(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724145
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】被疑装置の判定装置、判定方法及び被疑装置の判定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20150507BHJP
G08B 25/01 20060101ALI20150507BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20150507BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
H04L12/44 M
G08B25/01 A
G08B25/04 A
H04Q9/00 321D
H04Q9/00 311K
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-73790(P2012-73790)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-207518(P2013-207518A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397065480
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】高部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 裕
(72)【発明者】
【氏名】井田 博哉
(72)【発明者】
【氏名】下柿元 修
【審査官】
鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−044124(JP,A)
【文献】
特開平03−250829(JP,A)
【文献】
特開2011−124897(JP,A)
【文献】
特開2010−206582(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0144515(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−955
G08B 25/01
G08B 25/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置であって、
前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報と、前記警報情報の履歴を示す警報履歴情報とを収集する警報情報収集手段と、
前記警報履歴情報が示す警報発生の傾向と収集した複数の警報情報に基づいて、前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを前記収集した複数の警報情報の中から抽出する警報抽出手段と、
前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定手段と、
前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定手段と
を備えたことを特徴とする被疑装置の判定装置。
【請求項2】
マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置が行う被疑装置の判定方法であって、
前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報と、前記警報情報の履歴を示す警報履歴情報とを収集する警報情報収集ステップと、
前記警報履歴情報が示す警報発生の傾向と収集した複数の警報情報に基づいて、前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを前記収集した複数の警報情報の中から抽出する警報抽出ステップと、
前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定ステップと、
前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定ステップと
を有することを特徴とする被疑装置の判定方法。
【請求項3】
マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置上のコンピュータに、
前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報と、前記警報情報の履歴を示す警報履歴情報とを収集する警報情報収集ステップと、
前記警報履歴情報が示す警報発生の傾向と収集した複数の警報情報に基づいて、前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを前記収集した複数の警報情報の中から抽出する警報抽出ステップと、
前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定ステップと、
前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定ステップと
を行わせることを特徴とする被疑装置の判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置等に供給するクロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置の判定装置、判定方法及び被疑装置の判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークシステムにおいて、重要アラームの迅速な収集を可能とした警報収集方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、1台のセンター装置を中心とし複数台のローカル装置が、同期クロック供給装置による同期LANを利用したマルチドロップ回線で接続され、ローカル装置より発生されたアラームをセンター装置が監視するものである。そして、アラームの種別毎に優先順位をつけ、センター装置からローカル装置へ優先順位符号を付加したアラーム要求を、優先順位毎のネットワーク同期で送信する。ローカル装置は、このアラーム要求を受信し、アラーム要求中に付加された優先順位符号に対応し且つ当該ローカル装置に割り当てられた所定のタイムスロットで、アラーム応答を送信し、センター装置がアラーム応答を受信してネットワークを監視する。このようにして、重要アラームの優先収集が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−214510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信装置は、クロック装置からクロック信号の供給を受けて、各通信装置間において同期を取りながら通信動作を実現している。通信装置に供給されるクロック信号は、マスタのクロック装置から出力されたクロック信号を複数のクロック装置を経由させたものが供給されている。複数のクロック装置は、マスタのクロック装置を根ノード(頂点)としてツリー構造(木構造)を構成しており、葉ノード(末端)である通信装置に対してクロック装置から出力するクロック信号が供給される。
【0005】
このようなツリー構造で構成したクロック装置群では、1つのクロック装置に異常が発生すると、他のクロック装置が出力するクロック信号に影響を及ぼしてクロック擾乱が発生する。クロック擾乱時は、必ずしもクロック装置から警報が発生するとは限らないため、クロック装置の警報だけを監視していてもクロック擾乱を発生させているクロック装置を特定することができない。また、クロック信号の供給を受けている通信装置には、クロック装置から出力するクロック信号の品質劣化が発生した場合に、品質劣化の影響を受けやすい通信装置と受けにくい通信装置とがあり、不具合の切り分けに時間を要する。このため、クロック擾乱によって、通信装置にエラーが発生した際に、クロック擾乱を発生させている被疑装置の特定を速やかに行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、通信サービスなどを提供する装置に対して供給するクロック信号の擾乱発生時に擾乱発生元である被疑装置を速やかに特定することができる被疑装置の判定装置、判定方法及び被疑装置の判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置であって、前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報を収集する警報情報収集手段と、前記収集した警報情報から前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを抽出する警報抽出手段と、前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定手段と、前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置が行う被疑装置の判定方法であって、前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報を収集する警報情報収集ステップと、前記収集した警報情報から前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを抽出する警報抽出ステップと、前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定ステップと、前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明は、マスタクロック装置が出力するクロック信号を複数の対象装置に供給するために、ツリー構造によって構成した複数のクロック装置のそれぞれから前記対象装置へ前記クロック信号を供給するクロック供給システムにおいて、前記クロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を特定する被疑装置の判定装置上のコンピュータに、前記対象装置、前記クロック装置及び前記クロック信号の伝送路のそれぞれから発せられた警報情報を収集する警報情報収集ステップと、前記収集した警報情報から前記被疑装置を特定するために必要な警報情報のみを抽出する警報抽出ステップと、前記抽出した警報情報を発した前記クロック装置と前記ツリー構造の構成とを関連付けて、前記ツリー構造上において警報を発したクロック装置の範囲を示す警報発生範囲を特定する警報発生範囲特定ステップと、前記警報発生範囲に含まれる前記クロック装置のうち、前記ツリー構造上の最上位のクロック装置を被疑装置として判定する被疑装置判定ステップとを行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置に供給するクロック信号の擾乱発生時に擾乱発生元である被疑装置を速やかに特定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す新リンク網監視システム11の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示す通信装置においてエラーが発生した状況を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す通信装置及びクロック装置において警報が発せられた状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による被疑装置の判定装置を説明する。
図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、マスタのクロック装置(以下、マスタクロック装置と称する)である。符号2〜7は、マスタクロック装置1を根ノードとして、ツリー構造で構成したクロック装置である。
【0013】
符号81、82は、ビル(ビルディング)A内に設置された通信装置であり、クロック装置4から供給されたクロック信号により同期を取りながら通信動作を行う。符号83、84は、ビルB内に設置された通信装置であり、クロック装置4から供給されたクロック信号により同期を取りながら通信動作を行う。符号85、86は、ビルC内に設置された通信装置であり、クロック装置5から供給されたクロック信号により同期を取りながら通信動作を行う。符号87は、ビルD内に設置された通信装置であり、クロック装置6から供給されたクロック信号により同期を取りながら通信動作を行う。符号88は、ビルE内に設置された通信装置であり、クロック装置7から供給されたクロック信号により同期を取りながら通信動作を行う。
【0014】
また、通信装置81〜88は、クロック信号の品質劣化の影響を受けやすいものと、クロック信号の品質劣化の影響を受けにくいものがある。クロック装置から出力するクロック信号の品質劣化の受けやすい通信装置は、クロック信号の品質劣化が発生すると、エラーが発生しやすい。一方、クロック装置から出力するクロック信号の品質劣化の受けにくい通信装置は、自力で動作することができるため、クロック信号の品質劣化が発生してもエラーが発生しにくい。
図1においては、クロック信号の品質劣化の影響を受けやすい通信装置の右下に黒三角を付与し、クロック信号の品質劣化の影響を受けにくい通信装置の右上に黒三角を付与して区別している。
【0015】
なお、8つの通信装置は、ツリー構造の葉ノードに相当する。
図1においては、7つのクロック装置と8つの通信装置を図示したが、このツリー構造に限るものではない。また、クロック装置が出力するクロック信号が供給される対象の装置は、通信装置に限るものでもない。
【0016】
符号9は、マスタクロック装置1、各クロック装置2〜7、各クロック装置間の伝送路、クロック装置と通信装置との間の伝送路から出力する警報情報を収集する警報収集システムである。
図1においては、図を簡単にするために、マスタクロック装置1、クロック装置2及び3つの伝送路、通信装置81と、警報収集システム9が接続されているように図示されているが、実際には、全てのクロック装置、全ての伝送路、全ての通信装置から出力する警報を収集する。
【0017】
符号10は、旧リンク網監視システムであり、警報収集システム9から出力する警報情報を入力するともに、リンク網を構成する全ての装置の監視を行う。
図1においては、図を簡単にするために、旧リンク網監視システム10とリンク網を構成する装置とを接続する線を省略している。
【0018】
符号11は、警報収集システム9から警報履歴情報を取得するとともに、旧リンク網監視システム10から警報情報を受信する新リンク網監視システムである。警報収集システム9から出力する警報履歴情報は、リンク系波及警報(瞬時警報を含む)の履歴情報である。また、旧リンク網監視システムから出力する警報情報が、リンク系波及警報情報(瞬時警報を含まない)とノード系波及警報情報である。
【0019】
符号12は、マスタクロック装置1を含む複数のクロック装置と通信装置のツリー構造の構成情報が記憶されるツリー構成情報記憶部である。ツリー構造の構成情報とは、各ノード(クロック装置または通信装置)の接続関係を定義した情報である。構成情報は、ノードを一意に識別可能なノード識別情報毎に、ノードの種別情報(根ノード、葉ノード、これら以外のノードのいずれであるかを示す情報)と、親ノードと子ノードのノード識別情報とが関係付けられている。
【0020】
例えば、マスタクロック装置1は、根ノードであることを示す種別情報と、子ノードとして、2つのクロック装置2、3のノード識別情報が関係付けられている。また、クロック装置2は、根ノード、葉ノード以外のノードであることを示す種別情報と、親ノードがマスタクロック装置1であり、子ノードが2つのクロック装置4、5であることを示すノード識別情報が関係付けられている。また、クロック装置4は、根ノード、葉ノード以外のノードであることを示す種別情報と、親ノードがクロック装置4であり、子ノードが4つの通信装置81、82、83、84であることを示すノード識別情報が関係付けられている。さらに、通信装置81は、葉ノードであることを示す種別情報と、親ノードとして、クロック装置4のノード識別情報が関係付けられている。
【0021】
符号13は、作業者が入力操作を行う入力部であり、キーボードやマウスで構成する。符号14は、ディスプレイ装置で構成する表示部であり、作業者が、警報情報等を目視する。
【0022】
なお、
図1において、クロック装置4〜7は、親ノードが1つのクロック装置であるものとして図示しているが、予備の親ノードとして2以上の親ノード(例えば、
図1に示すクロック装置4とクロック装置3の間の破線)が存在し、そのいずれか1つの親ノードから出力するクロック信号を現用として用いるようにしてもよい。この場合、ツリー構成情報記憶部12には、現用の親ノードの識別情報が記憶されることになる。
【0023】
次に、
図2を参照して、
図1に示す新リンク網監視システム11の動作を説明する。
図2は、
図1に示す新リンク網監視システム11の動作を示すフローチャートである。まず、いずれかの通信装置にエラーが発生した際に、作業者は、入力部13を操作して警報が多発している時間帯を設定する(ステップS1)。
【0024】
例えば、
図3に示すように、ビルAの通信装置81、ビルBの通信装置83、ビルCの通信装置85、86においてエラーが発生した場合、これらの通信装置おいて発生したエラーを知らせる警報が多発した時間帯を設定する。
図3は、
図1に示す通信装置においてエラーが発生した状況を示す説明図である。そして、新リンク網監視システム11は、旧リンク網監視システム10を介して、警報収集システム9からの警報を受信する(ステップS2)。ここで、受信する警報は、瞬時警報を含まないリンク系波及警報と、ノード系波及警報である。これと並行して、新リンク網監視システム11は、警報収集システム9から瞬時警報を含むリンク系波及警報を取得する(ステップS3)。
【0025】
次に、新リンク網監視システム11は、警報収集システム9から受信した警報情報と、自身が取得した警報情報との絞り込みを行う(ステップS4)。警報の絞り込みとは、得られた警報情報の中から異常発生元(擾乱発生元)である被疑装置を特定するのに必要な警報情報を抽出することである。まず、瞬時警報を含まないリンク系波及警報の中から、クロック警報と伝送路・パス警報を抽出する。また、ノード系波及警報の中からクロック警報と、状態変更通知と、制御パス故障とを抽出する。さらに、瞬時警報を含むリンク系波及警報の中から品質警報と通信警報との抽出に加え、同一通信装置において瞬時警報が多発している(警報発生回数が所定のしきい値を超えている)、同一通信装置において警報の発生と回復を繰り返している(繰り返し回数が所定のしきい値を超えている)等の警報発生傾向の情報を特定する。
【0026】
次に、新リンク網監視システム11は、ビル単位(ビルA〜Eそれぞれ)に警報件数をカウントし(ステップS5)、ツリー構成情報記憶部12に記憶されているツリー構成情報を参照して、警報件数とクロック装置のツリー構成情報との関連付けを行う(ステップS6)。そして、新リンク網監視システム11は、クロック装置のツリー構成に警報件数を関係付けた表示画面を生成し、表示部14に表示する(ステップS7)。これにより、警報発生件数とクロック装置のツリー構成が関係付けられて表示部14に表示されることになり、作業者は警報がどのクロック装置において発生しているかを把握することができる。
【0027】
次に、新リンク網監視システム11は、ツリー構成の下位レベル(葉ノード)から上位レベル(親ノード)を特定していき、最上位のノードであるクロック装置を被疑装置として特定し、表示部14に表示する(ステップS8)。新リンク網監視システム11は、
図4に示すように、ツリー構造上において警報が発せられているクロック装置または通信装置に警報発生範囲を特定し、その警報発生範囲に含まれるクロック装置のうち、最上位(最も根ノード(マスタクロック装置1)に近い)に位置するクロック装置を被疑装置と判定する。
図4は、
図1に示す通信装置及びクロック装置において警報が発せられた状況を示す説明図である。これにより、通信装置において発生しているエラーの原因となっている被疑クロック装置を特定すること可能となる。
【0028】
なお、前述した説明においては、新リンク網監視システム11が、被疑装置の特定処理を行うように説明したが、必ずしも新リンク網監視システム11が行わなくてもよい。例えば、前述した被疑装置特定処理を警報収集システム9が行ってもよい。また、旧リンク監視システム10が被疑装置の特定処理を行うようにしてもよい。
【0029】
以上説明したように、クロック擾乱を発生させている被疑クロック装置を特定する際に、警報収集システム9から受信した警報情報と旧リンク網監視システム10が収集した警報情報の中から、クロック擾乱が発生した際に出力される警報情報のみを抽出し、その抽出した警報が発せられた警報発生範囲を特定し、この警報発生範囲に含まれるクロック装置のうち、最上位に位置するクロック装置を被疑装置と判定して特定するようにしたため、通信サービスを提供する通信装置に対して供給するクロック信号の擾乱発生時に擾乱発生元である被疑クロック装置を速やかに特定することができる。
【0030】
なお、
図2に示す処理動作を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより被疑装置の判定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0031】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
供給されるクロック信号の擾乱発生時に異常発生元である被疑装置を速やかに特定することが不可欠な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・マスタクロック装置、2〜7・・・クロック装置、81〜88・・・通信装置、9・・・警報収集システム、11・・・新リンク網監視システム、12・・・ツリー構成情報記憶部、13・・・入力部、14・・・表示部