(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記心拍数算出部は、現在の単位時間当たりの心拍数が、既定の下限値以上かつ既定の上限値以下であって、かつ、直近の複数の単位時間当たりの心拍数の平均値に既定の第1係数を乗じた値以上かつ既定の第2係数を乗じた値以下である第1条件を満たす場合に、前記現在の単位時間当たりの心拍数を有効であると判定し、当該現在の単位時間当たりの心拍数に対応するピークを有効なピークとみなす
ことを特徴とする請求項1に記載の運動情報検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る運動情報検出装置および運動情報検出方法、運動情報検出プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。ここでは、実施形態として、本発明に係る運動情報検出装置が適用される運動支援装置を示して説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
(運動支援装置)
まず、本発明に係る運動情報検出装置が適用される運動支援装置について説明する。
図1は、本発明に係る運動情報検出装置が適用される運動支援装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。ここで、
図1(a)は、本実施形態に係る運動支援装置を人体に装着した状態を示す概略図であり、
図1(b)は、本実施形態に係る運動支援装置に適用されるセンサ機器を示す概略構成図であり、
図1(c)は、本実施形態に係る運動支援装置に適用されるインターフェース機器を示す概略構成図である。
【0014】
本発明に係る運動情報検出装置が適用される運動支援装置は、例えば
図1(a)に示すように、概略、被測定者であるユーザUSが胸部に装着するセンサ機器100と、手首に装着するインターフェース機器200と、を有している。センサ機器100は、ユーザUSの運動中(例えば歩行中や走行中)の運動状態(例えば歩行状態や走行状態)に関連する各種の情報(以下、「運動情報」と記す)を検出し、ユーザUSの歩数および心拍数を算出する。センサ機器100は、例えば
図1(b)に示すように、大別して、センサ部を備えた機器本体110と、ユーザUSの胸部に巻き付けることにより機器本体110を胸部に装着するためのベルト部120と、ベルト部120の内面側(人体と接触する側)に設けられた一対の検出電極130と、を備えている。
【0015】
また、インターフェース機器200は、上記のセンサ機器100により算出された歩数および心拍数を含む運動情報や、当該運動情報に基づいて分析されたユーザUSの運動状態に関するアドバイス(以下、「支援情報」と記す)を、視覚を通じてユーザUSに提供する。インターフェース機器200は、例えば
図1(c)に示すように、大別して、ユーザに所定の情報を提供するための表示部211を備えた機器本体210と、ユーザUSの手首に巻き付けることにより機器本体110を手首に装着するためのベルト部220と、を備えている。
【0016】
以下に、運動支援装置の各構成について、具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る運動支援装置に適用されるセンサ機器の一構成例を示すブロック図であり、
図3は、本実施形態に係る運動支援装置に適用されるインターフェース機器の一構成例を示すブロック図である。
【0017】
(センサ機器100)
センサ機器100は、具体的には、例えば
図2に示すように、心拍センサ111と、加速度センサ112と、操作スイッチ113と、中央演算装置(以下、「CPU」と記す)114と、センサデータ保存用メモリ115と、フラッシュメモリ116と、作業用メモリ117と、通信機能部118と、動作電源119と、を備えている。
【0018】
心拍センサ111は、
図1(b)に示すように、センサ機器100をユーザUSの胸部に装着するためのベルト部120の内面側に設けられ、ユーザUSの胸部に直接密着するように配置された一対の検出電極130を有している。心拍センサ111は、検出電極130から出力される心電位信号の変化を検出し、心拍データ(センサデータ)を出力する。この心拍データは、センサデータ保存用メモリ115の所定の記憶領域に保存される。
【0019】
加速度センサ112は、機器本体110の内部に設けられ、ユーザUSの運動中の動作速度の変化の割合(加速度)を検出し、加速度データ(センサデータ;運動データ)を出力する。この加速度データは、上記の心拍データと関連付けられて、センサデータ保存用メモリ115の所定の記憶領域に保存される。
【0020】
操作スイッチ113は、電源スイッチを有し、ユーザUSにより当該操作スイッチ113が操作されることにより、動作電源119から各構成への駆動用電力の供給状態(供給または遮断)を制御して、センサ機器100の電源のオン、オフを制御する。また、操作スイッチ113は、センサ制御用キースイッチを有し、ユーザUSにより当該操作スイッチ113が操作されることにより、心拍センサ111および加速度センサ112におけるセンシング動作の開始、停止を制御する。
【0021】
センサデータ保存用メモリ115は、上述した心拍センサ111から出力された心拍データや加速度センサ112により測定された加速度データを、相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する。フラッシュメモリ116は、心拍センサ111や加速度センサ112におけるセンシング動作や、後述する通信機能部118におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラム、および、上記のセンサデータを加工し、ユーザUSの歩数や心拍数を出力するとともに、ユーザUSの運動状態を判定するアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリ117は、上記制御プログラムおよびアルゴリズムプログラムを実行する際に使用、または、生成される各種データを一時的に保存する。なお、センサデータ保存用メモリ115は、その一部または全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、センサ機器100に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0022】
CPU114は、上記のフラッシュメモリ116に保存された制御プログラムに従って処理を行うことにより、心拍センサ111や加速度センサ112におけるセンシング動作や、通信機能部118におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。また、CPU114は、上記のアルゴリズムプログラムに従って処理を行うことにより、CPU114内部で心拍センサ111や加速度センサ112により取得されたセンサデータを加工し、歩数や心拍数を算出する動作や、運動状態を判定する動作を実行する。なお、CPU114において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予めCPU114内部に組み込まれているものであってもよい。
【0023】
通信機能部118は、心拍センサ111や加速度センサ112により取得されたセンサデータを、上記のアルゴリズムプログラムに従って加工して出力した、ユーザUSの歩数や心拍数を含む運動情報をインターフェース機器200に伝送する際のインターフェースとして機能する。ここで、通信機能部118を介してインターフェース機器200に運動情報を伝送する手法としては、例えば各種の無線通信方式や、通信ケーブルを介した有線による通信方式を適用することができる。
【0024】
無線通信方式により上記データを伝送する場合には、例えばデジタル機器用の近距離無線通信規格であるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))や、この通信規格において低消費電力型の通信規格として策定されたブルートゥースローエナジー(Bluetooth(登録商標) low energy(LE))を良好に適用することができる。この無線通信方式によれば、例えば後述する環境発電技術等により生成された小電力であっても良好にデータ伝送を行うことができる。
【0025】
動作電源119は、センサ機器100の機器本体110内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源119は、例えば市販のコイン型電池やボタン型電池等の一次電池や、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池を適用することができるほか、振動や光、熱、電磁波等のエネルギーにより発電する環境発電(エナジーハーベスト)技術による電源等を適用することもできる。
【0026】
(インターフェース機器200)
インターフェース機器200は、具体的には、例えば
図3に示すように、大別して、表示部211と、操作スイッチ212と、中央演算回路(以下、「CPU」と略記する)213と、運動情報保存用メモリ214と、フラッシュメモリ215と、作業用メモリ216と、通信機能部217と、動作電源218と、を備えている。
【0027】
表示部211は、例えばカラーやモノクロ表示が可能な液晶表示パネルや有機EL表示パネル等の表示装置を有し、少なくともユーザUSの運動中に、上述したセンサ機器100により検出されたセンサデータに基づいて算出された各種の運動情報を表示する。表示部211には、例えば
図1(c)に示すように、歩数や心拍数のほか、走行時間や走行速度(ペース)、走行距離等の数値情報が任意のレイアウトで表示される。これらの情報は、表示部211に複数の情報が同時に表示されるものであってもよいし、上述した操作スイッチ212やタッチパネルを操作することにより、1乃至複数の情報が順次表示されるものであってもよい。また、表示部211は、後述する運動支援方法により判定されたユーザUSの運動状態に応じて所定の支援情報を表示することにより、当該支援情報を視覚を通してユーザUSに提供するものであってもよい。なお、本実施形態においては、インターフェース機器200における出力インターフェースとして、表示部211を示したが、これに限定されるものではなく、表示部211に加えて、例えば特定の音色や音声メッセージを発生するブザーやスピーカ等の音響部や、特定の振動パターンで振動する振動部等の、他のインターフェースを備えているものであってもよい。
【0028】
操作スイッチ212は、例えば
図1(c)に示すように、ボタンスイッチを有し、上記表示部211に表示する各種項目の設定や、インターフェース機器200のその他の動作に関連する各種設定値の入力操作等に用いられる。なお、本実施形態においては、インターフェース機器200における入力インターフェースとして、ボタンスイッチを有する操作スイッチ212を示したが、これに限定されるものではなく、操作スイッチ212に加えて、または、操作スイッチ212に替えて、例えば表示部211の視野側に設けられたタッチパネル等の、他のインターフェースを備えているものであってもよい。
【0029】
運動情報保存用メモリ214は、上述したセンサ機器100から伝送されたユーザUSの歩数や心拍数を含む運動情報を相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する。フラッシュメモリ215は、表示部211における運動情報や支援情報の表示動作や、後述する通信機能部217におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。作業用メモリ216は、上記制御プログラムを実行する際に使用、または、生成される各種データを一時的に保存する。なお、運動情報保存用メモリ214は、その一部または全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、インターフェース機器200に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0030】
CPU213は、上記のフラッシュメモリ215に保存された制御プログラムに従って処理を行うことにより、表示部211における運動情報や支援情報の表示動作や、通信機能部217におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。なお、CPU213において実行される制御プログラムは、予めCPU213内部に組み込まれているものであってもよい。
【0031】
通信機能部217は、上述したセンサ機器100との間で、無線や有線による所定の通信方式を用いて、少なくともユーザUSの歩数や心拍数を含む運動情報を伝送する際のインターフェースとして機能する。
【0032】
動作電源218は、インターフェース機器200の機器本体210内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源218は、上述したセンサ機器100と同様に、市販のコイン型電池等の一次電池やリチウムイオン電池等の二次電池、環境発電技術による電源等を適用することができる。
【0033】
(運動支援方法)
次に、上述した運動支援装置における運動支援方法について説明する。ここで、本実施形態に係る運動支援方法においては、本発明に係る運動情報検出方法が適用される。
図4は、本実施形態に係る運動支援装置に適用されるセンサ機器により実行される運動情報検出方法を示すフローチャートである。
【0034】
上述したような構成を有する運動支援装置における運動支援方法は、概略、センサ機器100におけるセンシング動作と、センサデータの加工動作と、インターフェース機器200への運動情報の伝送動作と、ユーザUSへの運動情報、支援情報の提供動作と、を有する一連の手順により実行される。
【0035】
まず、センサ機器100におけるセンシング動作、センサデータの加工動作、および、インターフェース機器200への運動情報の伝送動作について説明する。
上述したセンサ機器100は、操作スイッチ(電源スイッチ)113を操作することにより、電源がオン状態に設定されて、CPU114により各種の処理が開始される。
図4のフローチャートに示すように、まず、ステップS101において、CPU114はセンサ機器100の各構成(ハードウェア)および各プログラム(ソフトウェア)の初期設定を実行する。
【0036】
次いで、ステップ102において、CPU114は操作スイッチ(センサ制御用キースイッチ)の操作状態(キー入力の有無)、および、当該操作スイッチの操作に基づいて設定されるキーステータスフラグを判定し、表1に示すように、4つの状態に種類分けする。そして、CPU114は種類分けされた各状態に応じて、次のような処理を実行する。ここで、ステップS102における操作スイッチの操作状態(キー入力)とキーステータスフラグの判定処理は、例えば所定の時間間隔で繰り返し実行される。また、この操作スイッチは、センサ機器100に設けられていても良いし、インターフェース機器200に設けられていても良い。
【0038】
すなわち、ステップS102において、CPU114は表1に示すように、キーステータスフラグが「OFF」のときに、キー入力[有り]を検出すると、心拍センサ111および加速度センサ112におけるセンシング動作を開始するとともに、キーステータスフラグを「OFF」から「ON」に変更設定する。このとき、CPU114は、次のステップS103〜S105のセンサ起動処理を実行する。
【0039】
センサ起動処理においては、まず、ステップS103において、CPU114は表2の管理情報に示すように、フラグおよびバッファにデフォルト値を設定して初期化する。次いで、ステップS104において、CPU114は心拍センサ111および加速度センサ112を起動して、センサデータの収集(センシング動作)を開始する。また、ステップS105において、CPU114は通信機能部118を起動して、センサデータに基づいて算出される心拍数および歩数を含む運動情報を、インターフェース機器200へ送信する動作を開始する。そして、これらのステップS103〜S105を含むセンサ起動処理が終了すると、ステップ102に戻り、上記のキー入力とステータスフラグの判定処理が再び実行される。
【0041】
そして、ステップS102において、CPU114は表1に示すように、キーステータスフラグが「OFF」のときに、キー入力を検出しない(すなわち、キー入力「無し」である)場合には、センサ機器100の現在の動作状態を保持するとともに、キーステータスフラグの「OFF」状態を維持する。そして、ステップ102に戻り、上記の判定処理が再び実行される。
【0042】
一方、ステップS102において、CPU114は表1に示すように、キーステータスフラグが「ON」のときに、キー入力を検出しない(すなわち、キー入力「無し」である)場合には、センサ機器100は現在の動作状態を保持するとともに、キーステータスフラグの「ON」状態を維持する。このとき、CPU114は、次のステップS106〜S108のデータ収集、加工処理を実行する。
【0043】
データ収集、加工処理においては、まず、ステップS106において、CPU114は心拍センサ111および加速度センサ112によりセンサデータ(心拍データ、加速度データ)を定期的に収集する。CPU114は、例えば、心拍センサ111により心拍データを200Hz間隔、また、加速度センサ112により加速度データを100Hz間隔で収集する。次いで、ステップS107において、CPU114は収集した上記センサデータを加工処理する。ここでは、CPU114は心拍データを「心拍数」に加工し、また、加速度データを歩行時または走行時の「歩数」に加工する。なお、センサデータの加工処理の具体例については後述する。次いで、ステップS108において、CPU114は上記の加工処理により生成された「心拍数」、「歩数」、および、ユーザUSの運動状態に関連する各種の情報を、運動情報として定期的にインターフェース機器200に送信する。CPU114は、例えば、1s間隔で運動情報をインターフェース機器200に送信する。そして、これらのステップS106〜S108を含むデータ収集、加工処理が終了すると、ステップ102に戻り、上記の判定処理が再び実行される。
【0044】
また、ステップS102において、CPU114は表1に示すように、キーステータスフラグが「ON」のときに、キー入力[有り]を検出すると、センサ機器100におけるセンシング動作を終了するとともに、キーステータスフラグを「ON」から「OFF」に変更設定する。このとき、CPU114は、次のステップS109〜S110のセンサ停止処理を実行する。
【0045】
センサ停止処理においては、ステップS109において、CPU114は心拍センサ111および加速度センサ112を停止して、センシング動作を終了する。また、ステップS110において、CPU114は通信機能部118を停止して、インターフェース機器200への運動情報の送信を終了する。
【0046】
(センサデータ加工処理)
上述した運動支援方法に示したセンサデータの加工処理において実行される歩数算出処理、および、心拍数算出処理について、具体例に説明する。
図5は、本実施形態に係る運動支援方法に適用されるセンサデータ加工処理の概略動作を示すフローチャートである。
【0047】
本実施形態に係る運動支援方法に適用されるセンサデータの加工処理(S107)は、
図5に示すように、歩数算出処理(ステップS210)と、心拍数算出処理(ステップS220)と、を有している。これらの処理は、CPU114によりアルゴリズムプログラムの歩数算出処理および心拍数算出処理の各モジュールを呼び出す(コールする)ことによって、処理動作が開始される。
【0048】
歩数算出処理(ステップS210)においては、CPU114は歩数アルゴリズムを実行して、ステップS106において収集した加速度データから、「歩数」の算出と歩行波形信号の信号レベルのピーク値間の時間計測とを実行する。ここで、算出された「歩数」は、表2の管理情報に示す「歩数情報」にセットされる。信号レベルのピーク値間の計測時間(計時データ)は、表2の管理情報に示す「計時情報」にセットされる。「計時情報」は、例えば過去10秒分の計時データが保存される。
【0049】
また、心拍数算出処理(ステップS220)においては、CPU114は心拍数アルゴリズムを実行して、ステップS106において収集した心拍データである波形信号から、「心拍数」を算出する。ここで、算出された「心拍数」は、表2の管理情報に示す「心拍数情報」にセットされる。
【0050】
(歩数算出処理の具体例)
まず、本実施形態に係る運動支援方法に適用される歩数算出処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る運動支援方法に適用される歩数算出処理を示すフローチャートである。
図7は、本実施形態に係る運動支援装置に適用される加速度センサから出力される歩行時と走行時の加速度データの一例を示す信号波形図である。
【0051】
本実施形態に適用される歩数算出処理においては、具体的には
図6に示すように、CPU114は、まずステップS211において、一連の歩数算出処理で使用する歩数を算出する『歩数カウンタ』と、歩数波形信号の信号レベルのピーク値間の時間を計測する『計時カウンタ』とをリセットする。次いで、ステップS212において、CPU114は、
図7に示すような、加速度センサ112により検出された加速度データの出力値から歩行・走行波形信号を順次解析する動作を開始する。まず、ステップS213において、CPU114は、波形信号がピーク値か否かを判定し、当該波形信号がピーク値の場合には、ステップS214において、『歩数カウンタ』を1インクリメント(+1)する。次いで、ステップS215において、『計時カウンタ』をリセットする。
【0052】
一方、ステップS213において、上記波形信号がピーク値でない場合には、ステップS216において、『計時カウンタ』を1インクリメント(+1)して、ステップS217に進む。ここで、波形信号のピーク値とは、
図7中に示した、丸で囲った波形信号部分のように、加速度センサ112から出力される歩行時(
図7(a))と走行時(
図7(b))の加速度データを示す波形信号における信号レベルのピーク値(最大値)に該当する。
【0053】
次いで、ステップS217において、CPU114は、過去1秒分の加速度データの出力値に対して、上述したステップS212〜S216を含むピーク値検出処理を実行したか否かを判定する。過去1秒分の出力データに対して、ピーク値検出処理が完了していないと判定された場合には、ステップS212に戻り、上記のステップS212〜S216を含むピーク値検出処理が再び実行される。
【0054】
一方、ステップS217において、過去1秒分の加速度データの出力値に対して、ピーク値検出処理が完了したと判定された場合には、ステップS218において、CPU114は、『歩数カウンタ』値を表2の管理情報に示す「歩数情報」に保存する。次いで、ステップS219において、CPU114は、『計時カウンタ』値を『歩数カウンタ』値で割り算することによって、1歩当たりの平均計時カウンタ値を算出し、表2の管理情報に示す「計時情報」に計時データとして保存し、本歩数算出処理を終了する。
【0055】
具体的には、
図7(a)、(b)に示した加速度データの出力値の信号波形においては、『歩数カウンタ』値として、歩行時にはカウンタ値「2」(すなわち1秒間にピーク値が2歩)が、また、走行時にはカウンタ値「5」(すなわち1秒間にピーク値が5歩)が「歩数情報」にセットされる。また、1歩当たりの平均計時カウンタ値として、歩行時にはカウンタ値「500ms」(=1秒/2歩)が、また、走行時にはカウンタ値「200(ms)」(=1秒/5歩)が「計時情報」にセットされる。また、ここでは、表2の管理情報に示す「計時情報」として、過去10秒分の計時データが保存される。
【0056】
(心拍数算出処理の具体例)
次に、本実施形態に係る運動支援方法に適用される心拍数算出処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る運動支援方法に適用される心拍数算出処理を示すフローチャートである。
図9は、本実施形態に係る運動支援装置に適用される心拍センサから出力される歩行時と走行時の心拍データの一例を示す信号波形図である。
【0057】
本実施形態に適用される心拍数算出処理においては、具体的には
図8に示すように、CPU114は、まずステップS221において、上述した歩数算出処理により算出され、「計時情報」に保存された計時データを読み出して、運動状態判定処理を実行し、当該運動状態判定処理によりセットされた「運動状態判定情報」を出力する。なお、運動状態判定処理の具体例については後述する。
【0058】
次いで、ステップS222において、CPU114は、
図9に示すような、心拍センサ111により検出された心拍データである波形信号を順次解析する動作を開始するとともに、インターバル値をインクリメントする。ここで、インターバル値は、
図9に示すように、心拍センサ111から出力される歩行時(
図9(a))と走行時(
図9(b))の心拍データを示す波形信号における信号レベルのピーク値間の時間を計測することによって求められる。なお、本実施形態におけるデータのサンプリングレートは200Hzであるので、インターバル値を時間に換算すると、1カウントが5msに相当する。
【0059】
次いで、ステップS223において、CPU114は、心拍センサ111により次の心拍波形が検出されたか否かを判定する。心拍波形が検出されない場合には、本心拍数算出処理を終了し、一方、心拍波形が検出された場合には、ステップS224において、CPU114は、次に示す適正判定条件(1−a)、(1−b)(第1条件)に基づいて、インターバル値が有効か無効かを判定する。
【0060】
すなわち、ステップS224における、適正判定条件(1−a)に基づく判定処理においては、現在のインターバル値が通常の心拍数であるか否かを判定する。具体的には、例えば次の条件式(11)を満たすか否かに基づいて、通常の心拍数の範囲(下限値54〜上限値600)内にあるか否かが判定される。
【0061】
適正判定条件(1−a):
54(220BPM) ≦ 現在のインターバル値 ≦ 600(20BPM)
・・・(11)
【0062】
また、ステップS224における、適正判定条件(1−b)に基づく判定処理においては、運動中の過去10回分の平均インターバル値と現在のインターバル値との比較を行い、現在のインターバル値が急激に変化した場合には、当該心拍波形がノイズによるものとして無効と判定する。具体的には、例えば次の条件式(12)を満たすか否かに基づいて、有効なインターバル値の範囲(平均インターバル値の0.8〜1.2倍の範囲。換言すると、平均インターバル値を基準として、±20%の範囲)内にあるか否かが判定される。ここで、上記のインターバル値の範囲を規定する倍率「0.8」(許容範囲下限値;第1係数)および「1.2」(許容範囲上限値;第2係数)、または、±20%は、発明者による各種検証の結果得られた、良好なノイズ除去が実現できる範囲を規定する数値である。
【0063】
適正判定条件(1−b):
許容範囲下限値(0.8)×過去10回平均インターバル値
≦ 現在のインターバル値 ≦
許容範囲上限値(1.2)×過去10回平均インターバル値・・・(12)
【0064】
上述したステップS224において、CPU114により現在のインターバル値が条件式(12)を満たし、有効と判定された場合には、ステップS227において、CPU114は、現在のインターバル値を過去インターバル値情報に保存し、現在のインターバル値をリセットする。次いで、ステップS228において、CPU114は、例えば次の式(13)により、現在のインターバル値から心拍数を算出し、本心拍数算出処理を終了する。
心拍数=60/(過去10回の平均インターバル値×0.005)・・・(13)
【0065】
一方、ステップS224において、CPU114により現在のインターバル値が条件式(12)を満たさず、無効と判定された場合には、ステップS225において、CPU114は、次に示す状態判定条件(2−a)〜(2−d)(第2条件)に基づいて、インターバル値が有効か無効かを判定する。
【0066】
すなわち、ステップS225における、状態判定条件(2−a)、(2−b)に基づく判定処理おいては、現在のインターバル値の変化状態を判定する。具体的には、次の状態判定条件(2−a)の条件式(21)を満たすか否かに基づいて、現在のインターバル値が[増加]状態にあるか否かが判定される。また、次の状態判定条件(2−b)の条件式(22)を満たすか否かに基づいて、現在のインターバル値が[減少]状態にあるか否かが判定される。ここで、条件式(21)を満たす場合、現在のインターバル値は漸次小さくなっているが、これは、心拍数の増加に対応しており、当明細書において、この状態を、現在のインターバル値が[増加]状態にあるという。同様に、条件式(22)を満たす場合、現在のインターバル値は漸次大きくなっているが、これは、心拍数の減少に対応しており、当明細書において、この状態を、現在のインターバル値が[減少]状態にあるという。
【0067】
状態判定条件(2−a):
許容範囲下限値(0.8)×過去10回平均インターバル値
> 現在のインターバル値 ・・・(21)
状態判定条件(2−b):
許容範囲上限値(1.2)×過去10回平均インターバル値
< 現在のインターバル値 ・・・(22)
【0068】
また、ステップS225における、状態判定条件(2−c)、(2−d)に基づく判定処理においては、上述した状態判定条件(2−a)、(2−b)に基づく判定処理おいて判定された現在のインターバル値の[増加]または[減少]の変化状態に応じて、後述する運動状態判定処理により判定されてセットされた「運動状態判定情報」との比較を行い、インターバル値の有効、無効を判定する。具体的には、上述した状態判定条件(2−a)に基づく判定処理おいて、現在のインターバル値が[増加]状態と判定された場合には、次の状態判定条件(2−c)に基づいて、現在のインターバル値の有効、無効が判定される。
【0069】
状態判定条件(2−c):
上述した状態判定条件(2−a)が成立し、現在のインターバル値が平均インターバル値の許容範囲下限値よりも小さい場合には、上記の「運動状態判定情報」との比較を行い、「運動状態判定情報」が、歩行[UP]または走行[UP]のときには「有効」と判定する。一方、「運動状態判定情報」が歩行[UP]または走行[UP]以外のときには「無効」と判定する。
【0070】
また、上述した状態判定条件(2−b)に基づく判定処理において、現在のインターバル値が[減少]状態と判定された場合には、次の状態判定条件(2−d)に基づいて、現在のインターバル値の有効、無効が判定される。
【0071】
状態判定条件(2−d):
上述した状態判定条件(2−b)が成立し、現在のインターバル値が平均インターバル値の許容範囲上限値よりも大きい場合には、上記の「運動状態判定情報」との比較を行い、「運動状態判定情報」が、停止、歩行[DOWN]または走行[DOWN]のときには「有効」と判定する。一方、「運動状態判定情報」が停止、歩行[DOWN]または走行[DOWN]以外のときには「無効」と判定する。
【0072】
上述したステップS225において、CPU114により現在のインターバル値が「無効」と判定された場合には、本心拍数算出処理を終了し、一方、現在のインターバル値が「有効」と判定された場合には、ステップS226において、CPU114は、「許容範囲下限値」または、「許容範囲上限値」を広げるように「インターバル判定値」を変更して、本心拍数算出処理を終了する。
【0073】
ここで、上述したステップS224〜S228を含むインターバル値判定処理について、発明者が検証した具体的な数値を示す。心拍センサ111により出力された心拍データである波形信号に基づいて取得された現在のインターバル値が60(200BPM)である場合、表2の管理情報に示す「許容範囲下限値」および「許容範囲上限値」としてデフォルト値を「0.8」、「1.2」に設定した場合には、上述した適正判定条件(1−a)、(1−b)に基づく判定処理において、現在のインターバル値が次の条件式(31)の範囲内であれば有効と判定される。
48(250BPM) ≦ 60(現在のインターバル値) ≦ 72(166BPM)
・・・(31)
一方、現在のインターバル値が例えば75と計時された場合には、上記の適正判定条件(1−a)に基づく判定処理において、無効と判定される。
【0074】
次に、上述した状態判定条件(2−a)〜(2−d)に基づく判定処理おいて、現在のインターバル値が有効と判定された場合には、表2の管理情報に示す「許容範囲上限値」の倍率を「1.2」から「1.3」に変更し、心拍センサ111の次の心拍データのサンプリング時には、当該変更された「許容範囲上限値」を使用することにより、適正判定条件(1−a)、(1−b)に基づく判定処理において、現在のインターバル値が次の条件式(32)の範囲内には入り、有効と判定される。
48(250BPM) ≦ 60(現在のインターバル値) ≦ 78(153BPM)
・・・(32)
【0075】
ここで、「許容範囲上限値」の倍率の変更量は、変更前の「許容範囲上限値」に対して1.1を乗じた値について、有効桁数を2桁としたものである。同様に、「許容範囲下限値」の倍率の変更量は、変更前の「許容範囲上限値」に対して0.9を乗じた値について、有効桁数を2桁としてよい。なお、「許容範囲上限値」または「許容範囲下限値」の倍率を変更した後に、条件式(32)を満たさないことがあれば、その場合は、機器の故障と見なす。
【0076】
(運動状態判定処理の具体例)
次に、上述した心拍数算出処理に適用される運動状態判定処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る運動支援方法に適用される運動状態判定処理を示すフローチャートである。
【0077】
本実施形態に係る運動支援方法に適用される運動状態判定処理は、CPU114によりアルゴリズムプログラムの運動状態判定処理のモジュールを呼び出す(コールする)ことによって、処理動作が開始される。
【0078】
本実施形態に適用される運動状態判定処理においては、具体的には
図10に示すように、CPU114は、まずステップS311において、上述した歩数算出処理により算出された「計時情報」に基づいて、ユーザUSが[停止]状態か否かを判定する。具体的には、CPU114は、歩数算出処理により算出された計時データが保存された「計時情報」から10秒分の計時データを読み出し、これらの計時データが「0」か否かを判定する。10秒分の計時データがすべて「0」の場合には、CPU114は、ユーザUSが[停止]状態にあると判定し、ステップS312において、「運動状態判定情報」に[停止]情報をセットする。一方、ステップS311において、10秒分の計時データのうちいずれかが「0」ではない場合には、CPU114は、ユーザUSが[停止]状態にはないと判定し、ステップS313に進む。
【0079】
次いで、CPU114は「計時情報」の変化状態に基づいて運動状態を判定する。具体的には、ステップS313において、CPU114は、「計時情報」から10秒分の計時データを読み出し、10秒前と現在の運動状態が、歩行状態または走行状態のどちらであるかを判定する。ここで、1秒当たりの歩数が、2.35未満の場合に歩行状態であり、2.35以上の場合に走行状態であると判定する。そして、10秒前の運動状態が歩行状態であって、且つ、1秒当たりの歩数が10秒前よりも現在の方が多い場合には、CPU114は、ユーザUSが[歩行UP]状態(歩行アップ状態)にあると判定し、ステップS314において、「運動状態判定情報」に[歩行UP]情報をセットする。一方、CPU114は、ユーザUSが[歩行UP]状態にはないと判定した場合には、ステップS315に進む。
【0080】
次いで、ステップS315において、CPU114は、「計時情報」から10秒分の計時データを読み出し、10秒前の運動状態と現在の運動状態が両方とも歩行状態であって、且つ、1秒当たりの歩数が10秒前よりも現在の方が少ない場合には、CPU114は、ユーザUSが[歩行DOWN]状態(歩行ダウン状態)にあると判定し、ステップS316において、「運動状態判定情報」に[歩行DOWN]情報をセットする。一方、ステップS315において、CPU114は、ユーザUSが[歩行DOWN]状態にはないと判定した場合には、ステップS317に進む。
【0081】
次いで、ステップS317において、CPU114は、「計時情報」から10秒分の計時データを読み出し、10秒前の運動状態と現在の運動状態が両方とも走行状態であって、且つ、1秒当たりの歩数が10秒前よりも現在の方が多い場合には、CPU114は、ユーザUSが[走行UP]状態(走行アップ状態)にあると判定し、ステップS318において、「運動状態判定情報」に[走行UP]情報をセットする。一方、ステップS317において、CPU114は、ユーザUSが[走行UP]状態にはないと判定した場合には、ステップS319に進む。
【0082】
次いで、ステップS319において、CPU114は、「計時情報」から10秒分の計時データを読み出し、10秒前の運動状態が走行状態であって、且つ、1秒当たりの歩数が10秒前よりも現在の方が少ない場合には、CPU114は、ユーザUSが[走行DOWN]状態(走行ダウン状態)にあると判定し、ステップS320において、「運動状態判定情報」に[走行DOWN]情報をセットする。一方、ステップS319において、CPU114は、ユーザUSが[走行DOWN]状態にはないと判定した場合には、本処理を終了する。
【0083】
このような一連の運動状態判定処理により、
図7(a)、(b)に示したように、加速度センサ112からの加速度データを示す波形信号において、「歩数」と判定した波形信号レベルのピーク値間の時間を測定することによって、ユーザUSが停止中であるか、歩行中であるか、走行中であるか、の運動状態が判定される。そして、このユーザUSの運動状態がセットされた「運動状態判定情報」を、上述した心拍数算出処理において実行される比較処理(ステップS225)において、現在のインターバル値の変化状態との比較に適用して、インターバル値の有効、無効が判定され、有効と判定されたインターバル値に基づいて心拍数が算出される。すなわち、
図9(a)、(b)に示した心拍センサ111からの心拍データを示す波形信号において、ユーザUSの運動(体動)に起因するノイズ信号の信号レベルのピーク値を誤検出して計測されたインターバル値1c〜5cは無効と判定される。一方、本来の心拍信号の信号レベルのピーク値を検出して計測されたインターバル値1a〜2a、1b〜3bは有効と判定されて、当該有効と判定されたインターバル値1a〜2a、1b〜3bに基づいて心拍数(1分間の心拍の回数)が算出される。
【0084】
そして、上述した運動支援装置および運動支援方法によって算出された心拍数、歩数、および、運動状態判定情報を含む運動情報は、センサ機器100の通信機能部118を介して、所定の通信方式を用いて、インターフェース機器200に伝送される。インターフェース機器200は、受信した運動情報を相互に関連付けて、運動情報保存用メモリ214の所定の記憶領域に保存する。
【0085】
次いで、ユーザUSへの運動情報、支援情報の提供動作においては、インターフェース機器200は、CPU213により運動情報保存用メモリ214に保存された上記の運動情報を読み出して、
図1(c)に示したように、数値情報や文字情報を用いて表示部211に所定の表示形式で表示する。ここで、表示部211に表示される運動情報は、運動中のユーザUSの現在または直近の歩数や心拍数、走行時間、走行距離等であってもよいし、過去の運動情報を表示するものであってもよい。
【0086】
また、インターフェース機器200は、CPU213により運動情報保存用メモリ214から読み出した運動情報(すなわち、歩数や心拍数、運動状態等)を任意のアルゴリズムを用いて分析し、正常な歩数や心拍数、運動状態であるか否かを判断して、その判断結果に基づく支援情報を表示部211に表示するものであってもよい。この場合の支援情報の提供方法は、例えば、特にアドバイスする事項について、数値情報を強調表示する方法や、例えば「心拍数が高くなっています」、「ペースを落としてください」等の特定のメッセージ(文字情報)を表示する方法、表示部211の全域や一部の領域における表示色を変化させたり、点滅表示させる発光状態を変化させる方法等を、単独でまたは任意に組み合わせて適用することができる。さらに、インターフェース機器200は、これらの運動情報や支援情報の表示に加えて、または、これらの情報の表示に替えて、音響部を備えて特定の音パターンや音声により上記の運動情報や支援情報を提供したり、振動部を備えて特定の振動により上記の運動情報や支援情報を提供するものであってもよい。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザUSの運動状態に基づいて、心拍数の増加または減少を把握して、心拍データに含まれるノイズ成分を良好に除去することができ、運動状態に関わらず(特に、運動が沈静化した後の)、心拍数の変化(減少)を確実に検出して測定することができる。したがって、ユーザUSは、運動時に、あるいは、運動後に、インターフェース機器200を介して歩数や心拍数を含む運動情報を正確かつ的確に把握することができ、健康管理や、競技やトレーニングにおける記録の向上に役立てることができる。
【0088】
なお、上述した実施形態においては、ユーザUSに運動情報や支援情報を提供するインターフェース機器200として、表示部や音響部等を備えた、腕時計型やリストバンド型の専用の受信端末を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ユーザUSに提供する運動情報や支援情報を、ユーザUSが認識しやすい位置、または、認識できる位置に装着するものであれば、他の構成のインターフェース機器を適用するものであってもよいし、身体の他の部位に装着するものであってもよい。すなわち、本発明に適用されるインターフェース機器としては、専用の受信端末の他、例えば、腕時計や携帯電話機、スマートフォン等の汎用の電子機器を適用して、手首や上腕等に装着するものであってもよいし、表示部の機能を備えた眼鏡型の表示機器(いわゆる、ディスプレイグラス)や、音響部の機能を備えた音声機器(例えば、メディアプレーヤ)を適用するものであってもよい。
【0089】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る運動情報検出装置が適用される運動支援装置の第2の実施形態について説明する。ここでは、上述した第1の実施形態に示した構成(
図1〜
図3)および方法(
図4〜
図10)を参照しながら説明する。
【0090】
上述した第1の実施形態においては、ユーザUSの胸部に装着したセンサ機器100において、心拍センサ111および加速度センサ112から取得したセンサデータを加工処理して、歩数および心拍数を含む運動情報を算出し、これらの情報を手首に装着したインターフェース機器200に伝送してユーザUSに提供する構成について説明した。第2の実施形態においては、センサ機器100において、心拍センサ111および加速度センサ112から取得したセンサデータをインターフェース機器200に伝送して、インターフェース機器200において、センサデータを加工処理して、歩数および心拍数を含む運動情報を算出し、ユーザUSに提供する構成を有している。
【0091】
第2の実施形態に係る運動支援装置は、上述した第1の実施形態に示した構成(
図1〜
図3参照)と同様に、センサ機器100と、インターフェース機器200と、を有している。本実施形態に係るセンサ機器100においては、第1の実施形態に示した具体構成(
図2参照)において、フラッシュメモリ116は、心拍センサ111や加速度センサ112におけるセンシング動作や、通信機能部118におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムのみを保存する。また、作業用メモリ117は、上記制御プログラムを実行する際に使用、または、生成される各種データのみを一時的に保存する。
【0092】
CPU114は、上記のフラッシュメモリ116に保存された制御プログラムに従って処理を行うことにより、心拍センサ111や加速度センサ112におけるセンシング動作や、通信機能部118におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。通信機能部118は、心拍センサ111や加速度センサ112により取得されたセンサデータを、インターフェース機器200に伝送する際のインターフェースとして機能する。
【0093】
すなわち、本実施形態においては、センサ機器100は、心拍センサ111や加速度センサ112により検出されたセンサデータを、センサデータ保存用メモリ115に保存するとともに、通信機能部118を介して、インターフェース機器200に伝送する機能のみを有している。ここで、センサデータ保存用メモリ115が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、上記通信機能部118を介することなく、当該リムーバブル記憶媒体をセンサ機器100から着脱して、保存したセンサデータを他の機器に移行可能な場合には、センサ機器100は通信機能部118を備えている必要はなく、この場合、センサ機器100はデータロガーとして機能する。
【0094】
一方、本実施形態に係るインターフェース機器200においては、第1の実施形態に示した具体構成(
図3参照)において、フラッシュメモリ215は、表示部211における運動情報や支援情報の表示動作や、通信機能部217におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。また、フラッシュメモリ215は、センサ機器100から伝送されたセンサデータを加工し、ユーザUSの歩数や心拍数、運動状態等の運動情報を出力するアルゴリズムプログラムを保存する。さらに、フラッシュメモリ215は、運動情報に基づいて、ユーザUSの運動状態の良否を判断して、その判断結果に基づく支援情報を出力するアルゴリズムプログラムを保存するものであってもよい。作業用メモリ216は、上記制御プログラムおよびアルゴリズムプログラムを実行する際に使用、または、生成される各種データを一時的に保存する。
【0095】
CPU213は、上記のフラッシュメモリ215に保存されたアルゴリズムプログラムに従って処理を行うことにより、CPU213内部でセンサ機器100から伝送されたセンサデータを加工し、歩数や心拍数、運動状態を出力する動作を実行する。また、CPU213は、制御プログラムに従って処理を行うことにより、表示部211における運動情報や支援情報の表示動作や、通信機能部217におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。通信機能部217は、センサ機器100との間で、無線や有線による通信方式を用いて、少なくともセンサデータを伝送する際のインターフェースとして機能する。
【0096】
すなわち、本実施形態においては、インターフェース機器200は、センサ機器100から伝送されたセンサデータを、運動情報保存用メモリ214に保存するとともに、当該センサデータを加工して、歩数や心拍数、運動状態を出力し、表示部211を介してユーザUSに提供する機能を有している。
【0097】
本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、運動時の心拍数の増加または減少を把握して、心拍データに含まれるノイズを良好に除去することができ、運動状態に関わらず、心拍数の変化を正確に検出して測定することができるので、ユーザUSは、インターフェース機器を介して歩数や心拍数を含む運動情報を正確かつ的確に把握することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1の実施形態に示したセンサデータの加工処理を、インターフェース機器200において行うことができるので、第1の実施形態に示した場合に比較して、センサ機器100における処理負担を軽減することができ、センサ機器100の小型軽量化や、動作電源の長寿命化を図ることができる。
【0099】
<変形例>
次に、本実施形態に係る運動支援装置の変形例について説明する。
図11、
図12は、第2の実施形態に係る運動支援装置の変形例を示す概略構成図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については同等の符号を付して、その説明を簡略化または省略する。
【0100】
本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、インターフェース機器は、腕時計型やリストバンド型の受信端末に限定されるものではない。例えば
図11に示すように、パーソナルコンピュータ310や携帯電話機320、スマートフォン330等の各種の電子機器を適用するものであってもよいし、例えば
図12に示すように、これらの電子機器に加え、ネットワーク400上のサーバ410等を適宜組み合わせて適用するものであってもよい。ここで、インターフェース機器として適用されるパーソナルコンピュータ310や携帯電話機320、スマートフォン330等の各種の電子機器や、ネットワーク400上のサーバ410には、上述した各実施形態に示した運動支援方法を実行するための制御プログラムおよびアルゴリズムプログラムが組み込まれている。また、センサ機器100から各種の電子機器へのセンサデータの伝送は、無線や有線による通信方式を用いるものであってもよいし、メモリカード等のリムーバブル記憶媒体を介して行うものであってもよい。各種の電子機器において上記のセンサデータを加工処理して出力された歩数や心拍数を含む運動情報や支援情報は、当該電子機器に設けられた表示装置を介してユーザUSに提供される。また、ネットワーク400上のサーバ410においてセンサデータを加工処理して出力された歩数や心拍数を含む運動情報や支援情報は、例えばネットワーク400を介して任意の電子機器に伝送され、当該電子機器に設けられた表示装置を介してユーザUSに提供される。
【0101】
このような変形例に係る構成においても、上述した第2の実施形態と同様に、センサデータの加工処理を、任意の電子機器やサーバにおいて行うことができるので、第1の実施形態に示した場合に比較して、センサ機器100における処理負担を軽減することができ、センサ機器100の小型軽量化や、動作電源の長寿命化を図ることができる。
【0102】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0103】
(付記)
[1]
人体に接触され、波形信号を有する心拍データを検出する心拍センサと、
前記人体の運動状態に関連する運動データを検出する運動状態検出部と、
前記運動状態検出部により検出された前記運動データに基づいて、前記人体の前記運動状態を判定する運動状態判定部と、
前記運動状態判定部により判定された前記運動状態に基づいて、前記心拍データの前記波形信号に含まれる複数のピークの中から、前記人体の動作に起因する無効なピークをノイズ成分として除去して、当該ノイズ成分除去後の前記波形信号を用いて単位時間当たりの心拍数を算出する心拍数算出部と、
を備えることを特徴とする運動情報検出装置である。
【0104】
[2]
前記運動状態検出部は、前記人体の運動状態に関連する波形信号を有する前記運動データを検出し、
前記運動状態判定部は、前記運動データに含まれる前記波形信号の信号レベルのピーク値間の計時データに基づいて、前記人体の前記運動状態を判定することを特徴とする[1]記載の運動情報検出装置である。
【0105】
[3]
前記運動状態検出部は、前記人体の運動に伴って生じる加速度を検出する加速度センサを有し、
前記運動データは前記加速度センサによって検出された加速度データであって、
前記運動状態判定部は、
前記加速度データに含まれる前記波形信号の前記信号レベルのピークに基づいて、単位時間当たりの前記人体の歩数を算出し、
前記単位時間当たりの歩数に対応する前記計時データが既定値未満である場合に前記人体の前記運動状態が歩行状態であると判定するとともに、前記計時データが既定値以上である場合に、前記人体の前記運動状態が走行状態であると判定し、さらに、
既定の時間だけ過去の前記計時データに基づいて、前記既定の時間だけ過去の前記人体の前記運動状態が歩行状態であると判定し、且つ、前記既定の時間だけ過去の前記単位時間当たりの歩数よりも現在の前記単位時間当たりの歩数が多いと判定した場合には、前記人体の前記運動状態が歩行アップ状態であると判定し、
既定の時間だけ過去の前記計時データに基づいて、前記既定の時間だけ過去の前記人体の前記運動状態と現在の前記人体の前記運動状態とがともに歩行状態であると判定し、且つ、前記既定の時間だけ過去の前記単位時間当たりの歩数よりも現在の前記単位時間当たりの歩数が少ないと判定した場合には、前記人体の前記運動状態が歩行ダウン状態であると判定し、
既定の時間だけ過去の前記計時データに基づいて、前記既定の時間だけ過去の前記人体の前記運動状態と現在の前記人体の前記運動状態とがともに走行状態であると判定し、且つ、前記既定の時間だけ過去の前記単位時間当たりの歩数よりも現在の前記単位時間当たりの歩数が多いと判定した場合には、前記人体の前記運動状態が走行アップ状態であると判定し、
既定の時間だけ過去の前記計時データに基づいて、前記既定の時間だけ過去の前記人体の前記運動状態が走行状態であると判定し、且つ、前記既定の時間だけ過去の前記単位時間当たりの歩数よりも現在の前記単位時間当たりの歩数が少ないと判定した場合には、前記人体の前記運動状態が走行ダウン状態であると判定することを特徴とする[2]記載の運動情報検出装置である。
【0106】
[4]
前記心拍数算出部は、現在の単位時間当たりの心拍数が、既定の下限値以上かつ既定の上限値以下であって、かつ、直近の複数の単位時間当たりの心拍数の平均値に既定の第1係数を乗じた値以上かつ既定の第2係数を乗じた値以下である第1条件を満たす場合に、前記現在の単位時間当たりの心拍数を有効であると判定し、当該現在の単位時間当たりの心拍数に対応するピークを有効なピークとみなし、
前記第1条件を満たさない場合に、前記現在の単位時間当たりの心拍数を無効であると判定する、ことを特徴とする[3]に記載の運動情報検出装置である。
【0107】
[5]
前記心拍数算出部は、前記第1条件を満たさない場合に、さらに、
前記現在の単位時間当たりの心拍数が既定の上限値より大きく且つ前記運動状態が前記歩行アップ状態または前記走行アップ状態である、または、前記現在の単位時間当たりの心拍数が既定の下限値未満であり且つ前記運動状態が前記歩行ダウン状態または前記走行ダウン状態である、第2条件を満たす場合には、前記現在の単位時間当たりの心拍数を有効であると判定し、当該現在の単位時間当たりの心拍数に対応するピークを有効なピークとみなし、
前記第2条件を満たさない場合には、前記現在の単位時間当たりの心拍数を無効であると判定し、当該現在の単位時間当たりの心拍数に対応するピークを前記無効なピークとみなす、ことを特徴とする[4]に記載の運動情報検出装置である。
【0108】
[6]
前記心拍数算出部は、前記第2条件を満たす場合に、さらに、
前記現在の単位時間当たりの心拍数が既定の上限値より大きく且つ前記運動状態が前記歩行アップ状態または前記走行アップ状態である場合には、前記直近の複数の単位時間当たりの心拍数の平均値に1よりも大きい既定の倍率を乗じた値に、前記既定の第1係数を補正し、
前記現在の単位時間当たりの心拍数が既定の下限値未満であり且つ前記運動状態が前記歩行ダウン状態または前記走行ダウン状態である場合には、前記直近の複数の単位時間当たりの心拍数の平均値に1よりも小さい既定の倍率を乗じた値に、前記既定の第2係数を補正する、ことを特徴とする[5]に記載の運動情報検出装置である。
【0109】
[7]
人体に接触された心拍センサにより波形信号を有する心拍データを検出し、
運動状態検出部により前記人体の運動状態に関連する波形信号を有する運動データを検出し、
前記運動データに含まれる前記波形信号の信号レベルのピーク値間の計時データに基づいて、前記人体の前記運動状態を判定し、
前記判定された前記運動状態に基づいて、前記心拍データの前記波形信号に含まれる複数のピークの中から、前記人体の動作に起因する無効なピークをノイズ成分として除去して、当該ノイズ成分除去後の前記波形信号を用いて単位時間当たりの心拍数を算出することを特徴とする運動情報検出方法である。
【0110】
[8]
コンピュータに、
人体に接触された心拍センサにより波形信号を有する心拍データを検出させ、
運動状態検出部により前記人体の運動状態に関連する波形信号を有する運動データを検出させ、
前記運動データに含まれる前記波形信号の信号レベルのピーク値間の計時データに基づいて、前記人体の前記運動状態を判定させ、
前記判定された前記運動状態に基づいて、前記心拍データの前記波形信号に含まれる複数のピークの中から、前記人体の動作に起因する無効なピークをノイズ成分として除去して、当該ノイズ成分除去後の前記波形信号を用いて単位時間当たりの心拍数を算出させることを特徴とする運動情報検出プログラムである。