【実施例】
【0032】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0033】
実施例1
攪拌羽根を有する、内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブ中に、
CF
3CF
2CF
2OCF(CF3)CF2OCF(CF
3)COONH
4 〔乳化剤〕 34g
Na
2HPO
4・12水和物 〔緩衝剤〕 17g
I(CF
2)
4I 〔連鎖移動剤〕 27g
イオン交換水 5600ml
を仕込んだ後窒素置換を行い、反応器内の酸素の除去を行った。
【0034】
次いで
1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ビス〔(トリフルオロビニル) 3g
オキシ〕エタン CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2
パーフルオロメチルビニルエーテル CF
2=CFOCF
3〔PMVE〕 790g
VdF/TFE=87.5/12.5モル%混合ガス 670g
を導入し、反応器内の温度を50℃に上昇させた。50℃到達時の反応器内圧力は、3.14 MPa・Gであった。温度が安定したことを確認した後、レドックス系を形成する過硫酸アンモニウム1.0gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.1gを反応器内に導入し、重合反応を開始させた。反応器内の圧力が3.00 MPa・Gとなった時点で、VdF/TFE/PMVE=79.6/11.4/9.0モル%の混合比のモノマー混合物を導入し、3.10MPa・Gまで昇圧させた。重合反応中は、上記組成のモノマー混合物を導入することで、反応圧力を3.00〜3.10 MPa・Gに保った。
【0035】
導入したモノマー混合物の添加量がそれぞれ225g、680g、1175gとなった各時点で、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2を7gずつ反応器内に3回導入した。導入したモノマー混合物の合計量が1410gとなったところで導入を止め、圧力が0.20 MPa・Gとなった時点で反応器を冷却して、重合反応を停止した。重合開始剤投入から重合停止までは、392分を要した。反応混合物として、8560gの含フッ素エラストマーラテックスが得られた。
【0036】
得られた含フッ素エラストマーラテックスを同量の1重量%CaCl
2水溶液に投入してラテックスを凝集させ、凝集物をろ過および5倍量のイオン交換水で5回洗浄した後真空乾燥を行い、2500gのVdF/TFE/PMVE共重合体を得た。得られた共重合体の共重合組成は、VdF/TFE/PMVE/CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2=73.5/9.6/16.7/0.2モル%(
19F-NMR法による)であった。
【0037】
比較例1
実施例1において、重合開始剤投入前におけるCF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2仕込量3gを24gに変更し、重合開始剤投入後におけるCF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2の導入が行われなかった。得られた共重合体の共重合組成は、VdF/TFE/PMVE/CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2=73.4/9.6/19.8/0.2モル%であった。
【0038】
比較例2
実施例1において、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2が全く用いられなかった。得られた共重合体の共重合組成は、VdF/TFE/PMVE=73.6/9.7/16.7モル%であった。
【0039】
実施例2
攪拌羽根を有するステンレス鋼製で内容積10Lのオートクレーブ中に、
CF
3CF
2CF
2OCF(CF3)CF2OCF(CF
3)COONH
4 〔乳化剤〕 20g
Na
2HPO
4・12水和物 〔緩衝剤〕 5g
I(CF
2)
4I 〔連鎖移動剤〕 5g
イオン交換水 5000ml
を仕込んだ後、窒素置換を行い、反応器内の酸素の除去を行った。
【0040】
次いで、
1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ビス〔(トリフルオロビニル) 5g
オキシ〕エタン CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2
ヘキサフルオロプロピレン CF
2=CFCF
3〔HFP〕 750g
VdF/TFE=71/29モル%の混合ガス 270g
を導入し、反応器内温を70℃に上昇させた。70℃到達時の反応器内圧力は、2.65 MPa・Gであった。温度が安定したことを確認した後、レドックス系を形成する過硫酸アンモニウム0.5gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.05gを反応器内に導入し、重合反応を開始させた。重合開始剤投入後、VdF/TFE/HFP=53.0/21.7/25.3モル%の混合比のモノマー混合物を導入し、反応器内圧力を3.00 MPa・Gまで昇圧させ、重合反応中は、上記組成(VdF/TFE/HFP=53.0/21.7/25.3モル%)のモノマー混合物を導入することで、反応圧力を2.90〜3.00 MPa・Gに保った。
【0041】
導入したモノマー混合物の添加量がそれぞれ500g、880g、1260g、1640gとなった各時点で、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2を4g、I(CF
2)
4Iを4g、過硫酸アンモニウムを0.125g、亜硫酸水素ナトリウム0.012gおよびイオン交換水50gを反応器内に4回導入した。導入したモノマー混合物の合計量が1850gとなったところで導入をやめ、圧力が1.80 MPa・Gとなった時点で反応器を冷却し、重合反応を停止した。重合開始剤投入から重合停止までは、353分を要した。反応混合物として、7750gの含フッ素エラストマーラテックスが得られた。
【0042】
得られた含フッ素エラストマーラテックスを実施例1と同様に凝集、ろ過および洗浄および乾燥を行い、2210gのVdF/TFE/HFP共重合体を得た。得られた共重合体の共重合組成は、VdF/TFE/HFP/CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2=57.6/19.3/22.9/0.2モル%であった。
【0043】
比較例3
実施例2において、重合開始剤投入前におけるCF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2およびI(CF
2)
4I連鎖移動剤の各仕込量5gをそれぞれ21gに変更し、反応開始時に導入されるレドックス系各成分である過硫酸アンモニウム量を1gに、亜硫酸水素ナトリウム量を0.1gにそれぞれ変更し、反応中でのCF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2、I(CF
2)
4Iおよびレドックス系各成分の導入が行われなかった。得られた共重合体の共重合組成は、VdF/TFE/HFP/CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2=57.7/19.4/22.8/0.1モル%であった。
【0044】
比較例4
比較例3において、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2が全く用いられなかった。得られた共重合体の組成は、VdF/TFE/HFP=57.6/19.4/23.0モル%であった。
【0045】
実施例3
実施例1において、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2の仕込み方法を、初期なし、分添時に8gずつ3回に変更した。重合開始剤投入から重合停止までは、388分を要した。反応混合物として、8571gの含フッ素エラストマーラテックスが得られた。
【0046】
この含フッ素エラストマーラテックスを凝集して得られた含フッ素エラストマーは2510gであり、その共重合組成はVdF/TFE/PMVE/CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2=73.4/9.5/16.0/0.2モル%であった。
【0047】
実施例4
実施例1において、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2の代わりにCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2OCF=CF
2 (a+c=1)を用い、該ジビニルエーテルモノマーを初期仕込み量4.7g、分添時仕込み量11gずつ3回に変更した。重合開始剤投入から重合停止までは、411分を要した。反応混合物として、8566gの含フッ素エラストマーラテックスが得られた。
【0048】
この含フッ素エラストマーラテックスを凝集して得られた含フッ素エラストマーは2495gであり、その共重合組成はVdF/TFE/PMVE/CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2OCF=CF
2=73.6/9.6/16.6/0.2モル%であった。
【0049】
実施例5
実施例1で得られた含フッ素エラストマー 100重量部
MTカーボンブラック(Cancarb社製品N990) 37 〃
トリアリルイソシアヌレート(日本化成製品TAIC M60) 4 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 1.5 〃
以上の各成分を、オープンロールで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で6分間プレス加硫して厚さ2mmのシート状物および3.5mm径のOリングを得、これらについてさらに230℃で22時間の二次加硫(オーブン加硫)を行った。
【0050】
比較例5
実施例5において、実施例1で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、比較例1で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0051】
比較例6
実施例5において、実施例1で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、比較例2で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0052】
実施例6
実施例5において、実施例1で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、実施例3で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0053】
実施例7
実施例5において、実施例1で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、実施例4で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0054】
以上の実施例5〜7および比較例5〜6で得られた加硫物について、次の各項目の測定を行った。得られた結果は、表1に示される。
常態物性:ISO 37, 7619に対応するJIS K6251,6253に準拠
圧縮永久歪:ISO 815に対応するJIS K6262に準拠して、3.5mm径のOリン
グについて200℃、22時間および70時間の値を測定
【0055】
実施例8
実施例2で得られたエラストマー 100重量部
MTカーボンブラック(Cancarb社製品N990) 30 〃
酸化亜鉛 5 〃
トリアリルイソシアヌレート(TAIC M60) 4 〃
有機過酸化物(パーヘキサ25B-40) 1 〃
以上の各成分を、オープンロールで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間プレス加硫して厚さ2mmのシート状物および3.5mm径のOリングを得、さらに200℃で22時間の二次加硫(オーブン加硫)を行った。
【0056】
比較例7
実施例8において、実施例2で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、比較例3で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0057】
比較例8
実施例8において、実施例2で得られた含フッ素エラストマーの代わりに、比較例4で得られた含フッ素エラストマーが同量用いられた。
【0058】
以上の実施例8および比較例7〜8で得られた加硫物について、実施例5と同様に常態物性および圧縮永久歪の測定が行われた。
表2
測 定 項 目 実施例8 比較例7 比較例8
〔常態物性〕
硬度 (Duro A) 70 70 69
100%モジュラス(MPa) 5.7 6.1 4.0
破断強さ (MPa) 25.1 21.7 21.0
破断時伸び (%) 280 250 270
〔圧縮永久歪〕
200℃、22時間 (%) 15 20 23
200℃、70時間 (%) 20 24 28