特許第5725166号(P5725166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725166
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150507BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02M7/48 E
【請求項の数】19
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-508773(P2013-508773)
(86)(22)【出願日】2012年4月6日
(86)【国際出願番号】JP2012002427
(87)【国際公開番号】WO2012137514
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-86717(P2011-86717)
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】中森 昭
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−017508(JP,A)
【文献】 特開平02−164278(JP,A)
【文献】 特開平08−047262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、
前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、
前記複数の保護回路毎に異なる期間が設定される識別期間と該識別期間に対して状態変化する一定期間とを組合せた期間を一周期とするパルス信号が該当する保護回路が保護動作を必要とする状態を継続する間継続して設定され、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する前記パルス信号をアラーム信号として前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路と
を有するドライバ回路を複数備え、
前記アラーム信号形成回路は、前記先着優先保護回路が保護動作を必要と判断している期間は他の保護回路によりアラーム信号が生成されないようにし、前記アラーム信号のリセット条件を、少なくとも前記先着優先保護回路で保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記パルス信号の一定期間の間で行うことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
【請求項2】
前記アラーム信号形成回路は、前記アラーム信号のリセット条件を、前記保護回路の全てが保護動作を必要としないことを検出した全保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項3】
前記アラーム信号形成回路は、前記アラーム信号のリセット条件を、前記先着優先保護回路の保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件と前記駆動信号の駆動停止条件とが成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項4】
前記アラーム信号形成回路は、前記アラーム信号のリセット条件を、前記保護回路の全てが保護動作を必要としないことを検出した全保護動作停止条件と前記入力駆動信号の駆動停止条件とが成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項5】
前記アラーム信号形成回路は、前記先着優先保護回路で保護動作を必要とすることを検出してから前記リセット条件が成立するまでの間保護動作フラグをセットし、該保護動作フラグがセットされている間前記ドライバ回路の前記半導体素子への出力信号を停止すると共に、前記アラーム信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項6】
前記複数のドライバ回路は各々同一のICチップで構成され、該ICチップには前記アラーム端子が1つだけ形成され、該ICチップ内にアラーム端子の電圧情報を検出し、その電圧情報で、先着優先保護回路に対応する前記パルス信号を出力アラーム信号としてアラーム信号端子に出力するか否かを決める機能を設けることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項7】
前記ドライバ回路の複数が同一ICチップ内に構成され、前記各ドライバ回路の前記アラーム信号端子が配線で互いに接続されて当該ICチップに形成された1つのアラーム端子に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項8】
前記ドライバ回路の全てが同一ICチップ内に構成され、前記各ドライバ回路の前記アラーム信号端子が配線で互いに接続されて当該ICチップに形成された1つのアラーム端子に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項9】
前記各ドライバ回路は、絶縁信号伝達部を介して前記電力変換装置を制御する制御回路に接続され、該制御回路から入力駆動信号が絶縁信号伝達部を介して入力されると共に、アラーム信号が絶縁信号伝達部を介して前記制御回路に入力されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記絶縁信号伝達部を介してアラーム信号が入力されたときに、当該アラーム信号のパルス数を計数し、その計数値が設定値に達したときに、前記ドライバ回路への駆動信号の出力を停止することを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記アラーム信号の識別期間毎にパルス計数設定値が設定され、前記絶縁信号伝達部を介してアラーム信号が入力されたときに、当該アラーム信号の識別期間を測定すると共に、前記アラーム信号のパルス数を計数し、計数したパルス数が該当する識別期間のパルス計数設定値に達したときに、前記ドライバ回路への駆動信号の出力を停止することを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項12】
制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、
前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、
記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する識別期間が設定されたアラーム信号を前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路と
を有するドライバ回路を複数備え
前記アラーム信号形成回路は、前記複数の保護回路の保護動作信号、識別期間終了信号およびリセット期間判定信号が入力されて、最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する他の保護回路とは異なる期間が設定される識別期間と該識別期間に対して状態変化する一定期間とを組合せた期間を一周期とするパルス信号と、当該パルス信号と同期したアラーム信号を出力するロジック回路と、該ロジック回路から出力されるパルス信号に基づいて保護回路毎に異なる識別期間の識別期間終了信号および一定期間のリセット期間判定信号を前記ロジック回路に出力する発振回路とを備え、
前記ロジック回路は、前記アラーム信号のリセット条件を、少なくとも前記先着優先保護回路で保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記パルス信号の一定期間の間で行う
ことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
【請求項13】
制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、
前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、
前記複数の保護回路毎に、前記制御回路のサンプリング周期より長い第1の一定期間と該第1の一定期間に対して状態変化し、当該第1の一定期間より短く前記制御回路のサンプリング周期より長い第2の一定期間とを組合せた期間を一周期とする基準パルス信号の前記第1及び第2の一定期間の和より長い第3の一定期間中に発生する基準パルス信号数が異なるようにパルス信号が設定され、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する前記パルス信号をアラーム信号として前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路と
を有するドライバ回路を複数備えたことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
【請求項14】
前記第の期間は1msより大きい値に設定されていることを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項15】
前記第2の期間は、前記第1の期間の十分の1より小さい値に設定されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記アラーム信号を読取るタイミング周期が前記第2の期間より小さい値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至1の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項17】
前記制御回路は、前記アラーム信号を読み取るタイミング周期が前記第2の期間の半分以下の値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至1の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項18】
前記半導体素子は、単方向型MOSゲートデバイスで構成され、該単方向型MOSゲートデバイスと並列にフリーホイールダイオードが接続されていることを特徴とする請求項1乃至1の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項19】
前記半導体素子は、双方向型MOSゲートデバイスで構成されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電力変換装置を構成する半導体素子を駆動するとともに、保護動作識別機能を有する電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電力変換装置の制御装置としては、たとえば、インバータを駆動するパワートランジスタ・モジュール内で検出する過熱故障、過電流故障、短絡故障及び不足電圧故障に応じて故障検出信号のパルス幅を異なる設定時間とすることにより、故障要因を個別に識別するようにしたパワートランジスタ・モジュールの故障識別方式が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の電力変換装置の制御装置としては、4つの保護回路が出力する信号をデコーダでデコードしてその結果を3つの出力端子から出力する際に、デコーダで保護回路の出力信号の複数の組合せに対し、一つの以上検出信号の値の組合せを対応させるようにデコードを行うようにしたパワーモジュールが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、他の電力変換装置の制御装置としては、所要数の半導体スイッチング素子と、駆動回路と、スイッチング素子又は駆動回路等の致命的異常及び前兆的異常を検出する各種の検出回路及びウォーニング回路と、これらの回路による異常検出時にスイッチング素子の保護動作を行う異常検出ロジック回路と、異常検出信号に基づく信号を外部に出力するための制御回路と、伝送回路とを備えたインテリジェントパワーモジュールが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0005】
この特許文献3に記載された従来例にあっては、伝送回路に、致命的異常の検出時にアラーム信号を出力する出力端子と、致命的異常及び前兆的異常を含む異常要因を示す異常要因識別信号を出力する出力端子と設け、好ましくはこれらを単一の出力端子として供用するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−70580号公報
【特許文献2】特開平10−267977号公報
【特許文献3】特開2002−27665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、パワートランジスタ・モジュールの過熱故障、過電流故障、短絡故障及び不足電圧故障を個別に検出し、異なるパルス幅のパルス信号をオアゲートに供給し、このオアゲートから一括した故障検出信号を出力するようにしている。このため、過熱故障、過電流故障、短絡故障及び不足電圧故障を個別に検出して、異なるパルス幅のパルス信号を出力しても、各パルス信号をオアゲートに通して一括した故障検出信号とするので、複数の故障が同時に又は1つの故障が発生している状態で他の故障が発生したときには、故障検出信号のパルス幅が長くなってしまい、正常な故障検出を行うことができないという未解決の課題がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、4つの保護回路が出力する信号をデコーダでデコードしてその結果を3つの出力端子から出力する際に、デコーダで保護回路の出力信号の複数の組合せに対し、一つの以上検出信号の値の組合せを対応させるようにしており、保護回路の数より少ない出力端子で保護動作状態を通知するようにしている。このため、上述した特許文献1による未解決の課題は解決することができるが、出力端子を複数形成する必要があり、製造コストが嵩むという未解決の課題がある。
【0009】
さらに、上記特許文献3に記載された従来例にあっては、スイッチング素子または駆動回路等の致命的異常及び前兆的異常を検出する各種の検出回路及びウォーニング回路から出力されるアラーム信号またはウォーニング信号が制御回路に入力されるとこれらをラッチし、この信号ラッチが解除されるまで、次に動作する保護回路動作を受け付けないようにしており、誤検出を防止することができる。しかしながら、この特許文献3にあっては、例えば3相インバータを6つの同一のドライバICで構成する場合に、各ドライバICからの信号を纏めて処理する伝送回路を必要とし、製造コストが嵩むという未解決の課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な構成で複数の保護回路の保護動作状態を誤検出することなく、正確に判別することができる電力変換装置の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一の形態に係る電力変換装置の制御装置は、制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、前記複数の保護回路毎に異なる期間が設定される識別期間と該識別期間に対して状態変化する一定期間とを組合せた期間を一周期とするパルス信号が該当する保護回路が保護動作を必要とする状態を継続する間継続して設定され、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する前記パルス信号をアラーム信号として前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路とを有するドライバ回路を複数備え、前記アラーム信号形成回路は、前記先着優先保護回路が保護動作を必要と判断している期間は他の保護回路によりアラーム信号が生成されないようにし、前記アラーム信号のリセット条件を、少なくとも前記先着優先保護回路で保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記パルス信号の一定期間の間で行うことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記アラーム信号形成回路が、前記アラーム信号のリセット条件を、前記保護回路の全てが保護動作を必要としないことを検出した全保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記アラーム信号形成回路が、前記アラーム信号のリセット条件を、前記先着優先保護回路の保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件と前記駆動信号の駆動停止条件とが成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記アラーム信号形成回路が、前記アラーム信号のリセット条件を、前記保護回路の全てが保護動作を必要としないことを検出した全保護動作停止条件と前記入力駆動信号の駆動停止条件とが成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記一定期間の間で行うことを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記アラーム信号形成回路が、前記先着優先保護回路で保護動作を必要とすることを検出してから前記リセット条件が成立するまでの間保護動作フラグをセットし、該保護動作フラグがセットされている間前記ドライバ回路の前記半導体素子への出力信号を停止すると共に、前記アラーム信号を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記複数のドライバ回路が各々同一のICチップで構成され、該ICチップには前記アラーム端子が1つだけ形成され、該ICチップ内にアラーム端子の電圧情報を検出し、その電圧情報で、先着優先保護回路に対応する前記パルス信号を出力アラーム信号としてアラーム信号端子に出力するか否かを決める機能を設けることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記ドライバ回路の複数が同一ICチップ内に構成され、前記各ドライバ回路の前記アラーム信号端子が配線で互いに接続されて当該ICチップに形成された1つのアラーム端子に接続されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記ドライバ回路の全てが同一ICチップ内に構成され、前記各ドライバ回路の前記アラーム信号端子が配線で互いに接続されて当該ICチップに形成された1つのアラーム端子に接続されていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記各ドライバ回路が、絶縁信号伝達部を介して前記電力変換装置を制御する制御回路に接続され、該制御回路から入力駆動信号が絶縁信号伝達部を介して入力されると共に、アラーム信号が絶縁信号伝達部を介して前記制御回路に入力されることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記制御回路が、前記絶縁信号伝達部を介してアラーム信号が入力されたときに、当該アラーム信号のパルス数を計数し、その計数値が設定値に達したときに、前記ドライバ回路への駆動信号の出力を停止することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記制御回路が、前記アラーム信号の識別期間毎にパルス計数設定値が設定され、前記絶縁信号伝達部を介してアラーム信号が入力されたときに、当該アラーム信号の識別期間を測定すると共に、前記アラーム信号のパルス数を計数し、計数したパルス数が該当する識別期間のパルス計数設定値に達したときに、前記ドライバ回路への駆動信号の出力を停止することを特徴としている。
また、本発明の一の形態に係る電力変換装置の制御装置は、制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する識別期間が設定されたアラーム信号を前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路とを有するドライバ回路を複数備え、前記アラーム信号形成回路は、前記複数の保護回路の保護動作信号、識別期間終了信号およびリセット期間判定信号が入力されて、最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する他の保護回路とは異なる期間が設定される識別期間と該識別期間に対して状態変化する一定期間とを組合せた期間を一周期とするパルス信号と、当該パルス信号と同期したアラーム信号を出力するロジック回路と、該ロジック回路から出力されるパルス信号に基づいて保護回路毎に異なる識別期間の識別期間終了信号および一定期間のリセット期間判定信号を前記ロジック回路に出力する発振回路とを備え、前記ロジック回路は、前記アラーム信号のリセット条件を、少なくとも前記先着優先保護回路で保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件が成立する条件とし、当該リセット条件の判定を前記パルス信号の一定期間の間で行うことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の一の形態に係る電力変換装置の制御装置は、制御回路から入力される駆動信号に基づいて電力変換装置を構成する複数の半導体素子のうち1つを駆動する半導体素子駆動回路と、前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、前記複数の保護回路毎に、前記制御回路のサンプリング周期より長い第1の一定期間と該第1の一定期間に対して状態変化し、当該第1の一定期間より短く前記制御回路のサンプリング周期より長い第2の一定期間とを組合せた期間を一周期とする基準パルス信号の前記第1及び第2の一定期間の和より長い第3の一定期間中に発生する基準パルス信号数が異なるようにパルス信号が設定され、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路として当該保護回路に対応する前記パルス信号をアラーム信号として前記制御回路に接続されるアラーム信号端子に出力するアラーム信号形成回路とを有するドライバ回路を複数備えたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記第1の期間が1msより大きい値に設定されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記第2の期間が、前記第1の期間の十分の1より小さい値に設定されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記制御回路が、前記アラーム信号を読取るタイミング周期が前記第2の期間より小さい値に設定されていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記制御回路が、前記アラーム信号を読み取るタイミング周期が前記第2の期間の半分以下の値に設定されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記半導体素子が、単方向型MOSゲートデバイスで構成され、該単方向型MOSゲートデバイスと並列にフリーホイールダイオードが接続されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置の制御装置は、前記半導体素子が、双方向型MOSゲートデバイスで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電力変換装置を構成する半導体素子を個別に駆動する電力変換装置の制御装置に、半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路を設けた場合に、最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路を先着優先保護回路としてその保護回路に対応する識別期間と一定期間とを組み合わせた周期のパルス信号をアラーム信号として出力する。このアラーム信号のリセット条件として、少なくとも先着優先保護回路で保護動作を必要としないことを検出した保護動作停止条件が成立する条件とすると共に、リセット条件の判定をパルス信号の一定期間の間に行うようにしている。このため、アラーム信号が後に保護動作が必要であることを検出した保護回路に影響されることを確実に防止することができると共に、アラーム信号を構成するパルス信号の識別期間の途中でアラーム信号が終了することを確実に防止して、正確なアラーム信号を形成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る電力変換装置の制御装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
図2図1のドライバICの内部構成を示すブロック図である。
図3図2のロジック回路の具体的構成を示すブロック図である。
図4図2の発振回路の具体的構成を示すブロック図である。
図5】識別期間終了信号を示す信号波形図である。
図6図2のラッチ回路の具体的構成を示すブロック図である。
図7図2の保護動作状態判別回路の具体的構成を示すブロック図である。
図8】第1の実施形態の動作の説明に供する信号波形図である。
図9】ラッチ回路の信号波形図である。
図10】本発明の第2の実施形態を示すロジック回路の具体的構成を示すブロック図である。
図11】第2の実施形態を示す発振回路の具体的構成を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態のアラーム信号を示す信号波形図である。
図13】制御回路でのアラーム信号の読取周期を示す波形図である。
図14】異なる周期のアラーム信号を示す波形図である。
図15】製造バラツキの説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を電力変換装置に適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。この図1において、電力変換装置1は、直流電力を交流電力に変換するインバータ2と、このインバータ2を構成する下アームLAの半導体素子を個別に駆動する各相ドライバIC3UL〜3WLと、インバータ2を構成する上アームUAの半導体素子を個別に駆動する各相ドライバIC3UU〜3WUと、これら各相ドライバIC3UL〜3WL、3UU〜3WUに対して駆動信号を供給する制御回路4とを備えている。
【0024】
インバータ2は、6個の半導体素子としてのIGBT(Insulated gate Bipolar Transistor)11〜16を有する。これらIGBT11〜16は、直流電源に接続されて直流電力が供給される正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に、IGBT11及び12の直列回路、IGBT13及び14の直列回路並びにIGBT15及び16の直列回路が夫々並列に接続されている。ここで、各IGBT11〜16には、フライホイールダイオード21〜26が逆並列に接続されている。
【0025】
また、IGBT11、13及び15がそれぞれU相、V相及びW相とされて上アームUAが構成され、IGBT12、14及び16がそれぞれX相、Y相及びW相とされて下アームLAが構成されている。さらに、IGBT11及び12の接続点、IGBT13及び14の接続点並びにIGBT15及び16の接続点から3相交流電力が出力され、この三相交流電力が電動モータ等の交流負荷5に供給されている。
【0026】
そして、インバータ2を構成する各IGBT11〜16には、IGBT12で代表的に示すように、IGBT11〜16のコレクタ及びエミッタ間を流れる電流を検出する電流センス用IBGT17と、IGBT11〜16と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオード18とが設けられている。ここで、電流センス用IGBT17はそのコレクタ及びゲートがIGBT12のコレクタ及びゲートにそれぞれ接続されている。
【0027】
ドライバIC3UL〜3WLのそれぞれは、同一構成を有し、インバータ2の下アームLAを構成するIGBT12を駆動するドライバIC3ULで代表的に示す構成を有する。このドライバIC3ULは、外部の制御回路4からフォトカプラ6を介してゲート駆動用信号としてのパルス幅変調信号が入力される入力端子31と、外部の制御回路4にフォトカプラ7を介してアラーム信号を出力するアラーム信号端子32と、インバータ2のIGBT12のゲートにゲート駆動信号を出力する出力端子33とを備えている。また、ドライバIC3ULは、ドライバ電源電圧が入力される電圧入力端子34と、インバータ2の電流センス用IGBT17のコレクタに接続された電流入力端子35と、インバータ2の温度検出用ダイオード18のアノードに接続された過熱検出端子36と、温度検出用ダイオード18のカソードに接続されたパワーグランド端子37とを備えている。
【0028】
入力端子31に入力されるパルス幅変調信号は、入力回路40で波形整形等の信号処理が行われてアラーム信号形成回路41に一旦入力される。このアラーム信号形成回路41に入力されるパルス幅変調信号に基づくゲート駆動信号がアラーム信号形成回路41から出力される。このゲート駆動信号が増幅器42で増幅されてゲート駆動信号としてゲート駆動信号出力端子33に出力される。
【0029】
アラーム信号端子32には、アラーム信号形成回路41が接続され、このアラーム信号形成回路41からアラーム信号ALがアラーム信号端子32に出力される。
一方、電圧入力端子34には、各ドライバIC3UL〜3WLに供給するドライバIC用電源が所定電圧以下に低下する低電圧状態を検出する低電圧保護回路51が接続されている。この低電圧保護回路51では、ドライバIC用電源の電源電圧が低電圧閾値以下に低下したときにハイレベルとなる保護動作信号H1を出力する。
【0030】
また、電流入力端子35には、電流センス用IGBT17を流れる電流が入力されて過電流状態を検出する過電流保護回路52が接続されている。この過電流保護回路52では、電流センス用IGBT17を流れる電流が過電流閾値以上である過電流状態を検出したときにハイレベルとなる保護動作信号H2を出力する。
さらに、過熱検出端子36には、温度検出用ダイオード18の端子間電圧が入力されてチップ内温度を検出する過熱保護回路53が接続されている。この過熱保護回路53では、温度検出用ダイオード18の端子間電圧に基づいてチップ温度を検出し、検出したチップ温度が所定過熱閾値以上となったときにハイレベルとなる保護動作信号H3を出力する。
【0031】
アラーム信号形成回路41は、図2に示すように、ロジック回路61、発振回路62、ラッチ回路63、アラーム信号形成部64及び保護動作状態判別回路65を備えている。
ロジック回路61は、低電圧保護回路51から出力される保護動作信号H1、過電流保護回路52から出力される保護動作信号H2及び過熱保護回路53から出力される保護動作信号H3が個別に入力される保護動作信号入力端子400〜402を備えている。また、ロジック回路61は、後述する発振回路62から入力される識別期間終了信号DTSが入力される入力端子403と、同様に発振回路62から入力されるリセット判定期間信号RDSが入力される入力端子406と、入力回路40から駆動信号DSが入力される駆動信号入力端子404、アラーム信号ALが入力されるアラーム信号入力端子405とを備えている。
【0032】
さらに、ロジック回路61は、発振回路62に保護動作信号H1〜H3に対応して保護動作開始信号HA1〜HA3を出力する出力端子408〜410と、アラーム信号となるアラーム元信号ALBをラッチ回路63に出力する出力端子411と、入力される駆動信号に基づくゲート駆動信号を出力する出力端子412とを備えている。
このロジック回路61の具体的構成は、図3に示すように構成されている。すなわち、ロジック回路61は、低電圧保護回路51から入力される保護動作信号H1に基づいて識別期間と一定期間とを組合せたパルス信号を形成するパルス信号形成回路PSC1を備えている。
【0033】
このパルス信号形成回路PSC1は、保護動作信号H1が入力される入力端子400に一方の入力端が接続され、他方の入力端に後述するNOR441の出力側が接続されたNANDゲート413を有する。また、パルス信号形成回路PSC1は、保護動作信号H1、入力回路40から入力される駆動信号DS及び発振回路62から入力される識別期間終了信号DTSがNOT回路442で反転された信号が入力されたNORゲート414を有する。
【0034】
そして、NANDゲート413の出力がRS型フリップフロップ回路416の反転セット端子SBに入力され、NORゲート414の出力がNOT回路415を介してRS型フリップフロップ回路416の反転リセット端子RBに入力されている。
このRS型フリップフロップ回路416の出力端子Qから出力される保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGがNANDゲート417の入力側に供給されている。このNANDゲート417の他方の入力側には後述する発振回路62から出力されるリセット判定期間信号RDSが供給されている。
【0035】
このNANDゲート417の出力がRS型フリップフロップ回路418の反転セット端子SBに入力される。このRS型フリップフロップ回路418の反転リセット端子RBには、発振回路62から出力されるリセット判定期間信号RDSが入力されている。
このRS型フリップフロップ回路418の出力端子Qからアラーム元信号となるパルス信号PS1が出力端子408に出力され、この出力端子408を介して発振回路62に供給される。
【0036】
また、ロジック回路61は、過電流保護回路52から出力される保護動作信号H2が入力されたパルス信号形成回路PSC2を備えている。このパルス信号形成回路PSC2は、上述したパルス信号形成回路PSC1と同様の構成を有する。したがって、パルス信号形成回路PSC2では、パルス信号形成回路PSC1との対応部分には同一符号に10を加えた符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。なお、RS型フリップフロップ回路428の出力端子Qからパルス信号PS2が出力される。
【0037】
さらに、ロジック回路61は、過熱保護回路53から出力される保護動作信号H3が入力されたパルス信号形成回路PSC3を備えている。このパルス信号形成回路PSC3も、上述したパルス信号形成回路PSC1と同様の構成を有する。したがって、パルス信号形成回路PSC3では、パルス信号形成回路PSC1との対応部分には同一符号に20を加えた符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。なお、RS型フリップフロップ回路438の出力端子Qからパルス信号PS3が出力される。
【0038】
また、ロジック回路61は、各パルス信号形成回路PSC1〜PSC3のRS型フリップフロップ回路416、426及び436の出力端子Qから出力される保護動作状態信号tFLGが入力されたNORゲート441を有する。このNORゲート441の出力信号が各パルス信号形成回路PSC1〜PSC3のNANDゲート413、423、433の他方の入力側に入力されている。
【0039】
また、ロジック回路61は、各パルス信号形成回路PSC1〜PSC3のRS型フリップフロップ回路418、428及び438の出力端子Qから出力されるパルス信号PS1、PS2及びPS3が入力されるORゲート444を有する。このORゲート444から出力されるアラーム元信号ALBが出力端子411を介してラッチ回路63に出力される。
【0040】
さらに、ロジック回路61は、入力端子404に入力される入力回路40からの駆動信号DS、入力端子405に入力されるアラーム信号AL及びNORゲート441の出力信号が入力されるANDゲート443を有する。このANDゲート443の出力信号がゲート駆動信号GDSとして出力端子412を介して増幅器42に入力される。
ここで、入力回路40、ロジック回路61のANDゲート443及び増幅器42で駆動回路が構成されている。
【0041】
また、発振回路62は、図4に示すように、ロジック回路61の出力端子408、409及び410から出力されるパルス信号PS1、PS2及びPS3が個別に入力されて、パルス信号PS1、PS2及びPS3毎に異なる識別期間Taを有する出力信号を形成する識別期間信号形成回路500、520及び540を備えている。
また、発振回路62は、識別期間信号形成回路500、520及び540の出力信号がORゲート560を介して供給され、一定期間Tbを形成する一定期間信号形成回路561を有する。
【0042】
識別期間信号形成回路500は、図4に示すように、正極側電源端子501及び負極側電源端子502間にカレントミラー回路503が接続されている。このカレントミラー回路503は、ソースが正極側電源端子501に接続されゲートが互いに接続された2つのPMOS−FET504及び505を有する。また、カレントミラー回路503は、PMOS−FET504と負極側電源端子502との間に介挿された定電流原506と、PMOS−FET505及び負極側電源端子502との間に直列に介挿されたPMOS−FET507及びNMOS−FET508とを備えている。ここで、PMOS−FET504及び505のゲートはPMOS−FET504のドレインに接続されている。
【0043】
そして、PMOS−FET507及びNMOS−FET508のゲートが、NOT回路509を介してロジック回路61から出力されるパルス信号PS1〜PS3が供給される入力端子408に接続されている。
また、NMOS−FET508のソース及びドレイン間に充放電用コンデンサ510が並列に接続されている。この充放電用コンデンサ510とPMOS−FET507及びNMOS−FET508の接続点との間が比較器512の非反転入力側に接続されている。この比較器512の反転入力側にはIC電源電圧よりは大分低い電圧Vref1に設定された参照電圧源511が接続されている。
【0044】
このため、比較器512から非反転入力側の電圧が参照電圧源511の参照電圧Vref1を上回るときにハイレベルとなり、逆に非反転入力側の電圧が参照電圧源511の参照電圧Vref1を下回るときにローレベルとなり、低電圧保護回路51に対応する比較的短い保護信号識別期間Tの期間ローレベルを継続する図5(a)に示す識別期間終了信号DTS1が出力される。
【0045】
また、識別期間信号形成回路520は、上述した識別期間信号形成回路500と同一の回路構成を有し、識別期間信号形成回路500と対応する部分は、同一符号に20を加算した符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。ただし、この識別期間信号形成回路520では、参照電圧源531の参照電圧Vref2が前述した参照電圧源511の参照電圧Vref1より2倍高く設定されている。したがって、図5(b)に示すように、識別期間終了信号DTS1に比較して例えば倍の期間2Tでローレベルとなる識別期間終了信号DTS2が出力される。
【0046】
同様に、識別期間信号形成回路540も、上述した識別期間信号形成回路500と同一の回路構成を有し、識別期間信号形成回路500と対応する部分は、同一符号に40を加算した符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。ただし、この識別期間信号形成回路540でも、参照電圧源551の参照電圧Vref3が前述した参照電圧源531の参照電圧Vref2よりも高くIC電源電圧より2倍高い電圧に設定されている。したがって、図5(c)に示すように、識別期間終了信号DTS1に比較して例えば4倍の期間4Tでローレベルとなる識別期間終了信号DTS3が出力される。
【0047】
一定期間信号形成回路561は、ORゲート560から出力される識別期間終了信号DTSがNOT回路562を介して反転セット端子SBに入力されるRS型フリップフロップ回路563を備えている。このRS型フリップフロップ回路563の反転リセット端子RBにはNOT回路562の出力及び後述する比較器582の出力が入力されたNANDゲート564の出力が入力されている。
【0048】
このRS型フリップフロップ回路563の出力端子Qの出力が時間遅れ回路570に入力される。この時間遅れ回路570は、前述した識別期間信号形成回路500と同一の構成を有する。したがって、識別期間信号形成回路500と同一部材に対して同一符号に70を足した符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
時間遅れ回路570では充放電用コンデンサ580の静電容量が充放電用コンデンサ510の静電容量に比較して小さい静電容量に設定され、一定期間Tbを形成するように構成されている。そして、比較器582の比較出力が前述したNANDゲート564の他方の入力側に供給されている。
【0049】
また、発振回路62は、ORゲート560から出力される識別期間終了信号DTSをロジック回路61の入力端子403に入力し、RS型フリップフロップ回路563の反転出力端子QBから出力されるリセット判定期間信号RDSをロジック回路61の入力端子406に入力する。
また、ラッチ回路63は、図6に示すように、ロジック回路61の出力端子411から出力されるアラーム元信号ALBが入力される入力端子600と、後述する保護動作状別回路65から出力される保護動作状態判別信号PDが入力される入力端子601とを備えている。
【0050】
そして、入力端子600は直接D型フリップフロップ回路602のクロック入力端子CLに接続され、入力端子601はD型フリップフロップ回路602のデータ入力端子Dに接続されている。また、D型フリップフロップ回路602の出力端子Qと入力端子600がANDゲート603の入力側に接続されている。このANDゲート603の論理積出力がアラーム信号形成部64にゲート制御信号Gcとして出力される。
【0051】
また、アラーム信号形成部64は、図2に示すように、電源端子及び接地間に直列に接続されたプルアップ抵抗111と、スイッチング素子としてのNMOS−FET112との直列回路が接続された構成を有する。
そして、NMOS−FET112のゲートにラッチ回路63から出力さるゲート制御信号Gcが入力されている。また、プルアップ抵抗111とNMOS−FET112との接続点がアラーム信号端子32に接続されているとともに、ロジック回路61の入力端子405および保護動作状態判別回路65に接続されている。
【0052】
保護動作状態判別回路65は、図7に示すように、前述した識別期間信号形成回路500と同一の構成を有する。したがって、識別期間信号形成回路500との対応部分には同一符号に200を加算した符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。この保護動作状態判別回路65でも、入力端子700に入力されるアラーム信号ALのハイレベルとなる前縁を充放電用コンデンサ710の静電容量に応じた遅延時間TDだけ遅らせる保護動作状態判別信号PDをラッチ回路63の入力端子601に出力する。
【0053】
そして、少なくともインバータ2の下アームLAに対応するドライバIC3UL〜3WLが1つのICチップ内に構成されている。各ドライバIC3UL〜3WLのアラーム信号端子32は互いに接続されて1つのアラーム信号出力端子38が形成されている。このアラーム信号出力端子38がフォトカプラ7を介して制御回路4に接続されている。
また、制御回路4は、インバータ2のIGBT11〜16のゲートを駆動する個別の駆動信号DSを、それぞれ個別のフォトカプラ6を介して各ドライバIC3UL〜3WL及び3UU〜3WUに出力する。
【0054】
また、制御回路4は、アラーム信号ALを読込んで、識別期間Taに基づいて保護動作状態となった保護回路が保護回路51〜53の何れであるかを判別し、判別した保護回路51〜53に応じた一定期間Tbの回数N1〜N3を計数し、この回数N1〜N3が予め設定した回数Ns1〜Ns3に達したときに、駆動信号DSの出力を停止する。さらに、制御回路4は、駆動信号DSの出力停止状態で、アラーム信号ALの入力が停止されたときに、駆動信号DSを出力する状態に復旧させる。
【0055】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、インバータ2を構成するIGBT11〜16に流れる電流が過電流閾値未満で正常であり、且つIGBT11〜16を形成したチップ内温度が過熱閾値未満で正常であり、さらに各ドライバIC3UL〜3WL及び3UU〜3WUに供給するIC電源電圧が低電圧閾値を超えていて正常であるものとする。
【0056】
この正常状態では、各ドライバIC3UL〜3WL及び3UU〜3Wuの低電圧保護回路51、過電流保護回路52及び過熱保護回路53から出力される保護動作信号H1、H2及びH3がローレベルとなっている。このとき、ロジック回路61では、各RS型フリップフロップ回路416、426、436及び418、428、438が全てリセット状態にあるものとすると、NORゲート441の出力がハイレベルとなっている。このNORゲート441のハイレベルの出力NANDゲート413、423、433に供給されている。
【0057】
また、RS型フリップフロップ回路418、428、438の出力端子Qから出力されるパルス信号PS1〜PS3は、図8(d)に示すように、ローレベルとなっている。このため、ORゲート444から出力されるアラーム元信号ALBがローレベルとなっている。
このアラーム元信号ALBがラッチ回路63に出力されるので、ANDゲート603から出力されるゲート制御信号Gcがローレベルとなる。したがって、アラーム信号形成部64のNMOS−FET112がオフ状態となってアラーム信号ALが正常状態を表すハイレベルとなっている。
【0058】
これに応じて保護動作状態判別回路65では、アラーム信号ALがハイレベルであるので、PMOS−FET707がオン状態となり、NMOS−FET708がオフ状態となって、充放電用コンデンサ710が充電状態となっている。このため、比較器712から出力される保護動作状態判別信号PDはハイレベルとなっている。
また、発振回路62では、入力されるパルス信号PS1〜PS3がローレベルであることにより、各識別期間信号形成回路500、520及び540の識別期間終了信号DTS1〜DTS3もローレベルを維持する。このため、ORゲート560から出力される識別期間終了信号DTSも図8(e)に示すようにローレベルを維持している。
【0059】
このため、RS型フリップフロップ回路563はリセット状態にあり、その出力端子Qの出力信号ローレベルであり、反転出力端子QBから出力されるリセット判定期間信号RDSも図8(f)に示すように、ハイレベルを維持している。
この正常状態では、ロジック回路61のNORゲート441の出力信号がハイレベルであり、アラーム信号ALもハイレベルであり、これらがANDゲート443に供給されている。さらに、ANDゲート443には、入力回路40から入力される制御回路4からの図8(a)に示すパルス幅変調信号でなる駆動信号DSが入力されている。このため、ANDゲート443から駆動信号DSに応じたゲート駆動信号Giが増幅器42で増幅されて出力端子33に出力される。インバータ2のIGBT12のゲートに供給される。
【0060】
同様に、他のドライバIC3VL、3WL及び3UU〜3WUからもゲート駆動信号がインバータ2の対応するIGBTに出力される。このため、インバータ2で、直流電力を交流電力に変換して交流負荷5を駆動する。
この正常状態から、時点t1で、保護回路51〜53の何れかで保護動作を必要とする低電圧状態、過電流状態、過熱状態の何れか1つが検出されて、保護動作信号H1〜H3の何れか例えば保護動作信号H2が、図8(b)に示すように、ハイレベルとなったものとする。
【0061】
この場合には、保護動作信号H2がハイレベルとなることにより、ロジック回路61のNANDゲート423の出力がローレベルとなり、これに応じてRS型フリップフロップ回路426がセットされる。このため、RS型フリップフロップ回路426の出力端子Qから出力される保護動作フラグとなる保護動作状態信号tFLG2がハイレベルとなる。
このとき、NORゲート441の出力がハイレベルからローレベルとなり、これがNANDゲート413、423、433の入力側に供給される。このため、NANDゲート413、423、433の出力がローレベルとなることが阻止される。したがって、保護動作信号H2がハイレベルを維持している状態で、他の保護動作信号H1又はH3がハイレベルとなってもRS型フリップフロップ回路416又は436がセットされることを確実に防止することができる。
【0062】
そして、RS型フリップフロップ回路426がセット状態となると、保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGが図8(c)に示すように、ハイレベルとなる。保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGが立ち上がる前には、発振回路62のリセット判定期間信号RDSが図8(f)に示すようにハイレベルを維持している。このリセット判定期間信号RDSがロジック回路61のNANDゲート427に供給されるので、このNANDゲート427の出力信号がローレベルとなってRS型フリップフロップ回路428がセットされる。
【0063】
このため、RS型フリップフロップ回路428の出力端子Qから出力されるパルス信号PS2が図8(d)に示すようにハイレベルとなる。これと同時にORゲート444から出力されるアラーム元信号ALBも図9(a)に示すようにハイレベルとなり、このアラーム元信号ALBがラッチ回路63のD型フリップフロップ回路602のクロック端子に供給される。
【0064】
このとき、前述したように、保護動作状態判別回路65から出力される保護動作状態判別信号PDが図9(b)に示すようにハイレベルであるので、D型フリップフロップ回路602の出力端子Qからハイレベルの出力信号がANDゲート603に出力される。このため、ANDゲート603から出力されるゲート制御信号Gcが図9(c)に示すようにハイレベルとなる。
【0065】
このゲート制御信号Gcがアラーム信号形成部64のNMOS−FET112に供給されて、このNMOS−FETがオン状態となる。したがって、アラーム信号ALが図8(g)に示すように保護動作状態を表すローレベルとなる。
一方、発振回路62では、パルス信号PS2がハイレベルとなることにより、PMOS−FET527がオン状態となり、NMOS−FET528がオフ状態となって、充放電用コンデンサ530が充電を開始する。
【0066】
その後、時点t2で充放電用コンデンサ530の充電電圧Vcが参照電圧源531の参照電圧Vref2以上となると、比較器532から出力される識別期間終了信号DTS2がハイレベルとなる。このため、ORゲート560から出力される識別期間終了信号DTSが図8(e)に示すようにハイレベルに反転する。この識別期間終了信号DTSがNOT回路442を介して、NORゲート424の入力となる。
【0067】
NORゲート424の3端子入力であるDS、H2、DTSの反転信号が全てローレベルであれば、RS型フリップフロップ回路426がリセットされるので、その出力端子Qはローレベルとなり、保護動作状態は解除される。NORゲート424の3端子入力であるDS、H2、DTSの反転信号が一つでもハイレベルならRS型フリップフロップ回路426の出力端子Qはハイレベルを維持し、保護動作状態は継続される。
【0068】
また、識別期間終了信号DTSがハイレベルになると、一定期間信号形成回路561のRS型フリップフロップ回路563はセットされ、その出力端子Qはハイレベルとなり、反転出力端子QBから出力されるリセット判定期間信号RDSがローレベルとなる。このリセット判定期間信号RDSがロジック回路61のRS型フリップフロップ回路428の反転リセット端子RBに供給される。
【0069】
このため、RS型フリップフロップ回路428がリセットされて、その出力端子Qから出力されるパルス信号PS2が図8(d)に示すようにローレベルとなる。このとき、ORゲート444から出力されるアラーム元信号ALBもローレベルとなることにより、アラーム信号ALも図8(g)に示すようにハイレベルに復帰する。
【0070】
一方、発振回路62では、識別期間終了信号DTSがハイレベルとなることにより、RS型フリップフロップ回路563がセットされる。このため、RS型フリップフロップ回路563の出力端子Qから出力される出力信号がハイレベルとなる。このため、時間遅れ回路570のPMOS−FET577がオン状態となり、NMOS−FET578がオフ状態となり、充放電用コンデンサ580の充電が開始される。
【0071】
これと同時に、RS型フリップフロップ回路563の反転出力端子QBから出力されるリセット判定期間信号RDSが図8(f)に示すようにローレベルに反転する。このとき、保護動作信号H2が図8(b)に示すようにハイレベルを維持しているものとすると、ロジック回路61のNORゲート423の出力信号はローレベルを維持し、RS型フリップフロップ回路426はリセットされることなくセット状態を維持する。
【0072】
そして、パルス信号PS2がローレベルとなることにより、発振回路62の識別期間信号形成回路520のPMOS−FET527がオフ状態となり、NMOS−FET528がオン状態となる。このため、充放電用コンデンサ530が瞬時に放電される。これに伴って、識別期間終了信号DTS2がローレベルとなって、ORゲート560から出力される識別期間終了信号DTSが図8(e)に示すようにローレベルに復帰する。
【0073】
このため、NOT回路562の出力信号がハイレベルに反転するが、比較器582の出力信号は充放電用コンデンサ580の充電電圧Vcが参照電圧源581の参照電圧Vrefに達しないのでローレベルを維持する。この結果、RS型フリップフロップ回路563はセット状態を維持する。
その後、一定期間Tbが経過した時点t3で、充放電用コンデンサ580の充電電圧Vcが参照電圧Vrefに達すると、比較器582の出力信号がハイレベルとなる。これによって、NANDゲート564の出力信号がローレベルとなって、RS型フリップフロップ回路563がリセットされる。
【0074】
このため、RS型フリップフロップ回路563の反転出力端子QBから出力されるリセット判定期間信号RDSが図8(f)に示すようにハイレベルに反転する。これによって、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路428が再度セットされて、その出力端子Qから出力されるパルス信号PS2がハイレベルとなる。このため、ORゲート444から出力されるアラーム元信号ALBがハイレベルとなって、ラッチ回路63に供給される。
【0075】
したがって、ラッチ回路63のANDゲート603からハイレベルのゲート制御信号Gcが出力され、このゲート制御信号Gcによってアラーム信号形成部64のNMOS−FET112がオン状態となってアラーム信号ALが図8(g)に示すようにローレベルに反転する。
このため、アラーム信号ALは、図8(g)に示すように、過電流保護回路52から出力される保護動作信号H2に対応する識別期間Taの間ローレベルとなり、その後の一定期間Tbの間ハイレベルとなる1周期のパルス信号となる。
【0076】
このアラーム信号ALがフォトカプラ7を介して制御回路4に供給されるので、この制御回路4で、アラーム信号ALがローレベルとなってからハイレベルとなるまでの期間をサンプリングすることにより、識別期間Taを測定することができ、この識別期間Taに基づいて過電流保護回路52が保護動作状態となったことを認識することができる。
【0077】
そして、この制御回路4では、保護回路51〜53に応じて個別に駆動信号DSの出力を停止させるタイミングが設定されている。例えば過電流保護回路52の場合、アラーム信号ALが1回の識別期間Taが経過したときに、駆動信号DSの出力を停止させるように設定されている場合に、図8(a)に示すように時点t2で駆動信号DSの出力が停止される。このため、駆動信号DSはローレベルを維持することになる。
【0078】
その後、過電流保護回路52から出力される保護動作信号H2がハイレベルを継続すると、識別期間Taが経過した時点t4でアラーム信号ALがハイレベルとなり、その後の一定期間Tbが経過した時点t5でローレベルとなる。
そして、例えば、時点t5より後の時点t6で過電流保護回路52での過電流保護が必要ない状態が検出されると、保護動作信号H2がローレベルとなる。しかしながら、この時点t6では、識別期間終了信号DTSが、図8(e)に示すように、ローレベルとなっている。これに応じて、NOT回路442の出力はハイレベルとなり、これがロジック回路61のNOR回路424に供給される。
【0079】
そして、NOR回路424の出力がローレベルを維持するので、RS型フリップフロップ回路426はセット状態を維持して出力端子Qの出力信号はハイレベルを維持し、RS型フリップフロップ回路426はセット状態を維持する。したがって、RSフリップフロップ回路426の出力端子Qから出力される保護動作フラグとしての保護動作状態信号は図8(c)に示すようにハイレベルを維持する。
【0080】
その後、時点t7で、識別期間終了信号DTSがハイレベルに反転すると、ロジック回路61のNOR回路424の出力信号がハイレベルとなる。この出力信号がNOR回路425で反転されてRS型フリップフロップ回路426の反転リセット端子RBに供給されるので、このRS型フリップフロップ426がリセットされる。
このため、RS型フリップフロップ回路426の出力端子Qから出力されている保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGが図8(c)に示すようにローレベルとなる。このとき、RS型フリップフロップ回路428もリセット判定期間信号RDSがローレベルとなることによりリセットされ、その出力端子Qから出力されるパルス信号PS2が図8(d)に示すようにローレベルとなり、アラーム元信号ALBがローレベルとなる。
【0081】
この結果、ラッチ回路63でANDゲート603から出力されるゲート制御信号Gcがローレベルとなり、NMOS−FET112がオフ状態となって、アラーム信号ALがハイレベルに復帰する。
この状態となると、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路416、426及び436が全てリセット状態となるので、NORゲート441の出力信号がハイレベルとなる。この出力信号がNANDゲート413、423、433に入力されるので、保護動作信号H1〜H3に基づくアラーム信号ALの発生が可能な状態に復帰する。
【0082】
このため、低電圧保護回路51で保護動作が必要な状態を検出した場合には、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路418から出力されるパルス信号PS1がハイレベルとなった時点から発振回路62の識別期間信号形成回路520から出力される識別期間終了信号DTSがハイレベルとなるまでの識別期間Taの長さが短くなることを除いては過電流保護回路52の場合と同様の動作でアラーム信号ALが出力される。
【0083】
したがって、制御回路4で、識別期間Taの長さから低電圧保護回路51が保護動作状態となったことを認識することができ、アラーム信号ALの識別期間Taが所定回数繰り返されたときに駆動信号DSの出力を停止して駆動信号DSがハイレベルとなる。
同様に、過熱保護回路53で保護動作が必要な状態を検出した場合にも、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路438から出力されるパルス信号PS3がハイレベルとなった時点から発振回路62の識別期間信号形成回路540から出力される識別期間終了信号DTSがハイレベルとなるまでの識別期間Taの長さが長くなることを除いては過電流保護回路52の場合と同様の動作でアラーム信号ALが出力される。
【0084】
したがって、制御回路4で、識別期間Taの長さから過熱保護回路53が保護動作状態となったことを認識することができ、アラーム信号ALの識別期間Taが所定回数(例えば1回)繰り返されたときに駆動信号DSの出力を停止して駆動信号DSがハイレベルとなる。
【0085】
また、ドライバIC3ULで保護回路51〜53の保護動作信号H1〜H3の何れか1つがハイレベルになったときに、他のドライバIC3VL又は3WLで保護回路51〜53の何れかが保護動作状態となっているときには、アラーム信号ALが識別期間Taとなったときに、保護動作状態判別回路65で遅延時間TDだけ遅れて保護動作状態判別信号PDがハイレベルとなる。この遅延時間TDの間にドライバIC3ULからアラーム元信号ALBがラッチ回路63に入力されたとしても、D型フリップフロップ回路602の出力端子Qから出力される出力信号がローレベルとなる。このため、アラーム信号形成部64のNMOS−FET112はオフ状態を維持し、他のドライバIC3VL又は3WLが出力したアラーム信号ALに影響を与えることはない。
【0086】
このように、上記第1の実施形態によると、複数の保護回路51〜53の内の1つが保護動作が必要であることを検出した場合に、保護動作信号が最初にハイレベルとなる保護回路を先着優先保護回路する。このとき、NORゲート441の出力信号によって、NANDゲート413〜433からRS型フリップフロップ回路416〜436をセットするセット信号の出力が禁止される。
【0087】
そして、この先着優先保護回路に対応する識別期間Taと一定期間Tbとを組合わせたパルス信号PS1〜PS3の何れか1つに基づくアラーム元信号ALBを形成し、このアラーム元信号ALBに基づいてアラーム信号ALを形成する。
この結果、先着優先保護回路以外の保護回路が保護動作状態となっても先着優先保護回路のアラーム信号ALが影響されることを確実に防止することができ、正確なアラーム信号ALを出力することができる。
【0088】
しかも、同一ICチップ内に複数のドライバICを形成して、そのアラーム端子を纏めてICチップで唯一のアラーム信号端子を形成した場合でも、複数のドライバICからアラーム信号ALが重複して出力されることを防止することができ、何れの保護回路が保護動作状態となったかを制御回路4で正確に把握することができる。
また、アラーム信号ALのリセット条件として、保護回路51〜53の保護動作信号がローレベル状態で、且つ制御回路4から入力される駆動信号DSが出力停止状態であることを条件として設定し、リセット条件の判定をパルス信号PS1〜PS3が一定期間Tbである期間に行うようにしている。
【0089】
このため、リセット条件が成立したときに識別期間Taに影響を与えることがないので、保護回路の識別を正確に行うことができる。逆に、パルス信号PS1〜PS3の識別期間Taについてはリセット条件の判定に影響を与えないので、任意の周期に設定することができ、設計の自由度を大きくすることができる。この結果、保護回路数が4以上に増加した場合でも、識別可能な識別期間を自由に設定でき、何れの保護回路が保護動作状態となったかを正確に識別することができる。
【0090】
また、制御回路4では、入力されるアラーム信号ALの識別期間Taを計測することにより、複数の保護回路51〜53の何れかの保護回路が保護動作状態となったかを正確に識別することができる。
このため、保護回路毎に、駆動信号DSの出力を停止するタイミングを変更することができ、保護回路の保護動作が緊急性を必要とする場合には、最初の識別期間Taが終了して、保護回路の識別が可能となった時点で直ちに駆動信号DSの出力を停止させることができる。また、緊急性の必要がない場合には、識別期間Taを複数回計数した時点で駆動信号DSを停止させることが可能となり、保護動作状態を正確に判断して誤動作を低減することができる。
【0091】
なお、上記第1の実施形態では、アラーム信号ALのリセット条件を、保護動作信号がローレベルとなり、且つ入力される駆動信号DSが出力停止状態である条件とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、リセット条件は任意に設定することができる。すなわち、少なくとも保護動作信号がローレベルとなったことのみをリセット条件としたり、全ての保護動作信号がローレベルである全保護動作停止条件が成立することをリセット条件としたり、1つのICチップ内に形成された複数のドライバICにおける全ての保護動作信号がローレベルであることをリセット条件とすることもできる。
【0092】
また、上記第1の実施形態では、識別期間信号形成回路500,520及び540で参照電圧源511、531及び551の参照電圧Vref1〜Vref3を異ならせることにより、識別期間Taを変化させる場合について説明した。しかしながら、上記構成に限定されるものではなく、充放電用コンデンサ510、530及び550の静電容量を異なる値に設定して識別期間Taを変化させるようにしてもよい。さらには、クロックパルスを計数するカウンタを適用して、カウンタのプリセット値を異なる値に設定して、異なる識別期間Taを形成するようにしてもよい。
【0093】
また、上記第1の実施形態においては、下アームのIGBTを駆動するドライバIC3UL〜3WLを1つのICチップ内に形成するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、各ドライバICを個別のICチップ内に形成したり、所要数のドライバICを1つのICチップ内に形成したり、全てのドライバICを1つのICチップ内に形成したりするようにしてもよい。
【0094】
さらに、上記第1の実施形態においては、ドライバIC3UL〜3WUと制御回路4との間をフォトカプラで接続する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ドライバIC3UL〜3WUと制御回路4との間を絶縁トランスなどの絶縁形信号伝達部を介して接続するようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態においては、パルス信号発生回路55で、発生するパルス信号PS1〜PS3のパルス幅を基本パルス幅T、2T及び4Tに設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御装置で識別可能な異なるパルス幅であれば任意のパルス幅のパルス信号を適用することができる。
【0095】
さらに、上記第1の実施形態においては、ドライバIC3ULで、保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGがハイレベルとなったときにゲート駆動信号Giの出力を停止する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御回路4と同様に、識別期間Taを所定回数計測したときにゲート駆動信号Giの出力を停止するようにしてもよい。
【0096】
次に、本発明の第2の実施形態を図10及び図11について説明する。
この第2の実施形態では、パルス信号PS1〜PS3の識別期間を異なる値に設定する場合に代えて、パルス数を異なる値に設定するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、発振回路62が図10に示すように構成されている。
この発振回路62では、前述した第1の実施形態における識別期間信号形成回路520及び540が省略され、これらに代えて識別期間信号形成回路500の構成を変更している。
【0097】
すなわち、図10に示すように、識別期間信号形成回路500がカレントミラー回路を構成するPMOS−FET505及び507と並列に2組のPMOS−FET591及び592の直列回路とPMOS−FET593及び594の直列回路が接続されている。
また、PMOS−FET591及び593のゲートがPMOS−FET504及び505のゲートに接続され、入力端子409及び410と、PMOS−FET592及び594との間がNOT回路595及び596を介して接続されている。
【0098】
さらに、入力端子408〜410とNOT回路509、595及び596との間の接続点がNORゲート597の入力側に接続されている。そして、NORゲート597の出力端がNMOS−FET508のゲートに接続されている。
一方、ロジック回路61では、図11に示すように、ORゲート444の出力信号がNOT回路449を介してプリセットカウンタ450の計数信号入力端子に供給されている。また、RS型フリップフロップ回路418、428及び438から出力されるパルス信号PS1、PS2及びPS3がプリセット値設定回路451に入力されている。
【0099】
このプリセット値設定回路451は、パルス信号PS1がハイレベルになったときに、例えば2ビットで「01」のプリセット値をプリセットカウンタ450にセットし、パルス信号PS2がハイレベルとなったときに、例えば2ビットで「10」のプリセット値をプリセットカウンタ450にセットし、パルス信号PS3がハイレベルとなったときに、例えば2ビットで「11」のプリセット値をプリセットカウンタ450にセットする。
【0100】
また、プリセットカウンタ450のクリア端子にはNORゲート441の出力信号が入力されている。このプリセットカウンタ450では、NORゲート441の出力信号がハイレベルとなるとカウント内容が零クリアされる。
さらに、プリセットカウンタ450は、ORゲート444の出力信号がNOT回路449で反転された反転信号がローレベルからハイレベルに立ち上がるとカウントアップし、このときのカウント値がプリセット値未満であるときには出力信号がローレベルとなり、プリセット値に達すると出力信号がハイレベルとなる。
【0101】
このプリセットカウンタ450の出力信号がNOT回路452を介してANDゲート453の一方の入力側に入力される。このANDゲート453の他方の入力側にはORゲート444の出力信号が入力されており、このANDゲート453からアラーム元信号ALBが出力される。このアラーム元信号ALBがラッチ回路63に供給される。
【0102】
この第2の実施形態では、定電圧保護回路51から出力される保護動作信号H1は、少なくとも後述する1周期分の識別期間Taより長い期間ハイレベルを継続するハイレベル最短継続期間が設定されている。また、保護動作信号H2は、少なくとも後述する2周期分の識別期間Taに一定期間Tbを加えた期間より長い期間ハイレベルを継続するハイレベル最短継続期間が設定されている。さらに、保護動作信号H3は、少なくとも後述する3周期の識別期間Taに2倍の一定期間Tbを加えた期間より長い期間ハイレベルを継続するハイレベル最短継続期間が設定されている。
【0103】
この第2の実施形態では、保護動作信号H1及びH2のハイレベル最短継続期間が2周期分の識別期間Taと一定期間Tbとを加算した値より長く、3周期分の識別期間Taに2倍の一定期間Tbを加えた期間より短い期間に設定され、保護動作信号H3についてはハイレベル最短継続期間が3周期の識別期間Taに2倍の一定期間Tbを加えた期間より長い期間に設定されている。
【0104】
この第2の実施形態によると、低電圧保護回路51、過電流保護回路52及び過熱保護回路53で保護が必要な状態を検出していない正常時には、前述した第1の実施形態と同様に制御回路4から入力される駆動信号DSを、ANDゲート443を介して増幅器42に出力する。そして、この増幅器42からゲート駆動信号Giをインバータ2のIGBT12のゲートに供給することにより、インバータ2を駆動し、直流電力を交流電力に変換して交流負荷5に供給する。
【0105】
この正常状態で、低電圧保護回路51、過電流保護回路52及び過熱保護回路53の何れかで、保護動作が必要な状態を検出したときに、保護動作信号H1〜H3の何れか1つ例えばH1がハイレベルとなったものとする。
この場合には、保護動作信号H1がハイレベルとなることにより、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路416がセットされて、保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLG1がハイレベルとなる。このため、RS型フリップフロップ回路418もセットされて、その出力端子Qから出力されるパルス信号PS1がハイレベルとなる。
【0106】
このとき、前述した第1の実施形態と同様に、NORゲート441の出力がローレベルとなることにより、各RS型フリップフロップ回路416、426及び436がセットされることを禁止する。
また、発振回路62では、パルス信号PS1がハイレベルとなることにより、識別期間信号形成回路500のPMOS−FET507がオン状態となり、NMOS−FET508がオフ状態となる。このため、充放電用コンデンサ510が充電状態となる。
【0107】
また、RS型フリップフロップ回路416から出力される保護動作状態信号tFLG1がハイレベルとなると、NORゲート441の出力信号がローレベルとなり、これがNOT回路454で反転されてプリセットカウンタ450のクリア端子に入力されることにより、このプリセットカウンタ450のカウント内容が零にクリアされる。
一方、プリセット値設定回路451では、パルス信号PS1がハイレベルとなることにより、プリセット値として「01」が設定され、これがプリセットカウンタ450のプリセット入力端子に供給されるので、このプリセットカウンタ450のプリセット値が“1”にセットされる。
【0108】
その後、発振回路62の識別期間信号形成回路500の充放電用コンデンサ510の充電電圧が参照電圧Vref1に達すると、ハイレベルの識別期間終了信号DTS1が出力される。この識別期間終了信号DTS1がNOT回路562を介してRS型フリップフロップ回路563の反転セット端子SBに供給される。このため、RS型フリップフロップ回路563がセットされる。この結果、前述した第1の実施形態と同様に、リセット判定期間信号RDSがローレベルとなって、ロジック回路61のRS型フリップフロップ回路418がリセットされる。
【0109】
したがって、パルス信号PS1がローレベルとなる。このため、ORゲート444の出力信号がローレベルとなり、これがNOT回路449で反転されてプリセットカウンタ450に入力される。このため、プリセットカウンタ450のカウント値がカウントアップされて“1”となり、プリセット値と一致する。
これにより、プリセットカウンタ450からハイレベルの出力信号が出力されて、ANDゲート453が閉じ、アラーム元信号ALBがローレベルとなる。このため、ラッチ回路63から出力されるゲート制御信号Gcがローレベルとなって、アラーム信号ALが図12(a)に示すようにハイレベルとなる。その後、プリセットカウンタ450の出力信号がハイレベルを維持するので、アラーム信号ALは図12(a)に示すようにハイレベルを維持する。
【0110】
そして、保護動作信号H1がローレベルとなり、且つ駆動信号DSがローレベルとなり、さらに識別期間終了信号DTS1がローレベルとなることにより、RS型フリップフロップ回路416がリセットされて、保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGが図3(a)に示すようにリセットされる。
その後、リセット判定期間信号RDSがハイレベルとなると、RS型フリップフロップ回路418がセットされるが、ANDゲート453は閉じたままとなるので、アラーム信号ALはハイレベルを維持する。
【0111】
したがって、過電流保護動作を開始して保護動作信号H1がハイレベルとなることにより、アラーム信号の3周期より長く設定された所定期間tkの間に1周期の識別期間Taが形成される。
そして、過電流保護動作が終了して保護動作信号H1がローレベルとなり、且つ駆動信号DSがローレベルとなり、さらに識別期間終了信号DTS1がローレベルとなることにより、RS型フリップフロップ回路416がリセットされて、保護動作フラグとしての保護動作状態信号tFLGが図3(a)に示すようにリセットされる。
【0112】
その後、何れかの保護回路51〜53の保護動作信号H1〜H3の何れかがハイレベルとなると、これに対応したRS型フリップフロップ回路416、426、436の何れかがセットされる。
このため、保護動作フラグとなる保護動作状態フラグtFLGがハイレベルとなり、これによってNORゲート441の出力信号がローレベルとなる。したがって、プリセットカウンタ450が零にクリアされ、ハイレベルとなったパルス信号PS1〜PS3の何れかに応じてプリセット値が設定される。
【0113】
このとき、過電流保護回路52の保護動作信号H2がハイレベルとなると、アラーム信号ALが、図12(b)に示すように、比較的長い所定期間tkの間に識別期間Taが2周期分出力される。
同様に、過熱保護回路53の保護動作信号H3がハイレベルとなると、アラーム信号ALが、図12(c)に示すように、比較的長い所定期間tkの間に識別期間Taが3周期分出力される。
【0114】
したがって、制御回路4でアラーム信号ALを、フォトカプラ7を介して読込むことにより、このアラーム信号ALがローレベルからハイレベルに状態変化した回数を計測することにより、何れの保護回路51〜53が保護動作状態となったことを正確に認識することができる。
このとき、制御回路4では、図13に示すように、アラーム信号ALを所定周期のクロックパルスCPの出力タイミングでサンプリングする。このサンプリングしたアラーム信号ALがハイレベルからローレベルに状態変化したタイミング以降のローレベルからハイレベルへ状態変化した回数を計数することにより、識別期間Taの回数を正確に検出することができる。そして、識別期間Taの回数から何れの保護回路が保護動作状態となったかを正確に識別することができる。
【0115】
この場合に、制御回路4のクロックパルスCPの周期W1をアラーム信号ALの一定期間Tbより小さい値に設定することにより、アラーム信号ALの状態変化を確実に検出することができる。
また、識別期間Taの値は1msより大きいことが好ましく、識別期間Taの値が小さくなり過ぎると正確な状態変化の検出が困難となる。
【0116】
また、識別期間Taに対する一定期間Tbの値は、1/10より小さい値に設定することが好ましく、また、制御回路4でのクロックパルスCPの周期Tcは一定期間Tbの1/2以下に設定することが好ましい。
このように、識別期間Taの回数を計測することにより、製造バラツキの影響を小さくすることができる。すなわち、前述した第1の実施形態のように、識別期間を、例えば図14(a)、(b)及び(c)に示すように、過電流保護動作時に最小識別期間tALMOCとし、低電圧保護動作時に中間識別期間tALMUVとし、過熱保護動作時に最大識別期間tALMOHとした場合を考える。
【0117】
この場合には、図15(a)に示すように、製造のバラツキが小さい場合には問題ないが、図15(b)に示すように製造のバラツキが大きい場合には、識別期間tALMOC、tALMUV、tALMOHの分布が良品選別を判定する規格を超えてしまい、良品率が悪化してロスコストが増加するという問題がある。
しかしながら、本実施形態のように、識別期間Ta及び一定期間Tbを共に一定値とし、識別期間Taの繰り返し回数を異なる値に設定することにより、同じ識別期間信号形成回路500を使用して保護回路毎の繰り返し回数が異なる識別期間Taを形成することができる。このため、製造のバラツキを抑制することができ、良品率を向上させてロスコストを減少させることができる。
【0118】
なお、上記第2の実施形態においては、保護動作信号H1及びH2のハイレベル最短継続期間を2周期分の識別期間Taに一定期間Tbを加えた時間より長くし、3周期分の識別期間Taに2倍の一定期間Tbを加えた期間より短く設定した場合について説明したが、保護動作信号H1、H2及びH3のハイレベル最短継続期間を設定された識別期間Taの周期に応じて異なる値に設定することもできる。
【0119】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、電力変換装置としてインバータを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、AC/ACコンバータ等の各種電力変換装置に適用することができる。また、三相の電力変換装置に本発明を適用した場合について説明したが、単相の電力変換装置に本発明を適用することもできる。
【0120】
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、ロジック回路61、発振回路62、ラッチ回路63、保護動作状態判別回路65をハードウェアで構成した場合について説明したがこれに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を適用してソフトウェア処理することもできる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、アラーム信号ALが正常時にハイレベルとなる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、正常時にローレベルとなり、保護動作時にハイレベルとなるように設定することもできる。この場合には、ロジック回路61、発振回路62、ラッチ回路63等の信号レベルを反転させれば良い。
【0121】
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、半導体素子としてIGBTを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パワーFET等の任意のパワーデバイスを適用することができる。そして、双方向に電流を流すことができる半導体素子を適用する場合には、フリーホイールダイオードを省略することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては電流センス用IGBT17を有して、この電流センス用IGBT17でIGBT11〜16に流れる電流を検出するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シャント抵抗を利用して電流を検出したり、変流器を利用して電流を検出したりすることができる。
【0122】
さらに、上記実施形態においては、IC電源の低電圧、IGBTの過電流及び過熱を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上記の3種類の保護動作の内の2種類を検出するようにしてもよく、さらには過電圧等の保護動作を必要とする他の状態を検出する保護回路を設けるようにしてもよい。
また、保護動作状態判別回路65を構成するスイッチング素子はMOS−FETに限定されるものではなく、パイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明によると、簡易な構成で複数の保護回路の保護動作状態を誤検出することなく、正確に判別することができる電力変換装置の制御装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0124】
1…電力変換装置、2…インバータ、3UL〜3WU…ドライバIC、4…制御回路、5…交流負荷、11〜16…IGBT、17…電流センス用IGBT、18…温度検出用ダイオード、21〜26…フライホイールダイオード、UA…上アーム、LA…下アーム、40…入力回路、41…アラーム信号形成回路、42…増幅器、51…低電圧保護回路、52…過電流保護回路、53…過熱保護回路、61…ロジック回路、62…発振回路、63…ラッチ回路、64…アラーム信号形成部、65…保護動作状態判別回路、PSC1〜PSC3…パルス信号形成回路、500、520、540…識別期間信号形成回路、560…ORゲート、561…一定期間信号形成回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15