(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1で示すとおり、機体の前後方向の略中央部に作業者が搭乗する作業座席31を設け、該作業座席31の前方に機体を操作するハンドル34を設け、該ハンドル34の操作によって左右方向に操舵される左右一対の前輪1,1を設け、機体の後部左右両側にリアファイナルケース21,21を設け、該リアファイナルケース21,21に設ける車軸22,22に左右一対の後輪2,2を軸着する。そして、前記作業座席31の下部にエンジンカバー30を設け、該エンジンカバー30の内部にエンジン23を設け、該エンジン23によって駆動して走行する、乗用の四輪駆動式の走行車体3を構成する。
【0029】
該走行車体3の後方に、昇降シリンダ40の伸縮によって昇降回動されるリフトリンク機構41を設け、該リフトリンク機構41を介して、圃場に種子を播く播種装置9を連結する。また、前記走行車体3の前側下部には、ミッションケース24及び油圧無段変速装置26を設け、該ミッションケース24及び油圧無段変速装置26には、前記エンジン23からベルト伝動によって駆動力を伝達する。
【0030】
前記ミッションケース24の下側部の左右両側部には、夫々フロントアクスルケース27,27が設けられ、該左右のフロントアクスルケース27,27の端部に、前記左右の前輪1,1を軸着する。そして、作業座席31及びハンドル34の下方で且つ周囲に、作業者が移動するフロアステップ35を設け、該フロアステップ35の前側に、前記ハンドル34や各種運転操作用の操作レバー等を配置するステアリングポスト32を配置する。
【0031】
前記ミッションケース24の後部には、機体後方に向かって出力伝動する左右の後輪ドライブシャフト28,28を設け、該後輪ドライブシャフト28,28からリアファイナルケース21,21に駆動力を伝動して後輪2,2を駆動回転させる構成とする。これに加えて、ミッションケース24には、前記播種装置9に駆動力を供給するPTO軸29を設け、機体後部に設けるリアフレーム42の上部に設ける施肥装置33、並びに前記播種装置9などに駆動力を伝動する構成とする。
【0032】
前記播種装置9の下部には、圃場面を滑走して均すフロート8を設ける。該フロート8は、圃場面の深浅により上下回動し、上方回動量または下方回動量が一定以上になると油圧バルブ(図示省略)を作動させて前記昇降シリンダ40を伸縮作動させ、前記リフトリンク機構41を上下動させて播種装置9の播種高さを変更する、播種作業位置の左右方向中央部に設けるセンターフロート8aと、該センターフロート8aの左右両側で圃場面を滑走しながら均す左右のサイドフロート8b,8bで構成する。該左右のサイドフロート8b,8bは、センターフロート8aの前端部よりも後側に配置する。
【0033】
本例では、
図2で示すとおり、センターフロート8a及び左右のサイドフロート8b,8bのそれぞれの左右両側位置に播種を行なう、六条分の播種形態を示している。そして、
図1及び
図3で示すとおり、前記センターフロート8a及び左右のサイドフロート8b,8bを支持する播種フレーム36を左右方向に亘って設け、該播種フレーム36の上部に六条分の種子を一条ごとに貯留する種子ホッパ43と、該種子ホッパ43から送り出される種子を所定量ずつ受けて圃場に繰り出す各条の繰出装置7と、該繰出装置7から繰り出された種子を落下案内する播種筒44と、播種筒44内に風を送り込んで種子を圃場面に高速で送る送風機37等を配置して、播種装置9を構成する。
【0034】
前記センターフロート8a及びサイドフロート8b,8bの下部には、播種後の種子が風などで移動することを防止する直線状の溝を圃場に切る左右一対の作溝器19,19を設ける。センターフロート8aの作溝器19,19はセンターフロート8aの後側寄りに設け、サイドフロート8b,8bの作溝器19,19はサイドフロート8b,8bの前側寄りに設け、全ての作溝器19,19が左右方向に略一直線状に並ぶ構成とする。
【0035】
該播種装置9の前側には、
図1で示すとおり、前記センターフロート8aと左右のサイドフロート8b,8bの前側部の圃場面に接触し、圃場面の凹凸を回転力で均らして平坦にする整地ロータ38を配置する。該整地ロータ38は、センターフロート8aの前側を整地するセンターロータ38aと、該センターロータ38aの左右両側に前端部を接続する左右のロータ伝動ケース38c,38cと、該左右のロータ伝動ケース38c,38cの後端側に接続する左右のサイドフロート8b,8bの前側を整地するサイドロータ38b,38bで構成する。そして、前記左右のロータ伝動ケース38c,38cの左右どちらか一側と、同じ側の前記リアファイナルケース21の間にロータ伝動軸39を設ける。
【0036】
前記整地ロータ38は、播種装置9と共にリフトリンク機構41の上下動に伴い昇降される構成とする。なお、整地ロータ38は、独立して上下位置を変更する構成としても良い。
【0037】
上記構成により、圃場面の凹凸を整地ロータ38及びフロート8で平坦に均した圃場面に播種することができるので、播種装置9の播種筒44の下端部と圃場面の距離が近くなり過ぎ、播種した際に跳ねた圃場の土が播種筒44内に入り込むことを防止できるので、入り込んだ土に種子が引っ付いて播種されなくなることが防止され、播種精度が向上する。
【0038】
また、播種筒44内に入り込んだ土を除去する作業が不要となるので、作業者の労力が軽減されると共に、メンテナンス性が向上する。そして、播種筒44の下端部と圃場面の距離が離れ過ぎ、種子が設定よりも広範囲に播種されることを防止できるので、設定量の種子を設定範囲内に播種することができ、作物の生育が安定すると共に、播種が直線状に行なわれるので、生育中の農薬や肥料散布等の管理作業や収穫作業の能率が向上する。
【0039】
さらに、センターフロート8aをサイドフロート8b,8bよりも機体前側に配置したことにより、圃場の深浅の検出位置が機体前側に寄るため、播種装置9が圃場の深浅に合った高さに移動してから種子の繰り出しを行うことができるので、播種精度が向上する。これに加えて、センターフロート8の前側の左右幅を広く取ることができるので、圃場の深浅の検出精度が向上する。
【0040】
図3で示すとおり、前記播種装置9は、回転周面に複数の繰出溝4…を形成した繰出ロール5と、該繰出ロール5の回転周面に接触して繰出ロール5及び繰出溝4…を清掃する清掃ブラシ6を設けて構成する、種子ホッパ43から落下する種子を設定量ずつ繰り出す繰出装置7を、前記種子ホッパ43と播種筒44の上下間に、各条ごとに内装する。
【0041】
各繰出装置7の播種筒44の下端部は、センターフロート8a及びサイドフロート8b,8b上の案内板45の内側部に臨ませて配置し、前記作溝器19,19が圃場面に形成する播種溝内に的確に案内する構成とする。
【0042】
また、該各案内板45…の上部には、播種筒44の前側からエアノズル46を臨ませて配置し、送風機37からエアダクト47を経て送風し、該エアノズル46から送風して播種溝への種子の落下投入力を助長して的確な播種を行わせる構成とする。
【0043】
そして、該清掃ブラシ6を繰出ロール5の回転周面に向かって付勢する清掃ブラシ上下動機構Cと、繰出溝4から種子が繰り出されて次の種子を受けるまでの非繰出作用部で繰出ロール5の繰出側周面に噴風する送風装置と、該送風装置の送風位置よりも回転方向上手側に、繰出溝4の内部を監視して挟雑物を検出する監視装置12を、播種装置9に設ける。
【0044】
なお、播種装置9で播種する種子は、種子の発芽及び成長に必要な栄養分や酸素等を供給する成長促進剤や、種子が鳥獣による食害に遭うことを防止する鉄粉でコーティングすることが多い。しかしながら、これらのコーティング剤は乾燥や振動により崩れやすく、剥離したコーティング剤が繰出溝4に蓄積して、繰出溝4の容量を減らしてしまい、設定どおりの施肥作業が妨げられる問題がある。
【0045】
図3、
図5、
図6、
図9で示すとおり、前記走行車体3を走行しながら繰出ロール5を回転することにより、この繰出ロール5の各繰出溝4…に種子ホッパ43から供給される種子を投入し、繰出ロール5が回転して繰出溝4が落下位置に到達すると、繰出溝4に投入された所定量の種子が重力により落下し、播種筒44に繰り出されて圃場に播種される。
【0046】
そして、繰出ロール5が回転して非繰出作用部に移動し、種子を繰り出し終えた繰出溝4が繰出ロール5の下方に設けた清掃ブラシ6に接触すると、繰出ロール5に接触している清掃ブラシ6が清掃ブラシ上下動機構Cの付勢力により繰出溝4内に入り込み、繰出溝4の奥部に残っている種子や、種子を被覆していた成長促進剤や鉄粉の残滓を掻き取り掃除する。
【0047】
また、
図6〜
図8で示すように、清掃ブラシ6よりも回転方向下手側の非接触作用部に、種子の繰り出し後に繰出溝4内に種子が残っているかどうか、及びコーティング剤等の粉末が蓄積しているかいないかを監視する監視装置12を設ける。該監視装置12はCCDカメラ等の撮影装置で構成し、走行車体3に設けるハンドルポスト32に撮影した映像を表示するディスプレイ(図示省略)を設ける構成とすると、作業者が視覚的に繰出溝4の状態を把握することができるので、蓄積している夾雑物の量から作業を続行するか夾雑物の除去を行なうかの判断が可能となるため、作業能率や播種精度が向上する。また、繰出溝4の内部を確認するためだけに播種装置9を分解する必要がなく、作業能率がさらに向上する。
【0048】
上記により、播種作業をしながら各繰出溝4…の内部の清掃を行えるため、繰出溝4の容量が大幅に変わることが防止され、種子が設定どおりに播種されるので、播種精度が向上する。
【0049】
また、清掃ブラシ6が清掃ブラシ上下動機構Cによって上方に付勢されて繰出ロール5に常時接触していることにより、種子ホッパ43から送り出される種子と共に降り注ぐ、剥離したコーティング剤の粒子を除去することができるので、作業後に繰出ロール5の清掃を行なう必要がなく、メンテナンス性が向上する。
【0050】
そして、清掃ブラシ6は、繰出ロール5の回転周面に形成した繰出溝4が通過する際には、清掃ブラシ上下動機構Cによって清掃ブラシ6を先端部が繰出溝4の内部に接触するまで移動させることができるので、繰出溝4の奥部に残る夾雑物を確実に除去することができ、メンテナンス性が向上すると共に、繰出溝4の容量が変わることが防止され、播種精度が向上する。
【0051】
また、
図3、
図5、
図6、
図9で示すとおり、前記繰出ロール5は、機体左右方向に沿うロール軸13に軸着されている。そして、前記繰出ロール5を軸受するロールケース48の上側の供給口49には、種子ホッパ43の開口部を臨ませ、該供給口49の下側の排出口50に、直下方向の播種筒44を連通させて設ける。さらに、前記ロールケース48の内部には、前記供給口49の繰込側に繰出溝4に投入された種子の上面を塞ぐ擦切ブラシ51を設け、前記繰出溝4の回転外周部を覆い種子の飛散を防止すると共に、繰出溝4から脱落した種子を案内する案内カバー52を設ける。
【0052】
前記擦切ブラシ51は、下端縁を繰出ロール5の回転周面に接近させて、繰出溝4に投入された所定粒数の種子量を計量するように摺り切るものであり、該擦切ブラシ51の裏側に支持片53を設けて前記ロールケース48に取り付ける。該支持片53は、擦切ブラシ51を可撓自在に支持して、正確な播種量を維持するものである。
【0053】
そして、
図5で示すとおり、前記清掃ブラシ6は、案内カバー52の終端部から適宜間隔を空けて排出口50側に設けるブラシアーム54の端部に取り付ける。該ブラシアーム54は、清掃ブラシ6を有する側の端部を繰出ロール5の回転周面側に接近移動させて配置し、前記ロールケース48の下部側とブラシアーム54の間に、ブラシアーム54の端部を繰出ロール5側に弾発させるスプリング10を設ける。
【0054】
さらに、該スプリング10を嵌合するスプリングロッド55には、前記ブラシアーム54の端部を嵌合させ、これらブラシアーム54とスプリング10との間にナット56を設けるこのナット56を回動することにより、これらブラシアーム54とスプリング10との間の間隔を変更調節して、ブラシアーム54の上下位置、及び清掃ブラシ6の弾発力を調節する清掃ブラシ上下動機構Cを構成している。
【0055】
繰出ロール5に形成した繰出溝4…の奥部まで清掃する清掃ブラシ6を、スプリング10の弾発力によって下方から付勢することにより、繰出ロール5の回転周面に接触して表面に付着した夾雑物を除去しながら、繰出溝4が清掃ブラシ6を通過する際には、下方から付勢される清掃ブラシ6を繰出溝4の奥部に接触させて蓄積した種子や夾雑物を除去することができるので、繰出溝4の容量が変化することがなく、播種量が設定した量で維持されるため、播種精度が向上する。
【0056】
加えて、繰出溝4の内部を掃除する労力が軽減される。また、ナット56を回転させてスプリング10の張力を変更することができるので、播種条件によって繰出溝4の深さや繰出ロール5の径を変えても清掃ブラシ6の先端部を接触させることができ、繰出溝4や繰出ロール5の清掃精度が向上する。
【0057】
さらに、清掃ブラシ6の先端部と繰出溝4及び繰出ロール5の接触圧が高過ぎ、清掃ブラシ6の摩耗が早過ぎる場合や、繰出溝4及び繰出ロール5に擦過傷が生じる場合は、スプリング10の付勢力を弱めて接触圧を下げることができるので、部材の摩耗や破損が生じにくくなり、耐久性が向上する。
【0058】
上記構成の別例として、
図9(a)(b)で示すとおり、前記ロールケース48の左右両側下部に支持プレート80,80を設け、該支持プレート80,80の左右間に蓋板81を設ける。該蓋板81の機体前部には切欠部82を形成し、蓋板81を平面視でコの字状に形成する。
【0059】
そして、前記蓋板81の下面で且つ切欠部82の左右両側に、前後方向に長いL字形状の取付板85,85をボルト86でそれぞれ固定し、該左右の取付板85,85の左右間に回動軸87を取り付ける。また、該回動軸に複数の回動支持プレート(回動支持部)83…を上下回動自在に設け、該回動支持プレート83…の基部側に回動支持プレート83…を上方に付勢するトルクスプリング84をそれぞれ回動軸86に配置する。該回動支持プレート83の基部側には、トルクスプリング84が入り込む二又形状の間隔部を形成する。
【0060】
さらに、前記回動支持プレート83…の前端部に、清掃ブラシ6をそれぞれ設け、該複数の清掃ブラシ6…の上端部を切欠部82の左右幅内で且つ上方に突出する配置として、清掃ブラシ上下動機構Cを構成しても良い。
【0061】
なお、回動支持プレート83…の前端部以外は、前記蓋板81の下方に位置する構成となる。また、回動支持プレート83の清掃ブラシ6を取り付ける側には、隣接する回動支持プレート83及び取付板85の間に空間部が形成される、プレート切欠部83a…を形成する。
【0062】
このとき、
図13で示すとおり、前記繰出ロール5の外周面に、繰出溝4の左右幅を調節する幅調節ロール91を設け、該幅調節ロール91の雄螺子溝を切った調節回転軸92を、雌螺子溝を切ったロール軸13と螺子溝同士を合わせて設ける。前記幅調節ロール91は、繰出ロール5とは別に調節回転軸92の回転により該調節回転軸92に沿って左右方向に移動する基部と、該基部に対して回動自在で且つ基部と共に左右方向に移動する突子部を備えている。該突子部は、繰出ロール5の繰出溝4に嵌り、繰出ロール5と一体で回転する。
【0063】
これに加えて、該調節回転軸92の雄螺子溝を切っていない側に、調節駆動モータ93を設ける構成とする。
上記構成により、複数の回動支持プレート83…がトルクスプリング84…によって上方に付勢され、複数の清掃ブラシ6…の先端部が繰出ロール5の表面に常時接触しているため、繰出ロール5の表面に接触して夾雑物を除去することができるので、作業者の掃除が不要となり、作業者の労力が軽減されると共に、メンテナンス性が向上する。
【0064】
そして、繰出溝4が複数の清掃ブラシ6…を設けた位置を通過する際は、トルクスプリング84…の付勢力により清掃ブラシ6…の先端部が繰出溝4の奥部に接触させられるため、繰出溝4に蓄積する種子や夾雑物を除去することができ、繰出溝4の容量が減少することが防止され、播種精度が向上する。
【0065】
また、回動支持プレート83…の上部を蓋板81で覆い、蓋板81の前端側の切欠部82から清掃ブラシ6…を上方に突出させて回動支持プレート83…に設けたことにより、繰出溝4から除去された種子や夾雑物が回動支持プレート83に降り注ぐことを防止できるので、回動支持プレート83…の掃除に要する労力が軽減されてメンテナンス性が向上する。
【0066】
特に、回動支持プレート83と回動軸86、及びトルクスプリング84の間には、回動動作時にコーティング剤の粒子が入り込みやすいため、蓋板81で粒子の降り注ぎを防止することにより、回動支持プレート83の上下動が正常に行なわれ、種子や夾雑物の除去が確実になる。コーティング剤の中には金属や樹脂に対して高い腐食性を持つものがあるので、細かい隙間に入り込むことを防止する本構成であれば、播種装置9の耐久性も向上する。
【0067】
さらに、複数の清掃ブラシ6…は切欠部82よりも上方に突出しているので、清掃ブラシ6…の先端部が摩耗して交換が必要になった際、作業者は交換対象の清掃ブラシ6を引き上げて外すことができるので、交換作業の能率が向上する。この清掃ブラシ6は、回動支持プレート83の端部に取付穴を形成し、その取付穴に挿し込む構成とする。
【0068】
また、各清掃ブラシ6…を取り付けた回動支持プレート83…を別々に回動させることができるので、幅調節ロール91を用いて繰出ロール5の繰出溝4の左右幅を変更した際、繰出溝4の繰出作用部には従来通り清掃ブラシ6が奥部まで入り込んで種子や夾雑物を除去すると共に、幅調節ロール91に覆われた部分の清掃ブラシ6は幅調節ロール91の表面に接触する構成となり、繰出溝4の左右幅を変更しても清掃ブラシ6…が奥部まで入り込むため、種子や夾雑物の蓄積が防止されて、播種精度が向上する。
【0069】
清掃ブラシ6が繰出溝4の左右幅方向に亘って1つ設けられる構成や、複数に分けられた清掃ブラシ6…が連動して回動する構成では、幅調節ロール91を用いて繰出溝4の左右幅を変えてしまうと、幅調節ロール91に当たるだけで繰出溝4の奥部に入り込むことができなくなり、繰出溝4の内部に種子や夾雑物が蓄積されてしまい、播種量が設定量と異なり、播種精度が低下する。
【0070】
なお、清掃ブラシ6は、
図14で示すとおり、複数のブラシ毛が正方形に配置される構成とすると、繰出溝4や繰出ロール5に接触して一面が摩耗しても、90度または180度角度を変えて摩耗していない面を取り付けることにより、4回まで使うことができるので、耐久性が向上する。
【0071】
図3、
図4で示すとおり、前記繰出ロール5よりも機体後側にダクト室57を形成し、該ダクト室57の内部に繰出ロール5の非繰出作用部の回転周面及び繰出溝4に送風する送風装置を設ける。該送風装置は、一側端部に設けたスプロケット59がPTO軸29からの駆動力を受けると回転する送風ダクト11を前記繰出ロール5のロール軸13と略平行位相に設け、該送風ダクト11には、前記送風機37で起風した風を送り出す複数の送風穴14…を螺旋状に形成し、送付ダクト11の回転周面に、複数の吹出穴16…を左右方向に等間隔に形成した外周ダクト17を回転不能に設けて構成する。
【0072】
送風装置は、前記送風ダクト11が回転して送風穴14が吹出穴16と重合すると、繰出ロール5の繰出溝4に微細な粒子を除去する清掃風を送り出す構成とする。
上記構成により、清掃ブラシ6の先端部が接触しても除去できない、非常に細かい粒子が繰出溝4内に残っていても、送風穴14及び吹出穴16で収束した流速の非常に速い空気を送り込むことによって、繰出溝4の外に吹き飛ばすことができるので、繰出溝に夾雑物が残ることが防止され、メンテナンス性が大幅に向上する。
【0073】
また、残った微細な粒子が繰出ロール5を腐食させることを防止できるので、耐久性が向上する。
前記各フロート8に設けた作溝器19,19で形成した播種溝を、該作溝器19,19よりも後方に左右方向に回動自在に設ける覆土板62,62で埋める際、圃場の土質によっては覆土板62,62が土を上手く運べず、播種溝がそのまま残されて種子が剥き出しのまま放置されてしまい、養分不足や気温の変化で発芽不良や生育不良が発生する問題がある。
【0074】
上記問題を解消すべく、
図10(a)(b)で示すとおり、前記各フロート8の底面で且つ前記作溝器19,19の側方に、前後方向に亘って盛土溝20,20を形成する構成とする。
【0075】
そして、前記左右の覆土板62,62の回動支点上にそれぞれ調節リンクアーム65を回動自在に設け、該左右の調節リンクアーム65,65の連結部に調節ワイヤー64の基部を設け、該調節ワイヤー64の端部を、駆動すると調節ワイヤー64を引いて、または緩めて左右の調節リンクアーム65,65を左右方向に回動させて左右の覆土板62,62を連動して左右回動させて覆土板62,62の作用幅を調節する調節モータ63に繋ぐ構成とする。
【0076】
なお、調節モータ63一つで六条分の作溝器62…を調節する構成としてもよいが、二条につき一つの調節モータ63を設ける構成とすると、二条単位で覆土板62,62の作用幅を調節することができるので、種子の覆土がより確実に行なわれる。
【0077】
上記構成により、作溝器19,19で圃場に播種溝を切る際に左右に盛り上げられた土が盛土溝20,20に入り込み、直線状に圃場面に盛り上げられるため、覆土板62,62で播種溝を埋める土が確保でき、種子が土に覆われるので養分不足や気温の変化で発芽不良や生育不良を起こすことが防止される。
【0078】
また、調節モータ63に調節ワイヤー64を連結し、この調節ワイヤー64が調節モータ63に引かれる、または弛められると調節リンクアーム65,65が回動して覆土板62,62を調節する構成としたことにより、作業者は播種装置9の傍に降りて覆土板62,62の調節をする必要がなく、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0079】
図6〜
図8で示すとおり、前記CCDカメラ等の撮影装置で構成する監視装置12は、前記繰出溝4の内部を撮影し(ステップS1)、その撮影した映像をコントローラ61が画素数等により解析し、繰出溝4の内部に種子や夾雑物があると判断すると、該コントローラ61は報知装置60を作動させる。
【0080】
該報知装置60は、ハンドルポスト32に設ける報知ランプ60bを点灯させたり、ブザー60aから所定の警報信号を発信させたりする装置とするとよい(S2)。前記監視装置12は、前記ロールケース48の排出口50における繰出ロール5の回転方向の終端部に配置する。
【0081】
次に、主として
図12(a)(b)(c)に基づいて、前記後輪2のスポーク66間に、走行土壌面の後輪2回転走行跡に、V字状断面形態のV溝を形成する溝成形器67を着脱可能に設けたもので、後輪2走行跡に溝切り作用を行って、作業抵抗を軽減して、簡単な構成とする。溝成形器67は板金製とし、前後のスポーク66間に位置して配置して、取付具68でスポーク66等に取付ける。
【0082】
該溝成型器67の外周部には左右両側に傾斜する溝開板69を形成し、この溝開板69の両横側から内側へ逆傾斜に折返えす土案内板70を形成して、左右対象状の形態にしている。
【0083】
この溝成形器67の外周縁71は、三角頂縁に形成されて、後輪2に取付けた状態では、この後輪2の回転外径よりも小径に形成されると共に、前記溝成形器67の横幅を後輪2のラグ72の横幅よりも広くして形成している。
【0084】
次に、主として
図11に基づいて、前記播種筒44の下端開口縁75の外周に回転自在に嵌合する回転羽根76を設け、この回転羽根76を前記ノズル46から噴射される噴風によって駆動回転させて、この開口縁75部から播種筒44内への雨水等の浸入を防止する。
【0085】
回転羽根76は、この播種筒44の開口縁75外周面に形成したリング溝77に嵌合させて回転自在のリング78に設けられて、前記ノズル46から噴射される噴風圧によって回転される風車形態である。
【0086】
該リング78の下端部にはスクレーパ79を形成し、開口縁75の内周面に沿って回転して、水滴や、付着する種子等を掻き落とすので、播種筒44内に水や土が付着することが防止され、種子が播種筒44内に残ることが防止される。
【0087】
加えて、作業者が播種筒44内の水や土を除去する作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。