(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明基材上の前記凸部が三角柱状の凸部がスジ状に並んだプリズムパターン形状であり、その頂角の角度が85〜105度であり、谷となる部分の成す角度が85〜105度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示プレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、観察者の目視角度により金属光沢から色彩へ外観が変化する表示プレートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として請求項
1に記載の発明は、片方の面に微細な凸部が形成された平板状の透明基材と、
片側の面に所定形状の着色層が形成され、かつ、同じ面の前記着色層が形成されていない領域に接着層が形成されている平板状の基材と、
を備え、前記透明基材の微細な凸部が形成されていない面と前記基材の着色層および接着層が形成された面が対向するように配設され、該接着層が形成された領域で密着されていることを特徴とする表示プレート、としたものである。
【0008】
また、請求項
2に記載の発明は、片方の面に微細な凸部が形成された平板状の透明基材と、
片方の面に所定形状の着色層が形成され、かつ、前記着色層が形成されていない領域の裏側に接着層が形成されている平板状の透明あるいは半透明の基材と、
を備え、前記透明基材の凸部を有する面と前記基材の接着層が形成された面が対向するように配設され、該接着層が形成された領域で密着されていることを特徴とする表示プレート、としたものである。
【0009】
また、請求項
3に記載の発明は、片方の面に微細な凸部が形成された平板状の透明基材と、
片側の面に所定形状の着色層が形成され、かつ、前記着色層が形成されていない領域の裏側に接着層が形成されている平板状の透明あるいは半透明の基材と、
を備え、前記透明基材の微細な凸部が形成されていない面と前記基材の接着層が形成された面が対向するように配設され、該接着層が形成された領域で密着されていることを特徴とする表示プレート、としたものである。
【0010】
また、請求項
4に記載の発明は、前記透明基材上の前記凸部はスジ状であって、観察者との間の相対的な移動の方向に対して前記凸部のスジの方向が垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜
3のいずれかに記載の表示プレート、としたものである。
【0011】
また、請求項
5に記載の発明は、前記透明基材上の前記凸部が三角柱状の凸部がスジ状に並んだプリズムパターン形状であり、その頂角の角度が85〜105度であり、谷となる部分の成す角度が85〜105度であることを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載の表示プレート、としたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および3に記載の発明によれば、透明基材の片側に微細な凸部を形成し、前記凸部を有する面と対向するように着色層を持つ基材が密着されているので、正面から側面への観察者の移動によって、微細な凸部による反射の観察から着色層の観察へと切り替わる効果が生じる。
【0013】
請求項2および4に記載の発明によれば、透明基材の片側に微細な凸部を形成し、前記凸部を有さない面と対向するように、着色層を持つ基材が密着されているので、正面から側面への観察者の移動によって、着色層の観察から微細な凸部による反射の観察へと切り替わる効果が生じる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、スジ状の凸部のスジの方向が、観察者との間の相対的な移動の方向に対して垂直方向に形成されているため、観察者が観察する方向が正面方向から側面方向へ動くことによって、前記凸部からの光の観測角が変わり、着色層が観測できる効果が生じる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、前記凸部が三角柱状の凸部がスジ状に並んだプリズムパターン形状であり、その頂角の角度が85〜105度であり、谷となる部分の成す角度が85〜105度であるため、微細な凸部による反射の反射効率を高くでき、光沢度の高い表示プレートを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る表示プレートの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の表示プレートの第1実施形態の概略を示した側断面図である。平板状の基材1の一方の面に着色層2が積層され、着色層2と対向する面にプリズムパターン4を持つ透明基材5が接着層3を介して積層され、透明基材5の何も形成されていない面が観察者側にあるようになっているものである。目視方向7が観察側であり、移動方向8に沿って観察者の視線が動く。
【0019】
基材1としては、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等一般的な樹脂が利用できるが、長期間使用する表示プレートの場合は、耐熱性や耐環境性に優れているポリカーボネートが好ましい。あるいは、着色層2をより美しく発色させたい場合には、白色度の高いポリプロピレンまたは発泡ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンや発泡ポリプロピレンは軽量であるために、製造工程において加工等が容易で、製品時にも軽量である。また、ポリプロピレンを使用することにより廃棄燃焼時の環境負荷が小さいという効果が生じる。また、基材1は白以外の色で着色されていてもよい。
【0020】
この基材1上に、着色層2を形成する。着色層2としては、印刷に用いられる一般的なインキを使用することができる。着色層2を形成する方法としては、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等、適宜の印刷方法を用いることができる。
【0021】
この着色層2の形成の際に、所定の図形や文字などの絵柄を、着色層2で形成するようにしておく。すなわち基材1の片側の面には、着色層2が形成される領域と、着色層2が形成されない領域があることになる。また着色層2は1つの色だけではなく、複数の色で形成してもよい。
【0022】
次に、基材1の着色層2が形成されたと同じ面の、着色層2が形成されなかった領域に接着層3を形成する。接着層3の形成領域は、着色層2が形成されなかった領域全体であってもよいし、着色層2が形成されなかった領域の一部分であってもよい。
【0023】
接着層3としては、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤などを用いることができる。二液硬化型接着剤としては、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。これらは時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。さらに、接着層3としては、特に接着剤に限定することなく、両面テープや粘着剤、ホットメルトシート等を用いることも出来る。
【0024】
透明基材5としては、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等一般的な透明基材が利用できるが、本発明のように長期間使用する表示プレートの場合は、透明性、耐熱性や耐環境性に優れているポリカーボネートが好ましい。
【0025】
透明基材5の片方の面にはプリズムパターン4を形成し、もう片方の面は略平面とする。プリズムパターン4は、透明基材5上に三角柱状の凸部がスジ状に並んだものである。
【0026】
透明基材5とプリズムパターン4は押し出し法、キャスト法、もしくはインジェクション法で製造することができる。透明基材5は、厚みが12μm以上1mm以下のものを使用できる。厚みが12μm未満では剛性が無く、厚みが1mmを越えると加工に耐えうる柔軟性がない。
【0027】
また、透明基材5とプリズムパターン4はUV硬化法で製造してもよい。UV硬化法で作成する場合、シート状の基材である透明基材5上にUV硬化性の樹脂を塗布し、所望の形状の金型を押し当て、その後にUV照射して透明基材5とプリズムパターン4からなるシートを得る。透明基材5としては、当該分野でよく知られたPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アクリル、ポリプロピレンのフィルムなどが使用できる。
【0028】
視線の移動方向8は目視方向7の動く方向であり、プリズムパターン4の凸部の列に対して垂直方向(ねじれの位置)に設定されている。例えば観察者自身が移動方向8にそって移動することにより、プリズムパターン4からの目視角度が変わるため表示プレートの外観の色を変化させることが出来る。
【0029】
本発明の表示プレートの第1実施形態においては、透明基材5のプリズムパターン4の形成された面と、基材1の着色層2が形成された面が対向するようにして、接着層3により貼り合せされた構成となっている。この貼り合せの際、接着層3内の所定領域に、接着剤などが充填された領域31と、接着剤などがない空隙領域32がそれぞれ設けられている。
【0030】
ここで、接着剤などが充填された領域31において、接着剤とプリズムパターン4を形成している樹脂を、光学的な屈折率の値の近い組み合わせにしておくと、領域31を観察者が観察したとき視線の方向に関係なく常に基材1の色が観察される。
【0031】
なお、基材1の色を外観でそのまま表現したくない場合、接着材などが充填される領域31は、表示プレートの周縁部のみに形成されるようにしておくなどすればよい。あるいは接着材が充填される領域31は全く設けずに、平板状の基材1の上に透明基材5を重ね置きした状態で、フレームにはめ込んだりネジ止めしたりしてもよい。
【0032】
一方、接着剤などが充填されていない空隙領域32においては、空気などが存在するか真空状態であり、プリズムパターン4を形成している樹脂とは光学的な屈折率の値が大きく異なっている。そのため、観察者側の領域32上からプリズムパターン4に入射した光のうち、一部はプリズムパターン4内部で反射してそのまま観測者の側に戻り、別の一部はプリズムパターン4を透過して着色層2あるいは基材1の表面で反射されてから観察者の側に戻る。
【0033】
すなわち、観察者が本実施形態の表示プレートの正面から側面へ移動した場合、プリズムパターン4内部の反射光の観察から着色層2や基材1の観察へと切り替わる効果が生じる。白色光を用いて観察した場合、プリズムパターン4内部からの反射光の観察は光沢のある金属のような質感であり、着色層2や基材1の観察はやや光沢がありつつ着色層2や基材1の色が透けて見える質感である。
【0034】
図2は、本発明の表示プレートの第2実施形態の概略を示した側断面図である。一方の面に着色層2が積層された平板状の基材1の上に、接着層3を介して、一方の面にプリズムパターン4が形成された透明基材5が、プリズムパターン4が形成されている面が観察者側にあるように積層されたものである。目視方向7が観察側であり、移動方向8に沿って観察者の視線が動く。
【0035】
各層1〜5の材質や形成方法は、ほとんど第1実施形態と同様であるが、一方の面にプリズムパターン4が形成された透明基材5を、接着層3を介して、プリズムパターン4が形成されている面が観察者側にあるように基材と貼り合わせる、という箇所が異なっている。
【0036】
第1実施形態と同様に、基材1上の着色層2で所定の図形や文字などの絵柄を形成しておく。すなわち基材1の片側の面には、着色層2が形成される領域と、着色層2が形成されない領域があることになる。また着色層2は1つの色だけではなく、複数の色で形成してもよい。
【0037】
次に、基材1の着色層2が形成されたと同じ面の、着色層2が形成されなかった領域に接着層3を形成する。接着層3の形成領域は、着色層2が形成されなかった領域全体であってもよいし、着色層2が形成されなかった領域の一部分であってもよい。
【0038】
ここで、接着剤などが充填された領域31において、透明基材5と接着層3で使用された接着剤などを、光学的な屈折率の値の近い組み合わせにしておくと、領域31を観察者が観察したとき視線の方向に関係なく常に基材1の色が観察される。
【0039】
なお、基材1の色を外観でそのまま表現したくない場合、接着材などが充填される領域31は、表示プレートの周縁部のみに形成されるようにしておくなどすればよい。あるいは接着材が充填される領域31は全く設けずに、平板状の基材1の上に透明基材5を重ね置きした状態で、フレームにはめ込んだりネジ止めしたりしてもよい。
【0040】
一方、接着剤などが充填されていない空隙領域32においては、空気などが存在するか真空状態であり、透明基材5とは光学的な屈折率の値が大きく異なっている。そのため、領域63からプリズムパターン4に入射した光のうち、一部はプリズムパターン4表面で反射してそのまま観測者の側に戻り、別の一部はプリズムパターン4および透明基材5を透過して着色層2あるいは基材1の表面で反射されてから観察者の側に戻る。
【0041】
すなわち、観察者が本実施形態の表示プレートの正面から側面へ移動した場合、着色層2や基材1の観察からプリズムパターン4表面の反射光の観察へと切り替わる効果が生じる。白色光を用いて観察した場合、プリズムパターン4表面からの反射光の観察は光沢のある金属のような質感であり、着色層2や基材1の観察はやや光沢がありつつ着色層2や基材1の色が透けて見える質感である。
【0042】
図3は、本発明の表示プレートの第3実施形態の概略を示した側断面図である。平板状の基材1の一方の面に着色層2が積層され、着色層2が形成されていないほうの面と、プリズムパターン4を持つ透明基材5が接着層3を介して積層され、透明基材5の何も形成されていない面が観察者側にあるようになっているものである。目視方向7が観察側であり、移動方向8に沿って観察者の視線が動く。
【0043】
各層1〜5の材質や形成方法は、ほとんど第1実施形態と同様であるが、着色層2が、基材1の透明基材5と対向している面と反対側の面に形成されている、という箇所が異なっている。また、観察者側からみて着色層2の色が見えるように、基材1は透明や半透明のものを用いることが望ましい。
【0044】
第1実施形態と同様に、基材1上の着色層2で所定の図形や文字などの絵柄を形成しておく。すなわち基材1の片側の面には、着色層2が形成される領域と、着色層2が形成されない領域があることになる。また着色層2は1つの色だけではなく、複数の色で形成してもよい。
【0045】
次に、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面に、接着層3を形成する。接着層3の形成領域は、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面全体であってもよいし、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面の一部分であってもよい。
【0046】
ここで、接着剤などが充填された領域31において、透明基材5と接着層3で使用された接着剤などを、光学的な屈折率の値の近い組み合わせにしておくと、領域31を観察者が観察したとき視線の方向に関係なく常に基材1の色が観察される
【0047】
なお、基材1の色を外観でそのまま表現したくない場合、接着材などが充填される領域31は、表示プレートの周縁部のみに形成されるようにしておくなどすればよい。あるいは接着材が充填される領域31は全く設けずに、平板状の基材1の上に透明基材5を重ね置きした状態で、フレームにはめ込んだりネジ止めしたりしてもよい。
【0048】
一方、接着剤などが充填されていない空隙領域32においては、空気などが存在するか真空状態であり、プリズムパターン4を形成している樹脂とは光学的な屈折率の値が大きく異なっている。そのため、観察者側の領域32上からプリズムパターン4に入射した光のうち、一部はプリズムパターン4内部で反射してそのまま観測者の側に戻り、別の一部はプリズムパターン4を透過して着色層2あるいは基材1の表面で反射されてから観察者の側に戻る。
【0049】
すなわち、観察者が本実施形態の表示プレートの正面から側面へ移動した場合、プリズムパターン4内部の反射光の観察から着色層2や基材1の観察へと切り替わる効果が生じる。白色光を用いて観察した場合、プリズムパターン4内部からの反射光の観察は光沢のある金属のような質感であり、着色層2や基材1の観察はやや光沢がありつつ着色層2や基材1の色が透けて見える質感である。
【0050】
図4は、本発明の表示プレートの第4実施形態の概略を示した側断面図である。
一方の面に着色層2が積層された平板状の基材1と、一方の面にプリズムパターン4が形成された透明基材5が、互いに、着色層2が積層されていない面とプリズムパターン4が形成されていない面が対向するように、接着剤層3を介して積層されたものである。したがって、プリズムパターン4は、形成されている面が観察者側にあるように積層されている。目視方向7が観察側であり、移動方向8に沿って観察者の視線が動く。
【0051】
各層1〜5の材質や形成方法は、ほとんど第2実施形態と同様であるが、着色層2が、基材1の透明基材5と対向している面と反対側の面に形成されている、という箇所が異なっている。また、観察者側からみて着色層2の色が見えるように、基材1は透明や半透明のものを用いることが望ましい。
【0052】
第1実施形態と同様に、基材1上の着色層2で所定の図形や文字などの絵柄を形成しておく。すなわち基材1の片側の面には、着色層2が形成される領域と、着色層2が形成されない領域があることになる。また着色層2は1つの色だけではなく、複数の色で形成してもよい。
【0053】
次に、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面に、接着層3を形成する。接着層3の形成領域は、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面全体であってもよいし、着色層2が形成されなかった領域の裏側の面の一部分であってもよい。
【0054】
ここで、接着剤などが充填された領域31において、透明基材5と接着層3で使用された接着剤などを、光学的な屈折率の値の近い組み合わせにしておくと、領域31を観察者が観察したとき視線の方向に関係なく常に基材1の色が観察される
【0055】
なお、基材1の色を外観でそのまま表現したくない場合、接着材などが充填される領域31は、表示プレートの周縁部のみに形成されるようにしておくなどすればよい。あるいは接着材が充填される領域31は全く設けずに、平板状の基材1の上に透明基材5を重ね置きした状態で、フレームにはめ込んだりネジ止めしたりしてもよい。
【0056】
一方、接着剤などが充填されていない空隙領域32においては、空気などが存在するか真空状態であり、透明基材5とは光学的な屈折率の値が大きく異なっている。そのため、領域63からプリズムパターン4に入射した光のうち、一部はプリズムパターン4表面で反射してそのまま観測者の側に戻り、別の一部はプリズムパターン4および透明基材5を透過して着色層2あるいは基材1の表面で反射されてから観察者の側に戻る。
【0057】
すなわち、観察者が本実施形態の表示プレートの正面から側面へ移動した場合、着色層2や基材1の観察からプリズムパターン4表面の反射光の観察へと切り替わる効果が生じる。白色光を用いて観察した場合、プリズムパターン4表面からの反射光の観察は光沢のある金属のような質感であり、着色層2や基材1の観察はやや光沢がありつつ着色層2や基材1の色が透けて見える質感である。
【0058】
以上の第1〜4実施形態の説明において、透明基材5の片方の面に形成される凸部の形状は、三角柱状のプリズムパターンとしたが、それ以外の形状であってもよい。すなわち、例えば、
図5(a)〜(c)のような断面形状の凸部であってもよい。
【0059】
図5(a)は三角柱状のプリズムパターンであるが、三角柱状の各凸部の間に間隙がある場合を示している。
図1〜4においては、三角柱状のプリズムパターンが隙間なく形成された場合を示していたが、
図5(a)のように三角柱状の各凸部の間に間隙を設けておき、その内層の接着層3が空隙領域32になるようにすると、この領域の見え方は、光沢の度合いがやや弱くなり、最も光沢の強いときでも着色層の色が少し見えているという状態になる。この三角柱状の凸部の形状、サイズ、および間隙の幅を、適宜設計することにより、光沢の度合いや、着色層が透けて見えるときの色の濃さを調整することが可能である。
【0060】
また、透明基材5の片方の面に形成される凸部の形状は、
図5(b)のような蒲鉾形状や、
図5(c)のような角の丸い四角柱形状や、その他、角の丸い三角柱形状、半円柱形状など適宜の形状を選ぶことが可能である。さらに、各凸部の形状、サイズ、および間隙の幅を、適宜設計することにより、光沢の度合いや、着色層が透けて見えるときの色の濃さを調整することが可能である。
【実施例1】
【0061】
図1に示した本発明の表示プレートの第1実施形態の構成を用いた場合の、具体的な実施例を以下で説明する。すなわち、基材1の一方の面に、着色層2、接着層3、プリズムパターン4を持つ透明基材5を順に積層した表示プレートを作製する。
【0062】
基材1は板厚400μmの発泡ポリプロピレン(商品名 RMM400;株式会社ユポ・コーポレーション)を用いた。この発泡ポリプロピレンは、白色度が90%である。
【0063】
白色度とは、パルプおよび紙などの表面色の白さの程度を示す指標である。白色度の測定は、試験片の表面に光を当てたときに、反射した光の反射率を数値化して表わしたものである。100%で真っ白になり、数値が大きくなるほど白くなる。本発明に用いる基材1の白色度は80%以上が好ましい。80%以下だと基材上に設ける着色層の彩度に影響が出る。
【0064】
着色層2とは、基材1上で模様等が描かれているインキ層のことである。インキ層に使用されるインキとして、印刷に用いられる一般的なインキを使用することができる。またインキ層を形成する方法として、凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等が利用できる。
【0065】
本実施例の着色層2は、基材1である発泡ポリプロピレンの一方の面の上に、スクリーン印刷用インキ(レイキュアーPP 4900;十条ケミカル製)を用いてスクリーン印刷で形成した。
【0066】
透明基材5の片面に紫外線硬化型樹脂を用いてプリズムパターン4を形成した。透明基材5としては、たとえばアクリル樹脂,MS樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリオレフィン樹脂,塩化ビニル樹脂,ポリイミド樹脂、または上記樹脂の混合物からなるシート、フィルム、およびガラス板などから適宜選択して使用することができる。
【0067】
ここで、成形型からの離型性を考慮すると、可撓性に富んだアクリル樹脂,MS樹脂,ポリカーボネート樹脂などが望ましい。
【0068】
また、プリズムパターン4を形成するための紫外線硬化型樹脂液としては、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー,反応希釈剤,光重合開始剤,光増感剤の成分を含む組成物が挙げられる。
【0069】
紫外線硬化型樹脂を、プリズムパターン4を構成する微細凹凸形状を反転した形状が設けられた成形型上に、任意に塗布する工程と、成形型上に塗布した紫外線硬化型樹脂をロールでスムージングおよび脱泡する工程と、塗布成形した成形型上に透光性基材を積層し、透光性基材側より加圧ロールを用いてしごき基材と上記樹脂を密着させる工程と、透光性基材側より紫外線を照射し硬化させる工程と、硬化した紫外線硬化型樹脂と透光性基材とを一体化する重合接着工程と、硬化した紫外線硬化樹脂を成形型より離型する工程を含む製造方法である。
【0070】
前記ロールによるスムージングおよび脱泡工程は、成形型上に任意に塗布した紫外線硬化型樹脂を、ロールを使用してスムージングすることにより、樹脂を平面化し、さらに紫外線硬化樹脂内に存在する気泡をプリズムパターンとして有効な面積の外側に押し出すことで脱泡する工程である。
【0071】
加圧ロールによる基材と樹脂の密着工程は、工程を経て、薄く平面化された紫外線硬化型樹脂上に、透明基材5を積層したあとに、透明基材5側より加圧ロールでしごくことで、透明基材5と紫外線硬化型樹脂とを密着させることができる。
【0072】
さらに前記工程で残留した気泡の脱泡を行うことも可能である。この際、樹脂層の厚みは加圧ロールの移動速度および押し圧を適宜変化することにより調節が可能となる。
【0073】
紫外線による樹脂液硬化工程および重合密着工程は、透明基材5側より紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂を反応硬化させ、硬化した紫外線硬化樹脂と透明基材を重合密着させる。
【0074】
最後に成形型からの基材剥離工程として、透明基材5と重合密着された紫外線硬化型樹脂の硬化物を、成形型より剥離することで、透明基材5上にプリズムパターン4が転写された光学物品を得る。
【0075】
上記で得られた基材1に着色層2を積層したものと、透明基材5の一方の面にプリズムパターン4を形成したものを粘着剤3で密着させた。このとき、プリズムパターンの突起列が観察者の視線の移動方向に対して垂直方向に形成されるようにした。
【0076】
以上の工程によって、観察者の目視角度により金属光沢から色彩へ外観が変化する、銘板が得られた。
【実施例2】
【0077】
図3に示した本発明の表示プレートの第3実施形態の構成を用いた場合の、具体的な実施例を以下で説明する。すなわち、基材1の一方の面に着色層2が、もう一方の面に接着層3が積層され、プリズムパターン4を持つ透明基材5が接着層3の上に積層されており、着色層2以外が透明な表示プレートを作製する。
【0078】
基材1は板厚100μmのポリエチレンテレフタレートを用いた。
【0079】
着色層2とは、基材1上で模様等が描かれているインキ層のことである。インキ層に使用されるインキとして、印刷に用いられる一般的なインキを使用することができる。またインキ層を形成する方法として、凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等が利用できる。
【0080】
本実施例の着色層2は、基材1であるポリエチレンテレフタレートの一方の面の上に、スクリーン印刷用インキ(レイキュアーPP 4900;十条ケミカル製)を用いてスクリーン印刷で形成した。
【0081】
透明基材5の片面に紫外線硬化型樹脂を用いてプリズムパターン4を形成した。透明基材5としては、たとえばアクリル樹脂,MS樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリオレフィン樹脂,塩化ビニル樹脂,ポリイミド樹脂、または上記樹脂の混合物からなるシート、フィルム、およびガラス板などから適宜選択して使用することができる。
【0082】
ここで、成形型からの離型性を考慮すると、可撓性に富んだアクリル樹脂,MS樹脂,ポリカーボネート樹脂などが望ましい。
【0083】
また、プリズムパターン4を形成するための紫外線硬化型樹脂液としては、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー,反応希釈剤,光重合開始剤,光増感剤の成分を含む組成物が挙げられる。
【0084】
紫外線硬化型樹脂を、プリズムパターン4を構成する微細凹凸形状を反転した形状が設けられた成形型上に、任意に塗布する工程と、成形型上に塗布した紫外線硬化型樹脂をロールでスムージングおよび脱泡する工程と、塗布成形した成形型上に透光性基材を積層し、透光性基材側より加圧ロールを用いてしごき基材と上記樹脂を密着させる工程と、透光性基材側より紫外線を照射し硬化させる工程と、硬化した紫外線硬化型樹脂と透光性基材とを一体化する重合接着工程と、硬化した紫外線硬化樹脂を成形型より離型する工程を含む製造方法である。
【0085】
前記ロールによるスムージングおよび脱泡工程は、成形型上に任意に塗布した紫外線硬化型樹脂を、ロールを使用してスムージングすることにより、樹脂を平面化し、さらに紫外線硬化樹脂内に存在する気泡をプリズムパターンとして有効な面積の外側に押し出すことで脱泡する工程である。
【0086】
加圧ロールによる基材と樹脂の密着工程は、工程を経て、薄く平面化された紫外線硬化型樹脂上に、透明基材5を積層したあとに、透明基材5側より加圧ロールでしごくことで、透明基材5と紫外線硬化型樹脂とを密着させることができる。
【0087】
さらに前記工程で残留した気泡の脱泡を行うことも可能である。この際、樹脂層の厚みは加圧ロールの移動速度および押し圧を適宜変化することにより調節が可能となる。
【0088】
紫外線による樹脂液硬化工程および重合密着工程は、透明基材5側より紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂を反応硬化させ、硬化した紫外線硬化樹脂と透明基材を重合密着させる。
【0089】
最後に成形型からの基材剥離工程として、透明基材5と重合密着された紫外線硬化型樹脂の硬化物を、成形型より剥離することで、透明基材5上にプリズムパターン4が転写された光学物品を得る。
【0090】
上記で得られた基材1に着色層2を積層したものと、透明基材5の一方の面にプリズムパターン4を形成したものを粘着剤3で密着させた。このとき、プリズムパターンの突起列が観察者の視線の移動方向に対して垂直方向に形成されるようにした。
【0091】
以上の工程によって、観察者の目視角度により金属光沢から色彩へ外観が変化する、着色層2以外が透明な銘板が得られた。