特許第5725171号(P5725171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725171
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】接続部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20150507BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H01L23/50 B
   H01L23/50 N
   H05K1/18 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-517288(P2013-517288)
(86)(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公表番号】特表2013-535807(P2013-535807A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2011060973
(87)【国際公開番号】WO2012004177
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2013年2月20日
(31)【優先権主張番号】102010026312.5
(32)【優先日】2010年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホルステ、ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ローゼマイヤー、ウルリヒ
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−130007(JP,A)
【文献】 特開平09−232499(JP,A)
【文献】 特開2003−124074(JP,A)
【文献】 特開平10−284666(JP,A)
【文献】 実開平03−071654(JP,U)
【文献】 実開平05−018043(JP,U)
【文献】 特開平05−055433(JP,A)
【文献】 特開平02−292807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板とはんだ付け接続されるSMD部品に用いられる接続部材であり、
金属材料と、
回路基板とのはんだ付け接続に用いられる実質的に積層状の接続エリアと、
導電領域と
を備え、
前記金属材料は、他の金属材料によって一方の面のみがコーティングされ、鋼の片、線、又はシートから金属片を打ち抜くことによって提供され、
前記積層状の接続エリアは、縁領域を有し、
はんだ付けによって回路基板と接続された状態ではんだフィレットが形成され、前記縁領域が前記積層状の接続エリア上の前記導電領域に対し実質的に平行に配置されるよう、前記縁領域の少なくとも1つの部分が前記積層状の接続エリアから突出し、
前記積層状の接続エリアは、前記積層状の接続エリア上の前記導電領域に対し略垂直に配置される縁領域を有し、
いずれの前記縁領域についても少なくとも1つの部分が前記積層状の接続エリアから突出し、
前記縁領域と前記積層状の接続エリアは、前記一方の面のみが前記コーティングされた鋼の片、線、又はシートから形成され、
前記はんだフィレットは、前記縁領域における、前記回路基板と前記コーティングの間に形成される、
接続部材。
【請求項2】
前記縁領域が、前記積層状の接続エリアの上方に、前記金属材料の厚さの20倍以下の距離だけ突出する、請求項1に記載の接続部材。
【請求項3】
前記縁領域が、前記積層状の接続エリアの上方に、前記金属材料の厚さの2倍以下の距離だけ突出する、請求項1または2に記載の接続部材。
【請求項4】
前記縁領域の部分が、前記積層状の接続エリアに対し、5°から0°傾いている、請求項1から3のいずれか1項に記載の接続部材。
【請求項5】
回路基板とはんだ付け接続されるSMD部品に用いられる接続部材を製造する方法であり、
一方の面のみがコーティングされた鋼の片、線、又はシートを提供する段階と、
前記鋼の片、線、又はシートから金属片を打ち抜く段階と、
前記金属片を曲げ、導電領域および積層状の接続エリアを形成する段階と、
前記積層状の接続エリア上に縁領域を形成する段階であって、前記縁領域のうちの一つが前記積層状の接続エリア上の前記導電領域に対し略垂直に配置される、形成する段階と
を備え、
はんだ付けによって前記回路基板と接続された状態ではんだフィレットが形成され、前記縁領域が前記積層状の接続エリア上の前記導電領域に対し実質的に平行に配置されるよう、前記縁領域の少なくとも1つの部分が前記積層状の接続エリアから突出するよう形成され、
いずれの前記縁領域についても少なくとも1つの部分が前記積層状の接続エリアから突出し、
前記縁領域と前記積層状の接続エリアは、一方の面のみが前記コーティングされた前記鋼の片、線、又はシートから形成され、
前記はんだフィレットは、前記縁領域における、前記回路基板と前記コーティングの間に形成される、
方法。
【請求項6】
前記縁領域を形成する段階は、曲げる段階を有する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記形成する段階および前記曲げる段階は、1つの段階である、請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
前記形成する段階、前記曲げる段階および前記打ち抜く段階は、1つの段階である、請求項からのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、表面実装型デバイス(SMD)部品に用いられる接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
SMD部品は回路基板上に容易に組み立てることが出来、かつ、容易にはんだ付けすることが出来るので、様々な製品に用いられている。
【0003】
SMD技術において用いられる集積回路および電気機械部品は、表面にはんだ付けされる多数の接続部材を用いて実装される。
【0004】
経済的に合理的な規模で製造するべく、これらの接続部材は従来、予備はんだされた、鋼の片または線から一般的に製造されてきた。
【0005】
しかし、この手順には、切断の結果、少なくとも切断された縁の部分が予備はんだされていない状態となり、それにより、安定したはんだ付けをするには、切断された縁の後処理が必要となる、といった課題がある。
【0006】
さらに、追加の製造工程が必要となるということに加えて、各工程には一定レベルの欠陥が伴う。
【0007】
特に、ガルバニックな表面の後処理では層厚さの制御が不十分となり、特定のエリアの厚さが大きいなど、一般的により不均一な厚さの層が形成される。
【0008】
さらにガルバニックに形成された層におけるウィスカの形成を防ぐには、一般的にニッケルの副層が必要となる。
【0009】
これらの課題のそれぞれが原因となり、結果的に全体としてより不安定なはんだ付け接続がなされることとなる。つまり、SMDの接続箇所が(数ニュートンの)低い応力しか吸収出来ないということである。この程度の応力は、温度要因および振動などによって容易に部品に対してかかり得、剥離応力がかかり、よって、はんだ付け接続箇所の損傷へと繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本願発明は、独創的な方法により従来技術の1以上の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの課題は、回路基板とはんだ付け接続されるSMD部品に用いられる接続部材によって解決される。接続部材は、金属材料を備え、当該金属材料は、他の金属材料によって少なくとも部分的にコーティングされている。接続部材は、回路基板とのはんだ付け接続に用いられる積層状接続エリアを備え、当該積層状接続エリアは、縁領域を有する。はんだ付けによって回路基板と接続された状態ではんだフィレットが形成されるよう、縁領域の少なくとも1つの部分が積層状接続エリアから突出する。
【0012】
本願発明のさらに他の実施形態では、接続部材は導電領域を備え、縁領域が積層状接続エリア上の導電領域に対し略平行に配置される。
【0013】
本願発明のさらに他の実施形態では、縁領域が、積層状接続エリアの上方に、材料厚さの20倍以下の距離だけ突出する。
【0014】
本願発明の他の実施形態では、縁領域が、積層状接続エリアの上方に、材料厚さの2倍以下の距離だけ突出する。
【0015】
本願発明の他の実施形態では、縁領域の部分が、積層状接続エリアに対し、約45°から最大約90°だけ傾いている。
【0016】
本願発明の他の実施形態では、接続部材は、積層状接続エリア上の導電領域に対し略垂直に配置される縁領域を備える。
【0017】
本願発明はさらに、上述した課題を方法によって解決する。 回路基板とはんだ付け接続されるSMD部品に用いられる接続部材を製造する方法は、金属片を打ち抜く段階と、金属片を曲げ、導電領域および積層状接続エリアを形成する段階と、積層状接続エリア上に縁領域を形成する段階とを備え、はんだ付けによって回路基板と接続された状態ではんだフィレットが形成されるよう、縁領域の少なくとも1つの部分が積層状接続エリアから突出するよう形成される。
【0018】
本願発明の一実施形態では、縁領域を形成する段階は、曲げる段階を有する。
【0019】
本願発明の他の実施形態では、形成する段階および曲げる段階は、1つの段階である。
【0020】
本願発明の他の実施形態では、形成する段階、曲げる段階および打ち抜く段階は、1つの段階である。
【0021】
以下において、好ましい実施形態を説明することにより、本願発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、SMDの接続部材を製造する方法を示す図である。
図2図2は、従来技術の接続部材を用いたはんだ付け処理を示す図である。
図3図3は、本願発明の第1実施形態の接続部材を用いたはんだ付け処理を示す図である。
図4図4は、本願発明の第2実施形態の接続部材を用いたはんだ付け処理を示す図である。
図5図5は、本願発明の第3実施形態の接続部材を用いたはんだ付け処理を示す図である。
図6図6は、本願発明の製造方法を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、従来技術によって製造される接続部材を示す。この接続部材は、典型的には、コーティング1をされた大きなサイズのシート2から矢印Sの方向に打ち抜かれたものである。図面からわかるように、切断縁にはほとんどコーティング1が施されていない。
【0024】
打ち抜きの方向によっては切断縁にもコーティング1が施されていることもあるかもしれないが、この場合であっても求められる品質を満たすには不十分であり、特に、IEC 60068−2−58などの規格を満たすには不十分である。
【0025】
よって、コーティングされていない切断縁をはんだ付けした場合、強度が一般的に不十分となるので、従来は、例えば切断縁の少なくとも一部の表面を後処理することにより、加熱予備はんだによる、またはガルバニックに再溶融されたすず(Sn)によって施されるコーティング1を補う必要が常にあった。
【0026】
このことは図2において明らかに示されている。図2では、はんだ付け接続箇所の前面5は、側面4、6とは対照的に、後処理されていない。
【0027】
対照的に、本願発明の接続部材では、はんだ付けによって回路基板3と接続した状態ではんだフィレットが縁領域4、5、6に形成されるように、積層状接続エリアの縁領域の少なくとも1つの部分が突出している。ここでは詳細に示されていないが、はんだフィレットは、湾曲縁の裏面にも形成される。
【0028】
このことは特に、例えば図3に示した、トラフ状の実施形態において明らかである。ここで、積層状接続エリア7に対しトラフが形成されるように縁領域4、5、6が変形している。
【0029】
接続部材が回路基板3に載置され、適切に加熱されると、トラフ状の実施形態では高さの大きなはんだフィレットが形成されるので、効果的なはんだ付け箇所が形成される。
【0030】
縁領域4、5、6に沿ったはんだフィレットの形成は、図3の中央の斜視図および右側の平面図において明らかである。
【0031】
はんだ付け接続箇所の強度を決定づけるのは、はんだフィレットの形成およびその大きさである。よって、本願発明によれば、従来技術で可能であったよりもさらに強度の高い接続とすることが出来る。さらに、本願発明によれば、本願発明を用いなければ必要であり、欠陥が発生する要因となる少なくとも1つの後処理工程を省略することが可能であり、よって、本発明によれば、製造コストを低減できる接続部材を提供できる。
【0032】
図4に、他の実施形態を示す。本願発明の接続部材では、はんだ付けによって回路基板3と接続した状態ではんだフィレットが縁領域4、6に形成されるように、積層状接続エリアの縁領域の少なくとも1つの部分が突出している。
【0033】
この場合、積層状接続エリア7に対し、U字が形成されるよう縁領域4、6が変形している。
【0034】
図5に、さらに他の実施形態を示す。本願発明の接続部材では、はんだ付けによって回路基板3と接続した状態ではんだフィレットが縁領域4、6に形成されるように、積層状接続エリアの縁領域の少なくとも1つの部分が突出している。
【0035】
この場合、積層状接続エリア7に対し、U字が形成されるよう縁領域4、6が変形している。
【0036】
図3〜5に示す実施形態に限定されず、縁領域の部分が他の適切な形状を有し得ることが当業者には明らかであろう。
【0037】
図3〜5から明らかなように、接続部材はさらに、導電領域8を含む。
【0038】
示される実施形態においては、縁領域4、6は、積層状接続エリア7上の導電領域8に対して略平行に配置されている。
【0039】
他の形状の接続エリア、およびそれに関連付けられた縁領域も当然ながら考えられるが、SMD部品に複数の接続部材が並べて配置される場合、縁領域はそれぞれ略平行に配置されるのが好ましいことがわかっている。
【0040】
接続部材の寸法は、必要条件に合わせて選択される。
【0041】
例えば、寸法は、はんだ付けの技術者の観点から実質的に選択され、はんだフィレットの高さが深さに実質的に対応するような寸法とされる。この場合、縁領域は、積層状接続エリア7の上方に金属シート2の材料厚さの約0.25〜2倍の距離だけ突出する。
【0042】
他の実施形態では、寸法は単純な屈曲で済むので、機械工の観点から、距離が実質的に長くなるよう選択される。距離が短い場合、事前の屈曲およびそれに続く最終的な屈曲が必要となりうる。この場合であっても、切断面4、5、6の焼き戻し後処理は必要ではない。
【0043】
この場合、縁領域は、積層状接続エリア7の上方に金属シート2の材料厚さの約0.25〜20倍の距離だけ突出する。
【0044】
寸法は、上述した両方の観点から選択されてもよく、この場合、両方の観点からの合理的な判断に基づいて寸法が選択される。
【0045】
図3および5の実施形態においては、積層状接続エリア7に対し、縁領域4、6の部分が約90°だけ傾いている。図3では、縁領域5も積層状接続エリア7に対し、約90°だけ傾いている。
【0046】
図4の実施形態では、積層状接続エリア7に対し、縁領域4、6の部分が、約45°だけ傾いている。
【0047】
これらの角度は、縁領域の末端部の傾きを指しており、縁領域が湾曲している実施形態を本願発明および特許請求の範囲が含むことは明らかである。
【0048】
図3に関連して説明したように、はんだ付けによって回路基板3と接続した状態ではんだフィレットが形成されるように、縁領域5も、積層状接続エリア7から突出するように設計されてもよい。この縁領域5は、積層状接続エリア7上の導電領域8に対し略垂直に配置される。
【0049】
図6は、回路基板3とはんだ付け接続されるSMD部品に用いられる接続部材を製造する、本願発明の方法を示すフロー図である。
【0050】
段階100において、金属片1、2が打ち抜かれる。
【0051】
段階200において、金属片1、2が曲げられ、導電領域8および積層状接続エリア7が形成される。
【0052】
段階300において、積層状接続エリア7に縁領域4、5、6が形成される。このとき、はんだ付けによって回路基板3と接続した状態ではんだフィレットが形成されるよう、縁領域4、5、6のうち少なくとも1つの部分が積層状接続エリア7から突出する。
【0053】
本方法の一実施形態において、縁領域4、5、6を形成する段階300は、曲げる段階を含む。
【0054】
さらに他の実施形態において、形成する段階300および曲げる段階200は、1つの段階として実行される。
【0055】
さらに他の実施形態において、形成する段階300、曲げる段階200および打ち抜く段階100は、1つの段階として実行される。
【符号の説明】
【0056】
1 コーティング、2 金属材料、3 回路基板、4、5、6 縁領域、7 積層状接続エリア、8 導電領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6