(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本願の開示する電源回生装置および電力変換装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る電源回生装置および電力変換装置を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電源回生装置および電力変換装置の構成を示す図である。なお、第1の実施形態に係る電源回生装置は、電源回生コンバータ装置の一例に相当する。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る電源回生装置1は、3相交流電源2とインバータ装置3との間に配置され、3相交流電源2とインバータ装置3との間で双方向(交流から直流への変換、および、直流から交流への変換)に電力変換を行う。電源回生装置1およびインバータ装置3によって電力変換装置5が構成され、かかる電力変換装置5は、モータ4を駆動させる力行運転状態と、3相交流電源2へ電源回生を行う回生運転状態とを切り替えて実行する。
【0013】
力行運転時には、電源回生装置1はコンバータ装置として機能し、3相交流電源2から供給される交流電力を直流電力へ変換する。インバータ装置3は、電源回生装置1によって変換された直流電力を交流電力へ変換してモータ4へ供給することによってモータ4を駆動する。
【0014】
一方、回生運転時には、インバータ装置3は、モータ4の減速によってモータ4に生じる誘導起電力を直流電力へ変換するように内部のスイッチング素子を駆動し、直流電力を電源回生装置1へ供給する。電源回生装置1は、インバータ装置3から供給される直流電力を交流電力へ変換して3相交流電源2へ供給することによって電源回生を行う。
【0015】
電源回生装置1は、3相交流電源2とインバータ装置3との間に配置される電力変換部10と、電力変換部10を制御する制御部20と、3相交流電源2の各相と電力変換部10との間に配置されるフィルタ30とを備える。
【0016】
電力変換部10は、三相ブリッジ回路12と、平滑コンデンサC1とを備える。三相ブリッジ回路12は、例えば、後で詳述する
図3に示すように、6個のダイオードD1〜D6を三相ブリッジ接続し、それぞれのダイオードごとにスイッチング素子Q1〜Q6を逆並列に接続して構成される。
【0017】
三相ブリッジ回路12は、力行運転時において3相交流電源2から出力される交流電圧を整流し、三相ブリッジ回路12によって整流された電圧は平滑コンデンサC1によって平滑される。かかる動作によって、平滑コンデンサC1に直流電力が蓄積され、インバータ装置3へ直流電力が供給される。
【0018】
三相ブリッジ回路12は、モータ4からインバータ装置3を介して供給される電力を3相交流電源2へ供給する電源回生を行う機能も備える。すなわち、三相ブリッジ回路12は、インバータ装置3から供給されて平滑コンデンサC1に蓄積された直流電力を交流電力へ変換して3相交流電源2へ供給する。
【0019】
三相ブリッジ回路12は制御部20によって制御される。かかる制御部20は、電源電圧検出部21と、信号処理部23と、位相検出部25と、駆動制御部27とを備える。
【0020】
電源電圧検出部21は、3相交流電源2から出力される交流電圧の瞬時値を繰り返し継続して検出し、検出結果に応じた検出信号(以下、交流検出信号と記載する)を信号処理部23へ出力する。かかる交流検出信号は、3相交流電源2の電圧波形に対応した波形の信号である。
【0021】
信号処理部23は、通常時は電源電圧検出部21から入力される交流検出信号を通過させて位相検出部25へ出力しているが、停電等により交流検出信号の入力が停止すると、自励発振状態となる。これにより、信号処理部23は、それまで存在していた交流検出信号を緩やかに減衰させていく残留振動へと移行する。信号処理部23は、かかる残留振動によって、停止直前の交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する交流信号(以下、残留振動信号と記載する)を生成し、該交流信号を位相検出部25へと出力する。なお、ここでの自励発振とは、入力がない状態で徐々に減衰していく残留振動として持続発振することを意味する。
【0022】
信号処理部23は、2次のバンドパスフィルタによって構成される。バンドパスフィルタの固有角周波数は、電源電圧検出部21から入力される交流検出信号を通過させることができるように交流検出信号の周波数に合わせて設定される。交流検出信号は、2次のバンドパスフィルタによって構成された信号処理部23を通過することによって、高周波成分が低減された信号となるため、位相検出部25における3相交流電源2の位相検出を精度よく行うことができる。
【0023】
また、信号処理部23においては、交流検出信号の入力が停止した場合に、交流検出信号と連続する所望の残留振動信号を生成することができるようにバンドパスフィルタの減衰係数が調整される。かかるバンドパスフィルタの特性については後で詳述する。なお、信号処理部23は、自励発振によって残留振動信号を生成することができる構成であればよく、2次のバンドパスフィルタに限らず、例えば、2次のローパスフィルタやその他の構成であってもよい。
【0024】
位相検出部25は、信号処理部23から出力される交流信号に基づき、3相交流電源2の位相を検出する。具体的には、信号処理部23を介して交流検出信号が出力される場合、交流検出信号に基づき、3相交流電源2の位相を検出する。一方、信号処理部23から残留振動信号が出力される場合、かかる残留振動信号に基づき、3相交流電源2の位相を検出する。
【0025】
駆動制御部27は、位相検出部25によって検出された3相交流電源2の位相に基づいて、三相ブリッジ回路12内のスイッチング素子を駆動することによって、運転状態に応じた電力変換を行う。具体的には、駆動制御部27は、運転状態が回生運転中の状態であれば平滑コンデンサC1の直流電圧を交流電圧へ変換して3相交流電源2側へ出力する。また、駆動制御部27は、運転状態が力行運転中の状態であれば3相交流電源2から供給される交流電圧を直流電圧に変換して平滑コンデンサC1へ出力する。
【0026】
図2は、停電が発生した場合の各信号の状態を示す図である。かかる
図2では、3相交流電源2自体の電圧、3相交流電源2から電源回生装置1へ入力される電圧、電源電圧検出部21から出力される交流検出信号、信号処理部23から出力される信号、および、位相検出部25から出力される信号のそれぞれの状態が示される。
【0027】
停電は、一般に、送電系統や受電系統の故障によって生じており、発電所内で生じることはまれである。このような停電の場合、発電所内での発電動作は継続していることから、
図2に示すように、発電所内での3相交流電源2は連続して動作しており、他方で末端側(電源回生装置1の入力端側)の方では停電中である。したがって、停電復帰時(送電系統や受電系統の故障復帰時)に電源回生装置1へ供給される電源電圧の位相は、停電が発生しなかったと仮定した際の電源電圧の位相と同じになる。
【0028】
3相交流電源2から電源回生装置1へ電力供給が行われている状態では、電源電圧検出部21から信号処理部23へ交流検出信号が出力される(〜タイミングt1)。信号処理部23は、電源電圧検出部21から交流検出信号が出力されている場合、この交流検出信号を通過させて位相検出部25へ出力する。位相検出部25は、信号処理部23を介して入力される交流検出信号に基づいて3相交流電源2の位相を検出する。
【0029】
その後、3相交流電源2から電源回生装置1への電力供給が停止して停電になった場合(タイミングt1〜タイミングt2)、電源電圧検出部21からの交流検出信号の出力が停止する。信号処理部23は、電源電圧検出部21からの交流検出信号の出力が停止すると、自励発振状態となり、残留振動によって、停電直前に入力された交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を生成して位相検出部25へ出力する。位相検出部25は、信号処理部23から出力される残留振動信号に基づいて3相交流電源2の位相を検出する。
【0030】
その後、3相交流電源2から電源回生装置1への電力供給が再開されて停電復帰した場合、電源電圧検出部21から信号処理部23への交流検出信号の出力が再開される(タイミングt2〜)。信号処理部23は、電源電圧検出部21から出力される交流検出信号を通過させて位相検出部25へ出力する。
【0031】
位相検出部25は、信号処理部23を介して入力される交流検出信号に基づいて3相交流電源2の位相を検出する。なお、信号処理部23を介して出力される交流検出信号の振幅は、停電復帰時においては、電源電圧検出部21から出力される交流検出信号の振幅よりも小さい。これは、2次のフィルタである信号処理部23の2次遅れによるものであり、信号処理部23から出力される交流検出信号の振幅は、停電復帰後、時間の経過にしたがって大きくなり、最終的に停電前の状態と同様の大きさになる。
【0032】
このように、第1の実施形態に係る電源回生装置1は、3相交流電源2が停電状態になった場合に残留振動によって、停止直前の交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する交流信号を生成して3相交流電源2の位相を検出する。そのため、停電復帰時における3相交流電源2の位相を瞬時かつ正確に検出できるので、3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制することができ、電源回生装置1において連続運転を精度よく行うことができる。
【0033】
以下、第1の実施形態に係る電源回生装置1の具体的構成の一例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る電源回生装置1の具体的構成の一例を示す図である。
【0034】
第1の実施形態に係る電源回生装置1の制御部20は、
図3に示すように、電源電圧検出部21と、3相/2相変換部22と、信号処理部23と、位相検出部25と、パラメータ設定部26と、駆動制御部27とを備える。なお、電源電圧検出部21および3相/2相変換部22が電圧検出部の一例に相当する。
【0035】
電源電圧検出部21は、3相交流電源2の電圧を検出する。具体的には、電源電圧検出部21は、3相交流電源2のR相、S相およびT相の各相とフィルタ30との間の接続点を監視し、3相交流電源2の各相電圧の瞬時値を検出し、各相電圧の瞬時値に応じて変化する交流検出信号V
R、V
S、V
Tを出力する。
【0036】
フィルタ30は、3相交流電源2の各相と電力変換部10との間にそれぞれ2つずつ直列に接続された6つのインダクタと、各相のインダクタ間と中性点との間にそれぞれ接続された3つのコンデンサとにより構成される。なお、フィルタ30の構成は
図3に示す構成に限定されるものではない。
【0037】
3相/2相変換部22は、交流検出信号V
R、V
S、V
Tを固定座標上の直交した2軸のαβ成分へ変換して、α軸方向の交流検出信号Vαとβ軸方向の交流検出信号Vβとをベクトル成分とするαβ軸座標系の固定座標電圧ベクトルを求める。
【0038】
信号処理部23は、3相/2相変換部22から交流検出信号Vα、Vβが出力されている場合、3相/2相変換部22から出力される交流検出信号Vα、Vβを通過させて交流信号Vα1、Vβ1として位相検出部25へ出力する。一方、停電等によって3相/2相変換部22から交流検出信号Vα、Vβが出力されなくなった場合、信号処理部23は、自励発振状態となる。信号処理部23は、自励発振状態になると、残留振動によって、停止直前の交流検出信号Vα、Vβと周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を生成し、交流信号Vα1、Vβ1として位相検出部25へ出力する。
【0039】
信号処理部23は、以下のように、2次のアクティブバンドパスフィルタ(以下、アクティブBPFと記載する場合がある)を用いて構成することができる。かかる2次のアクティブBPFは、各交流検出信号Vα、Vβ毎に設けられる。ここで、2次のアクティブBPFにおける連続系の伝達関数は、例えば、以下の式(1)で表すことができる。なお、「X
(s)」は、入力(Vα、Vβ)、「Y
(s)」は、出力(Vα1、Vβ1)、「ζ」は、減衰係数、「ω
0」は、固有角周波数、「s」は、ラプラス演算子である。
【0041】
また、共振特性によって固有角周波数ω
0で高いゲイン特性になることを抑えるために、以下の式(2)に示すように、ゲインKを乗じたものをアクティブBPFの最終出力Y
final(s)とする。このゲインKは、固有角周波数ω
0で信号処理部23のゲイン特性が0dBとなるように設定される。例えば、下記式(3)に示すように設定することで、信号処理部23のゲイン特性を固有角周波数ω
0で0dBとすることができる。
【0043】
図4Aおよび
図4Bは、信号処理部23の周波数特性例を示す図である。上記式で規定される信号処理部23の位相特性は、固有角周波数ω
0が50Hzの場合、
図4Aに示すように、50Hz付近で0[deg]であり、ゲイン特性も0dBである。また、固有角周波数ω
0が60Hzの場合、信号処理部23の位相特性は、
図4Bに示すように、60Hz付近で0[deg]であり、ゲイン特性も0dBである。
【0044】
信号処理部23における固有角周波数ω
0は、3相交流電源2の周波数に対応するようにパラメータ設定部26によって設定される。例えば、3相交流電源2の周波数が50Hzの場合、例えば、
図4Aに示す位相特性およびゲイン特性になるように、信号処理部23のパラメータが設定される。また、3相交流電源2の周波数が60Hzの場合、例えば、
図4Bに示す位相特性およびゲイン特性になるように、信号処理部23のパラメータが設定される。
【0045】
また、減衰係数ζの値が0<ζ<1の範囲に設定される。これにより、交流検出信号Vα、Vβの入力が停止した後に信号処理部23が自励発振状態となる。信号処理部23は、自励発振状態になると、残留振動によって、停止直前の交流検出信号Vα、Vβに周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を交流信号Vα1、Vβ1として出力する(
図2参照)。なお、減衰係数ζが小さいほど残留振動信号の減衰時間が長くなり、信号処理部23の出力は、比較的長い停電状態にも対応できるようになる。
【0046】
信号処理部23においてデジタル回路によりアクティブBPFを実現する場合、かかるアクティブBPFを制御部20へ実装するための離散系の伝達関数は、以下の式(4)で表すことができる。また、アクティブBPFの最終的な出力は、ゲインKを乗じて、以下の式(5)で表すことができる。なお、X
(k)は現在の入力、X
(k-1)は1サンプル時間前の入力、Y
(k)は現在の出力、Y
(k-1)は1サンプル時間前の出力、Y
(k-2)は、2サンプル時間前の出力、A
1、A
2、B
1、B
2はそれぞれ係数である。
【0048】
上記式(4)、(5)から、信号処理部23は、例えば、
図5に示すように、遅延器81〜85と、乗算器86〜90と、加算器91とを有するデジタル回路により構成することができる。
図5は、信号処理部23を構成するアクティブBPFの一例を示す図である。
【0049】
なお、信号処理部23を2次のバンドパスフィルタによって構成する例を説明したが、上述したように、信号処理部23は、2次のバンドパスフィルタに限定されるものではない。例えば、信号処理部23を2次のローパスフィルタ(以下、LPFと記載する場合がある)によって構成することもできる。
【0050】
ここで、2次のアクティブLPFにおける連続系の伝達関数は、例えば、以下の式(6)で表すことができる。なお、「X
(s)」は、入力(Vα、Vβ)、「Y
(s)」は、出力(Vα1、Vβ1)、「ζ」は、減衰係数、「ω
0」は、固有角周波数、「s」は、ラプラス演算子である。
【0052】
上記式(6)で規定されるアクティブLPFは、
図6に示すように、固有角周波数ω
0付近で0[deg]のゲイン特性を有し、また、固有角周波数ω
0付近の入力信号の位相に対して出力信号の位相が90度遅れる位相特性を有する。
図6は、信号処理部23を構成するアクティブLPFの周波数特性例を示す図である。なお、アクティブLPFにおける固有角周波数ω
0は、後述のように、3相交流電源2の周波数に対応するようにパラメータ設定部26によって設定される。
【0053】
信号処理部23を2次のLPFにより構成する場合、出力する位相が90度遅れる。そのため、信号処理部23では、
図7に示すように、2次のLPF71の出力側に、90度位相を進ませる位相補正器72が設けられる。これにより、2次のLPF71によって生じる位相ずれを補正することができる。なお、位相補正器72は、2次のLPF71の入力側に設けるようにしてもよい。
【0054】
また、位相補正器72は、必ずしも信号処理部23内に設ける必要はなく、例えば、位相検出部25の出力側に設けるようにしてもよく、また、電源電圧検出部21や3相/2相変換部22の出力側に設けるようにしてもよい。すなわち、2次のLPF71によって生じる位相ずれを結果的に補正することができれば、位相補正器72はどこに配置されていてもよい。
【0055】
なお、上述では、信号処理部23として、2次のBPFや2次のLPFを例に挙げて説明したが、信号処理部23はこれらの2次のフィルタに限定されるものではない。例えば、信号処理部23として、2次のハイパスフィルタを用いて構成してもよい。
【0056】
図3に戻って、電源回生装置1の制御部20について、説明を続ける。位相検出部25は、信号処理部23から出力される交流信号Vα1、Vβ1に基づいて、3相交流電源2の電圧位相を検出し、電圧位相検出値θとして出力する。例えば、位相検出部25は、交流信号Vα1、Vβ1をdq軸直交座標系のdq成分へ変換した場合にd軸成分が零になるように3相交流電源2の電圧位相を演算する。位相検出部25は、このように演算した3相交流電源2の電圧位相に応じた電圧位相検出値θを出力する。
【0057】
また、位相検出部25は、信号処理部23から出力される交流信号Vα1、Vβ1に基づいて、3相交流電源2の角周波数ωを検出し、パラメータ設定部26へ出力する。なお、位相検出部25は、3相交流電源2の角周波数ωに応じた情報、例えば、3相交流電源2の電源周波数fを検出することもできる。
【0058】
パラメータ設定部26は、位相検出部25によって検出される3相交流電源2の角周波数ω又は電源周波数fに応じた情報(以下、電源周波数情報と記載する)に基づいて、信号処理部23のパラメータを設定する。これにより、信号処理部23は、3相交流電源2の角周波数ωに応じたパラメータが設定され、信号処理部23のフィルタ特性を3相交流電源2の角周波数ωに合わせることができる。
【0059】
例えば、信号処理部23が
図5に示すアクティブBPFの構成を有する場合、パラメータ設定部26は、3相交流電源2の角周波数ωを固有角周波数ω
0とする。また、パラメータ設定部26は、固有角周波数ω
0でのゲイン特性を0dBとするような係数A
1、A
2、B
1、B
2の値をそれぞれ選択して、信号処理部23に設定する。これにより、信号処理部23に3相交流電源2の角周波数ωに応じたパラメータが設定される。
【0060】
なお、パラメータ設定部26による信号処理部23へのパラメータの設定は、動作開始タイミング、周期的なタイミング、または、任意に設定したタイミングで行うことができる。例えば、パラメータ設定部26は、電源回生装置1へ3相交流電源2からの電力の供給が開始されたタイミングで、信号処理部23へのパラメータの設定を行うことができる。また、パラメータ設定部26は、電源回生装置1による運転動作が行われていない間の任意のタイミングで、信号処理部23へのパラメータの設定を行うことができる。
【0061】
ここで、信号処理部23へのパラメータの設定を含む初期動作について具体的に説明する。かかる初期動作は、電源回生装置1の使用を開始する際や停電復帰の際に制御部20によって実行される処理である。
図8は、制御部20によって行われる初期動作のフローチャートである。なお、信号処理部23は
図5に示す構成を有するものとする。
【0062】
まず、制御部20は、初期動作において、信号処理部23をスルーパスモードに設定する(ステップS101)。スルーパスモードとは、信号処理部23において入力された信号をフィルタ処理せずにそのまま通過させるモードである。スルーパスモードの設定は、例えば、パラメータ設定部26から信号処理部23へ指令信号を出力することによって実行される。
【0063】
また、スルーパスモードでは、初期化モードに備えるために、状態変数を下記式(7)〜(9)に示すように設定する。
【0065】
上記式(9)は、現在の入力であるX
(k)と同一の値を現在の出力であるY
(k)の値に設定することを意味しており、信号処理部23は、スルーパスモードにおいて、式(9)に示す処理を実行することで、入力された信号をフィルタ処理せずにそのまま通過させる。
【0066】
また、アクティブBPFとして機能する信号処理部23に単一周波数の信号がX
(k)として入力される場合、アクティブBPFのカットオフ周波数がその入力信号の周波数と一致していれば、入力信号に対する出力信号の位相遅れは零で、ゲインも0dBである。そのため、上記式(9)に加え、Y
final(k-1)=X
(k-1)、Y
final(k-2)=X
(k-2)という式(8)および式(7)の関係式も成立する。また、
図5に示すアクティブBPFの構成から、後述する式(10)、(11)の関係式も成立する。
【0067】
一方、信号処理部23において、フィルタ処理を開始する際に、Y
(k-1)、Y
(k-2)、 X
(k-1)の状態量が零または不定値である場合、Y
(k)が零または不定値から立ち上がるため、定常状態になるまでには時間を要する。そこで、信号処理部23において、入力信号の遅延X
(k-1)、X
(k-2)をサンプリングし、予め、式(7)〜式(11)の処理を実行してY
(k-1)およびY
(k-2)の内部状態を確立させておくことで、即時に、定常状態からフィルタ処理を開始することができる。
【0068】
次に、制御部20は、3相交流電源2から電源回生装置1への電力供給が行われているかどうかを判定する(ステップS102)。電力供給が行われているか否かは、信号処理部23をそのまま通過する交流検出信号Vα、Vβが駆動制御部27によって検出されたか否かによって判断される。
【0069】
電源回生装置1へ3相交流電源2を接続した場合や長時間の停電が復帰した場合などのように、3相交流電源2から電源回生装置1への電力供給が開始された場合(ステップS102;Yes)、制御部20は、電源確定処理を実行する(ステップS103)。かかる電源確定処理において、位相検出部25は、信号処理部23をそのまま通過(スルーパスモードによる通過)する交流検出信号Vα、Vβに基づいて、3相交流電源2の位相や角周波数などを検出する。位相検出部25は、かかる検出結果をパラメータ設定部26や駆動制御部27へ出力する。
【0070】
制御部20は、電源確定処理が終了すると、信号処理部23を初期化モードに設定する(ステップS104)。かかる初期化モードでは、パラメータ設定部26は、位相検出部25から出力される電源周波数情報に応じた係数A
1、A
2、B
1、B
2の値をそれぞれ選択して、信号処理部23に設定する。これにより、信号処理部23に3相交流電源2の角周波数ωに応じたパラメータが設定される。
【0071】
また、スルーパスモードから動作ONモードへの遷移時に、上記式(7)〜(9)に示す状態変数に基づき、アクティブBPFの内部変数を下記式(10)、(11)に示すように設定する。
【0073】
制御部20は、初期化モードを終了すると、信号処理部23を動作ONモードに設定する(ステップS105)。かかる動作ONモードでは、信号処理部23は、パラメータ設定部26によって設定されたパラメータに基づいて、2次のアクティブBPFとして動作する。これにより、停電時において、信号処理部23から残留振動信号を出力させることが可能になる。
【0074】
このように、電源回生装置1では、初期動作において、信号処理部23の動作モードを動作ONモードにする前に、スルーパスモードおよび初期化モードの順に変更する制御が行われる。
【0075】
初期動作の最初に信号処理部23の動作モードをスルーパスモードにすることで、位相検出部25による3相交流電源2の位相や角周波数などの検出を迅速に行わせることができる。これにより、例えば、電源回生装置1における運転動作を迅速に開始することができる。
【0076】
また、信号処理部23の動作モードをスルーパスモードの後に初期化モードとすることで、信号処理部23が動作ONモードとなった場合に、信号処理部23のフィルタとして動作を高速に立ち上げることができる。
【0077】
図3に戻って、電源回生装置1の制御部20について、説明を続ける。駆動制御部27は、実効値算出器51と、A/D変換器52と、3相/2相変換器53と、dq座標変換器54と、直流母線電圧検出器55と、減算器56とを備える。また、駆動制御部27は、q軸電流指令出力器57と、q軸電流偏差演算器58と、q軸電流調整器59と、q軸電圧指令補正器60と、d軸電流指令出力器61と、d軸電流偏差演算器62と、d軸電流調整器63とを備える。さらに駆動制御部27は、電圧振幅指令生成器64と、電圧位相指令生成器65と、加算器66と、PWM制御器67とを備える。
【0078】
実効値算出器51は、信号処理部23から出力される交流信号Vα1、Vβ1に基づいて、3相交流電源2の実効電圧値Vseを検出する。
【0079】
A/D変換器52は、電流検出部40によって検出された相電流検出値I
R、I
S、I
TをA/D変換によってデジタル値に変換する。なお、相電流検出値I
Rは、R相電流の瞬時値であり、相電流検出値I
Sは、S相電流の瞬時値であり、相電流検出値I
Tは、T相電流の瞬時値である。また、電流検出部40として、例えば、磁電変換素子であるホール素子を利用して電流を検出する電流センサを用いることができる。
【0080】
3相/2相変換器53は、相電流検出値I
R、I
S、I
Tを固定座標上の直交した2軸のαβ成分へ変換して、α軸方向の電流値Iαとβ軸方向の電流値Iβとをベクトル成分とするαβ軸座標系の固定座標電流ベクトルを求める。
【0081】
dq座標変換器54は、位相検出部25によって検出された電圧位相検出値θに基づき、3相/2相変換器53から出力されるαβ軸座標系の成分を変換することでdq軸回転座標系のq軸成分およびd軸成分を演算する。これにより、dq座標変換器54は、q軸電流値Iqとd軸電流値Idとを求める。
【0082】
直流母線電圧検出器55は、電力変換部10のインバータ装置3側の直流電圧を検出する。具体的には、直流母線電圧検出器55は、平滑コンデンサC1の端子間電圧値を直流電圧値Vpnとして検出し、減算器56へ出力する。
【0083】
減算器56は、直流母線電圧検出器55から出力される直流電圧値Vpnを電圧指令Vpn*から減算し、差分電圧値Vgとしてq軸電流指令出力器57へ出力する。
【0084】
q軸電流指令出力器57は、減算器56から入力される差分電圧値Vgに基づきq軸電流指令Iq
*を生成し、q軸電流偏差演算器58へ出力する。q軸電流指令Iq
*は、有効電流の目標電流値である。q軸電流偏差演算器58は、q軸電流指令Iq
*とq軸電流値Iqとの偏差であるq軸電流偏差を演算してq軸電流調整器59へ出力する。
【0085】
q軸電流調整器59は、q軸電流指令Iq
*とq軸電流値Iqとの偏差を零とするようにq軸電圧指令Vq1
*を調整し、q軸電圧指令補正器60へ出力する。q軸電圧指令補正器60は、q軸電流調整器59から出力されるq軸電圧指令Vq1
*に実効値算出器51から出力される実効電圧値Vseを加算し、q軸電圧指令Vq
*として電圧振幅指令生成器64および電圧位相指令生成器65へ出力する。
【0086】
d軸電流指令出力器61は、d軸電流指令Id
*を生成してd軸電流偏差演算器62へ出力する。d軸電流指令Id
*は、無効電流の目標電流値であり、例えば、力率を1とする場合、d軸電流指令Id
*は零に設定される。d軸電流偏差演算器62は、d軸電流指令Id
*とd軸電流値Idとの偏差であるd軸電流偏差を演算してd軸電流調整器63へ出力する。d軸電流調整器63は、d軸電流指令Id
*とd軸電流値Idとの偏差を零とするようにd軸電圧指令Vd
*を調整し、電圧振幅指令生成器64および電圧位相指令生成器65へ出力する。
【0087】
電圧振幅指令生成器64は、q軸電圧指令補正器60から出力されたq軸電圧指令Vq
*と、d軸電流調整器63から出力されたd軸電圧指令Vd
*とに基づき、出力電圧指令V
*を求める。例えば、電圧振幅指令生成器64は、以下の式(12)から出力電圧指令V
*を求める。
出力電圧指令V
*=(Vd
*2+Vq
*2)
1/2 ・・・(12)
【0088】
電圧位相指令生成器65は、q軸電圧指令補正器60から出力されたq軸電圧指令Vq
*と、d軸電流調整器63から出力されたd軸電圧指令Vd
*とに基づき、出力位相指令θa
*を求める。例えば、電圧位相指令生成器65は、以下の式(13)から出力位相指令θa
*を求める。
出力位相指令θa
*=tan
-1(Vq
*/Vd
*) ・・・(13)
【0089】
加算器66は、電圧位相指令生成器65から出力される出力位相指令θa
*に位相検出部25から出力される電圧位相検出値θを加算して、位相θpを演算する。
【0090】
PWM制御器67は、電圧振幅指令生成器64から出力される出力電圧指令V
*と、加算器66によって演算された位相θpとに基づいて、3相交流電圧指令、すなわち、3相交流電源2の各相に対する出力電圧指令V
R*、V
S*、V
T*を求める。例えば、PWM制御器67は、以下の式(14)〜(16)から、R相出力電圧指令V
R*、S相出力電圧指令V
S*、およびT相出力電圧指令V
T*を求める。
V
R*=V
*×sin(θp) ・・・(14)
V
S*=V
*×sin(θp−(2π/3)) ・・・(15)
V
T*=V
*×sin(θp+(2π/3)) ・・・(16)
【0091】
PWM制御器67は、出力電圧指令V
R*、V
S*、V
T*に基づいて、電力変換部10の各スイッチング素子Q1〜Q6を制御するPWM信号S1〜S6を生成する。これにより、電力変換部10から出力電圧指令V
R*、V
S*、V
T*に応じた3相交流電圧が出力される。なお、スイッチング素子Q1〜Q6として、例えば、IGBTやMOSFETなどの自己消弧形の半導体素子が用いられる。また、PWM信号S1〜S6は、Highレベルのときにスイッチング素子Q1〜Q6をオン状態にするオン指令となる。
【0092】
以上のように、第1の実施形態に係る電源回生装置1では、3相交流電源2が停電状態になった場合に自励発振状態となり、残留振動によって、停止直前の交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を生成して3相交流電源2の位相を検出する。そのため、停電復帰時において3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制することができ、電源回生装置1において連続運転を精度よく行うことができる。
【0093】
なお、上述した
図3に示す例では、電源電圧検出部21によって検出された交流検出信号V
R、V
S、V
Tを3相/2相変換部22によって変換した後の交流検出信号Vα、Vβを信号処理部23へ入力することとした。しかしながら、信号処理部23の配置は、これに限定されるものではない。
【0094】
例えば、
図9に示す制御部20Aのように、電源電圧検出部21と3相/2相変換部22との間に信号処理部を配置するようにしてもよい。
図9は、電源回生装置1における制御部の別構成の一部を示す図である。
図9に示す制御部20Aでは、信号処理部23Aは、電源電圧検出部21から交流検出信号V
R、V
S、V
Tが出力されている場合、電源電圧検出部21から出力される交流検出信号V
R、V
S、V
Tを通過させて3相/2相変換部22へ出力する。一方、電源電圧検出部21から交流検出信号V
R、V
S、V
Tが出力されなくなった場合、信号処理部23Aは、それぞれ交流検出信号V
R、V
S、V
Tと連続する残留振動信号を生成して3相/2相変換部22へ出力する。
【0095】
また、上述した位相検出部25においては、ゲインを上げた場合であっても、信号処理部23、23Aから出力される残留振動信号が減衰して振幅が零になってしまうと、3相交流電源2の位相を検出することが難しくなる。そこで、停電が検出された場合に、別途設けた位相情報生成部によって生成された位相情報を用いるように構成することもできる。
【0096】
図10は、電源回生装置1における制御部の別構成の一部を示す図であり、
図10に示す制御部20Bは、
図3に示す制御部20の構成に位相情報生成部73、停電検出部74および切替部75を追加したものである。
【0097】
位相情報生成部73は、パラメータ設定部26から設定された周波数に応じた位相情報を出力することができるように構成されており、パラメータ設定部26による設定は、例えば、信号処理部23と同様に、上述した初期動作の際に行われる。
【0098】
停電検出部74は、実効値算出器51から出力される実効電圧値Vseが所定値以下となった場合に、3相交流電源2からの電力供給が途絶えた停電状態であると判定する。停電検出部74は、停電状態であると判定すると、位相情報生成部73へ動作指令を出力し、停電検出部74へ切替指令を出力する。
【0099】
切替部75は、停電検出部74から切替指令が入力された場合、dq座標変換器54や加算器66へ出力する信号を、位相検出部25からの電圧位相検出値θに代えて、位相情報生成部73から出力される位相情報θxとする。また、位相情報生成部73は、停電検出部74から動作指令が入力された場合、電圧位相検出値θと位相が連続するように位相情報θxを選択して切替部75へ出力する。
【0100】
したがって、停電検出部74によって停電状態が検出された後は、位相情報生成部73から出力される位相情報θxに基づいて、3相交流電源2の位相を検出(推定)することが可能となり、停電復帰後において3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制できる。
【0101】
しかも、停電検出部74によって停電が検出される迄は、残留振動信号によって位相検出部25が3相交流電源2の位相を検出できる。そのため、停電検出部74によって停電が検出される迄に停電復帰した場合であっても、停電復帰後において3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制できる。
【0102】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電源回生装置について説明する。第1の実施形態に係る電源回生装置1がPWM信号に基づいて三相ブリッジ回路12を制御するものであるのに対し、第2の実施形態に係る電源回生装置100は、120度通電方式によって三相ブリッジ回路12を制御する。なお、第1の実施形態に係る電源回生装置1と同一機能を有する構成要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0103】
図11は、第2の実施形態に係る電源回生装置100の構成を示す図である。
図11に示すように、電源回生装置100は、電力変換部10と、制御部120と、フィルタ130とを備える。
【0104】
電源回生装置100の制御部120は、電源電圧検出部21と、3相/2相変換部22と、信号処理部23と、位相検出部25と、パラメータ設定部26と、駆動制御部127とを備える。かかる電源回生装置100では、第1の実施形態に係る電源回生装置1と同様に、停電時に信号処理部23によって残留振動信号が生成され、位相検出部25は、信号処理部23によって生成される残留振動信号に基づいて、電圧位相検出値θを生成する。
【0105】
駆動制御部127は、実効値算出器51と、直流母線電圧検出器55と、乗算器131と、減算器132と、回生制御選択器133と、駆動信号生成器134とを備え、電圧位相検出値θに基づいて、電力変換部10を制御する。
【0106】
乗算器131は、実効値算出器51により算出された実効電圧値Vseに√2を乗じて値√2・Vseを算出する。減算器132は、乗算器131によって算出された値√2・Vseを、直流母線電圧検出器55から出力される直流電圧値Vpnから減算し、差分電圧値Vhとして回生制御選択器133へ出力する。
【0107】
回生制御選択器133は、減算器132から出力される差分電圧値Vhが予め設定された閾値V1以上となった場合に、駆動信号生成器134へ回生指令を出力する。また、回生制御選択器133は、回生指令を出力している状態で、減算器132から出力される差分電圧値Vhが予め設定された閾値V2以下となった場合に、駆動信号生成器134へ停止指令を出力する。なお、閾値V2は、閾値V1よりも小さい値である。
【0108】
駆動制御部127は、位相検出部25から出力される電圧位相検出値θに基づき、120度通電制御を行って、3相交流電源2に同期した交流電圧を変換出力する。具体的には、駆動制御部127は、電圧位相検出値θに基づき、電力変換部10の三相ブリッジ回路12を構成するスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子へそれぞれ印加する6つの駆動信号S11〜S16を生成して、スイッチング素子Q1〜Q6へ出力する。
【0109】
図12は、120度通電制御についての説明図である。駆動制御部127は、
図12に示すように、3相交流電源2の中で最も電圧が高い相と最も電圧が低い相の間に回生電流を流し込むようにスイッチング素子Q1〜Q6を制御する駆動信号S11〜S16を生成する。また駆動信号S11〜S16は、Highレベルのときにスイッチング素子Q1〜Q6をオン状態にするオン指令となる。
【0110】
以上のように、120度通電制御を行う電源回生装置100においても、停電状態になった場合に自励発振状態となり、残留振動によって、停止直前の交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を生成して3相交流電源2の位相を検出する。そのため、停電復帰時において3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制することができ、電源回生装置100において連続運転を精度よく行うことができる。
【0111】
なお、120度通電制御を行う電源回生装置に関し、
図3に対応する構成として
図11を例に挙げて説明したが、第1の実施形態において説明した種々の変形が可能である。また、電源回生装置100に2以上のインバータ装置3を接続して電力変換装置を構成することもできる。
【0112】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る電源回生装置および電力変換装置について説明する。第2の実施形態に係る電源回生装置100では、力行運転時にコンバータとして機能する三相ブリッジ回路12を備える構成を有するが、第3の実施形態に係る電源回生装置では、力行運転時にコンバータとして動作する機能を有しない。
【0113】
図13は、第3の実施形態に係る電源回生装置の構成を示す図である。なお、
図13において、
図11に示すものと同様の機能を有するものに関しては同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0114】
図13に示すように、第3の実施形態に係る電源回生装置100Aは、電力変換部110Aと、制御部120と、フィルタ130とを備える。電力変換部110Aは、三相ブリッジ回路12、平滑コンデンサC1およびダイオードD7を有するが、ダイオードD7の働きにより、力行運転時にコンバータとして動作する機能は有していない。すなわち、電力変換部110Aは、電源回生のみを行い、コンバータ装置として機能しない。
【0115】
かかる電源回生装置100Aは、3相交流電源2とコンバータ装置6との接続点とコンバータ装置6とインバータ装置3との接続点の間に接続され、モータ4の減速時にモータ4に発生する誘導起電力を3相交流電源2へ供給する電源回生を主とするものである。
【0116】
モータ4の減速時、インバータ装置3は、モータ4に発生する誘導起電力をコンバータ装置6側へ出力する。インバータ装置3からコンバータ装置6側へ出力された電力は平滑コンデンサC1に蓄積される。電源回生装置100Aは、平滑コンデンサC1に直流電力が所定以上蓄積されると、120度通電方式によって三相ブリッジ回路12を駆動する。
【0117】
電源回生装置100Aの制御部120は、停電状態になった場合に自励発振状態となり、残留振動によって、停止直前の交流検出信号と周波数は等しく位相が連続する残留振動信号を生成する。制御部120は、生成した残留振動信号に基づいて3相交流電源2の位相を検出し、検出した位相に同期して120度通電方式による電力変換部110の駆動を行う。
【0118】
したがって、電源回生装置100Aも電源回生装置1と同様に、停電復帰時において3相交流電源2の位相との同期ずれを抑制することができ、電源回生装置100Aにおいて連続運転を精度よく行うことができる。
【0119】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。