特許第5725109号(P5725109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725109
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/00 20150101AFI20150507BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20150507BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150507BHJP
【FI】
   F21V29/00 111
   F21S8/04 110
   F21V29/00 400
   F21Y101:02
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-183153(P2013-183153)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50158(P2015-50158A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 明日美
(72)【発明者】
【氏名】村井 卓生
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−130397(JP,A)
【文献】 特開2004−055229(JP,A)
【文献】 特開平08−017975(JP,A)
【文献】 特開2012−064700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/00
F21S 8/04
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源が搭載された光源部と、
前記光源部に取付けられ、前記光源部から発生する熱を放熱するヒートシンク台と、
前記ヒートシンク台に設けられ、前記光源に対する位置または角度が異なる複数のフィン取付部と、
前記複数のフィン取付部のうち少なくとも一部のフィン取付部に取付けられ、前記ヒートシンク台と共に前記光源部の放熱を行う放熱フィンと、を備え、
前記複数のフィン取付部のうちで前記放熱フィンを取付けるフィン取付部を変更することにより、1種類のヒートシンク台を用いて複数種類の照明装置を組立てることが可能な構成とした照明装置。
【請求項2】
光を照射する光源が搭載された光源部と、
前記光源部に取付けられ、前記光源部から発生する熱を放熱するヒートシンク台と、
前記ヒートシンク台に設けられ、前記光源に対する位置または角度が異なる複数のフィン取付部と、
前記複数のフィン取付部のうち少なくとも一部のフィン取付部に取付けられ、前記ヒートシンク台と共に前記光源部の放熱を行う放熱フィンと、
をそれぞれ備えた複数の照明ユニットにより構成され、
前記複数のフィン取付部のうちで前記放熱フィンを取付けるフィン取付部を変更することにより、1種類のヒートシンク台を用いて複数種類の照明ユニットを組立てることが可能な構成とした照明装置。
【請求項3】
前記複数の照明ユニットは、前記放熱フィンにより少なくも2個の照明ユニットを跨いで直線状に延びる空気の流路が形成されるように組立てる構成とした請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ヒートシンク台は四角形状に形成し、
前記フィン取付部は、前記放熱フィンを前記ヒートシンク台の一辺と平行に取付けることが可能な第1のフィン取付部と、前記放熱フィンを前記ヒートシンク台の対角線と平行に取付けることが可能な第2のフィン取付部とを含む構成としてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ヒートシンク台は3つ以上の辺を有する多角柱状に形成し、
前記光源は前記ヒートシンク台の軸方向の端面に配置し、
前記フィン取付部は、前記ヒートシンク台の各辺に対応する側面部にそれぞれ配置してなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ヒートシンク台には、当該ヒートシンク台からの突出寸法または面積が異なる複数種類の前記放熱フィンを設けてなる請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ヒートシンク台と前記放熱フィンとを異なる種類の金属材料により形成してなる請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLED(Light Emitting Diode)等を用いた照明装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、LEDを光源に用いた照明装置が広く知られている。一般に、LEDは温度が高くなると発光効率が低下し、寿命も短くなる傾向がある。このため、従来技術の照明装置は、LEDから放熱するためのヒートシンクを搭載するようにしている。具体的に述べると、例えば特許文献1に記載された従来技術では、1つの照明装置に対して1つのヒートシンクを搭載している。また、特許文献2及び3に記載された従来技術では、照明装置に搭載された個々の光源に対してそれぞれヒートシンクを搭載している。
【0003】
一方、LEDを用いた照明装置には、大光束の高天井用シーリングライト等のように、多数のLEDを実装したものがある。一例を挙げると、100Wクラスの照明装置には、通常の1Wタイプの表面実装型LEDが100個程度実装されている。このような大光束の照明装置は、各LEDの放熱性を高めるために、複数の放熱フィンを有する大型のヒートシンクを搭載するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−276467号公報
【特許文献2】特許第4805347号公報
【特許文献3】特開2009−289906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された従来技術では、1つの照明装置に対して1つのヒートシンクを搭載している。しかしながら、この場合には、大光束の照明装置を構成しようとすると、ヒートシンクの各放熱フィンの形状及び配置を個々のLEDに対して適切に設定するのが難しいという問題がある。特に、大光束の高天井用シーリングライト等においては、LEDの個数が増加すると、大型化したヒートシンクの各放熱フィンを自然対流により生じる風の流れ等に適合させるのが難しくなる。
【0006】
また、大光束の高天井用シーリングライト等においては、LEDを実装する基板とヒートシンクとをそれぞれアルミニウム等により形成することが多いので、両者の間に絶縁シートを介在させる必要があり、基板からヒートシンクに熱を効率よく伝導させるのが難しいという問題もある。一方、特許文献2及び3に記載された従来技術では、個々の光源に対してそれぞれヒートシンクを配置しているものの、単に同一形状のヒートシンクを複数配置したに過ぎず、自然対流により生じる風の流れ等については考慮されていないという問題がある。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、例えば複数の光源が搭載されている場合でも、放熱フィンの構造を最適化し、放熱性を向上させることが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、光を照射する光源が搭載された光源部と、光源部に取付けられ、光源部から発生する熱を放熱するヒートシンク台と、ヒートシンク台に設けられ、光源に対する位置または角度が異なる複数のフィン取付部と、複数のフィン取付部のうち少なくとも一部のフィン取付部に取付けられ、ヒートシンク台と共に光源部の放熱を行う放熱フィンと、を備え、複数のフィン取付部のうちで放熱フィンを取付けるフィン取付部を変更することにより、1種類のヒートシンク台を用いて複数種類の照明装置を組立てることが可能な構成としている。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源に対する放熱フィンの位置及び角度が異なる複数種類の照明装置を容易に組立てることができる。また、ヒートシンク台と放熱フィンとを個別の部品として形成しているので、1個の照明装置に搭載する放熱フィンの個数を容易に変更することができる。これにより、例えば光源の発熱量、熱分布等に応じて、放熱フィンの個数、配置及び向きを適切に設定し、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1による照明装置を前面側からみた外観図である。
図2図1に示す照明装置を後面側からみた斜視図である。
図3図2に示すヒートシンク台及び放熱フィンを側方からみた外観図である。
図4】本発明の実施の形態1によるヒートシンク台を単体で後面側からみた外観図である。
図5】本発明の実施の形態1において、放熱フィンの取付位置を変えた照明装置を斜め後方からみた斜視図である。
図6図5に示すヒートシンク台及び放熱フィンを側方からみた外観図である。
図7】本発明の実施の形態1において、高ワットタイプのLEDを用いた場合の変形例を示す図1と同様の外観図である。
図8】本発明の実施の形態2による照明装置を後面側からみた外観図である。
図9】本発明の実施の形態3による照明装置を後面側からみた外観図である。
図10】本発明の実施の形態4による照明装置を前面側からみた斜視図である。
図11図10に示す照明装置を前面側からみた外観図である。
図12図10に示す照明装置を後面側からみた外観図である。
図13】本発明の実施の形態5による照明装置を前面側からみた外観図である。
図14】本発明の実施の形態6による照明装置を前面側からみた外観図である。
図15】本発明の実施の形態7による照明装置を前面側からみた外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書で使用する各図においては、共通する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による照明装置を前面側からみた外観図であり、図2は、照明装置を後面側からみた斜視図である。これらの図に示すように、本実施の形態の照明装置1は、光源取付板2、LED3、基板4、ヒートシンク台5、放熱フィン6等を備えている。光源取付板2、LED3及び基板4は、照明装置1の前面側に配置された光源部を構成しており、ヒートシンク台5及び放熱フィン6は、照明装置1の後面側に配置された放熱部を構成している。
【0013】
光源取付板2は、光源部のベースを構成するもので、例えば四角形状の金属板等により形成されている。光源取付板2の表面(前面)側には、光を照射する光源である複数のLED3が基板4を介して搭載されている。本実施の形態では、例えば比較的小さな電力で作動する低ワットタイプのLED3を使用し、複数のLED3を四角形状の基板4の表面に格子状に並べて実装した場合を例示している。そして、光源取付板2の表面には、複数の基板4が互いに間隔をあけて実装されている。なお、光源取付板2と基板4の両方を金属材料により形成した場合には、両者間に絶縁シート等の絶縁材料を配置して光源取付板2と基板4とを絶縁する必要がある。絶縁シートを用いた場合には、光源取付板2と基板4とを密着させて両者間の熱伝導性を向上させることができる。
【0014】
次に、図2乃至図4を参照して、照明装置1の放熱部について説明する。ここで、図3は、図2に示すヒートシンク台及び放熱フィンを側方からみた外観図であり、図4は、ヒートシンク台を単体で後面側からみた外観図である。ヒートシンク台5は、放熱部のベースを構成するもので、例えば光源取付板2と同形状の金属板等により形成され、光源取付板2の裏面(後面)側に重ね合わせた状態で取付けられている。また、ヒートシンク台5には、放熱フィン6が取付けられる複数のねじ穴5A,5Bが形成されている。
【0015】
ヒートシンク台5及び放熱フィン6は、各LED3を含む光源部から発生する熱を放熱するもので、放熱フィン6は、例えば四角形状の平坦な金属板等により構成されている。放熱フィン6の基端側となる一辺はL字状に屈曲して形成され、この屈曲部にはヒートシンク台5のねじ穴5A,5Bにねじ止めされるねじ穴(図示せず)が形成されている。そして、放熱フィン6は、図2及び後述の図5に示すように、基端側がヒートシンク台5に着脱可能に取付けられることにより、ヒートシンク台5の裏面側から垂直に立った状態で突出し、光源部から発生する熱を周囲の空間に効率よく放熱するように構成されている。
【0016】
ここで、複数のねじ穴5Aは、図4に示すように、例えばヒートシンク台5の一辺と平行なD1方向に間隔をもって配置されると共に、D1方向と直交するD2方向に並べて配置されている。換言すると、ヒートシンク台5には、互いにD1方向に離間した複数のねじ穴5Aを1組として、複数組のねじ穴5AがD2方向に並べて配置されている。そして、照明装置1においては、図2及び図3に示すように、複数の放熱フィン6がねじ止めにより各組のねじ穴5Aにそれぞれ取付けられている。これらの放熱フィン6は、ヒートシンク台5の一辺と平行なD1方向に延在し、D2方向に間隔をもって並んでいる。
【0017】
一方、複数のねじ穴5Bは、前記D1方向に対して傾斜したD3方向に間隔をもって配置されると共に、D3方向と直交するD4方向に並べて配置されている。ここで、D3方向は、ヒートシンク台5の対角線と平行な方向として設定してもよい。ヒートシンク台5には、互いにD3方向に離間した複数のねじ穴5Bを1組として、複数組のねじ穴5BがD4方向に並べて配置されている。そして、各組のねじ穴5Bには、後述のように放熱フィン6が取付可能となっている。このように、ヒートシンク台5のねじ穴5A,5Bは、LED3に対する位置または角度が異なる2個のフィン取付部を構成しており、ねじ穴5Aは第1のフィン取付部に対応し、ねじ穴5Bは第2のフィン取付部に対応している。
【0018】
上記構成により、ヒートシンク台5のねじ穴5Bに放熱フィン6を取付けた場合には、図5及び図6に示す照明装置1′を組立てることができる。図5は、本発明の実施の形態1において、放熱フィンの取付位置を変えた照明装置を斜め後方からみた斜視図であり、図6は、図5に示すヒートシンク台及び放熱フィンを側方からみた外観図である。これらの図に示すように、照明装置1′においては、複数の放熱フィン6がねじ止めにより各組のねじ穴5Bにそれぞれ取付けられている。これらの放熱フィン6は、ヒートシンク台5の対角線と平行なD3方向に延在し、D4方向に間隔をもって並んでいる。
【0019】
なお、図4中に示すねじ穴5A(5B)は、ねじ穴5Aとねじ穴5Bとを兼用したものである。また、ヒートシンク台5には、ねじ穴5A,5Bの開口部位の表面側にナットを埋め込むためのザグリ穴を形成してもよい。これにより、放熱フィン6は、ボルト及びナットを用いてヒートシンク台5に固定することができる。
【0020】
以上詳述した通り、本実施の形態によれば、ヒートシンク台5のねじ穴5A,5Bを使い分けることにより、LED3に対する放熱フィン6の位置及び角度が異なる2種類の照明装置1,1′を容易に組立てることができる。また、ヒートシンク台5と放熱フィン6とを個別の部品として形成しているので、1個の照明装置1,1′に搭載する放熱フィン6の個数を容易に変更することができる。これにより、例えば光源取付板2の大きさ、LED3の搭載個数、総消費電力等に応じて、放熱フィン6の個数、配置及び向きを適切に設定することができる。
【0021】
具体的に述べると、本実施の形態では、放熱フィン6をヒートシンク台5の一辺と平行に取付けたり、対角線と平行に取付けることができる。これにより、例えばLED3の熱により生じる空気の対流の方向に対して、放熱フィン6の向きを一致させることができ、空気の対流を利用してLED3の熱を効率よく放熱することができる。また、ヒートシンク台5及び放熱フィン6を共通の部品として複数種類の放熱部を組立てることができるので、照明装置1,1′毎に形状が異なる専用のヒートシンク等を成形する必要がなくなり、少ない部品点数で最適な形状の放熱部を形成することができ、照明装置1,1′の放熱性を向上させることができる。
【0022】
また、本実施の形態では、部屋の壁面等に対してヒートシンク台5を平行に配置した状態で、図5に示すように、放熱フィン6をヒートシンク台5の対角線の方向に延在させることができる。これにより、LED3から発生する熱の対流を考慮するだけでなく、壁面等に配置した照明装置1,1′の美観によっても放熱フィン6の向きを決定することができる。即ち、例えば放熱フィン6が壁面等に対して斜めに配置されることで美観が低下するのを回避することができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、ヒートシンク台5にフィン取付部となるねじ穴5A,5Bを設け、放熱フィン6をねじ止めによりヒートシンク台5に取付ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、ヒートシンク台にフィン取付部となる長溝を形成し、放熱フィンを長溝に嵌め込むことでヒートシンク台に取付ける構成としてもよい。
【0024】
また、本実施の形態では、1種類の放熱フィン6をヒートシンク台5に取付ける場合を例示した。しかし、本発明は、放熱フィン6を、ヒートシンク台5に対して着脱可能な個別の部品として構成しているので、形状または面積が異なる複数種類の放熱フィン6を1個のヒートシンク台5に取付ける構成としてもよい。具体例を挙げると、LED3が密集して配置されている部分では、ヒートシンク台5からの突出寸法(高さ寸法)または面積が大きな放熱フィン6をヒートシンク台5に取付けることで、放熱効率を高めてもよい。また、LED3が密集していない部分では、高さ寸法または面積が比較的小さな放熱フィン6をヒートシンク台5に取付けてもよい。このように、本実施の形態によれば、LED3の熱分布等に応じて各部の放熱フィン6をそれぞれ最小限の大きさに形成することができるので、放熱部の小型軽量化が容易な照明装置を実現することができる。
【0025】
また、放熱部(ヒートシンク)の材質としては、アルミニウム等のように熱伝導率が大きな金属材料を用いるのが好ましい。しかし、放熱部の形状が複雑な場合には、熱伝導率が比較的小さなアルミダイカスト等を用いて放熱部を形成するのが一般的である。これに対し、本実施の形態では、ヒートシンク台5と放熱フィン6とを個別の部品として構成しているので、放熱フィン6の形状を押出し成形が可能な単純形状に設定し、アルミニウム等の金属材料を用いて熱伝導率が高い放熱フィン6を形成することができる。
【0026】
さらに、本実施の形態では、ヒートシンク台5と放熱フィン6とをそれぞれ異なる種類の金属材料により形成してもよい。具体例を挙げると、放熱フィン6をアルミニウムにより形成し、ヒートシンク台5は、アルミニウムよりも高価だが熱伝導率が大きな銅により形成してもよい。これにより、放熱部のコストアップを抑えつつ、ヒートシンク台5を含む平面に沿った方向において放熱部の熱伝導性を高めることができる。従って、放熱部の放熱性能、コスト、強度等をバランスよく改善することができる。
【0027】
なお、前記実施の形態1では、低ワットタイプのLED3を用いる場合を例示した。しかし、本発明は、図7に示す変形例のように、照明装置1″の光源として、例えばCOB(チップオンボード)により構成された高ワットタイプのLED3′を用いてもよい。なお、図7は、本発明の実施の形態1において、高ワットタイプのLEDを用いた場合の変形例を示す図1と同様の外観図である。
【0028】
また、実施の形態1では、1種類の形状を有する複数の放熱フィン6を用いる場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、1個の照明装置に対して、互いに形状が異なる複数種類の放熱フィンを用いる構成としてもよい。また、ヒートシンク台5に設ける放熱フィン6は1個のみであってもよい。
【0029】
実施の形態2.
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。図8は、本発明の実施の形態2による照明装置を後面側からみた外観図である。この図に示すように、本実施の形態による照明装置21は、例えば2個の照明ユニット22により構成されている。個々の照明ユニット22は、前記実施の形態1による照明装置1と同様に構成され、複数の放熱フィン6がヒートシンク台5の一辺と平行に取付けられている。
【0030】
そして、各照明ユニット22は、互いの放熱フィン6が直線状に並んだ状態、即ち、放熱フィン6の向きを互いに揃えた状態で一体化され、照明装置21を構成している。より詳しく述べると、これらの照明ユニット22の放熱フィン6は、各照明ユニット22を跨いで直線状に延びる複数の対流通路23を形成している。そして、対流通路23は、LED3の熱により発生する空気の対流が流れる流路を構成している。
【0031】
このように構成される本実施の形態によれば、LED3の熱により生じた空気の対流を対流通路23に沿って流通させることができ、複数の照明ユニット22を跨ぐ対流を安定的に形成することができる。これにより、前記実施の形態1と同様の効果に加えて、大型の照明装置21においても放熱性を高めることができる。
【0032】
実施の形態3.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。図9は、本発明の実施の形態3による照明装置を後面側からみた外観図である。この図に示すように、本実施の形態による照明装置31は、例えば4個の照明ユニット32により構成されている。個々の照明ユニット32は、前記実施の形態1による照明装置1′と同様に構成され、複数の放熱フィン6がヒートシンク台5の対角線と平行に取付けられている。また、4個の照明ユニット32は、ヒートシンク台5が同一平面上に格子状に配置され、2組の照明ユニット32がそれぞれヒートシンク台5の対角線の方向において対向している。
【0033】
そして、各組の照明ユニット32は、互いの放熱フィン6が前記対角線と平行な方向において直線状に並んだ状態、即ち、放熱フィン6の向きを互いに揃えた状態で一体化されている。これらの放熱フィン6は、各照明ユニット32を跨いで直線状に延びる複数の対流通路33を形成している。そして、対流通路33は、LED3の熱により発生する空気の対流が流れる流路を構成している。
【0034】
このように構成される本実施の形態によれば、4個の照明ユニット32を一体化した照明装置31においても、対流通路33を形成することができ、前記実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0035】
実施の形態4.
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。図10は、本発明の実施の形態4による照明装置を前面側からみた斜視図である。図11は、図10に示す照明装置を前面側からみた外観図であり、図12は、照明装置を後面側からみた外観図である。これらの図に示すように、本実施の形態による照明装置41は、ヒートシンク台42、放熱フィン43及び前述のLED3′を備えている。
【0036】
ヒートシンク台42は、例えば金属材料により3つ以上の辺を有する多角柱状に形成されており、その軸方向の片側の端面は、LED3′が取付けられた光源取付部42Aを構成している。光源取付部42A及びLED3′は、照明装置41の前面側に配置された光源部を構成し、ヒートシンク台42及び放熱フィン43は、照明装置41の後面側に配置された放熱部を構成している。なお、ヒートシンク台42は多角形状の中実な金属柱により形成してもよいし、図12に示すように、多角形状の中空な金属筒により形成してもよい。また、中実な金属柱にザグリを入れて軽量化したものでもよい。但し、ヒートシンク台42の熱伝導性は、ザグリのない中実な金属柱を用いた場合に最良となる。
【0037】
ヒートシンク台42の側面部には、多角形の各辺に対応する位置に平面状のフィン取付部42Bがそれぞれ設けられている。これらのフィン取付部42Bは、LED3′に対する位置または角度が異なる複数の部位に配置されているもので、各フィン取付部42Bには、例えばねじ止め等の手段により複数の放熱フィン43が取付可能となっている。なお、本実施の形態では、ヒートシンク台42を六角柱状に形成して6個のフィン取付部42Bを設け、全てのフィン取付部42Bに放熱フィン43を2個ずつ取付けた状態を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、ヒートシンク台42を六角形以外の多角柱状に形成してもよい。
【0038】
放熱フィン43は、例えば四角形状の平坦な金属板等により構成されている。放熱フィン6の基端側となる一辺はL字状に屈曲して形成され、この屈曲部はヒートシンク台42のフィン取付部42Bに取付可能となっている。そして、放熱フィン43は、図11及び図12に示すように、基端側がヒートシンク台42のフィン取付部42Bに着脱可能に取付けられることにより、ヒートシンク台42の側面部から垂直に立った状態で突出している。また、各フィン取付部42Bに取付けられた放熱フィン43を全体としてみると、LED3′を中心として放射状に配置されている。これにより、放熱フィン43は、光源部から発生する熱を周囲の空間に効率よく放熱するように構成されている。
【0039】
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。即ち、ヒートシンク台42の何れのフィン取付部42Bに放熱フィン43を取付けるかによって、後述のように複数種類の照明装置を構成することができる。また、ヒートシンク台42と放熱フィン43とを個別の部品として形成しているので、1個の照明装置に搭載する放熱フィン43の個数を変更したり、形状が異なる複数種類の放熱フィン43を搭載することを容易に行うことができる。
【0040】
実施の形態5.
次に、図13を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。図13は、本発明の実施の形態5による照明装置を前面側からみた外観図である。この図に示すように、本実施の形態による照明装置51は、例えば2個の照明ユニット52により構成されている。個々の照明ユニット52は、前記実施の形態4による照明装置41とほぼ同様に構成されているものの、放熱フィン43は5個のフィン取付部42Bに取付けられ、他の1個のフィン取付部42Bには放熱フィン43が存在しない状態となっている。
【0041】
また、各照明ユニット52のヒートシンク台42は、互いに軸線が平行に配置され、かつ、放熱フィン43を取付けていないフィン取付部42Bが互いに対向するように配置されている。この状態で、各照明ユニット52は一体化され、大型の照明装置51を構成している。このように、複数の照明ユニット52を一体化した場合には、熱源であるLED3′が密集した状態となるので、照明ユニット52同士が対向する部位に放熱フィンを配置すると、放熱フィンが有効に機能せず、ヒートシンク台42の放熱性が低下し易い。このため、本実施の形態では、照明ユニット52同士の対向部位となるフィン取付部42Bには、放熱フィン43を配置せず、フィン取付部42B同士を対向させることにより、ヒートシンク台42間の熱伝導性を高める構成としている。
【0042】
このように構成される本実施の形態によれば、複数の照明ユニット52を一体化した場合において、一部の放熱フィン43を取外した構成を容易に実現することができる。これにより、前記実施の形態4と同様の部品を用いて、ヒートシンク台42間の熱伝導性を高めたり、LED3′の熱により発生する対流に沿った方向にのみ放熱フィン43を配置することができる。従って、大型の照明装置51においても、前記実施の形態4と同様の効果に加えて、照明装置51全体の放熱性を向上させることができる。
【0043】
実施の形態6.
次に、図14を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。図14は、本発明の実施の形態6による照明装置を前面側からみた外観図である。この図に示すように、本実施の形態による照明装置61は、前記実施の形態5とほぼ同様に、例えば2個の照明ユニット62を平行に配置することにより構成されている。また、個々の照明ユニット62において、放熱フィン43は、例えば6個のフィン取付部42Bのうち相手方の照明ユニット62から離れた3個のフィン取付部42Bだけに取付けられ、相手方の照明ユニット62寄りに位置する3個のフィン取付部42Bには放熱フィン43が存在しない状態となっている。
【0044】
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態5と同様の効果を得ることができる。特に、実施の形態5と比較して、ヒートシンク台42間の距離を短くしたり、互いに対向するフィン取付部42B同士を密着させることができるので、ヒートシンク台42間の熱伝導性を更に向上させることができる。
【0045】
実施の形態7.
次に、図15を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。図15は、本発明の実施の形態7による照明装置を前面側からみた外観図である。この図に示すように、本実施の形態による照明装置71は、前記実施の形態5による照明ユニット52と、前記実施の形態6による照明ユニット62とを組合わせることにより構成されている。これらの照明ユニット52,62は、ヒートシンク台42が互いに軸線が平行に配置され、かつ、放熱フィン43を取付けていないフィン取付部42Bが互いに対向するように配置されている。このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態6と同様の効果を得ることができ、例えば互いに対向するフィン取付部42B同士を密着させて熱伝導性を向上させることができる。
【0046】
なお、前記実施の形態5乃至7では、複数の照明ユニット52,62を組合わせて一体化する場合において、有効に機能しない放熱フィン43を取付けない構成とした。この構成は、実施の形態2,3にも適用することができる。さらに言えば、実施の形態1乃至7では、それぞれ個別の構成を例示したが、本発明は、これらの個々の構成のみに限定されるものではない。即ち、本発明では、例えば実施の形態1乃至7のうち組合わせが可能な複数の構成を組合わせることにより、単一の照明装置を実現してもよい。具体例を挙げると、実施の形態2乃至7において、形状または面積が異なる複数種類の放熱フィン43を1個のヒートシンク台42に取付けてもよいし、ヒートシンク台42と放熱フィン43とをそれぞれ異なる種類の金属材料により形成してもよい。
【0047】
また、実施の形態1乃至7では、放熱性を向上させるために、放熱フィン6,43の表面にアルミニウムの陽極酸化皮膜を形成する処理(所謂アルマイト処理)を行う構成としてもよい。
【0048】
また、実施の形態1乃至7では、光源としてLED3,3′を例示したが、本発明はLEDに限らず、他の各種の光源に適用されるものである。
【符号の説明】
【0049】
1,1′,21,31,41,51,61,71 照明装置,2 光源取付板(光源部),3,3′ LED(光源部、光源),4 基板(光源部),5,42 ヒートシンク台,5A,5B ねじ穴(フィン取付部),6,43 放熱フィン,22,32,52,62 照明ユニット,23 対流通路(空気の流路),42A 光源取付部,42B フィン取付部
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