特許第5724265号(P5724265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JSR株式会社の特許一覧

特許5724265感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び重合体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724265
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び重合体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20150507BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20150507BHJP
   C08F 20/22 20060101ALI20150507BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   G03F7/039 601
   G03F7/004 501
   C08F20/22
   H01L21/30 502R
【請求項の数】9
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2010-208700(P2010-208700)
(22)【出願日】2010年9月17日
(65)【公開番号】特開2011-85927(P2011-85927A)
(43)【公開日】2011年4月28日
【審査請求日】2013年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2009-218175(P2009-218175)
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】川上 峰規
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光央
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松田 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 浩光
(72)【発明者】
【氏名】中原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】大泉 芳史
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−032994(JP,A)
【文献】 特開2010−277043(JP,A)
【文献】 特開2010−197413(JP,A)
【文献】 特開2009−175363(JP,A)
【文献】 特開2009−092880(JP,A)
【文献】 特開2009−098687(JP,A)
【文献】 特開2009−197184(JP,A)
【文献】 特開2008−268743(JP,A)
【文献】 特開2009−019199(JP,A)
【文献】 特開2009−069814(JP,A)
【文献】 特開2010−210953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/039
C08F 20/22
G03F 7/004
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸解離性基を有するフッ素原子含有量5質量%未満の重合体(A)と、放射線照射により酸を発生する酸発生剤(B)と、下記一般式(x)で表される官能基を有するフッ素原子含有量5質量%以上の重合体(C)と、を含有し、
前記重合体(A)が、下記一般式(a−1)で表される構造単位を有さず、
前記重合体(C)が、下記一般式(c−2)で表される繰り返し単位を有する感放射線性樹脂組成物。
【化1】
[一般式(x)中、Aは、酸素原子(但し、芳香環、カルボニル基又はスルホニル基に直結するものを除く。)、イミノ基又は−CO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)を示す。Rは、アルカリ現像液の作用により解離するアルカリ解離性基であり、Aが酸素原子又はイミノ基の場合、Rは下記一般式(R1−1)で表される基を示し、Aが−CO−O−*の場合、Rは下記一般式(1)〜(3)のいずれかの式で表される基を示す。
【化2】
[一般式(R1−1)中、Rは、少なくとも1の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基を示す。]
【化3】
[一般式(1)及び(2)中、R10はハロゲン原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、アシル基若しくはアシロキシ基を示し、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。mは0〜5の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。一般式(3)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。また、R11及びR12が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子とともに炭素数4〜20の脂環式構造を形成してもよい。]
【化4】
[一般式(a−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、Rは2価の連結基、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基を示す。]
【化5】
[一般式(c−2)中、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Gは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−又は−O−CO−NH−を示す。Rは少なくとも1の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜6のフッ素置換鎖状炭化水素基又は少なくとも1の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数4〜20のフッ素置換環状炭化水素基を示す。]
【請求項2】
前記重合体(C)が、下記一般式(c−1)で表される繰り返し単位を有する重合体である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化6】
[一般式(c−1)中、及びAは一般式(x)の説明と同義である。は単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の環状炭化水素基を示す。Xは単結合、ジフルオロメチレン基又は炭素数2〜20の直鎖状若しくは分岐状のパーフルオロアルキレン基を示す。Rは炭素数が1〜20の(n+1)価の炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Eは酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。nは1〜3の整数を示す。但し、nが2又は3の場合、R、R、X及びAは相互に独立である。]
【請求項3】
前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a)で表される繰り返し単位を有する重合体である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化7】
[一般式(c−1a)中、及びAは一般式(x)の説明と同義であり、R、R、R、X及びnは一般式(c−1)の説明と同義である。]
【請求項4】
前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a−1)で表される繰り返し単位を有する重合体である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化8】
[一般式(c−1a−1)中、R、R、R、X及びnは一般式(c−1)の説明と同義である。R一般式(R1−1)の説明と同義である。]
【請求項5】
前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a−2)で表される繰り返し単位を有する重合体である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化9】
[一般式(c−1a−2)中、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。R31はメチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の2価の環状炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。R上記一般式(1)〜(3)のいずれかの式で表される基を示す。]
【請求項6】
前記重合体(A)100質量部に対し、前記重合体(C)を0.1〜20質量部含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
液浸露光用の感放射線性樹脂組成物である請求項1〜のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
基板上に、請求項1〜のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物からなるレジスト被膜を形成する被膜形成工程(1)と、
マスクパターンを介して前記レジスト被膜に放射線を照射し、前記レジスト被膜を露光させる露光工程(2)と、
露光された前記レジスト被膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程(3)と、を備えるレジストパターン形成方法。
【請求項9】
前記露光工程(2)が、前記被膜形成工程(1)で形成されたレジスト被膜上に液浸露光液を配置し、前記液浸露光液を介して前記レジスト被膜を露光させるものである請求項に記載のレジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学増幅型レジスト、特に液浸露光用のレジストとして好適に用いることができる感放射線性樹脂組成物、当該組成物を用いたレジストパターン形成方法及び当該組成物の構成成分となるフッ素を含有する重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、酸解離性基を有する重合体を含む樹脂組成物によって基板上にレジスト被膜を形成し、マスクパターンを介してそのレジスト被膜に短波長の放射線(エキシマレーザー等)を照射して露光させ、露光部をアルカリ現像で除去することにより微細なレジストパターンを形成することが行われている。この際、樹脂組成物中に放射線照射により酸を発生する感放射線性酸発生剤を含有させ、その酸の作用により感度を向上させた「化学増幅型レジスト」が利用されている。
【0003】
また、更に微細なレジストパターン(例えば、線幅45nm程度)を形成する方法として、「液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィ)」の利用が拡大しつつある。この方法では露光光路空間(レンズとレジスト被膜との間)を空気や不活性ガスに比して屈折率(n)が大きい液浸露光液(例えば、純水、フッ素系不活性液体等)で満たした状態で露光を行う。従って、レンズの開口数(NA)を増大させた場合でも、焦点深度が低下し難く、しかも高い解像性が得られるという利点がある。
【0004】
そして、前記液浸露光法に用いられる樹脂組成物としては、レジスト被膜から液浸露光液への酸発生剤等の溶出を防止し、レジスト被膜の水切れを良くすることを目的として、疎水性が高いフッ素含有重合体を含有せしめた樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
更に、レジスト被膜の疎水化に伴う未露光部の現像欠陥等を抑制することを目的として、液浸露光時には疎水性で、アルカリ現像時には親水性となるフッ素含有重合体、具体的には、フェノール性水酸基に疎水性が高いフルオロアシル基を導入したフッ素含有重合体も提案されている(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2007/116664A号
【特許文献2】特開2009−132843号公報
【特許文献3】特開2009−139909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2,3に示すフッ素含有重合体は、液浸露光時にはフルオロアシル基により疎水性が発揮される一方、アルカリ現像時にはそのフルオロアシル基が除去されてフェノール性水酸基による親水性が発揮される。従って、未露光部の現像欠陥を抑制する効果を期待できる。
【0008】
しかしながら、特許文献2,3に示すようなフッ素含有重合体は、未露光部の現像欠陥を抑制する効果をある程度は発揮するものの、現像時におけるスカムの発生、現像後のパターン形状がラウンドトップ形状となる等の不具合があった。
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、液浸露光時における疎水性を確保しつつアルカリ現像時における親水性を向上させることができ、未露光部の現像欠陥を抑制し得ることに加えて、現像後のパターン形状に優れるレジスト塗膜を与えることが可能な感放射線性樹脂組成物、当該組成物を用いたレジストパターン形成方法、当該組成物の構成成分となるフッ素含有重合体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、重合体のフェノール性水酸基以外の親水性基(アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)がアルカリ解離性基によって修飾されたフッ素含有重合体を感放射線性樹脂組成物の構成成分とすることによって、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により、以下の感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及びフッ素を含有する重合体が提供される。
【0011】
[1] 酸解離性基を有するフッ素原子含有量5質量%未満の重合体(A)と、放射線照射により酸を発生する酸発生剤(B)と、下記一般式(x)で表される官能基を有するフッ素原子含有量5質量%以上の重合体(C)と、を含有する感放射線性樹脂組成物。
【化1】
[一般式(x)中、Rはアルカリ解離性基、Aは酸素原子(但し、芳香環、カルボニル基及びスルホキシル基に直結するものを除く。)、イミノ基、−CO−O−*又は−SO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)を示す。]
【0012】
[2] 前記重合体(C)が、下記一般式(c−1)で表される繰り返し単位を有する重合体である前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】
[一般式(c−1)中、Rはアルカリ解離性基、Aは酸素原子、イミノ基、−CO−O−*又は−CO−O−*又は−SO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)、Rは単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の環状炭化水素基、Xは単結合、ジフルオロメチレン基又は炭素数2〜20の直鎖状若しくは分岐状のパーフルオロアルキレン基を示す。Rは炭素数が1〜20の(n+1)価の炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Eは酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基、nは1〜3の整数を示す。但し、nが2又は3の場合、R、R、X及びAは相互に独立である。]
【0013】
[3] 前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a)で表される繰り返し単位を有する重合体である前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化3】
[一般式(c−1a)中、R、R、R、R、X及びAは一般式(c−1)の説明と同義である。]
【0014】
[4] 前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a−1)で表される繰り返し単位を有する重合体である前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化4】
[一般式(c−1a−1)中、R、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基を示す。]
【0015】
[5] 前記重合体(C)が、下記一般式(c−1a−2)で表される繰り返し単位を有する重合体である前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化5】
[一般式(c−1a−2)中、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。R31はメチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の2価の環状炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Rは下記式(1)〜(3)で表される基のうちいずれかを示す。]
【化6】
[一般式(1)及び(2)中、R10はハロゲン原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、アシル基若しくはアシロキシ基を示し、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。m1は0〜5の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。一般式(3)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R11及びR12が互いに結合して炭素数4〜20の脂環式構造を形成してもよい。]
【0016】
[6] 前記重合体(C)が、更に下記一般式(c−2)で表される繰り返し単位又は下記一般式(c−3)で表される繰り返し単位を有する重合体である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
【化7】
[一般式(c−2)中、Rは一般式(c−1)の説明と同義である。Gは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、Rは少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数1〜6のフッ素置換鎖状炭化水素基又は少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数4〜20のフッ素置換環状炭化水素基を示す。]
【化8】
[一般式(c−3)中、R及びAは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは水素原子又は酸解離性基、Rは一般式(c−1)のRと、Rは一般式(c−1)のRと、Xは一般式(c−1)のXと、各々同義である。mは1〜3の整数を示す。但し、mが2又は3の場合、R、R、X及びAは相互に独立である。]
【0017】
[7] 前記重合体(A)100質量部に対し、前記重合体(C)を0.1〜20質量部含有する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
【0018】
[8] 液浸露光用の感放射線性樹脂組成物である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
【0019】
[9] 基板上に、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物からなるレジスト被膜を形成する被膜形成工程(1)と、マスクパターンを介して前記レジスト被膜に放射線を照射し、前記レジスト被膜を露光させる露光工程(2)と、露光された前記レジスト被膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程(3)と、を備えるレジストパターン形成方法。
【0020】
[10] 前記露光工程(2)が、前記被膜形成工程(1)で形成されたレジスト被膜上に液浸露光液を配置し、前記液浸露光液を介して前記レジスト被膜を露光させるものである前記[9]に記載のレジストパターン形成方法。
【0021】
[11] 下記一般式(c−1)で表される繰り返し単位を有する重合体。
【化9】
[一般式(c−1)中、Rはアルカリ解離性基、Aは酸素原子、イミノ基、−CO−O−*又は−CO−O−*又は−SO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)、Rは単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の環状炭化水素基、Xは単結合、ジフルオロメチレン基又は炭素数2〜20の直鎖状若しくは分岐状のパーフルオロアルキレン基を示す。Rは炭素数が1〜20の(n+1)価の炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Eは酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基、nは1〜3の整数を示す。但し、nが2又は3の場合、R、R、X及びAは相互に独立である。]
【発明の効果】
【0022】
本発明の感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び重合体は、液浸露光時における疎水性を確保しつつしながらアルカリ現像時における親水性を向上させることができ、未露光部の現像欠陥を抑制し得ることに加えて、かつ現像後のパターン形状に優れるレジスト塗膜を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び重合体を実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
【0024】
なお、以下の説明においては、同種の置換基には、同一の符号を付した上で、説明を省略する。また、本明細書にいう「炭化水素基」には鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。
【0025】
「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味し、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の双方を含むものとする。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては、脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として、芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
【0026】
[1]:重合体(C):
重合体(C)は、下記一般式(x)で表される官能基(以下、「官能基(x)」と記す場合がある。)を有するフッ素含有重合体である。
【0027】
重合体(C)と後述する重合体(A)とを含む感放射線性樹脂組成物は、レジスト被膜を形成した際に、重合体(C)の撥油性に起因して、レジスト被膜の表面において重合体(C)の分布が高くなる傾向がある。即ち、重合体(A)が、被膜表層に偏在化する。従って、フォトレジスト膜と液浸媒体を遮断することを目的とした上層膜を別途形成する必要がなく、液浸露光法に好適に用いることができる。
【0028】
また、官能基(x)はアルカリ現像時には加水分解によりアルカリ解離性基が解離して極性基を生じるため、レジスト被膜表面の撥水性を低下させることができる。従って、アルカリ現像後のレジスト膜に生じる現像欠陥を抑制することができると考えられる。また、アルカリ現像時にフェノール性水酸基を生じるものを用いた場合と比較して、現像後のパターン形状等に優れたフォトレジスト膜を形成することができる。
【0029】
[1−1]官能基(x)
重合体(C)は、下記一般式(x)で表される官能基(x)を有する。
【化10】
【0030】
このような官能基(x)は、アルカリ水溶液と下記に示すような反応を生じ、極性基を生じる。
【化11】
一般式(x)中、Aは酸素原子(但し、芳香環、カルボニル基及びスルホキシル基に直結するものを除く。)、イミノ基、−CO−O−*又は−SO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)である。即ち、官能基(x)は水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はスルホキシル基がアルカリ解離性基によって修飾されたものである。
【0031】
また、上記一般式(x)において、Rはアルカリ解離性基を示す。「アルカリ解離性基」とは、極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下で解離する基をいう。
【0032】
このようなアルカリ解離性基としては、上記の性質を示すものであれば特に限定されないが、上記一般式(x)中、Aが酸素原子又はイミノ基の場合、下記一般式(R1−1)で表されるものを挙げることができる。
【化12】
【0033】
一般式(R1−1)中、Rは少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数が1〜10の炭化水素基である。
【0034】
例えば、Rは直鎖状又は分岐状で炭素数が1〜10のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基の水素原子の全部又は一部がフッ素原子に置換された基が好ましい。
【0035】
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基等を挙げることができる。
【0036】
また、前記脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。
【0037】
としては、前記炭化水素基の水素原子の全部がフッ素原子に置換された直鎖状又は分岐状で炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基が更に好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0038】
官能基(x)はアルコール、アミン、カルボン酸を従来公知の方法によりフルオロアシル化することで形成することができる。例えば、1)酸の存在下、アルコールとフルオロカルボン酸を縮合させてエステル化する、2)塩基の存在下、アルコールとフルオロカルボン酸ハロゲン化物を縮合させてエステル化する等の方法を挙げることができる。
【0039】
また、上記一般式(x)中、Aが−CO−O−*の場合、下記一般式(R1−2)〜(R1−4)で表されるものを挙げることができる。
【化13】
【化14】
【化15】
【0040】
[一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10はハロゲン原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、アシル基、若しくはアシロキシ基を示し、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。mは0〜5の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。一般式(R1−4)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R11及びR12が互いに結合して炭素数4〜20の脂環式構造を形成してもよい。]
【0041】
一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10として表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができる。これらのうち、フッ素原子が好ましい。
【0042】
一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10として表される炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基等を挙げることができる。
【0043】
一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10として表される炭素数1〜10のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0044】
一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10として表される炭素数1〜10のアシル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0045】
一般式(R1−2)及び(R1−3)中、R10として表される炭素数1〜10のアシロキシ基としては、例えば、アセトキシ基、エチリルオキシ基、ブチリルオキシ基、t−ブチリルオキシ基、t−アミリルオキシ基、n−ヘキサンカルボニロキシ基、n−オクタンカルボニロキシ基等が挙げられる。
【0046】
一般式(R1−4)中、R11又はR12として表される炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R10と同じものを挙げることができる。
【0047】
また、R11及びR12が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子とともに形成する脂環式構造としては、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。
【0048】
一般式(R1−4)として表されるものの具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基等を挙げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基が好ましい。
【0049】
[1−2]:フッ素原子含有割合:
重合体(C)におけるフッ素原子含有割合は、フッ素含有重合体全体を100質量%とした際に、5質量%以上であり、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。尚、このフッ素原子含有割合は13C−NMRにより測定することができる。重合体(C)におけるフッ素原子含有割合が上記範囲内であると、重合体(C)及び後述の重合体(A)を含む感放射線性樹脂組成物によって形成されたレジスト塗膜表面の撥水性を高めることができ、液浸露光時に上層膜を別途形成する必要がない。
【0050】
[1−3]:繰り返し単位(c−1)
重合体(C)としては、下記一般式(c−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c−1)」と記す場合がある。)を有するものを挙げることができる。繰り返し単位(c−1)は前記官能基(x)がX、R、R及びEを介して主鎖に結合された構造の繰り返し単位である。一般式(c−1)中、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【化16】
【0051】
一般式(c−1)中、Xは単結合、ジフルオロメチレン基又は炭素数2〜20の直鎖状若しくは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。
【0052】
前記Xとしては、下記一般式(X−1)で表されるものを挙げることができる。
【化17】
一般式(X−1)中、pは1〜4の整数を示す。Rfは相互に独立にフッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を示す。
【0053】
上記式(X−1)で表される構造の具体例としては、下記式(X−2)、(X−3)で表されるものを挙げることができる。
【化18】
【化19】
【0054】
一般式(c−1)中、Rは単結合又は炭素数が1〜20で、(n+1)価の炭化水素基であり、nは1〜3の整数を示す。従って、繰り返し単位(c−1)には官能基(x)が1〜3個導入される。nが2又は3の場合、R、R及びAは相互に独立である。即ち、nが2又は3の場合、複数の官能基(x)は同じ構造のものであってもよいし、異なる構造のものであってもよい。また、nが2又は3の場合、複数の官能基(x)がRの同一の炭素原子に結合していてもよいし、異なる炭素原子に結合していてもよい。
【0055】
鎖状構造のRとしては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、2−メチルプロパン、ペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数1〜10の鎖状炭化水素から水素原子を(n+1)個取り除いた構造の(n+1)価炭化水素基等を挙げることができる。
【0056】
また、環状構造のRとしては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等の脂環式炭化水素から水素原子を(n+1)個取り除いた構造の(n+1)価炭化水素基;ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素から水素原子を(n+1)個取り除いた構造の(n+1)価炭化水素基;等を挙げることができる。
【0057】
また、RのR側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造としては、例えば、下記一般式で表されるものを挙げることができる。
【化20】
【0058】
一般式(c−1)中、Rで表される基のうち、炭素数1〜20の2価の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基に由来する2価の炭化水素基等を挙げることができる。
【0059】
また、2価の環状の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜20の脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素に由来する基等を挙げることができる。脂環式炭化水素としては、具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン等のシクロアルカン類等を挙げることができる。また、芳香族炭化水素としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン等を挙げることができる。
【0060】
なお、一般式(c−1)中、Rで表される炭化水素基としては、少なくとも1つの水素原子を、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、酸素原子等の1種又は2種以上により置換されたものであってもよい。
【0061】
[1−3−1]繰り返し単位(c−1a)
一般式(c−1)中、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Eは酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)である。中でも、Eが−CO−O−*のものが好ましい。即ち、重合体(C)は、繰り返し単位(c−1)として下記一般式(c−1a)で表される繰返し単位(以下、「繰り返し単位(c−1a)」と記す場合がある。)を有する重合体であることが好ましい。
【化21】
【0062】
このような繰り返し単位(c−1a)としては、下記一般式(c−1a−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c−1a−1)」と記す場合がある。)又は下記式(c−1a−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c−1a−2)」と記す場合がある。)を挙げることができる。
【化22】
【0063】
[一般式(c−1a−1)中、R、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは一般式(R1−1)の説明と同義である。]
【化23】
[一般式(c−1a−1)中、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。R31はメチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜20の2価の環状炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Rは下記式(1)〜(3)で表される基のうちいずれかを示す。]
【化24】
[一般式(1)及び(2)中、R10はハロゲン原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、アシル基若しくはアシロキシ基を示し、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。m1は0〜5の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。一般式(3)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R11及びR12が互いに結合して炭素数4〜20の脂環式構造を形成してもよい。]
【0064】
31の具体例としては上記Rの説明においてn=1としたものと同義である。
【0065】
[1−3−1−1]繰り返し単位(c−1a−1):
繰り返し単位(c−1a−1)の具体例としては、例えば、下記式(c−1a−1a)〜(c−1a−1b)で表されるものを挙げることができる。
【化25】
【化26】
【0066】
一般式(c−1a−1a)及び一般式(c−1a−1b)中、Rは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは一般式(R1−1)の説明と同義である。n1は相互に独立に0〜4の整数を示す。Rfは相互に独立にフッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を示し、好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。Rは一般式(c−1)の説明と同義である。R31は一般式(c−1a−2)の説明と同義である。R32は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の3価の炭化水素基、又は炭素数4〜20で3価の環状炭化水素基を示し、R側の末端に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はイミノ基を有していてもよい。R32の具体例としては上記Rの説明においてn=2としたものと同義である。
【0067】
一般式(c−1a−1a)及び一般式(c−1a−1b)においてn1が1以上のものは、アルカリ水溶液との反応によりα位にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を有するOH基が生じる。このようなOH基はアルコール性OH基と比較して低いpKa値を有するため、親水性の向上の観点から好ましい。
【0068】
上記式(c−1a−1a)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(c−1a−1c)〜(c−1a−1f)で表されるものを挙げることができる。また、上記式(c−1a−1b)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(c−1a−1g)〜(c−1a−1h)で表されるものを挙げることができる。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0069】
上記一般式(c−1a−1f)〜(c−1a−1g)中、Rは一般式(R1−1)の説明と同義である。Rは一般式(c−1)の説明と同義である。
【0070】
[1−3−1−2]繰り返し単位(c−1a−2):
繰り返し単位(c−1a−2)の具体例としては、例えば、下記式(c−1a−2a)〜(c−1a−2b)で表されるものを挙げることができる。
【化33】
【化34】
【0071】
一般式(c−1a−2a)及び一般式(c−1a−2b)中、Rは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは一般式(c−1a−2)の説明と同義である。n2は相互に独立に0〜4の整数を示す。Rfは相互に独立にフッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を示し、好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R21は相互に独立にメチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜20の2価の環状炭化水素基を示す。R22は単結合又はR21の説明におけるものと同義のものを示す。
【0072】
一般式(c−1a−2a)及び一般式(c−1a−2b)においてn2が1以上のものは、カルボニルオキシ基のα位にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を有しており、アルカリ水溶液に対する反応性が高くなると考えられる。また、アルカリ解離性基が加水分解して生じるCOOH基のpKaも低いものとなり、親水性の向上の観点から好ましい。
【0073】
上記一般式(c−1a−2a)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記一般式(c−1a−2e)〜(c−1a−2f)で表されるものを挙げることができる。また、上記一般式(c−1a−2b)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記一般式(c−1a−2c)〜(c−1a−2d)で表されるものを挙げることができる。
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【0074】
[1−4]:繰り返し単位(c−2)
また、本発明のフッ素含有重合体は、前記繰り返し単位(c−1)に加えて、下記一般式(c−2)で表される繰り返し単位(c−2)を有する重合体であることが好ましい。
【化39】
【0075】
一般式(c−2)中、Rは一般式(c−1)の説明と同義である。Gは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−、−O−CO−NH−であり、Rは少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数1〜6のフッ素置換鎖状炭化水素基又は少なくとも一の水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数4〜20のフッ素置換環状炭化水素基である。
【0076】
繰り返し単位(c−2)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0077】
[1−5]:繰り返し単位(c−3)
更に、本発明のフッ素含有重合体は、前記繰り返し単位(c−1)に加えて、下記一般式(c−3)で表される繰り返し単位(c−3)を有する重合体であることが好ましい。
【化40】
【0078】
一般式(c−3)中、R及びAは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは一般式(c−1)のRと、Rは一般式(c−1)のRと、Xは一般式(c−1)のXと、各々同義である。
【0079】
一般式(c−3)中、Rは水素原子又は酸解離性基である。「酸解離性基」とは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、酸の存在下で解離する基をいう。
【0080】
具体的には、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、(チオテトラヒドロピラニルスルファニル)メチル基、(チオテトラヒドロフラニルスルファニル)メチル基や、アルコキシ置換メチル基、アルキルスルファニル置換メチル基等を挙げることができる。なお、アルコキシ置換メチル基におけるアルコキシル基(置換基)としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシル基がある。また、アルキルスルファニル置換メチル基におけるアルキル基(置換基)としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基がある。また、酸解離性基としては、後述する繰り返し単位(c−4)の項に記載した一般式(i)で表される基であってもよい。
【0081】
なお、一般式(c−3)中、mは1〜3の整数を示す。従って、繰り返し単位(c−3)にはRが1〜3個導入される。nが2又は3の場合mが2又は3の場合、R、R、X及びAは相互に独立である。即ち、mが2又は3の場合、複数のRは同じ構造のものであってもよいし、異なる構造のものであってもよい。また、mが2又は3の場合、複数のRがRの同一の炭素原子に結合していてもよいし、異なる炭素原子に結合していてもよい。
【0082】
繰り返し単位(c−3)の具体例としては、一般式(c−3a)〜(c−3c)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化41】
【0083】
一般式(c−3a)〜(c−3c)中、R16は、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、Lは、フッ素原子で置換されたメチレン基、又は炭素数2〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキレン基を示し、R20は、水素原子又は酸解離性基を示す。また、一般式(c−3a)及び(c−3b)中、R19は、単結合、又は炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示す。更に、一般式(c−3c)中、qは、1〜3の整数を示す。但し、qが2又は3である場合、L及びR20は相互に独立である。
【0084】
繰り返し単位(c−3)を与える単量体の具体例としては、一般式(Mc−3a)〜(Mc−3f)で表される化合物を挙げることができる。
【化42】
【0085】
一般式(M−3a)〜(M−3f)中、R16は、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、R20は、相互に独立に、水素原子又は酸解離性基を示す。
【0086】
[1−6]:繰り返し単位(c−4)
本発明のフッ素含有重合体は、前記繰り返し単位(c−1)に加えて、下記一般式(c−4)で表される繰り返し単位(c−4)を有していてもよい。フッ素含有重合体が繰り返し単位(c−4)を含むことにより、現像後のレジストパターンの形状をより改善させることができる。
【0087】
【化43】
【0088】
一般式(c−4)中、Rは、一般式(c−1)の説明と同義である。Yは酸解離性基を示す。
【0089】
一般式(c−4)中のYは、一般式(i)で表される基であることが好ましい。
【化44】
【0090】
一般式(i)中、R13は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基を示し、R14及びR15は、相互に独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を示すか、或いは相互に結合してそれぞれが結合している炭素原子とともに形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を示す。
【0091】
一般式(i)中、R13〜R15として表される基のうち、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等がある。また、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基、R14及びR15が相互に結合してそれぞれが結合している炭素原子とともに形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格等の有橋式骨格や、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン骨格を有する基;これらの基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種又は1個以上で置換した基等の脂環式骨格を有する基がある。
これらの中でも、現像後のレジストパターンの形状をより改善させることができる点でシクロアルカン骨格を有する基が好ましい。
【0092】
繰り返し単位(c−4)を構成するための単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ヒドロキシアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−3−ヒドロキシアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルエステル、(メタ)アクリル酸−8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルエステル、
【0093】
(メタ)アクリル酸2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシアダマンタン−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジシクロヘキシルエチルエステイル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(アダマンタン−2−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−シクロヘキシルエステル等を挙げることができる。
【0094】
これらの単量体の中でも、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−シクロヘキシルエステルが好ましい。
【0095】
なお、重合体(A)は、繰り返し単位(c−4)を、1種単独で又は2種以上を組み合わせて有してもよい。
【0096】
[1−7]:繰り返し単位(c−5)
【0097】
本発明のフッ素含有重合体は、前記繰り返し単位(c−1)に加えて、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c−5)」と記す場合がある。)を有していてもよい。フッ素含有重合体が繰り返し単位(c−5)を含むことにより、現像液に対する親和性を向上させることができる。
繰り返し単位(c−5)におけるアルカリ可溶性基は、pKaが4〜11の水素原子を有する官能基であることが好ましい。これは、現像液に対する溶解性向上の観点からである。このような官能基として、具体的には、一般式(D3a)、式(D3b)で表される官能基等を挙げることができる。
【化45】
【0098】
一般式(D3a)中、R23は、フッ素原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
【0099】
一般式(D3a)中、R23として表されるフッ素原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基は、炭素数1〜10の炭化水素基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子に置換されたものであれば特に限定されないが、例えば、トリフルオロメチル基等が好ましい。
【0100】
なお、繰り返し単位(D3)の主鎖骨格は、特に限定されるものではないが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はα−トリフルオロアクリル酸エステル等の骨格であることが好ましい。
【0101】
繰り返し単位(D3)としては、例えば、一般式(D3a−1)、(D3b−1)で表される化合物に由来する繰り返し単位がある。
【0102】
【化46】
【0103】
一般式(D3a−1)及び(D3b−1)中、R24は、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、R25は、単結合、又は炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示す。一般式(D3a−1)中、R23は、フッ素原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
【0104】
一般式(D3a−1)及び(D3b−1)中、R25として表される基に関しては、一般式(c−1)におけるRと同様のことがいえる。また、一般式(D3a−1)中、R23として表される基に関しては、前記一般式(D3a)におけるR23と同様のことがいえる。
【0105】
[1−8]:繰り返し単位(c−6)
本発明のフッ素含有重合体は、前記繰り返し単位(c−1)に加えて、下記一般式(c−6)で表される繰り返し単位(c−6)を有していてもよい。フッ素含有重合体が繰り返し単位(C−6)を含むことにより、現像液に対する親和性を向上させることができる。
【化47】
【0106】
一般式(c−6)中、Rは、一般式(c−1)の説明と同義である。Zはラクトン骨格を有する基又は環状カーボネート構造を有する基を示す。
【0107】
[1−8a]:繰り返し単位(c−6a)
繰り返し単位(2−2)のうち、ラクトン骨格を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、一般式(2−2−1a)〜(2−2−1f)で表される繰り返し単位がある。
【化48】
【0108】
一般式(2−2−1a)〜(2−2−1f)中、Rは、一般式(c−1)の説明と同義である。また、一般式(2−2−1a)中、Ra1は、水素原子又は炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキル基を示し、s1は、1〜3の整数を示す。更に、一般式(2−2−1d)及び(2−2−1e)中、Ra4は、水素原子又はメトキシ基を示す。また、一般式(2−2−1b)及び(2−2−1c)中、Ra2は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた2価の基を示し、s2は、0又は1である。更に、一般式(2−2−1c)及び(2−2−1e)中、Ra3は、酸素原子又はメチレン基を示す。
【0109】
このような繰り返し単位を与える単量体としては、国際公開2007/116664公報[0043]段落に記載のものを挙げることができる。
【0110】
これらの単量体のうち、好ましくは を挙げることができる。
[1−8b]:繰り返し単位(C−6b)
環状カーボネート構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、一般式(2−2−2)で表される繰り返し単位がある。
【化49】
【0111】
一般式(2−2−2)中、Rは、式(c−1)におけるものと同義である。Dは、炭素数1〜30の3価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の3価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の3価の芳香族炭化水素基を示す。Dは、その骨格中に酸素原子、カルボニル基、イミノ基を有していてもよい。また、Dは置換基を有していてもよい。但し、一般式(2−2−2)において、下記部分構造が必ず形成されるものとする。
【化50】
【0112】
上記式中、tは1〜4の整数を示す。
【0113】
Dが有していてもよい置換基としては、前述のR10と同義のもの、及び水酸基を挙げることができる。
【0114】
一般式(2−2−2)で表される繰り返し単位を与える単量体は、例えば、Tetrahedron Letters,Vol.27,No.32 p.3741(1986)、Organic Letters,Vol.4,No.15 p.2561(2002)等に記載された、従来公知の方法により合成することができる。
【0115】
一般式(2−2−2)で表される繰り返し単位の特に好ましい例としては、一般式(2−2−2a)〜(2−2−2v)で表される繰り返し単位がある。
【化51】
【0116】
[1−9]:各繰り返し単位の含有割合:
繰り返し単位(c−1)の含有割合は、10mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることが更に好ましい。繰り返し単位(c−1)の含有割合が上記範囲内であると、液浸露光時における撥水性の確保と現像時における現像液への親和性向上の観点から特に好ましい。
【0117】
また、繰り返し単位(c−2)又は繰り返し単位(c−3)の含有割合は、20〜90mol%であることが好ましく、20〜80mol%であることが更に好ましく、20〜70mol%であることが特に好ましい。繰り返し単位(c−2)や繰り返し単位(c−3)の含有割合がこの範囲内である場合には、塗布後の撥水性確保と、PEB後の現像液に対する親和性の向上との両立という観点から特に有効である。
【0118】
更に、繰り返し単位(c−4)の含有割合は、80mol%以下であることが好ましく、20〜80mol%であることが更に好ましく、30〜70mol%であることが特に好ましい。繰り返し単位(c−4)の含有割合がこの範囲内である場合には、現像後のレジストパターン形状改善の観点から特に有効である。
【0119】
更に、繰り返し単位(c−5)の含有割合は、通常50mol%以下であり、好ましくは5〜30mol%であり、更に好ましくは5〜20mol%である。繰り返し単位(c−5)の含有割合がこの範囲内である場合には、塗布後の撥水性確保と、PEB後の現像液に対する接触角の上昇との両立という観点から特に有効である。
【0120】
また、繰り返し単位(c−6)の含有割合は、通常50mol%以下であり、好ましくは5〜30mol%であり、更に好ましくは5〜20mol%である。繰り返し単位(D4)の含有割合がこの範囲内である場合には、塗布後の撥水性確保と、PEB後の現像液に対する接触角の上昇との両立という観点から特に有効である。
【0121】
[1−10]物性値:
重合体(C)のMwは、1,000〜50,000であることが好ましく、1,000〜40,000であることが更に好ましく、1,000〜30,000であることが特に好ましい。Mwが1,000未満であると、十分な後退接触角を有するレジスト被膜を得ることができないおそれがある。一方、50,000超であると、レジスト被膜の現像性が低下するおそれがある。また、重合体(C)のMwとGPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
【0122】
なお、重合体(C)は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。このような不純物の含有量が少ないと、レジスト被膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に向上させることができる。
【0123】
[1−11]重合体(C)の調整:
重合体(C)は下記一般式(m−1)で表されるフッ素含有化合物(以下、「化合物(m−1)」と記す場合がある。)をモノマー成分として用い、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合させることにより、重合体(C)を得ることができる。この際の「ラジカル重合開始剤」としては、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【化52】
【0124】
一般式(m−1)中、R及びAは一般式(x)の説明と同義であり、R、R、R、nは一般式(c−1)の説明と同義である。nが2又は3の場合、R、R及びAは相互に独立である点についても一般式(c−1)と同様である。
【0125】
溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロモヘキサン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類等がある。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、反応温度は、通常、40〜120℃であり、好ましくは50〜90℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。
【0126】
[1−11−1]フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、例えば、下記一般式(m−1−1)で表される化合物又は下記一般式(m−1−2)で表される化合物を挙げることができる。
【化53】
【0127】
[一般式(m−1−1)中、R、R、R、R及びXは一般式(c−1)の説明と同義である。Rは一般式(R1−1)の説明と同義である。]
【化54】
【0128】
[一般式(m−1−2)中、R及びXは一般式(c−1)の説明におけるものと同義である。Rは上記式(R1−2)〜(R1−4)で表される基のうちのいずれかを示す。R31は一般式(c−1a−2)の説明におけるものと同義である。]
【0129】
このような化合物の具体例としては下記式で表される化合物を挙げることができる。
【化55】
上記式中、Rは一般式(c−1)の説明におけるものと同義である。Rは式(R1−1)の説明におけるものと同義である。
【0130】
化合物(m−1−1)を与えるためには、例えば、下記一般式(m−2−1)で表される化合物と下記一般式(m−2−1)で表される化合物とを反応させることによって得ることができる。
【化56】
[一般式(m−2−1)中、R、R、R、及びX1は一般式(c−1)の説明におけるものと同義である。]
【化57】
[一般式(m−2−2)中、Rは一般式(R1−1)の説明におけるものと同義である。R81は水酸基、ハロゲン原子又は−O−CO−Rを示す。]
【0131】
化合物(m−1−2)を与えるためには、例えば、下記一般式(m−2−3)で表される化合物と、下記式(m−2−4−1)〜(m−2−4−3)で表される化合物とを反応させることによって得ることができる。
【化58】
【0132】
一般式(m−2−3)中、R及びXは一般式(c−1)の説明におけるものと同義である。R31は一般式(c−1a−2)の説明におけるものと同義である。R91は水酸基又はハロゲン原子を示す。
【化59】
【化60】
【化61】
一般式(m−2−4−1)及び一般式(m−2−4−2)中、R10は式(R9−2)の説明と同義である。一般式(m−2−4−1)中、R92はハロゲン原子を示し、好ましくはClである。m1は0〜5の整数を示す。一般式(m−2−4−2)中、R93はハロゲン原子を示し、好ましくはBrである。m2は0〜4の整数を示す。
【0133】
また、下記式(m−2−5)で表される化合物と下記式(m−2−6)で表される化合物とを反応させることによっても得ることができる。
【化62】
【0134】
一般式(m−2−5)中、R31、XおよびRは式(m−2−3)の説明と同義である。一般式(m−2−6)中、Rは式(m−2−3)の説明と同義である。Rhは水酸基またはハロゲン原子を示す。
【0135】
式(m−2−5)を得る方法については特に限定されないが、例えば特開2009−19199号公報[0112]〜[0123]段落に記載の方法によって得ることができる。
【0136】
[2]:感放射線性樹脂組成物:
本発明の感放射線性樹脂組成物は、前記の重合体(C)の他、重合体(A)及び酸発生剤(B)を必須成分として含有し、目的に応じて他の任意成分を含有するものである。
【0137】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、既に説明した本発明の重合体(C)を必須成分として含有するため、フォトレジスト膜と液浸媒体を遮断することを目的とした上層膜を別途形成する必要がなく、液浸露光法に好適に用いることができる。
【0138】
重合体(C)は、感放射線性後述する重合体(A)100質量部に対し、0.1〜20質量部配合されていることがレジスト塗膜の撥水性の確保及び現像後のレジストパターン形状の観点から好ましい。重合体(C)の含有量が過小であると重合体(C)の添加効果を得られない場合がある。重合体(C)の含有量が過剰になるとT−top形状やスカムの発生など、パターニングに著しいダメージを与えるおそれがある。
【0139】
[2−1]:重合体(A):
「酸解離性重合体」とは酸解離性基を有する重合体である。より具体的には、酸の作用前はアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性で、酸の作用により酸解離性基が脱離するとアルカリ可溶性となる重合体である。
【0140】
「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、重合体(A)を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、レジスト被膜に代えて重合体(A)のみを用いた膜厚100nmの被膜を現像した場合に、被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質をいう。
【0141】
[2−1−1]フッ素原子含割合:
重合体(A)におけるフッ素原子含有割合は、重合体(A)全体を100質量%とした際に、5質量%未満であり、好ましくは0〜4.9質量%、更に好ましくは0〜4質量%である。尚、このフッ素含割合は13C−NMRにより測定することができる。重合体(A)におけるフッ素原子含有割合が上記範囲内であると、前述のフッ素含有重合体及び重合体(A)を含む感放射線性樹脂組成物によって形成されたレジスト塗膜表面の撥水性を高めることができ、液浸露光時に上層膜を別途形成する必要がない。
【0142】
前記のような性質を有する重合体である限り、重合体(A)の具体的な構造は特に限定されるものではない。但し、上記一般式(c−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2−1)」という)及び一般式(c−6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2−2)」という)を有する樹脂であることが好ましい。
【0143】
[2−1−2]繰り返し単位(2−1):
重合体(A)中、繰り返し単位(2−1)の含有割合は、15〜85mol%であることが好ましく、25〜75mol%であることが更に好ましく、35〜60mol%であることが特に好ましい。15mol%未満であると、溶解した後のコントラストが損なわれ、パターン形状が低下する場合がある。一方、85mol%超であると、基板との密着性が不十分となりパターンが剥がれてしまう場合がある。
【0144】
[2−1−3]繰り返し単位(2−2):
重合体(A)中、繰り返し単位(2−2)の含有割合は、5〜75mol%であることが好ましく、15〜65mol%であることが更に好ましく、25〜55mol%であることが特に好ましい。5mol%未満であると、レジストとして基板との密着性が不十分となりパターンが剥がれてしまう場合がある。一方、75mol%超であると、溶解した後のコントラストが損なわれ、パターン形状が低下する場合がある。
【0145】
[2−1−4]他の繰り返し単位:
重合体(A)は、上記フッ素原子含有割合を有する限り、繰り返し単位(2−1)及び(2−2)以外の他の繰り返し単位を有するものであってもよい。他の繰り返し単位を構成する重合性不飽和単量体としては、国際公開2007/116664A号[0047]〜[0048]段落、[0073]〜[0077]段落、及び[0079]〜[0082]段落に開示されている単量体を挙げることができる。
【0146】
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、通常、3,000〜300,000であり、好ましくは4,000〜200,000であり、更に好ましくは4,000〜100,000である。Mwが3,000未満であると、レジストとしての耐熱性が低下する場合がある。一方、300,000超であると、レジストとしての現像性が低下する場合がある。
【0147】
なお、重合体(A)は、レジストとしての感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を向上させる観点から、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましい。重合体(A)の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等がある。なお、本発明の感放射線性樹脂組成物は、重合体(A)を1種単独で又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0148】
[2−2]酸発生剤(B):
(B)感放射線性酸発生剤((B)酸発生剤)は、放射線の照射(以下、「露光」という)により酸を発生するものである。(B)酸発生剤は、露光により発生した酸の作用によって、(A)重合体中に存在する酸解離性基を解離させて、(A)重合体をアルカリ可溶性にする。その結果、レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。このような(B)酸発生剤としては、例えば、特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物などを挙げることができる。
【0149】
(B)酸発生剤としては、具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0150】
4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、
【0151】
トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。なお、(C)酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0152】
(B)酸発生剤の含有量は、(A)重合体100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、2〜27質量部であることが更に好ましく、5〜25質量部であることが特に好ましい。0.1質量部未満であると、レジスト被膜としての感度や解像度が低下する場合がある。一方、30質量部超であると、レジスト被膜としての塗布性やパターン形状が低下する場合がある。
【0153】
[2−3]その他の成分:
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、酸拡散制御剤、脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等の各種の添加剤を含有することができる。
【0154】
[2−3−1]酸拡散制御剤:
酸拡散制御剤としては、例えば、一般式(10)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という)、窒素原子を3個以上有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」という)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。酸拡散制御剤を含有すると、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度を向上させることができる。
【化63】
(上記一般式(10)中、R45〜R47は、相互に独立に、水素原子、置換されていてもよい、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)
【0155】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0156】
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0157】
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0158】
アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0159】
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0160】
含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類の他、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0161】
これらの酸拡散制御剤の中でも、含窒素化合物(I)、含窒素化合物(II)、含窒素複素環化合物が好ましい。なお、酸拡散制御剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。酸拡散制御剤の含有量は、(B)重合体100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下が更に好ましい。酸拡散制御剤の含有量が過剰になると、形成したレジスト被膜の感度が著しく低下する傾向にある。
【0162】
[2−3−2]脂環族添加剤:
脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類等を挙げることができる。これらの脂環族添加剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。脂環族添加剤の含有量は、(B)重合体100質量部に対して、通常、50質量部以下であり、好ましくは30質量部以下である。
【0163】
[2−3−3]界面活性剤:
界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す成分である。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。界面活性剤の含有量は、(B)重合体100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
【0164】
[2−4]組成物溶液の調製:
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%となるように溶剤に溶解した後、例えば孔径0.02μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
【0165】
組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、直鎖状又は分岐状のケトン類;環状のケトン類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか
【0166】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、
【0167】
トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等がある。
【0168】
これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらの中でも、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類等が好ましい。
【0169】
[3]レジストパターンの形成方法:
本発明のレジストパターン形成方法は、被膜形成工程(1)、露光工程(2)及び現像工程(3)を必須工程として備える。
【0170】
[3−1]:被膜形成工程(1):
被膜形成工程(1)は、基板上に、本発明の感放射線性樹脂組成物からなるレジスト被膜を形成する工程である。例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法によって、本発明の感放射線性樹脂組成物の溶液を基板上に塗布し、レジスト被膜を形成する。
【0171】
基板としては、例えばシリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等を用いることができる。レジスト被膜の厚さは0.1〜5μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることが更に好ましい。
【0172】
被膜形成工程においては被膜中の溶剤分を揮発させるためプレベーク(PB)を行ってもよい。プレベークの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって異なるが、30〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることが更に好ましい。
【0173】
なお、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成してもよい(例えば特公平6−12452号公報参照)。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を形成してもよい(例えば特開平5−188598号公報参照)。更には、これらの技術を併用してもよい。
【0174】
[3−2]露光工程(2):
露光工程(2)は、マスクパターンを介して前記レジスト被膜に放射線を照射し、前記レジスト被膜を露光させる工程である。レジスト被膜に放射線を照射すると露光部に酸発生剤(B)に由来する酸が発生し、その酸の作用により重合体(A)中の酸解離性基が解離し、当初アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性であった重合体(A)がアルカリ可溶性の重合体に変換される。
【0175】
照射する放射線としては、酸発生剤(B)の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等の中から適宜選択すればよい。但し、これらの放射線の中でもArFエキシマレーザー(波長193nm)又はKrFエキシマレーザー(波長248nm)を照射することが好ましい。
【0176】
なお、露光後には、ポストイクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、重合体(A)中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって異なるが、通常、30〜200℃であり、50〜170℃とすることが好ましい。
【0177】
露光工程(2)は、前記被膜形成工程(1)で形成されたレジスト被膜上に液浸露光液を配置し、前記液浸露光液を介して前記レジスト被膜を露光させるものであることが好ましい(液浸露光)。
【0178】
液浸露光用液体としては、例えば、純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等を用いることができる。
【0179】
通常、液浸露光においては、レジスト被膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、レジスト被膜上に上層膜(保護膜)を形成する(例えば特開2005−352384号公報参照)。しかし、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト被膜を形成した場合には必ずしも前記上層膜を形成する必要がない。このように上層膜を設けない方法は上層膜の成膜工程を省くことができ、スループットの向上を期待することができる。
【0180】
[3−3]現像工程(3):
現像工程(3)は、露光された前記レジスト被膜を現像してレジストパターンを形成する工程である。露光工程(2)においてアルカリ可溶性に変換された重合体(A)がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが形成される。通常、現像工程(3)の後、水洗浄及び乾燥を行う。
【0181】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0182】
アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10質量%以下である。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%超であると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
【0183】
また、アルカリ性水溶液からなる現像液には有機溶媒や界面活性剤を添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等の直鎖状、分岐状又は環状のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等がある。
【0184】
これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。有機溶媒の使用量が100容量%超であると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなる場合がある。
【実施例】
【0185】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限りモル基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
【0186】
[後退接触角の測定]:
まず、感放射線性樹脂組成物によって基板(ウェハ)上に被膜を形成した。その後、形成した被膜について、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUS社製の「DSA−10」を用いて以下の手順で後退接触角を算出した。
【0187】
まず、ウェハステージ位置を調整する。次に、ウェハをステージにセットする。「DSA−10」の針に水を注入する。次に、針の位置を微調整する。次に、針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成した後、水滴から針を一旦引き抜く。次に、針を、上記微調整した位置に再び引き下げる。次に、針によって水滴を10μL/分の速度で90秒間吸引するとともに、接触角を毎秒(計90回)測定する。次に、接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出して後退接触角(°)とする。
【0188】
8インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った基盤の後退接触角を「SB後の後退接触角」とした。
【0189】
8インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥した基盤の後退接触角を「現像後の後退接触角」とした。
【0190】
[現像欠陥]:
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅45nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅45nmのラインアンドスペースを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(「CC−4000」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0191】
その後、欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、KLA−Tencor社製の「KLA2810」を用いて測定した。更に、「KLA2810」にて測定された欠陥を、レジスト由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類した。分類後、レジスト被膜由来と判断されるものの数(欠陥数)の合計が100個/wafer未満であった場合「良好」とし、100個から500個/waferであった場合は「やや良好」、500個/waferを超える場合は「不良」とした。
【0192】
[パターンの断面形状]:
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
【0193】
形成したパターンの断面形状を、日立ハイテクノロジーズ社製の「S−4800」にて観察し、ライン部の、被膜の厚さ方向の中間部における線幅Lbと、被膜表面における線幅Laを測定した。その後、式:(La−Lb)/Lbを算出し、算出された値が、0.90<(La−Lb)の場合は「T−top」とし、(La−Lb)<1.1の場合は「トップラウンド」とした。0.90≦(La−Lb)≦1.1の場合は「良好」とした。また、露光部に溶けのこりが発生していた場合は「スカム」とした。
【0194】
[マスクエラーファクター(MEF)]
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。
【0195】
露光後、95℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅45nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量とした。上記Eopにて、ライン幅のターゲットサイズを40nm、42nm、44nm、46nm、48nm、50nmとするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ90nmのLSパターンを形成した。
【0196】
このとき、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きをMEFとして算出した。MEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であり、値が1.10≦MEF<1.25の場合を「良好」とし、1.25≦MEF<1.50の場合を「やや良好」とし、1.50≦MEFを「不良」とした。得られた結果を表に示す。
【0197】
(合成例1)
2−(2,2,2―トリフルオロアセトキシ)エチルメタクリラート(式(M−16)で表される化合物)を合成した。
【0198】
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を、乾燥窒素で置換した後、上記反応器内に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル130.14g(1.0mol)とメチルイソブチルケトン(MIBK)500mLを加えた。氷浴にて0℃に冷却し、攪拌しながら、トリフルオロ酢酸無水物231.03g(1.1mol)を30分かけて加えた。その後、よく攪拌しながら炭酸水素ナトリウム92.41g(1.1mol)を水500mLに溶かしたものを加えた。その後、MIBK層を分離し、水層を再びMIBKで抽出して抽出液を得た。この抽出液を、上記MIBK層と合わせて飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウム(乾燥剤)で乾燥させた。その後、ブフナー漏斗にて上記乾燥剤を濾別後、有機溶剤を留去し、残渣を2mmHg下で減圧蒸留した。このようにして、2−(2,2,2―トリフルオロアセトキシ)エチルメタクリラート(207.34g(収率92%))を得た。
【化64】
【0199】
なお、本実施例で得られた2−(2,2,2―トリフルオロアセトキシ)エチルメタクリラートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.95(s,3H,C−CH)、4.45(m,3H,CH)、4.62(m,3H,CH)、5.62(s,1H,C=CH)、6.13(s,1H,C=CH
【0200】
(合成例2)
式(M−17)で表される化合物を合成した。
【化65】
【0201】
窒素雰囲気下、0℃にて5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン−2−イルメタクリレート29.42g(100mmol)に4−メチル−2−ペンタノン200mLを加えた。その後トリフルオロ酢酸無水物23.10g(100mmol)を30分かけて滴下した。その後室温にて2時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。反応液に4−メチル−2−ペンタノンを加えて抽出を3回行い、得られた有機層を水、飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、上記式(M−17)で表される5,5,5−トリフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロアセトキシ)−4−(トリフルオロメチル)ペンタン−2−イルメタクリレートを17.29g得た(収率44%)。
【0202】
なお、本実施例で得られた5,5,5−トリフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロアセトキシ)−4−(トリフルオロメチル)ペンタン−2−イルメタクリレートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.35(d,3H,CH)、1.92(s,3H,CH)、2.70−2.90(m,2H,CH)、5.11−5.22(m,1H,O−CH)、5.47(s,1H,C=CH)、6.10(s,1H,C=CH
【0203】
(合成例3)
式(M−18)で表される化合物を合成した。
【化66】
【0204】
窒素雰囲気下、0℃にて4−[(2−メタクリロイルオキシ)エトキシ]−4−オキソ酪酸11.51g(50mmol)に脱水塩化メチレン400mL、トリエチルアミン11.13g(110mmol)を加えた。その後クロロぎ酸ベンジル17.06g(100mmol)を10分かけて滴下した。その後室温にて2時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、反応液に酢酸エチルを加えて抽出を3回行い、得られた有機層を水、飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、上記式(M−19)で表されるベンジル2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシナートを11.21g得た(収率70%)。
【0205】
なお、本実施例で得られた1−ベンジル2−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.94(s,3H,C−CH)、2.55−2.71(m,4H,C(=O)CH)、4.26−4.45(m,4H,O−CH)、5.12−5.28(m,2H,Ar−CH)、5.59(s,1H,C=CH)、6.12(s,1H,C=CH)、7.28−7.49(m,5H,Ar)
【0206】
(合成例4)
式(M−19)で表される化合物を合成した。
【化67】
【0207】
窒素雰囲気下、0℃にて2−{[2−(メタクリロイルオキシ)エトキシ]カルボニル}シクロヘキサンカルボン酸28.43g(100mmol)に脱水塩化メチレン400mL、トリエチルアミン11.13g(110mmol)を加えた。その後クロロぎ酸ベンジル17.06g(100mmol)を10分かけて滴下した。その後室温にて2時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、反応液に酢酸エチルを加えて抽出を3回行い、得られた有機層を水、飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、上記式(M−19)で表される1−ベンジル2−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを26.66g得た(収率71%)。
【0208】
なお、本実施例で得られた1−ベンジル2−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.31−2.26(m,8H,CH)、1.92(s,3H,CH)、2.87−2.91(m,2H,CH)、4.18−4.42(m,4H,O−CH)、5.17−5.30(m,2H,Ar−CH)、5.59(s,1H,C=CH)、6.11(s,1H,C=CH)、7.29−7.51(m,5H,Ar)
【0209】
(合成例5)
(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシナート(式(M−20)で表される化合物)を合成した。
【0210】
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を、乾燥窒素で置換した後、上記反応器内に、4−[(2−メタクリロイルオキシ)エトキシ]−4−オキソ酪酸11.51g(0.05mol)、トリエチルアミン6.07g(0.06mol)、ジメチルホルムアミド(DMF)150mLを加えた。オイルバスにて65℃に加熱し、攪拌しながら、N−(ブロモメチル)フタルイミド12.00g(0.05mol)をDMF100mLに溶解したものを15分かけて加えた。一時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターにてDMFを留去し、残渣を酢酸エチルにて抽出して抽出液を得た。この抽出液を水にて3回洗浄し、その後飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウム(乾燥剤)で乾燥させた。その後、ブフナー漏斗にて上記乾燥剤を濾別後、有機溶剤を留去し、た。このようにして、(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシナート(13.95g(収率72%))を得た。
【化68】
【0211】
なお、本実施例で得られた(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシナートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.94(s,3H,C−CH)、2.57−2.74(m,4H,C(=O)CH)、4.26−4.43(m,4H,O−CH)、5.59(s,1H,C=CH)、5.66−5.78(m,2H,CH−N)、6.12(s,1H,C=CH)、7.71−7.83(m、2H、Ar)、7.84−7.98(m、2H、Ar)
【0212】
(合成例6−1)
ベンジル2,2−ジフルオロ−3−(メタクロイルオキシ)ペンタノアート(式(M−21)で表される化合物)を合成した。
【0213】
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を、乾燥窒素で置換した後、上記反応器内に、2,2−ジフルオロ−3−(メタクロイルオキシ)ペンタン酸25.54g(0.1mol)、トリエチルアミン11.13g(0.11mol)、塩化メチレン250mLを加えた。氷浴にて0℃に冷却し、攪拌しながら、クロロぎ酸ベンジル17.06g(0.1mol)を10分かけて加えた。その後、反応器を室温まで昇温し、2時間攪拌した後、よく攪拌しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300gを加えた。その後、塩化メチレン層を分離し、水層を再び塩化メチレンで抽出して抽出液を得た。この抽出液を、上記塩化メチレン層と合わせて飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウム(乾燥剤)で乾燥させた。その後、ブフナー漏斗にて上記乾燥剤を濾別後、有機溶剤を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。このようにして、ベンジル2,2−ジフルオロ−3−(メタクロイルオキシ)ペンタノアート(23.14g(収率74%))を得た。
【化69】
【0214】
なお、本実施例で得られたベンジル2,2−ジフルオロ−3−(メタクロイルオキシ)ペンタノアートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.95(t,3H,CH−CH)、1.75−1.89(m,2H,CH−CH)、1.87(s,3H,CH−C)、5.24(s,2H,Ph−CH)、5.34−5.39(m,1H,CH−CF)、5.55(s,1H,C=CH)、6.06(s,1H,C=CH)、7.33−7.42(m、5H、Ar)
【0215】
(合成例6−2)
式(M−21)で表される化合物を、下記方法によっても得ることができた。
【化70】
【0216】
窒素雰囲気下、0℃にて、エチル2−ブロモ2,2−ジフルオロアセテート20.30g(0.1mol)、が溶解したベンジルアルコール140mLとヘキサン1200mL混合溶液に、tert−ブトキシカリウム1.60g(14mmol)を加えた。その後0℃にて1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認した後、濃塩酸120mLを加えて反応を停止した。その後、水、飽和食塩水でそれぞれ2回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル2−ブロモ−2,2−ジフルオロアセテートを15.37g得た(収率58%)。
【化71】
【0217】
窒素雰囲気下、活性化した金属亜鉛3.79g(58.0mmol)に脱水THF100mLを加えた。その後THFが還流するまで加温した。加温後、ベンジル2−ブロモ−2,2−ジフルオロアセテート15.37g(58.0mmol)、続いてプロピオンアルデヒド2.81g(48.3mmol)を加えた。その後15分攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認した後、反応液を室温に冷却し、硫酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、反応液に酢酸エチルを加えて抽出を3回行い、得られた有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシペンタノエートを9.32g得た(収率79%)。
【化72】
【0218】
窒素雰囲気下、室温にてベンジル2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシペンタノエート9.32(38.2mmol)に脱水THF50mL、トリエチルアミン4.63g(45.8mmol)、ジメチルアミノピリジン466mg(3.82mmol)を加えた。その後メタクリル酸クロリド4.39g(42.0mmol)を10分かけて滴下した。その後2時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、反応液に酢酸エチルを加えて抽出を3回行い、得られた有機層を水、飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、減圧下で溶媒留去して得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシ)ペンタノエートを6.20g得た(収率52%)。
【0219】
(合成例7)
式(M−22)で表される化合物を、特開2009−19199号公報の実施例2を参照して合成した。
【化73】
(合成例8)
式(M−23)で表される化合物の合成を、特開2009−139909号公報の実施例10を参照して合成した。
【化74】
【0220】
(合成例9)
メチル2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシ)ペンタノアート(下記式(M−24)で表される化合物)を合成した。
【化75】
【0221】
窒素雰囲気下、エチル2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシ)ペンタノアート100gを1000gの脱水メタノールに溶解させ、そこへN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を0.1g加え、5時間加熱還留した。反応液を溶媒留去し、再び1000gの脱水メタノールに溶解させ5時間加熱還留した。反応液を溶媒留去し、残留物をn−ヘキサン300gに溶解させた。その溶液を、50gのシリカゲルにてろ過してDMAPを取り除き、メチル2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシ)ペンタノアート(M−24)を89.7g得た(収率95%)。
【0222】
なお、本実施例で得られたメチル2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシ)ペンタノアートのH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.00(t,3H,CH)、1.70−1.90(m,2H,CH)、1.95(s,3H,CH)、3.85(s,3H,CH−O)、5.30−5.45(m,1H,CH−CF)、5.65(s,1H,C=CH)、6.17(s,1H,C=CH
【0223】
(重合体(A)の調製)
下記に示す化合物を用いて樹脂(A)を調製した。
【0224】
【表1】
【0225】
(合成例A−1) 化合物(M−1)10.40g(0.062mol)及び化合物(M−11)2.01g(0.015mol)及び化合物(M−7)13.74g(0.062mol)を、2−ブタノン60gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.27gを投入した単量体溶液を準備した。化合物(M−5)3.84g(0.015mol)を500mLの三口フラスコに投入し、30gの2−ブタノンを投入して溶解させ、30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。
【0226】
重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、600gのメタノールへ投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をメタノールに分散させてスラリー状にして洗浄した後にろ別する操作を2回行い、60℃にて15時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(収量23g、収率 76.7%)。この共重合体は、Mwが5500であり、Mw/Mn=1.43であり、13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−5)、化合物(M−11)、化合物(M−7)に由来する繰り返し単位の含有率(mol%)がそれぞれ39.8:8.6:11.1:40.5であった。この共重合体を樹脂(A−1)とする。
【0227】
(合成例A−2〜A−4)
化合物の配合処方を表2に記載したこと以外は合成例1と同様にして樹脂(A−2)〜(A−4)を調製した。樹脂(A−1)〜(A−4)の物性値を表3に記す。
【0228】
【表2】
【0229】
【表3】
【0230】
(重合体(C)の調製)
表1に示す化合物を用いて重合体(C)を調製した。
【0231】
(合成例C−1)
化合物(M−16)5.0g(0.022mol)を2−ブタノン10gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.25gを200mLの三口フラスコに投入し、30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱した。加温開始を重合開始時間とし、重合反応を4時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した。その重合溶液をエバポレーターにて重合溶液の重量が7.5gになるまで減圧濃縮した。その後、50gのメタノール及び50gの水の混合液中に濃縮液を投入し、スライム状の白色固体を析出させた。デカンテーションにて液体部を取り除き、再度50gのメタノール及び50gの水の混合液を投入してスライム状の白色固体を繰り返し2回洗浄した。回収した固体を60度15時間真空乾燥することにより、白色の粉体を3.1g得た(収率62%)。Mwは7000であり、Mw/Mnは1.48であり、13C−NMR分析の結果、化合物(M−16)に由来する繰り返し単位の含有率が100mol%であった。この共重合体を重合体(C−1)とする。
【0232】
(合成例C−2〜C−21)
化合物の配合処方を表4に記載したこと以外は合成例C−2と同様にして重合体(C−3)〜(C−21)を調製した。重合体(C−1)〜(C−21)の物性値を表3に記す。
【0233】
【表4】
【0234】
(酸発生剤(B)) 以下、実施例及び比較例で用いた酸発生剤(B)を表に示す。
【0235】
【表5】
【0236】
(酸拡散制御剤(D))
以下、実施例及び比較例で用いた酸拡散制御剤(D)を表に示す。
【0237】
【表6】
【0238】
(溶剤(E))
以下、実施例及び比較例で用いた溶剤(E)を示す。
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
(E−2):シクロヘキサノン。
【0239】
その他、添加剤としてγ−ブチロラクトンを用いた。
【0240】
(実施例1)
合成例A1で調製した重合体(A−1)100部、合成例C−1で調製した含フッ素重合体(C−1)5部、酸発生剤(B−1)9.9部、酸拡散制御剤(D−1)1.5部、添加剤としてγ−ブチロラクトン100部及び溶剤(E−1)1500部、(E−2)650部を混合して感放射線性樹脂組成物の組成物溶液を調製した。
【0241】
(実施例2〜21、比較例1〜7)
表7に示す配合処方にしたこと以外は実施例1と同様にして各感放射線性樹脂組成物の組成物溶液を調製した。
【0242】
【表7】
【0243】
評価の結果を表8に示す。
【0244】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明の感放射線性樹脂組成物は半導体デバイス製造用の化学増幅型レジスト、特に液浸露光用のレジストとして好適に用いることができる。