特許第5724923号(P5724923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5724923半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト、および、その製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5724923
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト、および、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/16 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   H01R43/16
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-72121(P2012-72121)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-206609(P2013-206609A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2013年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦辻 一美
(72)【発明者】
【氏名】小海 邦仁
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 悟志
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−059540(JP,A)
【文献】 特開2000−040569(JP,A)
【文献】 特開2003−151706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法であって、
プレス加工またはエッチング加工により、金属板に、前記半導体素子用ソケットまたはコネクタに固定される位置決め固定部と、該位置決め固定部に連なり該半導体素子用ソケットまたはコネクタに収容された半導体素子の端子に対し接離される接点片部と、該接点片部に連なり前記半導体素子用ソケットまたはコネクタのカム面により作動される操作片部と、を有するコンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、前記接点片部の接触部のうちのいずれかに対応する部分を形成する工程と、
前記コンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、接点片部の接触部対応する部分が形成された前記金属板に、ワイヤ放電加工またはレーザ加工により、前記コンタクトの前記接点片部と前記位置決め固定部とを連結するバネ部に対応する部分を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法。
【請求項2】
前記バネ部の形状が互いに異なる複数のコンタクトをプレス加工する場合、前記操作片部の操作部、および、前記接点片部の接触部に対応する部分を形成する金型が共用されることを特徴とする請求項1記載の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法により製造された半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト。
【請求項4】
プレス加工またはエッチング加工により、金属板に第1の寸法精度で形成された半導体素子の端子に電気的に接触する接点片部の接触部と、前記半導体素子を収容する部材に固定されて位置決めされる位置決め固定部と、
前記プレス加工またはエッチング加工された金属板に、ワイヤ放電加工またはレーザ加工により、前記位置決め固定部および前記接点片部に連なり前記第1の寸法精度とは異なる第2の寸法精度で形成されたネ部であって、前記接点片部と前記位置決め固定部とを連結するバネ部と、
を具備して構成される半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト。
【請求項5】
前記プレス加工またはエッチング加工により、金属板に第1の寸法精度で形成された前記接触部の位置を移動させる操作片部の操作部をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト。
【請求項6】
前記バネ部の形状が互いに異なる複数のコンタクトをプレス加工する場合、前記操作片部の操作部、および、前記接点片部の接触部に対応する部分を形成する金型が共用されることを特徴とする請求項4記載の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子用ソケットやコネクタに用いられるコンタクトの製造方法としては、ワイヤ放電によって金属板からコンタクトの形状を型取りするワイヤ放電加工、レーザによって金属板からコンタクトの形状を型取りするレーザ加工、金型を用いるプレス加工、製版マスクを用いるエッチング加工などがある。
【0003】
特許文献1には、エッチング加工を用いて接触用ピンを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−270140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プレス加工に用いる金型やエッチング加工に用いる製版マスクは高価であるため、少量生産で多品種の部品を製造する場合には、製造コスト上、好ましくない。しかし、ワイヤ放電加工やレーザ加工は、プレス加工やエッチング加工と比べて、寸法精度のばらつきが大きく、また、加工されたコンタクトの表面が粗くなる。
【0006】
コンタクトが半導体素子と接触する部分の表面が粗いと、電気的接触が不良となってしまう。また、コンタクトが基板に位置決めされる部分が粗いと、位置決め精度が低くなってしまう。
【0007】
本発明は、半導体素子などとの電気的接触が良好である、または、位置決め精度が高い
半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト、および、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法は、プレス加工またはエッチング加工により、金属板に、半導体素子用ソケットまたはコネクタに固定される位置決め固定部と、位置決め固定部に連なり半導体素子用ソケットまたはコネクタに収容された半導体素子の端子に対し接離される接点片部と、接点片部に連なり半導体素子用ソケットまたはコネクタのカム面により作動される操作片部と、を有するコンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、接点片部の接触部のうちのいずれかに対応する部分を形成する工程と、コンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、接点片部の接触部対応する部分が形成された金属板に、ワイヤ放電加工またはレーザ加工により、コンタクトの接点片部と位置決め固定部とを連結するバネ部に対応する部分を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法において、前記コンタクトは、他の部品と電気的に接触する接触部を有し、前記形状の一部は、前記接触部を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法において、前記コンタクトは、他の部品と接触することで前記接触部の位置を移動させる操作部を有し、前記形状の一部は、前記操作部を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法において、前記コンタクトは、他の部品に固定されて位置決めされる位置決め部を有し、前記形状の一部は、前記位置決め部を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法において、コンタクトは、弾性変形する本体部を有し、前記残りの形状は、前記本体部を含むことが好ましい。
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトは、上述の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法により製造される。また、本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトは、プレス加工またはエッチング加工により、金属板に第1の寸法精度で形成された半導体素子の端子に電気的に接触する接点片部の接触部と、半導体素子を収容する部材に固定されて位置決めされる位置決め固定部と、プレス加工またはエッチング加工された金属板に、ワイヤ放電加工またはレーザ加工により、位置決め固定部および接点片部に連なり第1の寸法精度とは異なる第2の寸法精度で形成されたネ部であって、接点片部と位置決め固定部とを連結するバネ部と、を備えて構成される。

【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクト、および、その製造方法によれば、プレス加工またはエッチング加工により、金属板に、半導体素子用ソケットまたはコネクタに固定される位置決め固定部と、位置決め固定部に連なり半導体素子用ソケットまたはコネクタに収容された半導体素子の端子に対し接離される接点片部と、接点片部に連なり半導体素子用ソケットまたはコネクタのカム面により作動される操作片部と、を有するコンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、接点片部の接触部のうちのいずれかに対応する部分を形成し、コンタクトにおける位置決め固定部の鉛直位置決め辺部、水平位置決め辺部、操作片部の操作部、および、接点片部の接触部対応する部分が形成された金属板に、ワイヤ放電加工またはレーザ加工により、コンタクトの接点片部と位置決め固定部とを連結するバネ部に対応する部分を形成する。これにより、寸法のばらつきが少なく、半導体素子の端子などとの電気的接触が良好な位置決め精度が高いコンタクトを安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の製造方法によって製造されるコンタクトを備えた半導体素子用ソケットの一部の断面図である。
図2】半導体素子用ソケットに設けられたコンタクトの側面図である。
図3】コンタクトの製造方法を説明する金属板の平面図である。
図4】コンタクトの製造方法の一部加工工程であるプレス加工が施された金属板の平面図である。
図5】プレス加工に用いられる金型を説明する平面図である。
図6】コンタクトの製造方法の積層工程で積層させた金属板の斜視図である。
図7】コンタクトの製造方法の積層工程で積層させた金属板の斜視図である。
図8】コンタクトの製造方法の残部加工工程であるワイヤ放電加工によってコンタクトを金属板から切り出した状態の斜視図である。
図9】変形例1に係るコンタクト及び金型を示す平面図である。
図10】変形例2に係るコンタクトを示す半導体素子用ソケットに設けられたコンタクトの側面図である。
図11】変形例2に係るコンタクト及び金型を示す平面図である。
図12】変形例3に係るコンタクトを示す半導体素子用ソケットに設けられたコンタクトの側面図である。
図13】変形例3に係るコンタクト及び金型を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る半導体素子用ソケットまたはコネクタ用のコンタクトの製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、半導体素子用ソケットに用いられるコンタクトを製造する場合を例にとって説明する。
【0016】
まず、半導体素子用ソケット及びそれに用いられる検査試験用のコンタクトについて説明する。
図1に示すように、半導体素子用ソケット11は、電子機器などに実装される半導体素子DVを検査する際に用いられる。半導体素子DVは、電子機器などに実装される以前の段階で種々の試験が行われその潜在的欠陥が除去される。その試験は、熱的および機械的環境試験などに対応した電圧ストレス印加、高温動作、高温保存などにより非破壊的に実施される。
【0017】
このような試験に供される半導体素子用ソケット11は、導電層を有するプリント配線基板12上に配されている。半導体素子用ソケット11は、プリント配線基板12上に固定されて試験する半導体素子DVを、所定の位置に位置決めするとともに収容する収容部13を有するソケット本体部14と、ソケット本体部14の収容部13の周辺に相対向して配されて収容部13に装着された半導体素子DVの複数の端子Tをプリント配線基板12における導電層に電気的に接続する複数のコンタクト21と、コンタクト21の各接触部37を半導体素子DVの各端子Tに対し離隔または近接させる動作を行なわせる駆動手段の一部を構成するカバー部材15とを主な要素として含んで構成されている。
【0018】
なお、図1においては、半導体素子DVの端子Tがコンタクト21により電気的に接続されている状態を示す。
カバー部材15は、ソケット本体部14に対し昇降動可能にソケット本体部14に支持されている。また、カバー部材15は、カム面16を有している。そのカム面16は、下降または上昇するとき、各コンタクト21の操作部39に係合してコンタクト21の接触部37を収容部13に対し離隔、または近接させるものである。
【0019】
ソケット本体部14は、プリント配線基板12上に配置されるベース部17を有しており、このベース部17の上面にコンタクト21が位置決めされて固定される。このベース部17には、位置決め孔18が形成されており、この位置決め孔18に、コンタクト21の固定端子部32が挿入されている。そして、この固定端子部32に形成された接続端子部33が、プリント配線基板12における導電層に半田付け等で電気的に接続される。
【0020】
コンタクト21は、薄板金属材料で作られている。このコンタクト21の材料としては、例えば、熱処理することで硬化し、バネ性を生じるベリリウム銅などの時効材料を用いるのが好ましい。なお、コンタクト21の材料としては、リン青銅やチタン銅を用いても良い。
【0021】
図2に示すように、コンタクト21は、位置決め固定部31を有している。この位置決め固定部31は、ベース部17側が鉛直位置決め辺部(位置決め部の一例)31aとされており、この鉛直位置決め辺部31aがベース部17の上面に当接される。そして、この鉛直位置決め辺部31aがベース部17の上面に当接されることで、コンタクト21が鉛直方向に位置決めされる。
【0022】
コンタクト21の位置決め固定部31には、下方へ向かって延在する固定端子部32が形成されている。この固定端子部32は、ソケット本体部14の収容部13と反対側が水平位置決め辺部(位置決め部の一例)32aとされており、この水平位置決め辺部32aが位置決め孔18の内面に当接される。そして、この水平位置決め辺部32aがベース部17の位置決め孔18の内面に当接されることで、コンタクト21が水平方向に位置決めされる。また、この固定端子部32には、ソケット本体部14の収容部13側に、係止突起32bが形成されており、この係止突起32bがベース部17の位置決め孔18の内面に食い込むことで、コンタクト21がソケット本体部14のベース部17に固定される。
【0023】
固定端子部32には、さらに下方へ延在する接続端子部33が形成されている。この接続端子部33は、プリント配線基板12のスルーホール12aに挿入され、プリント配線基板12の導電層に半田付け等で電気的に接続される(図1参照)。
また、コンタクト21は、位置決め固定部31から上方へ延びるバネ部(本体部の一例)34を有している。このバネ部34は、円弧状に湾曲した複数の湾曲部34aが連なる形状に形成されており、これにより、このバネ部34では、弾性変形可能とされている。
【0024】
このバネ部34の端部には、可動部35が形成されている。この可動部35は、ソケット本体部14の収容部13側に接点片部36が形成されている。この接点片部36は、下方側へ突出する接触部37を有しており、この接触部37が、収容部13に収容された半導体素子DVの端子Tに対して接離される。また、可動部35には、上方へ延在する操作片部38を有しており、この操作片部38の上端に操作部39が形成されている。そして、カバー部材15が下降または上昇する際に、このカバー部材15のカム面16が操作部39に係合する。これにより、コンタクト21では、バネ部34が弾性変形することで、可動部35が移動し、接触部37が収容部13の半導体素子DVの端子Tに対して接離される。
【0025】
このように、カバー部材15のカム面16が操作部39に係合することで接触部37が半導体素子DVの端子Tに対して接離するコンタクト21では、半導体素子DVの端子Tに対して接触部37を高精度に接離させるために、接触部37及び操作部39の鉛直方向及び水平方向の位置を高精度に位置決めする必要がある。したがって、コンタクト21では、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Ha、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Wa、鉛直位置決め辺部31aから操作部39までの高さ寸法Hb及び水平位置決め辺部32aから操作部39までの水平寸法Wbが精度良く形成されている。特に、半導体素子DVの端子Tと電気的に接触する接触部37では、その表面粗さが極力小さくされている。
【0026】
次に、上記のコンタクト21を製造する本実施形態に係る製造方法について説明する。
(一部加工工程)
図3に示すように、コンタクト21を形成する金属板41を用意し、この金属板41に対してプレス加工を施す。これにより、図4に示すように、この金属板41に、加工精度が要求される鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39を形成する。また、位置決め孔42及びボルト挿通孔43も形成する。
鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39は、図5に示すように、金型45a,45b,45c,45dを用い、これらの金型45a,45b,45c,45dによって金属板41にプレス加工を施して穴をあけることで形成する。
【0027】
このように、金型45a,45b,45c,45dによってプレス加工を施すことで、コンタクト21の形状の一部である鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39が高精度に形成され、また、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Ha、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Wa、鉛直位置決め辺部31aから操作部39までの高さ寸法Hb及び水平位置決め辺部32aから操作部39までの水平寸法Wbが精度良く形成される。
【0028】
なお、コンタクト21における加工精度が要求される形状の一部である鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39は、金型45a,45b,45c,45dを用いたプレス加工に限らず、製版マスクを用いたエッチング加工によって形成しても良い。このエッチング加工によって鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39を形成しても、これらの鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39を高精度に加工することができ、また、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Ha、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Wa、鉛直位置決め辺部31aから操作部39までの高さ寸法Hb及び水平位置決め辺部32aから操作部39までの水平寸法Wbも精度良く形成することができる。
【0029】
(積層工程)
複数枚の金属板41に対してプレス加工を施したら、図6に示すように、複数枚の金属板41を重ね、それぞれの位置決め孔42に位置決めピン51を挿通させる。このようにすると、複数枚の金属板41同士が面方向へ位置決めされた状態に積層される。
次に、図7に示すように、積層させた金属板41のボルト挿通孔43にボルト52を挿通してナット53を螺合させることで、これらのボルト52及びナット53によって金属板41を積層させた状態で締結固定する。
【0030】
(残部加工工程)
次に、図8に示すように、ワイヤ放電加工によって積層させた金属板41を切断し、コンタクト21における鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39以外の残りの形状部分を形成する。これにより、複数枚の金属板41から、位置決め固定部31、固定端子部32、接続端子部33、バネ部34及び可動部35を有する複数のコンタクト21を切り出す。このワイヤ放電加工は、金型や製版マスクが不要であるので低コストに加工することができる。なお、金属板41からコンタクト21を切り出すには、ワイヤ放電加工に限らず、レーザ加工でも良い。このレーザ加工によってコンタクト21を切り出す場合も、金型や製版マスクを用いずに極めて低コストに加工を行うことができる。
【0031】
ところで、半導体素子DVを検査する際に用いられる半導体素子用ソケット11のコンタクト21は、少量生産する場合、このようなコンタクト21を、専用の金型を用いてプレス加工で製造したり、専用の製版マスクを用いてエッチング加工で製造することは製造コスト上困難である。また、コンタクト21を、ワイヤ放電加工やレーザ加工で製造すれば、製造コストを抑えることができるが、表面が粗くなり、半導体素子DVの端子Tとの電気的接触が不十分となって電気抵抗が増加し、検査結果の信頼性が低下してしまう。また、ワイヤ放電加工やレーザ加工では、高い寸法精度でコンタクト21を形成することが困難である。したがって、製造したコンタクト21の位置決め部分の寸法精度も低くなり、コンタクト21を半導体素子用ソケット11のソケット本体14へ位置決めする際の精度が低下し、半導体素子DVの良好な検査が困難となる。また、ワイヤ放電加工やレーザ加工で製造したコンタクト21の表面を研磨したり化学的処理を施すことで表面の粗さを除去することができるが、十分な寸法精度が得られず、また、その作業に多大な労力を要する。
【0032】
これに対して、上記実施形態に係るコンタクトの製造方法によれば、高い寸法精度を要する鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39などのコンタクト21の形状の一部を、プレス加工やエッチング加工によって高精度に形成し、その他のバネ部34などの残りの形状の部分を、金型や製版マスクを用いずに安価にNC加工等で加工できるワイヤ放電加工やレーザ加工で形成する。これにより、寸法のばらつきが少なく、半導体素子DVの端子Tなどとの電気的接触が良好な位置決め精度が高いコンタクト21を安価に製造することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、高い寸法精度が要求される鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39をプレス加工またはエッチング加工によって形成したが、これらの鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39の少なくとも一つをプレス加工またはエッチング加工によって高い精度で形成しても良い。
また、上記実施形態では、半導体素子用ソケット11に用いられるコンタクト21を例示して説明したが、本発明の製造方法は、コネクタ用のコンタクトを製造する際にも適用可能である。
【0034】
次に、本実施形態に係る製造方法で製造可能なコンタクトの変形例を説明する。
(変形例1)
図9に示すように、このコンタクト21Aは、上記のコンタクト21と異なる形状のバネ部34を備えている。具体的には、湾曲部34aの曲率半径が大きくされ、バネ部34での弾性力が変えられている。このようなコンタクト21Aの場合も、高い寸法精度を要する鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39などのコンタクト21の形状の一部を、プレス加工やエッチング加工によって高精度に形成し、その他のバネ部34などの残りの形状の部分を、金型や製版マスクを用いずに安価に加工できるワイヤ放電加工やレーザ加工で形成する。これにより、半導体素子DVの端子Tなどとの電気的接触が良好な位置決め精度が高いコンタクト21Aを安価に製造することができる。
【0035】
また、変形例1のコンタクト21Aを製造する際、図5に示される金型45a,45b,45c,45dを共有して使用して、高い寸法精度を要する鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a、接触部37及び操作部39などのコンタクト21の形状の一部を形成している。すなわち、バネ部34の形状のみを変更した変形例1のコンタクト21Aを製造する場合は、金型を再作成する必要なく、バネ部34の形状を形成するワイヤ放電加工のワイヤの移動経路を変更するだけで良い。従って、高価な金型を再作成せずにすむため、製造コストを抑えつつ、変形例1のコンタクト21Aを作成することができる。
【0036】
(変形例2)
図10に示すように、このコンタクト21Bは、位置決め固定部31から下方へ延びる固定端子部32がソケット本体14の収容部13側へ屈曲して延在している。そして、このコンタクト21Bでは、位置決め固定部31と固定端子部32とが、ソケット本体14のベース部17を挟持することでソケット本体14に固定される。
【0037】
このコンタクト21Bでは、固定端子部32の鉛直に延びる部分におけるベース部17の端面17aに当接する部分が水平位置決め辺部32aとされており、水平位置決め辺部32aがベース部17の端面17aに当接されることで、コンタクト21Bが水平方向に位置決めされる。また、コンタクト21Bにおいても、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Wa及び水平位置決め辺部32aから操作部39までの水平寸法Wbが精度良く形成されている。
【0038】
図11に示すように、このコンタクト21Bは、金型45c,45dによって接触部37及び操作部39が形成されるとともに、金型45eによって位置決め固定部31と固定端子部32との隙間を打ち抜くことで、鉛直位置決め辺部31a及び水平位置決め辺部32aが形成される。
【0039】
このように、金型45c,45d,45eによってプレス加工を施すことで、コンタクト21Bの形状の一部である接触部37、操作部39、鉛直位置決め辺部31a及び水平位置決め辺部32aを高精度に形成することができ、また、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Ha、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Wa、鉛直位置決め辺部31aから操作部39までの高さ寸法Hb及び水平位置決め辺部32aから操作部39までの水平寸法Wbを精度良く形成することができる。
【0040】
また、変形例2のコンタクト21Bを製造する際、図5に示される金型45c,45dを共有して使用して、高い寸法精度を要する接触部37及び操作部39などのコンタクト21Bの形状の一部を形成している。少量多品種のコンタクトを製造する際に金型を共有することができるため、製造コストを抑えることができる。
【0041】
(変形例3)
図12に示すように、このコンタクト21Cは、円弧状に大きく湾曲した一つの湾曲部34aを有するバネ部34を備え、このバネ部34の端部がソケット本体14の収容部13側へ向かって延在し、さらに、上方へ向かって屈曲されている。そして、このバネ部34の端部が接触部37とされている。
【0042】
また、このコンタクト21Cでは、固定端子部32におけるソケット本体14の収容部13側が水平位置決め辺部32aとされている。このコンタクト21Cでは、水平位置決め辺部32aがベース部17の位置決め孔18の内面に当接されることで、水平方向に位置決めされ、また、鉛直位置決め辺部31aがベース部17に当接されることで、コンタクト21Cが鉛直方向に位置決めされる。また、コンタクト21Cにおいても、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Waが精度良く形成され、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Haが精度良く形成されている。
【0043】
また、図13に示すように、このコンタクト21Cは、金型45f,45g,45hによって鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a及び接触部37が形成される。
このように、金型45f,45g,45hによってプレス加工を施すことで、コンタクト21Cの形状の一部である鉛直位置決め辺部31a、水平位置決め辺部32a及び接触部37を高精度に形成することができ、また、鉛直位置決め辺部31aから接触部37までの高さ寸法Ha、水平位置決め辺部32aから接触部37までの水平寸法Waを精度良く形成することができる。
【0044】
本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
11:半導体素子用ソケット、21,21A,21B,21C:コンタクト、31a:鉛直位置決め辺部(位置決め部の一例)、32a:水平位置決め辺部(位置決め部の一例)、34:バネ部(本体部の一例)、37:接触部、39:操作部
図1
図2
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図13