(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両用シートのシートバックのサイドサポート部に内蔵され、作動ケーブルの操作によって、着座者を拘束しないオープン位置と、着座者の身体側部を保持するサポート位置との間で移動自在に作動するサポート本体と、
シートバック側部材に固定的に設けられ、前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の中間部において規定するように延設された長孔状の第1ガイド孔、該第1ガイド孔の延設方向に対して交差する方向に延設され該第1ガイド孔と共に前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の基端部において規定する長孔状の第2ガイド孔、及び該シートバック側部材側から前記作動ケーブルの一端部を挿入可能な切欠部が形成され前記第1ガイド孔の延設方向に略直交する被取付面部を有する固定部と、
前記第1ガイド孔に挿入され、該第1ガイド孔の延設方向に前記サポート本体と一体的に移動可能な第1軸部材と、
前記第2ガイド孔に挿入され、該第2ガイド孔の延設方向に前記サポート本体と一体的に移動可能な第2軸部材と、
前記第1軸部材に枢支されるプーリーと、
前記固定部の前記被取付面部の前記切欠部に掛着されると共に該切欠部の切欠幅よりも大径の止め部を一端部に有し、両端部間の途中部位が前記プーリーの外周に巻回された作動ケーブルと、
前記固定部の前記被取付面部の前記切欠部を前記シートバック側部材側から塞ぐように該被取付面部の両面を挟持して取り付けられ、該シートバック側部材と当接又は近接していることにより該被取付面部からの脱落が規制されている固定クリップと、
を備え、
前記作動ケーブルの他端部を牽引して、該作動ケーブルに発生させた張力により、前記プーリーを前記第1ガイド孔の延設方向に付勢し、前記固定部に対して前記サポート本体を前記サポート位置に向けて移動自在としたことを特徴とするサイドサポート装置。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高級化にともない、車両用シートにおいても付加機能を増やしたものが開発されている。その一つとして、サイドサポート装置付きの車両用シートがある。これは、シートバックの左右のサイドサポート部に内蔵されたサポート構造体を電動モータ等により前方に作動して、左右のサポート構造体により着座者の上半身を挟持して、着座者の身体側部を保持するものである。これにより、コーナー等を走行中の車両において、着座者は横荷重に抗して、車両用シートに安定して保持されることができる。
【0003】
発明者により出願されている特許文献1に記載のサイドサポート装置を
図10及び11に示す。このサイドサポート装置は、作動ケーブルによって作動する左右一対のパドル機構と、作動ケーブルを牽引するケーブル駆動装置(図示せず)とを備えている。
図10は、左用パドル機構8Lの分解斜視図、
図11は、左用パドル機構8Lの作動状況を説明する断面図を示している。図略の右用パドル機構は、左用パドル機構8Lと対称形状とされている。
【0004】
図10に示すように、左用パドル機構8Lは、着座者の身体側部を保持するパドル本体81(サポート本体)を有するサポート構造体と、このサポート構造体を左サイドフレーム21Lに取り付けるための固定部である左用取付ブラケット26Lと、一端部が左用取付ブラケット26Lに固定され他端部がケーブル駆動装置により牽引される作動ケーブル87とを備えている。
【0005】
サポート構造体は、パドル本体81、プライマリピン83、セカンダリピン84、プーリー85及びムーブ86を備えている。パドル本体81は、合成樹脂製の一体成形品であり、概ねひれ状に形成され着座者の身体側部を押圧可能なパドル部811と、パドル部811から互いに平行に突出した、一対の取付面812とを備えている。取付面812には、プライマリピン83と係脱可能に係合する係合溝813と、セカンダリピン84に枢支される保持孔814とが形成されている。
【0006】
シートバックフレームに取り付けられた左用取付ブラケット26Lは、所定の間隔を有して互いに平行に配置された一対の案内面部263、及び両案内面部263をつなぐブリッジ部265を備えている。それぞれの案内面部263には、長孔状の第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bが形成されている。第1及び第2ガイド孔264a、264bにそれぞれ挿入されたプライマリピン83及びセカンダリピン84によりムーブ86が保持されており、プライマリピン83にはプーリー85が枢支されている。
【0007】
作動ケーブル87のインナケーブル871の一端部には、拡径したアウタエンド部871a(止め部)が形成されている。インナケーブル871は、アウタエンド部871aがブリッジ部265上に突出するようにブリッジ部265の切欠部266に挿入された後、固定クリップ267zをブリッジ部265に装着することによって、左用取付ブラケット26Lに固定されている。また、インナケーブル871の他端部は、ケーブル駆動装置に接続されており、両端部間の途中部位は、プーリー85の外周面に架けられている。
【0008】
パドル本体81が着座者を拘束しないオープン位置(
図11において実線で示している位置)から、ケーブル駆動装置によりインナケーブル871の他端部を牽引すると、プーリー85と共にパドル本体81が、第1及び第2ガイド孔264a、264bに沿って前方に回転し、サポート位置(
図11において破線で示している位置)に移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されているサイドサポート装置において、左用取付ブラケット26Lに作動ケーブル87の一端部を固定するために用いられている固定クリップ267zは、合成樹脂製である(特許文献1には明記されていない)。この固定クリップ267zには、インナケーブル871のアウタエンド部871aからの荷重が作用する。
【0011】
パドル本体81によって着座者の身体側部を保持する際には、着座者の横荷重がパドル本体81、プライマリピン83、プーリー85及びインナケーブル871の順序で伝達して、インナケーブル871の張力が大きくなる。そして、この張力がインナケーブル871の一端部のアウタエンド部871aに伝達して、固定クリップ267zに荷重が作用する。当然ながら、固定クリップ267zは、着座者の横荷重によって固定クリップ267zに作用することが想定される最大の荷重に対してブリッジ部265から脱落することがないように設計されている。
【0012】
ところが、パドル本体81は、着座者の横荷重によって押圧されるのに限らず、様々な状況で押圧される。例えば、車両用シートのシートバックをリクライニングした状態で、パドル本体81に乗員の体重が集中して作用するような場合には、着座者の横荷重によって固定クリップ267zに作用する荷重よりもさらに大きな荷重が固定クリップ267zに作用する可能性がある。
【0013】
このような通常の使用状況とは異なる想定外の大きな荷重が固定クリップ267zに作用した場合であっても、固定クリップ267zがブリッジ部265から容易に脱落することがなく、これにより、インナケーブル871がブリッジ部265の切欠部266から容易に外れることがないような対策が講じられていることが好ましい。ところが、特許文献1には、固定クリップ267zに想定外の大きな荷重が作用した場合の脱落防止対策に関して何等明記されてはいない。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、作動ケーブルの操作によって固定部に対して移動自在に作動するサポート本体を備えるサイドサポート装置において、作動ケーブルの一端部を固定部に固定するための固定クリップに想定外の大きな荷重が作用した場合であっても、固定クリップが固定部から容易に脱落することがないサイドサポート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、請求項1に係るサイドサポート装置の構成上の特徴は、車両用シートのシートバックのサイドサポート部に内蔵され、作動ケーブルの操作によって、着座者を拘束しないオープン位置と、着座者の身体側部を保持するサポート位置との間で移動自在に作動するサポート本体と、シートバック側部材に固定的に設けられ、前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の中間部において規定するように延設された長孔状の第1ガイド孔、該第1ガイド孔の延設方向に対して交差する方向に延設され該第1ガイド孔と共に前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の基端部において規定する長孔状の第2ガイド孔、及び該シートバック側部材側から前記作動ケーブルの一端部を挿入可能な切欠部が形成され前記第1ガイド孔の延設方向に略直交する被取付面部を有する固定部と、
前記第1ガイド孔に挿入され、該第1ガイド孔の延設方向に前記サポート本体と一体的に移動可能な第1軸部材と、前記第2ガイド孔に挿入され、該第2ガイド孔の延設方向に前記サポート本体と一体的に移動可能な第2軸部材と、前記第1軸部材に枢支されるプーリーと、前記固定部の前記被取付面部の前記切欠部に掛着されると共に該切欠部の切欠幅よりも大径の止め部を一端部に有し、両端部間の途中部位が前記プーリーの外周に巻回された作動ケーブルと、前記固定部の前記被取付面部の前記切欠部を前記シートバック側部材側から塞ぐように該被取付面部の両面を挟持して取り付けられ、該シートバック側部材と当接又は近接していることにより該被取付面部からの脱落が規制されている固定クリップと、を備え、
前記作動ケーブルの他端部を牽引して、該作動ケーブルに発生させた張力により、前記プーリーを前記第1ガイド孔の延設方向に付勢し、前記固定部に対して前記サポート本体を前記サポート位置に向けて移動自在としたことである。
【0016】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載のサイドサポート装置において、前記固定クリップは、前記固定部の被取付面部に取り付けられた状態において、該被取付面部に係止される係止爪を備えていることである。
【0017】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2に記載のサイドサポート装置において、前記作動ケーブルの前記止め部は、前記他端部側に凸曲面を備え、前記固定クリップは、前記止め部の前記凸曲面を球面座として支持する凹曲面を備えていることである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、作動ケーブルの操作によって固定部に対して移動自在に作動するサポート本体を備えるサイドサポート装置において、シートバック側部材に固定的に設けられる固定部は、シートバック側部材側から作動ケーブルの一端部を挿入可能な切欠部が形成された被取付面部を有している。また、作動ケーブルの一端部には、被取付面部の切欠部に掛着される大径の止め部が形成されている。そして、切欠部に止め部が掛着された状態で、被取付面部の両面を挟持して取り付けられる固定クリップにより切欠部がシートバック側部材側から塞がれ、この固定クリップがシートバック側部材と当接又は近接していることにより固定クリップが被取付面部から脱落することが規制されている。
【0019】
したがって、固定クリップが被取付面部の両面を挟持して取り付けられており、かつ、固定クリップがシートバック側部材側に脱落しない構成となっているため、固定クリップは、被取付面部の面直角方向にも固定クリップが挿入される被取付面部の面方向にも拘束されている。これにより、固定クリップに想定外の大きな荷重が作用した場合であっても、固定クリップが固定部から脱落することを防止して、切欠部がシートバック側部材側から塞がれた状態を維持できるため、作動ケーブルが固定部から外れるリスクを軽減することができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、固定クリップは、固定部の被取付面部に取り付けられた状態において、被取付面部に係止される係止爪を備えている。したがって、固定部の切欠部に作動ケーブルの止め部が掛着された後、固定部をシートバック側部材に取り付ける前の状態においても、固定クリップが固定部から脱落することを防止して、切欠部がシートバック側部材側から塞がれた状態を維持できるため、組み立て時に作動ケーブルが固定部から外れることがなく、組み立てが容易となる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、作動ケーブルの止め部は、他端部側に凸曲面を備え、固定クリップは、止め部の凸曲面を球面座として支持する凹曲面を備えている。止め部が固定クリップにより球面座として支持されているため、止め部から固定クリップに作用する荷重の作用角度や作用位置が変化する場合であっても、止め部は固定クリップ上を滑らかに回転して、止め部と固定クリップとの接触面積が大きく変化することがない。これにより、止め部から固定クリップに作用する荷重が止め部と固定クリップとの接触面積全体に分散して伝達し、固定クリップの局部への応力集中を防止して、固定クリップにより止め部を安定して支持することができる。
【0022】
また、止め部が固定クリップにより球面座として支持されているため、作動ケーブルが緩んで止め部が固定クリップから離れた場合であっても、再び作動ケーブルに張力が作用すると、止め部は、固定クリップに対してずれることなく、固定クリップの適切な位置に戻ることができる。
【0023】
以上のように、本発明によれば、作動ケーブルの操作によって固定部に対して移動自在に作動するサポート本体を備えるサイドサポート装置において、作動ケーブルの一端部を固定部に固定するための固定クリップに想定外の大きな荷重が作用した場合であっても、固定クリップが固定部から容易に脱落することがないサイドサポート装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1乃至
図9に基づき、本発明の一実施形態による車両用シートのサイドサポート装置について説明する。なお、説明中における上、下、左、右、前、後とは、車両用シート1のシートバック12を起立させた状態において、車両用シート1に着座した着座者にとっての上、下、左、右、前、後を指す。
【0026】
また、説明中において、パドル本体41(金属パドル41Mと樹脂パドル41Pよりなり、本発明のサポート本体に該当する)の車両用シート1の外方側の端部付近を先端部といい、車両用シート1の内方側の端部付近を基端部といい、この先端部と基端部との間を中間部という。また、パドル本体41の着座者を保持する側の面を表面といい、表面の反対側の面を裏面という。
【0027】
また、説明中において、作動ケーブル47(インナケーブル471及びアウタケーブル472を含む)の右用パドル機構4R側及び左用パドル機構4L側の端部を一端部といい、ケーブル駆動装置5側の端部を他端部という。
【0028】
本実施形態は、特許文献1に記載のサイドサポート装置における合成樹脂製のパドル本体81を、金属と合成樹脂とよりなるパドル本体41に変更すると共に、特許文献1に記載の固定クリップ267zを、固定クリップ267に変更した実施形態である。本実施形態におけるパドル本体41及び固定クリップ267以外の各部品の構成、及びサイドサポート装置の作動については、特許文献1に記載のサイドサポート装置とほぼ同様であるため、詳細については特許文献1を参照することができる。
【0029】
図1に示すように、車両用シート1は、着座者が着座するシートクッション11と、シートクッション11の後端部において前後方向に回転可能に取り付けられ、着座者の背もたれとなるシートバック12とを備えている。また、シートバック12の上端には、着座者の頭部を支持するヘッドレスト13が取り付けられている。
【0030】
シートバック12の右側端部には、着座者の上半身を右側方から保持するために前方に突出した右サイドサポート部121Rが形成されている。また、シートバック12の左側端部には、着座者の上半身を左側方から保持するために前方に突出した左サイドサポート部121Lが形成されている。
【0031】
右サイドサポート部121R内には、後述するサイドサポート装置3の右用パドル機構4Rが収容されており、左サイドサポート部121L内には左用パドル機構4Lが収容されており、右用パドル機構4R及び左用パドル機構4Lが作動することにより、右サイドサポート部121R及び左サイドサポート部121Lが、それぞれ着座者の身体側部を保持する。
【0032】
シートバック12内には、シートバックフレーム2が内蔵されている(
図2示)。シートバックフレーム2は、右端において上下方向に延びる右サイドフレーム21R及び左端において上下方向に延びる左サイドフレーム21L(右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lは、本発明のシートバック側部材に該当する)と、上端部において右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを互いに連結するアッパクロスメンバ22と、下端部において右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを互いに連結するロアクロスメンバ23とを備えている。
【0033】
また、アッパクロスメンバ22の下方には、右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを連結する補強用のリインフォースメント24が設けられている。さらに、アッパクロスメンバ22には、ヘッドレスト13の下面から突出する支持棒(図示せず)が挿入されるように、一対のヘッドレスト取付部25が形成されている。このように形成されたシートバックフレーム2は、内部からシートバック12を支持している。
【0034】
図2に示すように、右サイドフレーム21Rには、サイドサポート装置3の右用パドル機構4R及びサイドエアバッグ6が取り付けられている。また、左サイドフレーム21Lには、サイドサポート装置3の左用パドル機構4L及びケーブル駆動装置5が取り付けられている。ケーブル駆動装置5の構成及び作動については、特許文献1を参照することができる。
【0035】
図3は、右用パドル機構4Rの分解斜視図を示している。
図4は、右用パドル機構4Rの斜視図を示している。
図5及び6は、
図4におけるA−A断面図を示している。
図4及び5は、右用パドル機構4Rのパドル本体41が着座者を拘束しないように後方に下がったオープン位置に保持されている状況を示している。また、
図6は、パドル本体41がオープン位置から前方に回転することによって、パドル本体41がクッション部材12aを介して着座者を保持するサポート位置に到達した状況を示している。
図7は、後述する右用取付ブラケット26Rに後述するプーリー45、ムーブ46及び作動ケーブル47を組み付けた状況を説明する斜視図を示している。
【0036】
以下、
図3〜7に基づき、右用パドル機構4Rについて説明する。なお、図略の左用パドル機構4Lは、右用パドル機構4Rと対称形状とされている点が異なるのみであるため、特に左用パドル機構4Lについては説明しない。
【0037】
右用取付ブラケット26R(本発明の固定部に該当する)は、プレス成形された鋼板により形成されており、右サイドフレーム21Rへ固定的に取り付けられる平板部261を備えている。平板部261には、取付用ボルト(図示せず)が挿入される複数の取付孔262が貫通している。
【0038】
平板部261からは、一対の案内面部263が所定の間隔を有して互いに平行に突出している。両案内面部263は、互いに同一形状に形成されており、それぞれの案内面部263には、第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bが貫通するように形成されている。第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bは、パドル本体41の移動方向を規定するように延びている。
【0039】
各案内面部263に形成された第1ガイド孔264aは、それぞれの案内面部263における同一位置に設けられると共に、互いに同一の長孔状を呈している。
図5及び6に示すように、一対の第1ガイド孔264aは、いずれも車両用シート1のほぼ前後方向に延びている。
【0040】
一方、各案内面部263に形成された第2ガイド孔264bも、それぞれの案内面部263における同一位置に設けられると共に、互いに同一の長孔状を呈している。
図5及び6に示すように、一対の第2ガイド孔264bは、いずれも車両用シート1のほぼ幅方向に延びており、幅方向外方にいくにつれて
図5及び6におけるやや前方に移動するように形成されている。したがって、第2ガイド孔264bは、第1ガイド孔264aの延設方向に対して交差する方向に延びている。
【0041】
右用取付ブラケット26Rの、
図5及び6における前端部には、両案内面部263をつなぐように、矩形状のブリッジ部265(本発明の被取付面部に該当する)が形成されている。
図3に示すように、ブリッジ部265の平板部261側に位置する端部には、後述するインナケーブル471の一端部が係合する切欠部266が設けられている。また、右用取付ブラケット26Rの上側の案内面部263の後端部には、後述するリタンスプリング48を保持するためのフック263aが形成されている。
【0042】
それぞれの案内面部263には、案内面部263と略同一の平面形状の一対のガイドプレート42が装着されている。それぞれのガイドプレート42は、これに限定されるものではないが、ポリアミド樹脂等の低摩擦係数の材料により一体的に形成されており、それぞれ上述した第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bの内周面を覆うように嵌合可能なループ形状のガイドフランジが形成されている。
【0043】
各案内面部263の第1ガイド孔264a内には、プライマリピン43(本発明の第1軸部材に該当する)が移動可能に挿入されている。プライマリピン43は、円柱状の軸部と、その一端部に設けられた抜け止め用のフランジ部とにより形成されている。また、軸部には、Cクリップ43aが係合するクリップ溝が形成されている。
【0044】
また、各案内面部263の第2ガイド孔264b内には、セカンダリピン44(本発明の第2軸部材に該当する)が移動可能に挿入されている。セカンダリピン44も、円柱状の軸部と、その一端部に設けられた抜け止め用のフランジ部とにより形成されている。
【0045】
プーリー45は、合成樹脂材料にて円板状に一体的に形成されている。プーリー45の中心部には、プライマリピン43が挿入される挿入孔が形成されている。プーリー45は、プライマリピン43を枢支軸として回転可能に支持されている。また、プーリー45の真円状の外周面には、後述するインナケーブル471が架けられる一条のケーブルスリットが形成されている。
【0046】
ムーブ46は、合成樹脂材料にて一体的に形成されている。ムーブ46は、上述した右用取付ブラケット26Rの両案内面部263の間にがたつかずに配置可能なように、その厚みが両案内面部263間の距離と同等に形成されている。また、ムーブ46は、第1ガイド孔264aと第2ガイド孔264bとの間に延びるような長さに形成されており、上述したプライマリピン43及びセカンダリピン44が挿入される厚み方向に貫通した2つの挿入孔を有している。ムーブ46の長手方向のプライマリピン43が挿入される側にはプーリー45が回転可能に支持されている。
【0047】
作動ケーブル47は、すでに述べたインナケーブル471と、インナケーブル471を摺動(相対移動)可能に被覆するアウタケーブル472とにより形成されている。インナケーブル471の一端部には、拡径したアウタエンド部471a(本発明の止め部に該当する)が形成されている。
図9に示すように、アウタエンド部471aの他端部側の面は、略球状の面の一部を切り取った凸曲面471bとなっている。この凸曲面471bは、後述する固定クリップ267の凹曲面267cに対応した形状となっている。
【0048】
パドル本体41は、主強度部材としての金属製の金属パドル41Mと、被覆部材としての合成樹脂製の樹脂パドル41Pとを重ね合わせて一体化したものである。
【0049】
図3に示すように、金属パドル41Mは、鋼板のプレス成形により一体的に形成され、先端へ向かい幅広となる概ねひれ状に形成され着座者の側方を樹脂パドル41Pを介して押圧可能なパドル部411Mと、パドル部411Mから互いに平行に突出した一対の取付面412Mとを備えている。パドル部411Mには、剛性を高めるために凹凸加工が施されている。各取付面412Mは、中間部41Mb側の面と、基端部41Mc側の面とに分けて形成されている。各取付面412Mは、それぞれ右用取付ブラケット26Rの各案内面部263の外側に位置するように、互いの間の寸法が、各案内面部263間の距離よりもやや大きくなるように形成されている。
【0050】
中間部41Mbに位置する各取付面412Mには、プライマリピン43と着脱可能に当接する第1当接部413Mが形成されている。各第1当接部413Mの形状は、プライマリピン43と線接触するように直線状とされている。また、基端部41Mcに位置する上側の取付面412Mには、セカンダリピン44に枢支される第1保持孔414Mが形成されている。金属パドル41Mは、この一つの第1保持孔414Mによって、セカンダリピン44に枢支されている。
【0051】
図3に示すように、樹脂パドル41Pは、合成樹脂の射出成形により一体的に形成され、先端へ向かい幅広となる概ねひれ状に形成され着座者の側方を押圧可能なパドル部411Pと、パドル部411Pから互いに平行に突出した、一対の取付面412Pとを備えている。パドル部411Pの表面は、パドル部411Pの前面に配置されるクッション部材12a(
図5示)の表面形状に合わせた滑らかな面となっている。各取付面412Pは、それぞれ金属パドル41Mの一対の取付面412Mの外側を覆うように、互いの間の寸法が、各取付面412M間の距離よりもやや大きくなるように形成されている。
【0052】
各取付面412Pには、プライマリピン43と着脱可能に当接する第2当接部413Pと、セカンダリピン44に枢支される第2保持孔414Pとが形成されている。各第2当接部413Pの形状は、プライマリピン43と面接触するように曲線状(切欠状)とされている。また、樹脂パドル41Pの上側の取付面412Pには、後述するリタンスプリング48を保持するためのフック415Pが形成されている。
【0053】
樹脂パドル41Pのパドル部411Pの裏面の先端部41Paには、金属パドル41Mの先端部41Maが挿入される2個の挿入部416Pが形成されている。挿入部416Pを形成する際の金型の配置によって、パドル部411Pの表面に2個の開口部が形成されており、この開口部を通してパドル部411Pの表面側から挿入部416Pが視認されている。
【0054】
金属パドル41Mの先端部41Maを樹脂パドル41Pの両挿入部416Pに挿入することにより、上述した2個の第1当接部413M及び2個の第2当接部413Pの位置が揃う。また、上述した1個の第1保持孔414M及び2個の第2保持孔414Pの位置が揃う。そして、第1保持孔414M及び第2保持孔414Pにセカンダリピン44を挿入することにより、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとが一体化される。
【0055】
次に、
図3及び7に基づいて、右用パドル機構4Rの組み立て及び全体構成について説明する。右用取付ブラケット26Rの第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bには、予めガイドプレート42が装着されている。
【0056】
右サイドフレーム21R内側の前方よりに取り付けられた右用取付ブラケット26Rの第1ガイド孔264aには、プライマリピン43が上方から挿入されている。プライマリピン43は、樹脂パドル41Pの上方の第2当接部413P、金属パドル41Mの上方の第1当接部413M、右用取付ブラケット26Rの上方の第1ガイド孔264a、ムーブ46と一体となったプーリー45の挿入孔、右用取付ブラケット26Rの下方の第1ガイド孔264a、金属パドル41Mの下方の第1当接部413M及び樹脂パドル41Pの下方の第2当接部413Pの順序に挿入され、プーリー45及びムーブ46が右用取付ブラケット26Rの両案内面部263間に保持されている。
【0057】
ムーブ46から下方に突出したプライマリピン43のクリップ溝にはCクリップ43aが装着され(ムーブ46の下面と案内面部263との間に位置している)、プーリー45及びムーブ46のがたつきを防止している。
【0058】
一方、右用取付ブラケット26Rの第2ガイド孔264bには、セカンダリピン44が上方から挿入されている。セカンダリピン44は、樹脂パドル41Pの上方の第2保持孔414P、金属パドル41Mの第1保持孔414M、右用取付ブラケット26Rの上方の第2ガイド孔264b、ムーブ46の挿入孔、右用取付ブラケット26Rの下方の第2ガイド孔264b及び樹脂パドル41Pの下方の第2保持孔414Pの順序に挿入され、ムーブ46の端部を右用取付ブラケット26Rの両案内面部263間に保持している。第2保持孔414Pから下方に突出したセカンダリピン44の端部にはプッシュナット44aが装着され、抜け止めが施される(
図3示)。
【0059】
これにより、パドル本体41は、プライマリピン43、セカンダリピン44、プーリー45及びムーブ46と一体となり、プライマリピン43及びセカンダリピン44が、第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bに規制されながら、オープン位置とサポート位置との間で移動自在に組み付けられている。この状態において、パドル本体41のフック415Pと右用取付ブラケット26Rのフック263aとの間には、リタンスプリング48が張架されている。
【0060】
作動ケーブル47のインナケーブル471の両端部間の途中部位は、ムーブ46と一体となったプーリー45(プライマリピン43に枢支されている)の外周面に形成されたケーブルスリットに巻回されている。さらに、インナケーブル471の一端部は、アウタエンド部471aが右用取付ブラケット26Rのブリッジ部265上に突出するように切欠部266に挿入された後、後述する固定クリップ267がブリッジ部265に装着される(
図7示)。これにより、インナケーブル471の一端部は、右用取付ブラケット26Rに強固に固定されている。インナケーブル471の他端部は、ケーブル駆動装置5に接続されている。アウタケーブル472の一端部は、ムーブ46と共に一体的に移動可能なようにムーブ46に固定されている。
【0061】
図8(a)に固定クリップ267の斜視図、
図8(b)に固定クリップ267を上方からみた平面図を示す。固定クリップ267は合成樹脂製の一体成形品であり、環状部267a、係止部267d、挟持部267f及び位置決め壁267gを備えている。
【0062】
環状部267aは、インナケーブル471のアウタエンド部471aの外周を取り囲む円形の内周面を有しており、環状の一部にインナケーブル471を取り込むための開口部267bを有するC字状を呈している。また、環状部267aの内周には、アウタエンド部471aの凸曲面471bに対応した略球状の面の一部を切り取った形状の凹曲面267cが形成されている。凹曲面267cは、環状部267aの内周から環状部267aの中心部に向かって張り出したC字状を呈している。環状部267aの凹曲面267cとアウタエンド部471aの凸曲面471bとが当接することによって、アウタエンド部471aは環状部267aに球面座として支持される。
【0063】
係止部267dは、環状部267aの外周から径方向の外方(左方)に向かって延びる略矩形の板部と、この板部の先端に形成されブリッジ部265側(後方)に向かって突出した係止爪267eとにより形成されている。
【0064】
挟持部267fは、係止部267dと反対側の環状部267aの外周から径方向の外方(右方)に向かって延びる略矩形の第1板部と、第1板部の先端からブリッジ部265側(後方)に向かって延びる略矩形の第2板部と、第2板部の先端に第2板部に対して直角に設けられる第3板部とにより形成されたユ字状を呈している。
【0065】
位置決め壁267gは、挟持部267fの第1板部、第2板部及び第3板部に直交し、挟持部267fのユ字状の内側に形成された板部材である。位置決め壁267gの厚さは、ブリッジ部265の切欠部266の切欠幅よりも僅かに小さい。
【0066】
固定クリップ267をブリッジ部265に装着する手順は次のとおりである。固定クリップ267の環状部267aの開口部267bからインナケーブル471の一端部を取り込んで、環状部267aの内周にアウタエンド部471aを嵌め込む。これにより、環状部267aの凹曲面267cとアウタエンド部471aの凸曲面471bとが当接して、アウタエンド部471aが環状部267aに球面座として支持される。
【0067】
その後、固定クリップ267の挟持部267fがブリッジ部265の両面を挟持するように、固定クリップ267をブリッジ部265に切欠部266側から装着する。固定クリップ267の装着が完了した状態において、固定クリップ267の位置決め壁267gは、切欠部266に嵌合しており、また、
図7に示すように、固定クリップ267の係止爪267eがブリッジ部265の縁端部(左端部)に係止されている。したがって、固定クリップ267は、ブリッジ部265に対して上下左右前後の全方向に拘束されており、これにより、インナケーブル471の一端部は、右用取付ブラケット26Rに強固に固定されている。
【0068】
その後、
図7に示すように、プーリー45、ムーブ46及び作動ケーブル47が組み付けられた右用取付ブラケット26Rが、
図5及び6に示すように、右サイドフレーム21Rに取り付けられる。これにより、固定クリップ267の挟持部267fと右用取付ブラケット26Rの内側(左方)の面とが当接又は近接するため、固定クリップ267の右用取付ブラケット26R側への動きが規制される。
【0069】
次に、
図5及び6に基づき、右用パドル機構4Rの作動について説明する。右用パドル機構4Rの作動機構と、特許文献1に記載のサイドサポート装置における左用パドル機構8L(
図11示)の作動機構とは同様であるため、作動に関する詳細については特許文献1を参照することができる。
【0070】
作動ケーブル47のインナケーブル471の他端部と接続されているケーブル駆動装置5が非作動状態にあり、インナケーブル471を牽引していない場合、パドル本体41と右用取付ブラケット26Rとの間に張架されたリタンスプリング48の弾性力及びクッション部材12aの復元力によって、パドル本体41は着座者を拘束しないように後方に下がったオープン位置に保持されている(
図5示)。
【0071】
ケーブル駆動装置5が作動して、一端部が固定されているインナケーブル471の他端部を
図5における左方に牽引すると、インナケーブル471に張力が発生する。この張力がプーリー45を第1ガイド孔264aの延設方向(長手方向)に付勢し、これがリタンスプリング48及びクッション部材12aの弾性力を上回ると、プライマリピン43が、プーリー45及びムーブ46と一体となって、第1ガイド孔264aに規制されながら
図5における前方に移動する。
【0072】
一方、ムーブ46の移動により、セカンダリピン44も第2ガイド孔264bに規制されながら、
図5における右方やや前方へと移動していく。したがって、プーリー45、ムーブ46及びパドル本体41は、一体となって第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bによって姿勢を維持されながら移動し、パドル本体41がクッション部材12aを介して着座者を保持するサポート位置に到達する(
図6示)。
【0073】
サポート位置にあるパドル本体41をオープン位置に戻す場合、ケーブル駆動装置5を上述した場合と逆方向に作動させ、牽引していたインナケーブル471の他端部を戻していく。これにより、インナケーブル471の張力が低下するため、リタンスプリング48の弾性力及びクッション部材12aの復元力によって、パドル本体41がプーリー45、ムーブ46及びアウタケーブル472の一端部と共に移動し、オープン位置に復帰する。
【0074】
パドル本体41は、第1当接部413M及び第2当接部413Pがプライマリピン43に対して着脱可能に当接し、第1保持孔414M及び第2保持孔414Pにおいてセカンダリピン44を中心に回転可能に形成されている。このため、パドル本体41の先端部41Paがサイドエアバッグ6の膨張により前方に押されたときには、パドル本体41とプライマリピン43との当接が解除されて、パドル本体41がセカンダリピン44を中心に、車両用シート1の前方に回転する。よって、パドル本体41は、サイドエアバッグ6の膨張を妨げることがない。
【0075】
本実施形態によれば、右サイドフレーム21Rに取り付けられる右用取付ブラケット26Rは、右サイドフレーム21R側から作動ケーブル47の一端部を挿入可能な切欠部266が形成されたブリッジ部265を有している。また、作動ケーブル47の一端部には、ブリッジ部265の切欠部266に掛着される大径のアウタエンド部471aが形成されている。そして、切欠部266にアウタエンド部471aが掛着された状態で、ブリッジ部265の両面を挟持して取り付けられる固定クリップ267により切欠部266が右サイドフレーム21R側から塞がれ、この固定クリップ267が右サイドフレーム21Rと当接又は近接していることにより固定クリップ267がブリッジ部265から脱落することが規制されている。
【0076】
したがって、固定クリップ267がブリッジ部265の両面を挟持して取り付けられており、かつ、固定クリップ267が右サイドフレーム21R側に脱落しない構成となっているため、固定クリップ267は、ブリッジ部265の面直角方向にも固定クリップ267が挿入されるブリッジ部265の面方向にも拘束されている。
【0077】
これにより、固定クリップ267に想定外の大きな荷重が作用した場合であっても、固定クリップ267が右用取付ブラケット26Rから脱落することを防止して、切欠部266が右サイドフレーム21R側から塞がれた状態を維持できるため、作動ケーブル47が右用取付ブラケット26Rから外れるリスクを軽減することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、固定クリップ267は、右用取付ブラケット26Rのブリッジ部265に取り付けられた状態において、ブリッジ部265に係止される係止爪267eを備えている。したがって、右用取付ブラケット26Rの切欠部266に作動ケーブル47のアウタエンド部471aが掛着された後、右用取付ブラケット26Rを右サイドフレーム21Rに取り付ける前の状態においても、固定クリップ267が右用取付ブラケット26Rから脱落することを防止して、切欠部266が右サイドフレーム21R側から塞がれた状態を維持できるため、組み立て時に作動ケーブル47が右用取付ブラケット26Rから外れることがなく、組み立てが容易となる。
【0079】
パドル本体41のオープン位置(
図5示)と、パドル本体41のサポート位置(
図6示)とを対比すると、アウタエンド部471aからプーリー45に向かうインナケーブル471の角度が異なっている。したがって、パドル本体41がオープン位置からサポート位置に移動する間、アウタエンド部471aから固定クリップ267に作用する荷重の作用角度や作用位置が変化する。
【0080】
ここで、本実施形態によれば、作動ケーブル47のアウタエンド部471aは、他端部側に凸曲面471bを備え、固定クリップ267は、アウタエンド部471aの凸曲面471bを球面座として支持する凹曲面267cを備えている。アウタエンド部471aが固定クリップ267により球面座として支持されているため、アウタエンド部471aから固定クリップ267に作用する荷重の作用角度や作用位置が変化する場合であっても、アウタエンド部471aは固定クリップ267上を滑らかに回転して、アウタエンド部471aと固定クリップ267との接触面積が大きく変化することがない。
【0081】
これにより、アウタエンド部471aから固定クリップ267に作用する荷重がアウタエンド部471aと固定クリップ267との接触面積全体に分散して伝達し、固定クリップ267の局部への応力集中を防止して、固定クリップ267によりアウタエンド部471aを安定して支持することができる。
【0082】
また、アウタエンド部471aが固定クリップ267により球面座として支持されているため、作動ケーブル47が緩んでアウタエンド部471aが固定クリップ267から離れた場合であっても、再び作動ケーブル47に張力が作用すると、アウタエンド部471aは、固定クリップ267に対してずれることなく、固定クリップ267の適切な位置に戻ることができる。
【0083】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
例えば、本実施形態においては、パドル本体41を金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを重ね合わせて一体化したものとしているが、パドル本体の材質はこれに限定されない。パドル本体を合成樹脂製又は金属製の一体成形品とすることが可能である。
【0084】
また、本実施形態においては、円柱状の軸部を有するピン部材であるプライマリピン43及びセカンダリピン44を用いているが、軸となる部材であれば、第1軸部材及び第2軸部材の形状は限定されない。
【0085】
また、本実施形態においては、固定クリップ267は、ブリッジ部265に係止される係止爪267eを備えているが、固定クリップ267に係止爪267eを備えない構成とすることもできる。この場合、右用取付ブラケット26Rを右サイドフレーム21Rに取り付ける前の状態においては、本実施形態よりも固定クリップが右用取付ブラケット26Rから脱落しやすくなる。しかし、右用取付ブラケット26Rを右サイドフレーム21Rに取り付けた後の状態においては、固定クリップ267が右サイドフレーム21Rと当接又は近接していることにより固定クリップ267がブリッジ部265から脱落することが規制されるため、何等問題はない。
【0086】
また、本実施形態においては、アウタエンド部471aが固定クリップ267により球面座として支持されているが、固定クリップ267に凹曲面267cを形成する代わりにブリッジ部に凹曲面を形成して、アウタエンド部471aがブリッジ部により球面座として支持される構成とすることもできる。また、アウタエンド部471aの支持構造は球面座に限定されず、平面座又はテーパー座とすることもできる。
【0087】
また、本発明は、運転席用の車両用シート及び助手席用の車両用シートのみでなく、中席用シートまたは後席用シートにも適用可能である。