(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1では、入力側トランジスタと出力側短絡トランジスタとをそれぞれ独立してオン、オフすることにより、交流電源からダイオードブリッジ回路および直流リアクトルを介して直流負荷にエネルギーを供給することができるものの、ダイオードブリッジ回路では、交流電源の出力電圧を全波整流する際に、2個のダイオードがオンする。これにより、2個のダイオードでON電圧が導通損として生じる。
【0007】
このため、ダイオードブリッジ回路からの出力電圧に基づいてエネルギーを直流リアクトルに蓄えるために、入力側トランジスタと出力側短絡トランジスタとをそれぞれオンするときには、入力側トランジスタ、出力側短絡トランジスタおよび2個のダイオードといった4つの素子で導通損が生じることになる。このため、交流電力を直流電力に電力変換する際の効率の劣化を招くことになる。
【0008】
さらに、発明者が上述の特許文献1に基づいて直流電力を交流電力に変換する電力変換装置を検討したところ、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(
図42参照)においても、ON電圧が原因で、電力変換する際の効率の劣化を招いていたことが分かった。
【0009】
図42の電力変換装置において、トランジスタTr1〜Tr6をスイッチングさせることにより、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換して交流負荷5に与える。
【0010】
具体的には、トランジスタTr5、Tr6をオンすることにより、バッテリ4の両電極間で、トランジスタTr6、リアクトル30、およびトランジスタTr5を通して電流を流すことにより、リアクトル30にエネルギーを蓄える。
【0011】
その後、トランジスタTr5、Tr6をオフした状態で、トランジスタTr1〜Tr4のうちトランジスタTr1、Tr4をオンする第1状態と、トランジスタTr1〜Tr4のうちトランジスタTr2、Tr3をオンする第2状態とを交互に実施する。
【0012】
第1状態では、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、リアクトル30と交流負荷5との間でダイオードD6、トランジスタTr1、トランジスタTr4、およびダイオードD7を通して電流が流れる。第2状態では、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、リアクトル30と交流負荷5との間でダイオードD6、トランジスタTr3、トランジスタTr2、およびダイオードD7を通して電流が流れる。
【0013】
このため、トランジスタTr1〜Tr6、ダイオードD5、D7のうち4つの素子で導通損が生じることになる。このため、交流電力を直流電力に電力変換する際の効率の劣化を招くことになる。
【0014】
以上により、交流電力から直流電力に変換する電力変換装置に限らず、直流電力から交流電力に変換する電力変換装置においても、導通損が原因で電力変換の効率の低下を招くことが分かった。
【0015】
本発明は上記点に鑑みて、電力変換の効率を向上するようにした電力変換装置および電動機用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、交流電源(2)と直流負荷(3)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1p、Q2p、Q3p、Q4p)から構成されるブリッジ回路(20)と、
ブリッジ回路と直流負荷のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流負荷のプラス電極との間に配置されて、直流負荷のプラス電極側からリアクトル側に電流が流れることを制限する電流制限素子(D1)と、
リアクトルと電流制限素子との間の共通接続端子と直流負荷のマイナス電極と間に配置される第5のスイッチング素子(Q5)と、
第1〜第5のスイッチング素子を制御する充電制御手段(S131、S133)とを備え、
第1のスイッチング素子(Q1p)は、交流電源のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2p)は、交流電源のマイナス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3p)は、交流電源のプラス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4p)は、交流電源のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
充電制御手段(S133)は、第1充電制御期間にて、第1、第3のスイッチング素子(Q1p、Q3p)をオンして、第2、第5のスイッチング素子(Q2p、Q5p)をオフして第4スイッチング素子(Q4p)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1、第3のスイッチング素子がオンして第2、第5のスイッチング素子がオフして第4スイッチング素子がオンしたときに、交流電源の
マイナス電極から電流を、第4スイッチング素子、リアクトル、電流制限素子、直流負荷、第3スイッチング素子を通して交流電源のプラス電極に流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第1、第3のスイッチング素子がオンして第2、第5のスイッチング素子がオフして第4スイッチング素子がオフしたときに、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第1、第3のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流し、
さらに充電制御手段(S131)は、第2充電制御期間にて、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして、第3、第5のスイッチング素子(Q3p、Q5p)をオフして第1スイッチング素子(Q1p)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第2、第4のスイッチング素子がオンして第3、第5のスイッチング素子をオフして第1スイッチング素子がオンしたときに、交流電源のプラス電極から電流を、リアクトル、第2、第1のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して交流電源のマイナス電極に流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第2、第4のスイッチング素子がオンして第3、第5のスイッチング素子をオフして第1スイッチング素子がオフしたときに、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流すようになっていることを特徴とする。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、交流電源の両電極の間でリアクトルに電流を流し、このリアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて直流負荷に電流を流す際に、第1〜第5のスイッチング素子と電流制限素子とのうち、3つの素子を通電させることになる。
【0018】
上述の特許文献1の電力変換装置では、ダイオードブリッジ回路が交流電源の出力電圧を整流する際に、2個のダイオードが常にオンする。このため、入力側トランジスタと出力側短絡トランジスタとがそれぞれオンするときには、4つのON電圧が損失として生じることなる。
【0019】
これに対して、請求項1に記載の発明では、上述の如く、第1〜第5のスイッチング素子および電流制限素子のうち3つの素子が通電することになる。このため、3つの素子でON電圧が損失として生じる。したがって、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。このため、電力変換の効率を向上することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、交流電源のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)と、
第1の電圧検出手段の検出電圧が
負電圧である場合に、充電制御手段(S133)は、第1、第3のスイッチング素子(Q1p、Q3p)をオンして、第2、第5のスイッチング素子(Q2p、Q5p)をオフして第4スイッチング素子(Q4p)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が
正電圧である場合に、充電制御手段(S131)は、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして、第3、第5のスイッチング素子(Q3p、Q5p)をオフして第1スイッチング素子(Q1p)を繰り返しオン・オフさせるものであることを特徴とする。
【0022】
請求項
3に記載の発明では、
直流負荷のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第2の電圧検出手段(52)を備え、
充電制御手段は、第1、第2の電圧検出手段の検出電圧に基づいて、第1〜第5のスイッチング素子を制御することにより、交流電源(2)からブリッジ回路(20)に流れる電流(Iac)の時間軸に対する電流値の変化を正弦波状とし、かつ交流電源の出力電圧と電流との間の位相差を零に近づけることを特徴とする。
【0023】
請求項
3に記載の発明によれば、交流電源から出力される交流電力の力率を1に近づけることができるので、交流電力から直流電力への電力変換を効率的に行うことができる。
【0024】
請求項4に記載の発明では、交流電源(2)と直流負荷(3)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1p、Q2p、Q3p、Q4p)から構成されるブリッジ回路(20)と、
ブリッジ回路と直流負荷のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流負荷のプラス電極との間に配置されて、直流負荷のプラス電極側からリアクトル側に電流が流れることを制限する電流制限素子(D1)と、
リアクトルと電流制限素子との間の共通接続端子と直流負荷のマイナス電極と間に配置される第5のスイッチング素子(Q5)と、
第1〜第5のスイッチング素子を制御する充電制御手段(S150、S151)とを備え、
第1のスイッチング素子(Q1p)は、交流電源のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2p)は、交流電源のマイナス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3p)は、交流電源のプラス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4p)は、交流電源のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
充電制御手段(S150、S151)は、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして、第1、第3スイッチング素子(Q1p、Q3p)のうち一方のスイッチング素子をオフして他方のスイッチング素子を第5スイッチング素子と同期させて繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第3スイッチング素子がオフして第1、第5のスイッチング素子がオンしたときには、交流電源の両電極の間で第1、第2、第5のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第1、第3、第5のスイッチング素子がオフしたときには、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流し、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第1スイッチング素子がオフして第3スイッチング素子と第5のスイッチング素子がオンしたときには、交流電源の両電極の間で第3、第4、第5のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄えるようになっていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、交流電源のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)備え、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合に、充電制御手段(S150)は、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして、第3スイッチング素子(Q3p)をオフして、
第1スイッチング素子(Q1p)と第5スイッチング素子(Q5p)とを同期させて繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合に、充電制御手段(S151)は、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして、第1スイッチング素子(Q1p)をオフして、
第3スイッチング素子(Q3p)と第5スイッチング素子(Q5p)とを同期させて繰り返しオン・オフをさせるものであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、交流電源(2)と直流負荷(3)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1p、Q2p、Q3p、Q4p)から構成されるブリッジ回路(20)と、
ブリッジ回路と直流負荷のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流負荷のプラス電極との間に配置されて、直流負荷のプラス電極側からリアクトル側に電流が流れることを制限する電流制限素子(D1)と、
リアクトルと電流制限素子との間の共通接続端子と直流負荷のマイナス電極と間に配置される第5のスイッチング素子(Q5)と、
第1〜第5のスイッチング素子を制御する充電制御手段(S150、S151)とを備え、
第1のスイッチング素子(Q1p)は、交流電源のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2p)は、交流電源のマイナス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3p)は、交流電源のプラス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4p)は、交流電源のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
充電制御手段(S150)は、第1充電制御期間にて、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第3スイッチング素子をオフして第1、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第3スイッチング素子がオフして第1、第5のスイッチング素子がオンしたときには、交流電源の両電極の間で第1、第2、第5のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第1、第3、第5のスイッチング素子がオフしたときには、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流し、
第2、第4、第5のスイッチング素子がオンして、第1、第3のスイッチング素子がオフしたときには、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4、第5のスイッチング素子を通して電流を流し、
充電制御手段(S151)は、第2充電制御期間にて、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第1スイッチング素子をオフした状態で、
第3、第5スイッチング素子
第3、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第1スイッチング素子がオフして第3、第5のスイッチング素子がオンしたときには、交流電源の両電極の間で第3、第4、第5のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第2、第4のスイッチング素子がオンして、第1、第3、第5のスイッチング素子がオフしたときには、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流し、
第2、第4、第5のスイッチング素子がオンして、第1、第3のスイッチング素子がオフしたときには、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4、第5のスイッチング素子を通して電流を流すようになっていることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明では、交流電源のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)を備え、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合において、充電制御手段(S150)は、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第3スイッチング素子をオフして第1、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合において、充電制御手段(S151)は、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第1スイッチング素子をオフして第3、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、交流電源のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)を備え、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合において、
充電制御手段(S150)は、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第3スイッチング素子をオフして第1、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合において、
充電制御手段(S151)は、第2、第4のスイッチング素子をオンして、第1スイッチング素子をオフして第3、第5スイッチング素子を繰り返しオン・オフをさせるものであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、交流電源(2)と直流負荷(3)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1p、Q2p、Q3p、Q4p)から構成されるブリッジ回路(20)と、
ブリッジ回路と直流負荷のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流負荷のプラス電極との間に配置されて、直流負荷のプラス電極側からリアクトル側に電流が流れることを制限する電流制限素子(D1)と、
リアクトルと電流制限素子との間の共通接続端子と
直流負荷のマイナス電極と間に配置される第5のスイッチング素子(Q5)と、
第1〜第5のスイッチング素子を制御する充電制御手段(S130、S131、S132、S133、S150、S151)とを備え、
第1のスイッチング素子(Q1p)は、交流電源のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2p)は、交流電源のマイナス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3p)は、交流電源のプラス電極と直流負荷のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4p)は、交流電源のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
充電制御手段(S150)は、第1充電制御時間にて、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして第3スイッチング素子(Q3p)をオフして第1、第5のスイッチング素子(Q1p、Q5p)を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第2、第4のスイッチング素子がオンして第3スイッチング素子がオフして第1、第5のスイッチング素子がオンしたとき、交流電源の両電極の間で第1、第2、第5のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第2、第4のスイッチング素子がオンして第3スイッチング素子がオフして第1、第5のスイッチング素子がオフしたとき、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第2、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流し、
充電制御手段(S151)は、第2充電制御時間にて、第1、第3のスイッチング素子(Q1p、Q3p)をオンして第2スイッチング素子(Q2p)をオフして第4、第5のスイッチング素子(Q4p、Q5p)を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第1、第3のスイッチング素子がオンして第2スイッチング素子がオフして第4、第5のスイッチング素子がオンしたとき、交流電源の両電極の間で、リアクトル、および第3、第4、第5のスイッチング素子を通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第1、第3のスイッチング素子がオンして第2、第4、第5のスイッチング素子がオフしたとき、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第1、第3のスイッチング素子、電流制限素子、および直流負荷を通して電流を流すようになっていることを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明では、交流電源のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)を備え、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合において、充電制御手段(S150)は、第2、第4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)をオンして第3スイッチング素子(Q3p)をオフして第1、第5のスイッチング素子(Q1p、Q5p)を繰り返しオン・オフをさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合において、充電制御手段(S151)は、第1、第3のスイッチング素子(Q1p、Q3p)をオンして第2スイッチング素子(Q2p)をオフして第4、第5のスイッチング素子(Q4p、Q5p)を繰り返しオン・オフをさせるものであることを特徴とする。
【0027】
請求項
10に記載の発明では、直流負荷のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する第2の電圧検出手段(52)を備え、
充電制御手段は、第1、第2の電圧検出手段の検出電圧に基づいて、第1〜第5のスイッチング素子を制御することにより、交流電源(2)からブリッジ回路(20)に流れる電流(Iac)の時間軸に対する電流値の変化を正弦波状とし、かつ交流電源の出力電圧と電流との間の位相差を零に近づけることを特徴とする。
【0028】
請求項
10に記載の発明によれば、交流電源から出力される交流電力の力率を1に近づけることができるので、交流電力から直流電力への電力変換を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項
11に記載の発明では、請求項
1ないし10のいずれか1つに記載の電力変換装置(1)と、
電力変換装置の直流負荷(3)のプラス電極とマイナス電極との間に直列接続される第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)とを備え、
第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)のうち直流負荷のプラス電極側の第7のスイッチング素子(Q7)が電流制限素子を構成し、
第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)のうち直流負荷のマイナス電極側の第8のスイッチング素子(Q8)が第5スイッチング素子(Q5)を構成し、
第7、8のスイッチング素子の間の共通接続端子(T1)と三相交流電動機を構成するステータコイル(110)の第1の電極(110a)との間が接続され、
電力変換装置のブリッジ回路と交流電源(2)との間を接続、或いは開放する第1のスイッチ(SW1)と、
電力変換装置の第2、4のスイッチング素子(Q2p、Q4p)の間の共通接続素子(T2)とステータコイルの第2の電極(110b)との間を接続、或いは開放する第2のスイッチ(SW2)と、
電力変換装置の第1、第3のスイッチング素子(Q1p、Q3p)の間の共通接続素子(T3)とステータコイルの第3の電極(110c)との間を接続、或いは開放する第3のスイッチ(SW3)と、
第1、第4のスイッチング素子の間の共通接続素子(T4)と直流負荷のプラス電極との間に配置される第4のスイッチ(SW4)と、
第1、第4のスイッチング素子の間の共通接続素子(T4)とリアクトルとの間に配置される第5のスイッチ(SW5)と、
第1〜第5のスイッチを制御するスイッチ制御手段(50)と、
スイッチ制御手段が第1〜第5のスイッチのうち第2、第3、第4のスイッチをオンしたときに、第1、第2、第3、第4、第7、第8のスイッチング素子を制御して、第1、第3のスイッチング素子の間の共通接続端子(T3)、第2、第4のスイッチング素子の間の共通接続端子(T2)、および第7、第8のスイッチング素子の共通接続端子(T1)から交流電流をステータコイルに流して三相交流電動機を駆動させるインバータ制御手段(50)とを備え、
スイッチ制御手段が第1〜第5のスイッチのうち第1、第5のスイッチをオンしたときに、充電制御手段が第1〜第4のスイッチング素子および
第7、第8のスイッチング素子を制御することを特徴とする。
【0030】
請求項
11に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様、交流電力を直流電力に変換する際に、ON電圧として生じる損失を低減することができるので、電力変換の効率を向上することができる。
【0038】
請求項12に記載の発明では、直流電源(4)と交流負荷(5)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1n、Q2n、Q3n、Q4n)から構成されるブリッジ回路(20B)と、
ブリッジ回路と直流電源のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流電源のプラス電極との間に配置される第6のスイッチング素子(Q6)と、
リアクトルと第6のスイッチング素子(Q6)との間の共通接続端子と直流電源(4)のマイナス電極との間に配置されて、共通接続端子側から直流電源(4)のマイナス電極側に電流が流れることを妨げる電流制限素子(D2)と、
第1〜第4のスイッチング素子および第6のスイッチング素子を制御する逆潮流制御手段(131a、133a)と、を備え、
第1のスイッチング素子(Q1n)は、交流負荷のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2n)は、交流負荷のマイナス電極と直流電源のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3n)は、交流負荷のプラス電極と直流電源のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4n)は、交流負荷のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
逆潮流制御手段(S131a
)は、第1逆潮流制御期間にて、第1、第2、第6のスイッチング素子(Q1n、Q2n、Q6n)をオンして、第3スイッチング素子(Q3n)をオフして第4スイッチング素子(Q4n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1、第2、第4、第6のスイッチング素子がオンして第3スイッチング素子がオフしたとき直流電源の両電極の間で第2、第4、第6のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第1、第2、第6のスイッチング素子がオンして第3、第4のスイッチング素子がオフしたとき、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第1、第2のスイッチング素子、および交流負荷を通して電流を流し、
逆潮流制御手段(133a
)は、第2逆潮流制御期間にて、第3、第4、第6のスイッチング素子(Q3n、Q4n、Q6n)をオンして、第2スイッチング素子(Q2n)をオフして第1スイッチング素子(Q1n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1、第3、第4、第6のスイッチング素子がオンして第2スイッチング素子がオフしたとき直流電源の両電極の間で第1、第3、第6のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第3、第4、第6のスイッチング素子がオンして第1、第2のスイッチング素子がオフしたときに、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第3、第4、第6のスイッチング素子、電流制限素子、および交流負荷を通して電流を流すようになっていることを特徴とする。
【0039】
請求項
12に記載の発明によれば、直流電源の両電極の間でリアクトルに電流を流し、このリアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて交流負荷に電流を流す際に、第1〜第4のスイッチング素子、第6のスイッチング素子、および電流制限素子とのうち、3つの素子を通電させることになる。このため、3つの素子でON電圧が損失として生じる。したがって、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。このため、電力変換の効率を向上することができる。
【0041】
請求項
13に記載の発明では、交流負荷の出力電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)と、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合に、逆潮流制御手段
(S131a
)は、第1、第2、第6のスイッチング素子(Q1n、Q2n、Q6n)をオンして、第3スイッチング素子(Q3n)をオフして第4スイッチング素子(Q4n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合に、
逆潮流制御手段(133a
)は、第3、第4、第6のスイッチング素子(Q3n、Q4n、Q6n)をオンして、第2スイッチング素子(Q2n)をオフして第1スイッチング素子(Q1n)を繰り返しオン・オフさせるものであることを特徴とする。
【0042】
請求項
14に記載の発明では、直流電源(4)と交流負荷(5)との間に配置されて第1〜第4のスイッチング素子(Q1n、Q2n、Q3n、Q4n)から構成されるブリッジ回路(20B)と、
ブリッジ回路と直流電源のプラス電極との間に配置されるリアクトル(30)と、
リアクトルと直流電源のプラス電極との間に配置される第6のスイッチング素子(Q6)と、
リアクトルと第6のスイッチング素子(Q6)との間の共通接続端子と直流電源(4)のマイナス電極との間に配置されて、共通接続端子側から直流電源(4)のマイナス電極側に電流が流れることを妨げる電流制限素子(D2)と、
第1〜第4のスイッチング素子および第6のスイッチング素子を制御する逆潮流制御手段(150b、151b)と、を備え、
第1のスイッチング素子(Q1n)は、交流負荷のプラス電極とリアクトルとの間に配置され、
第2のスイッチング素子(Q2n)は、交流負荷のマイナス電極と直流電源のマイナス電極との間に配置され、
第3のスイッチング素子(Q3n)は、交流負荷のプラス電極と直流電源のマイナス電極との間に配置され、
第4のスイッチング素子(Q4n)は、交流負荷のマイナス電極とリアクトルとの間に配置されており、
逆潮流制御手段(S150b)は、第1逆潮流制御期間にて、第1、第2のスイッチング素子(Q1n、Q2n)をオンして、第3スイッチング素子(Q3n)をオフして第4、第6のスイッチング素子(Q4n、Q6n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1、第2、第4、第6のスイッチング素子がオンして第3スイッチング素子がオフしたとき直流電源の両電極の間で第2、第4、第6のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第1、第2のスイッチング素子がオンして第3、第4、第6のスイッチング素子がオフしたとき、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第1、第2のスイッチング素子、電流制限素子、および交流負荷を通して電流を流し、
逆潮流制御手段(S151b)は、第2逆潮流制御期間にて、第3、第4のスイッチング素子(Q3n、Q4n)をオンして、第1スイッチング素子(Q1n)をオフして第2、第6のスイッチング素子(Q4n、Q6n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第2、第3、第4、第6のスイッチング素子がオンして第1スイッチング素子がオフしたとき直流電源の両電極の間で第2、第4、第6のスイッチング素子、およびリアクトルを通して電流を流してリアクトルにエネルギーを蓄え、
第3、第4のスイッチング素子がオンして、第1、第2、第6のスイッチング素子がオフしたときに、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて、第3、第4のスイッチング素子、電流制限素子、および交流負荷を通して電流を流すようになっていることを特徴とする。
【0043】
請求項
15に記載の発明では、交流負荷の出力電圧を検出する第1の電圧検出手段(51)を備え、
第1の電圧検出手段の検出電圧が正電圧である場合において、逆潮流制御手段
(S150b)は、第1、第2のスイッチング素子(Q1n、Q2n)をオンして、第3スイッチング素子(Q3n)をオフして第4、第6のスイッチング素子(Q4n、Q6n)を繰り返しオン・オフさせるものであり、
第1の電圧検出手段の検出電圧が負電圧である場合において、
逆潮流制御手段(S151b)は、第3、第4のスイッチング素子(Q3n、Q4n)をオンして、第1スイッチング素子(Q1n)をオフして第2、第6のスイッチング素子(Q4n、Q6n)を繰り返しオン・オフさせるものであることを特徴とする。
【0044】
請求項16に記載の発明では、直流電源の出力電圧を検出する第2の電圧検出手段(52)を備え、
逆潮流制御手段は、第1、第2の電圧検出手段の検出電圧に基づいて、第1〜第4、第6のスイッチング素子を制御することにより、ブリッジ回路(20)から交流負荷(5)に流れる電流(Iac)の時間軸に対する電流値の変化を正弦波状とし、かつ交流負荷の両電極間電圧と電流との間の位相差を零に近づけるようになっていることを特徴とする。
【0045】
請求項17に記載の発明では、請求項12ないし17のいずれか1つに記載の電力変換装置(1)と、
電力変換装置の直流電源(3)のプラス電極とマイナス電極との間に直列接続される第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)とを備え、
第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)のうち直流電源のマイナス電極側の第8のスイッチング素子(Q8)が電流制限素子を構成し、
第7、8のスイッチング素子(Q7、Q8)のうち直流電源のプラス電極側の第7スイッチング素子(Q7)が第6スイッチング素子(Q6)を構成し、
第7、8のスイッチング素子の間の共通接続端子(T1)と三相交流電動機を構成するステータコイル(110)の第1の電極(110a)との間が接続され、
電力変換装置のブリッジ回路と交流負荷(5)との間を接続、或いは開放する第1のスイッチ(SW1)と、
電力変換装置の第2、4のスイッチング素子(Q2n、Q4n)の間の共通接続素子(T2)とステータコイルの第2の電極(110b)との間を接続、或いは開放する第2のスイッチ(SW2)と、
電力変換装置の第1、第3のスイッチング素子(Q1n、Q3n)の間の共通接続素子(T3)とステータコイルの第3の電極(110c)との間を接続、或いは開放する第3のスイッチ(SW3)と、
第1、第4のスイッチング素子の間の共通接続素子(T4)と直流負荷のプラス電極との間に配置される第4のスイッチ(SW4)と、
第1、第4のスイッチング素子の間の共通接続素子(T4)とリアクトルとの間に配置される第5のスイッチ(SW5)と、
第1〜第5のスイッチを制御するスイッチ制御手段(50)と、
スイッチ制御手段が第1〜第5のスイッチのうち第2、第3、第4のスイッチをオンしたときに、第1、第2、第3、第4、第7、第8のスイッチング素子を制御して、第1、第3のスイッチング素子の間の共通接続端子(T3)、第2、第4のスイッチング素子の間の共通接続端子(T2)、および第7、第8のスイッチング素子の間の共通接続端子(T1)から交流電流をステータコイルに流して三相交流電動機を駆動させるインバータ制御手段(50)とを備え、
スイッチ制御手段が第1〜第5のスイッチのうち第1、第5のスイッチをオンしたときに、逆潮流制御手段が第1〜第4、
第7のスイッチング素子を制御することを特徴とする。
【0053】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0056】
(第1実施形態)
図1に本発明の電力変換装置の第1実施形態を示す。
図1に本実施形態の電力変換装置1の電気回路構成を示す。
【0057】
図1に示すように、電力変換装置1は、ローパスフィルタ10、ブリッジ回路20、リアクトル30、スイッチング素子Q5、ダイオードD1、D2、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、および電流センサ53から構成されている。
【0058】
ローパスフィルタ10は、交流電源2のプラス電極とマイナス電極との間に配置されている。ブリッジ回路20は、交流電源2と直流負荷3との間に配置されている。ブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1p〜Q4pから構成されている。スイッチング素子Q1pは、交流電源2のプラス電極と直流負荷3のプラス電極との間に配置されている。スイッチング素子Q2pは、交流電源2のマイナス電極と直流負荷3のマイナス電極との間に配置されている。スイッチング素子Q3pは、交流電源2のプラス電極と直流負荷3のマイナス電極との間に配置されている。スイッチング素子Q4pは、交流電源2のマイナス電極と直流負荷3のプラス電極との間に配置されている。本実施形態の直流負荷3としてはバッテリが用いられている。
【0059】
リアクトル30は、スイッチング素子Q1p、Q4pの間の共通接続端子と直流負荷3のプラス電極との間に配置されている。ダイオードD1は、リアクトル30と直流負荷3のプラス電極との間に配置されている。ダイオードD1は、直流負荷3のプラス電極側からリアクトル30側に電流が流れることを妨げる。
【0060】
スイッチング素子Q5は、リアクトル30とダイオードD1との間の共通接続素子と直流負荷3のマイナス電極との間に配置されている。本実施形態のスイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5としては、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタが用いられている。スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4pとしては、コレクタ端子とエミッタ端子との間で高い逆電圧が与えられても耐え得る素子が用いられている。
【0061】
ダイオードD5は、直流負荷3のプラス電極とマイナス電極との間でスイッチング素子Q5に対して逆並列に配置されている。ダイオードD2は、リアクトル30とダイオードD1との間の共通接続素子側から、直流負荷3のマイナス電極側に電流が流れることを妨げる。
【0062】
平滑コンデンサ40は、直流負荷3のプラス電極とマイナス電極との間に配置されている。平滑コンデンサ40は、直流負荷3の両電極の間の電圧を平滑化する。
【0063】
制御装置50は、マイクロコンピュータやメモリ等から構成され、交流電源2の交流電力を直流電力に変換して直流負荷(バッテリ)3に与える充電処理を実施する。制御装置50は、充電処理を実施する際に、電子制御装置60からの要求電力とセンサ51、52、53の出力信号とに基づいて、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5をスイッチング制御する。
【0064】
電圧センサ51は、交流電源2のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。電圧センサ52は、直流負荷3のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。電流センサ53は、スイッチング素子Q1p、Q4pの間の共通接続端子とリアクトル30との間に流れる電流を検出する。
【0065】
次に、本実施形態の制御装置50の充電処理について説明する。
【0066】
まず、制御装置50が電子制御装置60から要求電力P’を与えられると、充電処理の実行を開始する。要求電力P’は、交流電源2から直流負荷3に与えるように電子制御装置60から要求された電力値である。
【0067】
制御装置50は、要求電力P’を電圧センサ51の検出電圧Vacにより除算して要求電流Iac’(=P’/Vac)を求める。要求電流Iac’は、交流電源2から出力させるように電子制御装置60から要求された要求値である。制御装置50は、交流電源2からローパスフィルタ10を通してブリッジ回路20に出力される実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるようにスイッチング素子Q1p、・・Q4p、Q5を制御する。
【0068】
以下、充電処理の詳細について
図2〜
図7を参照して説明する。
図2は充電処理を示すフローチャートである。
図3(a)は交流電源2の出力電圧の絶対値|Vac|と直流負荷3の両電極間の電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図3(b)〜(f)は、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5のオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図4〜
図7は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0069】
まず、
図2のステップS100において、電圧センサ51の検出電圧(すなわち、交流電源2の出力電圧)Vacが零以上であるか否かを判定する。電圧センサ51の検出電圧Vacが零以上であるとしてYESと判定したときには、次のステップS110において、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ52の検出電圧(すなわち、直流負荷3の両電極間の電圧)VBよりも小さいか否かを判定する。
【0070】
ここで、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ52の検出電圧VBよりも小さいとしてステップS110においてYESと判定したときには、ステップS130に進んで、昇圧制御を実施する。
【0071】
具体的には、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q4pをオンしてスイッチング素子Q3pをオフして、スイッチング素子Q5に対してスイッチング制御(PWM制御)を実施する。
【0072】
このスイッチング制御を実施する際に、スイッチング素子Q5をオンするON期間とスイッチング素子Q5をオフするOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定される。
【0073】
まず、スイッチング素子Q5をオンしたときには、
図4中のMode1の矢印の如く、交流電源2のプラス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q2p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0074】
また、スイッチング素子Q5をオフしたときには、
図4中のMode2の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、交流電源2のプラス電極からローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、電流センサ53、リアクトル30、直流負荷3、スイッチング素子Q2p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。
【0075】
ここで、スイッチング素子Q1pのデューティ比{=(ON期間)/(ON期間+OFF期間)}を1とし、スイッチング素子Q5pのデューティ比を{1−(|Vac|/VB)}としている。このため、スイッチング素子Q5pのデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5pのデューティ比は大きくなる。このため、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状とし、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることにより、力率を1に近づけることになる。したがって、スイッチング素子Q5が昇圧PFC回路として動作することになる。
【0076】
また、上述のステップS100において、電圧センサ51の検出電圧Vacが零未満であるとしてNOと判定したときには、次のステップS120において、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ52の検出電圧VBよりも小さいか否かを判定する。
【0077】
ここで、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ52の検出電圧VBよりも小さいとして(|Vac|<VB)、ステップS120においてYESと判定したときには、ステップS132に進んで、昇圧制御を実施する。
【0078】
具体的には、スイッチング素子Q1p、Q3p、Q4pをオンしてスイッチング素子Q2pをオフして、スイッチング素子Q5に対してスイッチング制御(PWM制御)を実施する。このスイッチング制御を実施する際に、スイッチング素子Q5のON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定される。
【0079】
まず、スイッチング素子Q5をオンしたときには、
図5中のMode5の矢印の如く、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0080】
また、スイッチング素子Q5をオフしたときには、
図5中のMode6の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、交流電源2のマイナス電極からローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。
【0081】
ここで、スイッチング素子Q4pのデューティ比{=(ON期間)/(ON期間+OFF期間)}を1として、スイッチング素子Q5pのデューティ比を{1−(|Vac|/VB)}としている。このため、スイッチング素子Q5pのデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5pのデューティ比は大きくなる。このため、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状とし、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることにより、力率を1に近づけることになる。したがって、スイッチング素子Q5が昇圧PFC回路として動作することになる。
【0082】
また、ステップS110において、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ52の検出電圧VB以上であるとして(|Vac|≧VB)、NOと判定したときには、ステップS131に進んで、降圧制御を実施する。
【0083】
具体的には、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンしてスイッチング素子Q3p、Q5をオフして、スイッチング素子Q1pに対してスイッチング制御(PWM制御)を実施する。このスイッチング制御を実施する際に、スイッチング素子Q1pのON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定される。
【0084】
まず、スイッチング素子Q1pをオンしたときには、
図6中のMode4の矢印の如く、交流電源2のプラス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、電流センサ53、リアクトル30、ダイオードD1、直流負荷40、スイッチング素子Q2p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30および直流負荷40にそれぞれエネルギーが蓄えられる。
【0085】
また、スイッチング素子Q1pをオフしたときには、
図6中のMode3の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、ダイオードD1、およびスイッチング素子Q2、Q4pを通して電流が流れる。
【0086】
ここで、スイッチング素子Q1pのデューティ比{=(ON期間)/(ON期間+OFF期間)}としては、(VB/|Vac|)が用いられる。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q1pのデューティ比が小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q1pのデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0087】
なお、降圧制御を実施する際には、スイッチング素子Q1pが降圧チョッパ回路のスイッチング素子として動作し、スイッチング素子Q4pが整流ダイオード(環流ダイオード)として動作する。
【0088】
また、上述のテップS120において、電圧センサ51の検出電圧の絶対値|Vac|が電圧センサ51の検出電圧VBよりも大きいとして(|Vac|≧VB)、NOと判定したときには、ステップS133に進んで、降圧制御を実施する。
【0089】
具体的には、スイッチング素子Q1p、Q3pをオンしてスイッチング素子Q2p、Q5をオフして、スイッチング素子Q4pに対してスイッチング制御(PWM制御)を実施する。このスイッチング制御を実施する際に、スイッチング素子Q4pのON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定される。
【0090】
まず、スイッチング素子Q4pをオンしたときには、
図7中のMode7の矢印の如く、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、ダイオードD1、直流負荷40、スイッチング素子Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30および直流負荷40にそれぞれエネルギーが蓄えられる。
【0091】
また、スイッチング素子Q4pをオフしたときには、
図7中のMode8の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、スイッチング素子Q1p、電流センサ53、リアクトル30、ダイオードD1、直流負荷40、およびスイッチング素子Q3pを通して電流が流れる。
【0092】
ここで、スイッチング素子Q4pのデューティ比{=(ON期間)/(ON期間+OFF期間)}としては、(VB/|Vac|)が用いられる。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q4pのデューティ比が小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q4pのデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0093】
なお、降圧制御を実施する際には、スイッチング素子Q4pが降圧チョッパ回路のスイッチング素子として動作し、スイッチング素子Q1pが整流ダイオード(環流ダイオード)として動作する。
【0094】
このように|Vac|が検出電圧VBよりも大きい期間では、電源電圧が正極であるときにはスイッチング素子Q1pが降圧チョッパ回路のスイッチング素子の役割を果たし、スイッチング素子Q4pが整流ダイオードの役割を果たす。電源電圧が負極であるときにはスイッチング素子Q4pが降圧チョッパ回路のスイッチング素子の役割を果たし、スイッチング素子Q1pが整流ダイオードの役割を果たすことになる。
【0095】
以上のように、ステップS130〜S133のうちいずれか1つステップに進んでスイッチング素子Q1p〜Q4p、Q5を制御して交流電源2の出力電力を直流電力に変換してこの直流電力を直流負荷3に蓄えることになる。
【0096】
その後、ステップS140において、電子制御装置60から動作終了要求を受けているか否かを判定する。電子制御装置60から動作終了要求を受けていないとしてNOと判定したときには、ステップS100に戻る。
【0097】
その後、電子制御装置60から動作終了要求を受けるまで、ステップS100、S110の処理或いは、ステップS100、S120の処理を終えた後、ステップS130〜S133のうち1つステップにおいてスイッチング素子Q1p〜、Q4p、Q5を制御することになる。その後、ステップS140において、電子制御装置60から動作終了要求を受けたとしてYESと判定すると、充電処理を停止することになる。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、制御装置50が充電制御を実施する際に、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5およびダイオードD1のうち3つの素子を通電させることになる。このため、制御装置50が充電制御を実施する際に3つの素子でON電圧が損失して生じることなる。
【0099】
上述の特許文献1の電力変換装置では、4つの素子でON電圧が損失として生じることなる。
【0100】
これに対して、本実施形態によれば、上述の如く、3つの素子でON電圧が損失して生じることなる。したがって、交流電源2の交流電力を直流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧が生じる素子の個数を減らすことができる。このため、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置1の電力変換の効率を向上することができる。
【0101】
本実施形態では、ステップS130〜S133では、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5を制御して、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけている。これにより、交流電源2から出力される交流電力の力率を1に近づけることができるので、効率的に電力変換を実施することができる。
【0102】
上述の第1実施形態では、充電制御を実施する際に、
図2のフローチャートを用いたが、これに代えて、
図8のフローチャートを用いてもよい。
【0103】
具体的には、
図2と
図8との相違点について説明すると、
図2中のステップS130では、スイッチング素子Q4pがオンしているが、
図8中のステップS130では、スイッチング素子Q4pがオフしている。
図2中のステップS132では、スイッチング素子Q1pがオンしているが、
図8中のステップS132では、スイッチング素子Q1pがオフしている。
【0104】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、交流電源の出力電圧の絶対値|Vac|と直流負荷の両電極間の電圧VBとの大小関係に応じて、昇圧制御と降圧制御を切り替える例について説明したが、これに代えて、本第2実施形態では、昇降圧制御を常時実施する例について説明する。
【0105】
本実施形態の電力変換装置1のハードウェア構成は、上述の第1実施形態の電力変換装置1のハードウェア構成と同一である。このため、以下、本実施形態の充電制御について
図9〜
図12を参照して説明する。
【0106】
図9は本実施形態の充電制御を示すフローチャートであり、
図10(a)は交流電源2の出力電圧の絶対値|Vac|と直流負荷3の両電極間の電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図3(b)〜(f)は、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5のオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図11、
図12は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0107】
まず、
図9のステップS100において、電圧センサ51の検出電圧(すなわち、交流電源2の出力電圧)Vacが零以上であるか否かを判定する。電圧センサ51の検出電圧Vacが零以上であるとして(Vac≧0)、YESと判定したときには、ステップS150において後述する昇降圧制御を実施する。
【0108】
また、上述のステップS100において、電圧センサ51の検出電圧Vacが零未満であるとして(Vac<0)、NOと判定したときには、ステップS151において後述する昇降圧制御を実施する。
【0109】
このようにステップS150或いはステップS151において昇降圧制御を実施すると、次のステップS140において、電子制御装置60から動作終了要求を受けているか否かを判定する。電子制御装置60から動作終了要求を受けていないとしてNOと判定したときには、ステップS100に戻る。
【0110】
その後、電子制御装置60から動作終了要求を受ける迄、ステップS100の判定、ステップS150或いはステップS151における昇降圧制御、およびステップS140のNO判定を繰り返しことになる。そして、電子制御装置60から動作終了要求を受けるとステップS140でYESと判定して、充電制御を終了する。
【0111】
次に、ステップS150の昇降圧制御とステップS151の昇降圧制御とについて説明する。
(ステップS150)
まず、スイッチング素子Q3pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンして、スイッチング素子Q1p、Q5を同期してスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子Q1pのオンとスイッチング素子Q5のオンとを同一タイミングで実施し、スイッチング素子Q1pのオフとスイッチング素子Q5のオフと同一タイミングで実施する。スイッチング素子Q1p、Q5をスイッチングさせる際に、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるようにスイッチング素子Q1p、Q5のON期間とOFF期間とが設定される。
【0112】
まず、スイッチング素子Q1p、Q5をオンしたときには、
図11中のMode1の矢印の如く、交流電源2のプラス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q2p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0113】
また、スイッチング素子Q1p、Q5をオフしたときには、
図11中のMode2の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q2p、Q4pおよび電流センサ30を通して流れる。
【0114】
このようなスイッチング素子Q1p、Q5のオンとスイッチング素子Q3p、Q5のオフとを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q1p、Q5のデューティ比としては、(VB/(|Vac|+VB))が用いられる。このため、スイッチング素子Q1p、Q5のデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど、小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q1p、Q5のデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
(ステップS151)
まず、スイッチング素子Q1pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンして、スイッチング素子Q3p、Q5を同期してスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子Q3pのオンとスイッチング素子Q5のオンとを同一タイミングで実施し、スイッチング素子Q3pのオフとスイッチング素子Q5のオフと同一タイミングで実施する。スイッチング素子Q3p、Q5をスイッチングさせる際に、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるようにスイッチング素子Q3p、Q5のON期間とOFF期間とが設定される。
【0115】
まず、スイッチング素子Q3p、Q5をオンしたときには、
図12中のMode3の矢印の如く、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0116】
また、スイッチング素子Q3p、Q5をオフしたときには、
図12中のMode4の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q2p、Q4p、および電流センサ53を通して流れる。
【0117】
このようなスイッチング素子Q3p、Q5のオンとスイッチング素子Q3p、Q5のオフとを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q3p、Q5のデューティ比としては、(VB/(|Vac|+VB))が用いられる。このため、スイッチング素子Q3p、Q5のデューティ比としては、|Vac|が大きくなるほど、小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q3p、Q5のデューティ比が大きくなる。このため、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0118】
なお、ステップS150、S151では、スイッチング素子Q2pは整流ダイオードの役割を果たす。
【0119】
以上説明した本実施形態では、制御装置50が充電制御を実施する際にスイッチング素子Q1p〜Q4p、Q5およびダイオードD1のうち3つの素子でON電圧が損失として生じることなる。したがって、上述の第1実施形態と同様、交流電源2の交流電力を直流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。
【0120】
本実施形態では、スイッチング素子Q1p〜Q4p、Q5を制御することにより実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。このため、交流電源2から出力される交流電力の力率を1に近づけることができる。
【0121】
(第3実施形態)
上述の第2実施形態では、
図9のステップS150(S151)の昇降圧制御において、スイッチング素子Q1p、Q5(Q3p、Q5)を同期してスイッチングさせる例について説明したが、これに代えて、スイッチング素子Q1p、Q5(Q3p、Q5)を非同期でスイッチングさせて昇降圧制御を実施する例について説明する。
【0122】
以下、本実施形態のステップS150(S151)の昇降圧制御について
図13〜
図15を参照して説明する。
【0123】
図13(a)は電源電圧2の出力電圧の絶対値|Vac|と直流負荷3の両電極間の電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図13(b)〜(f)は、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5のオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図14、
図15は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
(ステップS150)
まず、スイッチング素子Q3pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンして、スイッチング素子Q1p、Q5をスイッチングさせる。スイッチング素子Q1p、Q5のON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定されている。
【0124】
まず、スイッチング素子Q1p、Q5をオンしたときには、
図14中のMode1の矢印の如く、交流電源2のプラス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q2p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0125】
その後、スイッチング素子Q1p、Q5をオフしたときには、
図14中のMode2の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q2p、Q4p、および電流センサ53を通して流れる。
【0126】
また、スイッチング素子Q1pをオフして、スイッチング素子Q5をオンすると、
図14中のMode3の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、スイッチング素子Q5p、スイッチング素子Q2p、Q4pおよび電流センサ53を通して流れる。
【0127】
このようなスイッチング素子Q1p、Q5のスイッチングにより直流負荷3に電流が流れ込んで直流電力が蓄えられる。
【0128】
ここで、スイッチング素子Q1pのデューティ比を一定値Dとしている。一定値Dは、|Vac|×DがVBよりも小さくなるように設定されている。|Vac|は、交流電源2の出力電圧Vac(=電圧センサ51の検出電圧)の絶対値である。VBは、直流負荷3のプラス電極とマイナス電極との間の電圧である。 スイッチング素子Q5のデューティ比は、{1−(|Vac|×D)/VB}に設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比を小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比を大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
(ステップS151)
まず、スイッチング素子Q1pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンして、スイッチング素子Q3p、Q5をスイッチングさせる。スイッチング素子Q3p、Q5のON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定されている。
【0129】
まず、スイッチング素子Q3p、Q5をオンしたときには、
図15中のMode4の矢印の如く、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0130】
また、スイッチング素子Q3p、Q5をオフしたときには、
図15中のMode5の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q2p、Q4p、および電流センサ53を通して流れる。
【0131】
その後、スイッチング素子Q3pをオフして、スイッチング素子Q5をオンしたときには、
図15中のMode6の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、スイッチング素子Q5、Q2p、Q4p、および電流センサ53を通して流れる。
【0132】
このようなスイッチング素子Q3p、Q5のスイッチングにより直流負荷3に電流が流れ込んで直流電力が蓄えられる。
【0133】
ここで、スイッチング素子Q3pのデューティ比を一定値Dとしている。一定値Dは、上記ステップS150の場合と同様、|Vac|×DがVBよりも小さくなるように設定されている。スイッチング素子Q5のデューティ比は、{1−(|Vac|×D)/VB}に設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比が小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0134】
以上説明した本実施形態では、制御装置50が充電制御を実施する際にスイッチング素子Q1p〜Q4p、Q5、およびダイオードD1のうち3つの素子が通電する。このため、制御装置50が充電制御を実施する際に3つの素子でON電圧として損失が生じることなる。したがって、上述の第1実施形態と同様、交流電源2の交流電力を直流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。
【0135】
本実施形態では、上述の第2実施形態と同様、スイッチング素子Q1p〜Q4p、Q5を制御して、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。これにより、交流電源2から出力される交流電力の力率を1に近づけることができる。
【0136】
上記第3実施形態では、電源電圧2の出力電圧Vacが零未満のときに、ステップS151において、スイッチング素子Q1pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q4pをオンして、スイッチング素子Q3p、Q5をスイッチングさせる例を示したが、これに代えて、ステップS151において、スイッチング素子Q1p、Q3pをオンし、スイッチング素子Q2pをオフして、スイッチング素子Q4p、Q5をスイッチングさせるようにしてもよい。
【0137】
この場合、スイッチング素子Q3p、Q5のON期間とOFF期間とは、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるように設定されている。
【0138】
まず、スイッチング素子Q4p、Q5をオンしたときには、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q4p、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q3p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0139】
また、スイッチング素子Q4p、Q5をオフしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、ダイオードD1、直流負荷3、スイッチング素子Q3p、Q1p、および電流センサ53を通して流れる。
【0140】
その後、スイッチング素子Q4pをオフして、スイッチング素子Q5をオンしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、スイッチング素子Q5、Q3p、Q1p、および電流センサ53を通して流れる。
【0141】
このようなスイッチング素子Q4p、Q5のスイッチングにより直流負荷3に電流が流れ込んで直流電力が蓄えられる。
【0142】
ここで、スイッチング素子Q4pのデューティ比を一定値Dとしている。一定値Dは、上記ステップS150の場合と同様、|Vac|×DがVBよりも小さくなるように設定されている。スイッチング素子Q5のデューティ比は、{1−(|Vac|×D)/VB}に設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比が小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5のデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0143】
(第4実施形態)
上述の第1〜3実施形態では、4つのスイッチング素子からなるブリッジ回路を用いた例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、6つのスイッチング素子からなるブリッジ回路を用いた例について説明する。
【0144】
図16に本実施形態の電力変換装置1の回路構成を示す。
【0145】
本実施形態の電力変換装置1は、ローパスフィルタ10、ブリッジ回路20A、リアクトル30、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、および電流センサ53から構成されている。
図16において
図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0146】
本実施形態の電力変換装置1では、
図1中のスイッチング素子Q5およびダイオードD1、D5が用いられていなく、
図1中のブリッジ回路20に代えてブリッジ回路20Aが用いられている。
【0147】
ブリッジ回路20Aは、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6pから構成されている。スイッチング素子Q1p、Q2pは、交流電源2のプラス電極とマイナス電極との間において、直列接続されている。スイッチング素子Q1p、Q2pのうちスイッチング素子Q1pは、交流電源2のプラス電極側に位置し、スイッチング素子Q1p、Q2pのうちスイッチング素子Q2pは、交流電源2のマイナス電極側に位置する。
【0148】
スイッチング素子Q3p、Q4pは、直流負荷3のプラス電極とマイナス電極との間において、直列接続されている。スイッチング素子Q3p、Q4pのうちスイッチング素子Q3pは、直流負荷3のプラス電極側に位置し、スイッチング素子Q3p、Q4pのうちスイッチング素子Q4pは、直流負荷3のマイナス電極側に位置する。
【0149】
スイッチング素子Q5pは、スイッチング素子Q1pのコレクタ端子とスイッチング素子Q3pのエミッタ端子との間に配置されている。スイッチング素子Q6pは、スイッチング素子Q2pのコレクタ端子とスイッチング素子Q4pのエミッタ端子との間に配置されている。
【0150】
本実施形態では、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6pとしては、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタが用いられている。スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6pとしては、コレクタ端子とエミッタ端子との間で高い逆電圧が与えられても耐え得る素子が用いられている。
【0151】
リアクトル30は、スイッチング素子Q1p、Q2pの間の共通接続端子とスイッチング素子Q3p、Q4pの間の共通接続端子との間に配置されている。電流センサ53は、リアクトル30とスイッチング素子Q3p、Q4pの間の共通接続端子との間に配置されている。
【0152】
次に、本実施形態の制御装置50の充電制御について説明する。
【0153】
図17は制御装置50の充電制御を示すフローチャートである。
図18(a)は交流電源2の出力電圧の絶対値|Vac|と直流負荷の出力電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図18(b)〜(g)は、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6pのオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図19、
図20は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0154】
図17は、
図9において、ステップ150に代わるステップ150a(昇降圧制御)と、ステップ151に代わるステップ151a(昇降圧制御)とが用いられている。以下、ステップ150a、151aについて別々に説明する。
(ステップ150a)
まず、スイッチング素子Q5pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pをオンして、スイッチング素子Q1p、Q4pを同期してスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子Q1pのオンとスイッチング素子Q4pのオンとを同一タイミングで実施し、スイッチング素子Q1pのオフとスイッチング素子Q4pのオフと同一タイミングで実施する。
【0155】
まず、スイッチング素子Q1p、Q4pをオンしたときには、
図19中のMode1の矢印の如く、交流電源2のプラス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q1p、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4p、Q6p、およびローパスフィルタ10を通して交流電源2のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30には、エネルギーが蓄えられる。
【0156】
また、スイッチング素子Q1p、Q4pをオフしたときには、
図19中のMode2の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q3p、直流負荷3、およびスイッチング素子Q6p、Q2pを通して流れる。このとき、直流負荷3にエネルギーが蓄えられる。
【0157】
このようなスイッチング素子Q1p、Q4pのオンとスイッチング素子Q1p、Q4pのオフとを繰り返し実施する。このとき、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるようにスイッチング素子Q1p、Q4pのON期間とOFF期間とが設定されている。スイッチング素子Q1p、Q4pのデューティ比としては、(VB/(|Vac|+VB))が用いられる。このため、スイッチング素子Q1p、Q4pのデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど、小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q1p、Q4pのデューティ比が大きくなる。したがって、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化が正弦波状に近づいて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0158】
なお、ステップ150aでは、スイッチング素子Q1p、Q4pが昇降圧PFC回路のスイッチング制御を担い、スイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pは、整流ダイオードの役割を果たす。
(ステップ151a)
まず、スイッチング素子Q1p、Q4pをオフし、スイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pをオンして、スイッチング素子Q5pをスイッチングさせる。
【0159】
まず、スイッチング素子Q5pをオンしたときには、
図20中のMode3の矢印の如く、交流電源2のマイナス電極からの電流が、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q2p、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q3p、Q5pおよびローパスフィルタ10を通して交流電源2のプラス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0160】
また、スイッチング素子Q5pをオフしたときには、
図20中のMode4の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q3p、直流負荷3、およびスイッチング素子Q6p、Q2pを通して流れる。このとき、直流負荷3にエネルギーが蓄えられる。
【0161】
このようなスイッチング素子Q5pのオン、オフを繰り返し実施する。このとき、実際の電流Iacを要求電流Iac’に近づけるようにスイッチング素子Q5pのON期間とOFF期間とが設定されている。スイッチング素子Q5のデューティ比としては、(VB/(|Vac|+VB))が用いられる。したがって、スイッチング素子Q5のデューティ比は|Vac|が大きくなるほど、小さくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q5pのデューティ比が大きくなる。このため、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化が正弦波状に近づいて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0162】
なお、ステップ151aでは、スイッチング素子Q5pは昇降圧PFC回路のスイッチング制御を担い、スイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pは、整流ダイオードの役割を果たす。
【0163】
以上説明した本実施形態では、制御装置50が充電制御を実施する際に、ステップ150aでは、スイッチング素子Q1p、Q4p、Q6p、或いはスイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pが通電し、ステップ151aでは、スイッチング素子Q2p、Q3p、Q5p、或いはスイッチング素子Q2p、Q3p、Q6pが通電する。このため、制御装置50が充電制御を実施する際に3つのスイッチング素子でON電圧が損失として生じることなる。したがって、上述の第1実施形態と同様、交流電源2の交流電力を直流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。
【0164】
本実施形態では、スイッチング素子Q1p〜Q6pを制御して、実際の電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と実際の電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。これにより、交流電源2から出力される交流電力の力率を1に近づけることができる。
【0165】
(第5実施形態)
上述の第1〜4実施形態では、交流電力を直流電力に変換する充電制御を実施する例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、直流電力を交流電力に変換する逆潮流制御を実施する例について説明する。
【0166】
図21に本実施形態の電力変換装置1の回路構成を示す。
【0167】
本実施形態の電力変換装置1は、ローパスフィルタ10、ブリッジ回路20B、リアクトル30、スイッチング素子Q5、Q6、ダイオードD1、D2、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、および電流センサ53から構成されている。
図21において、
図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0168】
図21の電力変換装置1では、
図1において、ブリッジ回路20に代わるブリッジ回路20Bが用いられ、スイッチング素子Q6が追加されている。
【0169】
ブリッジ回路20Bは、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4nから構成されている。
【0170】
ブリッジ回路20Bのスイッチング素子Q1nは、エミッタ端子およびコレクタ端子が、ブリッジ回路20のスイッチング素子Q1pに対して互いに逆向きに配置されている。同様に、ブリッジ回路20Bのスイッチング素子Q2n、Q3n、Q4nは、エミッタ端子およびコレクタ端子が、ブリッジ回路20のスイッチング素子Q2p、Q3p、Q4pに対してそれぞれ互いに逆向きに配置されている。
【0171】
なお、スイッチング素子Q2nがスイッチング素子Q2pに対応し、スイッチング素子Q3nがスイッチング素子Q3pに対応し、スイッチング素子Q4nがスイッチング素子Q4pに対応している。スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4nとしては、コレクタ端子とエミッタ端子との間で高い逆電圧が与えられても耐え得る素子が用いられている。
【0172】
また、スイッチング素子Q6は、リアクトル30とコンデンサ30(バッテリ4)のプラス電極との間でダイオードD1に対して逆並列に配置されている。
【0173】
また、
図21では、
図1の交流電源2に代えて交流負荷5が用いられており、
図1の直流負荷4に代えてバッテリ4が用いられている。電圧センサ51は、交流負荷5のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。電圧センサ52は、バッテリ4のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。
【0174】
制御装置50は、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換して交流負荷5に付与するための逆潮流処理を実施する。制御装置50は、逆潮流処理を実施する際に、センサ51、52、53の出力信号に基づいて、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5、Q6をスイッチング制御する。
【0175】
次に、本実施形態の制御装置50の逆潮流制御について
図22〜
図27を参照して説明する。
【0176】
図22は制御装置50の逆潮流制御処理を示すフローチャートであり、
図23(a)は交流負荷5の両電極間の電圧の絶対値|Vac|とバッテリ4の両電極間電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図23(b)〜(g)は、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5、Q6のオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図24〜
図27は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0177】
制御装置50は、電子制御装置60から逆潮流制御を開始させるように指令を受けると、
図22のフローチャートにしたがって、逆潮流制御処理の実行を開始する。
【0178】
図22のフローチャートは、
図2のフローチャートにおいて、ステップS130〜S133に代えて、ステップS130a〜S133aが用いられている。ステップS130aはステップS130に対応し、ステップS131aはステップS131に対応し、ステップS132aはステップS132に対応し、ステップS133aはステップS133に対応している。
【0179】
以下、ステップS130a〜S133aの処理について別々に説明する
(ステップS130a:降圧制御)
スイッチング素子Q1n、Q2n、Q4nをオンして、スイッチング素子Q3n、Q5をオフして、スイッチング素子Q6に対してスイッチング制御を実施する。
【0180】
まず、スイッチング素子Q6をオンしたときには、
図24中のMode1の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q1n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q2n、およびバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0181】
次に、スイッチング素子Q6をオフしたときには、
図24中のMode2の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q1n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q2n、およびダイオードD2を通して流れる。
【0182】
このようなスイッチング素子Q6のオン、オフを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q6のデューティ比は、|Vac|/VBに設定されている。|Vac|は、交流負荷5の両電極間の電圧Vacの絶対値である。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比が大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を小さくなっている。したがって、電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。この場合、電流Iacは、ブリッジ回路20と交流負荷5との間でローパスフィルタ10を通して流れる電流である。
(ステップS131a:昇圧制御)
まず、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q6をオンしてスイッチング素子Q5n、Q3nをオフして、スイッチング素子Q4nに対してスイッチング制御を実施する。
【0183】
まず、スイッチング素子Q4をオフしたときには、
図25中のMode4の矢印の如く、
バッテリ4のプラス電極およびマイナス電極の間で、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q1n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、およびスイッチング素子Q2nを通して流れる。
【0184】
また、スイッチング素子Q4をオンしたときには、
図25中のMode3の矢印の如く
、バッテリ4のプラス電極およびマイナス電極の間で、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、スイッチング素子Q2n、およびバッテリ4を通して流れてリアクトル30にエネルギーを蓄える。
【0185】
このようなスイッチング素子Q4をオン、オフを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q4のデューティ比は、(1−VB/|Vac|)に設定されている。このため、スイッチング素子Q1のデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど、大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q4のデューティ比が小さくなる。したがって、電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0186】
(ステップS132a:降圧制御)
まず、スイッチング素子Q3n、Q4nをオンして、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q5をオフして、スイッチング素子Q6に対してスイッチング制御を実施する。
【0187】
スイッチング素子Q6をオンしたときには、
図26中のMode5の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、およびスイッチング素子Q3nを通してバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0188】
また、スイッチング素子Q6をオフしたときには、
図26中のMode6の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、およびスイッチング素子Q3n、およびダイオードD2を通して流れる。
【0189】
ここで、スイッチング素子Q6のデューティ比は、上記ステップS130aと同様、|Vac|/VBに設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比が大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を小さくなっている。このため、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0190】
(ステップS133a:昇圧制御)
まず、スイッチング素子Q3n、Q4n、Q6をオンして、スイッチング素子Q2n、Q5をオフして、スイッチング素子Q1に対してスイッチング制御を実施する。
【0191】
スイッチング素子Q1をオンしたときには、
図27中のMode7の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q1n、Q3nを通してバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0192】
また、スイッチング素子Q1をオフしたときには、
図27中のMode8の矢印の如く、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、およびスイッチング素子Q3n、およびバッテリ4を通して流れる。
【0193】
ここで、スイッチング素子Q1のデューティ比は、(1−VB/|Vac|)に設定されている。このため、スイッチング素子Q1のデューティ比は、|Vac|が大きくなるほど、大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q4のデューティ比が小さくなる。したがって、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0194】
このようなステップS130a〜S133aのステップの処理により交流負荷5に電流が流れる。このことにより、バッテリ4の直流電力が交流電力に変換されて交流負荷5に与えられることになる。
【0195】
以上説明した本実施形態では、制御装置50が逆潮流制御を実施する際にスイッチング素子Q1n〜Q4n、Q5、Q6のうち3つの素子が通電する。このため、制御装置50が充電制御を実施する際に3つのスイッチング素子でON電圧が損失として生じることなる。したがって、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。このため、電力変換の効率を向上することができる。
【0196】
本実施形態では、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5、Q6を制御して、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。このため、交流負荷5に与えられる交流電力の力率を1に近づけることにより、直流電力から交流電力への電力変換を効率的に実施することができる。
【0197】
(第6実施形態)
本第6実施形態では、
図21の電力変換装置1の回路構成において、スイッチング素子Q1、Q6(或いはQ3、Q6)のスイッチング制御により逆潮流制御を実施する例について説明する。
【0198】
以下、本実施形態の制御装置50の逆潮流制御について
図28〜
図31を参照して説明する。
【0199】
図28は本実施形態の逆潮流制御を示すフローチャートであり、
図29(a)は交流負荷5の両電極間電圧の絶対値|Vac|とバッテリ4の両電極間電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図29(b)〜(g)は、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5、Q6のオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図30、
図31は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0200】
図28のフローチャートは、
図9のフローチャートにおいて、ステップS150、S151に代わるステップS150b、S151bを用いたものである。ステップS150bは、ステップS150に対応し、ステップS151bは、ステップS150に対応している。以下、ステップS150b、S151bの処理について別々に説明する。
【0201】
(ステップS150b)
スイッチング素子Q1n、Q2nをオンしてスイッチング素子Q3n、Q5nをオフして、スイッチング素子Q4n、Q6に対してスイッチング制御を実施する。
【0202】
まず、スイッチング素子Q1n
、Q2nをオンし、スイッチング素子
Q4n、Q6をオンしたときには、
図30中のMode1の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、Q2n、およびバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0203】
次に、スイッチング素子Q1n
、Q2nをオンし、スイッチング素子
Q4n、Q6をオフしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、
図30中のMode2の矢印の如く、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q1n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q2n、およびダイオードD2を通して電流が流れる。
【0204】
その後、スイッチング素子Q1n、Q6をオフすると、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、
図30中のMode3の矢印の如く、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、Q2n、およびダイオードD2を通して電流が流れる。
【0205】
スイッチング素子Q4nのデューティ比は一定値Dに設定されている。一定値Dは、|Vac|×DがVBよりも小さくなるように設定されている。そして、スイッチング素子Q6のデューティ比は、{|Vac|/(VB×(1−D))}に設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を小さくなる。このため、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0206】
(ステップS151b)
スイッチング素子Q3n、Q4nをオンして、スイッチング素子Q1n、Q5をオフして、スイッチング素子Q2n、Q6に対してスイッチング制御を実施する。
【0207】
まず、スイッチング素子Q3n
、Q4nをオンし、スイッチング素子
Q2n、Q6をオンしたときには、
図31中のMode4の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、Q2n、およびバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0208】
次に、スイッチング素子Q3n
、Q4nをオンし、スイッチング素子
Q2n、Q6をオフしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、
図31中のMode5の矢印の如く、電流がリアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q3n、およびダイオードD2を通して電流が流れる。
【0209】
その後、スイッチング素子Q3nをオフし、スイッチング素子Q6をオンしたときには、
図31中のMode6の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極からの電流が、スイッチング素子Q6、リアクトル30、電流センサ53、スイッチング素子Q4n、Q2n、およびバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にはエネルギーが蓄えられる。
【0210】
スイッチング素子Q2nのデューティ比は一定値Dに設定されている。一定値Dは、|Vac|×DがVBよりも小さくなるように設定されている。そして、スイッチング素子Q6のデューティ比は、{|Vac|/(VB×(1−D))}に設定されている。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を大きくなり、|Vac|が小さくなるほど、スイッチング素子Q6のデューティ比を小さくなる。このため、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流電源2の出力電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0211】
以上説明した本実施形態によれば、制御装置50が逆潮流制御を実施する際にスイッチング素子Q1n〜Q4n、Q5、Q6およびダイオードD2のうち3つの素子でON電圧が損失として生じる。したがって、上記第5実施形態と同様、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。このため、電力変換の効率を向上することができる。
【0212】
本実施形態では、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5、Q6を制御して、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の両電極間の電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。このため、上記第5実施形態と同様、交流負荷5に与えられる交流電力の力率を1に近づけることができる。
【0213】
(第7実施形態)
上記第5、6実施形態では、4つのスイッチング素子から構成されるブリッジ回路を備える電力変換装置1において逆潮流制御を実施した例について説明したが、これに代えて、本第7実施形態では、6つのスイッチング素子から構成されるブリッジ回路を備える電力変換装置1において逆潮流制御を実施する例について説明する。
【0214】
図32に本実施形態の電力変換装置1の回路構成を示す。
【0215】
本実施形態の電力変換装置1は、ローパスフィルタ10、ブリッジ回路20C、リアクトル30、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、および電流センサ53から構成されている。
【0216】
図32は、
図16において、同一符号は同一のものを示しており、
図37は、
図16において、ブリッジ回路20Aに代えてブリッジ回路20Cを用いる構成になっている。このため、以下、ブリッジ回路20C以外の説明を省略し、ブリッジ回路20Cについて説明する。
【0217】
ブリッジ回路20Cは、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5n、Q6nから構成されている。
【0218】
スイッチング素子Q1nは
図16のスイッチング素子Q1pに対応し、スイッチング素子Q2nは
図16のスイッチング素子Q2pに対応し、スイッチング素子Q3nは
図16のスイッチング素子Q3pに対応し、スイッチング素子Q4nは
図16のスイッチング素子Q4pに対応し、スイッチング素子Q5nは
図16のスイッチング素子Q5pに対応し、スイッチング素子Q6nは
図16のスイッチング素子Q6pに対応している。
【0219】
スイッチング素子Q1n、Q1pは、エミッタ端子およびコレクタ端子が互いに逆向きに配置されている。同様に、スイッチング素子Q2n、Q2pは、エミッタ端子およびコレクタ端子が互いに逆向きに配置されている。スイッチング素子Q3n…Q6nとスイッチング素子Q3p…Q6pは、エミッタ端子およびコレクタ端子が互いに逆向きに配置されている。
【0220】
本実施形態のスイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5n、Q6nとしては、コレクタ端子とエミッタ端子との間で高い逆電圧が与えられても耐え得る素子が用いられている。
【0221】
図32では、
図16の直流負荷3に代えてバッテリ4が設けられ、
図16の交流電源2に代えて交流負荷5が設けられている。電圧センサ51は交流負荷5のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。電圧センサ52はバッテリ4のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を検出する。
【0222】
制御装置50は、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換して交流負荷5に与えるための逆潮流制御を実行する。制御装置50は逆潮流制御の実行に際して、センサ51、52、53の出力信号に応じて、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5n、Q6nをスイッチング制御する。
【0223】
次に、本実施形態の制御装置50の逆潮流制御について
図32〜
図36を参照して説明する。
【0224】
図33は本実施形態の逆潮流制御を示すフローチャートであり、
図34(a)は交流負荷5の両電極間電圧の絶対値|Vac|とバッテリ4の両電極間電圧VBの関係を示すタイミングチャート、
図34(b)〜(g)は、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5nのオン、オフのタイミングを示すタイミングチャートである。
図35、
図36は電力変換装置1において電流の流れを示す回路図である。
【0225】
図33のフローチャートは、
図17のフローチャートにおいて、ステップS150a、S151aに代えてステップS150b、S151bを用いる構成になっている。ステップS150bは、ステップS150aに対応し、ステップS151bはステップS151aに対応している。以下、ステップS150b、S151bの処理について別々に説明する。
【0226】
(ステップS150b:昇降圧制御)
まず、スイッチング素子Q5nをオフし、スイッチング素子Q1n、Q4n、Q6nをオンして、スイッチング素子Q2n、Q3nを同期してスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子Q2nのオンとスイッチング素子Q3nのオンとを同一タイミングで実施し、スイッチング素子Q2nのオフとスイッチング素子Q3nのオフと同一タイミングで実施する。
【0227】
まず、スイッチング素子Q2n、Q3nをオンしたときには、
図35中のMode2の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極から電流がスイッチング素子Q3n、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q2n、Q6nを通してバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にエネルギーが蓄えられる。
【0228】
次に、スイッチング素子Q2n、Q3nをオフしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、
図35中のMode1の矢印の如く、電流がスイッチング素子Q1n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q6n、Q4n、および電流センサ53を通して流れる。
【0229】
このようなスイッチング素子Q2n、Q3nのオンとオフとを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q2p、Q3nのデューティ比としては、(|Vac|/(|Vac|+VB))が用いられる。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q2p、Q3nのデューティ比が大きくなり、|Vac|が小さくなるほどスイッチング素子Q2p、Q3nのデューティ比が大きくなる。したがって、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の出力電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
(ステップS151b:昇降圧制御)
まず、スイッチング素子Q1nをオフし、スイッチング素子Q2n、Q3n、Q4n、Q5nをオンして、スイッチング素子Q6nに対してスイッチング制御を実施する。
【0230】
まず、スイッチング素子Q6nをオフしたときには、
図36中のMode4の矢印の如く、バッテリ4のプラス電極から電流がスイッチング素子Q3n、電流センサ53、リアクトル30、スイッチング素子Q2n、Q6nを通してバッテリ4のマイナス電極に流れる。このとき、リアクトル30にエネルギーが蓄えられる。
【0231】
次に、スイッチング素子Q6nをオンしたときには、リアクトル30に蓄えられたエネルギーに基づいて、
図36中のMode3の矢印の如く、電流がスイッチング素子Q2n、ローパスフィルタ10、交流負荷5、ローパスフィルタ10、スイッチング素子Q5n、Q3n、および電流センサ53を通して流れる。
【0232】
このようなスイッチング素子Q6nのオンとオフとを繰り返し実施する。このとき、スイッチング素子Q6nのデューティ比としては、(|Vac|/(|Vac|+VB))が用いられる。このため、|Vac|が大きくなるほど、スイッチング素子Q6pのデューティ比が大きくなり、|Vac|が小さくなるほどスイッチング素子Q2p、Q3nのデューティ比が小さくなる。したがって、交流負荷5に流れる電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の出力電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。
【0233】
以上説明した説明した本実施形態によれば、制御装置50が逆潮流制御を実施する際にスイッチング素子Q1p〜Q6nのうち3つのスイッチング素子が通電することになる。このため、制御装置50が逆潮流制御を実施する際に3つのスイッチング素子でON電圧が損失として生じることなる。したがって、バッテリ4の直流電力を交流電力に変換する電力変換装置1において、ON電圧として生じる損失を低減することができる。
【0234】
本実施形態では、スイッチング素子Q1p、Q2n、Q3n、Q4p、Q5n、Q6nをスイッチング制御して、電流Iacにおける時間軸に対する電流値の変化を正弦波状に近づけて、かつ交流負荷5の出力電圧と電流Iacとの間の位相差を零に近づけることになる。これにより、交流負荷5に与えられる交流電力の力率を1に近づけることができるので、直流電力を交流電力に効率的に変換することができる。
【0235】
(第8実施形態)
本第8実施形態では、
図16の電力変換装置1と
図32の電力変換装置1とを組み合わせて三相交流電動機用制御装置6Aを構成した例について
図37、
図38を参照して説明する。
【0236】
図37に本実施形態の三相交流電動機用制御装置6Aの回路構成を示す。
【0237】
三相交流電動機用制御装置6Aは、三相交流モータ100を駆動するものであって、ブリッジ回路20X、リアクトル30、スイッチング素子Q7、Q8、ダイオードD7、D8、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、電流センサ53、およびリレーSW1、SW2、SW3、SW4から構成されている。
図37において、
図16、
図32と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0238】
ブリッジ回路20Xは、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6から構成されている。
【0239】
スイッチング素子Q1は、
図16のスイッチング素子Q1pと
図32のスイッチング素子Q1nから構成され、スイッチング素子Q2は、
図16のスイッチング素子Q2pと
図32のスイッチング素子Q2nから構成され、スイッチング素子Q3は、
図16のスイッチング素子Q3pと
図32のスイッチング素子Q3nから構成され、スイッチング素子Q4は、
図16のスイッチング素子Q4pと
図32のスイッチング素子Q4nから構成され、スイッチング素子Q5は、
図16のスイッチング素子Q5pと
図32のスイッチング素子Q5nから構成されている。スイッチング素子Q6は、
図16のスイッチング素子Q6pと
図32のスイッチング素子Q6nから構成されている。
【0240】
スイッチング素子Q7、Q8は、バッテリ3のプラス電極とマイナス電極との間に直列接続されている。スイッチング素子Q7、Q8のうちスイッチング素子Q7は、バッテリ3のプラス電極側に位置し、スイッチング素子Q7、Q8のうちスイッチング素子Q8は、バッテリ3のマイナス電極側に位置する。
【0241】
本実施形態では、スイッチング素子Q7、Q8としては、スイッチング素子Q1n…Q6n、Q1p…Q6pと同様、絶縁ゲートバイポーラトランジスタが用いられている。
【0242】
ダイオードD7は、スイッチング素子Q7、Q8の間の共通接続端子T1とバッテリ3のプラス電極との間でスイッチング素子Q7に対して逆並列に配置されている。ダイオードD8は、スイッチング素子Q7、Q8の間の共通接続端子T1とバッテリ3のマイナス電極との間でスイッチング素子Q8に対して逆並列に配置されている。
【0243】
リレーSW1は、交流電源2とブリッジ回路20Xとの間に配置されているスイッチである。リレーSW1は、交流電源2とブリッジ回路20Xとの間を接続、或いは開放する。スイッチング素子Q7、Q8の間の共通接続端子T1は、三相交流モータ100のステータコイル110の第1の電極110aに接続されている。
【0244】
リレーSW2は、スイッチング素子Q3、Q4の間の共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間に配置されているスイッチである。リレーSW2は、共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間を接続、或いは開放する。
【0245】
リレーSW3は、スイッチング素子Q1、Q2の間の共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間に接続されているスイッチである。リレーSW3は、共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間を接続、或いは開放する。
【0246】
リレーSW4は、スイッチング素子Q1、Q2の間の共通接続端子T3とリアクトル30との間に配置されている。リレーSW4は、共通接続端子T3とリアクトル30とを接続、或いは開放する。
【0247】
制御装置50は、リレーSW1〜SW4を制御して、モータ制御、充電制御、逆潮流制御のうちいずれかを実行する。
【0248】
図38はモータ制御、充電制御、逆潮流制御においてリレーSW1〜SW4のオン、オフの切替を示す図表である。
【0249】
制御装置50は、リレーSW1、SW4をオフし、リレーSW2、SW3をオンし、かつスイッチング素子Q5p、Q5n、Q6p、Q6nをそれぞれオンしたときに、モータ制御を実行する。
【0250】
モータ制御は、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q7、Q8をスイッチング制御することにより、共通接続端子T1、T2、T3から交流電流をステータコイル110に出力することにより、ステータコイル110に回転磁界を発生させてロータを回転させるものである。この場合、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4nは整流ダイオードの役割を果たす。
【0251】
制御装置50は、リレーSW1、SW4をオンし、リレーSW2、SW3をオフしたときに、充電制御、或いは逆潮流制御を実行する。
【0252】
制御装置50は、充電制御を実行する際には、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5n、Q6nをそれぞれオフした状態で、上述の第4実施形態と同様、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6pをそれぞれ制御する。これにより、交流電源2の交流電力が直流電力に変換されて直流負荷としてのバッテリ3に与えられる。
【0253】
制御装置50は、逆潮流制御を実行する際には、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5p、Q6p、Q7、Q8をそれぞれオフした状態で、上述の第7実施形態と同様、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q5n、Q6nをそれぞれ制御する。この場合、
図39において交流電源2に代えて交流負荷を接続しておくことが必要である。
【0254】
(第9実施形態)
本第9実施形態では、
図1の電力変換装置1と
図21の電力変換装置1とを組み合わせて三相交流電動機用制御装置6Bを構成した例について
図39、
図40を参照して説明する。
【0255】
図39に本実施形態の三相交流電動機用制御装置6Bの回路構成を示す。
【0256】
三相交流電動機用制御装置6Bは、ブリッジ回路20Y、リアクトル30、スイッチング素子Q7、Q8、ダイオードD7、D8、平滑コンデンサ40、制御装置50、電圧センサ51、52、および電流センサ53、リレーSW1、SW2、SW3、SW4から構成されている。
図39において、
図1、
図21と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0257】
ブリッジ回路20Yは、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4から構成されている。
【0258】
スイッチング素子Q1は、
図1のスイッチング素子Q1pと
図21のスイッチング素子Q1nから構成され、スイッチング素子Q2は、
図1のスイッチング素子Q2pと
図21のスイッチング素子Q2nから構成され、スイッチング素子Q3は、
図1のスイッチング素子Q3pと
図21のスイッチング素子Q3nから構成され、スイッチング素子Q4は、
図1のスイッチング素子Q4pと
図21のスイッチング素子Q4nから構成され、スイッチング素子Q5は、
図1のスイッチング素子Q5pと
図21のスイッチング素子Q5nから構成されている。
【0259】
スイッチング素子Q7、Q8は、バッテリ3のプラス電極とマイナス電極との間に直列接続されている。スイッチング素子Q7、Q8のうちスイッチング素子Q7は、バッテリ3のプラス電極側に位置し、スイッチング素子Q7、Q8のうちスイッチング素子Q8は、バッテリ3のマイナス電極側に位置する。
【0260】
スイッチング素子Q7は、スイッチング素子Q7p、Q7nから構成されている。スイッチング素子Q7p、Q7nは、エミッタ端子およびコレクタ端子が互いに逆方向に配置されている。
【0261】
スイッチング素子Q8は、スイッチング素子Q8p、Q8nから構成されている。スイッチング素子Q8p、Q8nは、エミッタ端子およびコレクタ端子が互いに逆方向に配置されている。
【0262】
本実施形態では、スイッチング素子Q7n、Q7p、Q8p、Q8nとしては、Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q1n、Q2n、Q3n、Q4nと同様、絶縁ゲートバイポーラトランジスタが用いられている。
【0263】
スイッチング素子Q7、Q8は、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4とともに、後述するように三相交流モータ100のステータコイル110に交流電流を出力するインバータ回路を構成する。
【0264】
リレーSW1は、交流電源2とブリッジ回路20Yとの間に配置されているスイッチである。リレーSW1は、交流電源2とブリッジ回路20Yとの間を接続、或いは開放する。
【0265】
スイッチング素子Q7、Q8の間の共通接続端子T1は、三相交流モータ100のステータコイル110の第1の電極110aに接続されている。
【0266】
リレーSW2は、スイッチング素子Q2、Q4の間の共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間に接続されているスイッチである。リレーSW2は、共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間を接続、或いは開放する。
【0267】
リレーSW3は、スイッチング素子Q1、Q3の間の共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間に接続されているスイッチである。リレーSW3は、共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間を接続、或いは開放する。
【0268】
リレーSW4は、スイッチング素子Q1、Q4の間の共通接続端子T4とバッテリ3のプラス電極との間に配置されているスイッチである。リレーSW4は、共通接続端子T4とバッテリ3のプラス電極との間を接続、或いは開放する。
【0269】
リレーSW5は、スイッチング素子Q1、Q4の間の共通接続端子T4とリアクトル30との間に配置されているスイッチである。リレーSW5は、スイッチング素子Q1、Q4の間の共通接続端子T4とリアクトル30との間を接続、或いは開放する。
【0270】
制御装置50は、リレーSW1〜SW5を制御して、モータ制御、充電制御、逆潮流制御のうちいずれかを実行する。
【0271】
図40はモータ制御、充電制御、逆潮流制御においてリレーSW1〜SW5のオン、オフの切替を示す図表である。
【0272】
制御装置50は、リレーSW2、SW3、SW4をオンし、リレーSW1、SW5をオフしたときに、モータ制御を実行する。
【0273】
モータ制御は、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7p、Q8pをスイッチング制御することにより、共通接続端子T1、T2、T3から交流電流をステータコイル110に出力してステータコイル110に回転磁界を発生させる。この場合、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q7n、Q8nは整流ダイオードの役割を果たす。
【0274】
制御装置50は、リレーSW1、SW5をオンし、リレーSW2、SW3、SW4をオフしたときに、充電制御、或いは逆潮流制御を実行する。
【0275】
制御装置50は、充電制御を実行する際には、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7pをそれぞれオフした状態で、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q7n、Q8p、Q8nをそれぞれ制御する。スイッチング素子Q8pが
図1中のスイッチング素子Q5に対応している。スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q8pの制御は、上述の第1実施形態の充電制御と同様である。そして、スイッチング素子Q7nが
図1中のダイオードD1に対応し、スイッチング素子Q8nが
図1中のダイオードD2に対応している。
【0276】
制御装置50は、逆潮流制御を実行する際には、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q8pをそれぞれオフした状態で、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7p、Q8nをそれぞれ制御する。スイッチング素子Q7nが
図1中のダイオードD1に対応し、スイッチング素子Q7pは、
図21中のスイッチング素子Q6に対応している。スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7pの制御は、上述の第5実施形態の逆潮流制御と同様である。
【0277】
上述の第9実施形態では、制御装置50が充電制御を実行する際には、上述の第1実施形態と同様、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q8pをそれぞれ制御した例について説明したが、これに代えて、上述の第2実施形態、或いは上述の第3実施形態と同様、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q8pをそれぞれ制御してもよい。
【0278】
上述の第9実施形態では、制御装置50が逆潮流制御を実行する際には、上述の第5実施形態と同様、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7pをそれぞれ制御した例について説明したが、これに代えて、上述の第6実施形態と同様、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q7pをそれぞれ制御してもよい。
【0279】
(第10実施形態)
上述の第9実施形態では、
図39に示すように、ブリッジ回路20Yとスイッチング素子Q7、Q8とからインバータ回路を構成した例について説明したが、これに限らず、
図41に示すように、ブリッジ回路20Yとスイッチング素子Q5、Q6、Q7、Q8とからインバータ回路を構成してもよい。
【0280】
図41に示す三相交流電動機用制御装置6Cは、
図39の三相交流電動機用制御装置6Bにスイッチング素子Q5、Q6を追加して構成されている。
図41において、
図39と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0281】
スイッチング素子Q5、Q6は、バッテリ3のプラス電極とプラス電極との間で直列接続されている。スイッチング素子Q5は、スイッチング素子Q5n、Q5pから構成されている。スイッチング素子Q5n、Q5pは、エミッタ端子およびコレクタ端子が逆方向に配置されている。
【0282】
スイッチング素子Q6は、スイッチング素子Q6n、Q6pから構成されている。スイッチング素子Q6n、Q6pは、エミッタ端子およびコレクタ端子が逆方向に配置されている。
【0283】
本実施形態では、スイッチング素子Q7、Q8の間の共通接続端子T1が三相交流モータ100のステータコイル110の第1の電極110aに接続されている。
【0284】
リレーSW2は、スイッチング素子Q5、Q6の間の共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間に接続されている。リレーSW2は、共通接続端子T2とステータコイル110の第2の電極110bとの間を接続、或いは開放する。
【0285】
リレーSW3は、スイッチング素子Q1、Q4の間の共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間に接続されている。リレーSW3は共通接続端子T3とステータコイル110の第3の電極110cとの間を接続、或いは開放する。
【0286】
リレーSW4は、スイッチング素子Q1、Q3の間の共通接続端子T3とバッテリ3のプラス電極との間に配置されるスイッチであって、共通接続端子T3とバッテリ3のプラス電極との間を接続、或いは開放する。
【0287】
リレーSW5は、スイッチング素子Q1、Q4の間の共通接続端子T4とリアクトル30との間に配置されているスイッチであって、共通接続端子T4とリアクトル30との間を接続、或いは開放する。
【0288】
制御装置50は、上述の第9実施形態と同様、リレーSW1〜SW5を制御して、モータ制御、充電制御、逆潮流制御のうちいずれかを実行する。
【0289】
制御装置50は、リレーSW2、SW3、SW4をオンし、リレーSW1、SW5をオフしたときに、モータ制御を実行する。
【0290】
モータ制御は、スイッチング素子Q3p、Q3nをオフしてスイッチング素子Q2p、Q2nをオンした状態で、スイッチング素子Q1p、Q4p、Q5n、Q6n、Q7、Q8をスイッチング制御することにより、共通接続端子T1、T2、T3から交流電流をステータコイル110に出力する。この場合、スイッチング素子Q1n、Q4n、Q5p、Q6pは整流ダイオードの役割を果たす。
【0291】
制御装置50は、リレーSW1、SW5をオンし、リレーSW2、SW3、SW4をオフしたときに、充電制御、或いは逆潮流制御を実行する。
【0292】
制御装置50は、充電制御を実行する際には、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q6n、Q7、Q8をそれぞれオフしてスイッチング素子Q5p、Q6pをオンした状態で、上述の第1実施形態と同様、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5nをそれぞれ制御する。
図41中のスイッチング素子Q5nは、
図1中のスイッチング素子Q5に相当し、
図41中のスイッチング素子Q6pは
図1中のダイオードD1に相当し、
図41中のスイッチング素子Q5pは、
図1中のダイオードD2に相当する。
【0293】
制御装置50は、逆潮流制御を実行する際には、スイッチング素子Q1p、Q2p、Q3p、Q4p、Q5n、Q7p、Q8pをそれぞれオフしてスイッチング素子Q5p、Q6pをオンした状態で、上述の第5実施形態と同様に、スイッチング素子Q1n、Q2n、Q3n、Q4n、Q6nをそれぞれ制御する。
図41中のスイッチング素子Q6nは、
図1中のスイッチング素子Q6に相当する。