側と、弁体の閉塞部材に対向する側には、磁石が配され、それぞれの磁石が互いに反発する磁界を形成するようにしたり、閉塞部材と弁体の間に圧縮コイルバネを配したりすることで、ウォーターハンマー防止機能を付与することができる。一対の磁石と圧縮コイルバネは、それぞれ単独で使用することも、両者を併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る多機能吐出管又は多機能バルブの一例を示す断面図。
【
図2】ウォーターハンマー防止用部材の例を示す図、
図2(a)は磁石、
図2(b)は圧縮コイルバネ。
【
図3】マンホールなどに設置されている一般的なポンプ施設の外観を示す概略図
【
図6】ゲートバルブと称されるバルブの一例を示す図
【
図7】バタフライバルブと称されるバルブの一例を示す図。
【
図8】グローブバルブと称されるバルブの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら説明する。
【0022】
弁体5は、図示していないポンプから、流入口に水が圧送されている状態では、水の流れによって、分岐点に配されている弁座4から離れて流路を開放し、水流が停止したり、逆流したりする状態では、弁体5の自重や逆流する水に流れで、弁座4に圧接され、流路を分岐点で閉塞する。従って逆止弁として機能する。
【0023】
弁体5は、図示していないポンプから、流入口に水が圧送されている状態では、水の流れによって、分岐点に配されている弁座4から離れて流路を開放し、水流が停止したり、逆流したりする状態では、弁体5の自重や逆流する水に流れで、弁座4に圧接され、流路を分岐点で閉塞する。従って逆止弁として機能する。
【0024】
そして、流路を閉塞したい場合又は流量調整をしたい場合は、止水ハンドルを回転させることで、ハンドルを構成する棒状部材に設けられた雄ネジと、この雄ネジに螺合するように、閉塞部材10に設けられた雌ネジの作用で、弁体5を弁座4に圧接又は絞ることができる。
【0025】
また、トラブル発生やメンテナンスのために、多機能吐出管又は多機能バルブの内部の水の排出が必要になる際は、水抜きハンドル8を回転させることで、ハンドルを構成する棒状部材に設けられ雄ネジと、この雄ネジに螺合するように、閉塞部材10に設けられた雌ネジの作用で、弁体移動ケーブル6を介して、弁体5を閉塞部材10側へ、つまり図における左斜め上方に引き上げることができる。
【0026】
この水抜ハンドル8の操作によって、分岐点の下流側、つまり図中の上の方向の流出路や退避路3に残留する水の排出が可能となる。なお、流出路と退避路3の中心線がなす望ましい角を30〜60°の範囲にした主な要因は、多機能吐出管又は多機能バルブを構成する各部材の取り回し、及び流体の動圧の都合である。
【0027】
図2は、ウォーターハンマー防止用部材の例を示す図で、
図2(a)は磁石、
図2(b)は圧縮コイルバネである。ここに示した磁石は、周方向に直交する断面形状が正方形または長方形の円環で、厚み方向に着磁したものである。用いられる材質について特に限定はなく、Baフェライトを代表とするフェライト磁石やNd−Fe−B磁石を代表とする希土類磁石を用いることが可能で、摩擦による表面の欠落や錆の発生を防止するために、表面を高分子材料や金属で被覆して用いることが望ましい。
【0028】
前記のように、これらの単独使用または併用することで、水の流れが急激に停止した際に、弁体5により、流路を速やかに閉塞することが可能でウォーターハンマーを抑制できる。以上に説明したように、本発明によれば、逆止弁及び止水弁の機能を備え、ウォーターハンマー防止機能をも備えた多機能弁を提供でき、ポンプ設備にコンパクト化に寄与できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・ 流入口 2 ・・・ 流出口 3 ・・・ 退避路 4 ・・・ 弁座
5 ・・・ 弁体 6 ・・・ 弁体移動ケーブル 7 ・・・ 止水ハンドル
8 ・・・ 水抜きハンドル 9a ・・・ 第一のフランジ
9b ・・・ 第二のフランジ 設けられた第三のフランジ
10 ・・・ 退避路の閉塞部材 11a,11b ・・・ 磁石
20 ・・・ マンホール 21 ・・・ ヘッダー管 22 ・・・ 流入管
23a,23b ・・・ 立ち上がり管 24a,24b ・・・ 気抜き弁
25a,25b ・・・ 逆止弁 26a,26b ・・・ 止水弁
27a,27b ・・・ ポンプ 28a,28b ・・・ 水吸入口
29 ・・・ 圧送管
31 ・・・ ポンプ 32 ・・・ 逆止弁を内蔵する部材
33 ・・・ 止水弁を内蔵する部材
【要約】 (修正有)
【課題】逆止弁及び止水弁の機能を備え、ウォーターハンマー防止機能をも備えた多機能弁の、操作性やメンテナンス性を向上し、流入側と流出側の流路が直交していることに起因する不具合を解消し、キャビテーション発生、損失係数の少ない弁を提供する。
【解決手段】上流側に流入口1を有する流入路と、流入路に連通する下流側に流出口2を有する流出路と、流入口1と流出口2の中間の分岐点で分岐されてなる退避路3と、分岐点に設けられてなる弁座4と退避路3の間を移動するように配置される逆止弁機能を有する弁体5と、分岐点において流入口1と流出口2との間を閉塞する止水弁の機能を有する弁体5とを備え、流出路の中心線と退避路3の中心線が鋭角をなす多機能吐出管又は多機能バルブ。
【選択図】
図1