特許第5725297号(P5725297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725297
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】電動車両の電池温度調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   B60L11/18 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-182579(P2011-182579)
(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公開番号】特開2013-46491(P2013-46491A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 潤
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−285022(JP,A)
【文献】 特開2010−215177(JP,A)
【文献】 特開2010−119171(JP,A)
【文献】 特開2010−193602(JP,A)
【文献】 特開2010−132078(JP,A)
【文献】 特開2010−259217(JP,A)
【文献】 特開2011−121415(JP,A)
【文献】 特開2007−097359(JP,A)
【文献】 特開2007−028702(JP,A)
【文献】 特開2010−093871(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池からの電力により車両を走行させる電動機と、
更に前記二次電池からの電力により前記二次電池を昇温させる昇温手段と、
前記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、
前記二次電池の温度が所定温度以下の際に前記昇温手段を作動させる制御手段と、
前記車両の走行モードを第1走行モードと該第1走行モードより前記二次電池の出力を低下させる第2走行モードとに切り換えるモード切換手段とを備える電動車両の電池温度調整装置であって、
前記制御手段は、
前記所定温度を前記第1走行モードより前記第2走行モードの方が低くなるように設定し、
前記二次電池の温度が前記所定温度以下であっても、運転者の手動操作に基づく前記二次電池の昇温禁止指示があると前記昇温手段の作動を禁止することを特徴とする電動車両の電池温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の電池温度調整装置に係り、詳しくは、二次電池の温度調整制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池より電力を電動機に供給し、当該電動機の駆動力で走行する電動車両(以下、車両)が開発されている。車両に用いられる二次電池は、温度が低下すると出力する電力も低下するといった、二次電池の温度により出力電力が変動することが知られている。
そこで、特許文献1では、二次電池が低温である場合にヒータで加熱した温風を二次電池に導入して、二次電池の温度を上昇させて、二次電池の出力電圧を確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−269426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の二次電池モジュールでは、温度センサを有しており、当該温度センサにて検出される温度に基づいて、ヒータを制御して二次電池の温度を上昇させるようにしている。
しかしながら、ヒータは二次電池から出力される電力を使用するため、ヒータの使用は、同時に二次電池の電力の消費に繋がり、ひいては車両の走行可能距離の低下に繋がり好ましいことではない。
【0005】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、二次電池の電力消費を抑制し、走行可能距離の低下を抑制することのできる電動車両の電池温度調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の電動車両の電池温度調整装置では、二次電池からの電力により車両を走行させる電動機と、更に前記二次電池からの電力により前記二次電池を昇温させる昇温手段と、前記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、前記二次電池の温度が所定温度以下の際に前記昇温手段を作動させる制御手段と、前記車両の走行モードを第1走行モードと該第1走行モードより前記二次電池の出力を低下させる第2走行モードとに切り換えるモード切換手段とを備える電動車両の電池温度調整装置であって、前記制御手段は、前記所定温度を前記第1走行モードより前記第2走行モードの方が低くなるように設定し、前記二次電池の温度が前記所定温度以下であっても、運転者の手動操作に基づく前記二次電池の昇温禁止指示があると前記昇温手段の作動を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、走行モードに応じて、昇温手段の作動終了温度を切り換えるようにしているので、例えば、電力消費を抑え走行可能距離を伸ばしたいような走行モードでは、二次電池の作動終了温度を低くすることにより昇温手段による電力消費を抑制することができるとともに、昇温手段の作動を運転者の手動操作に基づく昇温禁止指令によって禁止するため、運転者が二次電池の電力消費を抑制したいと意図した場合に、運転者の操作により昇温手段の作動を禁止して昇温手段での二次電池の電力の消費を抑制することができ、走行可能距離の低下を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電動車両の電池温度調整装置の概略構成図である。
図2】本発明に係る電動車両の電池温度調整装置の制御ブロック図である。
図3】本発明に係るEVECUが実行する極低温判定の制御フローチャートである。
図4】本発明に係るEVECUが実行するウォームアップ禁止スイッチ操作判定の制御フローチャートである。
図5】本発明に係るEVECUが実行する作動温度設定の制御フローチャートである。
図6】本発明に係るEVECUが実行するヒータ作動制御の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る電動車両の電池温度調整装置の概略構成図である。また、図2は、電動車両の電池温度調整装置の制御ブロック図である。以下、電動車両の電池温度調整装置の構成を説明する。
本発明に係る電動車両の電池温度調整装置が用いられる車両は、当該車両の走行装置として、高電圧電池より高電圧回路を介して高電圧の電力が供給されインバータにより作動を制御される走行用モータ(電動機)を備え、充電リッドに外部電源より延びる充電ケーブルを接続し、充電器にて高電圧電池を充電することができる電動車両である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係る電動車両の電池温度調整装置は、車両10に搭載される高電圧電池20と、ヒータ(昇温手段)30と、メータ(表示手段)40と、走行モードスイッチ(モード切換手段)50と、電池ウォームアップ禁止スイッチ(昇温禁止スイッチ)60と、車両の総合的な制御を行うための制御装置であって、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(以下、EVECUという)(制御手段)70とで構成されている。そして、各々の機器は、電気的に接続されている。
【0014】
高電圧電池20は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成されるものである。また、高電圧電池20は、電池セルを監視するセルモニタリングユニットを備える複数の電池セルを一つのモジュールとし更に複数のモジュールで構成される電池モジュール(二次電池)21と、セルモニタリングユニットの出力に基づき電池モジュール21の温度及び電池残量等を監視するバッテリモニタリングユニット(温度検出手段)22とで構成されている。
【0015】
ヒータ30は、高電圧電池20と高電圧回路31を介して接続されている。そして、ヒータ30は、電池モジュール21の温度が低温である場合にEVECU70の指令に基づいて、電池モジュール21に温風を供給して、電池モジュール21を暖める電池ウォームアップを行うものである。
メータ40は、ヒータ30による電池ウォームアップの実施状況及び高電圧電池20の出力可能電力を表示するインジケータである。
【0016】
走行モードスイッチ50は、ダイヤル式のスイッチである。走行モードスイッチ50は、運転者によって操作され、走行モードスイッチ50を回転させて、運転者が任意に例えば、走行用モータの出力を減らして高電圧電池20の電力消費を抑制するECOモードや、走行用モータの出力と高電圧電池20の電力消費のバランスが取れたNormalモード及び高電圧電池20の電力消費は増えるが走行用モータの出力を増やすPowerモード等の走行モードを切り換えるものである。
【0017】
電池ウォームアップ禁止スイッチ60は、常時OFFであり、スイッチを操作している時だけONとなるモーメンタリ動作式プッシュスイッチである。電池ウォームアップ禁止スイッチ60は、運転者が電池ウォームアップ禁止スイッチ60を操作して、ヒータ30による高電圧電池20を暖める電池ウォームアップの実施の有無を選択するものである。
EVECU70は、車両10の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0018】
EVECU70の入力側には、上記高電圧電池20のバッテリモニタリングユニット22、走行モードスイッチ50及び電池ウォームアップ禁止スイッチ60が接続されており、これらの機器からの検出情報が入力される。
一方、EVECU70の出力側には、上記ヒータ30及びメータ40が接続されている。
【0019】
図2に示すように、EVECU70は、電池ウォームアップ禁止スイッチ判定部71と、電池ウォームアップ温度判定部72と、電池ウォームアップ実施判定部73と、電池出力演算部74とで構成されている。
電池ウォームアップ禁止スイッチ判定部71は、運転者により操作される電池ウォームアップ禁止スイッチ60の操作を検出し、運転者の電池ウォームアップ実施の意思を判定するウォームアップ禁止スイッチ操作判定を行う。
【0020】
電池ウォームアップ温度判定部72は、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が極低温域内である場合に電池ウォームアップを強制的に作動させる極低温判定を行う。さらに電池ウォームアップ温度判定部72は、走行モードスイッチ50の位置より運転者が設定した走行モードを判別し、当該走行モードに応じた電池ウォームアップの開始及び終了温度を設定する作動温度設定を行う。
【0021】
電池ウォームアップ実施判定部73は、電池ウォームアップ禁止スイッチ判定部71でのウォームアップ禁止スイッチ操作判定と、電池ウォームアップ温度判定部72での極低温判定及び作動温度設定と、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度とに基づいて、電池ウォームアップの実施を判定し、ヒータ30へ暖機要求信号を供給する。また、電池ウォームアップ実施判定部73は、ヒータ30に暖機要求信号を供給すると共にメータ40へ暖機中表示要求信号を供給する。
【0022】
電池出力演算部74は、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度に基づいて、高電圧電池20が出力可能な電力を演算し、メータ40へ電池出力表示要求信号を供給する。
以下、このように構成された本発明に係るEVECU70での極低温判定、ウォームアップ禁止スイッチ操作判定、作動温度設定及びヒータ作動制御のそれぞれについて説明する。
【0023】
図3は、本発明に係るEVECU70が実行する極低温判定の制御フローチャートである。また、図4は、ウォームアップ禁止スイッチ操作判定の制御フローチャートである。また、図5は、作動温度設定の制御フローチャートである。そして、図6は、ヒータ作動制御の制御フローチャートである。
[極低温判定]
始めに電池ウォームアップ温度判定部72で実施される極低温判定について説明する。本判定は、車両10の電源ON時から電池モジュール21の温度が極低温域より高くなるまで実施される。
【0024】
図3に示すように、ステップS110では、極低温判定フラグがOFFであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で極低温判定フラグがOFFであれば、ステップS112に進む。また、判別結果が否(No)で極低温判定フラグがONであれば、ステップS116に進む。
ステップS112では、電池温度が予め設定された第1の所定温度(例えば、−30℃)(所定温度)以下か、否かを判別する。詳しくは、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が第1の所定温度以下であるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でバッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が第1の所定温度以下であれば、ステップS114に進み、極低温判定フラグをONとする。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)でバッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が第1の所定温度以下でなければ、本ルーチンを抜ける。
【0025】
ステップS116では、電池温度が予め設定された第2の所定温度(例えば、−25℃)以上か、否かを判別する。詳しくは、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が、ヒステリシスを考慮されて設定される第1の所定温度よりも高い第2の所定温度以上であるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でバッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が第2の所定温度以上であれば、ステップS118に進み、極低温判定フラグをOFFとする。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)でバッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が第2の所定温度以上でなければ、本ルーチンを抜ける。
【0026】
このように、電池モジュール21が極低温域にあると判定されると、極低温判定フラグをONとして、後述するヒータ作動制御にてヒータ30を作動させて電池モジュール21の温度を昇温させ、電池モジュール21から出力する電力を確保するようにしている。
[ウォームアップ禁止スイッチ操作判定]
次に電池ウォームアップ禁止スイッチ判定部71で実施されるウォームアップ禁止スイッチ操作判定について説明する。本判定は、車両10の電源ON時から電池モジュール21の温度が走行モードスイッチ50で選択される走行モード毎に予め設定された温度となるまで実施される。
【0027】
図4に示すように、ステップS210では、電池ウォームアップ禁止スイッチ60が操作(ON)されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で運転者により電池ウォームアップ禁止スイッチ60が操作(ON)されていれば、ステップS212に進む。また、判別結果が否(No)で運転者により電池ウォームアップ禁止スイッチ60が操作(ON)されていないか、または、電池ウォームアップ禁止スイッチ60が継続して操作(ON)されている場合には、ステップS218に進む。
【0028】
ステップS212では、電池ウォームアップを実施中か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で電池ウォームアップを実施中であれば、ステップS214に進み、電池ウォームアップを終了するようにスイッチ判定フラグをOFFする。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)で電池ウォームアップを実施中でなければ、電池ウォームアップ禁止スイッチ60は電池ウォームアップの許可スイッチとしての役割を果たし、電池ウォームアップを実施するようにスイッチ判定フラグをONする。そして、本ルーチンを抜ける。
【0029】
ステップS218では、電池ウォームアップ禁止スイッチ60がONであるか、否かを判別する。詳しくは、電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で保持されているか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で保持されていれば、ステップS220に進む。また、判別結果が否(No)で電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で保持されていなければ、本ルーチンを抜ける。
【0030】
ステップS220では、タイマのカウントを開始する。そして、ステップS222に進む。
ステップS222では、タイマのカウントが所定時間以上であるか、否かを判別する。即ち、電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で所定時間以上保持されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で所定時間以上保持されていれば、ステップS224に進む。そして、暖機OFFモードをONにする。詳しくは、車両10の電源投入時に電池モジュール21の温度が極低温域内で無ければ常に電池ウォームアップを実施しないように記憶する。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)で電池ウォームアップ禁止スイッチ60が運転者により操作(ON)された状態で所定時間以上保持されていなければ記憶することなく、本ルーチンを抜ける。
【0031】
このように、運転者が電池ウォームアップ禁止スイッチ60の操作(ON)により、電池モジュール21が極低温域内でなければ、電池ウォームアップ実施の有無、つまり電池ウォームアップを禁止するか許可するかを任意に選択するようにしている。また、運転者が電池ウォームアップ禁止スイッチ60を所定時間以上操作(ON)することにより、電池モジュール21が極低温域内でなければ、常に電池ウォームアップを実施しないように記憶している。この記憶の解除は、別途、記憶解除スイッチを設け、記憶解除スイッチを操作することにより記憶を解除するようにしてもよい、或いは電池ウォームアップ禁止スイッチ60が操作されるごとにステップS210とステップS212との間で記憶を一端解除するようにしてもよい。
[作動温度設定]
次に電池ウォームアップ温度判定部72で実施される作動温度設定について説明する。本設定は、ウォームアップ禁止スイッチ操作判定と同様に、車両10の電源ON時から電池モジュール21の温度が走行モードスイッチ50で選択される走行モード毎に予め設定された温度となるまで実施される。
【0032】
図5に示すように、ステップS310では、走行モードがECOモードであるか、否かを判別する。詳しくは、走行モードスイッチ50が操作され、ECOモードに切り換えられているか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行モードスイッチ50が操作され、ECOモードとなっていれば、ステップS312に進む。また、判別結果が否(No)で走行モードスイッチ50が操作され、ECOモードとなっていなければ、ステップS316に進む。
【0033】
ステップS312では、ON判定温度を第3の所定温度(例えば、0℃)とする。そして、ステップS314に進む。
ステップS314では、OFF判定温度を第3の所定温度よりも高い第4の所定温度(例えば、2℃)とする。そして、本ルーチンを抜ける。
ステップS316では、走行モードがNormalモードであるか、否かを判別する。詳しくは、走行モードスイッチ50が操作され、Normalモードに切り換えられているか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行モードスイッチ50が操作され、Normalモードとなっていれば、ステップS318に進む。また、判別結果が否(No)で走行モードスイッチ50が操作され、Normalモードとなっていなければ、ステップS322に進む。
【0034】
ステップS318では、ON判定温度を第5の所定温度(例えば、5℃)とする。そして、ステップS314に進む。
ステップS320では、OFF判定温度を第5の所定温度よりも高い第6の所定温度(例えば、7℃)とする。そして、本ルーチンを抜ける。
ステップS322では、ON判定温度を第7の所定温度(例えば、10℃)とする。そして、ステップS314に進む。
【0035】
ステップS324では、OFF判定温度を第7の所定温度よりも高い第8の所定温度(例えば、12℃)とする。そして、本ルーチンを抜ける。
このように、運転者により選択される走行モードにより、例えば、ECOモードであれば、ヒータ30の作動開始温度を低くして走行用モータの出力を減らして高電圧電池20の電力消費を抑制し、Powerモードであればヒータ30の作動開始温度を高くして、高電圧電池20の電力消費は増えるが走行用モータの出力を増やすことができる。
[ヒータ作動制御]
次にヒータ作動制御について説明する。本制御は、ウォームアップ禁止スイッチ操作判定及び作動温度設定と同様に車両10の電源ON時から電池モジュール21の温度が走行モードスイッチ50で選択される走行モード毎に予め設定された温度となるまで実施される。
【0036】
図6に示すように、ステップS410では、極低温判定フラグがOFFか、否かを判別する。詳しくは、極低温判定にて、極低温判定フラグがOFFに設定されているか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で極低温判定にて、極低温判定フラグがOFFに設定されていれば、ステップS412に進む。また、判別結果が否(No)で極低温判定にて、極低温判定フラグがOFFに設定されていなければ、ステップS414に進み、温度判定フラグをON、即ちヒータ30を作動させ電池ウォームアップを実施する。そして、本ルーチンを抜ける。
【0037】
ステップS412では、スイッチ判定フラグがONか、否かを判別する。詳しくは、ウォームアップ禁止スイッチ操作判定にて、スイッチ判定フラグがONに設定されているか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でウォームアップ禁止スイッチ操作判定にて、スイッチ判定フラグがONに設定されていれば、ステップS416に進む。また、判別結果が否(No)でウォームアップ禁止スイッチ操作判定にて、スイッチ判定フラグがONに設定されていなければ、ステップS418に進み、温度判定フラグをOFF、即ちヒータ30の作動を停止させ電池ウォームアップを終了する。そして、本ルーチンを抜ける。
【0038】
ステップS416では、温度判定フラグがOFFか、否かを判別する。詳しくは、ヒータ30の作動が停止し、電池ウォームアップを実施していないか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でヒータ30の作動が停止し、電池ウォームアップを実施していなければ、ステップS420に進む。また、判別結果が否(No)でヒータ30が作動し、電池ウォームアップを実施していれば、ステップS424に進む。
【0039】
ステップS420では、電池温度がON判定温度以下であるか、否かを判別する。詳しくは、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が作動温度設定で設定されるON判定温度以下であるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で電池モジュール21の温度がON判定温度以下であれば、ステップS422に進み、温度判定フラグをON、即ちヒータ30を作動させ電池ウォームアップを実施する。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)で電池モジュール21の温度がON判定温度以下でなければ、本ルーチンを抜ける。
【0040】
ステップS424では、電池温度がOFF判定温度以上であるか、否かを判別する。詳しくは、バッテリモニタリングユニット22より出力される電池モジュール21の温度が作動温度設定で設定されるOFF判定温度以上であるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で電池モジュール21の温度がOFF判定温度以上であれば、ステップS426に進み、温度判定フラグをOFF、即ちヒータ30の作動を停止させ電池ウォームアップを終了する。そして、本ルーチンを抜ける。また、判別結果が否(No)で電池モジュール21の温度がOFF判定温度以上でなければ、本ルーチンを抜ける。
【0041】
このように、本発明に係る電動車両の電池温度調整装置では、運転者による電池ウォームアップ禁止スイッチ60の操作により、電池ウォームアップの実施を制限している。
従って、ヒータ30の作動を制限することができ、ヒータ30による電池モジュール21の電力消費を抑制することができるので、車両10の走行可能距離の低下を抑制することができる。
【0042】
また、電池モジュール21の温度が極低温域である場合には、運転者による電池ウォームアップ禁止スイッチ60の操作に関わらずヒータ30を作動させるようにしているので、極低温域で電池モジュール21の出力電力が少ないような場合でも電池モジュール21を昇温させ、走行に必要な電力を確保することができる。
また、運転者の走行モードスイッチ50を操作して選択した走行モードに応じて、ヒータ30の作動開始温度を切り換えるようにしているので、例えば、ECOモードで電力消費を抑え走行可能距離を伸ばしたいような場合には、電池モジュール21が低温であってもヒータ30の作動開始温度を低めに設定し、電池ウォームアップの実施温度を低くしてヒータ30での電力消費を抑制することで、車両10の走行可能距離を伸ばすことができる。また、Powerモードで走行用モータで大きな出力の発生が必要な場合には、ヒータ30の作動開始温度を高めに設定し、電池ウォームアップの実施温度を高くして電池モジュール21の昇温を促し、外気が低温時であっても電池モジュール21の出力電力を大きくすることができ、走行用モータの出力を大きくすることができる。
【0043】
また、運転者が電池ウォームアップ禁止スイッチ60を所定時間以上操作(ON)することにより、電池モジュール21が極低温域内でなければ、常に電池ウォームアップの実施をしないようにできるので、運転者が車両10に乗車毎に電池ウォームアップ禁止スイッチ60を操作する必要がないので、運転者の操作を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 車両
21 電池モジュール(二次電池)
22 バッテリモニタリングユニット(温度検出手段)
30 ヒータ(昇温手段)
40 メータ(表示手段)
50 走行モードスイッチ(モード切換手段)
60 電池ウォームアップ禁止スイッチ(昇温禁止スイッチ)
70 EVECU(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6