特許第5725514号(P5725514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5725514-コンロ 図000002
  • 特許5725514-コンロ 図000003
  • 特許5725514-コンロ 図000004
  • 特許5725514-コンロ 図000005
  • 特許5725514-コンロ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725514
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/06 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   F24C15/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-85148(P2012-85148)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-213643(P2013-213643A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】梅田 宗行
(72)【発明者】
【氏名】山根 賢哉
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−085085(JP,A)
【文献】 特開平02−013721(JP,A)
【文献】 特開2012−042157(JP,A)
【文献】 特開2006−003053(JP,A)
【文献】 実開平06−073632(JP,U)
【文献】 特開昭62−041526(JP,A)
【文献】 特開2011−163724(JP,A)
【文献】 実開昭54−073389(JP,U)
【文献】 実開昭53−021185(JP,U)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に板金製の操作パネルを備え、内部から前方に向かって突出し、左右方向にスライドさせることによりバーナの火力を調節する火力調節レバーが貫通する開口を操作パネルに設け、この開口の下方であって操作パネルの裏側に操作スイッチを含めた電子基板を内蔵させたコンロにおいて、上記開口に嵌め込まれる角筒状の煮汁浸入防止部材を樹脂で形成し、この煮汁浸入防止部材を越えて操作パネルの後方に浸入した煮汁を、浸入した煮汁が上記電子基板に及ばないように設定された所定の位置に集めて滴下させる煮汁集中部を、煮汁浸入防止部材の後端に形成したことを特徴とするコンロ。
【請求項2】
上記煮汁集中部は、上記煮汁浸入防止部材の後端下縁から下方に垂下する板状部であって、この板状部の下縁の一カ所に設定した滴下位置に向かって左右から下り傾斜する形状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
上記左右から下り傾斜する部分に、煮汁を上記滴下位置に導く導流部を形成したことを特徴とする請求項2に記載のコンロ。
【請求項4】
上記滴下位置に、ドレンチューブが接続できる接続部を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載されたコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板上にバーナを備え、このバーナの火力調節を行う火力調節レバーが前面の操作パネルから前方に突出しているコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコンロとして、操作パネルを板金により形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、火力調節はレバーでは無くダイヤル式の火力調節つまみを回動することにより行うように構成されている。これに対して、操作パネルに左右方向に長手の長方形の開口を設け、その開口を通してコンロ内部から前方に火力操作レバーを突出させ、その火力調節レバーを左右方向にスライドさせることによりバーナの火力調節操作を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
左右に操作する火力調節レバーを備えたものでは、操作レバーを前方に突出するために設けた開口からコンロ内部に煮汁が浸入する恐れが生じる。特に、操作レバーの下方に操作スイッチを含めた電子基板が配設されている構造では、煮汁が電子基板に及ぶことを防止する必要がある。このように、煮汁がコンロ内部に浸入することを防止するため、特許文献2に記載されたものでは、開口の内部であって後端部分に土手を形成し、開口内に煮汁が浸入しても、この土手によってコンロ内部に煮汁が浸入しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−26144号公報(段落0008,図1
【特許文献2】特開2004−85085号公報(図2図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記開口に土手を形成した特許文献2に記載のものは操作パネルを樹脂で形成しているので、比較的簡単に土手を形成することができる。ところが、上記特許文献1に記載されたコンロのように、操作パネルを板金で形成すると、土手どころか開口部分をうまく形成することができない。
【0006】
また、特許文献2のように土手を形成しても、浸入しようとする煮汁の量が多ければ、煮汁が土手を乗り越えて操作パネルの裏側に回り込むおそれが生じる。このように操作パネルの裏側に煮汁が浸入すると、上記電子基板が装着されている場合には煮汁が電子基板に及ぶおそれが生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、操作パネルを板金で形成しても開口をうまく設けることができ、かつ、煮汁がこの開口を通ってコンロ内に浸入しても、電子基板に煮汁が及ばないコンロを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるコンロは、前面に板金製の操作パネルを備え、内部から前方に向かって突出し、左右方向にスライドさせることによりバーナの火力を調節する火力調節レバーが貫通する開口を操作パネルに設け、この開口の下方であって操作パネルの裏側に操作スイッチを含めた電子基板を内蔵させたコンロにおいて、上記開口に嵌め込まれる角筒状の煮汁浸入防止部材を樹脂で形成し、この煮汁浸入防止部材を越えて操作パネルの後方に浸入した煮汁を、浸入した煮汁が上記電子基板に及ばないように設定された所定の位置に集めて滴下させる煮汁集中部を、煮汁浸入防止部材の後端に形成したことを特徴とする。
【0009】
開口を板金だけで形成すると、深絞り加工となり満足な機能を備えた開口を形成することは難しい。そこで、操作パネル全体は板金により形成するが、その開口に樹脂製の煮汁浸入防止部材を嵌め込むことにより、操作パネルを樹脂で形成するものと同様の開口を備えるようにした。また、開口から更に煮汁が浸入しても煮汁集中部で実害のない場所に煮汁を導くようにした。
【0010】
上記煮汁集中部として、例えば、上記煮汁浸入防止部材の後端下縁から下方に垂下する板状部であって、この板状部の下縁の一カ所に設定した滴下位置に向かって左右から下り傾斜する形状に形成してもよい。
【0011】
その場合、上記左右から下り傾斜する部分に、煮汁を上記滴下位置に導く導流部を形成すると、更に効果的である。
【0012】
また、滴下位置から滴下させるだけで無く、上記滴下位置に、ドレンチューブが接続できる接続部を形成し、煮汁を更に実害の無い場所まで導くようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、操作パネルを板金で形成しても開口をうまく設けることができ、かつ、その開口から煮汁がコンロ内部に浸入しても電子基板などに煮汁が及ばないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コンロの全体形状を示す斜視図
図2】右側の操作パネルの構成を示す分解図
図3】煮汁浸入防止部材の形状を示す図
図4】右側の操作パネルの下部を示す図
図5】チャイルドロックレバーの取り付け状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は本発明によるコンロの一例である。このコンロ1はテーブルコンロと呼ばれる形式のものであり、上面である天板には左右2個のガスバーナ10を備えている。また、前面には中央のグリル部を挟んで左側の操作パネル11と右側の操作パネル2とを備えている。右側の操作パネル2を例に説明すると、この操作パネル2には点消火ボタン12が設けられており、いずれか1個の点消火ボタン12を押し操作すると対応するガスバーナが点火し、再度その点消火ボタン12を押し操作すると対応するガスバーナが消火する。点火中のガスバーナの火力は火力調節レバー13を左右方向にスライドすることにより増減調節することができる。
【0016】
図2を参照して、操作パネル2は板金製であり、自動調理などの際に使用するスイッチ類が取り付けられた電子ユニット21が前方から取り付けられる。この電子ユニット21は図示しないが背面に電子基板を備えており、各スイッチ類が押し操作された場合にその操作の種類に応じた信号を生成して図外のコントローラに送信し、逆にコンロトローラからの信号に応じてタイマーの数字などを表示させるものである。
【0017】
操作パネル2には背面側から樹脂製のホルダ部材15が取り付けられる。図2においては理解を助けるため省略したが、このホルダ部材15に点消火ボタン12が保持される。また、ホルダ部材15には同じく樹脂製のチャイルドロックレバー16が取り付けられる。
【0018】
後述するように、操作パネル2の開口部分から煮汁が浸入した場合、その煮汁が電子ユニット21の電子基板に及ぶことは望ましくない。そこで、上方から煮汁が滴下しても電子基板に煮汁がかからないように、板金製のカバー17がホルダ部材15に取り付けられる。そして、上記火力調節レバー13が前方へ突出できるように開口20が形成されている。その開口20には樹脂製の煮汁浸入防止部材である開口部材3が嵌め込まれている。なお、14は樹脂製のサイドパーツである。
【0019】
図3を参照して以下に開口部材3の形状を説明するが、本図では開口部材3を後方から見た状態で示している。同図(a)を参照して、この開口部材3は樹脂製であり、火力調節レバー13の下方に位置して、煮汁の侵入を防止する土手31が形成されている。但し、その土手31を乗り越えて煮汁が浸入した場合に備えて、後端部分に煮汁集中部32を一体に形成した。この煮汁集中部32は板状であり、左右方向のほぼ中央に設定された滴下位置33に向かって、左右から傾斜部34が設けられている。従って、煮汁が土手31を乗り越えても、煮汁は煮汁集中部32の表面を伝って下方に流れ、更に傾斜部34に到達すると傾斜部34を伝って滴下位置33まで導かれる。この滴下位置33は上記カバー17の上方に位置するように設定されており、滴下位置33から滴下した煮汁はカバー17の上面に落ち、カバー17の表面に沿って後方に流れるので、電子基板に煮汁がかかることは無い。
【0020】
なお、同図(b)に示すように、傾斜部34に導流部である土手35を設けて傾斜部34の途中で煮汁が下方に滴下しないようにすることも考えられる。また、同図(c)に示すように、滴下位置33にドレンチューブDCが接続できるように接続部36を形成してもよい。なお、ドレンチューブDCの他端はコンロの下面から外部に露出させておけば、煮汁はコンロ内部に留まること無く、コンロの下方に排出できる。
【0021】
ところで、上記チャイルドロックレバー16を組み付けると、チャイルドロックレバー16のつまみ部分は操作パネル2の下部から前方へ突出する。その突出したつまみ部分がチャイルドロックレバー16である旨がわかるように、従来は操作パネル2にその旨を予め印刷しておき、その後にプレス加工を行っていた。但しその工法では、印刷の工数が掛かるばかりか、印刷された部分がずれないようにプレスしなければならず、ずれたものは不良品となり、歩留まりの低下を招いていた。
【0022】
そこで、図4および図5を参照して、上記ホルダ部材15を成形する際に表示15aをホルダ部材15に一体に形成しておき、操作パネル2にホルダ部材15を組み付けた状態で、その表示15aが操作パネル2から露出して視認できるようにした。
【0023】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0024】
1 コンロ
2 操作パネル
3 開口部材
12 点消火ボタン
13 火力調節レバー
15 ホルダ部材
15a 表示
16 チャイルドロックレバー
17 カバー
20 開口
図1
図2
図3
図4
図5