特許第5724512号(P5724512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724512
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】精密成形装置及びその成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20150507BHJP
   B29C 31/04 20060101ALI20150507BHJP
   B29C 43/04 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   B29C43/34
   B29C31/04
   B29C43/04
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-70086(P2011-70086)
(22)【出願日】2011年3月28日
(65)【公開番号】特開2012-201080(P2012-201080A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石島 毅
(72)【発明者】
【氏名】河野 正樹
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−137999(JP,A)
【文献】 特開2006−026922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
B29C 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体を成形する装置であって、
顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を貯蔵する材料貯蔵手段と、
前記材料貯蔵手段に貯蔵された前記材料の適宜量を取り出す材料供給手段と、
前記材料供給手段により取り出された適宜量の材料から、所定体積の材料を計量する材料計量手段と、
前記計量された顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を錠剤状に打錠する打錠手段と、
前記打錠された錠剤状材料を所定のパターンを有する成形版上に搬送して載置する搬送手段と、
前記成形版上に載置された錠剤状材料を加熱溶融する加熱溶融手段と、
前記加熱溶融手段により加熱溶融された材料を成形する成形手段と、
前記成形手段により成形された成形体を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段による冷却後に前記成形版から成形体を剥離する剥離手段と、
前記剥離手段により剥離された成形体を取り出す成形体取出手段と、を備えたことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記材料貯蔵手段において、顆粒状と粉末状の材料を混合する材料混合機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記材料供給手段と前記材料計量手段を複数組備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の成形装置を用いて成形体を成形する成形方法。
【請求項5】
成形体の製造方法であって、
顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を貯蔵する材料貯蔵手段に貯蔵された前記材料の適宜量を取り出す材料計量準備工程と、
前記材料供給手段により取り出された適宜量の材料から、所定体積の材料を計量する材料計量工程と、
前記計量された顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を打錠し錠剤状材料とする打錠工程と、
前記錠剤状材料を、所定のパターンを有する成形版上に搬送し、該成形版上に載置された錠剤状材料を加熱溶融する加熱溶融工程と、
前記加熱溶融手段により加熱溶融された材料を成形する成形工程と、
前記成形手段により成形された成形体を冷却する冷却工程と、
前記冷却手段による冷却後に前記成形版から成形体を剥離する剥離工程と、
前記剥離手段により剥離された成形体を取り出す成形体取出工程と、
を順に備えたことを特徴とする成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体を成形するための成形装置及びその成形方法に関するものである。特に精度良く材料を計量供給し、微細なパターンを持つ成形体を成形可能にした成形装置及びその成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形体を成形する装置において、従来から特許文献1の様な射出成形装置が一般的に知られている。この装置は溶融した材料をシリンダ内にて計量し、適量の材料を成形型へ射出し成形するものである。
【0003】
しかし、このように溶融した材料を供給するという方法では、材料の溶融状態、材料の粘度、温度、射出圧力、射出時間、ノズル口径、溶融タンク内の残量など、材料の供給精度についての不安定要素が多く、少量の材料を安定して供給することは困難である。
【0004】
また、微細なパターンを持つ金型へ材料を供給して成形体を成形する場合、金型の微細なパターン部分へ材料が十分に充填されずに気泡が残留してしまう問題がある。つまり、溶融した材料の粘度の大きさや射出圧力によっては、金型の微細なパターン部分のすみずみまで材料を充填することが困難となって気泡が残留し、所定の形状や品質の成形体が得られないことがある。
【0005】
更に、溶融タンク内で大量に溶融されて高温状態に長時間保たれるため、熱的影響を受け易い材料の場合は、分子量低下や、黄変等の変色を起こすという問題もある。また、溶融した材料を使用する方法の場合、タンク、スクリュー、シリンダなどの内部に残留する材料が無駄になって材料の使用効率を低下させてしまい、コスト高となってしまう。特に、材料が高価なものである場合には、このような材料の無駄は避ける必要がある。
【0006】
更に、装置の洗浄の際、タンク、スクリュー、シリンダなどの内部に溶融して残留する材料を除去することは、装置の構造上、困難であり、メンテナンス性が悪いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−1668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、少量の材料を精度良く計量供給し、微細なパターンを持つ成形体においても気泡の残留や発生が無く、材料への熱的影響を最小限に抑えることにより品質を向上させ、また、材料の無駄を極力低減させ、洗浄性やその他のメンテナンス性を向上させることにより、生産性の向上を可能にする成形装置及びその成形方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、成形体を成形する装置であって、
顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を貯蔵する材料貯蔵手段と、
前記材料貯蔵手段に貯蔵された前記材料の適宜量を取り出す材料供給手段と、
前記材料供給手段により取り出された適宜量の材料から、所定体積の材料を計量する材料計量手段と、
前記計量された顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を錠剤状に打錠する打錠手段と、
前記打錠された錠剤状材料を所定のパターンを有する成形版上に搬送して載置する搬送手段と、
前記成形版上に載置された錠剤状材料を加熱溶融する加熱溶融手段と、
前記加熱溶融手段により加熱溶融された材料を成形する成形手段と、
前記成形手段により成形された成形体を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段による冷却後に前記成形版から成形体を剥離する剥離手段と、
前記剥離手段により剥離された成形体を取り出す成形体取出手段と、を備えたことを特徴とする成形装置、としたものである。
請求項2に係る発明は、前記材料貯蔵手段において、顆粒状と粉末状の材料を混合する材料混合機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の成形装置、としたものである
請求項3に係る発明は、前記材料供給手段と前記材料計量手段を複数組備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形装置、としたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の成形装置を用いて成形体を成形する成形方法としたものである。
請求項5に係る発明は、成形体の製造方法であって、
顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を貯蔵する材料貯蔵手段に貯蔵された前記材料の適宜量を取り出す材料計量準備工程と、
前記材料供給手段により取り出された適宜量の材料から、所定体積の材料を計量する材料計量工程と、
前記計量された顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を打錠し錠剤状材料とする打錠工程と、
前記錠剤状材料を、所定のパターンを有する成形版上に搬送し、該成形版上に載置された錠剤状材料を加熱溶融する加熱溶融工程と、
前記加熱溶融手段により加熱溶融された材料を成形する成形工程と、
前記成形手段により成形された成形体を冷却する冷却工程と、前記冷却手段による冷却後に前記成形版から成形体を剥離する剥離工程と、
前記剥離手段により剥離された成形体を取り出す成形体取出工程と、を順に備えたことを特徴とする成形体の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、成形体を成形する装置において、顆粒状や粉末状の材料を容積計量方式により適量供給する材料計量手段を備えたことにより、溶融供給の場合とは違って材料の溶融状態、材料の粘度、温度、射出圧力、射出時間、ノズル口径、溶融タンク内残量等の供給精度に対しての不安定要素が無く、安定して少量の計量供給が可能となる。
【0011】
また、材料を顆粒状や粉末状で成形版上に供給し、その後溶融するため、顆粒状や粉末状の材料が溶融する過程で空気の逃げ道が確保され、成形版の微細なパターンにも気泡を噛み込まずに溶融材料が充填されるので、気泡の残留がない状態での成形が可能となる。また、水分量吸収による気泡発生も、顆粒状や粉末状の材料が溶融する過程で空気の逃げ道が確保されている分、影響が少ない。
【0012】
また、特に成形版の材質が軟らかい場合、顆粒状や粉末状の材料供給は、ペレット状や板状の材料供給と比較して、成形版へのキズやカケ等の物理的なダメージを低減することが可能となる。さらに、充填性も良好であるため、成形時の圧力を低くでき、版への負担を低減することが可能となる。
【0013】
材料は成形版上にて必要量のみを溶融するため、溶融供給と比較して溶融時間が短くて済む。したがって、材料への熱的影響が少なくなり、結果として分子量低下が殆んど無く、黄変等の変色が無くなるため、材料の品質維持が可能となる。また、大量の材料をまとめて溶融しておく必要がないため、タンク、スクリュー、シリンダ内に残留する材料の無駄が無く、100%に近い材料使用効率が実現可能となる。これは、特に高価な材料を使用する場合に、コスト的に有利である。
【0014】
メンテナンス時は、溶融供給の場合の様にタンク、スクリュー、シリンダ内に残留する溶融した材料を除去する必要が無く、装置構造をシンプルなものとできるため、装置の洗浄が容易であり、結果として生産性を向上させることが可能となる。
【0015】
装置構成は、溶融供給方式と比較してシンプルなため、装置の価格を安くでき、更に材料計量方式をロードセル等の重量測定機器を使用せず、容積計量方式としたため、コスト的に有利である。
【0016】
さらに、請求項1に係る発明によれば、成形体を成形する装置の材料計量手段において、顆粒状、粉末状もしくは顆粒状と粉末状を混合した材料を適量供給後、打錠する機構を備えたことにより、材料を錠剤状の形状にして、材料の飛散を無くて成形版上に供給するので、材料供給性を向上させることが可能となる。
【0017】
材料を錠剤状の形状にすることにより、成形時のバリ等の発生を無くし、成形体の品質を向上させ、又、生産性の向上も可能となる。又、打錠することにより、顆粒状、粉末状もしくは顆粒状と粉末状を混合した材料の体積を減少させ、材料密度を高くすることにより、成形時の熱伝達効率を高め、溶融時間を短縮し、結果として生産性を向上させることが可能となる。
【0018】
材料を錠剤状の形状にした場合もまた、材料は成形版上にて必要量のみを溶融するため、ヒーター容量を低減でき、エネルギーの削減も可能となる。また、顆粒状や粉末状の材料の場合と同様に、溶融する過程で空気の逃げ道が確保されており、微細なパターンへ気泡を噛み込まず充填され、気泡残留が無く成形が可能となる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、成形体を成形する装置の材料貯蔵手段において、顆粒状と粉末状の材料を混合する機構を備えたことにより、顆粒状と粉末状の材料を混合し(混合比率は任意)、材料密度の安定化を図ることで、更に材料供給精度の向上が可能となる。供給精度を向上することで、成形体の品質が向上すると共に、材料の余剰を無くし、コスト的にも有利である。
【0020】
請求項に係る発明によれば、成形体を成形する装置において、材料計量供給部を複数個備えたことにより、成形体を複数個同時に成形可能となり、生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態である成形装置の構成および動作の概略を示す模式図。
図2】本発明の実施形態である成形装置の構成および動作の概略を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例である成形体の成形装置および成形方法について、図面を参照して説明する。本発明の実施形態である成形装置の構成および動作の概略を、図1および図2に示す。
【0023】
ホッパー2は、投入された顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料1を貯蔵し、材料計量供給部3(後述する)に供給するためのものである。ホッパー2は、投入された顆粒状や粉末状の材料1をかき混ぜるためのオーガー等の材料拡散機構(図示省略)や、材料1の防湿機能を持ち合わせていることが望ましい。
【0024】
材料1は、ホッパー2上部の投入口2aから投入され、ホッパー2下部に設けられた供給口2bから、材料計量供給部3に供給される。
【0025】
材料1としては、熱可塑性材料を用いることができる。
本発明にあっては、材料計量供給部3に供給される材料として、顆粒状、粉末状、または顆粒状と粉末状を混合した材料を用いることを特徴とする。
【0026】
本発明において顆粒状の材料とは、粒径が0.1〜3.0mmの粒の状態のものと定義される。また、本発明において粉末状の材料とは、0.1未満の粒の状態のものと定義される。
【0027】
本発明にあっては、材料1として顆粒状と粉末状を混合した材料を用いることが好ましい。これにより、材料密度の安定化を図ることができ、さらに材料供給精度の向上が可能となる。
【0028】
材料計量供給部3は、所定位置に材料供給部3aと材料搬送部9を有する平板状の部材であり、一方の面がホッパー2の供給口2bに接した状態での摺動運動が可能となっている。材料供給部3aと材料搬送部9はどちらも平板状の材料計量供給部3の所定位置に形成された貫通穴である。材料計量供給部3の摺動運動により、供給口2bの真下には、材料供給部3aの部分が移動してきたり、何も形成されていない部分が移動してきたりする。
【0029】
[1.材料供給工程]
供給口2bの真下に材料供給部3aが移動してきて、いったん停止すると、貫通穴である材料供給部3aの内部に材料1が充填される(図2参照)。
材料計量供給部3の下には、支持部材4が配置されているので、所定量の材料1が材料供給部3aの内部に保持される。支持部材4の材料計量供給部3に接する側の面は平らで、材料計量供給部3の摺動運動が可能な状態となっている。
【0030】
[2.材料計量準備工程]
次に、支持部材4に形成された材料計量部4aの真上に、材料供給部3aが配置されるような位置に材料計量供給部3が移動して、いったん停止する(図1参照)。
材料計量部4aは支持部材4に形成された貫通穴であり、材料計量部4aの下側の開口部には打錠下パンチ7が挿入されている。材料供給部3aに充填されていた材料1の一部が、材料計量部4aの上側の開口部を介して材料計量部4aの内部に充填され、打錠下パンチ7の上面で保持される。
【0031】
[3.材料計量工程]
さらに、支持部材4に形成された材料計量部4aの真上に、材料搬送部9が位置するように材料計量供給部3が移動して、いったん停止する(図2参照)。
この材料計量供給部3の移動により、材料計量部4aの内部に材料1が充填された状態ですり切り動作を行うことができ、材料1が少量の場合でも精度良く計量することが可能となる。
【0032】
[4.打錠工程]
材料計量部4aの内部には、上記の[3.材料計量工程]で計量された計量済材料5が保持された状態となっている(図2参照)。
計量済材料5は、打錠部6の打錠下パンチ7と打錠上パンチ8にて、所定の圧力、温度、時間の最適な組合せで打錠し、錠剤状材料13を形成する。
【0033】
打錠下パンチ7は、[2.材料計量準備工程]における材料計量部4aの下側開口部からの挿入長さを調節することにより、計量すべき材料1の量を任意に調整可能である。また、打錠下パンチ7と材料計量部4aの断面形状をあらかじめ選択しておくことにより、錠剤状材料13の形状を所定形状のものとすることが可能である。すなわち、打錠下パンチ7と材料計量部4aを円柱状にした場合、円板状の錠剤状材料13を得ることができるし、打錠下パンチ7と材料計量部4aを正六角柱状にした場合、正六角形の平板状の錠剤状材料13を得ることができる。
【0034】
打錠部6の圧力、温度、時間、ストローク量は、適宜の数値範囲内で、管理可能とする。また、計量済材料5は、成形版(後述する)上にて、顆粒状態や粉末状態のままでも飛散等の問題が無い場合は、打錠しなくても良い。
【0035】
[5.搬送工程]
打錠された錠剤状材料13もしくは顆粒状や粉末状の計量済材料5は、打錠下パンチ7により材料搬送部9へ持ち上げられる。
支持部材4の所定箇所には、貫通穴である材料版供給部10が設けられており、その真下には成形版セット部11に保持された成形版12が配置されている。この材料版供給部10の真上に、材料搬送部9が位置するように材料計量供給部3が移動して、いったん停止する(図1参照)と、錠剤状材料13もしくは計量済材料5は、成形版12上の所定位置に載置される。
【0036】
錠剤状材料13もしくは計量済材料5を載置した成形版12は、成形版セット部11に保持された状態で図示せぬ移動機構(ターレットや直線移動機構など)により、支持部材4の下部から出て、加熱溶融部14のある場所に移動する。
【0037】
[6.溶融工程]
成形版12に供給された錠剤状材料13もしくは顆粒状や粉末状の計量済材料5は、加熱溶融部14の下側加熱部15と上側加熱部16にて、所定の温度および溶融時間の最適な組合せで、微細なパターンを持つ成形版12上においても気泡の残留や発生がない状態で溶融し、溶融材料17となる。加熱溶融部14の温度、溶融時間は、所定の数値範囲内で管理可能とする。
【0038】
[7.成形工程]
成形版12上の溶融材料17が所定の溶融状態となったら、溶融材料17が漏れない様に成形部18の成形外パンチ19を成形版12に密着した後、成形内パンチ20にて、所定の圧力、温度、加圧時間の最適な組合せで、加圧する。成形部18の圧力、温度、加圧時間は所定の数値範囲内で管理可能とする。
【0039】
成形部18の成形外パンチ19、および成形内パンチ20の形状をあらかじめ選択しておくことにより、溶融材料17の形状を所定形状のものとすることが可能である。すなわち、成形外パンチ19と成形内パンチ20と成形版12で囲まれる空間の形状を円板状にした場合、円板状の溶融材料17を得ることができるし、成形外パンチ19と成形内パンチ20と成形版12で囲まれる空間の形状を正六角形の平板状にした場合、正六角形の平板状の溶融材料17を得ることができる。
【0040】
この成形工程により、微細なパターンを持つ成形版12上のすみずみまで溶融材料17が行き渡って気泡の残留や発生が無く充填され、また、バリ等の発生も無く、精度良く成形が行われ、溶融材料17は、成形体23となる。
【0041】
[8.離型工程]
成形後、成形体23と成形外パンチ19及び成形内パンチ20との離型を可能とするため、エアーやペルチェ素子等の冷却手段を持つ冷却部21にて、所定の温度、冷却時間の最適な組合せで、成形体23を冷却し、成形外パンチ19及び成形内パンチ20と離型する。冷却部21の温度、冷却時間は所定の数値範囲内で管理可能とする。
【0042】
成形版12上の成形体23は、剥離部22にて保持後、微細なパターンを持つ成形版12と成形体23に曲げ応力等の力が掛かり損傷することが無い様に、垂直方向に成形版12から剥離する。
【0043】
成形版12から剥離した成形体23は、剥離部22にて成形体取出部24の所定の位置に移載される。
【0044】
以上のような工程によれば、材料1は必要量のみ供給して使用していることになるので、無駄になる材料1がほとんど無い。また、材料1を加熱溶融する時間も短くすることができるので、材料1への熱的影響を最小限に抑えることが可能である。
【0045】
なお、ホッパー2を複数系列設置することにより、複数の材料を混合供給することも可能である。また、材料計量供給部3を複数個備えて、成形体23を複数個同時に成形可能な構成としても良い。
【0046】
本発明の成形装置にあっては、材料1として例えば顆粒状と粉末状のものを混合して用い、材料計量供給部3に供給する際に、材料密度の安定化を図る混合機構(図示省略)を備えても良い。
混合機構としては、ホッパー2の上部に顆粒状材料用ホッパーと粉末状材料用ホッパーを設置し、それぞれよりホッパー2へ所定量供給し、ホッパー2に装備している材料拡散機構により、顆粒状材料と粉末状材料をかき混ぜる構成とすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…材料
2…ホッパー
2a…ホッパーの投入口
2b…ホッパーの供給口
3…材料計量供給部
3a…材料供給部
4…支持部材
4a…材料計量部
5…計量済材料
6…打錠部
7…打錠下パンチ
8…打錠上パンチ
9…材料搬送部
10…材料版供給部
11…成形版セット部
12…成形版
13…錠剤状材料
14…加熱溶融部
15…下側加熱部
16…上側加熱部
17…溶融材料
18…成形部
19…成形外パンチ
20…成形内パンチ
21…冷却部
22…剥離部
23…成形体
24…成形体取出部

図1
図2