【実施例】
【0022】
(基板の準備)
本発明で使用する透明基板1としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂基板が用いられる。透明性、強度、耐熱性、耐候性において優れた200cm×150cmサイズのガラス基板を用いた。
【0023】
(ブラックマトリックスの作製)
BM2は、基板1上に着色画素がデルタ配列するので、マトリクス状に設ける。基板1の表面を多数の領域に区分けすると共に、この多数の領域のそれぞれに規則的に配置される着色画素から出射する光の混色を防止する機能を有するものである。
【0024】
着色画素間に
凹み7が生じないように予め底上げしておく材料としてBM硬化物を使う場合には、通常のフォトマスクを用いて定法のフォトリソ工程を行いBM2を形成し、その後、
凹み埋設用の専用パターンを有するフォトマスクを用いてBM上にさらに所定の厚み分積層した(
図3(b)参照)。
下記に記載のネガ型の黒色感光性樹脂を使う場合には、
凹みのサイズよりも5μmほど大きく設定した15μ×12μmの開口部を有する専用フォトマスクを使って露光をした。
尚、着色画素用の感光性樹脂で
凹みを埋設する場合には、BMを積層する必要はない。
【0025】
BM形成用感光性組成物は下記の材料を混合して調合した。
・カーボンブラック分散液:TPBK−2016(御国色素社製) 28.5重量部
・樹脂:V259−ME(新日鐵化学社製) 10.3重量部
・モノマー:DPHA(日本化薬社製) 2.58重量部
・開始剤:OXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.86重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 92.0重量部
エチル−3−エトキシプロピオネート 4.3重量部
・レベリング剤:BYK−330(ビックケミー社製) 1.3重量部
【0026】
ガラス基板1に、上記BM形成用感光性組成物をスロットコート法により塗膜を形成し
、100℃で3分間乾燥の後、膜厚1.5μmの黒色感光層を作製した。その後、得られた黒色感光層にBM用フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を200mJ/cm
2照射し、2.5%炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間現像、現像後水洗、乾燥させた後、パターンを定着させるため230℃60分焼成することで、基板1の所定位置にマトリクス状の線幅6μmのBM2を形成した(
図3(b))。
【0027】
<
凹み部の埋設>
その後、
凹み埋設用の専用フォトマスクを用いて、BM2から所定の面積だけ延在する補正パターン11を上記フォトリソ工程を繰り返して形成した。埋設部樹脂硬化物の仕上がりのサイズは10μm×7μm、厚み1μmとなっていた。
【0028】
<カラーフィルタの形成>
感光性の着色材料硬化物で
凹みを埋める場合には、最初に形成する着色画素を赤にする場合には、赤色画素と埋設部位を同時に形成するが、そのために通常の着色用のフォトマスクに補正を加えたものを使用する。
図3(a)に示すように、赤色画素3の辺から突出する補正パターン10を加えたフォトマスクを使用した。辺部分は、現像時直線的に溶出するだけで丸みを帯びるように溶出することがないからである。尚、補正部位のパターン形状は
図3(a)のように四角形形状でも良いし、あるいは凹みに沿うように三角形形状とすることも可能である。あるいは、角部を突出するような補正したマスクを使っても構わない。引き続く緑画素形成工程、青画素形成工程の時点でもそれぞれ対応する
凹み部分が埋設される。
【0029】
<赤色感光性組成物の調整>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
・赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 18重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
・赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 2重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
・分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 2重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 50重量部
【0030】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色感光性組成物を得た。
・上記分散体 72重量部
・樹脂:熱可塑性アクリル系樹脂 28重量部
・モノマー:DPHA(日本化薬社製) 12重量部
・開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
3重量部
・増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 1重量部
・溶剤:シクロヘキサノン 253重量部
【0031】
<赤色画素形成>
BM2が形成されたガラス基板1上に、上記赤色感光性組成物をスリットコート法により塗膜を形成し、90℃で5分間乾燥の後、膜厚2μmの赤色感光層を作製した。 得られた赤色感光層に赤層形成用のデルタ状フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を300mJ/cm
2 照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像、現像後水洗、乾燥させた後、パターンを定着させるため230℃30分焼成することで、所定部位に突出した補正パターン10を有する赤色画素3(
図3(a))を形成した。
アルカリ現像液は、下記の組成のものを使用した。
・炭酸ナトリウム 1.5重量部
・炭酸水素ナトリウム 0.5重量部
・陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0重量部
・水 90重量部
【0032】
次に、緑色画素を形成する。この場合にも、補正部を設けたマスクを使用する。
<緑色感光性組成物の調整>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
・緑色顔料:C.I.Pigment Green 36
(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」) 16重量部
・黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 150
(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」) 8重量部
・分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk-163」) 2重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 102重量部
【0033】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して緑色感光性組成物を得た。
・上記分散体 128重量部
・樹脂:熱可塑性アクリル系樹脂 29重量部
・モノマー:DPHA(日本化薬社製) 14重量部
・開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
4重量部
・増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 2重量部
・溶剤:シクロヘキサノン 257重量部
【0034】
<緑色画素形成>
BM2および赤色画素3が形成されたガラス基板1に、上記緑色感光性組成物をスリットコート法により塗膜を形成し、90℃で5分間乾燥の後、膜厚2μmの緑色感光層を作製した。 得られた緑色感光層に緑層形成用のストライプ状フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を300mJ/cm
2 照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像、現像後水洗、乾燥させた後、パターンを定着させるため230℃30分焼成することで、補正の加えられた緑色画素4を形成した。アルカリ現像液は、上記着色画素形成と同じ組成のものを使用した。
【0035】
<青色感光性組成物の調整>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
・青色顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」) 3.6重量部
・分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 0.6重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 22.1重量部
【0036】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色感光性組成物を得た。
・上記分散体 28.3重量部
・樹脂:熱可塑性アクリル系樹脂 9.4重量部
・モノマー:DPHA(日本化薬社製) 4.7重量部
・開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1.4重量部
・増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 0.2重量部
・溶剤:シクロヘキサノン 26重量部
2−アセトキシ−1−メトキシプロパン 11重量部
酢酸イソペンチル 20重量部
【0037】
<青色画素形成>
BM2と赤色画素3、および緑色画素5が形成されたガラス基板1に、上記青色感光性組成物をスリットコート法により塗膜を形成し、90℃で5分間乾燥の後、膜厚2μmの青色感光層を作製した。 得られた青色感光層に青層形成用のストライプ状フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を300mJ/cm
2 照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像、現像後水洗、乾燥させた後、パターンを定着させるため230℃30分焼成することで、青色画素5を形成した(
図3(b))。アルカリ現像液は、上記着色層と同じ組成のものを使用した。
【0038】
以上の工程で、ガラス基板1上にBM2、赤色画素3、緑色画素4および青色画素5からなるカラーフィルタが形成された。
【0039】
<透明電極の形成>
次に、前記カラーフィルタ上に、スパッターリング法を用いて、インジウム錫酸化物(ITO)を透明電極層6として、1400Å積層し、その後210℃で30分の焼成した。
着色画素に補正パターンを入れた場合と
凹み部分にBMを積層した場合には、
凹みを起点にITOクラックが入ることはなかった。ITOの厚みは、概ね1400Åであった。
凹みを埋設しなかった場合には、
凹みのITO厚みは概ね900Å程度でクラックの発生が見られた。