特許第5725237号(P5725237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5725237
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   H01R13/42 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-103561(P2014-103561)
(22)【出願日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】八木 境
(72)【発明者】
【氏名】椋木 淳
(72)【発明者】
【氏名】松下 大介
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4304502(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具が挿入される複数の端子保持溝が並列状に形成されたハウジングと、前記ハウシングにヒンジ部を介して設けられ前記端子保持溝に挿入された前記端子金具に係合可能なリヤホルダと、前記ヒンジ部を中心に前記リヤホルダを回動させて前記ハウジングに重ね合わせたとき前記リヤホルダと前記ハウジングとを接合するために前記端子保持溝の並列方向の両端側に設けられた第一係合手段と、接合状態にある前記リヤホルダと前記ハウジングとの離隔を阻止するため隣り合う前記端子保持溝の間に設けられた第二係合手段と、を備え
前記第二係合手段が、前記リヤホルダ若しくは前記ハウジングに設けられた凹部と、前記凹部に係脱可能な状態で前記ハウジング若しくは前記リヤホルダに設けられた凸部であって、
前記凸部は、前記端子保持溝から前記端子金具が離脱される方向と反対方向に突出しており、前記凹部との接触を実現する面を備えたことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記凸部の面は、前記リヤホルダが前記ハウジングから離隔するに連れて、突き出しが長くなる突出を実現する傾斜面である請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、弾性体であり、
前記第一係合手段は、前記ハウジングの前記端子保持溝の並列方向の両端側に位置する壁部に貫通状に形成された第一凹部と、前記リヤホルダの前記端子保持溝の並列方向の両端面に前記第一凹部に係合可能に突出した第一凸部と、から形成され、
前記第一凹部の貫通状の部分の大きさは、当該第一凹部に係合した前記第一凸部が、前記端子保持溝から前記端子金具が離脱される方向へ移動可能な大きさである請求項1または2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第二係合手段を、前記端子保持溝の並列方向の中央に設けた請求項1〜3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第二係合手段を、前記端子保持溝に挿入された前記端子金具の圧着部の並列領域に設けた請求項1〜4のいずれかに記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板とワイヤハーネスとを電気的に接続する手段として前記ワイヤハーネス側に使用する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板とワイヤハーネスとの電気的接続手段として使用される電気コネクタについては、従来、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、図12図16に記載された電気コネクタ200あるいは特許文献1,2に記載された「コネクタ」などがある。
【0003】
図12〜16に示すように、従来の電気コネクタ200は、端子金具10を挿入するために形成された複数の端子保持溝102と、各端子保持溝102に挿入された端子金具10の第一係止部11に係止する離脱防止用の一次係止部(図示せず)とを有するハウジング103、及び、ハウジング103にヒンジ部104を介して一体的に設けられ端子保持溝102に挿入された端子金具10の第二係止部12に係止する離脱防止用の二次係止部105を有するリヤホルダ106を備えている。
【0004】
図14図15に示すように、ヒンジ部104を中心にリヤホルダ106を回動させてハウジング103の下面に重ね合わせると、リヤホルダ106の左右側面に形成された凸部107が、ハウジング103の左右の側壁108に形成された孔部109に嵌入し、リヤホルダ106とハウジング103とが接合される。
【0005】
一方、特許文献1記載の「コネクタ」においては、同文献の図1図4に記載されているように、端子金具2を挿入可能な端子挿入孔3が内部に形成されたコネクタハウジング1に、撓み変形可能なヒンジ片8を介してリテーナ7が連結され、端子挿入孔3に挿入された端子金具2を、その端子挿入孔3に形成された弾性係止片5によって抜け方向の一次係止を行うとともに、ヒンジ片8を折り畳みつつ、リテーナ7をコネクタハウジング1に一体的に係着させて、その一部を端子挿入孔3へ進入させることにより二次係止を行うようにされている。
【0006】
具体的には、同文献の図2(A),(B)に記載されているように、ヒンジ片8で連結されたリテーナ7の側板15を、ハウジング1側面の凹設面16の後端側に上方から押し込むと、仮係着用ロック突条21が長孔19の前端側に嵌り、側板15の前縁が本係着用ロック突部22との間に挟持され、リテーナ7が仮係着状態に保持される。このとき、ヒンジ片8はハウジング1内に折り畳まれ、リテーナ7は端子金具2が挿抜可能な位置にある。
【0007】
この後、同文献の図4(A)に示すように、端子金具2を端子挿入孔3に挿入して一次係止したのち、同文献の図2(C)に示すように、リテーナ7をさらに押し込むと、本係着用ロック突部22が長孔19の前端側に嵌り、仮係着用ロック突条21とともに長孔19の両端に係止して、リテーナ7が本係着状態に保持される。これに伴い端子金具2の二次係止が行われる。
【0008】
次に、特許文献2記載の「コネクタ」は、特許文献1記載の「コネクタ」とほぼ同様の構造、機能を有し、図17図18に示すように、端子金具を挿入可能なキャビティ3(端子挿入孔)が内部に形成されたハウジング1に、撓み変形可能なヒンジ片8を介してリテーナ7が連結され、端子挿入孔3に挿入された端子金具5を、その端子挿入孔3に形成されたランス6によって抜け方向の一次係止を行うとともに、ヒンジ片8を折り畳みつつ、リテーナ7をハウジング1に一体的に係着させて、その一部を端子挿入孔3へ進入させることにより二次係止が行われる。
【0009】
また、特許文献2記載の「コネクタ」においては、リテーナ7の嵌合部2との対向面に接続突部4が設けられ、リテーナ7が二次係止位置にあるときに、ハウジング1側に設けられた凹部(図示せず)に接続突部4が係合してリテーナ7の浮き上がりを防止する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録公報第2581477号公報
【特許文献2】特許第2964880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図12図15に示す従来の電気コネクタ200の場合、ハウジング103にヒンジ部104を介して形成されているリヤホルダ106は、ハウジング103の両側部で係止する構造とすることにより、ハウジング103からのリヤホルダ106の浮き上がりを防止している。
【0012】
しかしながら、コネクタの多極化に伴ってハウジングの横幅が増大すると、ケーブルが引っ張られるなどの原因により、ハウジング103に挿入されている端子金具10に引張力が作用すると、図16に示すように、リヤホルダ106が撓み、ハウジング103の両側部からリヤホルダ106が外れることがある。このような現象は、特許文献1に記載されている「コネクタ」においても同様に発生することが予測される。
【0013】
一方、特許文献2記載の「コネクタ」の場合、図17図18に示すように、リテーナ7に設けられた接続突部4が、ハウジング1側に設けられた凹部(図示せず)に係合する機構を備えているため、ある程度、リテーナ7の浮き上がりを防止することができるが、ハウジング1に対する接続突部4の係合方向が水平方向となっているため、端子挿入孔3への端子金具5の挿入方向と反対となる方向にケーブルが引かれたときに、リテーナ7の係合が解除してしまうおそれがある。
【0014】
また、前記「コネクタ」の場合、接続突部4とハウジング1側の凹部との係合機構は、複数のキャビティ3(端子保持溝)の配列領域に対し、ハウジング1の厚み方向(図17図18中の矢線X方向)に離れた位置に設けられているため、前記係合機構と前記配列領域とが積み重なった構造をなす結果、コネクタ全体の低背化を図る上での阻害要因となり、近年の低背化要請に応えることができない。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、組立作業が容易であり、リヤホルダがハウジングから離脱し難く、コネクタ全体の低背化も阻害しない電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電気コネクタは、端子金具が挿入される複数の端子保持溝が並列状に形成されたハウジングと、前記ハウシングにヒンジ部を介して設けられ前記端子保持溝に挿入された前記端子金具に係合可能なリヤホルダと、前記ヒンジ部を中心に前記リヤホルダを回動させて前記ハウジングに重ね合わせたとき前記リヤホルダと前記ハウジングとを接合するために前記端子保持溝の並列方向の両端側に設けられた第一係合手段と、接合状態にある前記リヤホルダと前記ハウジングとの離隔を阻止するため隣り合う前記端子保持溝の間に設けられた第二係合手段と、を備え
前記第二係合手段が、前記リヤホルダ若しくは前記ハウジングに設けられた凹部と、前記凹部に係脱可能な状態で前記ハウジング若しくは前記リヤホルダに設けられた凸部であって、
前記凸部は、前記端子保持溝から前記端子金具が離脱される方向と反対方向に突出しており、前記凹部との接触を実現する面を備えたことを特徴とする電気コネクタ。
【0017】
このような構成とすれば、ハウジングの端子保持溝に端子金具を挿入した後、ヒンジ部を中心にリヤホルダを回動させてハウジングに重ね合わせれば、第一係合手段によって両者が一体的に接合されるので、組立作業は容易である。また、端子保持溝の並列方向の両端側にある第一係合手段でリヤホルダとハウジングとが係合され、隣り合う端子保持溝の間にある第二係合手段によりリヤホルダとハウジングとの離隔が阻止されるので、ハウジングからのリヤホルダの離脱を防止することができる。
【0018】
さらに、端子保持溝の配列方向の両端側に第一係合手段を設け、隣り合う端子保持溝の間に第二係合手段を設けたことにより、端子保持溝の配列領域と、第一係合手段及び第二係合手段とが積層構造化するのを回避することができるので、コネクタ全体の低背化を阻害することもない。
【0019】
ここで、前記第二係合手段は、前記端子保持溝の並列方向の中央に設けることが望ましい。
【0020】
また、前記第二係合手段は、前記端子保持溝に挿入された前記端子金具の圧着部の並列領域に設けることが望ましい。
【0021】
一方、本発明の電気コネクタにおいては、前記第二係合手段が、前記リヤホルダ若しくは前記ハウジングに設けられた凹部と、前記凹部に係脱可能な状態で前記ハウジング若しくは前記リヤホルダに設けられた凸部である。
【0022】
さらに、互いに係合状態にある前記凹部と前記凸部とが外力により摺動分離するのを防止する傾斜面を前記凹部または前記凸部の少なくとも一方に設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、組立作業が容易であり、リヤホルダがハウジングから離脱し難く、コネクタ全体の低背化も阻害しない電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態である電気コネクタを示す斜視図である。
図2図1中の矢線A方向から見た電気コネクタを示す斜視図である。
図3図2中の矢線Bで示す部分の拡大図である。
図4図1中の矢線C方向から見た電気コネクタを示す側面図である。
図5】リヤホルダとハウジングとが接合した状態にある電気コネクタを示す側面図である。
図6図5中の矢線D方向から見た電気コネクタのハウジングのみを示す背面図である。
図7図5中の矢線D方向から見た電気コネクタを示す背面図である。
図8図5中の矢線E方向から見た電気コネクタを示す底面図である。
図9図6中のF−F線における断面図である。
図10図9中の矢線Gで示す部分の拡大図である。
図11図7中のH−H線における断面図である。
図12】従来の電気コネクタを示す斜視図である。
図13図12中の矢線P方向から見た従来の電気コネクタを示す背面図である。
図14図12中の矢線Q方向から見た従来の電気コネクタを示す側面図である。
図15】リヤホルダとハウジングとが接合した状態にある従来の電気コネクタを示す側面図である。
図16図15中の矢線R方向から見た従来の電気コネクタを示す背面図である。
図17】従来の電気コネクタを示す斜視図である。
図18図17に示す電気コネクタの組立中における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1図11に基づいて本発明の実施形態である電気コネクタ100について説明する。図1図8に示すように、電気コネクタ100は、端子金具10を挿入するための複数の端子保持溝31が並列状に形成されたハウジング30と、ハウシング30にヒンジ部32を介して設けられたリヤホルダ33と、ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせたときリヤホルダ33とハウジング30とを接合するために設けられた第一係合手段34(凹部35,凸部36)と、接合状態にあるリヤホルダ33とハウジング30との離隔を阻止するために設けられた第二係合手段37(凹部38,凸部39)と、を備えている。
【0026】
第一係合手段34を構成する凹部35はハウジング30の幅方向Wの両端側に位置する壁部40に貫通状に開設され、凸部36はリヤホルダ33の幅方向Wの両端面にそれぞれ幅方向Wに突出状に形成されている。ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせたとき、複数の端子保持溝31の並列方向(幅方向W)の両端側において第一係合手段34(凹部35,凸部36)は互いに係合した状態となる。
【0027】
第二係合手段37を構成する凹部38はリヤホルダ33の幅方向Wの中央部分に設けられ、凸部39はハウジング30の幅方向Wの中央部分で隣り合う端子保持溝31,31の間に設けられている。また、互いに係合状態にある凹部38と凸部39とが外力により摺動離脱するのを防止するため、凹部38及び凸部39にそれぞれ傾斜面38a,39aが設けられている。
【0028】
ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせたとき、第二係合手段37を構成する凹部38と凸部39とは、複数の端子保持溝31の並列方向(幅方向W)の中央部分で隣り合う端子保持溝31,31の間において隙間37g(図10参照)を隔てて対向した状態に保たれる。なお、リヤホルダ33をハウジング30に重ね合わせた後、ヒンジ部32に生じる弾性復元力により、凹部38と凸部39とが接触した状態となる。そのため、リヤホルダ33の接合状態の維持が可能となり、ハウジング30からのリヤホルダ33の離隔や離脱を防止することができる。
【0029】
また、図2に示すように、第二係合手段37を構成する凸部39は、複数の端子保持溝31に挿入された端子金具10の圧着部14の並列領域に設けられているため、ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせたとき、第二係合手段37は前記並列領域に位置する。
【0030】
図1図11に示すように、端子金具10は、他部材である相手端子が挿入可能な略四角筒形状のコンタクト13と、電気ケーブル20を接続するためコンタクト13の基端部分に設けられた圧着部14とを備え、コンタクト13の先端側に第一係止部11が設けられ、コンタクト13の基端側に第二係止部12が設けられている。端子金具10は、導電性を有する金属板にプレス加工及び曲げ加工などを施すことによって形成されている。
【0031】
前述したように、ハウシング30の端子保持溝31に端子金具10を挿入した後、図4に示すように、ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させ、図5に示すようにハウジング30に重ね合わせると、第一係合手段34(凹部35,凸部36)は互いに係合した状態となり、第二係合手段37(凹部38,凸部39)は係合可能な状態となる。
【0032】
このとき、図11に示すように、ハウジング30の端子保持溝31に形成された一次係止部41が端子金具10の第一係止部11に対向した状態となり、リヤホルダ33に形成された二次係止部42が端子金具10の第二係止部12に対向した状態となる。このような状態において、電気ケーブル20が矢線Z方向に引っ張られることにより端子金具10に離脱方向の力が加わると、端子金具10は矢線Z方向に僅かに移動するが、端子金具10の第一係止部11,第二係止部12がそれぞれ一次係止部41,二次係止部42に当接するので、端子金具10の離脱が阻止される。
【0033】
前述の状態において、端子金具10にさらに大きな離脱方向の力が加わると、端子金具10の第二係止部12がリヤホルダ33の二次係止部42を押圧するので、リヤホルダ33はハウジング30の外側に膨らむように変形しようとするが、図9図10に示す状態にあった第二係合手段37の凹部38が凸部39に当接して互いに係合し、前記変形が阻止されるので、ハウジング30からリヤホルダ33が離隔したり、離脱したりするのを防止することができる。
【0034】
本実施形態においては、凹部38の傾斜面38aと凸部39の傾斜面39aは、リヤホルダ33がハウジング30から離隔する方向の力が加わったとき、リヤホルダ33の凹部38が上昇するように、端子金具10の矢線Z方向(図11参照)に向かって上り勾配方向に傾斜していることで、リヤホルダ33に接合状態を維持する方向の力が作用するので、互いに係合状態にある凹部38と凸部39とが外力により摺動分離するのを有効に防止することができる。
【0035】
本実施形態の電気コネクタ100の場合、ハウジング30の端子保持溝31に端子金具10を挿入した後、ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせれば、第一係合手段34(凹部35,凸部36)の係合によって両者が一体的に接合されるので、組立作業は容易である。
【0036】
また、複数の端子保持溝31の並列方向(幅方向W)の両端側にある第一係合手段34でリヤホルダ33とハウジング30とが係合され、隣り合う端子保持溝31,31の間にある第二係合手段37によりリヤホルダ33の変形に起因するハウジング30からの離隔が阻止されるので、ハウジング30からのリヤホルダ33の離脱を有効に防止することができる。
【0037】
さらに、端子保持溝31の配列方向(幅方向W)の両端側に第一係合手段34を設け、ハウジング30の中央部分で隣り合う端子保持溝31,31の間に第二係合手段37を設けたことにより、端子保持溝31の配列領域と、第一係合手段34及び第二係合手段37とが積層構造化すること(矢線X方向のサイズが増大すること)を回避することができるので、コネクタ全体の低背化を阻害することもない。
【0038】
第二係合手段37が端子保持溝31の並列方向(幅方向W)の中央部分に設けられているため、多極化したときに撓み変形し易いリヤホルダ33の中央部分の変形を有効に防止することができる。
【0039】
一方、近年におけるコネクタ全体の低背化の要請により、ハウジング30の肉厚や端子金具10の板厚の削減が行われているため、ハウジング30や端子金具10自体の強度が低下していることは否めない。このような状態の下で、端子金具10のコンタクト13に相手端子(図示せず)を挿入すると、端子金具10のバネ片が弾性変形し、その応力が端子金具10のコンタクト13からハウジング30に作用し、ハウジング30の弾性変形を発生させるおそれがある。また、このことにより、最悪の場合、リヤホルダ33の係合が解除してしまう可能性がある。
【0040】
しかしながら、本実施形態の電気コネクタ100おいては、第二係合手段37は、端子保持溝31に挿入された端子金具10の圧着部14の並列領域、即ち、コンタクト13の並列領域から離れた領域に設けられているため、前述したような不具合の発生を防止することができる。
【0041】
さらに、第二係合手段37は、リヤホルダ33に設けられた凹部38と、凹部38に係脱可能な状態でハウジング30に設けられた凸部39とで構成された簡素な構造であるため、製造工程の煩雑化を招来することもない。なお、リヤホルダ33に凸部を設け、ハウジング30に凹部を設けることもできる。
【0042】
なお、図1図11に基づいて説明した電気コネクタ100は、本発明の一例を示すものであり、本発明の電気コネクタは前述した電気コネクタ100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の電気コネクタは、回路基板とワイヤハーネスとの電気的接続手段として、電子・電気機器産業や自動車産業などの各種産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 端子金具
11 第一係止部
12 第二係止部
13 コンタクト
14 圧着部
20 電気ケーブル
30 ハウジング
31 端子保持溝
32 ヒンジ部
33 リヤホルダ
34 第一係合手段
35,38 凹部
36,39 凸部
37 第二係合手段
37g 隙間
38a,39a 傾斜面
40 壁部
41 一次係止部
42 二次係止部
100 電気コネクタ
【要約】
【課題】組立作業が容易であり、リヤホルダがハウジングから離脱し難く、コネクタ全体の低背化も阻害しない電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ100は、端子金具を挿入するための複数の端子保持溝31が並列状に形成されたハウジング30と、ハウシング30にヒンジ部32を介して設けられ端子保持溝31に挿入された端子金具に係合可能なリヤホルダ33と、ヒンジ部32を中心にリヤホルダ33を回動させてハウジング30に重ね合わせたときリヤホルダ33とハウジング30とを接合するために端子保持溝31の並列方向の両端側に設けられた第一係合手段34(凹部35,凸部36)と、接合状態にあるリヤホルダ33とハウジング30との離隔を阻止するためハウジング30の幅方向Wの中央部分で隣り合う端子保持溝31,31の間に設けられた第二係合手段37(凹部38,凸部39)と、を備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18