(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725354
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20150507BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 A
B25F5/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-179826(P2011-179826)
(22)【出願日】2011年8月19日
(65)【公開番号】特開2013-39652(P2013-39652A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 哲祐
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】仲野 義博
(72)【発明者】
【氏名】内田 洋樹
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−207992(JP,A)
【文献】
実開平03−020489(JP,U)
【文献】
特開平11−033934(JP,A)
【文献】
特開平08−204372(JP,A)
【文献】
実開平04−026593(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第102005052426(DE,A1)
【文献】
特開平03−098740(JP,A)
【文献】
特開2010−105130(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008009277(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第19614580(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0302551(US,A1)
【文献】
特開2008−302467(JP,A)
【文献】
特開2010−036260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25F 5/00
H01L 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、該ステータ内に回転可能に配置された前後方向に延びるロータシャフトを有するロータとを備え、先端工具を駆動するモータと、
該ロータシャフトに一体回転可能に装着されるファンと、
該モータ及び該ファンを内蔵するハウジングと、を備え、
該ハウジングには、該ファンの最外周部分と前後方向で同位置に開口し、排気側格子部で覆われた排気口が形成され、
該排気側格子部は、該ハウジングの外表面に沿って互いに略平行に延びる第1及び第2の長尺材を有し、該第1の長尺材は該ハウジングの外表面における該排気口の端縁よりも外側の位置に配置され、該第2の長尺材は該第1の長尺材の前方または後方において該第1の長尺材よりも内側の位置に配置されることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
該ハウジングにおいて該排気口の周囲には、該ハウジングの外表面から突出する枠体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
該枠体は該排気側格子部より突出するように該外表面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
該枠体は該排気口の端縁から離間して該排気口周りを一連に囲うように設けられることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に関し、特にモータを動力源とする電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からモータを動力源とする電動工具には、モータ等を冷却するためのファンが設けられており、このモータやファンを内蔵するハウジングには、ハウジング内部に外気を取り入れる吸気口及びハウジング内気を外部に排出する排気口である風穴が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この風穴は、吸排気の効率から排気口若しくは吸気口のいずれか一方がファン近傍に形成されることがある。しかしながらファン近傍に風穴を形成することにより、風穴からの異物侵入によるファンのロック及び破損やモータのショート等が発生するおそれがあった。よって本発明は、風穴からの異物侵入を抑制した電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、
ステータと、該ステータ内に回転可能に配置された前後方向に延びるロータシャフトを有するロータとを備え、先端工具を駆動するモータと、
該ロータシャフトに一体回転可能に装着されるファンと、該モータ及び該ファンを内蔵するハウジングと、を備え、
該ハウジングには
、該ファン
の最外周部分と前後方向で同位置に開口し、
排気側格子部で覆われた
排気口が形成され、該
排気側格子部は、
該ハウジングの外表面に沿って互いに略平行に延びる第1及び第2の長尺材
を有し、
該第1の長尺材は該ハウジングの外表面における該排気口の端縁よりも外側の位置に配置され、該第2の長尺材は該第1の長尺材の前方または後方において該第1の長尺材よりも内側の位置に配置される電動工具を提供する。
【0006】
このような構成によると、
排気口において、格子の隙間から異物が侵入することを抑制することができる。また
第1の長尺材がハウジングの外表面より外側に、第2の長尺材が第1の長尺材より内側に、即ち互い違いの千鳥状に配置されているため、隙間を確保することができるので
排気口における流路抵抗の増加を抑制することができる。
【0007】
上記構成の電動工具において、該ハウジングにおいて該
排気口の周囲には、該ハウジングの外表面から突出する枠体が設けられていることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、枠体により
排気口内に異物が侵入することが抑制される。また枠体があることにより、ハウジング外表面に水滴等が付着したとしても、水滴がハウジング外表面を伝って
排気口内に侵入することが抑制される。
【0009】
また
該枠体は該排気側格子部より突出するように該ハウジングの外表面に設けられていることが好ましい。
【0010】
このような構成によると、
枠体による排気口内への異物の侵入をより好適に抑制することができる。
【0011】
また該枠体は
該排気口の端縁から離間して該排気口周りを一連に囲うように設けられていることが
好ましい。
【0012】
このような構成によると
、枠体と排気口の端縁との隙間から異物が侵入することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電動工具によれば、風穴からの異物侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面図。
【
図2】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面断面図。
【
図3】
図1のIII−III線に沿った断面部分斜視図。
【
図4】
図1のIII−III線に沿った断面概略図。
【
図5】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの排気口とピンとの関係を示す断面概略図。
【
図6】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの第一の変形例に係る断面概略図。
【
図7】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの第二の変形例に係る断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を
図1乃至
図5に基づき説明する。
図1に示される電動工具であるインパクトドライバ1は、ビットやソケット等の先端工具により、ボルトやナット、ねじを締結する工具であり、
図2に示されるように、主に、ハウジング2と、モータ3と、ギヤ機構4と、インパクト機構5と、から構成され、充電式の電池6を電源として駆動される工具である。
【0016】
ハウジング2は、6ナイロンから構成されている樹脂ハウジングであり、モータ3等が収容される胴体部2Aと、胴体部2Aから延出されるハンドル2Bとを備えており、胴体部2A及びハンドル2B内部に収容空間が画成され、後述の上下方向及び前後方向に延びる平面で二分割され略対称な分割ハウジングで構成されている。収容空間において胴体部2A内に該当する箇所には、上述のモータ3とギヤ機構4とインパクト機構5とが同軸上に一端側から他端側に向かって並んで配置されている。このモータ3とギヤ機構4とインパクト機構5とが並んでいる軸方向においてモータ3側を後側として前後方向と定義する。また前後方向と直交する方向であって胴体部2Aからハンドル2Bが延出される方向を下方向として上下方向を定義する。
【0017】
胴体部2Aは、モータ3の外形に沿うように略円筒状に構成されており、胴体部2Aにおいて、モータ3の前後位置かつ胴体部2Aの左右側面位置には、
図1に示されるように、それぞれ風穴である吸気口21、排気口22が形成されている。吸気口21は、胴体部2Aにおいてモータ3(
図2)後方位置に形成されており、異物がハウジング2内に侵入しないように吸気側格子部21Aで覆われている。吸気側格子部21Aは、胴体部2A表面において長手方向が上下方向と交差する複数の長尺材が互いに平行かつ等間隔に配置されてハウジング2と一体に構成されている。
【0018】
排気口22は、胴体部2Aにおいて後述のファン32B(
図2)近傍であってファン32B最外周部分と前後方向で同位置に形成されており、異物がハウジング2内に侵入しないように、排気側格子部22Aで覆われている。排気側格子部22Aは、
図3及び
図4に示されるように、胴体部2A表面において前後方向と直交する方向であって胴体部2Aの前後方向と直交する断面に沿って延びる三本の長尺材23A、23B、23Cと、三本の長尺材を前後方向に接続する接続材23Dとからハウジング2と一体に構成されている。三本の長尺材23A、23B、23Cは、
図4に示されるように、前後方向において中央に長尺材23Bが位置し長尺材23Bの前後にそれぞれ長尺材23A、23Cが配置され、排気側格子部22A中央に位置する長尺材23Bが最も胴体部2A内側に位置するように(ファン32Bの回転軸に近づくように)千鳥状に配置されている。また長尺材23A、23Cはそれぞれ、隣接する排気口22の前側端縁、後側端縁より胴体部2A外側に位置するように(ファン32Bの回転軸から遠ざかるように)配置されている。
【0019】
排気口22の前側端縁から長尺材23Aまでの前後方向の間、三本の長尺材23A、23B、23Cのそれぞれの前後方向の間、及び長尺材23Cから排気口22の後側端縁までの前後方向の間に形成される隙間S1は、JIS C 0920に定められるIP(International Protection)規格のIP4Xに基づき、それぞれφ1.0のピンPが挿入不能な距離になるように構成されている。また排気側格子部22Aは、胴体部2A内表面より外側に位置するように構成されている。
【0020】
図1に示されるように、胴体部2Aの外表面において、排気口22の周囲には、枠体23Eが設けられている。枠体23Eは、排気口22から僅かに離間して排気口22回りを一連に囲っており、
図3及び
図4に示されるように三本の長尺材23A、23B、23Cよりも胴体部2A外方に突出するように構成されている。
【0021】
図2に示されるように、ハウジング2において、ハンドル2Bの下端位置には、電池6が装着されて電気的に接続される端子部24が配置されている。端子部24の上部にはモータ3の回転を制御する制御回路部100が配置されている。ハンドル2Bの根元部分には、作業者が操作するトリガ26Aが設けられると共に、トリガ26A及び制御回路部100に接続されモータ3への導通を制御するスイッチ部26Bが設けられている。またハンドル2Bの根元であってトリガ26Aの上方には、モータ3の回転方向を切り替える図示せぬ正逆切換レバーが設けられている。ハウジング2において前端であってインパクト機構5の下方には、制御回路部100に接続され前側に向けて照射するLEDライト27が設けられている。またハウジング2内には、モータ3周囲であって吸気口21から排気口22に跨る冷却通路2cが形成されている。
【0022】
モータ3は、DCブラシレスモータであり、ステータ31と、ロータ32と、モータ駆動回路装置33とを主に備えている。ステータ31は、筒状に構成されてモータ3の外殻をなし、外周面がハウジング2に保持されている。
【0023】
ロータ32は、ステータ31内に回転可能に配置され、その回転軸位置に前後方向に延びるロータシャフト32Aが同軸一体回転するように設けられている。ロータシャフト32Aおいて前端には、遠心ファンであるファン32Bとピニオンギヤ32Cとが同軸一体回転するように装着されると共にベアリング32Dが装着されて後述の枠体4Aに支承されている。またロータシャフト32Aにおいて後端には、ベアリング32Eが装着されて胴体部2Aに支承されている。これらベアリング32D、32Eによりロータシャフト32Aは回転可能に支持されている。ロータシャフト32Aと一体にファン32Bが回転することにより、吸気口21から胴体部2A内収容空間の冷却通路2cを通り、排気口22へと抜ける気流が形成される。
【0024】
回路基板であるモータ駆動回路装置33は、ステータ31の後方に配置されてステータ31に固定されており、複数のスイッチング素子を備えている。
【0025】
胴体部2A内においてモータ3の前側にはギヤ機構4が配置されている。ギヤ機構4は、ピニオンギヤ32Cを太陽ギヤとする遊星歯車機構であり、枠体4Aを外殻としてハウジング2に装着されており、スピンドル41と、リングギヤ42と、複数の遊星ギヤ43とから構成されている。スピンドル41は、遊星ギヤ43を複数支承する遊星キャリアであり、その前端で後述のアンビル52を同軸回転可能に支承し、その後端で枠体4Aにベアリング4Bを介して回転可能に支承されている。スピンドル41において後端近傍位置には、遊星ギヤ43を支承すると共に、後述の第一スプリング54Aを受ける鍔部41Aが設けられている。またスピンドル41には、後述のハンマ53が前後方向へと移動可能に環装されると共に、軸方向に対して斜めに延びる一対の溝41a、41aが形成されており、この溝41a内にそれぞれボール41B、41Bが挿入され、このボール41B、41Bによりハンマ53と接続されている。
【0026】
リングギヤ42は、スピンドル41外周に同軸上に位置するように配置されて枠体4Aに回転不能に固定されている。複数の遊星ギヤ43はそれぞれスピンドル41に回転可能に支承され、リングギヤ42に噛合すると共にピニオンギヤ32Cに噛合している。上記構成により、ピニオンギヤ32Cの回転が減速されてスピンドル41に伝達される。
【0027】
インパクト機構5は主に、ハンマケース51と、アンビル52と、ハンマ53と、第一スプリング54Aとから主に構成されている。
【0028】
ハンマケース51は、前端が窄まった円筒状を成しており後端部分でハウジング2の胴体部2Aにモータ3と同軸的に接続され、前端部分にアンビル52を回転可能に支承する軸受51Aを有している。
【0029】
アンビル52は、前後方向に延びる円柱状に構成され、軸受51Aによってハンマケース51に回転可能に支承されると共に、後端に形成された穿孔52a内にスピンドル41の先端部分が隙間嵌めされてスピンドル41に回転可能に支承されている。アンビル52の前端部分には、図示せぬソケットが装着される先端工具装着部52Aが設けられている。先端工具装着部52Aは、アンビル52の前端に形成された装着孔52b内に突出可能な複数のボール52Cと、バネにより後方に付勢されると共に、後方に付勢された状態でボール52Cと当接してボール52Cを装着孔52b内に突出させる操作部52Dとから主に構成されている。またアンビル52の後端には、半径方向かつ相反する方向にそれぞれ延びる一対の被係合部である羽根部52E、52Eが一体に設けられている。
【0030】
ハンマ53は、スピンドル41に環装される貫通孔53aが形成された筒状に構成されている。ハンマ53の前端には一対の係合部であり、羽根部52E、52Eとそれぞれ係合可能な爪部53A、53Aが設けられている。爪部53A、53Aは、ハンマ53の前端から前側に突出し、それぞれ軸周りに180°離れた位置に配置されており、軸周りに対称な形状に形成されている。この爪部53A、53Aの周方向と交差する側面は爪部53Aが先細りするように斜めに構成されている。よってアンビル52に対してハンマ53に負荷がかかった場合には、この側面に沿ってアンビル52がハンマ53に対して相対的に前側へと移動することにより、羽根部52E、52Eが爪部53A、53Aを乗り越え、アンビル52に対してハンマ53が回転することができる。実際の作業時には、アンビル52がハウジング2に対して前側へと移動することが不能であるため、アンビル52に対してハンマ53が後退することにより、同様に羽根部52E、52Eが爪部53A、53Aを乗り越えてアンビル52に対してハンマ53が回転することができる。
【0031】
ハンマ53において貫通孔53a内表面には、一対のボール41B、41Bがそれぞれ挿入される前後方向に延びる溝53b、53bが形成されている。この溝53b、53bと、溝41a、41aとにそれぞれ一対のボール41B、41Bが挿入されることにより、スピンドル41に対してハンマ53が同軸一体回転可能になる。またハンマ53の後端側には、第一スプリング54Aを受ける受部53cが貫通孔53aを画成する壁回りに一連に形成されている。
【0032】
第一スプリング54Aはワッシャを介してスピンドル41の鍔部41Aに担持されており、スピンドル41の鍔部41Aより前端部分が第一スプリング54A内部を挿通し、受部53cに挿入されてハンマ53をスピンドル41に対して軸方向かつ前側方向へ付勢している。よって第一スプリング54Aの付勢方向は軸方向かつ前側方向に一致する。第一スプリング54Aがハンマ53を前側へと付勢することにより、ハンマ53の爪部53A、53Aがアンビル52の羽根部52E、52Eと係合することができる。
【0033】
また上述の負荷時においてハンマ53がアンビル52に対して後退した際にも、羽根部52E、52Eが爪部53A、53Aを乗り越えたと同時に第一スプリング54Aにより、ハンマ53が前側であるアンビル52側へと移動し、爪部53A、53Aと羽根部52E、52Eとが当接する。このようにハンマ53がアンビル52に対して回転し、爪部53A、53Aが羽根部52E、52Eと当接することにより、アンビル52に回転方向の打撃力が加えられる。
【0034】
上記構成のインパクトドライバ1において、排気口22及び排気側格子部22Aは、上述のように、φ1.0のピンが挿入されないように、前後方向の隙間が構成されているが、三本の長尺材23A、23B、23Cは、上述のように千鳥状に配置されているため、特に排気口22の前側端縁と長尺材23Aとの間、及び長尺材23Cと排気口22の後側端縁との間には、斜め方向(
図5における矢印の方向)にφ1.0のピンが挿入可能な隙間S2が形成される。しかし、排気口22の周囲には枠体23Eが配置されているため、ピンPが枠体23Eに当接し、ピンPを斜め方向に配置することができず、隙間S2にピンPが挿入されることは防がれる。
【0035】
また枠体23Eが排気口22の全周を囲むように構成されていることにより、例えば胴体部2Aの外表面に水滴が付着した場合であっても、枠体23Eにより縁切りされているため、胴体部2Aの外表面を伝わって排気口22内に水滴が侵入することが抑制される。
【0036】
また排気側格子部22Aは、上述のように胴体部2Aの内面より外方に位置しているため、胴体部2A内に配置されているファン52と接触することはない。これにより、胴体部2Aをファン52の外形に合わせて構成することができ、胴体部2Aを小型化できる。
【0037】
本発明による電動工具は上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば第一の変形例として
図6に示されるように、単体の長尺材123で排気口22が覆われる構成であってもよい。この長尺材123は、胴体部2Aの前後方向と直交する断面形状に沿って平板状に構成されており、長手方向が前後方向と直交し、平面部分が排気口22を覆い、胴体部2A内周面より外方に位置するように(ファン32Bの回転軸から遠ざかるように)配置されている。また前後方向において、排気口22の前端縁と長尺材123の前端縁との隙間の距離及び長尺材123の後端縁と排気口22の後端縁との隙間の距離は、それぞれφ1.0のピンが挿入不能となるように構成されている。
【0038】
このような長尺材123により排気口22が覆われる構成においても、排気口22周辺に配置された枠体23Eを長尺材123より外方に突出するように構成することにより、排気口22の前端縁と長尺材123の前端縁との隙間及び長尺材123の後端縁と排気口22の後端縁との隙間にピンが斜め方向から入ることが抑制される。
【0039】
また第二の変形例として、
図7に示されるように、複数の長尺材223A〜223Cから構成される排気側格子部222Aが胴体部2A内に位置し、排気口22回りに枠体が設けられない構成であってもよい。この排気側格子部222Aの構成は、排気側格子部22Aと略同じであるので詳細は省略する。このような構成であっても、少なくとも異物の侵入を抑制しつつ、排気口22の流路抵抗を低減させずに、好適に排気口22から排気することができる。
【0040】
本実施の形態及び変形例では、風穴として排気口について説明したが、これに限らず吸気口に同様の構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の電動工具は、上述したインパクトドライバに限定されず、モータ及びファンを備え、ハウジングに吸気口や排気口が形成される電動工具一般に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:インパクトドライバ 2:ハウジング 2A:胴体部 2B:ハンドル
2c:冷却通路 3:モータ 4:ギヤ機構 4A:枠体 4B:ベアリング
5:インパクト機構 6:電池 21:吸気口 21A:吸気側格子部 22:排気口
22A:排気側格子部 23A:長尺材 23B:長尺材 23C:長尺材
23D:接続材 23E:枠体 24:端子部 26A:トリガ 26B:スイッチ部
27:ライト 31:ステータ 32:ロータ 32A:ロータシャフト
32B:ファン 32C:ピニオンギヤ 32D:ベアリング 32E:ベアリング
33:モータ駆動回路装置 41:スピンドル 41A:鍔部 41B:ボール
41a:溝 42:リングギヤ 43:遊星ギヤ 51:ハンマケース 51A:軸受
52:アンビル 52:ファン 52A:先端工具装着部 52C:ボール
52D:操作部 52E:羽根部 52a:穿孔 52b:装着孔 53:ハンマ
53A:爪部 53a:貫通孔 53b:溝 53c:受部 54A:第一スプリング
100:制御回路部 123:長尺材