特許第5724148号(P5724148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5724148モータ動作状態表示装置、及びモータ制御命令出力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724148
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】モータ動作状態表示装置、及びモータ制御命令出力装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20060101AFI20150507BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H02P7/00 T
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 330
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-143924(P2013-143924)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-19466(P2015-19466A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2013年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】小柳 聖司
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−319284(JP,A)
【文献】 特開平02−136934(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099031(WO,A1)
【文献】 特開2011−087796(JP,A)
【文献】 特開2011−143015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/00−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段にモータの動作状態を表示させるモータ動作状態表示装置であって、
前記表示手段に、一方の軸が時間、他方の軸がモータ動作距離を示す座標空間を複数形成して表示させる座標空間形成手段と、
前記モータの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、前記座標空間上に作図可能なデータとして記録する動作状態記録手段と、
前記動作状態記録手段に記録された前記データを用いて、前記座標空間上に、前記一方の軸に平行で前記モータの動作時間に依存する長さの一対の時間方向平行線、及び、前記他方の軸に平行で前記モータの前記モータ動作距離に依存する長さの一対の動作距離方向平行線、によって形成される略矩形の図形を形成し表示させることで、前記モータの前記動作状態を表示させる動作状態表示手段とを備え、
該動作状態表示手段は、前記座標空間上に、
前記モータの前記加速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記加速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される加速動作表示矩形と、
前記モータの前記定速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記定速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される定速動作表示矩形と、
前記モータの前記減速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記減速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される減速動作表示矩形とをそれぞれ表示させることで、前記モータの前記加速動作、前記定速動作、前記減速動作のそれぞれの前記動作時間と前記動作距離との対応関係を前記座標空間上に視覚的に表示させることを特徴とするモータ動作状態表示装置。
【請求項2】
前記モータは複数存在し、前記動作状態表示手段は、それぞれのモータの動作をそれぞれ異なる前記座標空間に表示させることを特徴とする請求項1に記載のモータ動作状態表示装置。
【請求項3】
前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形をそれぞれ修正可能な表示修正手段を備え、
前記動作状態表示手段は、前記表示修正手段の修正に基づいて、既に前記座標空間に表示された、対応する前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形を修正して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ動作状態表示装置。
【請求項4】
前記モータは遊技機の役物を作動させるために設けられたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のモータ動作状態表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載のモータ動作状態表示装置と、
前記モータの動作を制御する、シーケンスデータ及びプログラムのうち少なくとも何れか一方を作成し出力させる制御命令作成手段を備えたモータ制御命令出力装置であって、
前記制御命令作成手段は、前記動作状態表示手段によって前記表示手段に表示された前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形に依存した、前記シーケンスデータ及び前記プログラムのうちの少なくとも何れか一方を作成し出力することを特徴とすることを特徴とするモータ制御命令出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機等に配設されたモータの動作状態を模式的な画像として表示する技術、及び、画像に基づいてモータの制御命令を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの動作状態を設計したり、設計に基づいて制御命令を作成する際に、設計者は、モータの動作状態を容易かつ的確に把握する必要がある。このため、従来、モータの動作状態を模式的に表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、横軸を時間、縦軸を速度とする座標空間上に、モータの動作状態を折れ線グラフとして表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−87796公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、座標空間に表示されたグラフによって、モータの動作によるモータ自身やモータに接続された機器の移動距離(即ち、モータの回転に依存する、モータ軸の回転角や、モータ軸の回転に伴う、モータに接続された各種機器の回転角や移動距離など)を簡単に把握することが難しいという問題がある。特に、近年の遊技機等の分野においては、一台の遊技機本体に複数の異なる遊技機が設置され、それらのモータが別個に動作することで役物等が統合的な動作を行う場合が多い。このような場合、特許文献1に記載の発明においては、それぞれのモータの動作や距離を統合的に把握することは一層難しくなる。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、モータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握できるモータ動作状態表示装置、及び、モータ動作状態表示装置を用いたモータ制御命令出力装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、表示手段にモータの動作状態を表示させるモータ動作状態表示装置であって、前記表示手段に、一方の軸が時間、他方の軸がモータ動作距離を示す座標空間を複数形成して表示させる座標空間形成手段と、前記モータの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、前記座標空間上に作図可能なデータとして記録する動作状態記録手段と、前記動作状態記録手段に記録された前記データを用いて、前記座標空間上に、前記一方の軸に平行で前記モータの動作時間に依存する長さの一対の時間方向平行線、及び、前記他方の軸に平行で前記モータの前記モータ動作距離に依存する長さの一対の動作距離方向平行線、によって形成される略矩形の図形を形成し表示させることで、前記モータの前記動作状態を表示させる動作状態表示手段とを備え、該動作状態表示手段は、前記座標空間上に、前記モータの前記加速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記加速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される加速動作表示矩形と、前記モータの前記定速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記定速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される定速動作表示矩形と、前記モータの前記減速動作の前記動作時間に依存した一対の前記時間方向平行線と前記減速動作の前記モータ動作距離に依存した一対の前記動作距離方向平行線によって形成される減速動作表示矩形とをそれぞれ表示させることで、前記モータの前記加速動作、前記定速動作、前記減速動作のそれぞれの前記動作時間と前記動作距離との対応関係を前記座標空間上に視覚的に表示させることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記モータは複数存在し、前記動作状態表示手段は、それぞれのモータの動作をそれぞれ異なる前記座標空間に表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形をそれぞれ修正可能な表示修正手段を備え、前記動作状態表示手段は、前記表示修正手段の修正に基づいて、既に前記座標空間に表示された、対応する前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形を修正して表示することを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一つに記載の構成に加え、前記モータは遊技機の役物を作動させるために設けられたものであることを特徴とする
【0011】
請求項に記載の発明は、モータ制御命令出力装置であって、請求項1乃至の何れか一つに記載の構成に加え、モータ動作状態表示装置と、前記モータの動作を制御する、シーケンスデータ及びプログラムのうち少なくとも何れか一方を作成し出力させる制御命令作成手段を備えたモータ制御命令出力装置であって、前記制御命令作成手段は、前記動作状態表示手段によって前記表示手段に表示された前記加速動作表示矩形、前記定速動作表示矩形、前記減速動作表示矩形に依存した、前記シーケンスデータ及び前記プログラムのうちの少なくとも何れか一方を作成し出力することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、一方の軸が時間、他方の軸がモータ動作距離を示す座標空間を複数形成し、この座標空間上に、モータの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれの動作が視覚的に認識できる図形として表示させることで、モータの動作状態を表示させることにより、時間に応じたモータの動作距離を、表示手段上に、図形の位置や大きさや形状等によって、視認者が視覚的かつ直感的に把握できるように表示させることができる。これにより、モータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握できることができる。
請求項1に記載の発明によれば、加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、動作に依存した略矩形の図形として座標空間に表示させることにより、座標空間上に配置された図形の位置によって、モータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を相互に対比させつつ容易に把握できることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、複数存在するモータの動作をそれぞれ異なる座標空間に表示させることにより、複数のモータの加速動作、定速動作、減速動作に伴う動作距離を同一の表示手段上にモータごとに対比可能に表示させることができる。これにより、複数のモータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を相互に対比させつつ容易に把握できることができる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、表示修正手段の修正に基づいて、既に座標空間に表示された図形を修正して表示することにより、修正作業を行う者に、モータの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、視覚的かつ直感的に修正させることが可能になる。これにより、修正作業を行う者は、加速動作、定速動作、減速動作の修正を容易に行うことができる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、役物を作動させるために用いられる遊技機のモータにおいて、モータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握できることができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、制御命令作成手段は、動作状態表示手段によって表示手段に表示された加速動作、定速動作、減速動作の図形に依存した、シーケンスデータ及びプログラムのうちの少なくとも何れか一方を作成し出力することにより、表示手段に表示された状態で現実にモータを動作させることを容易に行うことができる。これにより、モータの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握しながら、モータやモータにより移動する機器の動作の設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態に係るモータ動作状態管理装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2】同上モータ動作状態管理装置の記録部に記録されたモータ動作データの概念図である。
図3】同上モータ動作状態管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図4】同上モータ動作状態管理装置においてディスプレイに表示される表示画面の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[基本構成]
図1乃至図4にこの発明の実施の形態を示す。
【0020】
図1は、この実施の形態に係るモータ動作状態管理システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
同図に示すモータ動作状態管理システム1Aは、パチンコ機に代表される遊技機10に設けられた複数のモータ、例えば同図に示す第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作シミュレーションと、この、第一のモータ13a、第二のモータ13bを動作させる制御命令を作成し、遊技機10に供給するために用いられる。
【0022】
モータ動作状態管理システム1Aは、「モータ動作状態表示装置」及び「モータ制御命令出力装置」としてのモータ動作状態管理装置1と、遊技機10とを備えている。
【0023】
遊技機10は、遊技機本体11に、複数のモータが設けられている。この実施の形態では、第一のモータ13aと、第二のモータ13bとが設けられている。第一のモータ13a、第二のモータ13bはパルスモータであり、入力されたパルス信号の数や大きさに依存して回転が制御される。遊技機本体11には、第一のモータ13a、第二のモータ13bにパルス信号を供給する制御手段12が設けられている。モータ動作状態管理装置1は、制御手段12におけるパルス信号の出力を制御するためのシーケンスデータやプログラムを供給する。
【0024】
図1に示すモータ動作状態管理装置1は、少なくとも1のCPU(図示せず)を備え、このCPU(図示せず)における命令やデータの処理によってモータ動作状態管理装置1の動作が制御される。さらに、モータ動作状態管理装置1は、RAM、ROM、EEPROM、磁気ディスク(いずれも図示せず)等を備えている。なお、モータ動作状態管理装置1は、CPU(図示せず)に替えてシーケンス制御のための各種構成を備え、当該構成の動作によって動作が制御されるものであってもよい。
【0025】
また、モータ動作状態管理装置1は、「動作状態記録手段」としての記録部2、「座標空間形成手段」としての座標空間形成部3、「動作状態表示手段」としての動作状態表示部4、「表示修正手段」としての表示修正部5、「制御命令作成手段」としての制御命令作成部6、操作部7、ディスプレイ8を備えている。記録部2、座標空間形成部3、動作状態表示部4、表示修正部5、制御命令作成部6は、ハードウェアとして構成されるものでもよいし、CPU(図示せず)における各種プログラムの実行によって実現される機能手段であってもよい。操作部7、及びディスプレイ8は、主としてハードウェアによって構成される。
【0026】
記録部2は、各種データやプログラムが記録される。この実施の形態において、記録部2には、座標空間を形成可能な座標空間データ21と、座標空間上に図形を作図可能なモータ動作データ22とが記録される。座標空間データ21とモータ動作データ22との詳細は後述する。
【0027】
座標空間形成部3は、座標空間データ21を用いて、表示画面81(後述)上に座標空間を複数形成して表示させる。
【0028】
動作状態表示部4は、モータ動作データ22を用いて、座標空間上にモータの動作が視覚的に認識できる図形を形成する。
【0029】
表示修正部5は、座標空間上に表示された図形を修正可能であり、そのような図形を修正するための処理を行う。
【0030】
制御命令作成部6は、座標空間上に表示された図形に基づいて、第一のモータ13a、第二のモータ13bを動作させるためのシーケンスデータやプログラムを作成し出力する。
【0031】
操作部7は、キーボードやマウス等、操作者が手動で文字や記号の入力や、カーソルの移動を行うためのものである。なお、操作部7は、タッチパネル式ディスプレイ上に設けられたタッチ位置検出手段であってもよい。
【0032】
ディスプレイ8は、LCD等、各種文字や画像を表示可能な表示手段である。
【0033】
[座標空間データ]
図1に示す座標空間データ21は、特定の座標空間を形成する。この実施の形態における座標空間データ21は、図4に示す第一のグラフ811、第二のグラフ812のような座標空間を形成し、画像表示する。
【0034】
この第一のグラフ811、第二のグラフ812に示す座標空間において、「一方の軸」としての横軸は時間(単位:秒)を示し、「他方の軸」としての縦軸は「モータ動作距離」としてのモータ回転角(単位:度)を示す。縦軸は、第一のモータ13a、第二のモータ13bの移動距離を示すものである。ここでは、第一のモータ13aや第二のモータ13bの軸の回転の度合いや回転数に依存して、第一のモータ13aや第二のモータ13bに取り付けられた役物の回転の度合いや移動距離が変化することに伴って、縦軸に設定されているものである。
【0035】
なお、縦軸は、このような、「モータ移動距離」に相当するものであればどのようなものでもよい。例えば、第一のモータ13aや第二のモータ13bに取り付けられた役物の回転の度合いや、(例えば垂直方向や水平方向への)移動距離を、縦軸としてもよい。
【0036】
更に、図4に示す第一のグラフ811、第二のグラフ812とは逆に、「一方の軸」が縦軸であって時間を示し、「他方の軸」が縦軸であって「モータ動作距離」を示す構成であってもよい。
【0037】
また、縦軸によって決定された「モータ移動距離」は、後述する、制御命令作成部6におけるシーケンスデータやプログラムにおいては、第一のモータ13aや第二のモータ13bに入力されるパルスの数を決定する。
【0038】
[モータ動作データ]
図2に、この実施の形態のモータ動作データを模式的に示す。同図に示す通り、この実施の形態において、モータ動作データ22は、第一のモータ動作データ22aと第二のモータ動作データ22bとを有する。第一のモータ動作データ22aは第一のモータ13aの動作を制御するデータに相当し、第二のモータ動作データ22bは第二のモータ13bを制御するデータに相当する。
【0039】
第一のモータ動作データ22aは第一のモータ13aの動作特性に基づいて形成され、第二のモータ動作データ22bは第二のモータ13bの動作特性に基づいて形成される。ここでは、第一のモータ13aと第二のモータ13bとは異なる動作特性を有し、従って第一のモータ動作データ22aと第二のモータ動作データ22bとは異なるデータとして形成されている。
【0040】
図2に示す通り、第一のモータ動作データ22aは、「A」で示す加速データ22a1、「V」で示す定速データ22a2、「D」で示す減速データ22a3を有する。第二のモータ動作データ22bは、「A」で示す加速データ22b1、「V」で示す定速データ22b2、「D」で示す減速データ22b3を有する。
【0041】
第一のモータ13aも第二のモータ13bも、役物(図示せず)を装着した状態で、「行き(役物の、定位置から離間する方向への移動のこと。以下単に「行き」と称する。)」の回転の際の回転特性と、「戻り(役物の、定位置方向への移動のこと。以下単に「戻り」と称する。)」の回転の際の回転特性(単位時間当たりの回転角等)が相違する場合がある。そのため、この実施の形態においては、第一のモータ動作データ22a、第二のモータ動作データ22bは、それぞれ、「行き」のデータと「戻り」のデータとを有している。
【0042】
例えば、図2に示すように、第一のモータ動作データ22aの加速データ22a1は行きデータ22a11と戻りデータ22a12を有し、減速データ22a3は行きデータ22a31と戻りデータ22a32とを有する。第二のモータ動作データ22bの加速データ22b1と減速データ22b3も、同様に行きデータと戻りデータとを有するが、図2に図示を省略する。
【0043】
図2に示すように、第一のモータ動作データ22aの加速データ22a1と減速データ22a2とには、単位時間(0.1秒)ごとの第一のモータ13aの速度(例えばモータ13aの回転速度に対応する値)が記録されている。一方、定速データ22a2は、速度が「25」で速度変化がない状態が記録されている。第二のモータ動作データ22bも第一にモータ動作データ22aと同様に構成されているが、図2に図示を省略する。
【0044】
なお、図2に示す、第一のモータ動作データ22aや、第二のモータ動作データ22bの単位時間や速度の状態は一例である。第一のモータ動作データ22aや第二のモータ動作データ22bは、第一のモータ13aや第二のモータ13bを正しく動作させうるものならば、図2に示すもの以外のどのようなものであってもよい。
【0045】
[動作状態の図示]
動作状態表示部4は、座標空間データ21とモータ動作データ22を用いて、座標空間上に、モータの動作状態を表示させる図を作成し、「表示手段」としての表示画面81上にグラフィック表示させる。
【0046】
ここでは、図4に概念図を示すように、一の表示画面81上に、第一のモータ13aの動作状態を示す第一のグラフ811、第二のモータ13bの動作状態を示す第二のグラフ812をそれぞれ表示させる。もし、遊技機本体11に、第一のモータ13a、第二のモータ13b以外にもモータが存在する場合には、表示画面81上に、更にそれらのモータの数のグラフを表示させ、そのグラフ上にそれぞれのモータの動作状態を表示させる。
【0047】
第一のグラフ811には、第一のモータ13aの「行き」と「戻り」のそれぞれについて、加速状態、定速状態、減速状態とが視覚的に認識できる状態で表示されている。第二のグラフ812には、「行き」と「戻り」のそれぞれについて、加速状態、定速状態、減速状態とが視覚的に認識できる状態で表示されている。すなわち、第一のグラフ811、第二のグラフ812においては、それらの状態が、縦辺が縦軸に、横辺が横軸に平行な、略矩形の図形として表示されている。
【0048】
具体的には、図4の第一のグラフ811に表示されたそれぞれの矩形は、加速表示22a111、定速表示22a211,22a212、減速表示22a311が第一のモータ13aの「行き」の加速動作、定速動作、減速動作をそれぞれ示し、加速表示22a121、定速表示22a221、減速表示22a321が、第一のモータ13aの「戻り」の加速動作、定速動作、減速動作をそれぞれ示す。
【0049】
図4の第二のグラフ812に表示されたそれぞれの矩形は、加速表示22b111、定速表示22b211、減速表示22b311が第二のモータ13bの「行き」の加速動作、定速動作、減速動作をそれぞれ示し、加速表示22b121、定速表示22b221、減速表示22b321が、第一のモータ13bの「戻り」の加速動作、定速動作、減速動作をそれぞれ示す。
【0050】
それぞれの表示22a111,22a211,22a212,22a311,22a121,22a221,22a321,22b111,22b211,22b311,22b121,22b221,22b321、において、横辺の位置と長さはそれぞれの動作が行われるタイミングと時間の長さを示し、縦辺の位置と長さはそれぞれの動作が行われる回転角の範囲と大きさを示す。
【0051】
また、第二のグラフ812には、第二のモータ13bの「行き」と「戻り」のそれぞれについて、加速状態、定速状態、減速状態とが視覚的に認識できる状態で、第一のグラフ811と同様の矩形にて表示されている。
【0052】
第一のグラフ811、第二のグラフ812に示されたこれらの図形は、操作者が操作部7を用いて、第一のモータ13aや第二のモータ13bの、動作させたい時間、及び、動作させたい回転角や距離等を数値入力することで、動作状態表示部4が、第一のモータ動作データ22aの加速データ22a1、定速データ22a2、減速データ22a3や、第二のモータ動作データ22bの加速データ22b1、定速データ22b2、減速データ22b3を用いて「行き」と「戻り」の加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれが行われるタイミングや回転角を自動的に算出し、算出した結果に基づいて、第一のグラフ811や第二のグラフ812上の該当する位置に該当する矩形を表示させる。ただし、操作者が操作部7を用いて、第一のモータ13aや第二のモータ13bの「行き」と「戻り」の加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれの数値を入力することで第一のグラフ811や第二のグラフ812上にそれぞれの矩形を表示させる構成であってもよい。
【0053】
[処理手順]
図3は、この実施の形態のモータ動作状態管理システム1Aの処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいてモータ動作状態管理システム1Aの処理の内容を説明する。
【0054】
まず、作業者は、モータ動作状態管理装置1の操作部7を操作して、モータ動作状態管理装置1に座標空間の形成(ステップS1)と動作状態の表示(ステップS2)とを行わせる。例えば、操作者が、操作部7により、第一のモータ13aや第二のモータ13bの、動作させたい時間、及び、動作させたい回転角や距離等を数値入力し、これらをグラフとして画面表示させる命令を入力する。これにより、座標空間形成部3は、横軸が時間、縦軸がモータ回転角の座標空間を形成する。また、動作状態表示部4は、操作部7から入力された数値と、記録部2に記録された第一のモータ動作データ22a及び第二のモータ動作データ22bとに基づいて、第一のモータ13aや第二のモータ13bの、「行き」と「戻り」の加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれが行われるタイミングや回転角を自動的に算出する。そして、動作状態表示部4は、算出した結果に基づいて、第一のグラフ811や第二のグラフ812上の該当する位置に該当する矩形を表示させる。
【0055】
これにより、ディスプレイ8には、図4に示すように、表示画面81が表示され、この表示画面81上に、第一のグラフ811と第二のグラフ812とが表示される。第一のグラフ811には、第一のモータ13aの動作特性(第一のモータ動作データ22aに基づく動作特性)による、「行き」の加速表示22a111、定速表示22a211,22a212、減速表示22a311と、「戻り」の加速表示22a121、定速表示22a221、減速表示22a321とが、矩形にて表示される。同様に、第二のグラフ812上には、第二のモータ13bの動作特性(第二のモータ動作データ22bに基づく動作特性)による、「行き」の加速表示22b111、定速表示22b211、減速表示22b311と、「戻り」の加算表示22b12、定速表示22b221、減速表示22b321とがそれぞれ示される。
【0056】
このように表示することで、操作者が表示画面81を視認すれば、第一のモータ13aと第二のモータ13bの動作タイミングや回転角の状態を、矩形の位置や大きさや形状により、視覚的かつ直感的に確認したり対比したりできる。
【0057】
そして、もし、遊技機本体11に第一のモータ13aと第二のモータ13b以外に役物を作動させるモータが存在し、そのモータについても動作状態を視覚的かつ直感的に確認したい場合には(ステップS3の“Yes”)、座標空間形成部3と動作状態表示部4とは、ステップS1とステップS2の処理を繰り返して、それらのモータについても、表示画面81上にモータごとにグラフを表示させて、そのグラフ上に、「行き」の加速表示、定速表示、減速表示と、「戻り」の加速表示、定速表示、減速表示とをそれぞれ表示させる。
【0058】
表示画面81上に、表示させたいモータの動作を示した全てのグラフ(例えば図4に示すグラフ811とグラフ812)が表示されのち(ステップS3の“Yes”)、操作者が、グラフ811やグラフ812を見て、第一のモータ13aや第二のモータ13bの動作状態の修正を図りたい場合(ステップS4の“Yes”)、表示修正部5は、グラフ811やグラフ812に表示された図形の修正を行う(ステップS5)。この修正は、操作者が操作部7から入力した動作タイミングや回転角の具体的な数値に基づいて行われてもよい。また、この修正は、ディスプレイ8がタッチパネル式である場合に、操作者がディスプレイ8をタップし、表示画面81上のいずれかの表示(例えば第一のグラフ811の定速表示22a211)の大きさを変化させた情報に基づいて行われてもよい。
【0059】
なお、ステップS5での修正により、第一のモータ動作データ22aや第二のモータ動作データ22bを修正する必要が生じた場合には、表示修正部5は、記録部2の第一のモータ動作データ22aや第二のモータ動作データ22bにおける、修正が必要な箇所を修正する。
【0060】
一方、全てのモータ(例えば第一のモータ13a及び第二のモータ13b)について表示画面81にグラフ(例えば第一のグラフ811及び第二のグラフ812)を表示させ(ステップS3の“Yes”)、それらの表示の修正が不要である場合(ステップS4の“No”)は、ステップS5の処理は行われない。
【0061】
表示画面81に表示された画面が、第一のモータ13aと第二のモータ13bについて、操作者の希望する動作状態を示している場合、操作者は操作部7を操作して、モータ動作状態管理装置1に、第一のモータ13aと第二のモータ13bとを動作させるための、制御命令の作成を行わせる。この制御命令の作成の指示を受け、制御命令作成部13は、第一のモータ13aと第二のモータ13bとをそれぞれ動作させるためのシーケンスデータやプログラムを作成し、出力する(ステップS6)。出力されたシーケンスデータやプログラムは、遊技機本体11に設けられた制御手段12に供給される。この制御手段12は、供給されたシーケンスデータやプログラムに基づいて、第一のモータ13aや第二のモータ13bを動作させる。第一のモータ13aや第二のモータ13bが操作することで、これらの設置された役物(図示せず)が動作することになる。
【0062】
これにより、表示画面81において視覚的かつ直感的に確認した情報に基づいて、遊技機本体11に設けられた役物(図示せず)を作動させる、第一のモータ13aと第二のモータ13bとの動作制御のための情報を作成できる。そのため、遊技機本体11に設けられた第一のモータ13aや第二のモータ13b、及び、それらに設置された役物を動作させるための制御情報を容易に作成できる。
【0063】
以上示した通り、この実施の形態においては、横軸が時間、縦軸がモータ回転角を示す複数の座標空間として第一のグラフ811、第二のグラフ812を形成し、第一のグラフ811、第二のグラフ812上に、第一のモータ13a、第二のモータ13bの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれの動作が視覚的に認識できる図形として、加速表示22a111,22a121,22b111,22b121、定速表示22a211,22a212,22a221,22b211,22b221、減速表示22a311,22a321,22b311,22b321を表示させることで、第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作状態を表示させることにより、時間に応じた第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作距離を、表示画面81上に、視認者が視覚的に把握できるように表示させることができる。これにより、第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握できることができる。
【0064】
この実施の形態においては、複数存在するモータ即ち第一のモータ13a及び第二のモータ13bの動作をそれぞれ異なる座標空間である第一のグラフ811及び第二のグラフ812に表示させることにより、第一のモータ13a、第二のモータ13bの加速動作、定速動作、減速動作に伴う動作距離を、一の表示画面81上に、第一のモータ13a、第二のモータ13bごとに対比可能に表示させることができる。これにより、第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を相互に対比させつつ容易に把握できることができる。
【0065】
この実施の形態においては、加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、動作に依存した略矩形の図形である加速表示22a111、定速表示22a211,22a212、減速表示22a311、加速表示22a121、定速表示22a221、減速表示22a321等として、第一のグラフ811、第二のグラフ812にそれぞれ表示させることにより、第一のグラフ811上、第二のグラフ812上に配置された図形の位置によって、第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を相互に対比させつつ容易に把握できることができる。
【0066】
この実施の形態においては、表示修正部5の修正に基づいて、既に第一のグラフ811、第二のグラフ812に表示された、加速表示22a111,22a121,22b111,22b121、定速表示22a211,22a212,22b211,22b221、減速表示22a311,22a321,22b311,22b321の一部又は全部を修正して表示することにより、修正作業を行う者に、第一のモータ13a、第二のモータ13bの加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、視覚的かつ直感的に修正させることが可能になる。これにより、修正作業を行う者は、加速動作、定速動作、減速動作の修正を容易に行うことができる。
【0067】
この実施の形態においては、役物を作動させるために用いられる遊技機10の第一のモータ13a、第二のモータ13bにおいて、第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握できることができる。
【0068】
この実施の形態においては、制御命令作成部6は、動作状態表示部4によって表示画面81に表示された、加速動作、定速動作、減速動作の図形に依存した、シーケンスデータ及びプログラムのうちの少なくとも何れか一方を作成し出力することにより、表示画面81に表示された状態で現実に第一のモータ13a及び第二のモータ13bを動作させることを容易に行うことができる。これにより、第一のモータ13a及び第二のモータ13bの動作によるモータ軸や接続機器の移動距離を容易に把握しながら、第一のモータ13a及び第二のモータ13bや、第一のモータ13a及び第二のモータ13bにより移動する機器の動作の設計を行うことができる。
【0069】
なお、上記実施の形態においては、第一のグラフ811、第二のグラフ812上に、略矩形の図形を表示することで、第一のモータ13a、第二のモータ13bの加速動作、定速動作、減速動作を表示したが、これに限らず、加速動作、定速動作、減速動作の動作タイミングや「モータ動作距離」が視覚的に認識できる表示であれば、どのような形状であってもよい。例えば、加速動作、定速動作、減速動作のそれぞれを、三角形、五角形、六角形、星形等の多角形で示してもよいし、円形や楕円形等で示してもよいし、矢印等の図形で示してもよい。また、例えば加速動作と減速動作は三角形、定速動作は四角形のように、動作ごとに異なる図形で表示させてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、ステップS2の処理手順において、操作者が操作部7から入力した数値に基づいて第一のグラフ811や第二のグラフ812を形成する構成としたが、これに限らず、タッチパネル式のディスプレイ8上に表示画面81を表示させ、この表示画面81上に表示された座標空間(例えば図4に示す第一のグラフ811や第二のグラフ812と同様の座標空間)に指やタブレットペン等によって矩形を入力することで「行き」や「戻り」の加速表示、定速表示、減速表示を形成する構成としてもよい。
【0071】
この実施の形態においては、モータ動作状態管理装置1は、遊技機10の遊技機本体11に設けられた役物(図示せず)を作動させる第一のモータ13a、第二のモータ13bの動作状態を表示させ、第一のモータ13a、第二のモータ13bの制御命令を作成出力するための構成としたが、これに限られず、遊技機10以外の構成(例えばロボット等)に設けられたモータの動作状態を表示させ、そのモータを動作させるために用いられてもよい。
【0072】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1・・・モータ動作状態管理装置(モータ動作状態表示装置、モータ制御命令出力装置)
2・・・記録部(記録手段)
3・・・座標空間形成部(座標空間形成手段)
4・・・動作状態表示部(動作状態表示手段)
5・・・表示修正部(表示修正手段)
6・・・制御命令作成部(制御命令作成手段)
10・・・遊技機
13a・・・第一のモータ(モータ)
13b・・・第二のモータ(モータ)
21・・・座標空間データ
22・・・モータ動作データ
81・・・表示画面(表示手段)
22a111,22a121,22b111,22b121・・・加速表示(図形)
22a211,22a212,22a22,22b211,22b212・・・定速表示(図形)
22a311,22a321,22b311,22b321・・・減速表示(図形)
811・・・第一のグラフ
812・・・第二のグラフ
図1
図2
図3
図4