【実施例】
【0009】
本発明は、A火災消火用薬剤と、B火災消火用薬剤とを衝撃破損性(脆性破壊)容器にそれぞれ充填した消火ボトルで、A火災消火用薬剤は、原料が薬剤塩化アンモニウム(NH
4Cl)と、薬剤炭酸カリウム(K
2CO
3)と、薬剤第二リン酸アンモニウム((NH
4)
2HPO
4)と、薬剤炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)とからなり、各それぞれの薬剤、塩化アンモニウム(NH
4Cl)10〜16重量%、薬剤炭酸カリウム(K
2CO
3)6〜10重量%、薬剤第二リン酸アンモニウム((NH
4)
2HPO
4)2〜4重量%、薬剤炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)1〜3重量%の原料を、水70〜80重量%で溶解した水溶液薬剤からな水溶液に、水成膜泡消火薬剤(3%型)を加えて成る消火薬剤を、衝撃破損性(脆性破壊)容器に詰めて火元に投げて使う消火弾である。で、本発明に係る比較試験結果を、表1を参照して、以下説明する。
【表1】
消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第3条第1項に定める第一消火試験により第二模型を使用。
着火剤ガソリン1.5L、着火後3分で投擲開始、投てき距離は、1m。
試料1から3は、塩化アンモニウムの重量を変えて製造、消火は早い。
試料4と5は、炭酸カリウムの重量を変えて製造、消火は早い。
試料6と7は、第二リン酸アンモニウムの重量を変えて製造、消火は早い。
試料8は、薬剤が少なすぎると、化学反応が弱いため、消火に時間を要した。
試料9と10は、薬剤が多すぎて、水に溶解し難くなり、消火能力が低下した。
図示を省略したが、本商品を火元へ投擲することにより衝撃で容器が破裂、拡散した消火液が燃焼している熱により化学反応を起こし熱を抑え酸素を奪うことで消火させることが出来た。消火時の化学式は下記の通りとなる。
(1)塩化アンモニウムと薬剤炭酸カリウムは常温でも化学反応し弱いアンモニア臭を発する。
2NH
4Cl+K
2CO
3 → 2NH
3+CO
2+2KCl+H
2O
4NH
3+3O
2 → 2N
2+6H
2O
NH
3は熱を加えることにより反応が加速する要素を持ち、本商品を火元へ投擲することで、火元の熱に反応し分解され、その際発生する気体により空気(酸素)を奪い、燃焼を抑えることが出来る。
なお、塩化アンモニウムが10重量%以下では、再燃の可能性があり、塩化アンモニウムが16重量%以上でも、再燃の可能性がある。好ましくは、塩化アンモニウムが12〜15重量%、最も好ましくは、塩化アンモニウムが13.3〜13.9重量%となった。更に、炭酸カリウムが6重量%以下では、再燃の可能性があり、炭酸カリウムが10重量%以上でも、再燃の可能性がある。好ましくは、炭酸カリウムが7〜9重量%、最も好ましくは、炭酸カリウムは8.4〜8.8重量%となった。
(2)第二リン酸アンモニウムはこれまで消火器などで消火剤として使用されている薬剤で(1)と加わることにより消火能力が高まる。また、第二リン酸アンモニウムが2重量%以下では、(1)の反応が促進されず、第二リン酸アンモニウムが4重量%以上では、(1)の反応が促進されない。好ましくは、第二リン酸アンモニウムが2〜3重量%、最も好ましくは、第二リン酸アンモニウムは2.5〜2.6重量%となった。
(3)炭酸水素ナトリウムは高温では分解されCO
2を発生する要素を持ち、火元へ投擲、火元の熱に反応し分解されることで、本商品の消火能力を高める効用がある。
2NaHCO
3 → Na
2CO
3+H
2O+CO
2
Na
2CO
3 → Na
2O+CO
2
加えて、炭酸水素ナトリウムが1重量%以下では、常温での(1)の反応を抑制できず、炭酸水素ナトリウムが3重量%以上では、常温での(1)の反応を促進してしまう。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが1.8〜2.5重量%、最も好ましくは、炭酸水素ナトリウムが2.0〜2.1重量%となった。
(4)水成膜泡消火薬剤は主成分の炭酸カリウムと油脂が反応(鹸化)し、高温の油を瞬時に不燃化するため油類(ガソリン・灯油)の火災消火に効果があり、本商品の消火能力を高める効用がある。
最後に、水成膜泡消火薬剤は石油類火災用であり、3容量%を溶解して使用する。
(5)このことから、現在家庭内に多くある油製品可燃物にも対応可能なことから、従来製品化されていたA火災のみ対応していた消火弾に比べ、有効性は向上されたと判断できる。