(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1以上の不揮発性のメモリセルと、前記メモリセルへの書き込みデータ又は前記メモリセルからの読み出しデータを格納するラッチ回路とを含み、前記メモリセル及び前記ラッチ回路がアレイ状に配置された複数の不揮発性メモリ回路と、
前記複数の不揮発性メモリ回路における前記ラッチ回路のそれぞれに接続され、データを一時的に保持する複数のデータ保持回路と、
前記複数の不揮発性メモリ回路の外側に配置された、前記メモリセルのダミーセルと、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、半導体装置70の回路構成を示す図であり、バックアップ機能を備えたデータ保持回路の例である。半導体装置70は、マスターラッチ回路72及びスレーブラッチ回路82を含むD型フリップフロップ回路(上記のデータ保持回路に相当)を備える。半導体装置70はまた、不揮発性の強誘電体メモリFC1〜FC4を含む。
【0011】
マスターラッチ回路72は、環状に接続された1対のインバータ74及び76を含む。マスターラッチ回路72の入力ノードは、インバータ78を介してデータ入力端子Dに接続されている。インバータ78の高電源側にはP型トランジスタT1が、低電源側にはN型トランジスタT2がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、クロック信号CK及びXCKが入力されている。マスターラッチ回路72の出力ノードは、トランスファゲート80を介して後段のスレーブラッチ回路82の入力ノードに接続されている。
【0012】
スレーブラッチ回路82は、環状に接続された1対のインバータ84及び86を含む。インバータ84の高電源側にはP型トランジスタT3が、低電源側にはN型トランジスタT4がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、活性化信号XE及びEが入力されている。インバータ86の高電源側にはP型トランジスタT5が、低電源側にはN型トランジスタT6がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、活性化信号XE及びEが入力されている。スレーブラッチ回路82の出力ノードは、インバータ88を介してフリップフロップ回路のデータ出力端子Qに接続されている。
【0013】
強誘電体メモリFC1〜FC4は、一対の電極に挟まれた強誘電体を含む可変容量であり、強誘電体の分極状態によりデータを記憶する不揮発性メモリである。強誘電体メモリFC1及びFC3の一端は第1プレート線PL1に接続され、強誘電体メモリFC2及びFC4の一端は第2プレート線PL2に接続されている。第1プレート線PL1及び第2プレート線PL2は、強誘電体メモリFC1〜FC4に対し、データの書き込み電圧及び読み出し電圧を供給する。
【0014】
強誘電体メモリFC1及びFC2の他端は互いに接続され、接続された他端はトランスファゲート90を介してスレーブラッチ回路82の入力ノード(以下、第1記憶ノードN1と称する)に接続されている。リセット信号Rにより駆動されるN型トランジスタT7が、トランスファゲート90の入力とグランドとの間に配置されている。本構成により、強誘電体メモリFC1及びFC2は、第1記憶ノードN1の信号を記憶する。
【0015】
強誘電体メモリFC3及びFC4の他端は互いに接続され、接続された他端はトランスファゲート92を介してスレーブラッチ回路82の出力ノード(以下、第2記憶ノードN2と称する)に接続されている。リセット信号Rにより駆動されるN型トランジスタT8が、トランスファゲート90の入力とグランドとの間に配置されている。本構成により、強誘電体メモリFC3及びFC4は、第2記憶ノードN2の信号を記憶する。
【0016】
図2は、半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図2に示すタイミングチャートは、
図1に示す半導体装置のタイミングチャートであってよい。電源が投入されて電源電圧が所定の値(Vdd)まで上昇すると、動作モードはデータ読み出しモードへと移行する。このとき、強誘電体メモリFC1〜FC4に記憶されたデータが、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2(スレーブラッチ回路82)に読み出され、フリップフロップ回路の状態が前回の電源切断前の状態に復帰する。その後、再び電源が切断されるまで、半導体装置70は通常動作を行う。その後、電源が切断されて電源電圧が下がり始めると、動作モードはデータ書き込みモードへと移行する。このとき、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2(スレーブラッチ回路82)の信号が、強誘電体メモリFC1〜FC4へと書き込まれる。強誘電体メモリFC1〜FC4は、次回の電源投入時まで、フリップフロップ回路の状態を記憶する。
【0017】
例えば、
図1において、第1記憶ノードN1の信号がL(ロー)レベル、第2記憶ノードN2の信号がH(ハイ)レベルの場合を考える。データ書き込み時においては、第1プレート線PL1及び第2プレート線PL2の信号レベルが、Lレベルから一時的にHレベルに遷移し、その後再びLレベルとなる。強誘電体メモリFC1〜FC4の分極状態は、強誘電体に流れる電流の方向に沿った方向に変化する。このため、強誘電体メモリFC1〜FC4は、図中に矢印で示す分極状態となる。
【0018】
データ読み出し時においては、第1プレート線PL1がHレベルに遷移し、第2プレート線PL2はLレベルを維持する。ここで、高電源側の第1プレート線PL1からみて、反転状態にある強誘電体に接続されたノードの電位は早く上昇し、非反転状態にある強誘電体に接続されたノードの電位は遅く上昇する。
図1に示す分極状態の場合、第2記憶ノードN2の電位は、第1記憶ノードN1の電位より早く上昇する。この状態で活性化信号Eを駆動してスレーブラッチ回路82を活性化させると、第1記憶ノードN1はLレベル、第2記憶ノードN2はHレベルまで信号レベルが増幅され、電源切断前の状態に復帰する。第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2の信号が
図1と反対の場合でも、上記と同様にデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0019】
ここで、半導体装置70のフリップフロップ回路は強誘電体メモリFC1〜FC4を含むため、回路面積が大きくなるかもしれない。
【0020】
図3は、半導体装置70のレイアウトを示す図である。トランジスタが形成されるトランジスタ回路部94の外側に、強誘電体メモリFC1〜FC4が形成される強誘電体メモリ部96が設けられている。強誘電体メモリ部96では、強誘電体メモリFC1〜FC4を構成する強誘電体メモリセルFCを囲むように、強誘電体メモリセルFCと同様の作りのダミーセルDCが複数配置されている。ダミーセルDCは、特性の安定した強誘電体メモリセルFCを得るために、強誘電体メモリセルFCと同じ工程において形成される。従って、強誘電体メモリ部96の大きさは、強誘電体メモリセルFCの形成領域に、ダミーセルDCの形成領域を加えたものとなる。
【0021】
フリップフロップ回路の内部にバックアップ用の強誘電体メモリを設ける場合、バックアップ機能を有さないフリップフロップ回路に比べて回路面積は増大する。例えば、
図1及び
図3のように1ビットのフリップフロップ回路に対し、4個の強誘電体メモリセルFC及び12個のダミーセルDCが設けられる。これにより、フリップフロップ回路の面積が増大し、装置が大型化してしまう。また、フリップフロップ回路の面積が増大すると、フリップフロップ回路同士を結ぶ配線の長さも増大し、信号の伝達速度が低下するため、動作速度が低下してしまう。
【0022】
図4は、実施例1に係る半導体装置100の回路構成を示す図である。半導体装置100は、フリップフロップ回路10及び不揮発性メモリ回路20を備えている。
【0023】
フリップフロップ回路10は、クロック端子、データ入力端子D、データ出力端子Q、プリセット端子PR、及びクリア端子CLを有する。プリセット端子PRは、フリップフロップ回路10を第1の状態に初期化するための非同期の第1初期化端子の一例である。クリア端子CLは、フリップフロップ回路10を上記第1の状態と異なる第2の状態に初期化するための非同期の第2初期化端子の一例である。データ出力端子Qの出力は次段の論理回路へと出力されると共に、不揮発性メモリ回路20の入力側へと入力されている。プリセット端子PR及びクリア端子CLには、不揮発性メモリ回路20からの出力信号が入力されている。
【0024】
不揮発性メモリ回路20は、インバータ22、ラッチ回路30、及び不揮発性メモリセルの一例としての強誘電体メモリF1〜F4を含む。ラッチ回路30は、環状に接続された1対のインバータ32及び34、並びに2つの記憶ノード(第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2を含む。第1記憶ノードN1は、ラッチ回路30の第1端子F0として機能し、第2記憶ノードN2は、ラッチ回路30の第2端子F1として機能する。インバータ32の高電源側にはP型トランジスタT1が、低電源側にはN型トランジスタT2がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、活性化信号XE及びEが入力されている。インバータ34の高電源側にはP型トランジスタT3が、低電源側にはN型トランジスタT4がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、活性化信号XE及びEが入力されている。ここで、活性化信号X及びXEは、共にラッチ回路30を活性化させるための制御信号である。
【0025】
第1端子F0は、インバータ22を介して不揮発性メモリ回路20の入力端子INに接続されている。入力端子INは、フリップフロップ回路10のデータ出力端子Qに接続されている。インバータ22の高電源側にはP型トランジスタT5が、低電源側にはN型トランジスタT6がそれぞれ接続され、各トランジスタのゲート端子には、活性化信号XC及びCが入力されている。ここで、活性化信号C及びXCは、共にインバータ22を活性化させるための制御信号である。
【0026】
第1端子F0は、フリップフロップ回路10のプリセット端子PRに接続されている。リセット信号Rにより活性化されるN型トランジスタT7が、第1記憶ノードN1とグランドとの間に配置されている。第2端子F1は、フリップフロップ回路10のクリア端子CLに接続されている。リセット信号Rにより活性化されるN型トランジスタT8が、第2記憶ノードN2とグランドとの間に配置されている。
【0027】
強誘電体メモリFC1〜FC4は、
図1に示す不揮発性メモリと実質的に同じまたは類似してもよい。強誘電体メモリFC1及びFC3の一端は第1プレート線PL1に接続され、強誘電体メモリFC2及びFC4の一端は第2プレート線PL2に接続されている。また、強誘電体メモリFC1及びFC2の他端は互いに接続され、その接続ノードはラッチ回路30の第1記憶ノードN1に接続されている。同様に、強誘電体メモリFC3及びFC4の他端は互いに接続され、その接続ノードはラッチ回路30の第2記憶ノードN2に接続されている。強誘電体メモリFC1及びFC2は、第1記憶ノードN1の信号を記憶し、強誘電体メモリFC3及びFC4は、第2記憶ノードN2の信号を記憶する。
【0028】
実施例1に係る半導体装置100の基本動作は、
図2に示す動作と実質的に同じまたは類似してもよい。電源切断時において、フリップフロップ回路10の状態がラッチ回路30を介して強誘電体メモリFC1〜FC4に書き込まれる。次に電源が投入されるまでの間は、強誘電体メモリFC1〜FC4によりフリップフロップ回路10の状態が記憶される。そして、電源投入時において、強誘電体メモリFC1〜FC4に記憶されたデータがラッチ回路30に読み出され、読み出されたデータに基づいてフリップフロップ回路10が所定の状態にリセットされる。
【0029】
図5は、データ書き込み動作を示すタイミングチャートである。初期状態において、インバータ22の活性化信号CはLレベルであり、不揮発性メモリ回路20は入力を受け付けていない。また、リセット信号RがHレベルにあり、接地電位に接続されたトランジスタT7及びT8がオン状態であるため、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2の信号はLレベルにある。さらに、ラッチ回路30の活性化信号E、第1プレート信号PL1、及び第2プレート信号PL2もLレベルにある。これにより、初期状態において強誘電体メモリFC1〜FC4に対し、予定外のデータ書き込みが行われることが抑制されている。
【0030】
データ書き込みモードに移行すると、リセット信号RがLレベルとなり、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2がフローティング状態となる。続いて、インバータ22の活性化信号CがHレベルとなり、フリップフロップ回路10からの出力データが、インバータ22により反転されてラッチ回路30に入力される。続いて、ラッチ回路30の活性化信号EもHレベルとなり、ラッチ回路30が活性化される。これにより、第1記憶ノードN1はHレベルまたはLレベルのいずれかの信号となり、第2記憶ノードN2は第1記憶ノードN1と反対の信号となる。以下、第1記憶ノードN1(第1端子F0)がHレベルにあり、第2記憶ノードN2(第2端子F1)がLレベルにある状態を「0」状態と称する。また、第1記憶ノードN1(第1端子F0)がLレベルにあり、第2記憶ノードN2(第2端子F1)がHレベルにある状態を「1」状態と称する。
【0031】
ラッチ回路30がラッチ回路30の活性化信号Eにより活性化した後、第1プレート信号PL1及び第2プレート信号PL2がHレベルとなり、一定時間経過後に再びLレベルとなる。これにより、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2の信号に応じて、強誘電体メモリFC1〜FC4の分極状態が変化し、データが書き込まれる。例えば、ラッチ回路30が「0」状態の場合、強誘電体メモリFC1〜FC4は
図4に示すような分極状態となる。ラッチ回路30が「1」状態の場合は、強誘電体メモリFC1〜FC4の分極状態は
図4の反対となる(図示せず)。
【0032】
図6は、「0」状態の読み出し動作を示すタイミングチャートである。初期状態においては、書き込み動作時と同様に、リセット信号はHレベル、その他の信号はLレベルとなっている。また、データ読み出し時においては、インバータ22の活性化信号Cは活性化されずLレベルに維持される。最初に、リセット信号RがLレベルに変化した後、第1プレート信号PL1が一定時間の間Hレベルに変化する。そして、第1プレート信号PL1がHレベルにある間に、ラッチ回路30の活性化信号EがHレベルに変化する。
【0033】
第1プレート信号PL1がHレベルに立ち上がると、第1記憶ノードN1及び第2記憶ノードN2に対し、強誘電体メモリFC1及びFC3を介して電流が供給される。高電源の第1プレート線PL1からみて、反転状態にある強誘電体に接続されたノードの電位は早く上昇し、非反転状態にある強誘電体に接続されたノードの電位は遅く上昇する。従って、
図4に示す分極状態の場合、第1記憶ノードN1の電位は、第2記憶ノードN2の電位より早く上昇する。この状態で活性化信号Eを駆動してラッチ回路30を活性化させると、第1記憶ノードN1はHレベル、第2記憶ノードN2はLレベルに信号レベルが増幅される。従って、
図6に示すように、第1端子F0の信号レベルはH、第2端子F1の信号レベルはLとなり、「0」状態が読み出される。
【0034】
次に、第1プレート信号PL1がLレベルに変化すると、それを受けて第2プレート信号PL2がHレベルに立ち上がる。これにより、強誘電体メモリFC1〜FC4に対し、直前のデータ書き込み時と同じ方向の電圧が印加され、データ読み出し時において破壊されたデータがある場合は元通りに上書き(再書き込み)される。
【0035】
図7は、「1」状態の読み出し動作を示すタイミングチャートである。インバータ22の活性化信号C、リセット信号R、ラッチ回路30の活性化信号E、第1プレート信号PL1、及び第2プレート信号PL2の動作波形は、「0」読み出しの場合(
図6)と同様である。
【0036】
「1」読み出しの場合、強誘電体メモリFC1〜FC4は、
図4に示す分極状態と反対の状態にあるため、第2記憶ノードN2の電位は、第1記憶ノードN1の電位より早く上昇する。この状態で活性化信号Eを駆動してラッチ回路30を活性化させると、第1記憶ノードN1はLレベル、第2記憶ノードN2はHレベルに信号レベルが増幅される。従って、
図7に示すように、第1端子F0の信号レベルはL、第2端子F1の信号レベルはHとなり、「1」状態が読み出される。次に、第1プレート信号PL1がLレベルに変化すると、それを受けて第2プレート信号PL2がHレベルに立ち上がり、データの再書き込みが行われる。
【0037】
強誘電体メモリFC1〜FC4からラッチ回路30に読み出されたデータ(「0」状態または「1」状態のいずれか)は、フリップフロップ回路10のリセット用端子に供給される。「0」状態の場合、フリップフロップ回路10のプリセット端子PRにはHレベルの信号が、クリア端子CLにはLレベルの信号がそれぞれ供給され、プリセット端子PRが活性化する。これにより、フリップフロップ回路10はLレベルの信号「0」を出力する。一方、「1」状態の場合、フリップフロップ回路10のプリセット端子PRにはLレベルの信号が、クリア端子CLにはHレベルの信号がそれぞれ供給され、クリア端子CLが活性化する。これにより、フリップフロップ回路10はHレベルの信号「1」を出力する。
【0038】
以上のように、実施例1に係る半導体装置100は、不揮発性記憶機能を有するフリップフロップ回路10を備えている。半導体装置100は、フリップフロップ回路10及び不揮発性メモリ回路20を1組とした1ビット分のデータ記憶回路を複数備えている。
【0039】
図8は、不揮発性メモリ回路20のレイアウトを示す図である。強誘電体メモリセルFCが、複数の強誘電体形成領域40のそれぞれに複数形成されている。2つの強誘電体形成領域40の間には、Nチャネル型トランジスタの形成領域(Nch−TR部42)及びPチャネル型トランジスタの形成領域(Pch−TR部44)のいずれかが交互に形成されている。Nch−TR部42及びPch−TR部44に形成されるトランジスタは、ラッチ回路30を構成するトランジスタである。すなわち、図示するように、強誘電体メモリセルFC及びラッチ回路30を含む不揮発性メモリ回路20が、アレイ状に複数配置されている。強誘電体メモリセルFC及びラッチ回路30がアレイ状に配置された領域(図の符号45)の外側には、ダミーセルDCが当該領域を囲むように形成されている(図の符号46)。
【0040】
実施例1では、複数ビット分(例えば、数キロバイト〜数メガバイト分)の不揮発性メモリ回路20に含まれる強誘電体メモリセルFC及びラッチ回路30がアレイ状に配置されており、回路面積が全体として低減されている。また、
図3に示した例と異なり、ダミーセルDCが複数の不揮発性メモリ回路20により共有されているため、同一ビット数当たりのダミーセルの数は少なくなっている。
【0041】
図9は、実施例1に係る半導体装置の構成の比較を示す図である。
図9(a)は比較例の構成を、
図9(b)は実施例1の構成を模式的に示す。
図9(a)に示すように、比較例に係る半導体装置70では、半導体チップ50内に、フリップフロップ回路10を含む各種の論理回路が互いに接続されて配置された論理領域52が設けられている。また、
図9(b)に示すように、実施例1に係る半導体装置100では、半導体チップ50内における論理領域52の外側に、複数の不揮発性メモリ回路20が配置される不揮発性記憶領域54が設けられている。不揮発性メモリ回路20は、論理領域52内の論理回路には含まれていない。
【0042】
図9(a)では、強誘電体メモリセルFCがフリップフロップ回路0の内部に設けられているため、フリップフロップ回路10の回路面積は大きくなってしまう。また、フリップフロップ回路10が配置される論理領域52の面積も大きくなり、複数のフリップフロップ回路10同士を接続する配線60も長くなるため、動作速度が低下してしまう。
【0043】
これに対し、実施例1では、フリップフロップ回路10が強誘電体メモリセルFCを含まない(強誘電体メモリセルFCを含む不揮発性メモリ回路20が、フリップフロップ回路10の周辺に設けられている)。このため、フリップフロップ回路10の回路面積は比較例と比べて小さい。従って、論理領域52の面積も比較例と比べて小さくなる。また、不揮発性記憶領域54において、前述のようにダミーセルDCを複数の不揮発性メモリ回路20で共有しているため、ダミーセルDCの数が比較例と比べて少なくなっている。以上のことから、実施例1に係る半導体装置100では、比較例に比べて全体としての回路面積を低減することができる。
【0044】
また、実施例1に係る半導体装置100によれば、フリップフロップ回路10の回路面積が比較例よりも小さいため、フリップフロップ回路10を含む複数の論理回路同士を接続する配線60の長さを、比較例より短くすることができる。従って、比較例に比べて配線遅延による信号伝達速度の低下の影響を抑制し、動作速度を向上させることができる。以上のように、実施例1に係る半導体装置によれば、回路面積の低減及び動作速度の向上を図ることができる。
【0045】
実施例1の構成は、論理領域52の論理回路をスタンダードセルにより形成し、自動配置配線を用いて半導体装置100を作成する場合に特に好適である。自動配置配線では、配線のレイアウトが自動的に決定されてしまうため、論理回路間の配線の長さを短くするためには、個々の論理回路の回路面積を小さくすることが好ましいためである。不揮発性記憶領域54は、スタンダードセルにより形成されず、ハードマクロ等によって形成されていてもよい。
【0046】
実施例1において、フリップフロップ回路10は、1ビットの情報を一時的に記憶可能な揮発性のデータ保持回路の一例である。データ保持回路は、上記の機能を有するものであれば、本実施例の具体的構成に限定されるものではない。
【0047】
実施例1において、不揮発性メモリ回路20に含まれるラッチ回路30は、不揮発性メモリFC1〜FC4に対する書き込み回路及び読み出し回路の2つの役割を兼ね備えている。書き込み回路としてのラッチ回路30は、プレート線(PL1、PL2)の電位変化に応じて、データ保持回路としてのフリップフロップ回路10から出力されたデータを、強誘電体メモリセルFC1〜FC4に書き込む。読み出し回路としてのラッチ回路30は、プレート線(PL1、PL2)の電位変化に応じて、強誘電体メモリセルFC1〜FC4からデータを読み出し、データ保持回路としてのフリップフロップ回路10に出力する。このとき、ラッチ回路30は、不揮発性メモリFC1〜FC4に記憶されたデータに基づく記憶ノードの電位変化を、HレベルまたはLレベルの信号のいずれかに増幅して出力する。これにより、不揮発性メモリ回路20からフリップフロップ回路10への信号伝達時における、配線容量に基づくノイズ等の影響を抑制することができ、不揮発性記憶領域54を論理領域52の外側に形成することが容易となる。なお、本実施例では、不揮発性メモリFC1〜FC4として強誘電体メモリを用いる例について説明したが、これ以外の不揮発性メモリを用いてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。