(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モニタセンサの光電変換部は、モニタリング対象となるラインセンサと同じ強度の光を受光する必要があり、ラインセンサの受ける光量とほぼ同等になる必要がある。そのため、モニタリング対象となるラインセンサの長手方向全体をカバーするようにモニタセンサの光電変換部の長さを確保しなければならない。また、モニタセンサの感度を上げるためには、光電変換部の幅を広げて光電変換部のサイズを全体的に拡大する必要性がある。
【0008】
しかしながら、モニタセンサの光電変換部のサイズを大きくすると、その分だけモニタセンサの画素信号読み出し回路をラインセンサ配列方向に沿って外側の位置に配置しなければならず、画素信号読み出し回路の配設がラインセンサ間のピッチを拡大させる。被写体像に対し多くの測距ポイントを確保するためには、結像光学系によって規定される投影領域内にできるだけ多くのラインセンサを並べる必要があるが、ラインセンサ間のピッチ拡大は、配置するラインセンサ数の制限を招く。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の焦点検出装置は、測距エリアを数多く確保しながらモニタセンサが対象となるラインセンサとほぼ同等の光を受光し、精度よくモニタリングすることが可能な焦点検出装置であり、被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、複数のラインセンサの側(そば)にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備える。カメラなどの撮影装置に使用される場合、例えば、複数のラインセンサ群がクロス状に配置される。
【0010】
例えばラインセンサは、複数の光電変換素子によって構成され、ラインセンサ光電変換部を対にして長手方向に沿って並列させればよい。一方、各モニタセンサは、少なくとも1つのモニタ光電変換部(フォトダイオードなど)と、モニタ光電変換部に生じる電荷を画素信号として出力する少なくとも1つの画素信号読み出し回路とを備える。モニタセンサは、ラインセンサのどちらの側にあってもよい。画素信号読み出し回路は、信号電荷を電圧信号に変換、増幅処理などして信号出力を行えばよい。
【0011】
被写体の明るさ分布を細かく検出するためには、ラインセンサの光電変換部を所定数ずつまとめてモニタリングするのがよく、各モニタセンサは、それぞれ所定数のラインセンサ光電変換部と対向するようにラインセンサ長手方向に沿って並列した複数の微小センサ部を備えるのがよい。この場合、各微小センサ部が、モニタ光電変換部と画素信号読み出し回路を備える。
【0012】
本発明では、各ラインセンサが、並列した複数のラインセンサ光電変換部を有し、前記モニタ光電変換部が、モニタリング対象となる所定数のラインセンサ光電変換部と向かい合うラインセンサ長手方向に沿った長さを有する。そして、モニタ光電変換部の一部が切欠状に形成され、切欠部分に画素信号読み出し回路が収まるように構成されている。
【0013】
モニタセンサ光電変換部が対象となるラインセンサ光電変換部に対向するため、対象エリアに入射する光の輝度分布に関係なく、モニタセンサはほぼ同等の輝度分布の光を受光する。
【0014】
その一方で、モニタセンサの画素信号読み出し回路がモニタ光電変換部の切欠部分に収容されるため、モニタセンサのサイズは、モニタ光電変換部の幅によって定められる。すなわち、画素信号読み出し回路のサイズに関係なくモニタセンサのサイズが定められ、ラインセンサ間のピッチを拡大することなく、精度よくラインセンサの受光量をモニタリングすることができる。
【0015】
IC基板等にラインセンサ、モニタセンサを配設する場合、製造工程を容易にすることを考慮し、モニタ光電変換部の端部を切欠状にするのが望ましい。この場合、モニタ光電変換部の切欠部分が、前記ラインセンサと面する側とは逆側、すなわち、切欠部分とラインセンサとの間にモニタ光電変換部の幅広部分が形成される。
【0016】
本発明の他の局面における焦点検出装置は、被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備え、各モニタセンサが、少なくとも1つのモニタ光電変換部と、モニタ光電変換部に生じる電荷を画素信号として出力する少なくとも1つの信号読み出し回路とを備え、各ラインセンサが、並列した複数のラインセンサ光電変換部を有し、モニタ光電変換部が、モニタリング対象となる所定数のラインセンサ光電変換部と向かい合うようにラインセンサ長手方向に沿って配置されており、モニタ光電変換部の一部が切欠状に形成され、切欠部分に画素信号読み出し回路が収まる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、多くの測距ゾーンを設置し、被写体像の任意のエリアを精度よく焦点検出を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照して本実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
図1は、第1の実施形態である一眼レフ型デジタルカメラの模式的内部構成図である。
【0020】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備え、本体12内部には、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、クイックリターンミラー18、フォーカルプレーンシャッタ20、CCDなどの撮像素子22が設けられている。
【0021】
ペンタプリズム16の傍に配置される測光IC23は、TTL測光方式に従い、クイックリターンミラー18上方に配置されるピント板17によって形成される被写体像の明るさを検出する。また、クイックリターンミラー18の下方に配置されるAFモジュール24は、位相差方式に従って合焦状態を検出する。
【0022】
ROM36、RAM37、CPU38を含むシステムコントロール回路30はカメラ動作を制御し、周辺制御回路32、表示部33、AFモジュール24、測光IC23、EEPROM39等に制御信号を出力する。周辺制御回路32は、フォーカルプレーンシャッタ20、絞り(図示せず)、撮像素子22など露光機構を制御し、また、レンズメモリ13からレンズ情報を取得する。
【0023】
カメラ10がON状態になると、撮影可能な撮影モードに設定される。撮影光学系15を通った光は、クイックリターンミラー18によってペンタプリズム16へ導かれ、ユーザーはファインダ(図示せず)を通して被写体を視認する。撮影のためレリーズボタン(図示せず)が半押しされると、測光IC23は被写体の明るさを検出し、AFモジュール24は合焦状態を検出する。
【0024】
撮影光学系15を通った光の一部は、クイックリターンミラー18を透過し、サブミラー19によってAFモジュール24に導かれる。AFモジュール24は、コンデンサーレンズ26、セパレータマスク29、セパレータレンズ27、焦点検出部40を備え、撮像面(撮像素子22の受光面)と等価な位置(共役面)に配置されたセパレータマスク29によって分割された被写体像は、セパレータレンズ27によって焦点検出部40に再結像される。焦点検出部40は、対になって投影された被写体像の画像信号を出力する。
【0025】
システムコントロール回路30は、AFモジュール24から送られてくる画像信号に基づき、デフォーカス量および焦点調節を行う。すなわち、AFモジュール24によって検出されるデフォーカス量およびピントずれの方向に従い、AFモータドライバ34へ制御信号を出力する。AFモータ35は、AFモータドライバ34からの駆動信号に基づき、撮影光学系15内のフォーカシングレンズをシフトさせる。合焦状態に達するまで一連の焦点検出、レンズ駆動が行われる。
【0026】
レリーズボタン半押し状態において焦点調節が行われ、被写体の明るさが検出されると、システムコントロール回路30は、露出値、すなわちシャッタースピードおよび絞り値を演算、決定する。レリーズボタンが全押しされると、一連の記録動作処理が実行される。すなわち、クイックリターンミラー18、絞り、およびシャッタ20の動作によって被写体像が撮像素子22に形成され、1フレーム分の画像信号が撮像素子22から信号処理回路25へ出力される。信号処理回路25ではデジタル画像データが生成され、画像データが図示しないメモリーカード等の記録媒体へ格納される。
【0027】
図2は、焦点検出部のブロック図である。
【0028】
焦点検出部40は、CMOS型ラインセンサを複数配設させた一体型基板によって構成される。焦点検出デバイス40の表面には、被写体像の縦方向に沿った基板上下方向にラインセンサ群EA1、EA2が設置され、被写体像の横方向に沿った基板左右方向にラインセンサ群EB1、EB2が設置されている。ラインセンサ群EA1、EA2、およびEB1、EB2はそれぞれ基板中心部を挟んで互いに対向する。
【0029】
コンデンサーレンズ26、セパレータマスク29、セパレータレンズ27を含む結像光学系は、瞳分割によって被写体像を2組の被写体像対を形成し、ラインセンサ群EA1、EA2の配置された投影領域、およびラインセンサ群EB1、EB2の配置された投影領域に対し、一対の被写体像をそれぞれ結像させる。
【0030】
各ラインセンサ群は、所定間隔で左右もしくは上下方向に並ぶ複数のラインセンサによって構成され、ラインセンサ群EA1、EA2のラインセンサは左右方向に沿って並列し、ラインセンサ群EB1、EB2のラインセンサは上下方向に沿って並列している。各ラインセンサは、1次元配列させた複数の光電変換素子(ここではフォトダイオード)によって構成されている。
【0031】
ラインセンサ群EA1は、9つのラインセンサLSA1〜LSA9によって構成されており、基準ラインセンサとして機能する。一方、ラインセンサ群EA2を構成するラインセンサLSA11〜LSA19は、参照ラインセンサとして機能する。同様に、ラインセンサ群EB1を構成するラインセンサLSB1〜LSB5は基準センサ、ラインセンサ群EB2を構成するラインセンサLSB6〜LSB10が参照ラインセンサとして機能する。
【0032】
ラインセンサ群EA1、EB1には、それぞれ一連のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5が対応するラインセンサの側に配置されている。モニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5は、複数のセンサ部をラインセンサに沿って並列させた構成であり、対応するラインセンサの領域を複数のエリアに分割してモニタリングする。
【0033】
モニタセンサLMA1〜LMA9は、それぞれラインセンサLSA1〜LSA9の側面、長手方向に沿ってライン状に配置され、受光量(光強度)をモニタ信号として出力する。モニタセンサLMB1〜LMB5も、ラインセンサLSB1〜LSB5の受光量をモニタリングするためにモニタ信号を出力する。
【0034】
また、ラインセンサ群EA1のLSA1〜LSA9、ラインセンサ群EB1のラインセンサLSB1〜LSB5の側には、画素信号読出し用の垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSS1〜VSS5が設置されており、ラインセンサ群EA2、EB2の各ラインセンサに対しても、垂直シフトレジスタVSR11〜VSR19、VSS6〜VSS10が同様に配置されている。さらに、ラインセンサ群EA1、EB1の各モニタセンサの傍には、黒レベルを検知するためのモニタセンサ(図示せず)が配置される。
【0035】
AGC回路42A〜42Cは、各モニタセンサから逐次出力されるモニタ信号値を閾値と比較する。閾値は、焦点検出に必要な光量が対象となるラインセンサに入射しているか否かを判断する指標値であり、ラインセンサのダイナミックレンジオーバーを防止するように設定されている。
【0036】
モニタ信号値が閾値を超えると、焦点検出に必要な光量がラインセンサに入射しているため、対応するラインセンサ、すなわちモニタリング対象となっているラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる制御信号を出力する。ラインセンサに制御信号が送信されると、電荷蓄積が終了するとともに、一時的に電荷がラインセンサ内で格納される。
【0037】
ラインセンサの電荷蓄積時間は、ラインセンサのモニタリング対象エリア毎に独立制御され、被写体の光強度分布に応じて各ラインセンサの電荷蓄積時間が調整される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、各ラインセンサの画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)において蓄積電荷が電圧変換、増幅処理され、画素信号が生成される。
【0038】
焦点検出部40では、各ラインセンサに生成される一連の画素信号が出力される。すなわち、各ラインセンサの傍に配置された垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSR11〜VSR19、VSS1〜VSS5、VSS6〜VSS10および水平シフトレジスタ45、46により、生成される一連の画素信号が出力回路40Aに転送される。
【0039】
出力回路に送られた一連の画素信号は、被写体像の画像信号としてシステムコントロール回路30へ送られる。システムコントロール回路30では、対のラインセンサ群の画像信号に基づいて位相差が検出され、デフォーカス量が求められる。
【0040】
論理回路44は、AGC回路42A〜42C、垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSR11〜VSR19、VSS1〜VSS5、VSS6〜VSS10および水平シフトレジスタ45、46を制御し、モニタ信号に対する閾値を設定するとともに、モニタセンサの黒レベルに基づいたオフセット値を設定する。
【0041】
図3は、1つのラインセンサおよびそれに応じたモニタセンサの拡大配置図である。
図3を用いて、ラインセンサ、およびモニタセンサの構成について説明する。
【0042】
図3には、
図2に示したラインセンサLSB3およびモニタセンサLMB3の一部構成を詳細に示している。ラインセンサLSB3は、複数のフォトダイオードを対にして並列させたセンサであり、一対のフォトダイオード120Aj(j=1、2、・・・)、120BjがラインセンサLSB3の長手方向に沿って千鳥格子状に並んでいる。
【0043】
モニタセンサLMB3は、ラインセンサLSB3の上段側において所定間隔離れた場所に配設されており、モニタセンサLMB3の両側には配線部170、180が設けられている。一方、ラインセンサLSB3の下段側には、配線部185を挟んで垂直シフトレジスタ190が設けられている。
【0044】
対になって並列するフォトダイオード120Aj、120Bjは、その長手方向をラインセンサ群EB1のラインセンサ配列方向JKに向けて配置されており、上段側のフォトダイオード120Aj、下段側のフォトダイオード120Bjは、信号出力線、制御線などを含む配線回路部150を間に挟んで対向している。
【0045】
配線回路部150には、フォトダイオード対120Aj、120Bjからそれぞれ信号電荷を読み出し、画素信号を出力するラインセンサ用画素信号出力回路130jが設けられている。ラインセンサ用画素信号出力回路130jは、ラインセンサ長手方向に沿って配設され、ラインセンサ全体の画素信号が配線回路部150を介して出力される。
【0046】
モニタセンサLMB3は複数のセンサ部分140m(m=1、2、・・)に分割されており(以下では、各分割部分を微小センサ部という)、その長手方向をラインセンサLSB3の長手方向に平行させて並んでいる。各微小センサ部140mは、それぞれ所定数のフォトダイオード対をモニタリングするように構成されている。ここでは、8対のフォトダイオードをモニタリング対象エリアとしている。
【0047】
微小センサ部140mは、フォトダイオードなどによって構成される光電変換部142と、光電変換部142において生じる信号電荷を画素信号として出力するモニタセンサ用画素信号読み出し回路144とを備える。光電変換部142は、その端部142Sが切欠状に形成されており、切欠部分142Sに画素信号読み出し回路144が収められる。
【0048】
ここでは、微小センサ部140mが矩形状に形成されるように、モニタセンサ用画素信号読み出し回路144のサイズに合わせて切欠部分142Sの形状が定められている。これにより、微小センサ部140mの幅140Zに合わせて規定されるバー状のモニタセンサ配置エリアMDに微小センサ部140mが並列する。
【0049】
各微小センサ部140mの光電変換部142は、モニタリング対象であるエリア、すなわち8対のフォトダイオード全体をカバーする側部142Tを有し、側部142Tは、8対のフォトダイオードに対向する長さWを有する。すなわち、切欠部分142Sに配設されるモニタセンサ用画素信号読み出し回路144とラインセンサLSB3との間には、光電変換部142の幅広部分が形成され、モニタセンサ用画素信号読み出し回路144はラインセンサLSB3の反対側に位置する。
【0050】
このため、微小センサ部140mは、対象となる8対のフォトダイオードのエリアに入射する光とほぼ同等の光を受光し、そのエリアの光量分布は、微小センサ部140mの光電変換部142が受ける光量分布とほぼ等しくなる。
【0051】
上述したように焦点検出部40は一体型IC基板であり、MOS型ラインセンサの両側にモニタセンサ、垂直シフトレジスタをそれぞれ配設しながら回路基板が構成されている。垂直シフトレジスタが配置されるロジック部LSと、フォトダイオード、微小センサ部が配設される画素部PSが交互に形成され、ロジック部LSと画素部PSとの間に、配線が設けられる分離部DSが介在する。
【0052】
図4は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。
図5は、モニタセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。
図6は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路の配線図である。
図4〜
図6を用いてラインセンサ、モニタセンサの画素信号読み出し回路構成についてそれぞれ説明する。
【0053】
図4では、ラインセンサLSB3の一組のフォトダイオード対120Aj、120Bjおよびそれに接続されるラインセンサ用画素信号読み出し回路130jに関する回路構成を示している。フォトダイオード対120Aj、120Bjは、ともにラインセンサ用画素信号読み出し回路130jと接続されている。
【0054】
ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、トランジスタで構成されるアンチブルーミングゲート(ABG)121A、121B、転送ゲート(TG)122A、122B、フローティングディフュージョンゲート(FD)123A、123Bを備える。
【0055】
さらに、ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、一時的な電荷保存用キャパシタ(MEM)124A、124B、電荷−電圧変換を行うフローティングディフュージョンキャパシタ(CFD)125、リセットゲート(RG)26、ソースフォロアアンプ127、選択ゲート128を設けた共有回路部分133を備える。
【0056】
共有回路部分133は、フォトダイオード120Aj、120Bjの画素信号出力において共有化された回路であり、フォトダイオード120Aj、120Bjに生じる信号電荷は、それぞれ第1回路部分131、第2回路部分132を経て共有回路部分133に送られる。
図6には、画素信号読み出し回路130の配線パターンが模式的に図示されている。
【0057】
一方、
図5に示すモニタセンサの微小センサ部140mでは、フォトダイオードである光電変換部142がモニタセンサ用画素信号読み出し回路144に接続されている。画素信号読み出し回路144は、アンチブルーミングゲート(ABG)151、転送ゲート(TG)152、リセットゲート(RG)154を備え、さらに、キャパシタ(MEM)153、ソースフォロアアンプ155を備える。
【0058】
被写体からの光がラインセンサに到達すると、フォトダイオード120Aj、120Bjの光電変換によって信号電荷(画素信号)が生じ、光量に応じて電荷が蓄積されていく。一方、モニタセンサ140mの光電変換部142に生じる信号電荷は、キャパシタ153で電荷電圧変換され、ソースフォロアアンプ155を介して
図2に示したAGC回路へ随時出力される。
【0059】
モニタリング対象である8対のフォトダイオードにダイナミックレンジを超える光が入射するのを防ぐため、AGC回路は微小センサ部140mの画素信号(モニタ信号)と閾値とを比較する。モニタ信号が閾値を超えるまで信号電荷は蓄積される。
【0060】
画素信号(モニタ信号)が閾値を超えると、モニタリング対象であった8対のフォトダイオードにおける電荷蓄積が終了し、蓄積電荷は転送ゲート122A、122Bを通ってキャパシタ124A、124Bに転送される。他のフォトダイオード対の電荷蓄積がすべて終了するまで蓄積電荷はキャパシタ124A、124Bにそれぞれ一時的に保存される。
【0061】
すべてのフォトダイオード対の電荷蓄積が終了すると、フォトダイオード120Aj、120Bjにおいて生じ、別々に保存された蓄積電荷は、キャパシタ125、すなわちフローティングディフュージョンに別々にまたは同時に転送される。これにより、信号電荷が電圧信号に変換される。そして、ソースフォロアアンプ127によって増幅処理された後、画素信号(電圧信号)が出力される。
【0062】
このように本実施形態によれば、それぞれ複数のフォトダイオード対120Aj、120Bjを並列させたラインセンサ群をクロス状に配置し、一方のラインセンサ群にあるラインセンサの側にモニタセンサを配置させる。各モニタセンサは、ラインセンサを分割してモニタリングするため、複数の微小センサ部140mから構成され、微小センサ部140mは8つのフォトダイオード対をモニタリング対象として画素信号(モニタ信号)を出力する。このように1つのラインセンサをエリア分割し、複数のセンサでモニタリングすることにより、ラインセンサとほぼ同等の光を受けることが出来る。また、被写体の明るさを平均化せず、細かく検出することが可能となる。
【0063】
微小センサ部140mは、光電変換部142と、画素信号を生成、出力するモニタセンサ用画素信号読み出し回路144とを備え、光電変換部142の側部142Tは、モニタリング対象である8つのフォトダイオード対を全体的にカバー、すなわち8つのフォトダイオード対と全面的に対向する長さWをもつ。一方、光電変換部142の端部142Sは切欠状に形成され、その切欠部分にモニタセンサ用画素信号読み出し回路144が収納される。
【0064】
微小センサ部140mは矩形状に構成されるため、微小センサ部140mの幅Zは光電変換部142の幅によって定められる。すなわち、モニタセンサ用画素信号読み出し回路144に影響されることなく微小センサ部140mの幅Zが規定される。これにより、各微小センサ部140mがその幅Zが光電変換部142の幅と同じバー状のモニタセンサエリアMD内に配列可能となる。
【0065】
ロジック部LSと画素部PSとの間にある分離部DSには、ロジック回路、フォトダイオードどちらも配置することができず、画素信号読み出し回路を配設することができない。そのため、画素信号読み出し回路が光電変換部の幅Zを超えて外側に配置されると、モニタセンサの配置されるエリアMDもその分幅を広げる必要がある。このようなモニタセンサの構成は、ラインセンサ間のピッチを拡大し、配列するラインセンサの数を制限する。
【0066】
しかしながら、本実施形態では、画素信号読み出し回路が微小センサ部のエリア内に収められているため、モニタセンサエリアの幅をミニマムに設定することができ、画素部PS(
図4参照)の幅が抑えられる。そのため、ラインセンサ間のピッチを短くし、結像光学系によって規定される投影領域に出来るだけ多くのラインセンサを並べることが可能となる。
【0067】
一方、本実施形態によれば、ラインセンサの各フォトダイオード対120Aj、120Bjの画素信号を生成、出力するラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、フォトダイオード対120Aj、120Bjの間に配置されている。そして、ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは共有回路部分133においてフォトダイオード120Aj、120Bjの蓄積電荷がそれぞれ電圧に変換されてそれぞれの画素信号として出力される。またはそれぞれの蓄積電荷が混合され、2つのフォトダイオードの混合画素信号として出力される。
【0068】
ラインセンサ両側に画素信号読み出し回路を別々配置する代わりに、2列に並ぶフォトダイオード対の対向スペースに配置されているため、制御信号線、画素信号出力線などの配線スペースをまとめることができ、ラインセンサ間のピッチを短くすることができる。また、対であるフォトダイオードの画素信号を混合出力することができるため、被写体像の輝度が低い場合にも感度を上げることができ、精度よく焦点検出を行える。
【0069】
次に、
図7を用いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、モニタセンサ用画素信号読み出し回路が光電変換部の中央部に配置されている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0070】
図7は、第2の実施形態におけるラインセンサとモニタセンサの配置図である。
【0071】
各微小センサ部140は、フォトダイオードによって構成される光電変換部142と、光電変換によって光電変換部142に生じる画素信号を出力するモニタセンサ用画素信号読み出し回路144とを備える。光電変換部142は、その長手方向に沿った中央部142Xが切欠状に形成されており、切欠部分142Xに信号読み出し回路144が収められる。そのため、画素信号読み出し回路144は、光電変換部142の両端から等距離に位置に配置される。
【0072】
このように本実施形態によれば、画素信号読み出し回路144が、光電変換部142の中央部142Xを横断するラインXに沿って配置されている。光電変換部142の両端部から画素信号読み出し回路144までの距離が等しく、画素信号読み出し回路144を中心部として光電変換部142が対称的になるため、光電変換部142の入射光位置によって画素信号出力時間に偏りが生じない。
【0073】
そのため、モニタセンサの端部に光が入射するような撮影条件においても、すばやく画素信号、モニタ信号を出力し、ほぼ同等の光が入射しているラインセンサのフォトダイオードがオーバフローするのを未然に防ぐ。
【0074】
第1の実施形態では、モニタセンサが切欠状の微小センサ部による構成だけでもよく、ラインセンサ用画素信号読み出し回路をフォトダイオード対の間に配置せず、ラインセンサ両側に配置するように構成してもよい。この場合、ラインセンサをMOS型ではなくCCDラインセンサを配置可能である。また、画素信号読み出し回路がフォトダイオード対の間に配置されるだけの構成でもよい。
【0075】
第2の実施形態においては、光電変換部142の切欠部分142Sを設けることなく矩形状に形成し、その矩形形状の中央部に対向する位置に画素信号読み出し回路を配置してもよい。すなわち、光電変換部142の両端からほぼ等距離にある位置に画素信号読み出し回路を配置すればよい。
【0076】
測距については、多点測距、あるいは画面中心部のみ測距するように構成してもよく、ラインセンサ数、ラインセンサ群の数、および、ラインセンサの配列方向は任意である。また、一眼レフ型カメラ以外のカメラに適用してもよく、携帯電話などカメラ機能を備えた撮影装置に適用してもよい。