(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記空気入りタイヤでは、文字の表面がその幅方向中心に向かって突状に形成されているので、文字が大きくなって文字を構成する各線が太くなる場合は、文字のサイドウォールからの突出高さ寸法が大きくなる。しかしながら、サイドウォールに設ける文字の突出高さには規格上の制限があり、また、文字の高さが高くなることによりタイヤの空気抵抗が増加することになるので、文字のサイドウォールからの突出高さ寸法を大きくすることには限界がある。
【0005】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サイドウォールの外表面に設ける標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形を目立たせることのできる空気入りタイヤ及びその加硫用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤにおいて、各文字又は各図形が、サイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内で各凸部の並設方向寸法が徐々に変化するように構成され、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されている。
【0007】
また、本発明は、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤを成形する加硫用金型であって、前記文字又は図形がサイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内で各
凸部の並設方向寸法が徐々に変化するように構成され、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されている。
【0008】
このように、サイドウォールの各文字又は各図形がサイドウォールの外表面から突出する複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で複数の凸部が複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部の寸法が徐々に変化するように構成されているので、仮に各凸部のサイドウォール外表面からの高さ寸法を同等にした場合でも、並設方向寸法の大きい凸部が配置された範囲が並設方向寸法の小さい凸部が配置された範囲よりも手前側に見える視覚的効果を生ずる。この場合、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されているので、各凸部の上面における光の反射とサイドウォールの外表面や各リッジの上面における光の反射が異なることになり、各凸部をより目立たせることができる。
【0009】
また、本発明は、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤにおいて、各文字又は各図形が、サイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内でその並設方向における各凸部の配置ピッチが徐々に変化するように構成され、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されている。
【0010】
また、本発明は、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤを成形する加硫用金型であって、各文字又は各図形が、サイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、前記各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内でその並設方向における各凸部の配置ピッチが徐々に変化するように構成され、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されている。
【0011】
このように、サイドウォールの各文字又は各図形がサイドウォールの外表面から突出する複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で複数の凸部が複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部の配置ピッチが徐々に変化するように構成されているので、仮に各凸部のサイドウォール外表面からの高さ寸法を同等にした場合でも、配置ピッチの小さい範囲が配置ピッチの大きい範囲よりも奥側に見えたり手前側に見えたりする視覚的効果を生ずる。この場合、各凸部の上面がサイドウォールの外表面の上面と異なる面粗度に形成されているので、各凸部の上面における光の反射とサイドウォールの外表面や各リッジの上面における光の反射が異なることになり、各凸部をより目立たせることができる。
【0012】
また、本発明は、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤにおいて、各文字又は各図形が、サイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内で各凸部の並設方向寸法が徐々に変化するように構成され、各凸部の上面の色が黒以外の他の色にしている。
【0013】
このように、サイドウォールの各文字又は各図形がサイドウォールの外表面から突出する複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で複数の凸部が複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部の寸法が徐々に変化するように構成されているので、仮に各凸部のサイドウォール外表面からの高さ寸法を同等にした場合でも、並設方向寸法の大きい凸部が配置された範囲が並設方向寸法の小さい凸部が配置された範囲よりも手前側に見える視覚的効果を生ずる。この場合、各凸部の上面の色が黒以外の他の色なので、各凸部をより目立たせることができる。
【0014】
また、本発明は、サイドウォールの外表面に標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形が設けられた空気入りタイヤにおいて、各文字又は各図形が、サイドウォールの外表面から突出し
且つ上面が円形または楕円形をなす円柱状の複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で前記複数の凸部が複数列に並ぶように配置されるとともに、各列内でその並設方向における各凸部の配置ピッチが徐々に変化するように構成され、各凸部の上面の色が黒以外の他の色にしている。
【0015】
このように、サイドウォールの各文字又は各図形がサイドウォールの外表面から突出する複数の凸部の集合によって形成され、各文字又は各図形内で複数の凸部が複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部の配置ピッチが徐々に変化するように構成されているので、仮に各凸部のサイドウォール外表面からの高さ寸法を同等にした場合でも、配置ピッチの小さい範囲が配置ピッチの大きい範囲よりも奥側に見えたり手前側に見えたりする視覚的効果を生ずる。この場合、各凸部の上面の色が黒以外の他の色なので、各凸部をより目立たせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気入りタイヤ及びその加硫用金型によれば、仮に各凸
部のサイドウォール外表面からの高さ寸法や深さ寸法を同等にした場合でも、並設方向寸法の大きい凸
部が配置された範囲が並設方向寸法の小さい凸
部が配置された範囲よりも手前側に見える視覚的効果を生じ、または、配置ピッチの小さい範囲が配置ピッチの大きい範囲よりも奥側に見えたり手前側に見えたりする視覚的効果を生ずるので、サイドウォールの外表面に設ける標章やサイズ表示や装飾のための文字又は図形を目立たせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1前提技術の空気入りタイヤを
図1〜
図4を参照しながら説明する。この空気入りタイヤは、例えば4輪自動車、トラック、バス等に装着されて使用される。
【0019】
この空気入りタイヤは、
図1に示すように、サイドウォール1の外表面1aにおける径方向所定範囲ARに全周に亘って帯状に装飾帯2が設けられている。装飾帯2には、それぞれタイヤ径方向に延びる複数のリッジRが設けられ、各リッジRは隣り合うリッジと略平行(互いに1°以下となっている状態)に並ぶように配置されている。各リッジRは例えば0.3〜1.0mmの幅寸法を有し、サイドウォール1の外表面1a基準で0.1〜0.5mmの高さ寸法を有する。また、装飾帯2には標章やサイズ表示や装飾のための複数の文字10や図形20が設けられ、各文字10や各図形20はサイドウォール1の外表面1aから突出する複数の凸部Tの集合によって形成されている(
図1及び3参照)。尚、本タイヤを加硫成形する加硫用金型のキャビティには、各リッジR、各文字10の凸部T及び各図形20の凸部Tに応じた凹凸が設けられ、その凹凸によってサイドウォール1の外表面1aに各リッジR、各文字10及び各図形20が刻設されている。
【0020】
各凸部Tは各文字10や各図形20内でタイヤ周方向に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部Tの寸法が徐々に変化するように構成されている。例えば、
図1〜3の文字10は「Y」の字を表し、各凸部Tはタイヤ軸方向から見て円形状又は楕円形状に形成され、各凸部Tはタイヤ周方向の寸法Lが「Y」の字を構成する文字骨格線BL(仮想線であり、実際には存在しない。文字の略中心に位置する線であり、文字の骨格とも言える線を意味する。以下同じ。)に向かって徐々に大きくなるように構成されている。各凸部Tを例えばサイドウォール1の外表面1aからの高さが0.1〜1.0mm程度となるように形成することができ、タイヤサイズに応じてそれ以上の高さ寸法に設定することも可能である。本前提技術では各凸部Tはサイドウォール1の外表面1aからの高さが1.0mmとなるように形成されている。
【0021】
また、各図形20内の各凸部Tはタイヤ軸方向から見て円形状又は楕円形状に形成され、各凸部Tはタイヤ周方向の寸法Lが図形20の幅方向外側から内側に向かって徐々に大きくなるように構成されている(
図1参照)。各凸部Tは例えばサイドウォール1の外表面1aからの高さが0.1〜1.0mm程度となるように形成されている。
【0022】
このように、本前提技術によれば、各文字10や各図形20がサイドウォール1の外表面1aから突出している複数の凸部Tの集合によって形成され、各文字10や各図形20内で複数の凸部Tが複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部Tの寸法Lが、「Y」の字を構成する文字骨格線BLに向かって徐々に大きくなるように構成されていたり、各図形20の幅方向外側から内側に向かって徐々に大きくなるように構成されていたりするので、各凸部Tのサイドウォール1の外表面1aからの高さ寸法が互いに同等である場合でも、並設方向寸法Lの大きい凸部Tが並設方向寸法Lの小さい凸部Tよりも手前側に見える視覚的効果を生ずる。これにより、例えば各文字10を構成する文字骨格線BLの近傍が他の部分よりも盛り上がっているように見える視覚的効果を生じ、各文字10が立体的に見える。したがって、サイドウォール1の外表面1aに設ける標章やサイズ表示や装飾のための文字10や図形20を目立たせることができる。
【0023】
尚、本前提技術では、文字10を複数の凸部Tの集合によって形成し、各凸部Tが複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部Tの寸法Lが4段階以上で変化している。例えば
図3の「Y」の字の下側の範囲ARにおいて、並設方向左端の凸部Tの寸法Lが最も小さく、左端から2番目と3番目の凸部Tの寸法Lが次に小さく、左端から4番目と5番目の凸部Tの寸法Lが次に小さく、左端から6番目、即ち「Y」の字を構成する文字骨格線BLに対応する位置に配置された凸部Tが最も寸法Lが大きくなっている。また、「Y」の字を構成する文字骨格線BLよりも右側では、文字骨格線BLの左側と同様に各凸部Tの寸法Lが徐々に小さくなるように構成されている。これに対し、
図5に示すように、各列内でその並設方向における各凸部Tの寸法Lが3段階以上変化しているものは、本前提技術と同様の作用効果を効果的に奏するものであり、2段階に変化している場合でも、本前提技術と同様の作用効果を奏し得る。
【0024】
また、例えば本前提技術の
図3では、ある列における最小の凸部Tの寸法L(
図3の範囲ARでは並設方向左端の凸部Tの寸法L)に対し、その列における最大の凸部Tの寸法L(
図3の範囲ARでは並設方向中央の凸部Tの寸法L)が1.8倍程度となるように構成されているが、
図5のように、最小の凸部Tの寸法Lに対して最大の凸部Tの寸法Lが1.5倍以上でも文字10が立体的に見える視覚的効果を生じ、1.3倍以上であっても同様の効果を奏し得る。
【0025】
また、本前提技術では、文字10を構成する文字骨格線BLに対応する位置で凸部Tの寸法Lが最も大きくなるように、各凸部Tの寸法Lを徐々に変化させたものを示したが、
図6に示すように、文字10を構成する文字骨格線BLに向かって各凸部Tの寸法Lが徐々に小さくなるように、各凸部Tの寸法Lを設定することも可能である。
【0026】
また、本前提技術では、文字10である「Y」の字を複数の凸部Tの集合によって構成し、各凸部Tが文字10内でタイヤ周方向に並ぶように配置されたものを示したが、
図7に示すように、例えば「O」の文字内で各凸部Tを放射線状に並ぶように配置し、各凸部Tを並設方向寸法Lが文字骨格線BLに向かって徐々に大きくなるように形成することも可能である。
【0027】
また、本前提技術では、文字10を構成する文字骨格線BLに対応する位置で凸部Tの寸法Lが最も大きくなるように、各凸部Tの寸法Lを徐々に変化させたものを示したが、
図8に示すように、文字10の左端から右端に向かって徐々に各凸部Tの寸法Lが大きくなるように構成することも可能であり、この場合でも文字10の左側が右側よりも手前側に見える視覚的効果を生じ、各文字10が立体的に見える。或いは、文字10の左端から右端に向かって複数回に亘って各凸部Tの寸法Lが徐々に大きくなった後に小さくなるように各凸部Tを形成することも可能であり、この場合でも寸法Lが大きい各凸部Tが手前側に見える視覚的効果を生じ、文字10が立体的に見える。或いは、
図9に示すように、文字10の上下方向に徐々に各凸部Tの寸法Lを変化させることも可能である。尚、
図9のように複数回に亘って各凸部Tの寸法Lが徐々に大きくなった後に小さくなるように各凸部Tを形成することにより、文字10をより立体的に見せることが可能となる。
【0028】
本発明の第2前提技術の空気入りタイヤを
図10を参照しながら説明する。この空気入りタイヤは、例えば4輪自動車、トラック、バス等に装着されて使用される。
【0029】
この空気入りタイヤは、第1前提技術において、各文字10や各図形20がサイドウォール1の外表面1aから突出する複数の凸部Tの集合によって形成され、各凸部Tが各文字10や各図形20内でタイヤ周方向に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部Tの配置ピッチPが徐々に変化するように構成されているものである。
【0030】
例えば、
図10の文字10は「Y」の字を表し、各凸部Tはタイヤ軸方向から見て円形状に形成され、各凸部Tのタイヤ周方向における配置ピッチPは文字骨格線BLに向かって徐々に狭くなるように構成されている。各凸部Tは例えばサイドウォール1の外表面1aからの高さが0.1〜1.0mm程度となるように形成することができ、タイヤサイズに応じてそれ以上の高さ寸法に設定することも可能である。本前提技術では各凸部Tはサイドウォール1の外表面1aからの高さが1.0mmとなるように形成されている。
【0031】
このように、第2前提技術によれば、各文字10や各図形20がサイドウォール1の外表面1aから突出している複数の凸部Tの集合によって形成され、各文字10や各図形20内で複数の凸部Tが複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における凸部Tの配置ピッチPが徐々に変化するように構成されているので、各凸部Tのサイドウォール1の外表面1aからの高さ寸法が互いに同等である場合でも、配置ピッチPの小さい部分が配置ピッチPの大きい部分よりも奥側に見えたり手前側に見えたりする視覚的効果を生ずる。これにより、例えば各文字10を構成する文字骨格線BLの近傍が他の部分よりも盛り上がっているように見える視覚的効果を生じ、各文字10が立体的に見える。したがって、サイドウォール1の外表面1aに設ける標章やサイズ表示や装飾のための文字10や図形20を目立たせることができる。
【0032】
尚、第2前提技術では、文字10を複数の凸部Tの集合によって形成し、各凸部Tが複数列に並ぶように配置され、各列内でその並設方向における各凸部Tの配置ピッチPが4段階以上で変化している。例えば
図10の「Y」の字の下側の範囲ARにおいて、並設方向の最も左の配置ピッチPが最も大きく、左端から2番目の配置ピッチPが次に大きく、左端から3番目の配置ピッチPが次に大きく、左端から4番目、即ち「Y」の字を構成する文字骨格線BLに最も近い位置の配置ピッチが最も小さくなっている。また、「Y」の字を構成する文字骨格線BLよりも右側では、文字骨格線BLの左側と同様に配置ピッチPが徐々に変化するように構成されている。これに対し、各列内でその並設方向における配置ピッチPが3段階以上変化しているものは、第2前提技術と同様の作用効果を効果的に奏するものであり、2段階に変化している場合でも、第2前提技術と同様の作用効果を奏し得る。
【0033】
また、例えば第2前提技術の
図10では、ある列における最小の配置ピッチP(
図10の一番下の列では最も文字骨格線BLに近い配置ピッチP)に対し、その列における最大の配置ピッチP(
図10の一番下の列では並設方向の最も左の配置ピッチP)が1.8倍程度となるように構成されているが、最小の配置ピッチPに対して最大の配置ピッチPが1.5倍以上でも文字10が立体的に見える視覚的効果を生じ、1.3倍以上であっても同様の効果を奏し得る。
【0034】
また、第2前提技術では、文字10を構成する文字骨格線BLに対応する位置で配置ピッチPが最も小さくなるものを示したが、文字10を構成する文字骨格線BLに対応する位置で配置ピッチPが最も大きくなるように、各列内でその並設方向における凸部Tの配置ピッチPを徐々に変化させることも可能である。
【0035】
また、第1前提技術と同様に、「O」等の文字内で各凸部Tを放射状に並ぶように配置することも可能であり、文字10の左端から右端に向かって徐々に配置ピッチPが大きくなるように構成することも可能であり、文字10の左端から右端に向かって複数回に亘って配置ピッチPが徐々に大きくなった後に小さくなるように構成することも可能であり、文字10の上下方向に徐々に配置ピッチPを変化させることも可能である。
【0036】
尚、第1前提技術において、各凸部Tの配置ピッチPを徐々に変化させることも可能である。例えば、
図11に示すように、各凸部Tをタイヤ周方向の寸法Lが「Y」の字を構成する文字骨格線BLに向かって徐々に大きくなるように構成した上で、各凸部Tのタイヤ周方向における配置ピッチPが文字骨格線BLに向かって徐々に大きくなるように構成することも可能である。第2前提技術では、配置ピッチPの小さい部分が配置ピッチPの大きい部分よりも奥側に見えたり手前側に見えたりする視覚的効果を生じていた。これに対し、第1前提技術において文字骨格線BLから離れた部分の配置ピッチPを小さくすると、文字骨格線BLの近傍がより盛り上がって見える視覚的効果を生じ、各文字10や各図形20を目立たせる上でより有利である。
【0037】
図3、10及び11の効果を確認するために、
図3、10及び11のサンプルを作成し、また、特開2006−224704号公報に示されているタイヤの文字を比較例として使用した。また、
図3、10及び11のサンプルと比較例の文字とは同等の大きさに形成した。
【0038】
図12は、
図3、10及び11のサンプル及び比較例を、曇天の日の日中に太陽の光が2000〜40000ルクス程度である屋外で30人が観察し、各文字10が立体的に見えるか否かの判定と、各文字10の装飾性の高さの判定を行い、その判定結果を数値化したものである。立体的に見えるか否かの判定では、立体的に見えると判断した人数が全体の70%を超える場合は、判定値を105とし、立体的に見えると判断した人数が全体の85%を超える場合は、判定値を110とし、立体的に見えると判断した人数が全体の95%を超える場合は、判定値を115とし、立体的に見えると判断した人数が30%を超える場合は、判定値を100とし、立体的に見えると判断した人数が30%以下である場合は、判定値を95とし、立体的に見えると判断した人数が0%である場合は、判定値を90とした。
【0039】
また、装飾性の高さの判定では、
図10の場合に比べて装飾性が極めて高いと判断した人数が全体の50%を超える場合は、判定値を105とし、装飾性が極めて高いと判断した人数が全体の75%を超える場合は、判定値を110とし、装飾性が極めて高いと判断した人数が全体の90%を超える場合は、判定値を115とし、装飾性が極めて高いと判断した人数が30%を超える場合は、判定値を100とし、装飾性が極めて高いと判断した人数が30%以下である場合は、判定値を95とし、装飾性が極めて高いと判断した人数が0%である場合は、判定値を90とした。
【0040】
評価結果より、実施例1〜3は何れも、比較例と同等またはそれ以上に文字10が立体的に見え、比較例と比べて文字10の装飾性が高いと評価された。また、実施例3は実施例1及び2と比較し、文字10がより立体的に見え、文字10の装飾性もより高いと評価された。
【0041】
尚、前記評価では、曇天の日の日中に太陽の光が2000〜40000ルクス程度である屋外で評価を行ったものを示したが、晴天の日の日中の屋外や、屋内において照明の光があたる状況でも、前記評価結果と同様の作用効果を奏し得る。
【0042】
尚、前記各前提技術において、各凸部Tの上面の少なくとも一
部をサイドウォール1の外表面1aと角度をなすように形成することも可能である。例えば、
図13に示すように、各凸部Tの上面をサイドウォール1の外表面1aに対して角度α(好ましくは5°)以上傾斜している平面によって形成することも可能であり、
図14に示すように、各凸部の上面を互いに角度をなす複数の平面によって形成することも可能であり、
図15に示すように、各凸部Tの上面を凸曲面によって形成することも可能であり、
図16に示すように、各凸部Tを凹曲面によって形成することも可能である。尚、
図13〜16は
図3におけるX−X線断面図の変形例である。
【0043】
このように、各凸部Tの上面の少なくとも一
部をサイドウォール1の外表面1aと角度をなすように形成した場合、各凸部Tの上
面における光の反射とサイドウォール1の外表面1aにおける光の反射が異なることになり、また、装飾帯2に設ける各リッジRの上面はサイドウォール1の外表面1aと略平行に形成されることが多く、各凸部Tの上
面における光の反射と各リッジRの上面における光の反射も異なることになるので、各凸部Tをより目立たせることができる。
【0044】
また、本発明の一実施形態として、前記前提技術において、各凸部Tの上
面をサイドウォール1の外表面1aや各リッジRの上面と異なる面粗度とすることも可能である。例えば、各凸部Tの上
面の10点平均粗さと、サイドウォール1の外表面1aや各リッジRの上面の10点平均粗さとを、3μm以上異ならせることが可能である。この場合、各凸部Tの上
面における光の反射とサイドウォール1の外表面1aや各リッジRの上面における光の反射が異なることになるので、各凸部
Tをより目立たせることができる。尚、前述のように10点平均粗さを3μm以上異ならせることにより前記効果を奏し得るが、より確実に効果を奏するように、7μm以上異ならせることが好ましい。
【0045】
また、本発明の他の実施形態として、前記前提技術において、各凸部Tの上面の色を黒以外の他の色にすることも可能である。例えば、未加硫タイヤにおいて各文字10及び各図形20に対応した位置の最外表面を黒色の1mm程度の未加硫ゴムとし、その内側に数mm程度の白色の未加硫ゴムを配置し、その未加硫ゴムを加硫用金型で加硫成形した後に、各文字10及び各図形20の各凸部Tの上面をバフ等で研磨して白色のゴムを露出させることにより、各凸部Tの上面を白色にすることが可能である。この場合、各凸部Tをより目立たせることが可能になる。
【0046】
尚、前記各前提技術では、各文字10や各図形20を構成する各凸部Tがタイヤ軸方向から見て円形状又は楕円形状に形成されているものを示したが、四角形状にすることも可能であり、
図17に示すように他の形状とすることも可能である。この場合でも、各凸部Tの延設方向寸法Lや配置ピッチPが前述のように構成されていれば前述と同様の作用効果を奏する。
【0047】
尚、前記各前提技術では、装飾部2に複数のリッジRを設けた上で文字10や図形20を設けたものを示したが、装飾部2にリッジRを設けない場合や、リッジRの他に他の模様が設けられている場合でも、前述と同様の作用効果を奏する。また、文字10や図形20をサイドウォール1の装飾部2以外の部分に設けることも可能である。