特許第5725422号(P5725422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725422
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20150507BHJP
   B60S 5/02 20060101ALI20150507BHJP
   H02J 7/02 20060101ALI20150507BHJP
   B60L 11/18 20060101ALN20150507BHJP
【FI】
   H02J7/00 301A
   H02J7/00 P
   B60S5/02
   H02J7/02 V
   !B60L11/18 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-100728(P2012-100728)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-230016(P2013-230016A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】片桐 博志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】津村 泰行
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−084813(JP,A)
【文献】 特開平06−135302(JP,A)
【文献】 特開2008−296766(JP,A)
【文献】 特開2008−308030(JP,A)
【文献】 特開2010−163028(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/006715(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60S3/00−13/02
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して給油又は充電を行う燃料供給装置であって、
液体燃料を給油する給油機構と、該給油機構による給油動作に基づき、給油状態を示す給油情報を表示する第1の表示部とを備える給油装置と、
電力を充電する充電機構と、該充電機構による充電動作に基づき、充電状態を示す充電情報を表示する第2の表示部とを備える充電装置と、
前記給油及び前記充電のいずれかを選択するための操作を行う操作部とからなり、
前記給油装置及び前記充電装置が併設され、前記操作部に対する操作に応じて、前記給油が選択された際に、前記給油情報を前記第1の表示部に表示させ、前記充電が選択された際に、前記充電情報を前記第2の表示部に表示させるように、情報を表示すべき表示部を切り替えることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
給油を開始するノズルスイッチと、
充電を開始する充電開始スイッチと、
前記ノズルスイッチがONにされた際に充電を禁止すると共に、前記充電開始スイッチがONにされた際に給油を禁止する制御装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給装置に関し、特に、ガソリンエンジンを搭載する自動車に対する燃料の供給、及び電気自動車に対する充電が可能な燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン燃料を使用する自動車から発生する炭酸ガスにより、大気汚染や地球温暖化等の問題が生じている。そのため、最近では、ガソリンエンジンを搭載する自動車に代わり、バッテリー(二次電池)を搭載して電気を動力源とする電気自動車が実用化され、注目されている。
【0003】
このような電気自動車を充電するためには、例えば特許文献1に示す充電装置のような充電設備が必要であり、従来から、給油所等に充電設備を設置することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−143610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の給油所において、既存の設備に代えて、電気自動車に対して充電可能な充電設備を備える大規模な燃料供給装置を新設するには、設備費用が嵩むという問題があった。また、電気自動車が普及するまでは、利用量が少ないため、利益性に乏しいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、充電設備を備える大規模な燃料供給装置を新設することなく、ガソリン燃料を供給する既存の給油装置に対して、電気自動車への充電を行う充電装置を容易に併設することが可能な燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、車両に対して給油又は充電を行う燃料供給装置であって、液体燃料を給油する給油機構と、該給油機構による給油動作に基づき、給油状態を示す給油情報を表示する第1の表示部とを備える給油装置と、電力を充電する充電機構と、該充電機構による充電動作に基づき、充電状態を示す充電情報を表示する第2の表示部とを備える充電装置と、前記給油及び前記充電のいずれかを選択するための操作を行う操作部とからなり、前記給油装置及び前記充電装置が併設され、前記操作部に対する操作に応じて、前記給油が選択された際に、前記給油情報を前記第1の表示部に表示させ、前記充電が選択された際に、前記充電情報を前記第2の表示部に表示させるように、情報を表示すべき表示部を切り替えることを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、既存の給油装置に対して、電気自動車への充電を行うための充電装置を併設し、給油及び充電のための操作を行う操作部を共用できるようにするため、設備費用の増大を防ぎ、充電装置を容易に設置することが可能になる。また、給油及び充電のいずれかの動作に基づく情報を適切に表示することが可能になる。
【0010】
上記燃料供給装置において、給油を開始するノズルスイッチと、充電を開始する充電開始スイッチと、前記ノズルスイッチがONにされた際に充電を禁止すると共に、前記充電開始スイッチがONにされた際に給油を禁止する制御装置とを備えることができる。これにより、給油装置及び充電装置が同時に駆動して危険な状態となるのを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、充電設備を備える大規模な燃料供給装置を新設することなく、ガソリン燃料を供給する既存の給油装置に対して、電気自動車への充電を行う充電装置を容易に併設することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る燃料供給装置を概略的に説明するための略線図である。
図2】操作部の構成の一例を示す略線図である。
図3】本発明に係る燃料供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明に係る燃料供給装置における給油及び充電処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下においては、本発明に係る燃料供給装置をセルフサービス方式の給油所に設置する場合を例にとって説明する。
【0014】
図1図3は、本発明に係る燃料供給装置の一実施の形態を示し、この燃料供給装置1は、顧客や従業員によって操作され、例えば、ガソリンエンジンを搭載する自動車に対してレギュラーガソリン、ハイオクガソリン及び軽油等のいずれかを給油したり、電気自動車に対して充電するための装置である。
【0015】
燃料供給装置1は、給油装置2に対して充電装置3が所定の間隔(例えば、60cm程度)で併設され、各種の入力設定や給油/充電料金の精算を行うための操作部4が設けられる。尚、燃料供給装置1は、給油エリアに面する正面側及び背面側に、同様の構成を有する。ここでは、正面側のみを図示し、背面側については、説明を省略する。
【0016】
給油装置2は、燃料単価、給油量、給油金額等の給油情報を表示する第1の表示部5を備え、油種毎の給油ポンプや流量計等からなる給油機構21(図3参照)を収容する。また、給油装置2は、油種毎の給油機構21に対して各々配管で接続された複数のホース接続部が設けられる。各ホース接続部の先端には、給油の開始/停止を操作するためのノズルスイッチ9(図3参照)が設けられた給油ノズルを有する給油ホースが連結される。
【0017】
充電装置3は、充電状態や充電率等の充電情報を表示する第2の表示部6と、充電を開始するための充電開始スイッチ7と、充電を停止するための充電停止スイッチ8とを備え、電力供給手段や電力計等からなる充電機構22(図3参照)を収容する。また、充電装置3は、充電機構22に対してケーブルで接続されたケーブル接続部が設けられる。ケーブル接続部の先端には、充電カプラを有する充電ケーブルが連結される。
【0018】
図2に示すように、操作部4は、主に、会員カードやプリペイドカードに対するデータの読み書きを行うカードリーダ/ライタ11と、投入された紙幣を読み取る紙幣読取機12と、給油/充電料金に対する割引等の情報が記録されたバーコードやQR(Quick Response)コード(登録商標)を読み取るバーコードリーダ13と、携帯端末やスピードパス(登録商標)に搭載されたIC(Integrated Circuit)チップとの通信を行うICカードリーダ14と、給油/充電料金伝票を印字して出力するプリンタ15と、油種、給油量及び給油料金等の給油データや、充電率及び充電時間等の充電データを入力設定するタッチパネル16とを備える。
【0019】
タッチパネル16では、給油及び充電のいずれかを選択するためのボタン(不図示)が表示される。顧客や従業員は、表示されたボタンを操作することにより、給油及び充電のいずれかを選択することができる。
【0020】
図3に示すように、充電開始スイッチ7は、顧客や従業員によって操作された際に、充電開始を示す充電開始信号を、後述する制御装置10に対して出力する。充電停止スイッチ8は、顧客や従業員によって操作された際に、充電停止を示す充電停止信号を制御装置10に対して出力する。ノズルスイッチ9は、顧客や従業員によって操作されてONとされた際に、給油開始を示す給油開始信号を制御装置10に対して出力し、OFFとされた際に、給油停止を示す給油停止信号を出力する
【0021】
制御装置10は、燃料供給装置1全体の動作を制御し、特に、充電開始スイッチ7、充電停止スイッチ8及びノズルスイッチ9に対する操作に基づいて供給される各種信号に基づき、給油機構21及び充電機構22の動作を制御する。
【0022】
制御装置10は、給油開始信号が供給された場合に、給油を開始するための給油機構駆動信号を給油機構21に対して出力すると共に、充電機構22による充電を禁止するための充電機構駆動禁止信号を充電機構22に対して出力する。また、制御装置10は、給油停止信号が供給された場合に、充電機構22の充電禁止状態を解除するための充電機構駆動禁止停止信号を充電機構22に対して出力する。
【0023】
さらに、制御装置10は、充電開始信号が供給された場合に、充電を開始するための充電機構駆動信号を充電機構22に対して出力すると共に、給油機構21による給油を禁止するための給油機構駆動禁止信号を給油機構21に対して出力する。また、制御装置10は、充電停止信号が供給された場合に、給油機構21の給油禁止状態を解除するための給油機構駆動禁止停止信号を給油機構21に対して出力する。
【0024】
このように、燃料供給装置1では、給油機構駆動禁止信号及び充電機構駆動禁止信号に基づき、給油機構21及び充電機構22のいずれか一方を駆動させる場合に、他方の駆動を禁止するように制御するため、両機構が同時に駆動して危険な状態となるのを防止することができる。
【0025】
次に、上記構成を有する燃料供給装置1の給油及び充電処理の流れについて、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0026】
まず、ステップS1において、制御装置10は、ノズルスイッチ9が操作され、ONとされたか否かを判断する。給油開始信号が制御装置10に対して供給され、ノズルスイッチ9がONとされたと判断した場合(ステップS1;Yes)、制御装置10は、給油機構21に対して給油機構駆動信号を出力する。
【0027】
ステップS2において、給油機構21は、制御装置10から給油機構駆動禁止信号が供給されたか否かを判断する。給油機構駆動禁止信号が供給されていないと判断した場合(ステップS2;No)、給油機構21は、制御装置10から供給された給油機構駆動信号に基づき、第1の表示部5に表示された給油量の表示をリセットして帰零すると共に、給油ポンプを駆動して給油を開始する。また、制御装置10は、充電機構22に対して充電機構駆動禁止信号を出力する(ステップS3)。給油機構駆動禁止信号が供給されたと判断した場合(ステップS2;Yes)には、一連の処理が終了する。
【0028】
次に、給油機構21は、流量パルスの有無を判断する(ステップS4)。流量パルスが発生した場合(ステップS4;Yes)、給油機構21は、流量計によって給油量を計数し、計数結果を制御装置10に対して出力する。制御装置10は、給油機構21から供給された計数結果を第1の表示部5に表示させる(ステップS5)。流量パルスが発生していない場合(ステップS4;No)には、処理がステップS6に移行する。
【0029】
次に、制御装置10は、ノズルスイッチ9が操作され、OFFとされたか否かを判断する(ステップS6)。給油停止信号が制御装置10に対して供給され、ノズルスイッチ9がOFFとされたと判断した場合(ステップS6;Yes)、給油機構21は、給油ポンプを停止させる。また、制御装置10は、供給された給油停止信号に基づき、充電機構22に対して充電機構駆動禁止停止信号を出力する(ステップS7)。
【0030】
ノズルスイッチ9がOFFとされていないと判断した場合(ステップS6;No)には、処理がステップS4に戻り、ノズルスイッチ9がOFFとされるまで、ステップS4及びS5の処理を繰り返す。
【0031】
一方、ステップS1において、ノズルスイッチ9がONとされていないと判断した場合(ステップS1;No)には、処理がステップS8に移行する。
【0032】
ステップS8において、制御装置10は、充電開始スイッチ7が操作されたか否かを判断する。充電開始スイッチ7に対する操作により、充電開始信号が制御装置10に対して供給されたと判断した場合(ステップS8;Yes)、制御装置10は、充電機構22に対して充電機構駆動信号を出力する。一方、充電開始スイッチ7が操作されていないと判断した場合(ステップS8;No)には、処理がステップS1に戻る。
【0033】
ステップS9において、充電機構22は、制御装置10から充電機構駆動禁止信号が供給されたか否かを判断する。充電機構駆動禁止信号が供給されていないと判断した場合(ステップS9;No)、充電機構22は、制御装置10から供給された充電機構駆動信号に基づき、第2の表示部6に表示された充電率の表示をリセットして帰零すると共に、充電を開始する。また、制御装置10は、給油機構21に対して給油機構駆動禁止信号を出力する(ステップS10)。充電機構駆動禁止信号が供給されたと判断した場合(ステップS9;Yes)には、一連の処理が終了する。
【0034】
次に、充電機構22は、電力が供給されたか否かを判断する(ステップS11)。電力が供給されたと判断した場合(ステップS11;Yes)、充電機構22は、電力計によって電力量を計数し、計数結果を制御装置10に対して出力する。制御装置10は、充電機構22から供給された計数結果を第2の表示部6に表示させる(ステップS12)。電力が供給されていないと判断した場合(ステップS11;No)には、処理がステップS13に移行する。
【0035】
次に、制御装置10は、充電停止スイッチ8が操作されたか否かを判断する(ステップS13)。充電停止スイッチ8に対する操作により、充電停止信号が制御装置10に対して供給されたと判断した場合(ステップS13;Yes)、充電機構22は、電力供給を停止する。また、制御装置10は、供給された給油停止信号に基づき、給油機構21に対して給油機構駆動禁止停止信号を出力する(ステップS14)。
【0036】
一方、充電停止スイッチ8が操作されていないと判断した場合(ステップS13;No)には、処理がステップS11に戻り、充電停止スイッチ8が操作されるまで、ステップS11及びS12の処理を繰り返す。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、給油所等に従来から設置された給油装置に対して、充電機構を備える充電装置を併設させ、給油及び充電のための各種入力設定を行う操作部を共用できるようにするため、大規模な設備を新設することによる設備費用の増大を防ぎ、容易に給油及び充電が可能な燃料供給装置を設置することが可能になる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、給油装置及び充電装置のいずれか一方を駆動させる場合には、駆動禁止信号に基づき他方の装置の駆動を禁止するため、給油又は充電の際の安全性を確保することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、上述した本発明の一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の例では、給油量を表示させるための表示部(第1の表示部5)と、充電率を表示させるための表示部(第2の表示部6)とを別体で構成したが、この例に限られず、例えば、両表示部を一体化させてもよい。また、タッチパネル16に、「電気」、「レギュラー」、「ハイオク」及び「軽油」と表示し、例えば、充電中には「電気」の表示を点灯させてその他の表示を消灯することで、現在行っている操作を明示し、他の操作ができないことを明示してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 燃料供給装置
2 給油装置
3 充電装置
4 操作部
5 第1の表示部
6 第2の表示部
7 充電開始スイッチ
8 充電停止スイッチ
9 ノズルスイッチ
10 制御装置
11 カードリーダ/ライタ
12 紙幣読取機
13 バーコードリーダ
14 ICカードリーダ
15 プリンタ
16 タッチパネル
21 給油機構
22 充電機構
図1
図2
図3
図4