(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは測定対象の液体中に含まれている放射線を測定する測定システムに用いられる表示装置であって、
前記測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは前記測定対象の液体中に含まれている放射線の測定情報を有した測定情報画像を表示し、当該測定情報画像の特定位置に前記測定対象が識別可能な識別情報を付加して表示する第1識別情報表示手段と、
前記測定対象の液体を収容する容器における特定位置と、その容器を固定して位置決めを行いつつ支持する固定治具との相対位置を記憶する相対位置記憶手段を備え、
前記識別情報を、前記相対位置記憶手段に記憶された当該相対位置に基づいて決定することを特徴とする表示装置。
【実施例1】
【0027】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、各実施例に係る採血装置および測定装置の概略斜視図であり、
図2は、各実施例に係る測定装置のブロック図であり、
図3は、測定装置の撮像部におけるスキャナの概略斜視図である。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、測定対象の液体として血液を例に採って説明するとともに、測定システムとして採血装置および測定装置を備えたシステムを例に採って説明する。
【0028】
後述する実施例2も含めて、
図1に示すように、本実施例1に係る採血装置10は、測定対象の血液を時系列に分離して採取する。また、採血装置10の周辺には、採血装置10で採取された血液中に含まれている放射線(例えばβ線やγ線など)を測定する測定装置30を備えている。
【0029】
採血装置10は、2枚のPDMS樹脂(Polydimethylsiloxane)からなるPDMS基板11,12を上下に重ねて構成された微小流体素子(液体分割デバイス)40を備えている。PDMS基板11,12に対して所定の寸法で溝加工を施しており、その溝加工の溝によって主流路13および側路41,42,43をそれぞれ形成している。ここで、採血装置10の素材はPDMSに限定されず、アクリル、ポリカーボネート、COP(シクロオレフィンポリマー)など樹脂光学的に透明なものであれば良い。
【0030】
主流路13の血液入口側にはカテーテル14を配設しており、主流路13とカテーテル14とを、コネクタ15を介して接続している。血液はカテーテル14から主流路13に連続的に送り込まれ、流入量はバルブ(図示省略)で制御される。主流路13の血液出口側には血液用配管16を配設しており、主流路13と血液用配管16とを、コネクタ17を介して接続している。
【0031】
主流路13を挟んで光源21およびフォトダイオード22を配設している。主流路13を流れる血液あるいは後述するヘパリン溶液に光源21から光を照射し、血液による遮光をフォトダイオード22が検知することで、その血液あるいはヘパリン溶液を光学的に監視(モニタ)しながら後述する血液あるいはヘパリン溶液の長さ情報を測定する。ここでは光学測定手段として光源21およびフォトダイオード22を例に採って説明したが、測定対象の液体を光学的に監視しながら液体の間隔を測定する手段であれば、光源21およびフォトダイオード22に限定されない。例えば、CCDカメラによって測定対象の液体の体積情報を取得してもよい。また、光源21およびフォトダイオード22は、
図1に示すように主流路13を挟んで互いに対向配置される構成で、血液による遮光で検知する、いわゆる「透過型センサ」であったが、光源に対してフォトダイオードに代表される光検出手段を同じ側に配設し、血液による反射光で検知する、いわゆる「反射型センサ」であってもよい。
【0032】
一方、上述した血液用配管16の下流側にはノズル23を接続している。ノズル23としては、注射針やガラス管など毛細管を使用する。ここで、液体を吐出する吐出部としてノズル23を用いているが、ディスペンサを使用してもよい。このノズル23から滴下した血液を受け取って収容する円板(「CDウェル」とも呼ばれる)24を配設している。円板24の中央側には、滴下された血液を受け取る複数の開口部からなる流路入口25(
図4も参照)を放射状に配設している。円板24に対しても、上述したPDMS基板11,12と同様に、溝加工を施しており、その溝加工の溝によってU字型の溝からなる複数本のU字流路26(
図4も参照)を放射状に形成している。各々のU字流路26は、上述した流路入口25の外側一端に一対一でそれぞれ接続されており、各々のU字流路26は、円板24の径方向に延びて形成されている。このように、ノズル23を介在させることで、主流路13に対して血液が流通可能に円板24が形成されることになる。円板24は、この発明における容器に相当する。円板24の具体的な構成については、
図4以降で後述する。
【0033】
一方、測定装置30は、読取部31を備えている。この読取部31には、露光後のイメージングプレートIPを挿入するためのカバー部を設けており、イメージングプレートIPから励起された光を読み取ることで血液中に含まれているβ
+線を検出する。具体的には、
図1(b)に示すように、読取部31は、レーザ光源32とフォトマルチプライヤチューブ(光電子増倍管)33とを備えており、レーザ光源32からイメージングプレートIPにレーザを照射して、イメージングプレートIPへのレーザ照射によって励起された光をフォトマルチプライヤチューブ33が電子に変換して増倍させることで、β
+線を2次元的に同時に検出する。
【0034】
続いて、測定装置30のブロック図について説明する。
図2に示すように、測定装置30は、上述した読取部31の他に、撮像部34と表示装置35とを備えている。表示装置35については、通常のパーソナルコンピュータで構成してもよい。表示装置35は、この発明における表示装置に相当する。表示装置35の具体的な構成については、
図5以降で後述する。
【0035】
図3に示すように、撮像部34は円板24を撮像する。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、撮像部34としてフラットヘッドスキャナを採用する。円板24の直径分の長さを少なくとも有する線状の光源34aと円板24を挟んで光源34aに対して対向配置された線状のフォトダイオードアレイ(すなわちラインセンサ)34bでフラットヘッドスキャナを構成する。フラットヘッドスキャナで円板24上を走査(スキャン)することで円板24を撮像して、円板24の画像を取得する。
【0036】
図1の説明に戻り、上述したように、微小流体素子40は、血液を送り込む主流路13と、血液凝固の発生を防ぐための抗凝固剤の一種であるヘパリン溶液を送り込む側路41と、空気あるいはガスを送り込む側路42と、血液あるいはヘパリン溶液を排出する側路43とを備えている。
【0037】
側路41の溶液入口側には洗浄液用配管44を配設しており、側路41と洗浄液用配管44とを、コネクタ45を介して接続している。必要に応じて主流路13にヘパリン溶液を洗浄液用配管44から側路41を介して流し込むことで流路を洗浄する。ヘパリン溶液の流入量はバルブで制御される。抗凝固剤はヘパリン溶液に限定されない。
【0038】
側路42の気体入口側には気泡用配管46を配設しており、側路42と気泡用配管46とを、コネクタ47を介して接続している。圧力発生器(図示省略)で制御された空気あるいはガスの流入時間をバルブで調整して、側路42を通して主流路13に送り込む。この気泡によって血液の長さ情報に基づく血液の取り出しと微小流体素子40の流路に残留する廃液(血液、ヘパリン溶液あるいはこれらの混合液)の排出を行う。ここで、送り込まれるガスについては限定されず、ヘリウムやネオンやアルゴンなどの希ガス、あるいは窒素ガスに例示されるように、血液やヘパリン溶液と反応しないガスであれば良い。
【0039】
気泡用配管46は、側路14を通って主流路13に気体(例えば空気やガスなど)を送り込み、指定された所定の間隔でその気体を気泡として挿入することで、測定対象の血液を時系列的に分離して円板24に送り出す。つまり、気泡は、セパレータとしての機能を果たす。なお、セパレータとして気体を使用したが、気体に限定されずに、測定対象の液体(各実施例1、2では血液)に対して混合する可能性が少ない、あるいは可能性がなければ、測定対象の液体とは別の液体をセパレータとして使用してもよい。後述する実施例2も含めて、本実施例1のように測定対象の液体が血液の場合には、ミネラルオイルやフッ素系のオイルなどに代表されるように血液と相互に混ざり合わない液体をセパレータとして使用してもよい。但し、液体をセパレータとして使用する場合には、血液と接触するのでセパレータとして使用できるが、円板24に送り出して採取する点では望ましくない。
【0040】
側路43の廃液出口側には廃液用配管48を配設しており、側路43と廃液用配管48とを、コネクタ49を介して接続している。バルブで排出量を調整して採血されるべき血液以外の血液や、流路洗浄後のヘパリン溶液や、これらの混合液を廃液として排出する。
【0041】
また、主流路13のコネクタ15よりも下流にバルブを配設し、主流路13のコネクタ17、光源21およびフォトダイオード22よりも上流にバルブを配設している。側路41のコネクタ45よりも下流にバルブを配設し、側路42のコネクタ47よりも下流にバルブを配設している。また、側路43のコネクタ49よりも上流にバルブを配設している。
【0042】
次に、円板24の具体的な構成について、
図1も含めて
図4を参照して説明する。
図4は、各実施例に係る円板の概略平面図である。円板24のU字流路26は、
図4に示すように、上述の流路入口25と空気穴27とをつないで形成されている。血液の導入口である流路入口26を血液の上流部、空気穴27を下流部としたときに、上流部から下流部へは、U字流路26は、円板24の径方向に内側から外側に向かって延びて、折り返して円板24の径方向に外側から内側に向かって延びて形成されたU字型となっている。かかるU字流路26を複数に備えている。
【0043】
なお、円板24には2箇所の窪み24A,24Bがあり、後述する固定治具61(
図7を参照)に嵌合される。固定冶具61は、この発明における固定冶具に相当する。固定冶具61については、
図7以降で後述する。
【0044】
図1に示すように、円板24の中央に円板24を回転させるモータ28を備えている。モータ28の回転軸29を円板24に連結させることで、モータ28による円板24の遠心力を利用して、血液を遠心分離させて血漿および血球に分離する血漿分離を行う。
【0045】
後述する実施例2も含めて、本実施例1では、円板24はアクリル板で形成されている。円板24の素材はアクリルに限定されず、上述のPDMS、その他、ポリカーボネート、COPなど樹脂光学的に透明なものであれば良い。
【0046】
次に、表示装置35の具体的な構成について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、各実施例に係る表示装置のブロック図であり、
図6は、表示装置の出力モニタにおける表示形態の一例である。
図5に示すように、表示装置35は、第1読み込み部36Aと第2読み込み部36Bとメモリ部37とコントローラ38と入力部39と出力モニタ50とを備えている。コントローラ38は、この発明における形態情報画像加工処理手段に相当する。
【0047】
第1読み込み部36Aおよび第2読み込み部36Bは、例えばI/O(Input/Output)デバイスなどの読み込みデバイスなどで構成されている。第1読み込み部36Aは、読取部31(
図1や
図2を参照)を介してイメージングプレートIP(
図1を参照)で取得されたIP画像を読み込む。第2読み込み部36Bは、撮像部34で取得されたスキャナ画像を読み込む。IP画像は、この発明における測定情報画像に相当し、スキャナ画像は、この発明における形態情報画像に相当する。
【0048】
メモリ部37は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random Access Memory)などに代表される記憶媒体で構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、
図9に示す一連の処理をコンピュータ(各実施例ではコントローラ38)に実行させるための表示プログラム37Aと、血液を収容する円板24(
図1や
図3や
図4を参照)における特定位置と、その円板24を固定して位置決めを行いつつ支持する固定治具61(
図7を参照)との相対位置を記憶する相対メモリ部37Bとをメモリ部37は備えている。表示プログラム37AはROMで構成され、相対位置メモリ部37BはRAMで構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、円板24の特定位置として、円板24のU字流路26(
図1や
図4を参照)を例に採って説明する。相対位置メモリ部37Bは、この発明における相対位置記憶手段に相当する。
【0049】
コントローラ38は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。各種の画像処理を行うためのプログラムや、放射能濃度を算出するプログラムや、
図5に示す表示プログラム37A等をコントローラ38が実行することでそのプログラムに応じた画像処理や表示プログラム37Aに応じた
図9に示す一連の処理(第1/第2読み込み部36A,36Bへの読み込み制御、出力モニタ50における表示態様)を行う。各種の画像処理として、コントローラ38は、スキャナ画像を加工処理(例えば縮小処理、拡大処理あるいは輪郭を強調する強調処理など)する形態情報画像加工処理手段の機能を有している。
【0050】
入力部39は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスなどで構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、入力部39は、後述するメイン画面51(
図6を参照)に拡大表示するために、後述する縮小画面52,53,54(
図6を参照)に縮小表示された各画像を選択する画像選択の機能を有している。
【0051】
出力モニタ50は、
図6に示すように、メインとなる画像を拡大表示するメイン画面51と、IP画像を縮小表示する縮小画面52と、スキャナ画像を縮小表示する縮小画面53と、IP画像・スキャナ画像を重ね合わせて重畳処理した重畳処理後の画像を縮小表示する縮小画面54とを備えている。
図6では、第1読み込み部36Aで読み込まれたIP画像、第2読み込み部36Bで読み込まれたスキャナ画像を重ね合わせてメイン画面51に重畳表示している。メイン画面51には、IP画像の流路入口26(
図1や
図4を参照)に該当する特定位置に測定対象が識別可能な識別情報(
図8では「1」〜「36」の番号)を付加して表示する。メイン画面51は、この発明における第1識別情報表示手段および重畳表示手段に相当し、(スキャナ画像を縮小表示する)縮小画面53は、この発明における形態情報画像表示手段に相当する。
【0052】
次に、固定治具61の具体的な構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、各実施例に係る固定治具の概略平面図である。かかる円板24(
図1や
図3や
図4を参照)を固定して位置決めを行いつつ支持するために、
図7に示すように固定治具61を備えている。固定冶具61には、円板24が嵌合する開口部62が設けられており、その開口部62に2つの突起部62A,62Bが設けられている。突起部62Aに円板24の窪み24A(
図4を参照)を嵌合し、突起部62Bに円板24の窪み24B(
図4を参照)を嵌合することで、固定治具61は円板24を固定して位置決めを行いつつ支持する。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、2つの円板24を固定して位置決めを行いつつ支持するために、開口部62を2つ設けている。
【0053】
図7に示すように、固定治具61の長手方向の長さをLとしたときに、一方の円板24(
図1や
図3や
図4を参照)ならびにそれを嵌合する開口部62の中心が1/4Lの位置になるように開口部62を設けるとともに、他方の円板24ならびにそれを嵌合する開口部62の中心が3/4Lの位置になるように開口部62を設けている。また、図面の左上には固定治具61に切り欠き61Aを設けている。
【0054】
なお、
図7に示す固定治具61の場合には180°回転させると流路入口26(
図1や
図4を参照)の対称性から上下左右を間違える恐れがあるが、切り欠き61Aを図面の左上に設けることで、読取部31(
図1や
図2を参照)を介してイメージングプレートIP(
図1を参照)で取得されたIP画像も、撮像部34で取得されたスキャナ画像も、切り欠き61Aを基準として向きをそろえることができる。
【0055】
モータ28(
図1を参照)による円板24(
図1や
図3や
図4を参照)の遠心力により、血漿および血球に血漿分離された円板24を固定治具61は固定して位置決めを行いつつ支持することで、円板24の各々の流路入口26(
図1や
図4を参照)の向きや位置も固定される。そして、向きや位置が固定された状態で、イメージングプレートIP(
図1を参照)を用いて円板24の撮像を行ってIP画像を取得し、撮像部34(
図2や
図3や
図5を参照)のフラットヘッドスキャナによる円板24の撮像を行ってスキャナ画像を取得する。なお、撮像の順番については特に限定されない。
【0056】
具体的に説明すると、2つの円板24(
図1や
図3や
図4を参照)および固定治具61をサンプルとして、図示を省略するカセッテを開いて収容して、その上にイメージングプレートIP(
図1を参照)を収容して、カセッテを閉じて露光を行う。この露光によって、血液中に含まれているβ
+線の電離能により、イメージングプレートIPの蛍光体(図示を省略)の格子欠陥に電子が捕獲される。一定時間の露光後にイメージングプレートIPをカセッテから取り出して、測定装置30(
図1を参照)の読取部31(
図1や
図2を参照)のカバー部に挿入して、イメージングプレートIPに光を照射して露光を行う。
【0057】
読取部31(
図1や
図2を参照)のレーザ光源32(
図1や
図2を参照)からイメージングプレートIP(
図1を参照)にレーザを照射する。捕獲された電子がこの照射によって伝導体に励起され正孔と再結合し、蛍光体から光として励起される。このイメージングプレートIPへのレーザ照射によって励起された光をフォトマルチプライヤチューブ33(
図1や
図2や
図5を参照)が電子に変換して増倍させることで、電気パルスとして2次元的に同時に検出して計数する。なお、レーザ光源32からイメージングプレートIPへ照射した後には、再利用するために消去用光源(図示省略)から光をイメージングプレートIPへ照射することで、捕獲された電子を消去する。イメージングプレートIPと読取部31で求められたβ
+線の計数情報に基づいて、β
+線の計数情報である血中の放射線量を求める。このようにして、IP画像が取得される。
【0058】
一方、撮像部34(
図2や
図3や
図5を参照)は、血漿分離された血漿および血球を2つの円板24(
図1や
図3や
図4を参照)およびそれらを支持した固定治具61ごと撮像する。撮像部34のフラットヘッドスキャナの光源32a(
図3を参照)から光を照射することで、吸光度の相違によって血漿および血球が撮像された画像上で濃淡差となって現れ、画像上で容易に識別可能である。このようにして、スキャナ画像が取得される。
【0059】
スキャナ画像は、血液や円板24(
図1や
図3や
図4を参照)や切り欠き61Aを設けた固定冶具61を含んだ形態情報画像であるので、切り欠き61Aなどの情報も反映されるが、IP画像は、測定情報を有した測定情報画像であるので、切り欠き61Aなどの情報は画像に反映されない。しかし、固定冶具61によって各々の流路入口26(
図1や
図4を参照)の向きや位置が固定されるので、(円板24の固定位置である)円板24のU字流路26と固定治具61との相対位置も決定される。
【0060】
円板24(
図1や
図3や
図4を参照)のU字流路26(
図1や
図4を参照)と固定治具61との相対位置を相対位置メモリ部37B(
図5を参照)に書き込んで記憶する。そして、識別情報を、相対位置メモリ部37Bに記憶された当該相対位置に基づいて決定する。
【0061】
識別情報の一例として、
図8を参照して説明する。
図8は、識別情報の一例である流路入口の番号をIP画像に付加した図である。
図8では、測定対象が識別可能な識別情報として番号をIP画像に付加している。U字流路26(
図1や
図4を参照)は36本の流路からなるので、
図8に示すように「1」から順に番号をつけていくと、「1」〜「36」の番号が識別情報(符号70を参照)となる。
【0062】
次に、一連の処理について、
図9を参照して説明する。
図9は、実施例1に係る一連の処理の流れを示したフローチャートである。
【0063】
先ず、読取部31(
図1や
図2を参照)を介してイメージングプレートIP(
図1を参照)からIP画像を取得するとともに、撮像部34(
図2や
図3や
図5を参照)のフラットヘッドスキャナからスキャナ画像を取得する。また、固定冶具61(
図7を参照)によって各々の流路入口26(
図1や
図4を参照)の向きや位置が固定されるので、円板24(
図1や
図3や
図4を参照)のU字流路26と固定治具61との相対位置も決定され、当該相対位置を流路入口の番号として相対位置メモリ部37B(
図5を参照)に書き込んで記憶する。
【0064】
(ステップS1)画像読み込み
第2読み込み部36B(
図5を参照)は、撮像部34(
図2や
図3や
図5を参照)で取得されたスキャナ画像を読み込む。
【0065】
(ステップU1)輪郭強調
関心領域を抽出するために、ステップS1で読み込まれたスキャナ画像の輪郭をコントローラ38(
図5を参照)は強調して輪郭強調画像を出力する。輪郭強調処理としては、例えばゾーベルフィルタ(Sobel filter)処理やプレヴィットフィルタ(Prewitt filter)処理などに代表される、注目画素とその周辺画素との差分を求める一次微分による輪郭強調処理、ラプラシアンフィルタ(Laplacian filter)処理などに代表される、注目画素とその周辺画素との差分のさらなる差分を求める二次微分による輪郭強調処理などを行えばよい。これらの輪郭強調処理については公知の技術であるので、その説明を省略する。
【0066】
(ステップT1)画像読み込み
一方、第1読み込み部36A(
図5を参照)は、読取部31(
図1や
図2を参照)を介してイメージングプレートIP(
図1を参照)で取得されたIP画像を読み込む。上述のステップS1,このステップT1の順番については特に限定されず、ステップT1を先に行ってもよいし、ステップS1を先に行ってもよいし、ステップS1,T1を同時並行に行ってもよい。
【0067】
(ステップU2)重畳処理
ステップT1で読み込まれたIP画像、ステップS1で読み込まれたスキャナ画像を重ね合わせて重畳処理する。本実施例1では、好ましくは、ステップT1で読み込まれたIP画像、ステップU1で輪郭が強調された輪郭強調画像を重ね合わせて重畳処理する。
【0068】
(ステップS2)縮小表示
ステップS1で読み込まれたスキャナ画像をコントローラ38(
図5を参照)は縮小処理して、縮小処理後のスキャナ画像を、
図6に示す縮小画面53に表示する。この縮小処理によって、スキャナ画像を縮小画面53に縮小表示する。なお、輪郭が強調されていないスキャナ画像の替わりに、ステップU1で輪郭が強調された輪郭強調画像を縮小画面53に縮小表示してもよい。ただし、この縮小表示はステップU4での画像選択のための表示処理であって、詳細に表示されるわけではないことから、必ずしもステップU1で輪郭が強調された輪郭強調画像を縮小画面53に縮小表示する必要はない。
【0069】
(ステップT2)縮小表示
一方、ステップT1で読み込まれたIP画像もコントローラ38(
図5を参照)は縮小処理して、縮小処理後のIP画像を、
図6に示す縮小画面52に表示する。この縮小処理によって、IP画像を縮小画面52に縮小表示する。
【0070】
(ステップU3)縮小表示
ステップU2で重畳処理された重畳処理後の画像(
図9では「重ね合わせ画像」で表記)をコントローラ38(
図5を参照)は縮小処理して、重畳処理後で縮小処理後の画像を、
図6に示す縮小画面54に表示する。この縮小処理によって、重畳処理後の画像を縮小画面54に縮小表示する。
【0071】
(ステップU4)画像選択
ステップU5で拡大表示するために、ステップS2,T2およびステップU3で縮小表示された(重畳処理後の画像も含んだ)各画像の中から画像を、入力部39(
図5を参照)により選択する。
図6に示す出力モニタ50から、拡大表示の対象となる画像にポインタを合わせて、クリックすることにより、拡大表示の対象となる画像を選択する。なお、画像選択については、ポインタを合わせて、クリックする手法に限定されず、入力部39のマウスやキーボードにより、拡大表示の対象となる画像にポインタを合わせてダブルクリックすることにより、拡大表示の対象となる画像を選択してもよいし、入力部39を出力モニタ50のタッチパネルで構成し、出力モニタ50のタッチパネルにおいて拡大表示の対象となる画像を直接に指で触れることにより、拡大表示の対象となる画像を選択してもよい。また、出力モニタ50から、例えば「選択決定」キーを表示して、入力部39のマウスやキーボードにより、「選択決定」キーをクリックすることにより、拡大表示の対象となる画像を選択してもよい。
【0072】
(ステップU5)拡大表示
ステップU4で選択された画像をコントローラ38(
図5を参照)は拡大処理して、拡大処理後の画像を、
図6に示すメイン画面51に表示する。この拡大処理によって、ステップU4で選択された画像をメイン画面51に拡大表示する。また、ステップU4で重畳処理後の画像が選択された場合には、当該重畳処理後の画像を拡大表示する。この場合には、このステップU5は、IP画像、スキャナ画像を重ね合わせて重畳表示することになる。
【0073】
このメイン画面51に重畳表示する際に、
図8に示すようにIP画像の特定位置(各実施例では円板24のU字流路26)に測定対象が識別可能な識別情報(
図8では「1」〜「36」の番号)を付加して表示する。
図8に示す識別情報70をメイン画面51に付加して表示するために、相対位置メモリ部37B(
図5を参照)から相対位置(円板24のU字流路26と固定治具61との相対位置)を読み出して、当該相対位置に基づいて識別情報70を決定する。
【0074】
本実施例1に係る測定システムに用いられる表示装置35によれば、測定対象の液体(各実施例では血液)中に含まれている放射線(各実施例ではβ
+線)の測定情報を有した測定情報画像(各実施例ではIP画像)を表示し、当該測定情報画像(IP画像)の特定位置(各実施例では円板のU字流路)に測定対象が識別可能な識別情報(
図8では「1」〜「36」の番号)を付加して表示する第1識別情報表示手段(各実施例ではメイン画面51)を備えることで、本来であれば識別情報(「1」〜「36」の番号)が反映されない測定情報画像(IP画像)に識別情報(「1」〜「36」の番号)を付加して表示することにより、少なくとも測定情報画像(IP画像)上において特定位置を容易に識別することができる。
【0075】
本実施例1に係る表示装置35において、測定情報画像(各実施例ではIP画像)、形態情報画像(各実施例ではスキャナ画像)を重ね合わせて重畳表示する重畳表示手段(各実施例ではメイン画面51)を備えるのが好ましい。測定情報画像(IP画像)と形態情報画像(スキャナ画像)とを重ね合わせて重畳表示することで、測定情報画像(IP画像)から形態情報画像(スキャナ画像)の測定対象の領域を視覚的に把握することができる。
【0076】
本実施例1に係る表示装置35において、測定対象の液体(各実施例では血液)の形態情報を有した形態情報画像(各実施例ではスキャナ画像)を表示する形態情報画像表示手段(各実施例では縮小画面53)を備える場合には、形態情報画像(スキャナ画像)には識別情報が反映されるので、両画像間で識別情報を比較することにより、両画像間の特定位置(各実施例では円板24のU字流路26)を個々に容易に識別することができる。
【0077】
また、測定対象の液体(各実施例では血液)の形態情報を有した形態情報画像(各実施例ではスキャナ画像)を加工処理(例えば縮小処理、拡大処理あるいは輪郭を強調する強調処理など)する形態情報画像加工処理手段(各実施例ではコントローラ38)と、その形態情報画像加工処理手段(コントローラ38)により加工処理された当該形態情報画像(スキャナ画像)を表示する形態情報画像表示手段(各実施例では縮小画面53)とを備える場合においても、形態情報画像(スキャナ画像)には識別情報が反映されるので、両画像間で識別情報を比較することにより、両画像間の特定位置(各実施例では円板24のU字流路26)を個々に容易に識別することができる。特に、形態情報画像(スキャナ画像)が不鮮明で、形態情報画像(スキャナ画像)の輪郭を強調する強調処理を行う場合には、輪郭が強調処理された形態情報画像(輪郭強調画像)を表示することで、両画像間の特定位置(円板24のU字流路26)を個々により一層容易に識別することができる。
【0078】
また、形態情報画像(各実施例ではスキャナ画像)には識別情報が反映されるものの、その識別情報が不鮮明である場合、あるいは形態情報画像(スキャナ画像)を加工処理(例えば縮小処理)することにより識別情報が不鮮明になった場合には、形態情報画像(スキャナ画像)にも識別情報(例えば、
図8に示す「1」〜「36」の番号)を付加して表示するのが好ましい。すなわち、形態情報画像表示手段(各実施例では縮小画面53)により表示された当該形態情報画像(スキャナ画像)の特定位置(各実施例では円板24のU字流路26)に測定対象が識別可能な識別情報を付加して表示する第2識別情報表示手段(例えば「1」〜「36」の番号を付加して表示する縮小画面53)を備えることで、測定情報画像(各実施例ではIP画像)および形態情報画像(スキャナ画像)の双方に識別情報(「1」〜「36」の番号)を付加して表示することにより、両画像上において特定位置(円板24のU字流路26)をより一層容易に識別することができる。
【0079】
また、重畳表示手段(各実施例ではメイン画面51)により重畳表示された当該画像の特定位置(各実施例では円板24のU字流路26)に測定対象が識別可能な識別情報(例えば、
図8に示す「1」〜「36」の番号)を付加して表示する第3識別情報表示手段(例えば「1」〜「36」の番号を付加して表示するメイン画面51)を備えてもよい。重畳表示された画像にも識別情報(「1」〜「36」の番号)を付加して表示することにより、当該画像上において特定位置(円板24のU字流路26)をより一層容易に識別することができる。
【0080】
本実施例1に係る表示装置35において、測定対象の液体(各実施例では血液)を収容する容器(各実施例では円板24)における特定位置(各実施例ではU字流路26)と、その容器(円板24)を固定して位置決めを行いつつ支持する固定治具61との相対位置を記憶する相対位置記憶手段(各実施例では相対位置メモリ部37B)を備え、識別情報(
図8では「1」〜「36」の番号)を、相対位置記憶手段(相対位置メモリ部37B)に記憶された当該相対位置に基づいて決定するのが好ましい。固定冶具61によって容器(円板24)を固定して位置決めを行いつつ支持すれば、固定冶具61と容器(円板24)の特定位置との相対位置が決定されるので、その相対位置を相対位置記憶手段(相対位置メモリ部37B)に記憶する。そして、相対位置記憶手段(相対位置メモリ部37B)に記憶された当該相対位置に基づいて識別情報を容易に決定することができるので、当該相対位置に基づいて識別情報(「1」〜「36」の番号)を付加して表示するのが容易になり、正確な識別情報(「1」〜「36」の番号)を付加して表示することができる。