(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記早期加熱処理パターンの加熱処理が実行された場合であって、前記早期加熱処理パターンにおいて設定された加熱処理の終了時刻から前記夜間電力時間帯の終端の時刻までの間に発電された前記太陽光発電装置による発電電力は、売電可能である、
請求項1に記載の給湯装置。
電力会社(92)からの買電電力と太陽光発電装置(91)からの発電電力とを建物内の機器に分配する分電盤(90)から供給される電力を消費して早朝時間帯を含む夜間電力時間帯に貯湯タンク(11)内の水を加熱手段(83)により加熱する加熱処理を実行する給湯装置(1)の加熱処理実行方法であって、
前記加熱手段に対して前記太陽光発電装置による発電電力が供給可能に設定されているか否かが判断される第1ステップと、
前記第1ステップにおいて前記加熱手段に対して前記太陽光発電装置による発電電力が供給可能であると設定されている場合に、前記加熱手段による加熱処理の終了時刻を、前記夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に設定する第2ステップと、
前記加熱手段による加熱処理に必要な熱量を演算する第3ステップと、
前記第3ステップにおいて演算した熱量に基づいて、加熱処理に必要な加熱処理時間を算出する第4ステップと、
前記第2ステップにおいて設定した加熱処理の終了時刻から前記第4ステップにおいて算出した加熱処理時間だけ遡った時刻から前記加熱手段による加熱処理の実行を開始する第5ステップと、
を備える給湯装置の加熱処理実行方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽光発電装置を設置している建物では、電力会社からの買電電力と太陽光発電装置からの発電電力とを受ける分電盤から建物内の機器に電力が供給されることがある。また、建物内の機器には、太陽光発電装置による発電電力が優先的に供給され、太陽光発電装置による発電電力が不足している場合に、その不足分が電力会社からの買電電力で補われて供給されていることが多い。さらに、近年では、電力会社の発電負荷を軽減するために、太陽光発電装置により発電した発電電力を電力会社に供給するシステムが構築されている。
【0006】
ここで、上述のような分電盤から給湯装置に電力が供給される場合であって、太陽光発電装置によって発電の開始される日の出時刻が、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、夜間電力時間帯における加熱処理に太陽光発電装置により発電された発電電力が使用されることになる。そうすると、電力会社に供給可能な発電電力量が減少してしまう。
【0007】
そこで、本発明の課題は、電力会社からの買電電力と太陽光発電装置からの発電電力とを建物内の機器に分配する分電盤から電力が供給される給湯装置において、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる給湯装置、及び、給湯装置の加熱処理実行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係る給湯装置は、電力会社からの買電電力と太陽光発電装置からの発電電力とを建物内の機器に分配する分電盤から電力が供給される給湯装置であって、貯湯タンクと、加熱手段と、制御部と、
設定部と、を備える。加熱手段は、分電盤から供給される電力を消費して、貯湯タンク内の水を加熱する加熱処理を行う。制御部は、演算部と、算出部と、加熱処理実行部と、を有する。演算部は、加熱手段による加熱処理に必要な熱量を演算する。算出部は、演算部によって演算された熱量に基づいて、加熱処理に必要な加熱処理時間を算出する。加熱処理実行部は、算出部によって算出された加熱処理実行時間に基づいて、早朝時間帯を含む夜間電力時間帯に加熱手段に加熱処理を実行させる。
設定部は、加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力を供給可能であるか否かを設定する。また、加熱処理実行部は、加熱処理パターンとして、通常加熱処理パターンと、早期加熱処理パターンと、を有する。通常加熱処理パターンでは、夜間電力時間帯の終端付近に加熱処理の終了時刻が設定される。早期加熱処理パターンでは、通常加熱処理
パターンで設定される加熱処理の終了時刻よりも早い時刻に加熱処理の終了時刻が設定される。
そして、加熱処理実行部は、設定部において加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力を供給可能であると設定されている場合には早期加熱処理パターンの加熱処理を実行する。一方で、加熱処理実行部は、設定部において加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力を供給可能でないと設定されている場合には通常加熱処理パターンの加熱処理を実行する。
【0009】
本発明の第1観点に係る給湯装置では、加熱処理実行部は、加熱処理パターンとして、通常加熱処理
パターンで設定される加熱処理の終了時刻よりも早い時刻に加熱処理の終了時刻が設定される早期加熱処理パターンを有している。このため、早期加熱処理パターンの加熱処理が実行されることで、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に加熱処理を終了させることができる。したがって、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、加熱処理の終了時刻から夜間電力時間帯の終端の時刻までに太陽光発電装置によって発電された発電電力が、加熱処理のために消費されるおそれを低減することができる。
【0010】
これによって、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる。
【0011】
また、この給湯装置では、加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力を供給可能であるか否かを設定することができる。したがって、この給湯装置では、太陽光発電装置を設置している場合であっても、太陽光発電装置を設置していない場合であっても、それぞれの場合に応じて設定を変更することで、給湯装置自体を共通化することができる。
【0012】
本発明の第2観点に係る給湯装置は、第1観点の給湯装置において、早期加熱処理パターンの加熱処理が実行された場合であって、早期加熱処理パターンにおいて設定された加熱処理の終了時刻から夜間電力時間帯の終端の時刻までの間に発電された太陽光発電装置による発電電力は、売電可能である。このため、早期加熱処理パターンの加熱処理が実行される場合であって、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、通常加熱処理パターンの加熱処理が実行される場合と比較して、より多くの発電電力を電力会社に売ることができる。
【0013】
これによって、太陽光発電装置の設備費用を補助することができる。
【0014】
本発明の第
3観点に係る給湯装置は、第1観点
又は第
2観点
の給湯装置において、外気温度を検知する外気温度検知部を更に備える。また、加熱処理実行部は、外気温度検知部によって検知される外気温度値に基づいて、早期加熱処理パターンの加熱処理における開始時刻及び/又は終了時刻を設定する。この給湯装置では、外気温度に基づいて、早期加熱処理パターンの加熱処理における開始時刻及び/又は終了時刻を設定することができるため、外気温度に応じた加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を設定することができる。
【0015】
本発明の第
4観点に係る給湯装置は、第
3観点の給湯装置において、制御部は、記憶部を更に有する。記憶部は、加熱処理実行部によって設定された加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を記憶する。この給湯装置では、加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を保持することができる。
【0016】
本発明の第
5観点に係る給湯装置は、第1観点から第
4観点のいずれかの給湯装置において、制御部は、ネットワーク接続されており、ネットワークを介して正しい時刻情報及び/又は気象情報を取得する。この給湯装置では、正しい時刻情報及び/又は気象情報を取得することができるため、正しい時刻情報及び/又は気象情報を利用して早期加熱処理パターンにおける加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を設定することができる。
【0017】
本発明の第
6観点に係る給湯装置の加熱処理実行方法は、電力会社からの買電電力と太陽光発電装置からの発電電力とを建物内の機器に分配する分電盤から供給される電力を消費して早期時間帯を含む夜間電力時間帯に貯湯タンク内の水を加熱手段により加熱する加熱処理を実行する給湯装置の加熱処理実行方法であって、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、第4ステップと、
第5ステップと、を備える。
第1ステップでは、加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力が供給可能に設定されているか否かが判断される。第
2ステップでは、
第1ステップにおいて加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力が供給可能であると設定されている場合に、加熱手段による加熱処理の終了時刻を、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に設定する。第
3ステップでは、加熱手段による加熱処理に必要な熱量を演算する。第
4ステップでは、第
3ステップにおいて演算した熱量に基づいて、加熱処理に必要な加熱処理時間を算出する。第
5ステップでは、第
2ステップにおいて設定した加熱処理の終了時刻から第
4ステップにおいて算出した加熱処理時間だけ遡った時刻から加熱手段による加熱処理の実行を開始する。
【0018】
本発明の第
6観点に係る給湯装置の加熱処理実行方法では、
加熱手段に対して太陽光発電装置による発電電力が供給可能であると設定されている場合には、加熱処理の終了時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に設定される。このため、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、加熱処理の終了時刻から夜間電力時間帯の終端の時刻までに太陽光発電装置によって発電された発電電力が、加熱処理のために消費されるおそれを低減することができる。
【0019】
これによって、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1観点に係る給湯装置では、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる。
【0021】
本発明の第2観点に係る給湯装置では、太陽光発電装置の設備費用を補助することができる。
【0022】
本発明の第
3観点に係る給湯装置では、外気温度に応じた加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を設定することができる。
【0023】
本発明の第
4観点に係る給湯装置では、加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を保持することができる。
【0024】
本発明の第
5観点に係る給湯装置では、正しい時刻情報及び/又は気象情報を利用して早期加熱処理パターンにおける加熱処理の開始時刻及び/又は終了時刻を設定することができる。
【0025】
本発明の第
6観点に係る給湯装置の加熱処理実行方法では、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯装置1について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
(1)貯湯式給湯装置の構成
貯湯式給湯装置1は、加熱手段(本実施形態では、ヒートポンプユニット83)により沸き上げられた温度の高い水(以下より、常温の水よりも温度の高い水を湯という)、又は、水を、貯湯ユニット10の備える貯湯タンク11に貯湯し、その貯湯した湯及び水(以下、湯水という)を、利用者の操作に応じて、浴槽18に供給したり、又は、浴槽18以外の供給部(例えば、シャワーや台所の蛇口等)16に供給したりするものである。
【0029】
なお、本実施形態における貯湯式給湯装置1は、
図2に示すように、分電盤90から電力が供給される給湯装置である。具体的には、貯湯式給湯装置1の備える各種機器(例えば、ヒートポンプユニット83の圧縮機87や沸き上げポンプP1等)は、分電盤90から供給された電力を消費して駆動することで、後述する沸き上げ運転を含む各種運転を実行する。分電盤90は、太陽光発電装置91によって発電された発電電力と、電力会社92から供給される買電電力とを、建物内の各設備機器に分配するためのものである。また、パワーコンディショナ93は、太陽光発電装置91で発電した直流電力を交流電力に変換するためのものである。
【0030】
ここで、太陽光発電装置91は、日の出とともに発電を始め、日の入りと共に発電を停止する。また、太陽光発電装置91が発電した発電電力は、分電盤90を介して建物内に設置されている設備機器を稼働させるための電力として使用される。さらに、太陽光発電装置91の発電電力が、各設備機器による電力消費量(電力使用量)を上回っている場合には、電力会社92との契約等により、その余剰電力を電力会社92に売る(売電する)ことができる。
【0031】
さらに、この貯湯式給湯装置1は、主に、ヒートポンプユニット83と、貯湯ユニット10と、制御装置70と、を備えている(
図1及び
図3参照)。以下に、貯湯式給湯装置1の備える各種構成部品について説明する。
【0032】
(2)ヒートポンプユニットの構成
ヒートポンプユニット83は、湯を作り出すための熱源装置として電力を得て機能する。具体的には、ヒートポンプユニット83は、冷媒(例えば、二酸化炭素冷媒等)が循環する冷媒回路を備えている。また、冷媒回路では、圧縮機87(
図3参照)の吐出側、水熱交換器の冷媒側、内部熱交換器内の高圧側、膨張弁、空気熱交換器、内部熱交換器内の低圧側、圧縮機87の吸入側、の順に各機器が接続されており、内部に冷媒を循環させている。
【0033】
内部熱交換器は、高圧側の配管を流れる冷媒と、低圧側の配管を流れる冷媒と、の間で熱交換を行わせる。水熱交換器は、冷媒管を有しており、圧縮機87によって吐出され冷媒管に流入した高温の冷媒と、後述する貯湯ユニット10の貯湯往き管21から水管25に流入した湯水と、の間で熱交換を行わせる。この水熱交換器における熱交換によって、冷媒管を通過する冷媒が冷却され、水管25を通過する湯水が加熱されることで、後述する貯湯ユニット10の貯湯戻り管22に流入する湯水の温度を上げることができる。この結果、貯湯ユニット10の貯湯戻り管22には、貯湯往き管21を流れる湯水の温度よりも高い温度の湯水が流れることになる。
【0034】
また、ヒートポンプユニット83は、各種センサを備えている。各種センサとしては、冷媒に関する温度や圧力を検知するセンサ等がある。具体的には、各種センサとしては、圧縮機87の吸入側を通過する冷媒圧力を検知する吸入圧力センサ、圧縮機87の吸入側を通過する冷媒温度を検知する吸入サーミスタ、圧縮機87の吐出側を通過する冷媒圧力を検知する吐出圧力センサ、圧縮機87の吐出側を通過する冷媒温度を検知する吐出サーミスタ、水熱交換器を通過することで冷却された冷媒の温度を検知する水熱交換後冷媒サーミスタ、外気の温度を検知する外気サーミスタT11(
図3参照)、及び、空気熱交換器において加熱された後の冷媒の温度を検知する空気熱交換後冷媒サーミスタ等があり、これら各種センサは、制御装置70が検知値を把握可能なように設けられている。
【0035】
(3)貯湯ユニットの構成
貯湯ユニット10は、市水等の外部から供給される常温の水をヒートポンプユニット83から得られる熱によって加熱し、蓄えつつ、利用する装置である。また、貯湯ユニット10は、
図1に示すように、貯湯タンク11、貯湯用循環回路20、追焚熱交換器12、追焚熱源回路30、追焚利用回路40、給湯配管系50、及び、配管継手61等を備えている。
【0036】
貯湯ユニット10は、略直方体形状を呈するケーシング13を備えている。また、貯湯タンク11、貯湯用循環回路20の一部、追焚熱交換器12、追焚熱源回路30、追焚利用回路40、給湯配管系50の一部、及び、配管継手61の一部は、ケーシング13内に収納されている(
図1参照)。
【0037】
(3−1)貯湯タンク11
貯湯タンク11は、ヒートポンプユニット83由来の熱によって得られる湯、及び水を、利用者に利用される前から予め蓄えておくためのタンクである。貯湯タンク11は、例えば、円筒形状に形成されており、内部に湯水を溜めることができる。
【0038】
また、貯湯タンク11の上部には、水温サーミスタT1が配設されており、貯湯タンク11の側面には、複数の残湯量サーミスタT2〜T6が、上下に渡って所定の間隔をあけて配設されている。水温サーミスタT1及び残湯量サーミスタT2〜T6は、貯湯タンク11内の湯水の温度を測定するものである。また、水温サーミスタT1及び残湯量サーミスタT2〜T6は、それぞれ、貯湯タンク11の残湯量に対応する高さ位置に配設されている。
【0039】
(3−2)貯湯用循環回路
貯湯用循環回路20は、貯湯タンク11内の湯水に対してヒートポンプユニット83で得られる熱を伝えるための回路であり、貯湯往き管21、貯湯戻り管22、沸き上げポンプP1、排水用三方弁60、及び、沸き上げ三方弁24を有している。
【0040】
貯湯往き管21は、貯湯タンク11の下端部近傍と、ヒートポンプユニット83内に位置する水熱交換器の水管25の上流側端部とを接続する配管である。また、貯湯往き管21は、貯湯タンク11の下端部近傍と排水用三方弁60とを接続する第1貯湯往き管21aと、排水用三方弁60とヒートポンプ循環往き口10aとを接続する第2貯湯往き管21bと、ヒートポンプ循環往き口10aと水熱交換器の水管25の上流側端部とを接続する第3貯湯往き管21cと、を含む。第2貯湯往き管21bの途中には、沸き上げポンプP1が配設されている。沸き上げポンプP1は、排水用三方弁60からの湯水をヒートポンプ循環往き口10a側に送り出すためのポンプである。
【0041】
貯湯戻り管22は、水熱交換器の水管25の下流側端部と貯湯タンク11の上端部近傍及び下端部近傍とを接続する配管である。また、貯湯戻り管22は、水熱交換器の水管25の下流側端部とヒートポンプ循環戻り口10bとを接続する第1貯湯戻り管22aと、ヒートポンプ循環戻り口10bと沸き上げ三方弁24とを接続する第2貯湯戻り管22bと、沸き上げ三方弁24と貯湯タンク11の上端部とを接続する第3貯湯戻り管22cと、沸き上げ三方弁24と貯湯タンク11の下端部とを接続する第4貯湯戻り管22dと、を含む。
【0042】
沸き上げ三方弁24は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。沸き上げ三方弁24は、制御装置70の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1貯湯戻り管22a側から第2貯湯戻り管22b側に流入する湯を、第3貯湯戻り管22cに流して貯湯タンク11の上端部から貯湯タンク11内に流出させたり、第4貯湯戻り管22dに流して貯湯タンク11の下端部から貯湯タンク11内に流出させたりする。
【0043】
貯湯用循環回路20では、沸き上げポンプP1が制御装置70の制御により駆動することで、貯湯タンク11内の湯水のうち下方に存在している温度の低い湯水を、貯湯往き管21に流出させ、水熱交換器の水管25を通過させることで温度上昇させつつ、貯湯戻り管22を介して貯湯タンク11の上端部近傍、或いは、貯湯タンク11の下端部近傍に戻している。これにより、貯湯タンク11内の湯水の温度を、比較的高温にすることができる。
【0044】
排水用三方弁60は、利用者が操作部(図示せず)を操作することで、その弁体の開度が調整される手動式の弁である。排水用三方弁60は、弁体の状態が調整されることで、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が第2貯湯往き管21b側に流出する状態と、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が排出配管63側に流出する状態とに切り換えられる。第1貯湯往き管21a側から排出配管63側に流出した湯水は、排水口62から貯湯ユニット10外に排出される。なお、排水用三方弁60は、通常は、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が第2貯湯往き管21b側に流出する状態に設定されている。
【0045】
(3−3)追焚熱交換器
追焚熱交換器12は、貯湯タンク11内の湯水が巡回する熱源管12aと、ケーシング13外の浴槽18にはられた湯又は水が循環する利用管12bと、を有している。追焚熱交換器12では、熱源管12aを流れる湯水と、利用管12bを流れる湯又は水と、の間で熱交換を行わせることで、利用管12bを流れる湯又は水の温度を上げることができる。
【0046】
(3−4)追焚熱源回路
追焚熱源回路30は、ケーシング13外の浴槽18にはられた湯又は水の温度を、貯湯タンク11に蓄えられている湯水の有している熱を利用して、さらに上げるための熱源供給側の回路である。追焚熱源回路30は、主に、熱源往き管31、熱源戻り管32、及び、熱源ポンプP3を有している。
【0047】
熱源往き管31は、貯湯タンク11の上端部近傍と追焚熱交換器12内の熱源管12aの上流側端部とを接続している。また、熱源往き管31には、貯湯タンク11側から流入した湯水の逆流を防止するための逆止弁B1が配設されている。なお、逆止弁B1は、熱源往き管31の貯湯タンク11と分岐点N1との間に配設されている。熱源戻り管32は、追焚熱交換器12内の熱源管12aの下流側端部と貯湯タンク11の下端部近傍とを接続している。熱源ポンプP3は、熱源戻り管32の途中に配設されている。
【0048】
追焚熱源回路30では、熱源ポンプP3が制御装置70の制御により駆動することで、貯湯タンク11内の湯水のうち上部に存在している高温の湯水を、熱源往き管31に流出させ、追焚熱交換器12内の熱源管12aを通過させることで温度低下させつつ、熱源戻り管32を介して貯湯タンク11の下端近傍に戻している。
【0049】
また、追焚熱源回路30は、沸き上げ運転時に発生する高温の膨張水を排水口62に導くための第1排水管34を有している。第1排水管34は、熱源往き管31の分岐点N1に分岐接続されており、配管継手61に接続されている。また、第1排水管34には、負圧作動式逃がし弁34aが配設されている。負圧作動式逃がし弁34aは、貯湯タンク11内の水圧が所定の水圧未満の場合には、その弁体を閉塞して、貯湯タンク11内の湯水が、第1排水管34を経て排水口62から貯湯ユニット10外に排出されることを禁止する。一方、貯湯タンク11内の水圧が所定の水圧以上の場合は、その弁体を開成して、貯湯タンク11内の湯水(膨張水)を、第1排水管34を経て排水口62から貯湯ユニット10外に排出するものである。
【0050】
(3−5)追焚利用回路
追焚利用回路40は、貯湯タンク11に蓄えられている湯水の有している熱を、追焚熱源回路30を介して得るための回路である。また、追焚利用回路40は、主に、利用往き管41、利用戻り管42、利用ポンプP2、外部配管43,45、及び、浴槽接続アダプター44を有している。
【0051】
利用往き管41の一方の端部は、ふろ循環戻り口10cを介して、外部配管43に接続されている。また、利用往き管41の他端部は、追焚熱交換器12内の利用管12bの上流側端部に接続されている。また、利用往き管41には、通過する湯又は水の温度を検知するためのふろサーミスタT7が設けられている。さらに、利用ポンプP2は、利用往き管41の途中に設けられている。
【0052】
利用戻り管42の一方の端部は、ふろ循環往き口10dを介して、外部配管45と接続されている。また、利用戻り管42の他端部は、追焚熱交換器12内の利用管12bの下流側端部と接続されている。
【0053】
外部配管43は、利用往き管41と浴槽接続アダプター44とを接続している。外部配管45は、利用戻り管42と浴槽接続アダプター44とを接続している。また、浴槽接続アダプター44は、浴槽18内に配置されており、浴槽18内に湯を流出させたり、浴槽18内から湯又は水を取り込んだりするものである。なお、外部配管43,45及び浴槽接続アダプター44は、
図1に示すように、ケーシング13外に配置されている。
【0054】
追焚利用回路40では、利用ポンプP2が制御装置70の制御により駆動することで、浴槽18の湯又は水を、浴槽接続アダプター44を介して外部配管43側から利用往き管41側に流出させ、追焚熱交換器12内の利用管12bを通過させることで温度上昇させつつ、利用戻り管42及び外部配管45を介して浴槽18に戻している。これにより、浴槽18の湯又は水の温度を上げることができ、追い炊きを実行することができる。
【0055】
(3−6)給湯配管系
給湯配管系50は、外部の市水等から水の供給を受けつつ、貯湯タンク11に蓄えられている湯水を利用するための経路であって、給水管51、出湯管52、供給管53、給湯混合弁54、及び、お湯はり混合弁55を有している。
【0056】
給水管51は、外部の市水等から供給される水の流れる配管であって、第1給水管51aと、第2給水管51bと、第3給水管51cと、を有する。
【0057】
第1給水管51aは、貯湯ユニット10外部の水源から供給される水が流れる外部給水管17と、給湯混合弁54とを接続している。外部給水管17と第1給水管51aとは、給水接続口10eを介して接続されている。第1給水管51aは、外部の水源から供給される常温の水を、分岐点N2,N3を介して、給湯混合弁54に導く。また、第1給水管51aには、給水接続口10eと分岐点N2との間に、逆止弁付きストレーナと、給水接続口10e側から流入した水の水圧を所定の水圧に減圧する減圧弁Rとが配設されている。逆止弁付きストレーナは、給水接続口10e側から流入した水に含まれるゴミを取るためのストレーナSと、給水接続口10e側から流入した水の逆流を防止するための逆止弁B2とを含む。さらに、第1給水管51aには、分岐点N2近傍に、第1給水管51aを流れる水の温度を検出する水温サーミスタT8が配設されている。また、第1給水管51aには、給湯混合弁54と分岐点N3との間に、分岐点N3側から流れてきた水の逆流を防止するための逆止弁B3が配設されている。
【0058】
第2給水管51bは、第1給水管51aの分岐点N3に分岐接続されており、第1給水管51aとお湯はり混合弁55とを接続している。第2給水管51bは、外部の水源から供給される常温の水を、第1給水管51aの分岐点N2,N3を介して、お湯はり混合弁55に導く。
【0059】
第3給水管51cは、第1給水管51aの分岐点N2に分岐接続されており、第1給水管51aと貯湯タンク11の下端部とを接続している。第3給水管51cは、外部の水源から供給される常温の水を、第1給水管51aの分岐点N2を介して、貯湯タンク11の下端近傍に導く。また、第3給水管51cには、分岐点N2側から流入した水の逆流を防止するための逆止弁B4が配設されている。なお、外部給水管17から第1給水管51aに流入する水は、その水圧により、分岐点N2を介して第3給水管51cを流れて貯湯タンク11に供給される。この結果、貯湯タンク11は、常に満水状態に保たれている。
【0060】
出湯管52は、貯湯タンク11内の湯水を浴槽18以外の供給先である供給部16に供給するための第1出湯管52aと、貯湯タンク11内の湯水を浴槽18に供給するための第2出湯管52bと、を有する。
【0061】
第1出湯管52aは、貯湯タンク11の上端部と、給湯混合弁54とを接続している。また、第1出湯管52aには、貯湯タンク11に蓄えられている湯水のうち、上端部近傍に存在している比較的温度の高い湯水が流れる。また、第1出湯管52aには、貯湯タンク11側から流入した湯水の逆流を防止するための逆止弁B5が配設されている。
【0062】
第2出湯管52bは、熱源往き管31の分岐点N4に分岐接続されており、熱源往き管31とお湯はり混合弁55とを接続している。第2出湯管52bは、貯湯タンク11に蓄えられている湯水のうち上端部近傍に存在している比較的温度の高い湯水を、熱源往き管31の一部を介して、お湯はり混合弁55に導く。
【0063】
供給管53は、給水管51を流れる常温の水と、貯湯タンク11の上端部近傍から出湯管52を通じて流れる高温の湯水と、の混合された湯水の流れる配管である。なお、供給管53内には、第1給水管51aを流れる水の温度(常温)と、貯湯タンク11の上端近傍に存在する湯水の温度と、の間の温度の湯水が流れる。また、供給管53は、給湯混合弁54に接続されている第1供給管53aと、お湯はり混合弁55に接続されている第2供給管53bと、を有している。
【0064】
第1供給管53aの給湯混合弁54に接続されている側の端部とは反対側の端部は、給湯接続口10fを介して、外部配管99に接続されている。外部配管99は、供給部16に接続されており、第1供給管53aを流れる湯水は、供給部16側に流れる。また、第1供給管53aには、内部を流れる湯水の水量を検出する給湯水量センサFLS1と、第1供給管53aを流れる湯水の温度を検出する給湯サーミスタT9とが配設されている。
【0065】
第2供給管53bのお湯はり混合弁55に接続されている端部とは反対側の端部は、利用戻り管42の分岐点N5に接続されている。言い換えると、第2供給管53bは、追焚熱源回路30の熱源往き管31と、追焚利用回路40の利用戻り管42とをバイパスしている。
【0066】
また、第2供給管53bには、お湯はり水量センサFLS2と、お湯はりサーミスタT10とが配設されている。お湯はり水量センサFLS2は、第2供給管53bを流れる湯水の水量を検出するものである。お湯はりサーミスタT10は、第2供給管53bを流れる湯水の温度を検出するためのものである。さらに、第2供給管53bには、複合水弁に含まれるお湯はり電磁弁SVと、2つの逆止弁B6,B7とが配設されている。お湯はり電磁弁SVは、電動モータによりその弁体の開度が調整されることで、利用戻り管42に流入する湯水の水量を調整するものである。逆止弁B6,B7は、お湯はり水量センサFLS2を挟むように配置されている。逆止弁B6,B7は、第2供給管53bを流れる湯水のお湯はり混合弁55側への逆流、又は、浴槽18からの湯又は水の逆流を防止する。
【0067】
また、第2供給管53bの分岐点N6には、第2供給管53bを流れる湯水を排水口62に導くための第2排水管53cが分岐接続されている。なお、本実施形態では、分岐点N6は、逆止弁B6と、お湯はり水量センサFLS2との間に位置している。また、第2排水管53cは、配管継手61に接続されている。さらに、第2排水管53cには、複合水弁に含まれる排水弁59が配設されている。排水弁59は、その弁体が開成することで、第2供給管53bに溜まった湯水を、第2排水管53cを通じて排水口62からケーシング13外に排出するものである。排水弁59は、電動式に構成されており、制御装置70の制御により、その弁体の開度が調整されるようになっている。
【0068】
給湯混合弁54は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。給湯混合弁54は、制御装置70の制御により、その弁体の開度が調整されることで、第1出湯管52aからの湯水と第1給水管51aからの水とを所望の混合比率で混合し、その混合した湯水を、第1供給管53a及び外部配管99を通じて供給部16に流出させる。
【0069】
お湯はり混合弁55は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。お湯はり混合弁55は、制御装置70の制御により、その弁体の開度が調整されることで、第2出湯管52bからの湯水と第2給水管51bからの水とを所望の混合比で混合し、その混合した湯水を、第2供給管53b及び利用戻り管42の一部を通じて浴槽18に流出させる。
【0070】
(3−7)配管継手
配管継手61は、貯湯ユニット10において生じる全排水を集約し、集約した排水が1つの排水口62から貯湯ユニット10外部に排出されるように構成されている。具体的には、配管継手61は、排水用三方弁60に接続されている排出配管63、第1排水管34、及び、第2排水管53cが接続される配管継手である。このため、複数の配管を流れる排水が1つの排水口62から貯湯ユニット10外部に排出される。
【0071】
(4)制御装置の構成
制御装置70は、各サーミスタT1〜T11や各水量センサFLS1,FLS2等の検出結果に基づき、各弁54,55,59,SV、ヒートポンプユニット83及び各ポンプP1,P2,P3等の各種機器を制御する。また、制御装置70は、
図3に示すように、コントローラ95に接続されている。コントローラ95は、利用者の操作を受け付けるものである。そして、コントローラ95は、設定部94を有している。設定部94は、利用者が、貯湯式給湯装置1の各種運転に対して、太陽光発電装置91によって発電された発電電力を供給可能であるか否かを設定するためのものである。例えば、利用者は、建物の設備として太陽光発電装置91が有る場合には、設定部94において、太陽光発電装置91からの電力供給を「有」に設定する。また、例えば、利用者は、建物の設備として太陽光発電装置91が無い場合には、設定部94において、太陽光発電装置91からの電力供給を「無」に設定する。設定部94は、利用者が設定した太陽光発電装置91に関する情報を、制御装置70に送信する。また、制御装置70は、演算部71と、算出部72と、実行部73と、記憶部74と、を備えている。
【0072】
実行部73は、貯湯タンク11内の湯水を、ヒートポンプユニット83の備える水熱交換器により沸き上げる(加熱処理に相当)沸き上げ運転を実行する。具体的には、実行部73は、ヒートポンプユニット83の有する圧縮機87、及び、貯湯ユニット10の有する沸き上げポンプP1を駆動させることで、沸き上げ運転を実行する。これにより、ヒートポンプユニット83において冷媒回路を冷媒が循環し、貯湯ユニット10の貯湯用循環回路20を貯湯ユニット10内の湯水が循環することで、貯湯ユニット10内の湯水の温度を上昇させる沸き上げが行われる。
【0073】
また、沸き上げ運転には、早朝時間帯を含む夜間電力時間帯である23:00から翌日の7:00までに沸き上げを行う第1沸き上げ運転と、昼間電力時間帯である7:00から23:00までに沸き上げ運転を行う第2沸き上げ運転と、がある。この貯湯式給湯装置1では、第1沸き上げ運転において、後述する予測使用熱量をまかなえるように、沸き上げが行われる。また、第2沸き上げ運転において、第1沸き上げ運転で不足する熱量をまかなえるように、沸き上げが行われる。
【0074】
なお、ここでいう夜間電力時間帯とは、貯湯式給湯装置1が設置される地域の電力会社92において昼間電力時間帯よりも使用電力料金が割引された夜間電力料金(深夜電力料金ともいう)が適用される時間帯のことであり、昼間電力時間帯は、夜間電力時間帯以外の時間帯のことである。このため、電力会社92の料金設定の時間帯により、ここで定義される時間帯は異なる。また、本実施形態では、夜間電力時間帯の始端の時刻及び終端の時刻は、予め記憶部74に記憶されているが、これに限定されず、利用者によって、夜間電力時間帯の始端の時刻及び終端の時刻が設定可能であってもよい。さらに、早朝時間帯とは、夜間電力時間帯の終端の時刻及び日の出時刻を含む時間帯であり、本実施形態では、5:00から7:00までの時間帯のことである。
【0075】
また、記憶部74には、各サーミスタT1〜T11によって検出された温度データと、各水量センサFLS1,FLS2によって検出された流量データと、各ポンプP1,P2,P3の運転時間データとが、記憶される。
【0076】
演算部71は、記憶部74に記憶されている温度データ、流量データ、及び、運転時間データに基づいて、所定時間毎に利用者が使用した湯水の熱量(以下、使用熱量という)を演算する。演算部71によって演算された使用熱量は、記憶部74に数日間記憶される。この結果、記憶部74には、所定時間毎の時間帯別に過去数日間分の使用熱量が蓄積される。
【0077】
また、演算部71は、記憶部74に記憶されている数日間分の使用熱量を基に、当日の予測使用熱量を、各時間帯別に演算する。さらに、演算部71は、予測使用熱量に基づいて、夜間電力時間帯の終端の時刻に貯湯タンク11内に貯留する必要のある貯湯必要熱量を演算し、貯湯必要熱量から残湯量に基づく残湯熱量を減じることで、夜間電力時間帯に沸き上げる必要のある必要熱量を演算する。残湯熱量は、水温サーミスタT1及び残湯量サーミスタT2〜T6の検知結果に基づく使用可能な温度以上の残湯量から求められる。なお、本実施形態では、貯湯必要熱量が、前日までの過去数日間の使用熱量に基づいて演算されているが、これに加えて、夜間電力時間帯中の使用実績が加味されて演算されてもよい。
【0078】
算出部72は、演算部71によって演算された必要熱量に基づいて、第1沸き上げ運転における沸き上げに必要な加熱処理時間を算出する。そして、実行部73は、算出部72によって算出された加熱処理時間に基づいて、ヒートポンプユニット83及び貯湯ユニット10に沸き上げを実行させる。また、実行部73は、第1沸き上げ運転として、通常沸き上げ運転(通常加熱処理パターンに相当)と、早期沸き上げ運転(早期加熱処理パターンに相当)と、を有する(
図4参照)。なお、実行部73は、設定部94の設定内容に基づいて、通常沸き上げ運転或いは早期沸き上げ運転のいずれの運転を実行するかを選択し、選択したいずれかの運転を実行する。
【0079】
また、実行部73は、通常沸き上げ運転において、夜間電力時間帯の終端の時刻に沸き上げ終了時刻を設定する。例えば、夜間電力時間帯の終端の時刻が7:00である場合には、実行部73は、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を、7:00に設定する。また、実行部73は、設定した通常沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻から、算出部72によって算出された加熱処理時間だけ遡った時刻を、通常沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻に設定する。
【0080】
さらに、実行部73は、早期沸き上げ運転において、通常沸き上げ運転で設定した沸き上げ終了時刻よりも早い時刻に沸き上げ終了時刻を設定する。例えば、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を7:00に設定した場合には、実行部73は、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻、すなわち、夜間電力時間帯の終端の時刻である7:00よりも早い時刻に設定する。具体的には、実行部73は、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻、及び、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を設定する。
【0081】
ここで、
図5は、外気サーミスタT11によって検知される外気の温度範囲と補正時間との対応関係を示すテーブルであって、このテーブルは、記憶部74に記憶されている。
【0082】
実行部73は、早期沸き上げ運転において、外気サーミスタT11によって検知される外気温度が、
図5に示すテーブルのいずれの温度範囲に入るかを把握し、把握した温度範囲に応じた補正時間を選択して抽出する。そして、実行部73は、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を、夜間電力時間帯の終端の時刻から補正時間だけ遡った時刻に決定する。例えば、外気サーミスタT11によって検知された外気の温度が27℃の場合には、実行部73は、当該外気温度が、外気温度≧25の温度範囲に入ることを把握し、補正時間として「2」時間を選択して抽出する。そして、実行部73は、夜間電力時間帯の終端の時刻(ここでは、7:00)から補正時間である「2」時間だけ遡った時刻(ここでは、5:00)を、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻に設定する。
【0083】
さらに、実行部73は、設定した早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻から、算出部72によって算出された加熱処理時間だけ遡った時刻を、早期沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻に設定する。
【0084】
この結果、
図4に示すように、通常沸き上げ運転及び早期沸き上げ運転の加熱処理時間は等しく(
図4では、ともに5時間)、早期沸き上げ運転の運転開始時刻(沸き上げ開始時刻)及び運転終了時刻(沸き上げ終了時刻)は、通常沸き上げ運転の運転開始時刻(沸き上げ開始時刻)及び運転終了時刻(沸き上げ終了時刻)よりも、早い時刻となる。
【0085】
なお、本実施形態では、実行部73は、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻、及び、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を設定しているが、これに限定されず、実行部73が、通常沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻、及び、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて、早期沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻を設定してもよく、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻や開始時刻、及び、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻及び開始時刻を設定してもよい。また、本実施形態では、記憶部74には、通常沸き上げ運転及び早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻及び沸き上げ開始時刻が記憶されるが、これに限定されず、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻又は沸き上げ開始時刻の少なくもといずれか一方が記憶されていればよい。
【0086】
(5)制御装置による第1沸き上げ運転時の制御動作
以下に、
図6を用いて、制御装置70による第1沸き上げ運転時の制御動作について説明する。
【0087】
現在時刻が夜間電力時間帯の始端の時刻に到達した場合、演算部71によって必要熱量が演算される(ステップS1,ステップS2)。次に、算出部72によって、必要熱量に基づいて、加熱処理時間が算出される(ステップS3)。そして、算出部72によって加熱処理時間が算出されると、実行部73は、夜間電力時間帯の終端の時刻から加熱処理時間だけ遡った時刻を、通常沸き上げ運転の開始時刻に設定する(ステップS4)。
【0088】
そして、実行部73は、設定部94において太陽光発電装置91からの電力供給が「有」に設定されているか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5において、太陽光発電装置91からの電力供給が「有」に設定されていると判断した場合には、実行部73は、外気サーミスタT11から外気温度を取得し、取得した外気温度に基づいて、補正時間を選択して抽出する(ステップS6)。その後、抽出した補正時間に応じて、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻、及び、開始時刻を設定する(ステップS7)。
【0089】
そして、現在時刻が、ステップS7において設定した早期沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻に到達した時に、実行部73は、第1沸き上げ運転のうちの早期沸き上げ運転を開始する(ステップS8,ステップS9)。
【0090】
また、ステップS5において、太陽光発電装置91からの電力供給が「有」に設定されていないと判断した場合、すなわち、設定部94において、太陽光発電装置91からの電力供給が「無」に設定されている場合には、実行部73は、現在時刻が、ステップS4において設定した通常沸き上げ運転における沸き上げ開始時刻に到達した時に、第1沸き上げ運転のうちの通常沸き上げ運転を開始する(ステップS8,ステップS9)。
【0091】
(6)特徴
(6−1)
従来より、貯湯タンク内の水の温度が所定温度以上となるように、貯湯タンク内の水を加熱手段により加熱する沸き上げを行う貯湯式給湯装置がある。また、このような貯湯式給湯装置には、沸き上げに使用される電気料金を安く抑えるために、電気料金の安い夜間電力時間帯に積極的に加熱処理を行うものがある。
【0092】
ところで、太陽光発電装置を設置している建物では、電力会社からの買電電力と、太陽光発電装置からの発電電力とを受ける分電盤から建物内の機器に電力が供給されることがある。また、建物内の機器には、太陽光発電装置による発電電力が優先的に供給され、太陽光発電装置による発電電力が不足している場合に、その不足分が電力会社からの買電電力で補われて供給される。さらに、近年では、電力会社の発電負荷を軽減するために、太陽光発電装置により発電した発電電力を電力会社に供給するシステムが構築されている。
【0093】
ここで、上述のような分電盤から給湯装置に電力が供給される場合であって、太陽光発電装置によって発電の開始される日の出時刻が、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、夜間電力時間帯における加熱処理に太陽光発電装置により発電された発電電力が使用されることになる。そうすると、電力会社に供給可能な太陽光発電装置による発電電力量が減少してしまう。
【0094】
そこで、本実施形態では、第1沸き上げ運転として、通常沸き上げ運転と、通常沸き上げ運転で設定される沸き上げ終了時刻よりも早い時刻に沸き上げ終了時刻が設定される早期沸き上げ運転と、を有している。このため、早期沸き上げ運転が実行された場合、すなわち、早期沸き上げ運転による沸き上げが行われた場合には、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に沸き上げを終了させることができる。したがって、本実施形態のように、太陽光発電装置91からの発電電力と電力会社92からの買電電力とを建物内の各設備機器に分配する分電盤90から電力が供給される貯湯式給湯装置1において、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、沸き上げの終了時刻から夜間電力時間帯の終端の時刻までに太陽光発電装置91によって発電された発電電力が、沸き上げのために消費されるおそれを低減することができる。これにより、電力会社92に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができるため、通常沸き上げ運転が行われた場合と比較して、より多くの発電電力を電力会社92に供給することができる。
【0095】
これによって、電力会社92に対する電力需要が最大となる昼間電力時間帯における電力会社92の発電負荷を軽減することができる。
【0096】
また、通常沸き上げ運転及び早期沸き上げ運転は、いずれも夜間電力時間帯に行われるため、沸き上げに使用される電気料金を安く抑えることができ、ランニングコストを下げることができる。
【0097】
(6−2)
本実施形態では、早期沸き上げ運転による沸き上げが行われる場合であって、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、通常沸き上げ運転による沸き上げが行われる場合と比較して、より多くの余剰電力が発生する。そして、本実施形態では、太陽光発電装置91の発電電力が、使用量を上回っている場合には、電力会社92との契約等により、その余剰電力を電力会社92に売ることができる。このため、早期沸き上げ運転による沸き上げが行われる場合であって、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、通常沸き上げ運転による沸き上げが行われる場合と比較して、より多くの発電電力を、電力会社92に売ることができる。この結果、太陽光発電装置91の設備費用を補助することができる。
【0098】
(6−3)
本実施形態では、分電盤90から供給される電力が消費(使用)されて貯湯式給湯装置1の備える各種機器が駆動されることで、貯湯タンク11内の水が加熱される沸き上げが行われる。また、設定部94において、貯湯式給湯装置1の各種運転に対して、太陽光発電装置91によって発電された発電電力を供給可能であるか否かを設定可能である。さらに、設定部94の設定内容に基づいて、通常沸き上げ運転或いは早期沸き上げ運転のいずれの運転を実行するかが選択され、選択されたいずれかの運転が実行される。ここで、設定部94において「有」に設定されている場合には、早期沸き上げ運転が実行され、設定部94において「無」に設定されている場合には、通常沸き上げ運転が実行される。したがって、本実施形態のように設備として太陽光発電装置91を備えていても、或いは、本実施形態とは異なり、設備として太陽光発電装置を備えていなくても、この貯湯式給湯装置1を採用することができる。これにより、太陽光発電装置91を設置している場合であっても、太陽光発電装置91を設置していない場合であっても、それぞれの場合に応じて設定を変更することで、貯湯式給湯装置1自体を共通化することができる。
【0099】
(6−4)
本実施形態では、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻が設定され、設定された沸き上げ終了時刻に応じて沸き上げ開始時刻が設定される。このため、外気の温度から日の出時刻を推測し、推測した日の出時刻よりも早い時刻に、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻を設定することができる。また、外気の温度から日の出時刻が推測されるため、日の出時刻に応じた沸き上げ終了時刻を設定することができる。
【0100】
(7)変形例
(7−1)変形例A
上記実施形態では、外気サーミスタT11の検知結果に基づいて、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻が設定されている。これに代えて、制御装置がネットワークに接続されている場合には、ネットワークを介して取得した正しい時刻情報や気象情報を利用して、早期沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻および/または沸き上げ開始時刻が設定されてもよい。
【0101】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、制御装置70の備える実行部73によって、早期沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻が設定されている。
【0102】
これに代えて、第1沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻を利用者が設定可能であってもよい。例えば、制御装置が第1沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻を設定するための設定部を備えている場合には、貯湯式給湯装置の据付時等に、据付作業者又は利用者等が、第1沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻を、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に設定してもよい。このように、制御装置が第1沸き上げ運転の沸き上げ終了時刻を設定するための設定部を備えている場合には、夜間電力時間帯に実行される第1沸き上げ運転の終了時刻を、夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い時刻に予め設定することができる。この結果、演算部によって必要熱量が演算され、算出部によって加熱処理時間が算出された場合に、実行部が、予め設定された沸き上げ終了時刻から加熱処理時間だけ遡った時刻を、沸き上げ開始時刻に設定することができる。そして、現在時刻が設定した沸き上げ開始時刻に到達した時に、実行部が沸き上げを開始することで、日の出時刻が夜間電力時間帯の終端の時刻よりも早い場合には、沸き上げの終了時刻から夜間電力時間帯の終端の時刻までに太陽光発電装置によって発電された発電電力が、沸き上げのために消費されるおそれを低減することができる。
【0103】
これによって、電力会社に供給可能な発電電力量の減少を抑えることができる。
【0104】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、実行部73によって、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻が、夜間電力時間帯の終端の時刻に設定されているが、これに限定されず、通常沸き上げ運転における沸き上げ終了時刻が、夜間電力時間帯の終端付近の時刻、すなわち、夜間電力時間帯の終端の時刻前後の時刻に設定されてもよい。
【0105】
(7−4)変形例D
上記実施形態では、外気の温度に対する補正時間が予め決定されている。これに代えて、補正時間を補正可能であってもよい。例えば、実際に沸き上げが終了した時刻に基づいて、補正時間の補正が行われてもよい。
【0106】
また、太陽光発電装置と貯湯式給湯装置との間で、双方向通信が可能であってもよい。このような場合には、太陽光発電装置と貯湯式給湯装置との間で発電状況に関する情報や運転状況に関する情報が互いにやりとりされて、ランニングコストが下がるように貯湯式給湯装置の各種機器が制御されてもよい。
【0107】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、第1沸き上げ運転を実行する際に、実行部73が、太陽光発電装置91からの電力供給が「有」に設定されていると判断した場合、外気サーミスタT11からその時の外気温度を取得し、取得した外気温度に基づいて、補正時間を選択して抽出している。
【0108】
これに代えて、記憶部に所定時間毎の外気温度データが蓄積される場合には、1日、或いは複数日の外気温度の平均温度に基づいて、補正時間が選択されてもよい。
【0109】
また、実行部73が、外気サーミスタT11から外気温度を取得する時間についても、夜間電力時間帯に限定されず、例えば、任意に設定した時間に外気温度を取得してもよい。